説明

ラベル貼付装置

【課題】被貼付物を停止させないようにするとともに、ラベルの貼付を確実にすることができるようにしたラベル貼付装置を提供する。
【解決手段】発行機本体2の発行口23より発行されたラベルを吸着・保持する吸着盤4と、吸着盤を搬送方向に直交する方向Xに進退動自在に支持するとともに、進出時にラベルを搬送手段に沿って搬送される被貼付物41に当接して貼付ける進退動駆動部3と、進退動駆動部を搬送方向に沿って移動自在に支持するレール部5と、進退動駆動部を、搬送手段40により搬送方向に搬送される被貼付物の搬送速度と同期をとって移動させるとともに、進退動駆動部に支持された吸着盤に吸着・保持されたラベルを被貼付物に向け進出してラベルを被貼付物に貼り付けたのち、進退動駆動部をラベルが発行される発行機本体の発行口に復帰させるべく移動させる移動位置決め機構とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、搬送手段により搬送される被貼付物に対しラベルを貼り付ける際、被貼付物を停止させることなく貼り付けることができるラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラベル貼付装置は、吸着板(吸着盤)にラベルを吸着・保持し、この吸着板をベルトコンベアなどの搬送手段により搬送される物品(被貼付物)に向けて移動し、吸着板を物品に当接させてラベルを貼り付けるようなことが行われている。
ところで、この種の従来のラベル貼付装置あっては、吸着板が物品に当接している間も、物品がベルトコンベアにより常に動いているので、吸着板と物品との間にずれが生じるとともに吸着板が物品の搬送方向に引っ張られるようになり、ラベルがずれて貼付されたり、吸着板が引っ張られることにより、ピストンに物品の搬送方向のモーメント荷重が発生してしまい、ラベル貼付部や駆動部の破損や損傷の原因になるという問題があった(例えば、特許文献1の従来技術を参照)。
上記問題を解決するため、ラベル貼付部を物品に当接させた状態で物品の搬送方向に沿って移動自在にした貼付装置が開発された(例えば、特許文献1参照)。
上記貼付装置によれば、移動支持機構に支持されたラベル貼付部を常態位置に停止させるストッパ機構と、ラベル貼付部を常態位置側に所定の付勢力で付勢する付勢機構とを備え、ラベル貼付部を駆動部を介して物品の搬送方向に直交する方向に沿って進出させて吸着板を物品に当接させ、ラベル貼付部を物品とともに移動させて吸着板に吸着させたラベルを貼付させるようにしている。
上記構成により、上記貼付装置は、一台の装置により物品を停止させないでラベルを貼付する機能を保持しつつ、駆動部に物品の搬送方向のモーメント荷重が作用しないようにするとともにラベルのずれが生じないようにしてラベルを貼付できるものである。
しかしながら、上記特許文献1の貼付装置にあっては、物品に追従して移動する移動支持機構は、ラベルを吸着させた吸着板が形成されたラベル貼付部を移動させるようにしているため、物品の移動に追従して移動する距離が長くとれず、ラベル吸着板を備える移動支持機構を長く取ろうとすると、物品の搬送方向に向けて長く設ける必要があり、進退動する駆動部の先端部に移動支持機構が取り付けられていることから、物品に向けて駆動部を進退自在とするためには、前記移動支持機構の長さ(大きさ)はある程度の限界があり、以て追従可能な距離が短くなるという問題があった。
【特許文献1】特開2005−8227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであり、ラベルを吸着・保持する吸着盤を進退動駆動部にて支持し、被貼付物の搬送速度に同期をとって進退動駆動部自身を移動させることにより、被貼付物を停止させないようにするとともに、ラベルの貼付を確実にすることができるようにしたラベル貼付装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るラベル貼付装置は、搬送手段により所定の搬送方向に搬送される被貼付物に対しラベルを貼付するラベル貼付装置において、前記ラベルを発行する発行口を備えた発行機本体と、前記発行機本体の発行口に待機し、前記発行機本体より発行された前記ラベルを吸着・保持する吸着盤と、前記吸着盤を前記搬送方向に直交する方向に進退動自在に支持するとともに、進出時に前記吸着盤に吸着・保持された前記ラベルを搬送手段に沿って搬送される前記被貼付物に当接して貼付ける進退動駆動部と、前記搬送手段とほほ平行に配設されるとともに、前記進退動駆動部を搬送方向に沿って移動自在に支持するレール部と、前記レール部に沿って移動自在とされる前記進退動駆動部を、前記搬送手段により搬送方向に搬送される被貼付物の搬送速度と同期をとって移動させるとともに、前記進退動駆動部に支持された前記吸着盤に吸着・保持されたラベルを被貼付物に向け進出して前記ラベルを被貼付物に貼り付けたのち、前記進退動駆動部を前記ラベルが発行される前記発行機本体の発行口に復帰させるべく移動させる移動位置決め機構と、を備えたことを特徴とする。
また、移動位置決め機構は、スパイラルシャフト、および前記スパイラルシャフトを正・逆回転方向に回動自在なステッピングモータにより構成するようにできる。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係るラベル貼付装置は、搬送方向に沿って搬送される被貼付物の搬送速度と同期をとって進退動駆動部を移動するとともに、被貼付物へ向けて進退動駆動部より搬送方向に直交する方向に吸着盤を進出して吸着盤に吸引・保持されたラベルを貼付するようにしたので、被貼付物を停止することなくラベルの貼付が実現できるという効果がる。
また、進退動駆動部が、搬送手段とほぼ平行に配設されるレール部に沿い、移動位置決め機構により往復移動するため、移動距離が長く確保できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図3に基づき説明する。
【0007】
図1は、本発明のラベル貼付装置1が設置され、かつ、別途、搬送手段としてのコンベア40上を被貼付物41が搬送される状態を示す斜視説明図であり、図2は、図1中、矢示II方向より見た側面図である。
同図に示すように、ラベル貼付装置1は、主に、発行機本体2と、進退動駆動部3と、この進退動駆動部3の先端部に支持された吸着盤4と、レール部5と、移動位置決め機構6と、を備える。
【0008】
発行機本体2は、主に図2に示すように、ラベルLが台紙42に等間隔に仮着されたラベル連続体43を装着する媒体供給部7と、印字部8と、剥離ピン30と、台紙巻取り部9と、位置検出センサ10と、制御部11を備える。
印字部8は、印字ヘッド12およびプラテン13を備え、ラベル連続体43のラベルLの表面に対し印字ヘッド12を介して必要項目情報を印字するとともに、プラテン13は第1のベルト14を介してステッピングモータ(以下、適宜、単に「モータ」という)15に接続されている。そして、前記媒体供給部7に装着したラベル連続体43を引き出し、補助ローラ16、17を経て前記印字ヘッド12とプラテン13の間に挟持してモータ15を回転させると、ラベル連続体43はベルト14を介したプラテン13の回転に従い下流側へ搬送されるようになっている。また、前記モータ15には、第2のベルト18が従動ローラ19との間に架け渡されており、さらに、前記従動ローラ19は従動ローラ20と噛合している。この従動ローラ20は、前記プラテン13を回転させる前記モータ15の回転方向とは逆方向に回転するようになっており、さらに、後述の補助ローラ21に当接している。
剥離ピン30は、印字部8に近接した下流側に設けられ、前記印字部8を経て搬送されたラベル連続体43の台紙42よりラベルLを剥離する役目を果たす剥離手段であって、この剥離ピン30にて台紙42のみを転向と称する方向変換を行うと、ラベルLは自身の持つ剛性力により台紙42より剥離されるようになっている。剥離ピン30にて転向された台紙42は、前記従動ローラ20および補助ローラ21に挟持し、さらに、補助ローラ22を経て台紙巻取り部9へと巻き取る。
位置検出センサ10は、媒体供給部7と印字部8との間に設けられ、ラベル連続体43の図示省略の検出マークを読取ることにより、ラベル連続体43に仮着されたラベルLの位置を検出するためのセンサである。
制御部11は、前記各部と接続され、各部を制御する役目を果たす。
上記発行機本体2により、媒体供給部7に装着されたラベル連続体43は、補助ローラ16、17を経て印字部8へ搬送され、剥離ピン30にて台紙42のみが転向され、発行口23においてラベルLが発行される。さらに、転向された台紙42は従動ローラ20および補助ローラ21の間に挟持されて台紙巻取り部9へと巻き取られる。
【0009】
進退動駆動部3は、前記発行機本体2の上部に設けられたレール部5に移動自在に設けられている。進退動駆動部3は、ロッド24を介して先端に吸着盤4を進退動自在に支持しており、前記コンベア40上を搬送中の被貼付物41に向けて搬送方向Yと直交する水平方向(X方向)に前記ロッド24を進出するようになっている。
また、28は、脚部であり、脚部28は進退動駆動部3の下部に設けられ、後述する移動位置決め機構6に対し脚部28を介して進退動駆動部3自身を移動自在とするようになっている。
【0010】
吸着盤4は前記発行機本体2の発行口23の待機位置Sに待機し、発行機本体2において発行されたラベルLを吸引・保持するようになっており、前記コンベア40を搬送される被貼付物41に同期をとって進退動駆動部3のロッド24を進出させたとき、被貼付物41に当接し吸引・保持したラベルLを貼付するようになっている。
【0011】
レール部5は、前記コンベア40とほぼ平行に配設され、コンベア40上の被貼付物41が搬送される搬送方向Yに前記進退動駆動部3を移動可能に支持しており、内部に、後述の移動位置決め機構6が形成されている。
なお、26は被貼付物検出センサであり、この被貼付物検出センサ26は、発行機本体2の上流側のコンベア40近辺に設けられ、コンベア40を搬送されてきた被貼付物41を検出し、被貼付物41の到着を発行機本体2に知らせるようになっている。
【0012】
次ぎに、図3に基づき、移動位置決め機構6を説明する。
移動位置決め機構6は、前記レール部5に内蔵して設けられており、図示省略の正逆回転自在な移動用のステッピングモータおよびベルトを介してスパイラルシャフト27が回動自在に接続され、このスパイラルシャフト27の溝部27aに前記進退動駆動部3の脚部28が嵌合している。そして、前記移動用のステッピングモータ(図示省略)の正回転(または逆回転)に従いスパイラルシャフト27に脚部27aを介して支持された前記進退動駆動部3は、被貼付物41の搬送速度に同期をとって搬送方向Yに向け前記待機位置Sより直線的に移動するようにされている。
また、搬送方向Yに向けて進退動駆動部3を移動せしめるスパイラルシャフト27は、被貼付物41に対するラベルLの貼付が終了すると、ステッピングモータ(図示省略)の回転を逆転するように制御されており、被貼付物41に追従して搬送方向Yに移動していた進退動駆動部3は、今度は待機位置Sに向けて復帰移動するようになっている。
なお、スパイラルシャフト27の待機位置Sの近傍には、リミットスイッチ29が設置され、かつ、このリミットスイッチ29より搬送方向Yの任意距離を隔てた下流側の先端部には同様にリミットスイッチ31が設置されている。
リミットスイッチ29は、進退動駆動部3を待機位置Sに位置決めするための「位置決めセンサ」であり、進退動駆動部3の脚部28を検出するとスパイラルシャフト27の回転を停止するようになっている。
また、リミットスイッチ31は、これ以上搬送方向Yの下流側に進退動駆動部3を移動しないよう制御するための「限界制御センサ」の役目を果たし、進退動駆動部3の脚部28を検出すると強制的に前記スパイラルシャフト27を逆回転するようにされている。
【0013】
次に、ラベル貼付装置1の動作状態を説明する。
主に、図1および図2に示すように,被貼付物41がコンベア40上を搬送されてくると、被貼付物検出センサ26により被貼付物41が検出され、同センサ26より被貼付物41の到着を知らせる信号が発行機本体2に発せられる。
発行機本体2では、当該被貼付物41に関する必要項目情報(図示省略)を印字して発行する。すなわち、モータ15を回転して媒体供給部7に装着されたラベル連続体43を下流の印字部8側へと繰り出し、印字ヘッド12にて必要項目情報(図示省略)を印字し、さらに、剥離ピン30にて台紙42のみが転向されてラベルLが発行口23より発行される。
発行口23には、進退動駆動部3のロッド24の先端に支持された吸着盤4が待機しており、発行された前記印字済のラベルLを吸引・保持する。
ラベルLが吸着盤4にて吸引・保持されると、レール部5に内蔵された移動位置決め機構6のスパイラルシャフト27が図示省略の移動用のステッピングモータを介して回転し、前記スパイラルシャフト27の溝部27aに脚部28の嵌合を介して移動自在に支持される進退動駆動部3を、前記コンベア40上を搬送方向Yに沿って搬送する被貼付物41の搬送速度と同期をとって移動させる。さらに、この被貼付物41の搬送方向Yへの搬送に同期をとって追従して進退動駆動部3のロッド24を水平方向Xに進出し、ラベルLを被貼付物41に貼り付ける。
被貼付物41へのラベルLの貼付が終了すると、移動用のステッピングモータ(図示省略)が反転し、スパイラルシャフト27を逆回転して、溝部27aに嵌合した脚部28を介して支持される進退動駆動部3を発行口23に待機させるべく搬送方向Yとは逆方向へ移動するとともに、ロッド24を後退させる。
復帰移動の進退動駆動部3は、リミットスイッチ31にて脚部28が検出されると、スパイラルシャフト27の回転が停止し、待機位置Sに位置決めされる。
【0014】
上述したように、被貼付物41がコンベア40上を搬送されてきたとことが検出され発行機本体2にてラベルLが発行されると、待機位置Sに待機する吸着盤4により前記発行されたラベルLを吸着・保持し、レール部5に内蔵された移動位置決め機構6のスパイラルシャフト27を回転して、搬送方向Yに沿って搬送される被貼付物41の搬送速度と同期をとって進退動駆動部3を移動するとともに、進退動駆動部3のロッド24を被貼付物41へ向けて進出して吸着盤4に吸引・保持されたラベルLを貼付するようにしたので、被貼付物41を停止することなくラベルLの貼付が実現でき、しかも、コンベア49とほぼ平行に配設されるレール部5に沿い、進退動駆動部3は移動位置決め機構6のスパイラルシャフト27の正逆回転により往復移動するため、移動距離が長く確保できるとともに、ラベルL貼付後の復帰が早いものである。
【0015】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0016】
例えば、上記実施の形態では、説明の都合上、移動位置決め機構6としてスパイラルシャフト27を回動させた例で説明したがこれに限定されないことは勿論であり、磁気を用いたスライド式のパルスモータの採用も可能である。
また、モータは「ステッピングモータ」で説明したがDCモータも含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のラベル貼付装置が、被貼付物を搬送する搬送手段の近傍に設けられた状態を示す斜視説明図である。
【図2】同、図1中、矢示II方向より見た発明機本体の詳細を示す側面図である。
【図3】同、図2中、矢示III方向より見た位置決め機構の詳細を示す側面図である。
【符号の説明】
【0018】
L ラベル
X 搬送方向Yと直交する水平方向(ロッド24の進退動方向)
Y 被貼付物41の搬送方向
S 待機位置
1 ラベル貼付装置
2 発行機本体
3 進退動駆動部
4 吸着盤
5 レール部
6 移動位置決め機構
7 媒体供給部
8 印字部
9 台紙巻取り部
10 位置検出センサ
11 制御部
12 印字ヘッド
13 プラテン
14 第1のベルト
15 ステッピングモータ(モータ)
16 補助ローラ
17 補助ローラ
18 第2のベルト
19 従動ローラ
20 従動ローラ
21 補助ローラ
22 補助ローラ
23 発行口
24 ロッド
26 被貼付物検出センサ
27 スパイラルシャフト
27a 溝部
28 脚部
29、31 リミットスイッチ
30 剥離ピン
40 搬送手段(コンベア)
41 被貼付物
42 台紙
43 ラベル連続体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により所定の搬送方向に搬送される被貼付物に対しラベルを貼付するラベル貼付装置において、
前記ラベルを発行する発行口を備えた発行機本体と、
前記発行機本体の発行口に待機し、前記発行機本体より発行された前記ラベルを吸着・保持する吸着盤と、
前記吸着盤を前記搬送方向に直交する方向に進退動自在に支持するとともに、進出時に前記吸着盤に吸着・保持された前記ラベルを搬送手段に沿って搬送される前記被貼付物に当接して貼付ける進退動駆動部と、
前記搬送手段とほほ平行に配設されるとともに、前記進退動駆動部を搬送方向に沿って移動自在に支持するレール部と、
前記レール部に沿って移動自在とされる前記進退動駆動部を、前記搬送手段により搬送方向に搬送される被貼付物の搬送速度と同期をとって移動させるとともに、前記進退動駆動部に支持された前記吸着盤に吸着・保持されたラベルを被貼付物に向け進出して前記ラベルを被貼付物に貼り付けたのち、前記進退動駆動部を前記ラベルが発行される前記発行機本体の発行口に復帰させるべく移動させる移動位置決め機構と、を備えたことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記移動位置決め機構は、スパイラルシャフト、および前記スパイラルシャフトを正・逆回転方向に回動自在なステッピングモータにより構成されることを特徴とする請求項1に記載のラベル貼付装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−306434(P2006−306434A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130893(P2005−130893)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】