説明

ラベル貼付装置

【課題】剥離紙送り機構を逆転させなくても、剥離紙に仮着された粘着ラベルの先端が所定の基準位置を通過してしまっている状況が発生した場合に、剥離紙から粘着ラベルを剥離させることなく、粘着ラベルの先端を基準位置に合せることが可能なラベル貼付装置を提供する。
【解決手段】複数の粘着ラベル2が仮着される剥離紙3から粘着ラベル2を剥離して被着媒体4に貼り付けるラベル貼付装置1は、剥離紙供給部8と剥離紙回収部9との間で剥離紙3を屈曲させて剥離紙3から粘着ラベル2を剥離するラベル剥離機構12を備えている。ラベル剥離機構12は、粘着ラベル2が剥離紙3から剥がれるように剥離紙3を屈曲させる屈曲位置と、粘着ラベル2が剥離紙3から剥がれないように剥離紙3の屈曲状態を緩和させる屈曲緩和位置との間で移動可能な可動部材31を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の粘着ラベルが仮着される帯状の剥離紙から粘着ラベルを剥離して被着媒体に貼り付けるラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハに接着シートを貼り付けるシート貼付装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のシート貼付装置では、剥離シート上に複数の接着シートが所定の間隔で仮着されており、接着シートが剥離される前の剥離シートは、支持軸に巻回され、接着シートが剥離された後の剥離シートは、巻取軸に巻回されている。また、剥離シートは、張力調整ローラとピンチローラとの間を通過して、ピールプレートで折り返された後に、繰出ローラとピンチローラとの間を通過して、巻取軸に巻き取られるように、支持軸と巻取軸との間に架け渡されている。
【0003】
特許文献1に記載のシート貼付装置では、ピールプレートの前端部で剥離シートを急激に折り返すことにより、剥離シートから接着シートが剥離される。また、このシート貼付装置では、剥離された接着シートが押付ローラによって半導体ウエハの表面に押し付けられることで、接着シートが半導体ウエハに貼り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−174247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体ウエハの所定位置に接着シートを貼り付けるためには、剥離シートに仮着された接着シートの先端を所定の基準位置に合せるとともに、半導体ウエハの先端を所定の基準に合せてから、剥離シートの送りと半導体ウエハの移動とを同期させて、半導体ウエハに接着シートを貼り付ける必要がある。
【0006】
ここで、特許文献1に記載のシート貼付装置では、ピールプレートの前端部で剥離シートを急激に折り返しているため、停電等の何らかの原因で、剥離シートに仮着された接着シートの先端が基準位置を通過してしまっている状況が発生した場合に、次の接着シートの先端を基準位置に合せようとして、巻取軸に向かって剥離シートを送ると、先端が基準位置を通過してしまった接着シートが剥離シートから剥がれてしまう。したがって、特許文献1に記載のシート貼付装置では、繰出ローラを逆転させ、支持軸に向かって剥離シートを送って、基準位置を通過してしまった接着シートの先端を基準位置まで戻す必要がある。すなわち、このシート貼付装置では、接着シートの先端が基準位置を通過してしまっている状況が発生した場合に、基準位置を通過してしまった接着シートの先端を基準位置まで戻すように、繰出ローラを逆転させなければならず、その結果、繰出ローラの駆動機構の構成が複雑になるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、複数の粘着ラベルが仮着された帯状の剥離紙を送る剥離紙送り機構を逆転させなくても、剥離紙に仮着された粘着ラベルの先端が所定の基準位置を通過してしまっている状況が発生した場合に、剥離紙から粘着ラベルを剥離させることなく、粘着ラベルの先端を基準位置に合せることが可能なラベル貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のラベル貼付装置は、複数の粘着ラベルが所定の間隔で仮着される帯状の剥離紙から粘着ラベルを剥離して被着媒体に貼り付けるラベル貼付装置であって、粘着ラベルが剥離される前の剥離紙が保持される剥離紙供給部と、粘着ラベルが剥離された後の剥離紙が保持される剥離紙回収部と、剥離紙供給部から剥離紙回収部へ剥離紙を送る剥離紙送り機構と、剥離紙供給部と剥離紙回収部との間で剥離紙を屈曲させて剥離紙から粘着ラベルを剥離するラベル剥離機構と、ラベル剥離機構で剥離された粘着ラベルを被着媒体に押し付けるラベル押付機構とを備え、ラベル剥離機構は、粘着ラベルが剥離紙から剥がれるように剥離紙を屈曲させる屈曲位置と、粘着ラベルが剥離紙から剥がれないように剥離紙の屈曲状態を緩和させる屈曲緩和位置との間で移動可能な可動部材を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のラベル貼付装置では、剥離紙を屈曲させて剥離紙から粘着ラベルを剥離するラベル剥離機構は、粘着ラベルが剥離紙から剥がれるように剥離紙を屈曲させる屈曲位置と、粘着ラベルが剥離紙から剥がれないように剥離紙の屈曲状態を緩和させる屈曲緩和位置との間で移動可能な可動部材を備えている。そのため、可動部材を屈曲緩和位置に移動させておけば、剥離紙送り機構によって、剥離紙から粘着ラベルを剥離させることなく剥離紙を剥離紙回収部へ向かって送ることが可能になる。
【0010】
したがって、停電等の何らかの原因によって、剥離紙に仮着された粘着ラベルの先端が所定の基準位置を通過してしまっている状況が発生した場合には、先端が基準位置を通過してしまった粘着ラベルを剥離させることなく、次の粘着ラベルの先端を基準位置まで送ることが可能になる。その結果、本発明では、剥離紙に仮着された粘着ラベルの先端が基準位置を通過してしまっている状況が発生した場合に、剥離紙送り機構によって剥離紙供給部へ剥離紙を戻さなくても(すなわち、剥離紙送り機構を逆転させなくても)、剥離紙から粘着ラベルを剥離させることなく、粘着ラベルの先端を基準位置に合せることが可能になる。
【0011】
本発明において、剥離紙の、粘着ラベルが仮着される側の面を表面とし、剥離紙の、表面の反対側の面を裏面とすると、たとえば、ラベル剥離機構は、剥離紙供給部から剥離紙回収部への剥離紙の通過経路に配置され可動部材が屈曲位置にあるときに剥離紙の表面に当接する固定軸を備え、屈曲位置にある可動部材は、剥離紙の裏面に当接し、屈曲位置にある可動部材と固定軸とによって剥離紙が屈曲されて、粘着ラベルが剥離紙から剥離される。
【0012】
また、この場合には、たとえば、ラベル貼付装置は、被着媒体が搬送される媒体搬送路を備え、屈曲位置に可動部材があるときに、可動部材の剥離紙に当接する部分は、固定軸よりも媒体搬送路に近づいており、屈曲緩和位置に可動部材があるときに、可動部材の剥離紙に当接する部分は、固定軸よりも媒体搬送路から離れている。
【0013】
本発明において、可動部材は、剥離紙の裏面に当接する軸部材と、軸部材を保持する軸保持部材とを備え、軸保持部材は、屈曲位置と屈曲緩和位置との間で回動可能となっており、かつ、軸保持部材は、可動部材が屈曲緩和位置から屈曲位置へ回動する際の固定軸との干渉を防止するように曲がった鉤型形状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、屈曲位置と屈曲緩和位置との間で可動部材が直線状に移動する場合と比較して、可動部材の設置スペースを狭めることが可能になる。したがって、ラベル貼付装置を小型化することが可能になる。
【0014】
本発明において、ラベル貼付装置は、剥離紙供給部および剥離紙回収部が取り付けられるラベルカートリッジと、ラベルカートリッジが着脱可能な本体部とを備え、本体部は、本体部の上面部分を構成する上フレーム部と、上フレーム部を回動可能に保持する下本体部とを備え、可動部材は、上フレーム部に移動可能に保持され、上フレーム部は、上フレーム部と下本体部との間にラベルカートリッジを挟んで固定する閉位置と、ラベルカートリッジの上側を開放して上方へのラベルカートリッジの取外しが可能となる開位置との間で、下本体部に対して回動可能となっていることが好ましい。
【0015】
このように構成すると、可動部材によって剥離紙を屈曲させて粘着ラベルを剥離紙から剥離することが可能であるにもかかわらず、下本体部に対して上フレーム部を開位置まで回動させれば、ラベルカートリッジを取り外し、また、取り付けることが可能になる。すなわち、可動部材によって剥離紙を屈曲させて粘着ラベルを剥離紙から剥離することが可能であるにもかかわらず、本体部からラベルカートリッジを容易に取り外すこと、および、本体部にラベルカートリッジを容易に取り付けることが可能になる。また、このように構成すると、下本体部の上方へラベルカートリッジを取り外すこと、および、下本体部の上方からラベルカートリッジを取り付けることが可能になるため、たとえば、ラベル貼付装置の周囲に密接するように他の装置が配置されている場合であっても、ラベルカートリッジを容易に取り外すこと、および、容易に取り付けることが可能になる。また、本体部からラベルカートリッジを取り外した状態で、剥離紙供給部および剥離紙回収部へ剥離紙をセットすることができるため、剥離紙のセットが容易になる。
【0016】
本発明において、粘着ラベルの粘着面の反対側の面を反粘着面とすると、ラベル押付機構は、たとえば、粘着ラベルの反粘着面に当接可能な押付ローラを備えるとともに、押付ローラが粘着ラベルの反粘着面に当接して粘着ラベルを被着媒体に押し付ける押付位置と押付ローラが粘着ラベルの反粘着面から離れる退避位置のとの間で押付ローラを移動させる押付ローラ移動機構を備えている。
【0017】
本発明において、ラベル貼付装置は、ラベル剥離機構によって剥離紙から剥離された粘着ラベルの先端を検出するためのラベル先端検出機構を備えることが好ましい。このように構成すると、剥離紙から剥離された粘着ラベルの先端を検出して、粘着ラベルの先端と被着媒体との位置合わせを行うことが可能になるため、被着媒体に対する粘着ラベルの貼付位置の精度を高めることが可能になる。また、このように構成すると、ラベル剥離機構によって粘着ラベルの先端側が剥離されたか否かを検出することができるため、粘着ラベルの貼付不良を未然に防止することが可能になる。
【0018】
本発明において、粘着ラベルの粘着面の反対側の面を反粘着面とすると、ラベル押付機構は、粘着ラベルの反粘着面に当接可能な押付ローラを備え、ラベル先端検出機構は、ラベル剥離機構によって剥離紙から剥離された粘着ラベルの先端側を挟むように配置される発光素子と受光素子とを備え、押付ローラには、発光素子から受光素子へ向かう光が通過する溝部が径方向の内側へ窪むように形成されていることが好ましい。このように構成すると、ラベル剥離機構によって剥離紙から剥離された粘着ラベルの先端側のより近い位置にラベル先端検出機構および押付ローラを配置することが可能になる。したがって、粘着ラベルの先端側の剥離紙からの剥離量が少なくても、ラベル先端検出機構によって、粘着ラベルの先端を適切に検出することが可能になるとともに、押付ローラによって、粘着ラベルの先端側を被着媒体に適切に押し付けることが可能になり、その結果、粘着ラベルの貼付不良を効果的に防止することが可能になる。また、全長の短い粘着ラベルでも被着媒体に適切に貼り付けることが可能になる。
【0019】
本発明において、ラベル貼付装置は、被着媒体に粘着ラベルが貼り付けられたことを検出するためのラベル貼付検出機構を備えることが好ましい。このように構成すると、粘着ラベルの貼付不良を適切に検出することが可能になる。
【0020】
本発明において、粘着ラベルの粘着面の反対側の面を反粘着面とすると、粘着ラベルの反粘着面には、バーコード状のバーコード模様が印刷され、ラベル貼付検出機構は、バーコード模様を検出する反射型の光学式センサであることが好ましい。このように構成すると、ラベル貼付検出機構から出力されるオンオフ信号を検出することで、粘着ラベルが折れ曲がったりせずに被着媒体に適切に貼り付けられているか否かを検出することが可能になる。また、このように構成すると、被着媒体の地色が何色であっても、粘着ラベルの貼付不良を適切に検出することが可能になる。
【0021】
本発明において、剥離紙供給部は、剥離紙が巻回される供給側巻芯と、供給側巻芯と一体で回転する供給側回転軸および供給側摩擦部材と、供給側回転軸に対して回転可能でかつ供給側回転軸に保持される回転部材と、供給側摩擦部材を回転部材に向かって付勢する供給側摩擦付勢部材と、剥離紙供給部から剥離紙回収部へ剥離紙を送る際の供給側巻芯の回転方向である供給回転方向の反対方向となる反供給回転方向へ回転部材を付勢する回転付勢部材とを備え、供給側摩擦部材は、剥離紙供給部から剥離紙回収部へ剥離紙を送る際に供給側巻芯とともに回転部材が供給回転方向へ所定の角度回転するように、供給側摩擦付勢部材によって回転部材に向かって付勢されていることが好ましい。
【0022】
すなわち、少なくとも所定の角度範囲では、供給側摩擦付勢部材の付勢力に基づく供給側摩擦部材と回転部材との間の摩擦力が、回転付勢部材の付勢力に基づく供給側摩擦部材と回転部材との間の滑り力よりも大きくなっていることが好ましい。このように構成すると、所定の角度範囲では、供給側巻芯とともに回転部材が供給回転方向へ回転することで、回転付勢部材に蓄えられる反供給回転方向への付勢力が、供給側摩擦部材を介して供給側巻芯に伝達される。したがって、ラベル貼付機構に剥離紙の張力を与えるための構成を別途設けなくても、剥離紙に張力を与えることが可能となり、その結果、ラベル貼付機構の構成を簡素化しつつ、剥離紙から粘着ラベルを適切に剥離することが可能になる。
【0023】
なお、このように構成した場合には、剥離紙に仮着された粘着ラベルの先端が所定の基準位置を通過してしまっている状況が発生したときに粘着ラベルの先端を基準位置に合せるために、供給側巻芯が逆転可能となるように構成されていると、供給側巻芯を逆転させるための機構が複雑になるが、本発明では、剥離紙に仮着された粘着ラベルの先端が所定の基準位置を通過してしまっている状況が発生したときに、供給側巻芯を逆転させなくても、剥離紙から粘着ラベルを剥離させることなく、粘着ラベルの先端を基準位置に合せることが可能になるため、このような複雑な機構が不要になる。
【0024】
本発明において、剥離紙送り機構は、剥離紙回収部に向かって剥離紙を搬送する剥離紙搬送ローラと、少なくとも剥離紙搬送ローラを駆動する搬送ローラ駆動機構とを備え、剥離紙回収部は、剥離紙が巻き取られる巻取側巻芯と、巻取側巻芯と一体で回転する巻取側回転軸および巻取側摩擦部材と、巻取側回転軸に対して回転可能でかつ巻取側回転軸に保持されるとともに搬送ローラ駆動機構に連結され搬送ローラ駆動機構の動力を巻取側巻芯に伝達する伝達部材と、巻取側摩擦部材を伝達部材に向かって付勢する巻取側摩擦付勢部材とを備え、剥離紙搬送ローラと巻取側巻芯とは、剥離紙搬送ローラの周速度よりも巻取側巻芯の周速度が速くなるように駆動され、巻取側摩擦部材は、剥離紙搬送ローラと巻取側巻芯との間における剥離紙の張力が所定の大きさ未満であるときには、伝達部材と一体で巻取側巻芯が回転し、剥離紙搬送ローラと巻取側巻芯との間における剥離紙の張力が所定の大きさ以上であるときには、伝達部材と巻取側摩擦部材との間で滑りが生じるように、巻取側摩擦付勢部材によって伝達部材に向かって付勢されていることが好ましい。
【0025】
このように構成すると、剥離紙回収部において、剥離紙に過剰な張力を発生させることなく、かつ、剥離紙をたるませることなく剥離紙を巻き取ることが可能になる。なお、このように構成した場合には、剥離紙に仮着された粘着ラベルの先端が所定の基準位置を通過してしまっている状況が発生したときに粘着ラベルの先端を基準位置に合せるために、巻取側巻芯が逆転可能となるように構成されていると、巻取側巻芯を逆転させるための機構が複雑になるが、本発明では、剥離紙に仮着された粘着ラベルの先端が所定の基準位置を通過してしまっている状況が発生したときに、巻取側巻芯を逆転させなくても、剥離紙から粘着ラベルを剥離させることなく、粘着ラベルの先端を基準位置に合せることが可能になるため、このような複雑な機構が不要になる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明のラベル貼付装置では、剥離紙に仮着された粘着ラベルの先端が所定の基準位置を通過してしまっている状況が発生した場合に、剥離紙送り機構を逆転させなくても、剥離紙から粘着ラベルを剥離させることなく、粘着ラベルの先端を基準位置に合せることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態にかかるラベル貼付装置の斜視図である。
【図2】図1に示すラベル貼付装置の、上フレーム部を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示すラベル貼付装置の、ラベルカートリッジを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示すラベル貼付装置の内部の概略構成を説明するための側面図である。
【図5】図1に示すラベル貼付装置で使用される剥離紙に粘着ラベルが仮着された状態の平面図である。
【図6】図4に示す可動部材および可動部材の駆動機構の概略構成を説明するための側面図である。
【図7】図4に示す可動部材および固定軸の斜視図である。
【図8】図4のE部の拡大図である。
【図9】図3のF部を別の角度から示す拡大斜視図である。
【図10】図1に示すラベルカートリッジの斜視図である。
【図11】図10に示すラベルカートリッジの構成を説明するための側面図である。
【図12】図10に示す剥離紙回収部の構成を説明するための平面図である。
【図13】図10に示す剥離紙供給部の構成を説明するための平面図である。
【図14】図1に示すラベル貼付装置での粘着ラベルの貼付動作を説明するための図であり、(A)は粘着ラベルの貼付動作の開始前の状態を示す図、(B)は剥離紙から粘着ラベルの先端側が剥離された状態を示す図、(C)は押付ローラによって粘着ラベルをカードに押し付けている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
(ラベル貼付装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるラベル貼付装置1の斜視図である。図2は、図1に示すラベル貼付装置1の、上フレーム部17を開いた状態を示す斜視図である。図3は、図1に示すラベル貼付装置1の、ラベルカートリッジ7を取り外した状態を示す斜視図である。図4は、図1に示すラベル貼付装置1の内部の概略構成を説明するための側面図である。図5は、図1に示すラベル貼付装置1で使用される剥離紙3に粘着ラベル2が仮着された状態の平面図である。
【0030】
以下の説明では、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を「前後方向」、Y方向を「左右方向」、Z方向を「上下方向」とする。また、図1のX1方向側を「手前」側、X2方向側を「奥」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。さらに、図4における時計回りの回転方向を「時計方向」、反時計回りの回転方向を「反時計方向」とする。なお、前後方向は、ラベル貼付装置1内でのカード4の搬送方向であり、左右方向は、ラベル貼付装置1内でのカード4の幅方向であり、上下方向は、ラベル貼付装置1内でのカード4の厚み方向である。
【0031】
本形態のラベル貼付装置1は、複数の粘着ラベル2が一定の間隔で仮着される帯状の剥離紙3(図5参照)から粘着ラベル2を剥離して被着媒体であるカード4に貼り付けるための装置である。このラベル貼付装置1は、図1〜図3に示すように、本体部6と、本体部6に対して着脱可能なラベルカートリッジ7とによって構成されている。ラベルカートリッジ7は、粘着ラベル2が剥離される前の剥離紙3が巻回されて保持される剥離紙供給部8と、粘着ラベル2が剥離された後の剥離紙3が巻回されて保持される剥離紙回収部9とを備えている。
【0032】
また、ラベル貼付装置1は、装置内でカード4を搬送するためのカード搬送機構11と、剥離紙供給部8と剥離紙回収部9との間で剥離紙3を屈曲させて剥離紙3から粘着ラベル2を剥離させるラベル剥離機構12と、ラベル剥離機構12で剥離された粘着ラベル2をカード4に押し付けるラベル押付機構13と、剥離紙供給部8から剥離紙回収部9へ剥離紙3を送る剥離紙送り機構14とを備えている。ラベル貼付装置1の内部には、カード4が搬送される媒体搬送路としてのカード搬送路15が形成されている。
【0033】
粘着ラベル2は、光を透過しない遮光性の材料で形成されるとともに、略矩形状に形成されている。粘着ラベル2の粘着面(図5における粘着ラベル2の裏面)は、その粘着性能を維持するため、剥離紙3に仮着されている。本形態では、図5に示すように、粘着ラベル2の粘着面の反対側の面となる反粘着面(図5における粘着ラベル2の表面)は、黒色となっている。また、本形態では、粘着ラベル2の反粘着面に、バーコード状のバーコード模様2aが印刷されている。バーコード模様2aは、たとえば、幅が一定の白色のバーと黒色のバーとが交互に配列されることで形成されている。白色のバーと黒色のバーとは、剥離紙3の長手方向に配列されている。
【0034】
剥離紙3は、光を透過する透光性の材料で形成されている。剥離紙3の一方の面には、粘着ラベル2が仮着されている。本形態では、剥離紙3の、粘着ラベル2が仮着されている側の面が剥離紙3の表面であり、剥離紙3の、粘着ラベル2が仮着されていない面が剥離紙3の裏面である。
【0035】
カード4は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の塩化ビニール製のカードである。カード4には、所定の文字情報が印刷されている。本形態では、ラベル貼付装置1内で粘着ラベル2がカード4に貼り付けられると、この文字情報が粘着ラベル2によって覆われる。粘着ラベル2は、バーコード模様2aを構成する白色のバーと黒色のバーとの配列方向とカード4の長手方向とが略一致するように、カード4に貼り付けられる。また、カード4には、たとえば、磁気情報が記録される磁気ストライプが形成されている。なお、カード4には、IC接点が固定されても良いし、通信用のアンテナが内蔵されても良い。また、カード4は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードでも良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0036】
本体部6は、本体部6の上面部分を構成する上フレーム部17と、上フレーム部17以外の本体部6の主要部分を構成する下本体部18とによって構成されている。上フレーム部17の奥側端には、軸19(図3参照)が取り付けられており、上フレーム部17は、軸19を中心にして下本体部18に対して回動可能となるように、下本体部18に保持されている。
【0037】
本形態では、下本体部18にラベルカートリッジ7が載置された状態(図2に示す状態)で、上フレーム部17が軸19を中心にして時計方向へ回動すると、上フレーム部17の手前側端に配置されたロック機構によって上フレーム部17が下本体部18にロックされて、図1に示すように、ラベルカートリッジ7が上フレーム部17と下本体部18とに挟まれた状態で、ラベルカートリッジ7が本体部6に固定される。また、上フレーム部17が図1に示す状態から反時計方向へ回動すると、図2に示すように、ラベルカートリッジ7の上側が開放され、図3に示すように、下本体部18に載置されたラベルカートリッジ7を上方へ取り出すことが可能になる。すなわち、本形態では、上フレーム部17は、上フレーム部17と下本体部18との間にラベルカートリッジ7を挟んで固定する閉位置17A(図1参照)と、ラベルカートリッジ7の上側を開放して上方へのラベルカートリッジ7の取外しが可能となる開位置17B(図2、図3参照)との間で、下本体部18に対して回動可能となっている。
【0038】
カード搬送路15は、ラベル貼付装置1の前後方向に直線状に、かつ、前後方向でラベル貼付装置1を貫通するように形成されている。また、カード搬送路15は、下本体部18の内部に形成されている。本形態では、手前側から奥側に向かってカード4が搬送される。
【0039】
カード搬送機構11は、複数の駆動ローラ20〜23と、駆動ローラ20〜23を駆動するためのモータ24と、モータ24の動力を駆動ローラ20〜23へ伝達する動力伝達機構25とを備えている。駆動ローラ20〜23は、カード搬送路15の下側に所定の間隔で配置されている。また、駆動ローラ20〜23は、手前側から奥側に向かってこの順番で配置されている。駆動ローラ20、22、23の上側には、駆動ローラ20、22、23に向かって付勢されるパッドローラ26が配置されている。モータ24は、たとえば、ステッピングモータである。動力伝達機構25は、複数のプーリやタイミングベルト等によって構成されている。
【0040】
カード搬送路15には、カード4を検出するための複数のカード検出機構27が配置されている。具体的には、カード搬送路15の手前端、奥端、駆動ローラ20の奥側および駆動ローラ22の奥側に、4個のカード検出機構27が配置されている。カード検出機構27は、発光素子と受光素子とを備える光学式のセンサである。
【0041】
(ラベル剥離機構の構成)
図6は、図4に示す可動部材31および可動部材31の駆動機構32の概略構成を説明するための側面図である。図7は、図4に示す可動部材31および固定軸30の斜視図である。図8は、図4のE部の拡大図である。図9は、図3のF部を別の角度から示す拡大斜視図である。
【0042】
ラベル剥離機構12は、下本体部18に固定される固定軸30と、上フレーム部17に回動可能に保持される可動部材31と、可動部材31を回動させる駆動機構32とを備えている。固定軸30および可動部材31は、前後方向において、剥離紙供給部8と剥離紙回収部9との間に配置されている。また、固定軸30および可動部材31は、剥離紙供給部8および剥離紙回収部9よりも下側に、かつ、カード搬送路15よりも上側に配置されている。また、ラベル剥離機構12は、可動部材31の位置を検出するための2個の可動部材検出機構33、34を備えている(図6参照)。可動部材検出機構33、34は、発光素子と受光素子とを備える光学式のセンサである。
【0043】
固定軸30は、細長い略円柱状に形成されており、左右方向を軸方向として、下本体部18に固定されている。この固定軸30は、図4に示すように、駆動ローラ21の手前上方に配置されている。また、固定軸30は、剥離紙供給部8から剥離紙回収部9への剥離紙3の通過経路に配置されている。固定軸30の両端側のそれぞれには、図7に示すように、他の部分よりも外径が小さくなった小径部30aが形成されている。
【0044】
可動部材31は、剥離紙3に当接する細長い円柱状の軸部材35と、軸部材35の両端側のそれぞれを保持する2個の軸保持部材36と、2枚の軸保持部材36を繋ぐとともに軸保持部材36へ駆動機構32の動力を伝達する伝達軸部材37とを備えている。この可動部材31は、粘着ラベル2が剥離紙3から剥がれるように剥離紙3を屈曲させる屈曲位置31A(図8の実線で示す位置)と、粘着ラベル2が剥離紙3から剥がれないように剥離紙3の屈曲状態を緩和させる屈曲緩和位置31B(図8の二点鎖線で示す位置)との間で、伝達軸部材37を中心に回動可能となっている。
【0045】
軸部材35は、左右方向を軸方向として配置されている。軸部材35の径は、固定軸30の径よりも小さくなっている。また、伝達軸部材37は、左右方向を軸方向として固定軸30の上方に配置されている。
【0046】
軸保持部材36は、平板状に形成されている。この軸保持部材36は、可動部材31が屈曲緩和位置31Bから屈曲位置31Aへ回動する際の固定軸30との干渉を防止するように曲がった鉤型形状に形成されている。具体的には、軸保持部材36は、図7に示すように、軸部材35が固定される第1固定部36aと、伝達軸部材37が固定される第2固定部36bと、第1固定部36aと第2固定部36bとを繋ぐ略半円弧状の曲面部36cとによって構成される鉤型形状に形成されている。軸保持部材36は、左右方向において、小径部30aが形成された位置に対応するように配置されており、可動部材31が屈曲位置31Aにあるときには、曲面部36cの内側面が小径部30aの外周面と所定の隙間を介して対向する。
【0047】
2個の軸保持部材36の少なくとも一方の第2固定部36bには、可動部材検出機構33、34の発光素子と受光素子との間を遮るための遮光部36d、36eが形成されている。本形態では、遮光部36dによって、可動部材検出機構33の発光素子と受光素子との間が遮られると、可動部材31が屈曲位置31Aにあることが検出され、遮光部36eによって、可動部材検出機構34の発光素子と受光素子との間が遮られると、可動部材31が屈曲緩和位置31Bにあることが検出される。
【0048】
駆動機構32は、上フレーム部17に取り付けられている。この駆動機構32は、図6に示すように、駆動用のモータ38と、モータ38の回転軸に固定される歯車39と、モータ38の動力を減速して可動部材31に伝達する歯車列40とを備えている。モータ38は、たとえば、ステッピングモータである。歯車列40の最終段歯車41は、伝達軸部材37に固定されている。
【0049】
ラベル剥離機構12では、モータ38が駆動すると、屈曲位置31Aと屈曲緩和位置31Bとの間を可動部材31が伝達軸部材37を中心に回動する。可動部材31が屈曲位置31Aにあるときには、剥離紙3の表面(粘着ラベル2が仮着された面)に固定軸30が当接し、剥離紙3の裏面に軸部材35が当接している。また、可動部材31が屈曲位置31Aにあるときには、軸部材35は、固定軸30の下方であって、かつ、カード搬送路15の上側に配置されており、可動部材31の軸部材35と固定軸30とによって、剥離紙3が折り返されるように屈曲されている。そのため、可動部材31が屈曲位置31Aにあるときに、剥離紙供給部8から剥離紙回収部9へ剥離紙3が送られると、剥離紙3から粘着ラベル2が剥離される。
【0050】
一方、可動部材31が屈曲緩和位置31Bにあるときには、固定軸30は、剥離紙3の表面から離れている。また、可動部材31が屈曲緩和位置31Bにあるときには、軸部材35は、固定軸30の手前上方に配置されており、剥離紙3の屈曲状態が緩和されている。そのため、可動部材31が屈曲緩和位置31Bにあるときに、剥離紙供給部8から剥離紙回収部9へ剥離紙3が送られても、剥離紙3から粘着ラベル2が剥離されない。
【0051】
(ラベル押付機構の構成)
ラベル押付機構13は、粘着ラベル2の反粘着面に当接可能な押付ローラ43と、押付ローラ43を回転可能に保持するローラ保持部材44と、ローラ保持部材44を回動可能に支持する固定軸45と、固定軸45を中心にローラ保持部材44を回動させるための駆動源となるソレノイド46(図1等参照)とを備えている。
【0052】
押付ローラ43は、駆動ローラ21の上側に配置されている。押付ローラ43には、後述のラベル先端検出機構54を構成する発光素子から受光素子へ向かう光が通過する溝部43aが径方向の内側へ窪むように形成されている(図9参照)。溝部43aは、押付ローラ43の軸方向における略中心位置に形成されている。固定軸45は、左右方向を軸方向として下本体部18に固定されている。また、固定軸45は、前後方向において、駆動ローラ21と駆動ローラ22との間に配置されるとともに、カード搬送路15の上側に配置されている。ソレノイド46は、所定のリンク機構を介してローラ保持部材44に連結されている。
【0053】
ソレノイド46が通電されていない状態では、ローラ保持部材44は、固定軸45を中心に反時計方向へ回動しており、押付ローラ43は、駆動ローラ21から離れている。一方、ソレノイド46が通電状態になると、ローラ保持部材44が時計方向へ回動して、押付ローラ43が駆動ローラ21へ近づく。本形態では、駆動ローラ21と押付ローラ43との間に、剥離紙3から剥離された粘着ラベル2の先端側が配置されたときに、ローラ保持部材44が時計方向へ回動して、押付ローラ43が粘着ラベル2の反粘着面に当接し、粘着ラベル2をカード4に押し付ける。また、この状態で、カード4が奥側へ搬送されるとともに、剥離紙供給部8から剥離紙回収部9に向かって剥離紙3が送られると、カード4に粘着ラベル2が貼り付けられる。
【0054】
なお、本形態では、ソレノイド46が通電されていないときの押付ローラ43の位置は、押付ローラ43が粘着ラベル2の反粘着面から離れる退避位置43A(図8の実線で示す位置)であり、ソレノイド46が通電されているときの押付ローラ43の位置は、押付ローラ43が粘着ラベル2の反粘着面に当接して粘着ラベル2をカード4に押し付ける押付位置43B(図8の二点鎖線で示す位置)である。また、本形態では、ソレノイド46およびリンク機構等によって、退避位置43Aと押付位置43Bとの間で押付ローラ43を移動させる押付ローラ移動機構が構成されている。
【0055】
(剥離紙送り機構の構成)
剥離紙送り機構14は、剥離紙3の裏面に当接して剥離紙3を搬送する剥離紙搬送ローラ47と、剥離紙搬送ローラ47を駆動する搬送ローラ駆動機構48(図1等参照)とを備えている。剥離紙搬送ローラ47は、カード搬送路15の上方に配置されるとともに、剥離紙回収部9よりも奥側でかつ固定軸30よりも手前側に配置されている。また、剥離紙搬送ローラ47は、上フレーム部17に回転可能に支持されている。剥離紙搬送ローラ47には、剥離紙搬送ローラ47に向かって付勢されるパッドローラ49が対向配置されている。パッドローラ49は、下本体部18に回転可能に支持されている。
【0056】
搬送ローラ駆動機構48は、駆動用のモータ50と、モータ50の動力を剥離紙搬送ローラ47へ伝達する動力伝達機構51とを備えている(図1等参照)。動力伝達機構51は、プーリ、タイミングベルトおよび歯車等によって構成されており、動力伝達機構51を介して剥離紙搬送ローラ47がモータ50に連結されている。また、本形態では、後述のように、動力伝達機構51を介してモータ50に剥離紙回収部9が連結されており、剥離紙回収部9を構成する後述の巻取側巻芯65は、モータ50の動力で剥離紙搬送ローラ47とともに回転する。すなわち、本形態の巻取側巻芯65は、剥離紙送り機構14の一部を構成している。
【0057】
(ラベル位置検出機構、ラベル先端検出機構およびラベル貼付検出機構の構成)
ラベル貼付装置1は、図4に示すように、剥離紙3に仮着された粘着ラベル2の先端を検出するためのラベル位置検出機構53と、ラベル剥離機構12によって剥離紙3から剥離された粘着ラベル2の先端を検出するためのラベル先端検出機構54と、カード4に粘着ラベル2が貼り付けられたことを検出するためのラベル貼付検出機構55とを備えている。
【0058】
ラベル位置検出機構53は、発光素子を有する発光部56と受光素子を有する受光部57とを備える透過型の光学式センサである。発光部56と受光部57とは、剥離紙供給部8と可動部材31との間にある剥離紙3を挟むように対向配置されている。すなわち、ラベル位置検出機構53は、剥離紙供給部8と可動部材31との間で剥離紙3に仮着された粘着ラベル2の先端を検出するように配置されている。また、上述のように、剥離紙3は、透光性の材料で形成され、粘着ラベル2は、遮光性の材料で形成されているため、発光部56から受光部57へ向かう光が粘着ラベル2によって遮られることで、粘着ラベル2の先端が検出される。
【0059】
本形態では、ラベル位置検出機構53を利用して剥離紙3に仮着された粘着ラベル2の頭出しが行われる。具体的には、ラベル位置検出機構53によって粘着ラベル2の先端が検出されると、先端が検出された粘着ラベル2の1つ前の粘着ラベル2の先端が所定の基準位置に到達したことが検出され、剥離紙送り機構14による剥離紙3の送りが停止されて、剥離紙3に仮着された粘着ラベル2の頭出しが行われる。
【0060】
ラベル先端検出機構54は、発光素子を有する発光部58と受光素子を有する受光部59とを備える透過型の光学式センサである。発光部58と受光部59とは、剥離紙3から剥離されて、退避位置43Aにある押付ローラ43と駆動ローラ21との間にある粘着ラベル2を挟むように対向配置されている。すなわち、ラベル先端検出機構54を構成する発光素子と受光素子とは、ラベル剥離機構12によって剥離紙3から剥離された粘着ラベル2の先端側を挟むように配置されている。また、発光部58および受光部59は、発光部58から受光部59へ向かう光が退避位置43Aにある押付ローラ43の溝部43aを通過するように配置されている。すなわち、発光部58および受光部59は、その光軸L(図8、図9参照)が押付ローラ43の溝部43aを通過するように配置されている。上述のように、粘着ラベル2は、遮光性の材料で形成されているため、発光部56から受光部57へ向かう光が粘着ラベル2によって遮られることで、粘着ラベル2の先端が検出される。
【0061】
本形態では、ラベル先端検出機構54によって粘着ラベル2の先端が検出されることで、カード4に貼り付けられる粘着ラベル2の位置合わせが完了する。また、ラベル先端検出機構54によって粘着ラベル2の先端が検出されることで、押付ローラ43によるカード4への粘着ラベル2の押付が可能になったことが検出される。
【0062】
ラベル貼付検出機構55は、発光素子と受光素子とを有する反射型の光学式センサである。このラベル貼付検出機構55は、前後方向において、駆動ローラ22と駆動ローラ23との間に配置されるとともに、カード搬送路15の上側に配置されている。また、ラベル貼付検出機構55は、左右方向において、カード4に貼り付けられた粘着ラベル2のバーコード模様2aに対応する位置に配置されている。本形態では、ラベル貼付検出機構55がバーコード模様2aを検出することで、カード4に粘着ラベル2が貼り付けられたことが検出される。
【0063】
(ラベルカートリッジの構成)
図10は、図1に示すラベルカートリッジ7の斜視図である。図11は、図10に示すラベルカートリッジ7の構成を説明するための側面図である。図12は、図10に示す剥離紙回収部9の構成を説明するための平面図である。図13は、図10に示す剥離紙供給部8の構成を説明するための平面図である。
【0064】
ラベルカートリッジ7には、上述のように、剥離紙供給部8と剥離紙回収部9とが取り付けられている。本形態では、剥離紙供給部8が奥側に配置され、剥離紙回収部9が手前側に配置されている。また、ラベルカートリッジ7は、所定の間隔をあけた状態で平行に対向配置される2枚のカートリッジフレーム62、63と、2枚のカートリッジフレーム62、63を連結する複数の連結軸64とを備えている。カートリッジフレーム62は、ラベルカートリッジ7の左側面を構成し、カートリッジフレーム63は、ラベルカートリッジ7の右側面を構成している。
【0065】
剥離紙回収部9は、図12に示すように、剥離紙3が巻き取られる円筒状の巻取側巻芯65と、巻取側巻芯65の右端に取り付けられる取付板66と、巻取側巻芯65の左端に取り付けられる取付板67とを備えている。取付板66は、カートリッジフレーム63に固定される固定軸68に回転可能に支持されている。一方、取付板67には、カートリッジフレーム62に回転可能に支持される巻取側回転軸69が取り付けられており、巻取側回転軸69は、巻取側巻芯65および取付板66、67と一体で回転する。
【0066】
巻取側回転軸69の左端側は、搬送ローラ駆動機構48に連結される伝達部材としての歯車70に挿通されており、歯車70は、巻取側回転軸69に回転可能に保持されている。取付板67と歯車70との間には、保持部材71が配置されている。保持部材71の右端面には、巻取側巻芯65の回転方向において、取付板67と係合する係合部が形成されており、保持部材71は、巻取側巻芯65および取付板67等と一体で回転する。また、保持部材71の左端面には、フェルト等の比較的摩擦係数の大きな材料で形成された巻取側摩擦部材72が固定されている。巻取側摩擦部材72の左端面は、歯車70の右端面と当接している。
【0067】
取付板66とカートリッジフレーム63との間には、取付板66を左方向へ付勢する巻取側摩擦付勢部材としての圧縮コイルバネ73が配置されている。圧縮コイルバネ73は、巻取側巻芯65、取付板66、67および保持部材71を介して、巻取側摩擦部材72を歯車70に向かって付勢している。
【0068】
上述のように、歯車70は、搬送ローラ駆動機構48に連結されており、モータ50の動力は、動力伝達機構51を介して歯車70に伝達される。また、圧縮コイルバネ73で付勢された巻取側摩擦部材72と歯車70との間の摩擦力によって、歯車70に伝達された動力は、巻取側摩擦部材72が固定される保持部材71および取付板67を介して、巻取側巻芯65まで伝達される。また、モータ50の動力が伝達された巻取側巻芯65は、反時計方向へ回転して、剥離紙3を巻き取る。
【0069】
本形態では、剥離紙搬送ローラ47と巻取側巻芯65とは、剥離紙搬送ローラ47の周速度よりも巻取側巻芯65の周速度が速くなるように駆動されている。すなわち、剥離紙搬送ローラ47の外径、巻取側巻芯65の外径および搬送ローラ駆動機構48の減速比等は、剥離紙搬送ローラ47の周速度よりも巻取側巻芯65の周速度が速くなるように設定されている。
【0070】
また、本形態では、圧縮コイルバネ73の付勢力および歯車70と巻取側摩擦部材72と間の摩擦係数等は、剥離紙搬送ローラ47と巻取側巻芯65との間における剥離紙3の張力が所定の大きさ未満であるときには、歯車70と巻取側摩擦部材72とが摩擦係合して、歯車70と巻取側巻芯65とが一体で回転し、剥離紙搬送ローラ47と巻取側巻芯65との間における剥離紙3の張力が所定の大きさ以上であるときには、歯車70と巻取側摩擦部材72との間で滑りが生じるように、設定されている。
【0071】
剥離紙供給部8は、図13に示すように、供給される剥離紙3が巻回される円筒状の供給側巻芯76と、供給側巻芯76の右端に取り付けられる取付板77と、供給側巻芯76の左端に取り付けられる取付部材78とを備えている。取付板77は、カートリッジフレーム63に固定される固定軸79に回転可能に支持されている。一方、取付部材78には、カートリッジフレーム62に回転可能に支持される供給側回転軸80が取り付けられており、供給側回転軸80は、供給側巻芯76、取付板77および取付部材78と一体で回転する。
【0072】
供給側回転軸80の左端側は、回転部材81に挿通されており、回転部材81は、供給側回転軸80に回転可能に保持されている。回転部材81には、回転部材81を付勢する回転付勢部材としての引張りコイルバネ82の一端が取り付けられている。引張りコイルバネ82の他端は、カートリッジフレーム62に固定される固定ピン83に取り付けられている。本形態の引張りコイルバネ82は、剥離紙3の供給時における供給側巻芯76の回転方向である供給回転方向(反時計方向)と反対の反供給回転方向(時計方向)へ回転部材81を付勢している。
【0073】
回転部材81とカートリッジフレーム62との間には、回転部材81の回転範囲を規制する回転規制機構(図示省略)が設けられている。回転規制機構は、たとえば、回転部材81に形成される略円弧形状の溝と、カートリッジフレーム62に固定されるとともにこの溝に係合する係合ピンとによって構成されている。
【0074】
取付部材78と回転部材81との間には、保持部材84が配置されている。保持部材84の右端面には、供給側巻芯76の回転方向において、取付部材78と係合する係合部が形成されており、保持部材84は、供給側巻芯76および取付部材78等と一体で回転する。また、保持部材84の左端面には、フェルト等の比較的摩擦係数の大きな材料で形成された供給側摩擦部材85が固定されている。供給側摩擦部材85の左端面は、回転部材81の右端面と当接している。また、取付部材78には、円周方向に一定の間隔で複数のスリット孔86a(図11参照)が形成されたスリット板86が固定または一体で形成されている。本形態では、スリット板86を利用して、供給側巻芯76に巻回される剥離紙3の残量が少なくなってきたことを検出する。
【0075】
取付板77とカートリッジフレーム63との間には、取付板77を左方向へ付勢する供給側摩擦付勢部材としての圧縮コイルバネ87が配置されている。圧縮コイルバネ87は、供給側巻芯76、取付板77、取付部材78および保持部材84を介して、供給側摩擦部材85を回転部材81に向かって付勢している。
【0076】
本形態では、剥離紙3の供給時に、供給側巻芯76が、巻取側巻芯65および剥離紙搬送ローラ47による剥離紙3の送り動作に伴って反時計方向へ回転する。すなわち、本形態では、剥離紙3の送り動作に伴って、供給側巻芯76が従動的に回転して、剥離紙3が供給される。
【0077】
また、本形態では、以下のような動作を行うように、圧縮コイルバネ87の付勢力、回転部材81と供給側摩擦部材85との間の摩擦係数および引張りコイルバネ82の付勢力等が設定されている。
【0078】
下本体部18にラベルカートリッジ7を載置した状態で、上フレーム部17を時計方向に回動させて上フレーム部17を閉めると、可動部材31等によって、剥離紙3が引き出されて、供給側巻芯76が反時計方向へ回転する。供給側巻芯76の回転力は、取付部材78、保持部材84および供給側摩擦部材85を介して回転部材81に伝達されるため、回転部材81は、供給側巻芯76とともに反時計方向へ回転して、回転後の位置で停止する。なお、回転部材81が反時計方向へ回転すると、回転部材81には、引張りコイルバネ82による時計方向の付勢力が働くが、回転部材81は時計方向へ戻されることなく、回転後の位置で停止する。
【0079】
この状態で、巻取側巻芯65および剥離紙搬送ローラ47によって剥離紙3が送られると、剥離紙3の送り動作に伴って、供給側巻芯76が反時計方向へ回転を始める。供給側巻芯76が反時計方向へ回転を始めると、供給側巻芯76の回転力が、取付部材78、保持部材84および供給側摩擦部材85を介して回転部材81に伝達され、回転規制機構による反時計方向の回転規制位置まで回転部材81は回転する。反時計方向の回転規制位置まで回転部材81が回転すると、その後、剥離紙3の送り動作に伴って、供給側巻芯76が反時計方向へ回転しても、供給側摩擦部材85と回転部材81との間で滑りが生じて、回転部材81は回転しない。
【0080】
反時計方向の回転規制位置まで回転部材81が回転した状態では、引張りコイルバネ82による時計方向への付勢力が回転部材81に働くが、本形態では、反時計方向の回転規制位置まで回転部材81が回転すると、その状態で回転部材81は停止する。すなわち、本形態では、反時計方向の回転規制位置まで回転部材81が一旦回転すると、本体部6からラベルカートリッジ7が取り外されるまで、回転部材81が停止する。
【0081】
一方、所定のメンテナンス時等において、本体部6からラベルカートリッジ7が取り外されると、引張りコイルバネ82による時計方向の付勢力が回転部材81に働いているため、回転部材81が時計方向へ回転する。このとき、引張りコイルバネ82の付勢力によって回転部材81に生じる回転力は、圧縮コイルバネ87によって付勢された供給側摩擦部材85と回転部材81との摩擦力によって、供給側摩擦部材85、保持部材84および取付部材78を介して、供給側巻芯76まで伝達されて、ラベルカートリッジ7で生じうる剥離紙3のたるみが解消される。
【0082】
(粘着ラベルの貼付動作)
図14は、図1に示すラベル貼付装置1での粘着ラベル2の貼付動作を説明するための図であり、(A)は粘着ラベル2の貼付動作の開始前の状態を示す図、(B)は剥離紙3から粘着ラベル2の先端側が剥離された状態を示す図、(C)は押付ローラ43によって粘着ラベル2をカード4に押し付けている状態を示す図である。
【0083】
ラベル貼付装置1では、たとえば、以下のように、カード4への粘着ラベル2の貼付が行われる。まず、図14(A)に示すように、可動部材検出機構34を用いて、可動部材31が屈曲緩和位置31Bにあることを確認するとともに、カード検出機構27を用いて、カード搬送路15内にカード4がないことを確認する。このときには、押付ローラ43は、退避位置43Aにある。その後、ラベル位置検出機構53によって、剥離紙3に仮着された粘着ラベル2の先端が検出されているか否かを確認する。
【0084】
ラベル位置検出機構53によって粘着ラベル2の先端が検出されている場合には、粘着ラベル2の貼付動作へ移行する。一方、ラベル位置検出機構53によって粘着ラベル2の先端が検出されていない場合には、ラベル位置検出機構53によって粘着ラベル2の先端が検出されるまで、剥離紙3が剥離紙回収部9に向かって送られてから(すなわち、粘着ラベル2の頭出しが行われてから)、粘着ラベル2の貼付動作へ移行する。
【0085】
粘着ラベル2の貼付動作では、まず、可動部材31が屈曲位置31Aまで移動する。その後、剥離紙3が剥離紙回収部9に向かって送られる。剥離紙3が剥離紙回収部9に向かって送られると、図14(B)に示すように、粘着ラベル2の先端側が剥離紙3から剥離される。剥離紙3の送り動作は、ラベル先端検出機構54によって、剥離紙3から剥離された粘着ラベル2の先端が検出されるまで行われ、ラベル先端検出機構54によって粘着ラベル2の先端が検出されると、剥離紙3が停止する。
【0086】
その後、カード4が奥側に向かって搬送される。具体的には、カード4の所定のラベル貼付位置の始端が粘着ラベル2の先端の下方に配置される位置まで、カード4が搬送されて停止する。その後、図14(C)に示すように、押付ローラ43が押付位置43Bまで移動する。押付ローラ43が押付位置43Bまで移動すると、押付ローラ43が粘着ラベル2の反粘着面に当接し、粘着ラベル2がカード4に押し付けられる。
【0087】
その後、剥離紙3の送りとカード4の搬送とを同期させながら、剥離紙3から粘着ラベル2を剥離して、剥離した粘着ラベル2をカード4に貼り付ける。カード4への粘着ラベル2の貼付が終わると、押付ローラ43が退避位置43Aまで移動し、また、可動部材31が屈曲緩和位置31Bまで移動する。また、ラベル位置検出機構53によって粘着ラベル2の先端が検出されるまで、剥離紙3が送られてから、剥離紙3が停止する。
【0088】
一方、カード4は、ラベル貼付装置1から排出されるまで搬送される。このとき、カード4に貼り付けられた粘着ラベル2のバーコード模様2aがラベル貼付検出機構55の下側を通過する。粘着ラベル2のバーコード模様2aがラベル貼付検出機構55の下側を通過すると、ラベル貼付検出機構55からオンオフ信号が所定回数、繰り返しで出力される。
【0089】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のラベル剥離機構12は、粘着ラベル2が剥離紙3から剥がれるように剥離紙3を屈曲させる屈曲位置31Aと、粘着ラベル2が剥離紙3から剥がれないように剥離紙3の屈曲状態を緩和させる屈曲緩和位置31Bとの間で回動可能な可動部材31を備えている。そのため、可動部材31を屈曲緩和位置31Bに移動させておけば、剥離紙送り機構14によって、剥離紙3から粘着ラベル2を剥離させることなく剥離紙3を剥離紙回収部9に向かって送ることができる。
【0090】
したがって、何らかの原因で、剥離紙3に仮着された粘着ラベル2の先端がラベル位置検出機構53を構成する発光部56と受光部57との間を通過してしまっている状況が発生した場合(すなわち、粘着ラベル2の先端が所定の基準位置を通過してしまっている状況が発生した場合)には、先端が基準位置を通過してしまった粘着ラベル2を剥離させることなく、次の粘着ラベル2の先端を基準位置まで送ることが可能になる。その結果、本形態では、剥離紙3に仮着された粘着ラベル2の先端が基準位置を通過してしまっている状況が発生した場合に、剥離紙送り機構14によって剥離紙供給部8へ剥離紙3を戻さなくても、剥離紙3から粘着ラベル2を剥離させることなく、粘着ラベル2の先端を基準位置に合せることが可能になる。
【0091】
本形態では、ラベルカートリッジ7は、時計方向に回転部材81を付勢する引張りコイルバネ82を備えている。また、供給側摩擦部材85は、剥離紙3の供給時に、反時計方向の回転規制位置まで回転部材81が供給側巻芯76とともに回転するように、圧縮コイルバネ87によって回転部材81に向かって付勢されている。また、反時計方向の回転規制位置まで回転部材81が回転するまでは、圧縮コイルバネ87の付勢力に基づく供給側摩擦部材85と回転部材81との間の摩擦力が、引張りコイルバネ82の付勢力に基づく供給側摩擦部材85と回転部材81との間の滑り力よりも大きくなっている。そのため、反時計方向の回転規制位置まで供給側巻芯76とともに回転部材81が回転することで、引張りコイルバネ82に蓄えられる時計方向への付勢力が、供給側摩擦部材85を介して供給側巻芯76に伝達される。したがって、ラベル貼付装置1が剥離紙3に張力を与えるための機構を別途備えていなくても、剥離紙3に張力を与えることができる。その結果、本形態では、ラベル貼付機構1の構成を簡素化しつつ、剥離紙3から粘着ラベル2を適切に剥離することが可能になる。
【0092】
本形態では、剥離紙搬送ローラ47の外径、巻取側巻芯65の外径および搬送ローラ駆動機構48の減速比等は、剥離紙搬送ローラ47の周速度よりも巻取側巻芯65の周速度が速くなるように設定されている。また、巻取側摩擦部材72は、剥離紙搬送ローラ47と巻取側巻芯65との間における剥離紙3の張力が所定の大きさ未満であるときには、歯車70と巻取側摩擦部材72とが摩擦係合して、歯車70と巻取側巻芯65とが一体で回転し、剥離紙搬送ローラ47と巻取側巻芯65との間における剥離紙3の張力が所定の大きさ以上であるときには、歯車70と巻取側摩擦部材72との間で滑りが生じるように、圧縮コイルバネ73によって歯車70に向かって付勢されている。そのため、剥離紙回収部9において、剥離紙3に過剰な張力を発生させることなく、かつ、剥離紙3をたるませることなく剥離紙3を巻き取ることができる。
【0093】
一方で、上述のように、剥離紙供給部8および剥離紙回収部9が構成されているため、剥離紙供給部8から剥離紙回収部9へ剥離紙3を送る際の回転方向と逆方向となる時計方向へ供給側巻芯76および巻取側巻芯65を回転させようとした場合、剥離紙供給部8および剥離紙回収部9の構成が複雑になる。しかし、本形態では、剥離紙3に仮着された粘着ラベル2の先端が基準位置を通過してしまっている状況が発生した場合に、剥離紙送り機構14によって剥離紙供給部8へ剥離紙3を戻さなくても、剥離紙3から粘着ラベル2を剥離させることなく、粘着ラベル2の先端を基準位置に合せることが可能になるため、供給側巻芯76および巻取側巻芯65を時計方向へ回転させるための複雑な機構を剥離紙供給部8および剥離紙回収部9に設ける必要がない。したがって、本形態では、剥離紙供給部8および剥離紙回収部9の構成を簡素化することが可能になる。
【0094】
本形態では、固定軸30の手前上方に軸部材35が配置される屈曲緩和位置31Bまで可動部材31が移動可能となっている。また、本形態では、上フレーム部17は、上フレーム部17と下本体部18との間にラベルカートリッジ7を挟んで固定する閉位置17Aと、ラベルカートリッジ7の上側を開放して上方へのラベルカートリッジ7の取外しが可能となる開位置17Bとの間で、下本体部18に対して回動可能となっている。そのため、可動部材31によって剥離紙3を屈曲させて粘着ラベル2を剥離紙3から剥離することが可能であるにもかかわらず、屈曲緩和位置31Bまで可動部材31を移動させ、下本体部18に対して上フレーム部17を開位置17Bまで回動させれば、ラベルカートリッジ7を取り外し、また、取り付けることができる。すなわち、本形態では、可動部材31によって剥離紙3を屈曲させて粘着ラベル2を剥離紙3から剥離することが可能であるにもかかわらず、本体部6からラベルカートリッジ7を容易に取り外すことができ、かつ、本体部6にラベルカートリッジ7を容易に取り付けることができる。
【0095】
また、本形態では、下本体部18の上方へラベルカートリッジ7を取り外すこと、および、下本体部18の上方からラベルカートリッジ7を取り付けることが可能になるため、たとえば、ラベル貼付装置1の周囲に密接するように他の装置が配置されている場合であっても、ラベルカートリッジ7を容易に取り外すこと、および、ラベルカートリッジ7を容易に取り付けることが可能になる。また、本体部6からラベルカートリッジ7を取り外した状態で、剥離紙供給部8および剥離紙回収部9へ剥離紙3をセットすることができるため、剥離紙3のセットが容易になる。
【0096】
本形態では、可動部材31は、屈曲位置31Aと屈曲緩和位置31Bとの間で回動可能となっており、かつ、軸保持部材36は、可動部材31が屈曲緩和位置31Bから屈曲位置31Aへ回動する際の固定軸30との干渉を防止するように曲がった鉤型形状に形成されている。そのため、可動部材31が屈曲位置と屈曲緩和位置との間で直線状に移動する場合と比較して、可動部材31の設置スペースを狭めることが可能になり、その結果、ラベル貼付装置1を小型化することが可能になる。
【0097】
本形態では、ラベル貼付装置1は、ラベル剥離機構12によって剥離紙3から剥離された粘着ラベル2の先端を検出するためのラベル先端検出機構54を備えている。そのため、カード4の所定のラベル貼付位置の始端と粘着ラベル2の先端とを精度良く合わせることが可能になり、その結果、カード4に対する粘着ラベル2の貼付位置の精度を高めることが可能になる。また、ラベル剥離機構12によって粘着ラベル2の先端側が剥離されたか否かを検出することができるため、粘着ラベル2の貼付不良を未然に防止することが可能になる。
【0098】
本形態では、押付ローラ43に、ラベル先端検出機構54を構成する発光素子から受光素子へ向かう光が通過する溝部43aが形成されている。そのため、ラベル剥離機構12によって剥離紙3から剥離された粘着ラベル2の先端側のより近い位置にラベル先端検出機構54および押付ローラ43を配置することが可能になる。したがって、本形態では、粘着ラベル2の先端側の剥離紙3からの剥離量が少なくても、ラベル先端検出機構54によって、粘着ラベル2の先端を適切に検出することが可能になるとともに、押付ローラ43によって、粘着ラベル2の先端側をカード4に適切に押し付けることが可能になり、その結果、粘着ラベル2の貼付不良を効果的に防止することが可能になる。また、全長の短い粘着ラベル2でもカード4に適切に貼り付けることが可能になる。
【0099】
本形態では、ラベル貼付装置1は、カード4に粘着ラベル2が貼り付けられたことを検出するためのラベル貼付検出機構55を備えている。そのため、粘着ラベル2の貼付不良を適切に検出することが可能になる。また、本形態のラベル貼付検出機構55は、粘着ラベル2の反粘着面に印刷されたバーコード模様2aを検出する反射型の光学式センサであるため、ラベル貼付検出機構55から出力されるオンオフ信号を検出することで、粘着ラベル2が折れ曲がったりせずにカード4に適切に貼り付けられているか否かを検出することが可能になる。また、カード4の地色が何色であっても、粘着ラベル2の貼付不良を適切に検出することが可能になる。
【0100】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0101】
上述した形態では、可動部材31は、屈曲位置31Aと屈曲緩和位置31Bとの間で回動可能となっている。この他にもたとえば、可動部材31は、屈曲位置と屈曲緩和位置との間で直線状に移動可能となっていても良い。
【0102】
上述した形態では、ラベル剥離機構12は、下本体部18に固定される固定軸30を備えている。この他にもたとえば、ラベル剥離機構12は、固定軸30に代えて、下本体部18に対して相対移動可能な可動軸を備えていても良い。この場合には、可動部材31が屈曲位置31Aにあるときに、この可動軸が剥離紙3の表面に当接して、可動部材31とともに、剥離紙3から粘着ラベル2が剥離されるように剥離紙3を屈曲させる。
【0103】
上述した形態では、粘着ラベル2の反粘着面にバーコード模様2aが印刷されており、ラベル貼付検出機構55は、バーコード模様2aを検出している。この他にもたとえば、カード4の光の反射率と粘着ラベル2の光の反射率との相違を利用して、カード4に粘着ラベル2が貼り付けられたことを検出することができるのであれば、粘着ラベル2の反粘着面にバーコード模様2aが印刷されていなくても良い。
【符号の説明】
【0104】
1 ラベル貼付装置
2 粘着ラベル
2a バーコード模様
3 剥離紙
4 カード(被着媒体)
6 本体部
7 ラベルカートリッジ
8 剥離紙供給部
9 剥離紙回収部
12 ラベル剥離機構
13 ラベル押付機構
14 剥離紙送り機構
15 カード搬送路(媒体搬送路)
17 上フレーム部
17A 閉位置
17B 開位置
18 下本体部
30 固定軸
31 可動部材
31A 屈曲位置
31B 屈曲緩和位置
35 軸部材
36 軸保持部材
43 押付ローラ
43A 退避位置
43B 押付位置
43a 溝部
46 ソレノイド(押付ローラ移動機構の一部)
47 剥離紙搬送ローラ
48 搬送ローラ駆動機構
54 ラベル先端検出機構
55 ラベル貼付検出機構
65 巻取側巻芯
69 巻取側回転軸
70 歯車(伝達部材)
72 巻取側摩擦部材
73 圧縮コイルバネ(巻取側摩擦付勢部材)
76 供給側巻芯
80 供給側回転軸
81 回転部材
82 引張りコイルバネ(回転付勢部材)
85 供給側摩擦部材
87 圧縮コイルバネ(供給側摩擦付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粘着ラベルが所定の間隔で仮着される帯状の剥離紙から前記粘着ラベルを剥離して被着媒体に貼り付けるラベル貼付装置であって、
前記粘着ラベルが剥離される前の前記剥離紙が保持される剥離紙供給部と、前記粘着ラベルが剥離された後の前記剥離紙が保持される剥離紙回収部と、前記剥離紙供給部から前記剥離紙回収部へ前記剥離紙を送る剥離紙送り機構と、前記剥離紙供給部と前記剥離紙回収部との間で前記剥離紙を屈曲させて前記剥離紙から前記粘着ラベルを剥離するラベル剥離機構と、前記ラベル剥離機構で剥離された前記粘着ラベルを前記被着媒体に押し付けるラベル押付機構とを備え、
前記ラベル剥離機構は、前記粘着ラベルが前記剥離紙から剥がれるように前記剥離紙を屈曲させる屈曲位置と、前記粘着ラベルが前記剥離紙から剥がれないように前記剥離紙の屈曲状態を緩和させる屈曲緩和位置との間で移動可能な可動部材を備えることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記剥離紙の、前記粘着ラベルが仮着される側の面を表面とし、前記剥離紙の、前記表面の反対側の面を裏面とすると、
前記ラベル剥離機構は、前記剥離紙供給部から前記剥離紙回収部への前記剥離紙の通過経路に配置され前記可動部材が前記屈曲位置にあるときに前記剥離紙の表面に当接する固定軸を備え、
前記屈曲位置にある前記可動部材は、前記剥離紙の裏面に当接し、
前記屈曲位置にある前記可動部材と前記固定軸とによって前記剥離紙が屈曲されて、前記粘着ラベルが前記剥離紙から剥離されることを特徴とする請求項1記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
前記被着媒体が搬送される媒体搬送路を備え、
前記屈曲位置に前記可動部材があるときに、前記可動部材の前記剥離紙に当接する部分は、前記固定軸よりも前記媒体搬送路に近づいており、
前記屈曲緩和位置に前記可動部材があるときに、前記可動部材の前記剥離紙に当接する部分は、前記固定軸よりも前記媒体搬送路から離れていることを特徴とする請求項2記載のラベル貼付装置。
【請求項4】
前記可動部材は、前記剥離紙の裏面に当接する軸部材と、前記軸部材を保持する軸保持部材とを備え、
前記軸保持部材は、前記屈曲位置と前記屈曲緩和位置との間で回動可能となっており、かつ、前記軸保持部材は、前記可動部材が前記屈曲緩和位置から前記屈曲位置へ回動する際の前記固定軸との干渉を防止するように曲がった鉤型形状に形成されていることを特徴とする請求項2または3記載のラベル貼付装置。
【請求項5】
前記剥離紙供給部および前記剥離紙回収部が取り付けられるラベルカートリッジと、前記ラベルカートリッジが着脱可能な本体部とを備え、
前記本体部は、前記本体部の上面部分を構成する上フレーム部と、前記上フレーム部を回動可能に保持する下本体部とを備え、
前記可動部材は、前記上フレーム部に移動可能に保持され、
前記上フレーム部は、前記上フレーム部と前記下本体部との間に前記ラベルカートリッジを挟んで固定する閉位置と、前記ラベルカートリッジの上側を開放して上方への前記ラベルカートリッジの取外しが可能となる開位置との間で、前記下本体部に対して回動可能となっていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のラベル貼付装置。
【請求項6】
前記粘着ラベルの粘着面の反対側の面を反粘着面とすると、
前記ラベル押付機構は、前記粘着ラベルの前記反粘着面に当接可能な押付ローラを備えるとともに、前記押付ローラが前記粘着ラベルの前記反粘着面に当接して前記粘着ラベルを前記被着媒体に押し付ける押付位置と前記押付ローラが前記粘着ラベルの前記反粘着面から離れる退避位置のとの間で前記押付ローラを移動させる押付ローラ移動機構を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のラベル貼付装置。
【請求項7】
前記ラベル剥離機構によって前記剥離紙から剥離された前記粘着ラベルの先端を検出するためのラベル先端検出機構を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のラベル貼付装置。
【請求項8】
前記粘着ラベルの粘着面の反対側の面を反粘着面とすると、
前記ラベル押付機構は、前記粘着ラベルの前記反粘着面に当接可能な押付ローラを備え、
前記ラベル先端検出機構は、前記ラベル剥離機構によって前記剥離紙から剥離された前記粘着ラベルの先端側を挟むように配置される発光素子と受光素子とを備え、
前記押付ローラには、前記発光素子から前記受光素子へ向かう光が通過する溝部が径方向の内側へ窪むように形成されていることを特徴とする請求項7記載のラベル貼付装置。
【請求項9】
前記被着媒体に前記粘着ラベルが貼り付けられたことを検出するためのラベル貼付検出機構を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のラベル貼付装置。
【請求項10】
前記粘着ラベルの粘着面の反対側の面を反粘着面とすると、
前記粘着ラベルの前記反粘着面には、バーコード状のバーコード模様が印刷され、
前記ラベル貼付検出機構は、前記バーコード模様を検出する反射型の光学式センサであることを特徴とする請求項9記載のラベル貼付装置。
【請求項11】
前記剥離紙供給部は、前記剥離紙が巻回される供給側巻芯と、前記供給側巻芯と一体で回転する供給側回転軸および供給側摩擦部材と、前記供給側回転軸に対して回転可能でかつ前記供給側回転軸に保持される回転部材と、前記供給側摩擦部材を前記回転部材に向かって付勢する供給側摩擦付勢部材と、前記剥離紙供給部から前記剥離紙回収部へ前記剥離紙を送る際の前記供給側巻芯の回転方向である供給回転方向の反対方向となる反供給回転方向へ前記回転部材を付勢する回転付勢部材とを備え、
前記供給側摩擦部材は、前記剥離紙供給部から前記剥離紙回収部へ前記剥離紙を送る際に前記供給側巻芯とともに前記回転部材が前記供給回転方向へ所定の角度回転するように、前記供給側摩擦付勢部材によって前記回転部材に向かって付勢されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のラベル貼付装置。
【請求項12】
前記剥離紙送り機構は、前記剥離紙回収部に向かって前記剥離紙を搬送する剥離紙搬送ローラと、少なくとも前記剥離紙搬送ローラを駆動する搬送ローラ駆動機構とを備え、
前記剥離紙回収部は、前記剥離紙が巻き取られる巻取側巻芯と、前記巻取側巻芯と一体で回転する巻取側回転軸および巻取側摩擦部材と、前記巻取側回転軸に対して回転可能でかつ前記巻取側回転軸に保持されるとともに前記搬送ローラ駆動機構に連結され前記搬送ローラ駆動機構の動力を前記巻取側巻芯に伝達する伝達部材と、前記巻取側摩擦部材を前記伝達部材に向かって付勢する巻取側摩擦付勢部材とを備え、
前記剥離紙搬送ローラと前記巻取側巻芯とは、前記剥離紙搬送ローラの周速度よりも前記巻取側巻芯の周速度が速くなるように駆動され、
前記巻取側摩擦部材は、前記剥離紙搬送ローラと前記巻取側巻芯との間における前記剥離紙の張力が所定の大きさ未満であるときには、前記伝達部材と一体で前記巻取側巻芯が回転し、前記剥離紙搬送ローラと前記巻取側巻芯との間における前記剥離紙の張力が所定の大きさ以上であるときには、前記伝達部材と前記巻取側摩擦部材との間で滑りが生じるように、前記巻取側摩擦付勢部材によって前記伝達部材に向かって付勢されていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−136243(P2012−136243A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289142(P2010−289142)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】