説明

ラミネートカード作製用合成樹脂シート

【課題】 完成されたラミネートカードに余分な縁がなく、外観上の体裁が良く、カードの厚みが均一とすることができるラミネート加工されたカードを作成できるラミネートカード作製用合成樹脂シートを提供する。
【解決手段】 中央部分から2つ折りする透明な合成樹脂シートの間にカード基材を挟み込み、上下方向から熱圧を加えて融着一体化してラミネートカードを作製することができる合成樹脂シートであって、前記合成樹脂シートが、長方形状を有し、該長方形状の長手方向に対して中央部分に前記合成樹脂シートを2つ折りするための折り目線を有し、前記2つ折りした合成樹脂シートの外周端辺に、前記カード基材の3周辺を合わせて挟み込んだ際に、前記カード基材と重ならない合成樹脂シートの部分を切り取るための切り取りミシン目が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つ折りする合成樹脂シートの間にカード基材を挟み込み、上下方向から熱圧を加えて融着一体化してラミネートカードを作製することができるラミネートカード作製用合成樹脂シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、社員証や学生証などの身分証明書、定期券、運転免許証などのカード類の表面を保護するためのカード包装体として、所謂、ラミネートカードが知られている。
これらのラミネートカードは、2つ折りする合成樹脂シートの間にカード基材を挟み込み、上下方向から熱圧を加えて融着一体化して作製するもので、様々な仕様のカードが既に知られている。(例えば、特許文献1及び5参照)
【0003】
【特許文献1】特開昭60−171839号公報
【特許文献2】特開昭60−18355号公報
【特許文献3】特開昭61−62067号公報
【特許文献4】特開平3−47901号公報
【特許文献5】特開2001−301821号公報
【0004】
これらのラミネートカードを作製する際に使用される合成樹脂シートは、融点の低いフィルムとこれより融点の高いフィルムとが積層された構成を有し、前記融点の低いフィルムが、前記2つ折りされる際に内側に設けられており、2つ折りされた合成樹脂シートの外側から、融点の低いフィルムが融着し、また融点の高いフィルムが融着しない温度により加熱することで、融点の低いフィルムの間に挟み込まれているカード基材の表裏面に融着することで、ラミネート加工されたカードを作製できるように構成されている。
【0005】
したがって、従来のラミネート加工されたカードでは、少なくとも2つ折りされた合成樹脂シートの折り部分付近で、挟み込まれたカード基材と重ならない部分ができることになり、カードが完成された場合に、カードの一辺側に余分な縁が付いた状態のカードが作製されることになり、体裁が悪く、カードの厚みが均一ならないことで、カードリーダライタなどを利用する際にカード搬送や読み取り時における不具合の原因となる危険性があるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、中央部分から2つ折りする透明な合成樹脂シートの間にカード基材を挟み込み、上下方向から熱圧を加えて融着一体化したラミネートカードを作製することができる合成樹脂シートを使用して、カードを作製した場合でも、完成されたカードに余分な縁がなく、外観上の体裁が良く、カードの厚みが均一となるようにすることができ、カードリーダライタなどを利用する際に、通常のプラスチックカードと同様に搬送し、読み取りが行えるようにしたラミネート加工されたカードを作製できるラミネートカード作製用合成樹脂シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のラミネートカード作製用合成樹脂シートは、中央部分から2つ折りする透明な合成樹脂シートの間にカード基材を挟み込み、上下方向から熱圧を加えて融着一体化してラミネートカードを作製することができる合成樹脂シートであって、前記合成樹脂シートが、長方形状を有し、該長方形状の長手方向に対して中央部分に前記合成樹脂シートを2つ折りするための折り目線を有し、前記2つ折りした合成樹脂シートの外周端辺に、前記カード基材の3周辺を合わせて挟み込んだ際に、前記カード基材と重ならない合成樹脂シートの部分を切り取るための切り取りミシン目が形成されていることを特徴する。
【0008】
また、本発明のラミネートカード作製用合成樹脂シートは、前記切り取りミシン目が、前記折り目線を中心に左右方向に対して同一位置にそれぞれ形成されていることを特徴する。
【0009】
更に、本発明のラミネートカード作製用合成樹脂シートは、前記合成樹脂シートが、融点の低いフィルムとこれより融点の高いフィルムとが積層された構成を有し、前記融点の低いフィルムが、前記2つ折りされる際に内側に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のラミネートカード作製用合成樹脂シートは、前記カード基材と重ならない合成樹脂シートの部分が、重なり合う合成樹脂シート同士で融着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
したがって、本発明のラミネートカード作製用合成樹脂シートは、カード基材と重ならない合成樹脂シートの部分を切り取るための切り取りミシン目が形成されているので、ラメネートカードを作製した場合でも、完成されたカードに余分な縁をなくすことができ、外観上の体裁が良く、カードの厚みが均一となるようにすることができ、カードリーダライタなどを利用する際に、通常のプラスチックカードと同様に搬送し、読み取りが行えるという効果がある。
【0012】
また、本発明のラミネートカード作製用合成樹脂シートは、切り取りミシン目が、折り目線を中心に左右方向に対して同一位置にそれぞれ形成されているので、2つ折りされた合成樹脂シートを簡単に切り取ることができるという効果がある。
【0013】
更に、本発明のラミネートカード作製用合成樹脂シートは、合成樹脂シートが、融点の低いフィルムとこれより融点の高いフィルムとが積層された構成を有し、前記融点の低いフィルムが、前記2つ折りされる際に内側に設けられているので、熱圧を加えることで簡単にラミネートカードを作製することができるという効果がある。
【0014】
また、本発明のラミネートカード作製用合成樹脂シートは、カード基材と重ならない合成樹脂シートの部分が、重なり合う合成樹脂シート同士で融着されている構造とすることで、2つ折りされた合成樹脂シートにカード基材を挟み込む際に、誰でも正確且つ簡単にカード基材を重ね合わせることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るラミネートカード作製用合成樹脂シートについて、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るラミネートカード作製用合成樹脂シートの平面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、本発明の実施形態に係るラミネートカード作製用合成樹脂シートを折り目線から折り畳み、挟み込むカード基材と重ならない合成樹脂シートの部分同士を融着させた状態を示す斜視図、図4は、本発明の実施形態に係るラミネートカード作製用合成樹脂シートを利用してラミネートカードを作製する手順を説明するための図である。
【0016】
まず、本発明の実施形態に係るラミネートカード作製用合成樹脂シートの構成を、図1及び図2に基づいて説明する。
ラミネートカード作製用合成樹脂シート1(以下、合成樹脂シート1ともいう。)は、融点の低いフィルム2aとこれより融点の高いフィルム2bとが積層された構成を有し、融点の低いフィルム2aが、合成樹脂シート1を2つ折りしてラミネートカードの作製をする場合の内側位置に設けられている。
【0017】
これにより、2つ折りされた合成樹脂シート1の外側から、加熱することで、融点の低いフィルム2aの間に挟み込まれているカード基材の表裏面に融着することで、ラミネート加工されたカードを作製できるように構成されている。
尚、加熱する際には、融点の低いフィルム2aが融着し、また融点の高いフィルムが融着しない温度により加熱する。
【0018】
また、合成樹脂シート1は、長方形状を有しており、その長方形状の長手方向に対してその中央部分に、その樹脂シートを2つ折りするための折り目線3を有している。
この折り目線3は、樹脂シート1を等分に2つ折りする際の目安となる線であり、2つ折りを行いやすいように、折り目線3の部分にハーフカットなどを形成させておいてもよい。
【0019】
また、合成樹脂シート1の中央部分の折り目線3を中心にして、左右方向に対して同一位置に、それぞれ切り取りミシン目4a,4bが形成されている。
この各々の切り取りミシン目4a,4bは、合成樹脂シート1を2つ折りする合成樹脂シート1の間に、カード基材を挟み込んでラミネートカードを作製する際に、2つ折りした合成樹脂シート1の外周端辺に、カード基材の外周の3周辺を合わせて挟み込み、そのカード基材と重ならない部分の合成樹脂シート1を切り取ることができる位置に形成されている。
つまり、完成されたラミネートカードには、合成樹脂シート1による縁部分が残らない状態に作製することができるようにしてある。
【0020】
また、図3には、本発明の合成樹脂シート1を、カード基材を挟み込みやすい構成にしておくために、合成樹脂シート1を折り目線3から2つに折り畳み、折り畳まれた合成樹脂シート1の間に対して挟み込むカード基材と重ならない合成樹脂シートの部分同士を予め融着させた状態にしておくこともできる。
図3に示すような、合成樹脂シート1を2つ折りさせた状態として用意しておくことで、ラミネートカードを作製する際でも、挟み込むカード基材の位置が特定され、正確な位置合わせを行うことができるので好ましい。
【0021】
次に、図4に基づいて、本発明の実施形態に係るラミネートカード作製用合成樹脂シート1から、ラミネートカードを作製する手順について説明する。
図4(a)には、合成樹脂シート1に挟み込むためのカード基材5が示されている。
また、図4(b)には、合成樹脂シート1を折り目線3から2つに折り畳み、折り畳まれた合成樹脂シート1の間に対して挟み込むカード基材5と重ならない合成樹脂シートの部分同士を予め融着させた状態にした構成からなる2つ折りされた合成樹脂シート1が示されている。
尚、図4では、2つ折りされた合成樹脂シート1が、縦方向に置かれている状態で示されている。
【0022】
そして、図4(c)に示すよに、2つ折りされた合成樹脂シート1の間に、カード基材5を挟み込む。
挟み込んだカード基材5は、カード基材5の一辺側が、2つ折りされた合成樹脂シート1の切り取りミシン目4a,4bが重なって融着されている部分まで突き当たる状態で挿入させてセットする。
【0023】
次に、図4(d)に示すように、挟み込んだカード基材5の両側から合成樹脂シート1を重ね合わせ、更に、2つ折りされた合成樹脂シート1の外側から、加熱することで、融点の低いフィルム2aの間に挟み込まれているカード基材5の表裏面に融着させる。
その後、図4(e)に示すように、切り取りミシン目4a,4bから合成樹脂シート1を切り取り、カード基材5に重合されていないカード基材5の一部分を切り取ることで、カード基材5を有するラミネートカード1aと、カード基材5が重合されていないで、合成樹脂シート同士が重ねられ融着状態にある合成樹脂シートの1部分1bとが切り離される。
以上の手順により、図4(d)に示すように、余分な縁が付いていない状態のカード基材5を有するラミネートカード1aが完成される。
【0024】
切り取りミシン目4a,4bが形成される位置は、カード基材5の大きさに対応して設定され、2つ折りされた合成樹脂シート1の3周辺と、カード基材5の3周辺とを一致させた状態で、2つ折りされた合成樹脂シート1の間にカード基材5を挟み込んだ際に、カード基材5の残りの1辺側においてカード基材5と重ならない合成樹脂シート1の部分を指で摘んで、切り取りミシン目4a,4bから簡単に切り取れるように合成樹脂シート1の大きさや、切り取りミシン目4a,4bの形成位置を決めることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係るラミネートカード作製用合成樹脂シートの平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るラミネートカード作製用合成樹脂シートを折り目線から折り畳み、挟み込むカード基材と重ならない合成樹脂シートの部分同士を融着させた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るラミネートカード作製用合成樹脂シートを利用してラミネートカードを作製する手順を説明するための図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ラミネートカード作製用合成樹脂シート
1a ラミネートカード
1b 合成樹脂シートの1部分
2a 融点の低いフィルム
2b 融点の高いフィルム
3 折り目線
4a,4b 切り取りミシン目
5 カード基材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部分から2つ折りする透明な合成樹脂シートの間にカード基材を挟み込み、上下方向から熱圧を加えて融着一体化してラミネートカードを作製することができる合成樹脂シートであって、
前記合成樹脂シートが、長方形状を有し、該長方形状の長手方向に対して中央部分に前記合成樹脂シートを2つ折りするための折り目線を有し、前記2つ折りした合成樹脂シートの外周端辺に、前記カード基材の3周辺を合わせて挟み込んだ際に、前記カード基材と重ならない合成樹脂シートの部分を切り取るための切り取りミシン目が形成されていることを特徴するラミネートカード作製用合成樹脂シート。
【請求項2】
前記切り取りミシン目が、前記折り目線を中心に左右方向に対して同一位置にそれぞれ形成されていることを特徴する請求項1記載のラミネートカード作製用合成樹脂シート。
【請求項3】
前記合成樹脂シートが、融点の低いフィルムとこれより融点の高いフィルムとが積層された構成を有し、前記融点の低いフィルムが、前記2つ折りされる際に内側に設けられていることを特徴とする請求項1記載のラミネートカード作製用合成樹脂シート。
【請求項4】
前記カード基材と重ならない合成樹脂シートの部分が、重なり合う合成樹脂シート同士で融着されていることを特徴とする請求項1記載のラミネートカード作製用合成樹脂シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−320561(P2007−320561A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149161(P2006−149161)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】