ランダムアクセス応答を処理する方法
【課題】 無線通信システムにおけるネットワークのためのランダムアクセス応答を処理する方法が開示される。
【解決手段】 前記方法は、前記無線通信システムの第1の移動体装置から、複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分で、第1のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップ、前記無線通信システムの第2の移動体装置から、前記複数の搬送波成分のうちの第2の搬送波成分で、第2のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップであって、前記第2のランダムアクセス・プリアンブルは、前記第1のランダムアクセス・プリアンブルと同じであり、前記ネットワークにより割り当てられる、ステップ、前記第1の搬送波成分で、前記第2の移動体装置と関連付けられたタイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答により、前記割り当てられた第2のランダムアクセス・プリアンブルに応答するステップ、を有する。
【解決手段】 前記方法は、前記無線通信システムの第1の移動体装置から、複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分で、第1のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップ、前記無線通信システムの第2の移動体装置から、前記複数の搬送波成分のうちの第2の搬送波成分で、第2のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップであって、前記第2のランダムアクセス・プリアンブルは、前記第1のランダムアクセス・プリアンブルと同じであり、前記ネットワークにより割り当てられる、ステップ、前記第1の搬送波成分で、前記第2の移動体装置と関連付けられたタイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答により、前記割り当てられた第2のランダムアクセス・プリアンブルに応答するステップ、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、無線通信システムで用いられる方法に関し、より詳細には、無線通信システムにおけるランダムアクセス応答を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(third generation partnership project)により創始されたLTE(long-term evolution)システムは、今や、高いデータ・レート、短い待ち時間、パケットの最適化並びにシステム容量及びカバレッジの向上を提供する新しい無線インタフェース及び無線ネットワーク・アーキテクチャと目されている。LTEシステムでは、E-UTRAN(evolved universal terrestrial radio access network)は、複数のeNB(evolved Node-B)を含み、ユーザ機器(UE)とも称される複数の移動局と通信する。
【0003】
LTEシステムの構造によると、UEは、UEから送信される信号が基地局のカバレッジ下にある他のUEから送信された信号と衝突するのを防ぐために、ランダムアクセス手順を実行して、アップリンクのタイミングにおいてUEをサービング基地局と同期化させるタイミングアドバンスコマンド(timing advance command)を得る。さらに、タイミングアドバンスコマンドは、ランダムアクセス手順のランダムアクセス応答メッセージを通じて送信される。留意すべき点は、ランダムアクセス手順が非コンテンションベースのランダムアクセス手順とコンテンションベースのランダムアクセス手順とを有することである。これらは、この技術分野において良く知られているので、ここでは記載されない。詳細には、ネットワークは、媒体アクセス制御プロトコル・データユニット(MAC PDU)を用いて、タイミングアドバンスコマンドをUEへ送信する。MAC PDUは、MACヘッダ、1又は複数のMACランダムアクセス応答(MAC Random Access Response:MAC RAR)及び任意のパディングを有する。MAC PDUヘッダは、1又は複数のMAC PDUサブヘッダを有し、各サブヘッダはMAC RARに対応する。さらに、MAC PDUサブヘッダは、3つのヘッダ・フィールドE/T/RAPIDを有する。ここで、送信されるランダムアクセス・プリアンブルを特定するRAPIDはランダムアクセス・プリアンブル識別子を表す。UEは、RAPIDに基づき対応するMAC RARをデコードする。MAC RARは、4つのフィールドR/Timing Advance Command/UL Grant/Temporary C-RNTIを有する。ここで、Rは予約されたビットを表し、Timing Advance CommandはUEが適用するタイミング調整の量を制御するために用いられるインデックス値を示し、UL Grantはアップリンクで用いられるべきリソースを示し、Temporary C-RNTIはランダムアクセス手順に基づくコンテンション中にUEにより用いられる一時的なアイデンティティを示す。さらに、MAC PDUの割り当ては、RA-RNTIに基づく。RA-RNTIは、UE及びネットワークにより、送信されたランダムアクセス・プリアンブルのタイミング及びRB割り当てに基づき計算される。
【0004】
より高いピーク・データ・レートでデータを送信するような高度な高速無線通信システムのために、LTE-Advancedシステムは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)によりLTEシステムの拡張として標準化されている。LTE-Advancedシステムは、電力状態間のより速い切替を目標とし、セル端における性能を向上し、そして帯域拡張、COMP(coordinated multipoint transmission/reception)、アップリンクのMIMO(multiple input multiple output)等のようなテーマを含んでいる。
【0005】
帯域拡張に関しては、より広い帯域に拡張するために、キャリア・アグリゲーションがLTE-Advancedシステムに導入された。キャリア・アグリゲーションでは、より広い送信帯域幅(例えば、最大100MHz)に対応するため及びスペクトル・アグリゲーションのために、2以上の搬送波成分が束ねられる。キャリア・アグリゲーション機能により、複数の搬送波成分が全体としてより広い帯域幅に束ねられるので、UEは、同時に受信及び/又は送信するために複数の搬送波成分に対応する複数のリンクを確立できる。キャリア・アグリゲーションでは、UEはネットワークとのRRCコネクションを1つだけ有する。RRCコネクションの確立/復旧/ハンドオーバでは、1つのサービング・セルが、NASモビリティ情報及びセキュリティ入力を提供する。このセルは、プライマリ・セル(PCell)と称される。PCellに対応する搬送波成分は、ダウンリンクではDL PCC(Downlink Primary Component Carrier)であり、アップリンクではUL PCC(Uplink Primary Component Carrier)である。また、PCell以外のセルは、セカンダリ・セル(SCell)と称される。
【0006】
さらに、LTE-Advancedシステムでは、搬送波成分の制御シグナリング(つまり、PDCCHアサインメント)は、異なる搬送波成分で送信される。これは、以下ではクロスキャリア・スケジューリングと表される。例えば、非コンテンション・ランダムアクセス手順のランダムアクセス・プリアンブルのアサインメントのためのPDCCH命令がある搬送波成分で与えられ、非コンテンション・ランダムアクセス手順のランダムアクセス・プリアンブルは別の搬送波成分で送信される。
【0007】
出願人は、クロスキャリア・スケジューリングにおけるランダムアクセス手順のランダムアクセス応答に関連するプリアンブルに注目する。図1を参照する。図1はランダムアクセス応答の衝突の概略図である。図1では、ネットワークは、ランダムアクセス・プリアンブルをそれぞれUE1及びUE2に搬送波成分cc#1を通じて割り当てる。UE1は、搬送波成分cc#1を介してランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。また、UE2は、搬送波成分cc#2を介してランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。言い換えると、ネットワークは、クロスキャリア・スケジューリングにより、ランダムアクセス・プリアンブルをUE2に割り当てる。しかしながら、ネットワークは、同一のランダムアクセス・プリアンブルをUE1及びUE2に同時に割り当ててもよい。この状況では、ネットワークは、2つのランダムアクセス・プリアンブルに、搬送波成分cc#1の1つのランダムアクセス応答のみで応答する。なぜなら、受信したランダムアクセス・プリアンブルは、同じRAPIDに対応するからである。これにより、ランダムアクセス応答の衝突が引き起こされる。しかしながら、UE1及びUE2は、ランダムアクセス応答が自身のためなのか否かが分からない。そして、両者は、アップリンクのタイミング調整のためにランダムアクセス応答内のタイミングアドバンスコマンドを適用する。これは、タイミングアドバンスコマンドがUE1又はUE2に対してのみ的確なので、搬送波成分cc#1又は搬送波成分cc#2で干渉を引き起こし得る。
【0008】
ランダムアクセス応答の衝突を回避するために、ネットワークは、同一のランダムアクセス・プリアンブルを各搬送波成分に同時に割り当てるのを回避し得る。しかしながら、これは、ランダムアクセス・プリアンブルの構成を限定し、全ての搬送波成分に対するランダムアクセス・プリアンブルのアサインメントの柔軟性を制限してしまう。
【0009】
さらに、ネットワークは、搬送波成分cc#1で、クロスキャリア・スケジューリングにより、ランダムアクセス・プリアンブルをUE2に割り当てる。UE2は、搬送波成分cc#2を介して、割り当てられたランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。他方で、UE1は、ランダムアクセス・プリアンブルをランダムに選択し、搬送波成分cc#1を介してランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。しかしながら、ランダムに選択されたランダムアクセス・プリアンブルは、割り当てられたランダムアクセス・プリアンブルと同一かも知れない。ネットワークは、2つのランダムアクセス・プリアンブルに、搬送波成分cc#1の1つのランダムアクセス応答のみで応答する。なぜなら、受信したランダムアクセス・プリアンブルは、同じRAPIDに対応するからである。これにより、ランダムアクセス応答の衝突が引き起こされる。同様に、UE1及びUE2は、ランダムアクセス応答が自身のためなのか否かが分からない。そして、両者は、アップリンクのタイミング調整のために、ランダムアクセス応答内のタイミングアドバンスコマンドを適用する。これは、タイミングアドバンスコマンドがUE1又はUE2に対してのみ的確なので、搬送波成分cc#1又は搬送波成分cc#2で干渉を引き起こし得る。
【0010】
さらに、上述の仕様により、UEは以下に記載されるようなリソースの浪費を引き起こすシナリオに直面する。
【0011】
第1のシナリオでは、図2を参照する。図2は、従来の第1の実施形態によるクロスキャリア・スケジューリングにおけるランダムアクセス応答の衝突の概略図を示す。ネットワークは、PCellのPDCCH命令でSCellのためにプリアンブル・コードを割り当てる(つまり、クロスキャリア・スケジューリング)。したがって、UEは、アップリンクのタイミング同期のために、SCellに対して非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行する。一方では、別のUEが、アップリンクのタイミング同期のために、PCellに対してコンテンションベースのランダムアクセス手順を実行する。コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、SCellのために割り当てられたプリアンブル・コードと同一のプリアンブル・コードを選択する。ネットワークが両方のランダムアクセス・プリアンブルをPCell及びSCellから受信すると、ネットワークは、2つのランダムアクセス・プリアンブルが同一であり同一のRAPIDに対応するので、2つのランダムアクセス・プリアンブルに1つのランダムアクセス応答のみで応答する。タイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答がSCellに対して非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEのためのものであるとすると、2つのUEはランダムアクセス応答内のタイミングアドバンスコマンドを適用する。この状況では、非コンテンションベースのランダムアクセス手順の実行は成功し、SCellでのアップリンク送信には影響しない。しかしながら、タイミングアドバンスコマンドは非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものなので、コンテンションベースのランダムアクセス手順の実行に成功しないかも知れない。例えば、コンテンションベースのランダムアクセス手順のメッセージ3は、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEにとってランダムアクセス応答内のタイミングアドバンスコマンドが不正確なために干渉(つまり、衝突)に直面し得る。したがって、ネットワークは、PCellのUEにHARQ NACKを返す。コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、受信したHARQ NACKの数が特定数に達するまで、引き続き、メッセージ3をネットワークに送信し、そしてPCellの新しいランダムアクセス・プリアンブルを送信する。理解されるように、アップリンクの同期動作は、メッセージ3の再送のために遅延し、リソースはコンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決のために浪費される。
【0012】
第2のシナリオでは、図3を参照する。図3は、従来の第2の実施形態によるクロスキャリア・スケジューリングにおけるランダムアクセス応答の衝突の概略図を示す。第1のシナリオと異なり、SCellの非コンテンションベースのランダムアクセス・プリアンブルのみがネットワークにより受信される。言い換えると、PCellのコンテンションベースのランダムアクセス・プリアンブルは、送信されるが、ネットワークにより受信されない。しかしながら、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、PCellにおけるランダムアクセス応答の受信及びデコーディングによりネットワークにより受信されると、コンテンションベースのプリアンブルを検討し、それによりコンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決を実行する。したがって、干渉及びリソースの浪費が、コンテンションベースのランダムアクセス手順中に生じている。詳しい説明は、以上から分かるので、ここでは省略する。
【0013】
第3のシナリオでは、図4を参照する。図4は、従来の第3の実施形態によるクロスキャリア・スケジューリングにおけるランダムアクセス応答の衝突の概略図を示す。第1のシナリオと異なり、PCellのコンテンションベースのプリアンブルのみがネットワークにより受信される。言い換えると、SCellの非コンテンションベースのプリアンブルは、送信されるが、ネットワークにより受信されない。従来技術によると、ネットワークは、コンテンションベースのプリアンブルにPCellにおけるランダムアクセス応答で応答する。しかしながら、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、ランダムアクセス応答RARが非コンテンションベースのプリアンブルのためのものであると見なすので、ランダムアクセス応答の混乱を引き起こす。さらに、UEは、非コンテンションベースのランダムアクセス手順が成功したと判断し、ランダムアクセス応答内のタイミングアドバンスコマンドを適用する。したがって、干渉及びリソースの浪費が、SCellに対するコンテンションベースのランダムアクセス手順中に生じている。詳しい説明は、以上から分かるので、ここでは省略する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上に鑑み、本願は、上述の問題を解決するために、無線通信システムにおけるランダムアクセス応答を処理する方法を提供することを目的とする。
【0015】
これは、請求項1、3、4、7、11及び16に記載のランダムアクセス応答を処理する方法により達成される。従属請求項は、対応する更なる発展及び改良に関する。
【0016】
以下の詳細な説明から一層明らかに分かるように、無線通信システムにおいてネットワークのランダムアクセス応答を処理する方法であって、請求される前記方法は、前記無線通信システムの第1の移動体装置から、複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分で、第1のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップ、前記無線通信システムの第2の移動体装置から、前記複数の搬送波成分のうちの第2の搬送波成分で、第2のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップであって、前記第2のランダムアクセス・プリアンブルは、前記第1のランダムアクセス・プリアンブルと同じであり、前記ネットワークにより割り当てられる、ステップ、前記第1の搬送波成分で、前記第2の移動体装置と関連付けられたタイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答により、前記割り当てられた第2のランダムアクセス・プリアンブルに応答するステップ、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術によるランダムアクセス応答の衝突の概略図である。
【図2】従来技術によるコンテンションベースのランダムアクセス手順及び非コンテンションベースのランダムアクセス手順における、ランダムアクセス応答の衝突の概略図である。
【図3】従来技術によるコンテンションベースのランダムアクセス手順及び非コンテンションベースのランダムアクセス手順における、ランダムアクセス応答の衝突の概略図である。
【図4】従来技術によるコンテンションベースのランダムアクセス手順及び非コンテンションベースのランダムアクセス手順における、ランダムアクセス応答の衝突の概略図である。
【図5】例示的な無線通信システムの概略図である。
【図6】例示的な通信装置の概略図である。
【図7】例示的な通信システムの通信プロトコル・レイヤの概略図である。
【図8】例示的な処理のフローチャートである。
【図9】例示的な処理のフローチャートである。
【図10】例示的な処理のフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態による非コンテンションベースのランダムアクセス手順の概略ブロック図を示す。
【図12】例示的な処理のフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態による、クロスキャリア・スケジューリングによる非コンテンションベースのランダムアクセス手順、及びコンテンションベースのランダムアクセス手順の概略ブロック図を示す。
【図14】本発明の実施形態による、クロスキャリア・スケジューリングによる非コンテンションベースのランダムアクセス手順、及びコンテンションベースのランダムアクセス手順の概略ブロック図を示す。
【図15】例示的な処理のフローチャートである。
【図16】例示的な処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図5を参照する。図5は無線通信システム10の概略図である。無線通信システム10は、LTE-A(Long-Term Evolution advanced)システム又は他の移動通信システムであり、簡単に言うとネットワーク及び複数のユーザ機器(UE)を有する。図5では、ネットワーク及びUEは、単に無線通信システム10の構造を説明するために用いられる。実際には、ネットワークは、複数のeNB(evolved base station)を有するE-UTRAN(evolved universal terrestrial radio access network)であってもよい。UEは、携帯電話機のような装置、コンピュータ・システム等であってもよい。さらに、ネットワーク及びUEは、伝送方向によって送信機又は受信機と見なされてもよい。例えばアップリンク(UL)では、UEは送信機でありネットワークは受信機である。またダウンリンク(DL)では、ネットワークが送信機でありUEが受信機である。
【0019】
図6は、例示的な通信装置20の概略図である。通信装置20は、図4に示された移動体装置10又は基地局BS1-BSnであってもよいが、これらに限定されない。通信装置20は、マイクロプロセッサ又は特定用途向け集積回路(ASIC)のような処理手段200、記憶ユニット210及び通信インタフェース・ユニット220を有してもよい。記憶ユニット210は、処理手段200によるアクセスのためにプログラム・コード214を格納できるデータ記憶装置であってもよい。記憶ユニット210の例は、限定ではなく、加入者識別モジュール(SIM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、CD−ROM、磁気テープ、ハード・ディスク、及び光学データ記憶装置を含む。通信インタフェース・ユニット220は、望ましくは無線通信機であり、処理手段200の処理結果に従いネットワークと無線信号を交換できる。
【0020】
図7を参照する。図7はLTE-Advancedシステムの通信プロトコル・レイヤの概略図である。幾つかのプロトコル・レイヤの動作は、プログラム・コード214で定められ、処理手段200により実行されてもよい。プロトコル・レイヤは、上から下へ、無線リソース制御(radio resource control:RRC)層300,パケット・データ・コンバージェンス・プロトコル(packet data convergence protocol:PDCP)レイヤ310、無線リンク制御(radio link control:RLC)層320、媒体アクセス制御(medium access control:MAC)層330及び物理(PHY)層340である。MAC層330の主なサービス及び機能は、HARQを通じた誤り訂正、ランダムアクセス手順を通じたアップリンクの同期等を含む。
【0021】
クロスキャリア・スケジューリングにおけるランダムアクセス応答の衝突により引き起こされる干渉及びリソースの浪費を回避するために、本発明は、MAC PDUフォーマット及び/又はランダムアクセス・プリアンブルの構成を変更することなく、上述の問題を解決する方法を提供する。
【0022】
図8を参照する。図8は、例示的な処理80のフローチャートを示す。処理80は、図5の基地局のようなネットワークで、ランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理80は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ800:開始
ステップ810:第1のランダムアクセス・プリアンブルを、第1のUEから、複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分で受信する。
ステップ820:第2のランダムアクセス・プリアンブルを、第2のUEから、複数の搬送波成分のうちの第2の搬送波成分で受信する。第2のランダムアクセス・プリアンブルは、第1のランダムアクセス・プリアンブルと同一であり、ネットワークにより割り当てられる。
ステップ830:割り当てられた第2のランダムアクセス・プリアンブルに、第1の搬送波成分において、第2のUEと関連付けられたタイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答で応答する。
ステップ840:終了
処理80によると、ネットワークは、受信したランダムアクセス・プリアンブルのうちのどれが非コンテンションベースのランダムアクセス手順に用いられるかを特定し(つまり、受信したランダムアクセス・プリアンブルが自身により割り当てられたか否かを調べることによる)、ランダムアクセス応答を送信して、第1の搬送波成分で非コンテンションベースのプリアンブルに応答する。簡単に言うと、ネットワークは、非コンテンションベースのランダムアクセス手順がコンテンションベースのランダムアクセス手順よりも高い優先度を有すると決定し、それにより、ネットワークが同一のランダムアクセス・プリアンブルを同時に受信したとき、コンテンションベースのランダムアクセス手順のランダムに選択されたランダムアクセス・プリアンブルを無視する。
【0023】
処理80に基づく例を検討する。ネットワークは、PCellのPDCCH命令でSCellのためにプリアンブル・コードを割り当てる(つまり、クロスキャリア・スケジューリング)。したがって、UEは、アップリンクのタイミング同期のために、SCellに対して非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行する。一方では、別のUEが、アップリンクのタイミング同期のために、PCellに対してコンテンションベースのランダムアクセス手順を実行する。コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、SCellのために割り当てられたプリアンブル・コードと同一のプリアンブル・コードを選択する。ネットワークが両方のランダムアクセス・プリアンブルをPCell及びSCellから受信すると、ネットワークは、非コンテンションベースのプリアンブルにランダムアクセス応答で応答し、コンテンションベースのプリアンブルを無視する。処理80の概念に基づくと、ネットワークは、非コンテンションベースのプリアンブルとコンテンションベースのプリアンブルとが同一であり、それらが同時に受信された場合に、ランダムアクセス応答をどのように処理するかを知っている。
【0024】
図9を参照する。図9は、例示的な処理90のフローチャートを示す。処理90は、図5の基地局のようなネットワークで、ランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理90は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ900:開始
ステップ910:第1のランダムアクセス・プリアンブルを、第1のUEのために、複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分において割り当てる。
ステップ920:第2のランダムアクセス・プリアンブルを、第2のUEから、第2の搬送波成分で受信する。第2のランダムアクセス・プリアンブルは、第1のランダムアクセス・プリアンブルと同一である。
ステップ930:ある時間期間中、第1のランダムアクセス・プリアンブルを、第1のUEから、第1の搬送波成分で受信しない。
ステップ940:第1及び第2のランダムアクセス・プリアンブルに、ランダムアクセス応答で応答しない。
ステップ950:終了
処理90によると、ネットワークは、非コンテンションベースのプリアンブルが受信されない場合、受信したコンテンションベースのプリアンブルに応答せず、従来技術で説明したようなランダムアクセス応答の衝突を回避するようにする。したがって、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、送信したプリアンブルが受信されていないことが分かり、新しいランダムアクセス手順を実行するための別の命令を待つ。同様に、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、ランダムアクセスが受信されないので、ランダムアクセス手順をもう一度繰り返す。
【0025】
図10を参照する。図10は、例示的な処理100のフローチャートを示す。処理100は、UEにおいて、クロスキャリア・スケジューリングにおいてランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理100は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ1000:開始
ステップ1010:無線通信システムのネットワークにより、複数の搬送波成分のうちの1つのランダムアクセス・プリアンブルを割り当てられる。
ステップ1020:ランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。
ステップ1030:T-CRNTIを含み及びランダムアクセス・プリアンブルに対応するランダムアクセス応答を、ネットワークから受信する。
ステップ1040:タイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答がUEのためのものか否かを、ランダムアクセス応答内のT-CRNTIに従って決定する。
ステップ1050:終了
処理100によると、ランダムアクセス応答を受信した後に、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、受信したランダムアクセス応答内のT-CRNTIを調べ、受信したランダムアクセス応答が自身のためのものか否かを確かめる。ランダムアクセス応答のT-CRNTIがUE内のC-RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)と一致する場合、UEは、受信したランダムアクセス応答が自身のためのものであると決定し、次に、アップリンク同期のために、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用する。その他の場合、UEは、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用せず、受信したランダムアクセス応答は他者のためのものであると見なす。
【0026】
処理100に基づく例を検討する。図11を参照する。図11は、本発明の実施形態による非コンテンションベースのランダムアクセス手順の概略ブロック図を示す。ネットワークは、ランダムアクセス・プリアンブルをそれぞれUE1及びUE2に搬送波成分cc#1を通じて割り当てる。言い換えると、ネットワークは、クロスキャリア・スケジューリングにより、ランダムアクセス・プリアンブルをUE2に割り当てる。UE1は、搬送波成分cc#1を介してランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。また、UE2は、搬送波成分cc#2を介してランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。上述のように、ネットワークは、同一のランダムアクセス・プリアンブルをUE1及びUE2に割り当ててもよい。したがって、それらは、プリアンブルを同時に送信してもよい。この状況では、ネットワークは、搬送波成分cc#1でUE2からのランダムアクセス・プリアンブルに応答する。UE1及びUE2がランダムアクセス応答を搬送波成分cc#1で受信しデコードした後に、UE1及びUE2は、それぞれ、ランダムアクセス応答が自身のためのものか否かを知るために、ランダムアクセス応答内のT-CRNTIを調べる。理解されるように、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEがランダムアクセス応答を受信したとき、UEは、直ちにタイミングアドバンスコマンドを適用せずに、ランダムアクセス応答のT-CRNTIを調べ、不適切なタイミングアドバンスコマンドを適用するのを回避するようにする。
【0027】
別の例を次に示す。PCellのコンテンションベースのプリアンブルは、ネットワークにより受信されるが、SCellの非コンテンションベースのプリアンブルは、ネットワークにより受信されない。ネットワークは、非コンテンションベースのプリアンブルが受信されないので、コンテンションベースのプリアンブルに、PCellにおいてT-CRNTIを含むランダムアクセス応答で応答する。割り当てられたT-CRNTIは、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEのために用いられたC-RNTIと同一であってはならない。処理100の概念に基づくと、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、ランダムアクセス応答を受信した後に、ランダムアクセス応答が自身のためのものか否かを知るために、ランダムアクセス応答内のT-CRNTIを調べる。この場合、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、T-CRNTIが自身のためのものではないことが分かるので、ランダムアクセス応答が非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定する。したがって、UEは、新しい非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行するための別の命令を待つ。代替として、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、応答を受信するのに伴い、以下のコンテンション解決を実行してもよい。
【0028】
図12を参照する。図12は、例示的な処理120のフローチャートを示す。処理120は、UEにおいて、クロスキャリア・スケジューリングにおいてランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理120は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ1200:開始
ステップ1210:コンテンションベースのランダムアクセス手順のランダムアクセス・プリアンブルを、無線通信システムのネットワークに送信する。
ステップ1220:インジケータを含むランダムアクセス応答をネットワークから受信する。
ステップ1230:受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、ランダムアクセス応答内のインジケータに従って決定する。
ステップ1240:終了
処理120によると、インジケータは、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEが、受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを決定するために、ランダムアクセス応答内に定められる。例えば、インジケータが、ランダムアクセス応答は非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであると示す場合、UEは、受信したランダムアクセス応答は他者のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用しない。他方で、インジケータが、ランダムアクセス応答は非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと示す場合、UEは、受信したランダムアクセス応答は自身のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用する。留意すべき点は、ランダムアクセス応答が自身のためのものではないと決定した後に、UEは、コンテンションベースのランダムアクセス手順でのコンテンション解決動作を中断し、新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、メッセージ3の送信の干渉とリソースの浪費を回避するようにする。
【0029】
処理120の概念に基づく例を検討する。図13−14を参照する。図13−14は、本発明の実施形態による、クロスキャリア・スケジューリングを伴う非コンテンションベースのランダムアクセス手順と、コンテンションベースのランダムアクセス手順と、の概略ブロック図を示す。ランダムアクセス応答RARがPCellで受信された後に、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、インジケータが所定値に設定さているか否かを調べる。インジケータは、1ビットの値により表すことができ、ネットワークにより設定される。例えば、インジケータが「0」を示すとき、ランダムアクセス応答RARはコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであり、一方、インジケータが「1」を示すとき、ランダムアクセス応答RARは非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものである。したがって、UEがランダムアクセス応答RARを受信すると、UEはタイミングアドバンスコマンドを直ちに適用せず、先ずランダムアクセス応答のインジケータを調べる。インジケータが「0」に設定されている場合、UEは、ランダムアクセス応答RARのタイミングアドバンスコマンドを適用し、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作(つまり、メッセージ3の送信)を継続する。他方で、インジケータが「1」に設定されている場合、UEは、タイミングアドバンスコマンドを適用せず、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作を停止する。
【0030】
留意すべき点は、図13−14で、ランダムアクセス応答RARは非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであり、したがって、ネットワークはインジケータを「1」に設定する。したがって、UEは、ランダムアクセス応答RARが自身のためのものではないことが分かり、次に新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、リソースの浪費及びアップリンクの同期動作の遅延を回避する。
【0031】
図15を参照する。図15は、例示的な処理150のフローチャートを示す。処理150は、UEにおいて、クロスキャリア・スケジューリングにおいてランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理150は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ1500:開始
ステップ1510:コンテンションベースのランダムアクセス手順のランダムアクセス・プリアンブルを、無線通信システムのネットワークに送信する。
ステップ1520:アップリンクグラント(uplink grant)を含むランダムアクセス応答をネットワークから受信する。
ステップ1530:受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、アップリンクグラントのサイズに従って決定する。
ステップ1540:終了
処理150によると、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、ランダムアクセス応答内のアップリンクグラントのサイズに従って決定する。例えば、アップリンクグラントのサイズが閾より小さい場合、UEは、受信したランダムアクセス応答は非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用しない。その他の場合、UEは、受信したランダムアクセス応答はコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用する。留意すべき点は、ランダムアクセス応答が自身のためのものではないと決定した後に、UEは、コンテンションベースのランダムアクセス手順でのコンテンション解決動作を中断し、新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、メッセージ3の送信の干渉とリソースの浪費を回避するようにする。
【0032】
処理150の概念に基づく例を検討する。再び図13−14を参照する。図13−14では、ランダムアクセス応答RARがPCellで受信された後に、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、アップリンクグラントのサイズが閾より小さいか否かを調べる。閾は、メッセージ3を送信するためのリソースのサイズに従って決定されてもよい。例えば、ランダムアクセス応答内のアップリンクグラントのサイズがメッセージ3のサイズより小さい場合、UEは、メッセージ3のために十分なリソースを使うことができないので、ランダムアクセス応答RARが自身のためのものではないと決定し、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作を停止する。他方で、ランダムアクセス応答内のアップリンクグラントのサイズがメッセージ3のサイズより大きい場合、UEは、メッセージ3のために十分なリソースを使うことができるので、ランダムアクセス応答RARが自身のためのものであると決定し、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作を継続する。
【0033】
留意すべき点は、図13−14で、ランダムアクセス応答RARは非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであり、したがって、ネットワークは、ランダムアクセス応答内でULに許可するリソースに不十分なリソースしか割り当てない。したがって、UEは、ランダムアクセス応答RARが自身のためのものではないことが分かり、次に新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、リソースの浪費及びアップリンクの同期動作の遅延を回避する。
【0034】
図16を参照する。図16は、例示的な処理160のフローチャートを示す。処理160は、UEにおいて、クロスキャリア・スケジューリングにおいてランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理160は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ1600:開始
ステップ1610:コンテンションベースのランダムアクセス手順のランダムアクセス・プリアンブルを、無線通信システムのネットワークに送信する。
ステップ1620:T-CRNTIを含むランダムアクセス応答をネットワークから受信する。
ステップ1630:受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、temporary-CRNTIの有効性に従って決定する。
ステップ1640:終了
処理160によると、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、temporary-CRNTIの有効性に従って決定する。例えば、T-CRNTIが無効である場合、UEは、受信したランダムアクセス応答は非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用しない。その他の場合、UEは、受信したランダムアクセス応答はコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用する。留意すべき点は、ランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定した後に、UEは、コンテンションベースのランダムアクセス手順でのコンテンション解決動作を中断し、新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、メッセージ3の送信の干渉とリソースの浪費を回避するようにする。
【0035】
処理160の概念に基づく例を検討する。再び図13−14を参照する。図13−14では、ランダムアクセス応答RARがPCellで受信された後に、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、ランダムアクセス応答内のT-CRNTIの有効性を調べる。例えば、T-CRNTIが「0000」又は「FFF4−FFFC」(つまり、予約)に設定されている場合、UEは、受信したランダムアクセス応答はコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定し、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作を停止する。他方で、T-CRNTIが有効な場合、UEは、ランダムアクセス応答はコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではあると決定し、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作を継続する。
【0036】
留意すべき点は、図13−14で、ランダムアクセス応答RARは非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであり、したがって、ネットワークは、ランダムアクセス応答内でT-CRNTIを無効(つまり、「0000」又は「FFF4−FFFC」)に設定する。したがって、UEは、ランダムアクセス応答RARが自身のためのものではないことが分かり、次に新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、リソースの浪費及びアップリンクの同期動作の遅延を回避する。
【0037】
纏めると、本発明は、クロスキャリア・スケジューリングにおいてランダムアクセス応答を処理する方法及び装置を提供し、干渉及びリソースの浪費を回避するようにする。
【符号の説明】
【0038】
200 処理手段
210 記憶ユニット
214 プログラム・コード
220 通信インタフェース・ユニット
300 RRC層
310 PDCP層
320 RLC層
330 MAC層
340 物理層
【技術分野】
【0001】
本願は、無線通信システムで用いられる方法に関し、より詳細には、無線通信システムにおけるランダムアクセス応答を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(third generation partnership project)により創始されたLTE(long-term evolution)システムは、今や、高いデータ・レート、短い待ち時間、パケットの最適化並びにシステム容量及びカバレッジの向上を提供する新しい無線インタフェース及び無線ネットワーク・アーキテクチャと目されている。LTEシステムでは、E-UTRAN(evolved universal terrestrial radio access network)は、複数のeNB(evolved Node-B)を含み、ユーザ機器(UE)とも称される複数の移動局と通信する。
【0003】
LTEシステムの構造によると、UEは、UEから送信される信号が基地局のカバレッジ下にある他のUEから送信された信号と衝突するのを防ぐために、ランダムアクセス手順を実行して、アップリンクのタイミングにおいてUEをサービング基地局と同期化させるタイミングアドバンスコマンド(timing advance command)を得る。さらに、タイミングアドバンスコマンドは、ランダムアクセス手順のランダムアクセス応答メッセージを通じて送信される。留意すべき点は、ランダムアクセス手順が非コンテンションベースのランダムアクセス手順とコンテンションベースのランダムアクセス手順とを有することである。これらは、この技術分野において良く知られているので、ここでは記載されない。詳細には、ネットワークは、媒体アクセス制御プロトコル・データユニット(MAC PDU)を用いて、タイミングアドバンスコマンドをUEへ送信する。MAC PDUは、MACヘッダ、1又は複数のMACランダムアクセス応答(MAC Random Access Response:MAC RAR)及び任意のパディングを有する。MAC PDUヘッダは、1又は複数のMAC PDUサブヘッダを有し、各サブヘッダはMAC RARに対応する。さらに、MAC PDUサブヘッダは、3つのヘッダ・フィールドE/T/RAPIDを有する。ここで、送信されるランダムアクセス・プリアンブルを特定するRAPIDはランダムアクセス・プリアンブル識別子を表す。UEは、RAPIDに基づき対応するMAC RARをデコードする。MAC RARは、4つのフィールドR/Timing Advance Command/UL Grant/Temporary C-RNTIを有する。ここで、Rは予約されたビットを表し、Timing Advance CommandはUEが適用するタイミング調整の量を制御するために用いられるインデックス値を示し、UL Grantはアップリンクで用いられるべきリソースを示し、Temporary C-RNTIはランダムアクセス手順に基づくコンテンション中にUEにより用いられる一時的なアイデンティティを示す。さらに、MAC PDUの割り当ては、RA-RNTIに基づく。RA-RNTIは、UE及びネットワークにより、送信されたランダムアクセス・プリアンブルのタイミング及びRB割り当てに基づき計算される。
【0004】
より高いピーク・データ・レートでデータを送信するような高度な高速無線通信システムのために、LTE-Advancedシステムは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)によりLTEシステムの拡張として標準化されている。LTE-Advancedシステムは、電力状態間のより速い切替を目標とし、セル端における性能を向上し、そして帯域拡張、COMP(coordinated multipoint transmission/reception)、アップリンクのMIMO(multiple input multiple output)等のようなテーマを含んでいる。
【0005】
帯域拡張に関しては、より広い帯域に拡張するために、キャリア・アグリゲーションがLTE-Advancedシステムに導入された。キャリア・アグリゲーションでは、より広い送信帯域幅(例えば、最大100MHz)に対応するため及びスペクトル・アグリゲーションのために、2以上の搬送波成分が束ねられる。キャリア・アグリゲーション機能により、複数の搬送波成分が全体としてより広い帯域幅に束ねられるので、UEは、同時に受信及び/又は送信するために複数の搬送波成分に対応する複数のリンクを確立できる。キャリア・アグリゲーションでは、UEはネットワークとのRRCコネクションを1つだけ有する。RRCコネクションの確立/復旧/ハンドオーバでは、1つのサービング・セルが、NASモビリティ情報及びセキュリティ入力を提供する。このセルは、プライマリ・セル(PCell)と称される。PCellに対応する搬送波成分は、ダウンリンクではDL PCC(Downlink Primary Component Carrier)であり、アップリンクではUL PCC(Uplink Primary Component Carrier)である。また、PCell以外のセルは、セカンダリ・セル(SCell)と称される。
【0006】
さらに、LTE-Advancedシステムでは、搬送波成分の制御シグナリング(つまり、PDCCHアサインメント)は、異なる搬送波成分で送信される。これは、以下ではクロスキャリア・スケジューリングと表される。例えば、非コンテンション・ランダムアクセス手順のランダムアクセス・プリアンブルのアサインメントのためのPDCCH命令がある搬送波成分で与えられ、非コンテンション・ランダムアクセス手順のランダムアクセス・プリアンブルは別の搬送波成分で送信される。
【0007】
出願人は、クロスキャリア・スケジューリングにおけるランダムアクセス手順のランダムアクセス応答に関連するプリアンブルに注目する。図1を参照する。図1はランダムアクセス応答の衝突の概略図である。図1では、ネットワークは、ランダムアクセス・プリアンブルをそれぞれUE1及びUE2に搬送波成分cc#1を通じて割り当てる。UE1は、搬送波成分cc#1を介してランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。また、UE2は、搬送波成分cc#2を介してランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。言い換えると、ネットワークは、クロスキャリア・スケジューリングにより、ランダムアクセス・プリアンブルをUE2に割り当てる。しかしながら、ネットワークは、同一のランダムアクセス・プリアンブルをUE1及びUE2に同時に割り当ててもよい。この状況では、ネットワークは、2つのランダムアクセス・プリアンブルに、搬送波成分cc#1の1つのランダムアクセス応答のみで応答する。なぜなら、受信したランダムアクセス・プリアンブルは、同じRAPIDに対応するからである。これにより、ランダムアクセス応答の衝突が引き起こされる。しかしながら、UE1及びUE2は、ランダムアクセス応答が自身のためなのか否かが分からない。そして、両者は、アップリンクのタイミング調整のためにランダムアクセス応答内のタイミングアドバンスコマンドを適用する。これは、タイミングアドバンスコマンドがUE1又はUE2に対してのみ的確なので、搬送波成分cc#1又は搬送波成分cc#2で干渉を引き起こし得る。
【0008】
ランダムアクセス応答の衝突を回避するために、ネットワークは、同一のランダムアクセス・プリアンブルを各搬送波成分に同時に割り当てるのを回避し得る。しかしながら、これは、ランダムアクセス・プリアンブルの構成を限定し、全ての搬送波成分に対するランダムアクセス・プリアンブルのアサインメントの柔軟性を制限してしまう。
【0009】
さらに、ネットワークは、搬送波成分cc#1で、クロスキャリア・スケジューリングにより、ランダムアクセス・プリアンブルをUE2に割り当てる。UE2は、搬送波成分cc#2を介して、割り当てられたランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。他方で、UE1は、ランダムアクセス・プリアンブルをランダムに選択し、搬送波成分cc#1を介してランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。しかしながら、ランダムに選択されたランダムアクセス・プリアンブルは、割り当てられたランダムアクセス・プリアンブルと同一かも知れない。ネットワークは、2つのランダムアクセス・プリアンブルに、搬送波成分cc#1の1つのランダムアクセス応答のみで応答する。なぜなら、受信したランダムアクセス・プリアンブルは、同じRAPIDに対応するからである。これにより、ランダムアクセス応答の衝突が引き起こされる。同様に、UE1及びUE2は、ランダムアクセス応答が自身のためなのか否かが分からない。そして、両者は、アップリンクのタイミング調整のために、ランダムアクセス応答内のタイミングアドバンスコマンドを適用する。これは、タイミングアドバンスコマンドがUE1又はUE2に対してのみ的確なので、搬送波成分cc#1又は搬送波成分cc#2で干渉を引き起こし得る。
【0010】
さらに、上述の仕様により、UEは以下に記載されるようなリソースの浪費を引き起こすシナリオに直面する。
【0011】
第1のシナリオでは、図2を参照する。図2は、従来の第1の実施形態によるクロスキャリア・スケジューリングにおけるランダムアクセス応答の衝突の概略図を示す。ネットワークは、PCellのPDCCH命令でSCellのためにプリアンブル・コードを割り当てる(つまり、クロスキャリア・スケジューリング)。したがって、UEは、アップリンクのタイミング同期のために、SCellに対して非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行する。一方では、別のUEが、アップリンクのタイミング同期のために、PCellに対してコンテンションベースのランダムアクセス手順を実行する。コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、SCellのために割り当てられたプリアンブル・コードと同一のプリアンブル・コードを選択する。ネットワークが両方のランダムアクセス・プリアンブルをPCell及びSCellから受信すると、ネットワークは、2つのランダムアクセス・プリアンブルが同一であり同一のRAPIDに対応するので、2つのランダムアクセス・プリアンブルに1つのランダムアクセス応答のみで応答する。タイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答がSCellに対して非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEのためのものであるとすると、2つのUEはランダムアクセス応答内のタイミングアドバンスコマンドを適用する。この状況では、非コンテンションベースのランダムアクセス手順の実行は成功し、SCellでのアップリンク送信には影響しない。しかしながら、タイミングアドバンスコマンドは非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものなので、コンテンションベースのランダムアクセス手順の実行に成功しないかも知れない。例えば、コンテンションベースのランダムアクセス手順のメッセージ3は、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEにとってランダムアクセス応答内のタイミングアドバンスコマンドが不正確なために干渉(つまり、衝突)に直面し得る。したがって、ネットワークは、PCellのUEにHARQ NACKを返す。コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、受信したHARQ NACKの数が特定数に達するまで、引き続き、メッセージ3をネットワークに送信し、そしてPCellの新しいランダムアクセス・プリアンブルを送信する。理解されるように、アップリンクの同期動作は、メッセージ3の再送のために遅延し、リソースはコンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決のために浪費される。
【0012】
第2のシナリオでは、図3を参照する。図3は、従来の第2の実施形態によるクロスキャリア・スケジューリングにおけるランダムアクセス応答の衝突の概略図を示す。第1のシナリオと異なり、SCellの非コンテンションベースのランダムアクセス・プリアンブルのみがネットワークにより受信される。言い換えると、PCellのコンテンションベースのランダムアクセス・プリアンブルは、送信されるが、ネットワークにより受信されない。しかしながら、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、PCellにおけるランダムアクセス応答の受信及びデコーディングによりネットワークにより受信されると、コンテンションベースのプリアンブルを検討し、それによりコンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決を実行する。したがって、干渉及びリソースの浪費が、コンテンションベースのランダムアクセス手順中に生じている。詳しい説明は、以上から分かるので、ここでは省略する。
【0013】
第3のシナリオでは、図4を参照する。図4は、従来の第3の実施形態によるクロスキャリア・スケジューリングにおけるランダムアクセス応答の衝突の概略図を示す。第1のシナリオと異なり、PCellのコンテンションベースのプリアンブルのみがネットワークにより受信される。言い換えると、SCellの非コンテンションベースのプリアンブルは、送信されるが、ネットワークにより受信されない。従来技術によると、ネットワークは、コンテンションベースのプリアンブルにPCellにおけるランダムアクセス応答で応答する。しかしながら、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、ランダムアクセス応答RARが非コンテンションベースのプリアンブルのためのものであると見なすので、ランダムアクセス応答の混乱を引き起こす。さらに、UEは、非コンテンションベースのランダムアクセス手順が成功したと判断し、ランダムアクセス応答内のタイミングアドバンスコマンドを適用する。したがって、干渉及びリソースの浪費が、SCellに対するコンテンションベースのランダムアクセス手順中に生じている。詳しい説明は、以上から分かるので、ここでは省略する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上に鑑み、本願は、上述の問題を解決するために、無線通信システムにおけるランダムアクセス応答を処理する方法を提供することを目的とする。
【0015】
これは、請求項1、3、4、7、11及び16に記載のランダムアクセス応答を処理する方法により達成される。従属請求項は、対応する更なる発展及び改良に関する。
【0016】
以下の詳細な説明から一層明らかに分かるように、無線通信システムにおいてネットワークのランダムアクセス応答を処理する方法であって、請求される前記方法は、前記無線通信システムの第1の移動体装置から、複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分で、第1のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップ、前記無線通信システムの第2の移動体装置から、前記複数の搬送波成分のうちの第2の搬送波成分で、第2のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップであって、前記第2のランダムアクセス・プリアンブルは、前記第1のランダムアクセス・プリアンブルと同じであり、前記ネットワークにより割り当てられる、ステップ、前記第1の搬送波成分で、前記第2の移動体装置と関連付けられたタイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答により、前記割り当てられた第2のランダムアクセス・プリアンブルに応答するステップ、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術によるランダムアクセス応答の衝突の概略図である。
【図2】従来技術によるコンテンションベースのランダムアクセス手順及び非コンテンションベースのランダムアクセス手順における、ランダムアクセス応答の衝突の概略図である。
【図3】従来技術によるコンテンションベースのランダムアクセス手順及び非コンテンションベースのランダムアクセス手順における、ランダムアクセス応答の衝突の概略図である。
【図4】従来技術によるコンテンションベースのランダムアクセス手順及び非コンテンションベースのランダムアクセス手順における、ランダムアクセス応答の衝突の概略図である。
【図5】例示的な無線通信システムの概略図である。
【図6】例示的な通信装置の概略図である。
【図7】例示的な通信システムの通信プロトコル・レイヤの概略図である。
【図8】例示的な処理のフローチャートである。
【図9】例示的な処理のフローチャートである。
【図10】例示的な処理のフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態による非コンテンションベースのランダムアクセス手順の概略ブロック図を示す。
【図12】例示的な処理のフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態による、クロスキャリア・スケジューリングによる非コンテンションベースのランダムアクセス手順、及びコンテンションベースのランダムアクセス手順の概略ブロック図を示す。
【図14】本発明の実施形態による、クロスキャリア・スケジューリングによる非コンテンションベースのランダムアクセス手順、及びコンテンションベースのランダムアクセス手順の概略ブロック図を示す。
【図15】例示的な処理のフローチャートである。
【図16】例示的な処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図5を参照する。図5は無線通信システム10の概略図である。無線通信システム10は、LTE-A(Long-Term Evolution advanced)システム又は他の移動通信システムであり、簡単に言うとネットワーク及び複数のユーザ機器(UE)を有する。図5では、ネットワーク及びUEは、単に無線通信システム10の構造を説明するために用いられる。実際には、ネットワークは、複数のeNB(evolved base station)を有するE-UTRAN(evolved universal terrestrial radio access network)であってもよい。UEは、携帯電話機のような装置、コンピュータ・システム等であってもよい。さらに、ネットワーク及びUEは、伝送方向によって送信機又は受信機と見なされてもよい。例えばアップリンク(UL)では、UEは送信機でありネットワークは受信機である。またダウンリンク(DL)では、ネットワークが送信機でありUEが受信機である。
【0019】
図6は、例示的な通信装置20の概略図である。通信装置20は、図4に示された移動体装置10又は基地局BS1-BSnであってもよいが、これらに限定されない。通信装置20は、マイクロプロセッサ又は特定用途向け集積回路(ASIC)のような処理手段200、記憶ユニット210及び通信インタフェース・ユニット220を有してもよい。記憶ユニット210は、処理手段200によるアクセスのためにプログラム・コード214を格納できるデータ記憶装置であってもよい。記憶ユニット210の例は、限定ではなく、加入者識別モジュール(SIM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、CD−ROM、磁気テープ、ハード・ディスク、及び光学データ記憶装置を含む。通信インタフェース・ユニット220は、望ましくは無線通信機であり、処理手段200の処理結果に従いネットワークと無線信号を交換できる。
【0020】
図7を参照する。図7はLTE-Advancedシステムの通信プロトコル・レイヤの概略図である。幾つかのプロトコル・レイヤの動作は、プログラム・コード214で定められ、処理手段200により実行されてもよい。プロトコル・レイヤは、上から下へ、無線リソース制御(radio resource control:RRC)層300,パケット・データ・コンバージェンス・プロトコル(packet data convergence protocol:PDCP)レイヤ310、無線リンク制御(radio link control:RLC)層320、媒体アクセス制御(medium access control:MAC)層330及び物理(PHY)層340である。MAC層330の主なサービス及び機能は、HARQを通じた誤り訂正、ランダムアクセス手順を通じたアップリンクの同期等を含む。
【0021】
クロスキャリア・スケジューリングにおけるランダムアクセス応答の衝突により引き起こされる干渉及びリソースの浪費を回避するために、本発明は、MAC PDUフォーマット及び/又はランダムアクセス・プリアンブルの構成を変更することなく、上述の問題を解決する方法を提供する。
【0022】
図8を参照する。図8は、例示的な処理80のフローチャートを示す。処理80は、図5の基地局のようなネットワークで、ランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理80は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ800:開始
ステップ810:第1のランダムアクセス・プリアンブルを、第1のUEから、複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分で受信する。
ステップ820:第2のランダムアクセス・プリアンブルを、第2のUEから、複数の搬送波成分のうちの第2の搬送波成分で受信する。第2のランダムアクセス・プリアンブルは、第1のランダムアクセス・プリアンブルと同一であり、ネットワークにより割り当てられる。
ステップ830:割り当てられた第2のランダムアクセス・プリアンブルに、第1の搬送波成分において、第2のUEと関連付けられたタイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答で応答する。
ステップ840:終了
処理80によると、ネットワークは、受信したランダムアクセス・プリアンブルのうちのどれが非コンテンションベースのランダムアクセス手順に用いられるかを特定し(つまり、受信したランダムアクセス・プリアンブルが自身により割り当てられたか否かを調べることによる)、ランダムアクセス応答を送信して、第1の搬送波成分で非コンテンションベースのプリアンブルに応答する。簡単に言うと、ネットワークは、非コンテンションベースのランダムアクセス手順がコンテンションベースのランダムアクセス手順よりも高い優先度を有すると決定し、それにより、ネットワークが同一のランダムアクセス・プリアンブルを同時に受信したとき、コンテンションベースのランダムアクセス手順のランダムに選択されたランダムアクセス・プリアンブルを無視する。
【0023】
処理80に基づく例を検討する。ネットワークは、PCellのPDCCH命令でSCellのためにプリアンブル・コードを割り当てる(つまり、クロスキャリア・スケジューリング)。したがって、UEは、アップリンクのタイミング同期のために、SCellに対して非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行する。一方では、別のUEが、アップリンクのタイミング同期のために、PCellに対してコンテンションベースのランダムアクセス手順を実行する。コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、SCellのために割り当てられたプリアンブル・コードと同一のプリアンブル・コードを選択する。ネットワークが両方のランダムアクセス・プリアンブルをPCell及びSCellから受信すると、ネットワークは、非コンテンションベースのプリアンブルにランダムアクセス応答で応答し、コンテンションベースのプリアンブルを無視する。処理80の概念に基づくと、ネットワークは、非コンテンションベースのプリアンブルとコンテンションベースのプリアンブルとが同一であり、それらが同時に受信された場合に、ランダムアクセス応答をどのように処理するかを知っている。
【0024】
図9を参照する。図9は、例示的な処理90のフローチャートを示す。処理90は、図5の基地局のようなネットワークで、ランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理90は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ900:開始
ステップ910:第1のランダムアクセス・プリアンブルを、第1のUEのために、複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分において割り当てる。
ステップ920:第2のランダムアクセス・プリアンブルを、第2のUEから、第2の搬送波成分で受信する。第2のランダムアクセス・プリアンブルは、第1のランダムアクセス・プリアンブルと同一である。
ステップ930:ある時間期間中、第1のランダムアクセス・プリアンブルを、第1のUEから、第1の搬送波成分で受信しない。
ステップ940:第1及び第2のランダムアクセス・プリアンブルに、ランダムアクセス応答で応答しない。
ステップ950:終了
処理90によると、ネットワークは、非コンテンションベースのプリアンブルが受信されない場合、受信したコンテンションベースのプリアンブルに応答せず、従来技術で説明したようなランダムアクセス応答の衝突を回避するようにする。したがって、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、送信したプリアンブルが受信されていないことが分かり、新しいランダムアクセス手順を実行するための別の命令を待つ。同様に、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、ランダムアクセスが受信されないので、ランダムアクセス手順をもう一度繰り返す。
【0025】
図10を参照する。図10は、例示的な処理100のフローチャートを示す。処理100は、UEにおいて、クロスキャリア・スケジューリングにおいてランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理100は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ1000:開始
ステップ1010:無線通信システムのネットワークにより、複数の搬送波成分のうちの1つのランダムアクセス・プリアンブルを割り当てられる。
ステップ1020:ランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。
ステップ1030:T-CRNTIを含み及びランダムアクセス・プリアンブルに対応するランダムアクセス応答を、ネットワークから受信する。
ステップ1040:タイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答がUEのためのものか否かを、ランダムアクセス応答内のT-CRNTIに従って決定する。
ステップ1050:終了
処理100によると、ランダムアクセス応答を受信した後に、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、受信したランダムアクセス応答内のT-CRNTIを調べ、受信したランダムアクセス応答が自身のためのものか否かを確かめる。ランダムアクセス応答のT-CRNTIがUE内のC-RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)と一致する場合、UEは、受信したランダムアクセス応答が自身のためのものであると決定し、次に、アップリンク同期のために、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用する。その他の場合、UEは、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用せず、受信したランダムアクセス応答は他者のためのものであると見なす。
【0026】
処理100に基づく例を検討する。図11を参照する。図11は、本発明の実施形態による非コンテンションベースのランダムアクセス手順の概略ブロック図を示す。ネットワークは、ランダムアクセス・プリアンブルをそれぞれUE1及びUE2に搬送波成分cc#1を通じて割り当てる。言い換えると、ネットワークは、クロスキャリア・スケジューリングにより、ランダムアクセス・プリアンブルをUE2に割り当てる。UE1は、搬送波成分cc#1を介してランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。また、UE2は、搬送波成分cc#2を介してランダムアクセス・プリアンブルをネットワークに送信する。上述のように、ネットワークは、同一のランダムアクセス・プリアンブルをUE1及びUE2に割り当ててもよい。したがって、それらは、プリアンブルを同時に送信してもよい。この状況では、ネットワークは、搬送波成分cc#1でUE2からのランダムアクセス・プリアンブルに応答する。UE1及びUE2がランダムアクセス応答を搬送波成分cc#1で受信しデコードした後に、UE1及びUE2は、それぞれ、ランダムアクセス応答が自身のためのものか否かを知るために、ランダムアクセス応答内のT-CRNTIを調べる。理解されるように、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEがランダムアクセス応答を受信したとき、UEは、直ちにタイミングアドバンスコマンドを適用せずに、ランダムアクセス応答のT-CRNTIを調べ、不適切なタイミングアドバンスコマンドを適用するのを回避するようにする。
【0027】
別の例を次に示す。PCellのコンテンションベースのプリアンブルは、ネットワークにより受信されるが、SCellの非コンテンションベースのプリアンブルは、ネットワークにより受信されない。ネットワークは、非コンテンションベースのプリアンブルが受信されないので、コンテンションベースのプリアンブルに、PCellにおいてT-CRNTIを含むランダムアクセス応答で応答する。割り当てられたT-CRNTIは、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEのために用いられたC-RNTIと同一であってはならない。処理100の概念に基づくと、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、ランダムアクセス応答を受信した後に、ランダムアクセス応答が自身のためのものか否かを知るために、ランダムアクセス応答内のT-CRNTIを調べる。この場合、非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、T-CRNTIが自身のためのものではないことが分かるので、ランダムアクセス応答が非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定する。したがって、UEは、新しい非コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行するための別の命令を待つ。代替として、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、応答を受信するのに伴い、以下のコンテンション解決を実行してもよい。
【0028】
図12を参照する。図12は、例示的な処理120のフローチャートを示す。処理120は、UEにおいて、クロスキャリア・スケジューリングにおいてランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理120は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ1200:開始
ステップ1210:コンテンションベースのランダムアクセス手順のランダムアクセス・プリアンブルを、無線通信システムのネットワークに送信する。
ステップ1220:インジケータを含むランダムアクセス応答をネットワークから受信する。
ステップ1230:受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、ランダムアクセス応答内のインジケータに従って決定する。
ステップ1240:終了
処理120によると、インジケータは、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEが、受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを決定するために、ランダムアクセス応答内に定められる。例えば、インジケータが、ランダムアクセス応答は非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであると示す場合、UEは、受信したランダムアクセス応答は他者のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用しない。他方で、インジケータが、ランダムアクセス応答は非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと示す場合、UEは、受信したランダムアクセス応答は自身のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用する。留意すべき点は、ランダムアクセス応答が自身のためのものではないと決定した後に、UEは、コンテンションベースのランダムアクセス手順でのコンテンション解決動作を中断し、新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、メッセージ3の送信の干渉とリソースの浪費を回避するようにする。
【0029】
処理120の概念に基づく例を検討する。図13−14を参照する。図13−14は、本発明の実施形態による、クロスキャリア・スケジューリングを伴う非コンテンションベースのランダムアクセス手順と、コンテンションベースのランダムアクセス手順と、の概略ブロック図を示す。ランダムアクセス応答RARがPCellで受信された後に、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、インジケータが所定値に設定さているか否かを調べる。インジケータは、1ビットの値により表すことができ、ネットワークにより設定される。例えば、インジケータが「0」を示すとき、ランダムアクセス応答RARはコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであり、一方、インジケータが「1」を示すとき、ランダムアクセス応答RARは非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものである。したがって、UEがランダムアクセス応答RARを受信すると、UEはタイミングアドバンスコマンドを直ちに適用せず、先ずランダムアクセス応答のインジケータを調べる。インジケータが「0」に設定されている場合、UEは、ランダムアクセス応答RARのタイミングアドバンスコマンドを適用し、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作(つまり、メッセージ3の送信)を継続する。他方で、インジケータが「1」に設定されている場合、UEは、タイミングアドバンスコマンドを適用せず、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作を停止する。
【0030】
留意すべき点は、図13−14で、ランダムアクセス応答RARは非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであり、したがって、ネットワークはインジケータを「1」に設定する。したがって、UEは、ランダムアクセス応答RARが自身のためのものではないことが分かり、次に新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、リソースの浪費及びアップリンクの同期動作の遅延を回避する。
【0031】
図15を参照する。図15は、例示的な処理150のフローチャートを示す。処理150は、UEにおいて、クロスキャリア・スケジューリングにおいてランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理150は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ1500:開始
ステップ1510:コンテンションベースのランダムアクセス手順のランダムアクセス・プリアンブルを、無線通信システムのネットワークに送信する。
ステップ1520:アップリンクグラント(uplink grant)を含むランダムアクセス応答をネットワークから受信する。
ステップ1530:受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、アップリンクグラントのサイズに従って決定する。
ステップ1540:終了
処理150によると、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、ランダムアクセス応答内のアップリンクグラントのサイズに従って決定する。例えば、アップリンクグラントのサイズが閾より小さい場合、UEは、受信したランダムアクセス応答は非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用しない。その他の場合、UEは、受信したランダムアクセス応答はコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用する。留意すべき点は、ランダムアクセス応答が自身のためのものではないと決定した後に、UEは、コンテンションベースのランダムアクセス手順でのコンテンション解決動作を中断し、新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、メッセージ3の送信の干渉とリソースの浪費を回避するようにする。
【0032】
処理150の概念に基づく例を検討する。再び図13−14を参照する。図13−14では、ランダムアクセス応答RARがPCellで受信された後に、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、アップリンクグラントのサイズが閾より小さいか否かを調べる。閾は、メッセージ3を送信するためのリソースのサイズに従って決定されてもよい。例えば、ランダムアクセス応答内のアップリンクグラントのサイズがメッセージ3のサイズより小さい場合、UEは、メッセージ3のために十分なリソースを使うことができないので、ランダムアクセス応答RARが自身のためのものではないと決定し、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作を停止する。他方で、ランダムアクセス応答内のアップリンクグラントのサイズがメッセージ3のサイズより大きい場合、UEは、メッセージ3のために十分なリソースを使うことができるので、ランダムアクセス応答RARが自身のためのものであると決定し、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作を継続する。
【0033】
留意すべき点は、図13−14で、ランダムアクセス応答RARは非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであり、したがって、ネットワークは、ランダムアクセス応答内でULに許可するリソースに不十分なリソースしか割り当てない。したがって、UEは、ランダムアクセス応答RARが自身のためのものではないことが分かり、次に新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、リソースの浪費及びアップリンクの同期動作の遅延を回避する。
【0034】
図16を参照する。図16は、例示的な処理160のフローチャートを示す。処理160は、UEにおいて、クロスキャリア・スケジューリングにおいてランダムアクセス応答を処理するために用いられる。処理160は、プログラム・コード214にコンパイルでき、以下の段階を有する。
ステップ1600:開始
ステップ1610:コンテンションベースのランダムアクセス手順のランダムアクセス・プリアンブルを、無線通信システムのネットワークに送信する。
ステップ1620:T-CRNTIを含むランダムアクセス応答をネットワークから受信する。
ステップ1630:受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、temporary-CRNTIの有効性に従って決定する。
ステップ1640:終了
処理160によると、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、受信したランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、temporary-CRNTIの有効性に従って決定する。例えば、T-CRNTIが無効である場合、UEは、受信したランダムアクセス応答は非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用しない。その他の場合、UEは、受信したランダムアクセス応答はコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであると決定し、ランダムアクセス応答のタイミングアドバンスコマンドを適用する。留意すべき点は、ランダムアクセス応答がコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定した後に、UEは、コンテンションベースのランダムアクセス手順でのコンテンション解決動作を中断し、新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、メッセージ3の送信の干渉とリソースの浪費を回避するようにする。
【0035】
処理160の概念に基づく例を検討する。再び図13−14を参照する。図13−14では、ランダムアクセス応答RARがPCellで受信された後に、コンテンションベースのランダムアクセス手順を実行しているUEは、ランダムアクセス応答内のT-CRNTIの有効性を調べる。例えば、T-CRNTIが「0000」又は「FFF4−FFFC」(つまり、予約)に設定されている場合、UEは、受信したランダムアクセス応答はコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定し、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作を停止する。他方で、T-CRNTIが有効な場合、UEは、ランダムアクセス応答はコンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではあると決定し、コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決動作を継続する。
【0036】
留意すべき点は、図13−14で、ランダムアクセス応答RARは非コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものであり、したがって、ネットワークは、ランダムアクセス応答内でT-CRNTIを無効(つまり、「0000」又は「FFF4−FFFC」)に設定する。したがって、UEは、ランダムアクセス応答RARが自身のためのものではないことが分かり、次に新しいランダムアクセス・プリアングルを送信して、リソースの浪費及びアップリンクの同期動作の遅延を回避する。
【0037】
纏めると、本発明は、クロスキャリア・スケジューリングにおいてランダムアクセス応答を処理する方法及び装置を提供し、干渉及びリソースの浪費を回避するようにする。
【符号の説明】
【0038】
200 処理手段
210 記憶ユニット
214 プログラム・コード
220 通信インタフェース・ユニット
300 RRC層
310 PDCP層
320 RLC層
330 MAC層
340 物理層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおけるネットワークのためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
前記無線通信システムの第1の移動体装置から、複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分で、第1のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップ、
前記無線通信システムの第2の移動体装置から、前記複数の搬送波成分のうちの第2の搬送波成分で、第2のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップであって、前記第2のランダムアクセス・プリアンブルは、前記第1のランダムアクセス・プリアンブルと同じであり、前記ネットワークにより割り当てられる、ステップ、
前記第1の搬送波成分で、前記第2の移動体装置と関連付けられたタイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答により、前記割り当てられた第2のランダムアクセス・プリアンブルに応答するステップ、
を有する方法。
【請求項2】
前記第1の移動体装置からの前記第1の搬送波成分の前記第1のランダムアクセス・プリアンブルを無視するステップ、
を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
無線通信システムにおけるネットワークのためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分で、第1の移動体装置のために第1のランダムアクセス・プリアンブルを割り当てるステップ、
第2の移動体装置から、第2の搬送波成分で、第2のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップであって、前記第2のランダムアクセス・プリアンブルは、前記第1のランダムアクセス・プリアンブルと同じである、ステップ、
前記第1の移動体装置から、前記第1の搬送波成分で、ある時間期間中に、割り当てられた第1のランダムアクセス応答を受信しないステップ、
前記第1のランダムアクセス・プリアンブル及び前記第2のランダムアクセス・プリアンブルに対するランダムアクセス応答を応答しないステップ、
を有する方法。
【請求項4】
無線通信システムにおける移動体装置のためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
前記無線通信システムのネットワークにより複数の搬送波成分のうちの1つでランダムアクセス・プリアンブルを割り当てられるステップ、
前記ランダムアクセス・プリアンブルを前記ネットワークに送信するステップ、
T-CRNTI(temporary cell radio network temporary identifier)を含み前記ランダムアクセス・プリアンブルに対応するランダムアクセス応答を、前記ネットワークから受信するステップ、
タイミングアドバンスコマンドを含む前記ランダムアクセス応答が前記移動体装置のためのものか否かを前記ランダムアクセス応答内の前記T-CRNTIに従って決定するステップ、
を有する方法。
【請求項5】
前記タイミングアドバンスコマンドを含む前記ランダムアクセス応答が前記移動体装置のためのものか否かを前記ランダムアクセス応答内の前記T-CRNTIに従って決定するステップは、
前記T-CRNTIが前記移動体装置のC-RNTIに等しいとき、前記ランダムアクセス応答は前記移動体装置のためのものであると決定するステップ、
アップリンクの同期のために、前記ランダムアクセス応答に含まれるタイミングアドバンスコマンドを適用するステップ、
を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記タイミングアドバンスコマンドを含む前記ランダムアクセス応答が前記移動体装置のためのものか否かを前記ランダムアクセス応答内の前記T-CRNTIに従って決定するステップは、
前記T-CRNTIが前記移動体装置のC-RNTIに等しくないとき、前記ランダムアクセス応答は前記移動体装置のためのものではないと決定するステップ、
アップリンクの同期のために、前記ランダムアクセス応答に含まれるタイミングアドバンスコマンドを適用しないステップ、
を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
無線通信システムにおける移動体装置のためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
コンテンションベースのランダムアクセス手順の第1のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムのネットワークへ送信するステップ、
インジケータを含むランダムアクセス応答を前記ネットワークから受信するステップ、
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記ランダムアクセス応答内の前記インジケータに従って決定するステップ、
を有する方法。
【請求項8】
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記ランダムアクセス応答内の前記インジケータに従って決定するステップは、
前記インジケータが所定値に設定されているとき、前記ランダムアクセス応答は前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定するステップ、
を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定したとき、前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決を中断するステップ、
を更に有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コンテンションベースのランダムアクセス手順の第2のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムの前記ネットワークへ送信するステップ、
を更に有する請求項8に記載の方法。
【請求項11】
無線通信システムにおける移動体装置のためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
コンテンションベースのランダムアクセス手順の第1のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムのネットワークへ送信するステップ、
アップリンクグラントを含むランダムアクセス応答を前記ネットワークから受信するステップ、
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記ランダムアクセス応答内の前記アップリンクグラントのサイズに従って決定するステップ、
を有する方法。
【請求項12】
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記ランダムアクセス応答内の前記アップリンクグラントのサイズに従って決定するステップは、
前記アップリンクグラントのサイズが閾より小さいとき、前記ランダムアクセス応答は前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定するステップ、
を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定したとき、前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決を中断するステップ、
を更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンテンションベースのランダムアクセス手順の第2のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムの前記ネットワークへ送信するステップ、
を更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記閾は、前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のメッセージ3のサイズに従って決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
無線通信システムにおける移動体装置のためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
コンテンションベースのランダムアクセス手順の第1のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムのネットワークへ送信するステップ、
T-CRNTI(temporary cell radio network temporary identifier)を含むランダムアクセス応答を前記ネットワークから受信するステップ、
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記T-CRNTIの有効性に従って決定するステップ、
を有する方法。
【請求項17】
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記T-CRNTIの有効性に従って決定するステップは、
前記T-CRNTIが無効であるか又は所定値に設定されているとき、前記ランダムアクセス応答は前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定するステップ、
を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定したとき、前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決を中断するステップ、
を更に有する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コンテンションベースのランダムアクセス手順の第2のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムの前記ネットワークへ送信するステップ、
を更に有する請求項17に記載の方法。
【請求項1】
無線通信システムにおけるネットワークのためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
前記無線通信システムの第1の移動体装置から、複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分で、第1のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップ、
前記無線通信システムの第2の移動体装置から、前記複数の搬送波成分のうちの第2の搬送波成分で、第2のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップであって、前記第2のランダムアクセス・プリアンブルは、前記第1のランダムアクセス・プリアンブルと同じであり、前記ネットワークにより割り当てられる、ステップ、
前記第1の搬送波成分で、前記第2の移動体装置と関連付けられたタイミングアドバンスコマンドを含むランダムアクセス応答により、前記割り当てられた第2のランダムアクセス・プリアンブルに応答するステップ、
を有する方法。
【請求項2】
前記第1の移動体装置からの前記第1の搬送波成分の前記第1のランダムアクセス・プリアンブルを無視するステップ、
を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
無線通信システムにおけるネットワークのためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
複数の搬送波成分のうちの第1の搬送波成分で、第1の移動体装置のために第1のランダムアクセス・プリアンブルを割り当てるステップ、
第2の移動体装置から、第2の搬送波成分で、第2のランダムアクセス・プリアンブルを受信するステップであって、前記第2のランダムアクセス・プリアンブルは、前記第1のランダムアクセス・プリアンブルと同じである、ステップ、
前記第1の移動体装置から、前記第1の搬送波成分で、ある時間期間中に、割り当てられた第1のランダムアクセス応答を受信しないステップ、
前記第1のランダムアクセス・プリアンブル及び前記第2のランダムアクセス・プリアンブルに対するランダムアクセス応答を応答しないステップ、
を有する方法。
【請求項4】
無線通信システムにおける移動体装置のためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
前記無線通信システムのネットワークにより複数の搬送波成分のうちの1つでランダムアクセス・プリアンブルを割り当てられるステップ、
前記ランダムアクセス・プリアンブルを前記ネットワークに送信するステップ、
T-CRNTI(temporary cell radio network temporary identifier)を含み前記ランダムアクセス・プリアンブルに対応するランダムアクセス応答を、前記ネットワークから受信するステップ、
タイミングアドバンスコマンドを含む前記ランダムアクセス応答が前記移動体装置のためのものか否かを前記ランダムアクセス応答内の前記T-CRNTIに従って決定するステップ、
を有する方法。
【請求項5】
前記タイミングアドバンスコマンドを含む前記ランダムアクセス応答が前記移動体装置のためのものか否かを前記ランダムアクセス応答内の前記T-CRNTIに従って決定するステップは、
前記T-CRNTIが前記移動体装置のC-RNTIに等しいとき、前記ランダムアクセス応答は前記移動体装置のためのものであると決定するステップ、
アップリンクの同期のために、前記ランダムアクセス応答に含まれるタイミングアドバンスコマンドを適用するステップ、
を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記タイミングアドバンスコマンドを含む前記ランダムアクセス応答が前記移動体装置のためのものか否かを前記ランダムアクセス応答内の前記T-CRNTIに従って決定するステップは、
前記T-CRNTIが前記移動体装置のC-RNTIに等しくないとき、前記ランダムアクセス応答は前記移動体装置のためのものではないと決定するステップ、
アップリンクの同期のために、前記ランダムアクセス応答に含まれるタイミングアドバンスコマンドを適用しないステップ、
を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
無線通信システムにおける移動体装置のためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
コンテンションベースのランダムアクセス手順の第1のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムのネットワークへ送信するステップ、
インジケータを含むランダムアクセス応答を前記ネットワークから受信するステップ、
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記ランダムアクセス応答内の前記インジケータに従って決定するステップ、
を有する方法。
【請求項8】
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記ランダムアクセス応答内の前記インジケータに従って決定するステップは、
前記インジケータが所定値に設定されているとき、前記ランダムアクセス応答は前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定するステップ、
を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定したとき、前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決を中断するステップ、
を更に有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コンテンションベースのランダムアクセス手順の第2のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムの前記ネットワークへ送信するステップ、
を更に有する請求項8に記載の方法。
【請求項11】
無線通信システムにおける移動体装置のためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
コンテンションベースのランダムアクセス手順の第1のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムのネットワークへ送信するステップ、
アップリンクグラントを含むランダムアクセス応答を前記ネットワークから受信するステップ、
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記ランダムアクセス応答内の前記アップリンクグラントのサイズに従って決定するステップ、
を有する方法。
【請求項12】
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記ランダムアクセス応答内の前記アップリンクグラントのサイズに従って決定するステップは、
前記アップリンクグラントのサイズが閾より小さいとき、前記ランダムアクセス応答は前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定するステップ、
を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定したとき、前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決を中断するステップ、
を更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンテンションベースのランダムアクセス手順の第2のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムの前記ネットワークへ送信するステップ、
を更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記閾は、前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のメッセージ3のサイズに従って決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
無線通信システムにおける移動体装置のためのランダムアクセス応答を処理する方法であって、前記方法は、
コンテンションベースのランダムアクセス手順の第1のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムのネットワークへ送信するステップ、
T-CRNTI(temporary cell radio network temporary identifier)を含むランダムアクセス応答を前記ネットワークから受信するステップ、
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記T-CRNTIの有効性に従って決定するステップ、
を有する方法。
【請求項17】
前記の受信したランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものか否かを、前記T-CRNTIの有効性に従って決定するステップは、
前記T-CRNTIが無効であるか又は所定値に設定されているとき、前記ランダムアクセス応答は前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定するステップ、
を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ランダムアクセス応答が前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のためのものではないと決定したとき、前記コンテンションベースのランダムアクセス手順のコンテンション解決を中断するステップ、
を更に有する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コンテンションベースのランダムアクセス手順の第2のランダムアクセス・プリアンブルを、前記無線通信システムの前記ネットワークへ送信するステップ、
を更に有する請求項17に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−27045(P2013−27045A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−160535(P2012−160535)
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【出願人】(390023582)財團法人工業技術研究院 (524)
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【出願人】(390023582)財團法人工業技術研究院 (524)
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】
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