説明

ランプ保護カバー

【課題】運搬時や取り付け作業時におけるランプの破損や汚損を防止することができると共に、作業性を向上することができるランプ保護カバーを提供すること。
【解決手段】ランプ保護カバー10は、折り畳み可能に形成された帯状のシート体11と、シート体11の内面11aに設けられ、第1ランプ3を収納する第1収納部材20と、シート体11の内面11aに設けられ、第2ランプ4を収納する第2収納部材30と、シート体11の内面11aに設けられ、第3ランプ5を収納する第3収納部材40と、シート体11の内面11aの一端及び外面11bの一端に設けられた面状ファスナ部12と、シート体11の外面11bに設けられた係止リング50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空障害灯のランプを運搬時や取り付け作業時の破損等から保護するランプ保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地上から60m以上の高さを有する送電鉄塔や高層ビル等は、航空機等の安全な飛行の障害となることから、航空法等によって航空障害灯の設置が義務付けられている。このような航空障害灯の光源として、例えば、直管状のキセノンランプや蛍光ランプ(以下、単にランプと称する)が知られている。
【0003】
具体的には、これらのランプは、発光源としてのガラス管部と、当該ガラス管部の一端及び他端に設けられる取付金具部と、を備える。この取付金具部には、配線及び端子が接続されている。これらの端子は、航空障害灯の内部に配設された端子盤に接続され、ランプに電力が供給される。航空障害灯は、このように構成されたランプを複数(例えば、3本)備えていることが多い。
【0004】
このような航空障害灯のランプが寿命等で切れた場合、作業員が新規なランプを携行して高所まで登り、ランプの交換作業を行なう必要があった。
上述したように、ランプは破損し易いガラス管部を備えている。このため、作業員は、いわゆるエアマットや紙箱等の緩衝性を有する収納部材にランプを収納し、これらをリュック等に入れ高所へ運搬して交換作業を行っていた。
【0005】
なお、従来のランプ保護具として、直管状の蛍光管の両端部に取り付けられ、当該蛍光管を内側に入れて被う筒状部を両端部で支持する蛍光灯用飛散防止具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3418179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術にあっては、一般家屋や工場、店舗等に設置された蛍光灯が、外力等を受けて破損した場合にその破片等の飛散防止を図るものであり、航空障害灯が設置された高所へのランプの運搬や取り付け作業性等については考慮されていない。このため、上記従来技術をそのまま航空障害灯のランプに適用することができなかった。
【0008】
特に、高所での限られた作業スペースにおいて、破損や汚損、落下等に細心の注意を払いながらのランプの交換作業は、作業性が極めて悪く、作業員に多大な負担を強いるものであった。
したがって、運搬時や取り付け作業時におけるランプの破損や汚損を防止することができると共に、作業性を向上することができるランプの保護手段の提供が望まれていた。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運搬時や取り付け作業時におけるランプの破損や汚損を防止することができると共に、作業性を向上することができるランプ保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、以下のようなランプ保護カバーを提供する。
【0011】
(1) 航空障害灯の発光源となる直管状のガラス管部と、当該ガラス管部の一端及び他端に設けられる取付金具部と、をそれぞれ備える第1ランプ、第2ランプ及び第3ランプを挿抜自在に収納するランプ保護カバーであって、折り畳み可能に形成された帯状のシート体と、両端部を開口して筒状に形成され、前記第1ランプの前記取付金具部を露出させた状態で前記ガラス管部を収納する収納空間部と、当該収納空間部と連通し、かつ、当該収納空間部の長手方向に沿って開口され、当該収納空間部に対して前記第1ランプを挿抜可能に形成された切込み部と、を有する第1収納部材と、両端部を開口して筒状に形成され、前記第2ランプの前記取付金具部を露出させた状態で前記ガラス管部を収納する収納空間部と、当該収納空間部と連通し、かつ、当該収納空間部の長手方向に沿って開口され、当該収納空間部に対して前記第2ランプを挿抜可能に形成された切込み部と、を有する第2収納部材と、両端部を開口して筒状に形成され、前記第3ランプの前記取付金具部を露出させた状態で前記ガラス管部を収納する収納空間部と、当該収納空間部と連通し、かつ、当該収納空間部の長手方向に沿って開口され、当該収納空間部に対して前記第3ランプを挿抜可能に形成された切込み部と、を有する第3収納部材と、前記シート体の一方の面に設けられる係合部と他方の面に設けられる被係合部とからなり、当該係合部と当該被係合部とを互いに圧接することによって着脱自在に係合する面状ファスナ部と、を備え、前記第1収納部材、前記第2収納部材及び前記第3収納部材は、前記切込み部を露出させた状態で互いに略平行となるように所定間隔を空けて前記シート体の一方の面に当該第1収納部材、当該第2収納部材及び当該第3収納部材の順に固定され、かつ、当該シート体を当該第1収納部材と当該第2収納部材と当該第3収納部材とを包含して折り畳んだときに、当該第3収納部材が当該第1収納部材と当該第2収納部材との間に近接して配置されることを特徴とする。
【0012】
第1ランプのガラス管部は、第1収納部材の切込み部から収納空間部に収納され、外力や汚損等から保護される。第2ランプのガラス管部は、第2収納部材の切込み部から収納空間部に収納され、外力や汚損等から保護される。第3ランプのガラス管部は、第3収納部材の切込み部から収納空間部に収納され、外力や汚損等から保護される。
また、第1ランプ、第2ランプ及び第3ランプを収納した第1収納部材、第2収納部材及び第3収納部材は、シート体を折り畳むことによって当該シート体に包含される。シート体は、面状ファスナ部の係合によって折り畳まれた状態を維持されるので、第1ランプ、第2ランプ及び第3ランプをコンパクトに収納することができ、高所へ運搬し易く、限られたスペースでも扱い易い。
作業員が航空障害灯の設置位置に到着した後、面状ファスナ部の係合が解除され、シート体が展開される。
第1ランプ、第2ランプ及び第3ランプは、第1収納部材、第2収納部材及び第3収納部材にガラス管部を収納された状態でそれぞれの取付金具部が露出しており、当該取付金具部が航空障害灯の接続箇所に取り付けられる。
第1ランプ、第2ランプ及び第3ランプは、航空障害灯の接続箇所に接続された後には、それぞれの切込み部を介して第1収納部材、第2収納部材及び第3収納部材から抜き出されるので、取り付け作業時に作業員の手指の脂等が付着することがない。
これにより、第1ランプ、第2ランプ及び第3ランプを、運搬時や取り付け作業時における破損や汚損から保護することができる。
したがって、(1)の発明によれば、運搬時や取り付け作業時におけるランプの破損や汚損を防止することができると共に、作業性を向上することができる。
【0013】
(2) (1)の発明においては、前記シート体には、他部材と連結可能に形成された係止部材が設けられることが好ましい。
【0014】
(2)の発明によれば、係止部材を他部材と連結することにより、シート体が落下するのを防止することができる。
【0015】
(3) (1)又は(2)に記載の発明においては、前記第1収納部材、前記第2収納部材及び前記第3収納部材には、それぞれ異なる色彩が付されていることが好ましい。
【0016】
(3)の発明によれば、第1ランプ、第2ランプ及び第3ランプと、これらを収納すべき第1収納部材、第2収納部材及び第3収納部材との対応関係が明瞭となり、航空障害灯への取り付け作業性を向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、運搬時や取り付け作業時におけるランプの破損や汚損を防止することができると共に、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係るランプ保護カバーに収納されるランプを示す斜視図である。
【図2】シート体を展開した状態のランプ保護カバーを示す平面図である。
【図3】第1収納部材を示す斜視図である。
【図4】シート体を展開した状態のランプ保護カバーを示す側面図である。
【図5】収納されたランプをシート体で包み込んだ状態のランプ保護カバーを示す側面図である。
【図6】図5に示すランプ保護カバーを示す斜視図である。
【図7】ランプ保護カバーに収納されたランプを航空障害灯側のランプ固定金具に装着する過程を示す斜視図である。
【図8】航空障害灯内のランプの取り付け状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この実施形態により本発明が限定されるものではない。
以下の実施形態においては、後述する3つのランプ、すなわち、後述する第1ランプ、第2ランプ及び第3ランプを備える航空障害灯を例にして説明する。
【0020】
なお、説明の便宜上、これら第1ランプ、第2ランプ及び第3ランプを、適宜、「ランプ」と総称する場合がある。また、後述する第1収納部材、第2収納部材及び第3収納部材を、適宜、「収納部材」と総称する場合がある。更に、後述する第1端子、第2端子及び第3端子を、適宜、「端子」と総称する場合がある。
【0021】
図1は、本実施形態に係るランプ保護カバーに収納されるランプを示す斜視図である。図2は、シート体を展開した状態のランプ保護カバーを示す平面図であり、ランプを収納した状態を示している。図3は、第1収納部材を示す斜視図である。図4は、シート体を展開した状態のランプ保護カバーを示す側面図であり、ランプを収納した状態を示している。
【0022】
図5は、収納されたランプをシート体で包み込んだ状態のランプ保護カバーを示す側面図である。なお、上記図2、図4及び図5においては、説明の便宜上、配線や第1端子、第2端子及び第3端子の図示を省略している。
図6は、図5に示すランプ保護カバーを示す斜視図であり、説明の便宜上、シート体の図示を省略している。図7は、ランプ保護カバーに収納されたランプを航空障害灯側のランプ固定金具に装着する過程を示す斜視図であり、説明の便宜上、シート体及び他の収納部材の図示を省略している。図8は、航空障害灯内のランプの取り付け状態を示す平面図である。
【0023】
<航空障害灯の説明>
先ず、航空障害灯の構成について図8を参照して説明する。
図8に示すように、航空障害灯1は、送電鉄塔等(図示せず)の頂部に設けられる。航空障害灯1は、筐体2と、筐体2内に3組設けられた一対のランプ固定金具9,9にそれぞれ装着され、発光源となるランプ3,4,5と、ランプ3,4,5に接続された配線8及び端子3a,4a,5aと、端子3a,4a,5aを接続する端子盤60と、端子盤60と接続されランプ3,4,5に電力を供給する電源ユニット(図示せず)と、ランプ3,4,5の光を反射する反射鏡(図示せず)等と、を備える。
【0024】
筐体2は、水密に形成され、航空障害灯1の上記各構成部材を収納する。筐体2は、上部が円形に開口され、当該開口を開閉可能な蓋部(図示せず)を有する。筐体2の側面部には、ランプ3,4,5の光を透過する窓部(図示せず)を有する。
【0025】
ランプ固定金具9は、図8に示すように、各ランプ3,4,5の取付金具部7を弾性的に保持可能に形成され、取付金具部7を装着するための装着用開口部9a(図7参照)を有している。ランプ固定金具9は、装着用開口部9aを筐体2の中心側に向けて配設されている。
【0026】
端子盤60は、端子接続部(図示せず)を有し、この端子接続部には、ランプ3,4,5の端子3a,4a,5aがそれぞれねじ止め等によって接続される。端子盤60は、ランプ3,4,5に電力を供給する電源ユニット(図示せず)と接続されている。
【0027】
端子盤60の端子接続部(図示せず)には、対応する端子3a,4a,5a毎に異なる色彩が付されている。例えば、第1端子3aを接続する端子接続部(図示せず)には、黒色の色彩が付され、第2端子4aを接続する端子接続部(図示せず)には、青色の色彩が付され、第3端子5aを接続する端子接続部(図示せず)には、赤色の色彩が付されている。
【0028】
なお、上記反射鏡や上記蓋部の構成については、本実施形態に係るランプ保護カバー10の要部ではないので、詳細な説明を省略する。
【0029】
<ランプの説明>
次に、本実施形態に係るランプ保護カバーに収納されるランプについて図1を参照して説明する。
図1に示すように、第1ランプ3、第2ランプ4及び第3ランプ5は、発光源としての円筒管状のガラス管部6と、ガラス管部6の一端及び他端に設けられ、上記筐体2のランプ固定金具9(図8参照)に装着される取付金具部7と、をそれぞれ備える。
第1ランプ3、第2ランプ4及び第3ランプ5の主要部は、同一に構成されている。
【0030】
ガラス管部6の両端の取付金具部7には、上記電源ユニット(図示せず)と電気的に接続するための配線8が設けられている。そして、第1ランプ3、第2ランプ4及び第3ランプ5は、配線8によって直列に接続されている。
【0031】
第1ランプ3に設けられた配線8の一端には、第1端子3aが接続されている。第2ランプ4に設けられた配線8の一端には、第2端子4aが接続されている。第2端子4aには、第3ランプ5に設けられた配線8の一端が接続されている。第3ランプ5に設けられた配線8の一端には、第3端子5aが接続されている。
【0032】
なお、第1端子3a、第2端子4a及び第3端子5aは、U字状或いは円環状の金属端子部を含む圧着端子等が用いられるが、図1等においては、説明の便宜上、矩形平板状に図示を簡略化してある。
【0033】
第1端子3aには黒色の色彩が付され、第2端子4aには青色の色彩が付され、第3端子5aには赤色の色彩が付されている。これらの色彩は、接続すべき上記端子盤60の対応箇所に付されている色彩とそれぞれ一致している。接続ミスを防止するためである。
なお、端子3a,4a,5aの色彩が付される部分は、端子盤60との電気的接続を阻害しない箇所であれば、どの部分であってもよい。
【0034】
<ランプ保護カバー全体の説明>
次に、ランプ保護カバー10について図2〜図6を参照して説明する。
ランプ保護カバー10は、上記のように構成された第1ランプ3、第2ランプ4及び第3ランプ5を収納するものである。
図2〜図6に示すように、ランプ保護カバー10は、折り畳み可能に形成された帯状のシート体11と、シート体11の内面(一方の面)11aに設けられ、第1ランプ3を収納する第1収納部材20と、シート体11の内面11aに設けられ、第2ランプ4を収納する第2収納部材30と、シート体11の内面11aに設けられ、第3ランプ5を収納する第3収納部材40と、シート体11の内面11aの一端及び外面(他方の面)11bの一端に設けられた面状ファスナ部12と、シート体11の外面(他方の面)11bに設けられた係止リング(係止部材)50と、を備える。
【0035】
<シート体の説明>
図2、図4及び図5に示すように、シート体11は、軽量で可撓性を有し、折り畳み可能に形成された長方形形状の部材である。
シート体11の短辺の長さは、後述する第1収納部材20の長手方向の長さと略同一である。
シート体11の長辺の長さは、後述する長さLの8倍以上となっており、具体的には、図2に示すように、当該長さLの略9倍である。
シート体11をこのような長さにしたのは、図5に示すように、第3収納部材40を第1収納部材20と第2収納部材30との間に配置させるように、シート体11によって第1収納部材20、第2収納部材30及び第3収納部材40を包含し、シート体11の一端と他端とを重ね合わせて、後述する面状ファスナ部12で固定するためである。
【0036】
<収納部材の説明>
次に、第1収納部材20について図3、図2及び図6を参照して説明する。なお、第2収納部材30及び第3収納部材40の基本構成は、第1収納部材20と略同一であるので、第1収納部材20と異なる点についてのみ説明する。
【0037】
図3に示すように、第1収納部材20は、第1ランプ3のガラス管部6を収納する収納空間部20bと、収納空間部20bと連通する切込み部20aと、を有する。
第1収納部材20は、全体を正四角柱形状に形成されていると共に、長手方向の一端部及び他端部を開口して筒状に形成されている。第1収納部材20の長手方向の一端部及び他端部の外形形状は、正方形(一辺の長さがL)となっている。第1収納部材20の長手方向の長さは、第1ランプ3のガラス管部6の長手方向の長さと略同一である。
【0038】
図2及び図6に示すように、収納空間部20bは、第1ランプ3の取付金具部7を露出させた状態でガラス管部6を収納する。収納空間部20bの長手方向と直交する向きでの断面形状は、円形となっている。
収納空間部20bの内径は、ガラス管部6の外径よりも若干小さいことが好ましい。収納空間部20bの内面がガラス管部6の外周面に所定の弾性力で当接することで、第1ランプ3を収納空間部20bによって確実に保持し、第1ランプ3が収納空間部20bの長手方向の開口部から脱落しないようにするためである。
【0039】
切込み部20aは、第1収納部材20の上面(上記シート体11と固定されていない側の面)において、収納空間部20bの長手方向に沿って溝状に開口されている。切込み部20aは、収納空間部20bに対して第1ランプ3を挿抜可能に形成されている。
【0040】
第1収納部材20を構成する材料としては、軽量で緩衝性を有するものが好ましく、例えば、ポリウレタン系樹脂が挙げられる。
【0041】
第1収納部材20には、第1端子3aと同様の黒色の色彩が付されている。また、第2収納部材30には、第2端子4aと同様の青色の色彩が付され、第3収納部材40には、第3端子5aと同様の赤色の色彩が付されている。
【0042】
以上のように構成された第1収納部材20、第2収納部材30及び第3収納部材40は、図2及び図4に示すように、切込み部20a,30a,40aを露出させた状態で互いに略平行となるように、所定間隔を空けてシート体11の内面11aに第1収納部材20、第2収納部材30及び第3収納部材40の順に固定されている。
【0043】
具体的には、図2に示すように、シート体11の内面11aには、シート体11の一方の短辺から長さ2Lの位置に、第1収納部材20が当該短辺と略平行となるように固定され、シート体11の他方の短辺から長さLの位置に、第3収納部材40が当該短辺と略平行となるように固定されている。
また、第1収納部材20と第2収納部材30との間隔は長さLであり、第2収納部材30と第3収納部材40との間隔は長さ2Lである。
【0044】
<面状ファスナ部の説明>
図2、図4及び図5に示すように、面状ファスナ部12は、シート体11の内面11aの一端に設けられた係合部12aと、シート体11の外面11bの一端に設けられた被係合部12bとからなり、係合部12aと被係合部12bとを互いに圧接することによって着脱自在に係合する。すなわち、面状ファスナ部12は、いわゆるマジックテープ(登録商標)として構成されている。
【0045】
<係止リングの説明>
図4及び図5に示すように、係止リング50は、円環状に形成され、端部をシート体11の外面11bの端部に固定されている。係止リング50は、例えば、航空障害灯1の筐体2の一部(例えば、図示しないボルト穴等)にワイヤー等を介して係止されたり、作業員の命綱等を挿通することによって係止され、ランプ保護カバー10の落下を防止する。
【0046】
<ランプ保護カバーの使用態様の説明>
次に、ランプ保護カバー10の使用態様について図を参照して説明する。
航空障害灯1の既設のランプ3,4,5を新規なランプ3,4,5に交換する場合には、作業員は地上における準備作業として、図2及び図4に示すように、新規なランプ3,4,5をランプ保護カバー10の第1収納部材20、第2収納部材30及び第3収納部材40に収納する。
【0047】
このとき、作業員は、第1ランプ3を第1端子3aと同じ黒色の第1収納部材20に収納し、第2ランプ4を第2端子4aと同じ青色の第2収納部材30に収納し、第3ランプ5を第3端子5aと同じ赤色の第3収納部材40に収納する。
このように、各ランプ3,4,5が有する端子3a,4a,5aの色と、各ランプ3,4,5を収納すべき各収納部材20,30,40の色とが対応しているので、容易に収納先を把握することができ、作業性がよい。
【0048】
具体的には、作業員は、新規な第1ランプ3の取付金具部7,7を持ち、取付金具部7を露出させた状態でガラス管部6を切込み部20aから収納空間部20bに収納する。
すなわち、作業員は、ガラス管部6に直接触れることなく、ガラス管部6を収納空間部20bに収納することができる。
新規な第2ランプ4及び第3ランプ5についても、上記第1ランプ3と同様の要領で第2収納部材30及び第3収納部材40に収納する。
【0049】
これにより、作業員の手指の脂によるガラス管部6の汚損を防止しつつ、新規なランプ3,4,5をランプ保護カバー10に収納することができる。ランプ保護カバー10に収納された各ランプ3,4,5のガラス管部6は、収納部材20,30,40が備える緩衝作用によって衝撃から保護される。
【0050】
また、各ランプ3,4,5のガラス管部6は、収納空間部20b,30b,40bの内面によって弾性的に保持されているので、携行中にランプ保護カバー10の姿勢が種々変化しても、ランプ3,4,5が収納空間部20b,30b,40bから脱落することがない。
【0051】
なお、図6に示すように、各ランプ3,4,5を各収納部材20,30,40に収納したときに、配線8や端子3a,4a,5aを、各収納部材20,30,40の長手方向の端部付近に垂らした状態にしておいてもよいが、シート体11を折り畳む際に当該シート体11の内面11aと収納部材20,30,40との間に挟み込んでもよい。
【0052】
各ランプ3,4,5を、収納すべき各収納部材20,30,40に収納した後は、作業員は、図5及び図6に示すように、第3収納部材40が第1収納部材20と第2収納部材30との間に近接して配置されるようにシート体11を折り畳み、シート体11によって第1収納部材20と第2収納部材30と第3収納部材40とを包含する。
続いて、面状ファスナ部12の係合部12aと被係合部12bとを互いに圧接することによって、シート体11の一端と他端とが容易に係合される。
【0053】
したがって、ランプ3,4,5は、図5及び図6に示すように、ランプ保護カバー10によってコンパクトに収納されるので、送電鉄塔の頂部等、高所への携行が容易になる。
ランプ保護カバー10は、シート体11と各収納部材20,30,40とが一体的に固定されているので、高所作業時にランプ保護カバー10が個々の部材に分離して落下する虞がない。
また、従来は、複数のランプをいわゆるエアマットや紙箱等の収納部材に個別に収納し、これらをリュック等に入れて高所へ運搬していたが、上記ランプ保護カバー10を用いることによって、分離し易く落下し易い従来の収納部材が不要になる。
【0054】
地上における上記準備作業が完了した後、作業員は、航空障害灯1が設置された送電鉄塔等の頂部まで登り、筐体2の蓋部(図示せず)を開ける。
そして、ランプ保護カバー10の係止リング50を、筐体2の一部(例えば、ボルト穴等)にワイヤー等を介して係止する。これにより、ランプ保護カバー10の落下が防止される。
【0055】
次に、作業員は、既設のランプ3,4,5の端子3a,4a,5aを端子盤60から外し、当該ランプ3,4,5をランプ固定金具9から取り外す。
続いて、作業員は、ランプ保護カバー10の面状ファスナ部12の接合を解き、折り畳まれているシート体11を展開する。
【0056】
そして、図7に示すように、新規な第3ランプ5をランプ固定金具9に装着する場合には、作業員は、切込み部40aを装着用開口部9aに対向させ、かつ、第3収納部材40の両端部から露出している取付金具部7,7がランプ固定金具9の装着用開口部9a,9aに対向するように、第3収納部材40をランプ固定金具9に平行に配置する。
【0057】
次に、作業員は、第3収納部材40によって第3ランプ5を保持したまま、第3収納部材40をランプ固定金具9に向けて平行移動し、取付金具部7を装着用開口部9aから挿入してランプ固定金具9へ装着する。
【0058】
第3ランプ5の取付金具部7は、ランプ固定金具9によって弾性的に保持されているので、ガラス管部6を覆っている第3収納部材40をランプ固定金具9から遠ざかる方向に引くと、ガラス管部6は切込み部40aから収納空間部40bの外部に抜ける。すなわち、第3収納部材40は、第3ランプ5から容易に分離される。
【0059】
このように、第3ランプ5のガラス管部6は、ランプ固定金具9に装着されるまでの間、第3収納部材40によって覆われているので、外力等から保護される。すなわち、第3ランプ5がランプ固定金具9に装着される時に、ガラス管部6が航空障害灯1の筐体2や工具等に接触して破損することがない。
【0060】
また、作業員は、ガラス管部6に直接触れることなく、第3ランプ5をランプ固定金具9に装着することができる。このため、作業員の手指の脂がガラス管部6に付着することもなく、ガラス管部6の破損要因が低減される。したがって、高所の作業現場において、新規な作業用手袋に着用し直したりする手間がかからず、作業効率が向上する。
【0061】
作業員は、他の新規な第1ランプ3及び第2ランプ4についても、上記第3ランプ5と同様の要領でランプ固定金具9に装着する。
そして、作業員は、全てのランプ3,4,5をランプ固定金具9に装着した後、端子3a,4a,5aを端子盤60に接続する配線作業を行う。
【0062】
作業員は、上記配線作業の完了後、筐体2の蓋部(図示せず)を密閉し、係止リング50による係止を解いてランプ保護カバー10を地上に持ち帰る。なお、回収した古いランプ3,4,5をランプ保護カバー10に収納して地上に持ち帰ることができる。
【0063】
このように、ランプ保護カバー10を使用することで、ランプ3,4,5を破損や汚損等から保護でき、作業性が向上するため、従来、2名で行っていた作業を1名で行うことができ、限られた作業スペースを有効に活用することができる。したがって、作業員は、狭いスペースで無理な体勢を取って作業しなくて済むため、作業効率が向上する。
【0064】
<ランプ保護カバーの効果の説明>
上述した構成を有するランプ保護カバー10によれば、以下のような効果を奏する。
ランプ3,4,5のガラス管部6を覆って保護する収納部材20,30,40をシート体11に一体的に設けたので、運搬時や取り付け作業時における破損や汚損からランプ3,4,5を保護することができる。
【0065】
また、シート体11には、面状ファスナ部12を設けたので、面状ファスナ部12の係合によってシート体11を折り畳まれた状態で維持することができ、ランプ3,4,5をコンパクトに収納することができる。これにより、ランプ3,4,5を高所へ運搬し易くすることができ、限られたスペースでも扱い易くすることができる。
【0066】
また、シート体11には、他部材と連結可能に形成された係止リング50を設けたので、係止リング50を他部材と連結することにより、シート体11、すなわちランプ保護カバー10が落下するのを防止することができる。
【0067】
また、収納部材20,30,40には、上述したようにそれぞれ異なる色彩を付したので、ランプ3,4,5と収納部材20,30,40との対応関係が明瞭となり、航空障害灯1への取り付け作業性を向上することができる。
【0068】
なお、上記実施形態においては、収納部材20,30,40の長手方向の一端部及び他端部の外形形状は、正方形であるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、長方形状、三角形状、円形状等その他の形状であってもよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、第1収納部材20を構成する材料としてポリウレタン系樹脂を例にして説明したが、これに限定されず、軽量で緩衝性を有するものであれば、例えば、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂等その他の材料であってもよい。
【0070】
また、上記実施形態においては、他部材と連結する係止部材として、円環状の係止リング50を設けるものとして説明したが、これに限定されず、他部材と連結可能であれば、例えば、矩形形状や三角形形状等、円環以外の形状であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態においては、係止リング50は、シート体11の外面11bに設けるものとして説明したが、これに限定されず、他部材との係止が可能であれば、シート体11のいずれの箇所に設けてもよい。
【0072】
また、上記実施形態においては、第1収納部材20に黒色の色彩を付し、第2収納部材30に青色の色彩を付し、第3収納部材40に赤色の色彩を付すものとして説明したが、これに限定されず、接続対象(例えば、端子盤60の接続部)との対応関係を明確にできれば、他の色の色彩であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態においては、ランプ保護カバー10は、3つのランプ3,4,5を収納するものとして説明したが、収納部材20,30,40に相当する収納部材を適宜数増設することにより、4つ以上のランプを収納できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 航空障害灯
2 筐体
3 第1ランプ
4 第2ランプ
5 第3ランプ
6 ガラス管部
7 取付金具部
9 ランプ固定金具
10 ランプ保護カバー
11 シート体
11a 内面(一方の面)
11b 外面(他方の面)
12 面状ファスナ部
12a 係合部
12b 被係合部
20 第1収納部材
20a 切込み部
20b 収納空間部
30 第2収納部材
30a 切込み部
30b 収納空間部
40 第3収納部材
40a 切込み部
40b 収納空間部
50 係止リング(係止部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空障害灯の発光源となる直管状のガラス管部と、当該ガラス管部の一端及び他端に設けられる取付金具部と、をそれぞれ備える第1ランプ、第2ランプ及び第3ランプを挿抜自在に収納するランプ保護カバーであって、
折り畳み可能に形成された帯状のシート体と、
両端部を開口して筒状に形成され、前記第1ランプの前記取付金具部を露出させた状態で前記ガラス管部を収納する収納空間部と、当該収納空間部と連通し、かつ、当該収納空間部の長手方向に沿って開口され、当該収納空間部に対して前記第1ランプを挿抜可能に形成された切込み部と、を有する第1収納部材と、
両端部を開口して筒状に形成され、前記第2ランプの前記取付金具部を露出させた状態で前記ガラス管部を収納する収納空間部と、当該収納空間部と連通し、かつ、当該収納空間部の長手方向に沿って開口され、当該収納空間部に対して前記第2ランプを挿抜可能に形成された切込み部と、を有する第2収納部材と、
両端部を開口して筒状に形成され、前記第3ランプの前記取付金具部を露出させた状態で前記ガラス管部を収納する収納空間部と、当該収納空間部と連通し、かつ、当該収納空間部の長手方向に沿って開口され、当該収納空間部に対して前記第3ランプを挿抜可能に形成された切込み部と、を有する第3収納部材と、
前記シート体の一方の面に設けられる係合部と他方の面に設けられる被係合部とからなり、当該係合部と当該被係合部とを互いに圧接することによって着脱自在に係合する面状ファスナ部と、
を備え、
前記第1収納部材、前記第2収納部材及び前記第3収納部材は、前記切込み部を露出させた状態で互いに略平行となるように所定間隔を空けて前記シート体の一方の面に当該第1収納部材、当該第2収納部材及び当該第3収納部材の順に固定され、かつ、当該シート体を当該第1収納部材と当該第2収納部材と当該第3収納部材とを包含して折り畳んだときに、当該第3収納部材が当該第1収納部材と当該第2収納部材との間に近接して配置されることを特徴とするランプ保護カバー。
【請求項2】
前記シート体には、他部材と連結可能に形成された係止部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載のランプ保護カバー。
【請求項3】
前記第1収納部材、前記第2収納部材及び前記第3収納部材には、それぞれ異なる色彩が付されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のランプ保護カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−241450(P2010−241450A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90681(P2009−90681)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】