ランプ梱包箱
【課題】発光部と、該発光部の両端の封止部とからなる発光管と、前記封止部の端部に装着された口金とを有する放電ランプを梱包するために、外装箱体の内部に一対のランプ支持具を備えたランプ梱包箱において、輸送時などにおける振動や衝撃によってランプ支持点近傍の発光管の封止部にクラックや破損が生じることを防止することである。
【解決手段】前記ランプ支持具が、発光管の封止部における口金より発光部側部分を支持するものであることを特徴とする。
【解決手段】前記ランプ支持具が、発光管の封止部における口金より発光部側部分を支持するものであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はランプ梱包箱に関し、特に、封止部に口金を設けたショートアーク型放電ランプのためのランプ梱包箱に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
発光物質として水銀が封入された超高圧水銀ランプや、キセノンガスが高圧に封入されたキセノンランプなどのショートアーク型放電ランプの一般的形状は、略球形の発光部の両端に枝状の封止部が連続して形成された発光管を備え、発光部の内部に陰極と陽極が対向配置されて構成される。発光管は、光透過性や耐熱性等の観点から、材質として石英ガラスが好適に使用され、密閉されたガラスの管の内部に、金属製の一対の電極が中空に支持された状態で配置される。
その一般的な構造が図17に示されている。
ショートアーク型放電ランプ20は、略球状の発光部22と、その両端の封止部23、23とからなる発光管21を有し、発光部22の内部には一対の電極24、25が配置されている。そして、封止部23、23の端部には口金26、26が接着剤等により装着されている。
【0003】
このようなショートアーク型放電ランプを輸送する際は、例えば、特開2002−370784号公報(特許文献1)に開示されるような、特別にランプ用として形成された梱包箱に個装されて輸送される。
【0004】
図18、図19は、特許文献1に開示されたランプ梱包箱の一例を説明する図である。図18は、全体の斜視図であって、一部の構成を外部に取り出して展開した説明図。図19は、その断面図であって、(A)は図18のX矢視図、(B)はそのY−Y断面図である。
ランプ梱包箱30は、外装箱体31と、その内部に配設されたランプ支持具32、32とからなる。図19(A)に示されるように、該ランプ支持具32は、側面視で略M字状をなし、ランプ支持面部33は略V字状に形成されている。この従来技術においては、該ランプ支持具32はダンボールからなるものであり、ランプ20の口金26部分を支持するものであって、ランプ20がこのV字状支持面33に挿入されると、ダンボールの中空緩衝部が口金26の形状に適合するよう変形してこれを支持し、ランプ挿入方向の移動が規制されるものである。
【0005】
ところで、近時においてはかかるショートアーク型放電ランプにおいても、光出力の増大の要請が増していて、定格消費電力が大きくなる傾向にある。このため、ショートアーク型放電ランプは、発光管全体が大きくなり、電極もまた大型化していて、ランプ全体の重量も重くなってきている。
このように大型化したランプを上記従来の梱包箱によって輸送すると、該梱包箱では、ランプ支持具によってランプの口金部分を支持する構造であるために、輸送時の振動や衝撃などによって曲げモーメントが大きく作用することになり、発光管にクラックが入ったり、更には破損に至ったりするという不具合が起きてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−370784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、内部に一対の電極を備えた発光部と、該発光部の両端の封止部とからなる発光管と、前記封止部の端部に装着された口金とを有する放電ランプを梱包するために、外装箱体の内部に一対のランプ支持具を備えたランプ梱包箱において、ランプ輸送時の振動や衝撃によって発光管、とりわけ封止部に過大な負荷が掛からないようにして、該発光管の破損を防止することができる構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明に係るランプ梱包箱では、前記ランプ支持具は、前記発光管の封止部における口金より発光部側部分である露出部を支持するものであることを特徴とする。
【0009】
また、前記ランプ支持具は、緩衝性を有する分割構造のブロック状成形体よりなり、その中心に前記封止部露出部が挿入される貫通孔を備えていることを特徴とする。
また、前記ランプ支持具は、その下部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記固定部は前記緩衝部よりも緩衝性が低いことを特徴とする。
また、前記ランプ支持具は、その上部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記固定部は前記緩衝部よりも緩衝性が低いことを特徴とする。
また、前記ランプ支持具は、その上部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記上部/下部固定部は緊縛帯を備え、該上部/下部固定部間に前記封止部露出部を挟持した状態で、上部/下部固定部を緊縛固定することを特徴とする。
また、前記ランプ支持具は、前記上部/下部固定部は緊縛帯を備え、上部/下部固定部間に封止部露出部を挟持した状態で、上部/下部固定部を緊縛固定することを特徴とする。
また、前記ランプ支持具の下部成形体においては、前記固定部が前記緩衝部に固定されているとともに、該下部成形体の固定部に、前記上部成形体の固定部が回動自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
また、前記ランプ支持具は、緩衝性を有するブロック成形体からなり、該成形体には上面に開口するランプ封止部露出部の径よりも幅狭なスリットが形成され、該スリットの底部において前記封止部露出部の径と略同様な直径を有する支持開口が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記ランプ支持具は、上下一対の成形体からなり、該成形体は略台形状断面の板状成形体であって、該板状成形体の水平面には凹部が形成されていて、該上下の成形体の凹部間で前記ランプの封止部露出部を挟持してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ランプ支持具によって、ランプの封止部における口金よりも発光部側部分である露出部を支持するようにしたので、ランプ支持部から発光部までの距離が小さくなって支持部に作用する曲げモーメントが小さくなり、輸送時の振動や衝撃に対しても十分な耐性があり、発光管にクラックなどの破損が生じることがなくなるという効果を奏するものである。
また、ランプ支持具が分割構造の成形体よりなるので、ランプの封止部を全周囲で保持することになり、万一、外装箱体の上下が逆になるようなことがあっても安全にランプを支持することができる。
【0013】
また、前記ランプ支持具の下部成形体を、前記封止部露出部の外周を把持する緩衝性の低い固定部と、該固定部を支持する緩衝性の高い緩衝部とから構成したことにより、ランプ封止部が一体成形の成形体に直接支持される場合と比較して、ランプ重量による保管時の支持具の変形について、前記封止部露出部との接触部である固定部はその材料特性から抑制することができ、また、緩衝部は、固定部を介してランプを支えるため、力が分散され、抑制できる。よって、ランプ封止部が一体成形の成形体に直接支持される場合と比較して、同等以上の緩衝性を保ちながら、保管時においては上部成形体と封止部露出部との間のクリアランスを抑制することができる。
また、前記ランプ支持具の上部/下部成形体ともに、前記封止部露出部の外周を把持する緩衝性の低い固定部と、該固定部を支持する緩衝性の高い緩衝部とから構成したことにより、ランプの封止部露出部の全周を固定部で覆うことができ、その結果、ランプ保管時の梱包箱の向きによらず、ランプ支持具の変形を防止し、且つ緩衝性を高めることが可能となる。
【0014】
また、前記ランプ支持具の上部/下部成形体における上部/下部固定部は緊縛帯を備え、該上部/下部固定部間に前記封止部露出部を挟持した状態で、上部/下部固定部を緊縛固定することにより、封止部と固定部とのクリアランスを最小限に抑えることができる。更には、落下衝撃が発生した瞬間には上部/下部緩衝部が変形するため、上部成形体と下部成形体の間にクリアランスが発生し、ランプがその瞬間に所定の位置からずれてしまう場合があるが、上部/下部固定部を緊縛固定することにより、発生するクリアランスの大きさに対して、緊縛固定した上部/下部固定部の大きさが十分大きいため、ずれが発生しにくくなる。
【0015】
また、下部成形体の固定部に上部成形体の固定部を回動自在に取り付けたので、下部固定部上にランプの封止部を載置したのちに、上部固定体を回動して被せ、その後緊縛帯を締め付けることによって、簡単な操作によって容易にかつ堅固にランプを支持することができる。
【0016】
また、前記ランプ支持具を構成するブロック成形体の上面に開口するランプ封止部より幅狭なスリットを形成し、その底部に支持開口を形成したので、ランプの封止部をこのスリットに圧入して底部の支持開口内に侵入させるという単純な操作のみによって、当該開口内でランプ封止部露出部を支持することができる。
【0017】
また、前記ランプ支持具は、上下一対の略台形状断面の板状成形体からなり、該板状成形体の水平面に形成された凹部間で前記ランプの封止部露出部を挟持してなるので、断面台形状の成形体はその両脚部によって高い緩衝性と可撓性が得られて、ランプへの振動・衝撃が大幅に緩和される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例の部分断面した全体斜視図。
【図2】図1の展開図。
【図3】図1の側断面図(A)と、A−A断面図(B)。
【図4】ランプ支持具の他の実施例の断面図。
【図5】図4の実施例の要部の展開斜視図。
【図6】ランプ支持具の更に他の実施例。
【図7】ランプ支持具の更に他の実施例。
【図8】図7の実施例の展開斜視図。
【図9】図8の部分展開斜視図。
【図10】図8の梱包手順説明図。
【図11】図8の側断面図。
【図12】更に他の実施例の断面図。
【図13】ランプ支持具の更に他の実施例の断面図。
【図14】他の実施例の断面図。
【図15】更に別の実施例の断面図(A)とA−A断面図(B)。
【図16】更に別の実施例の断面図(A)とA−A断面図(B)。
【図17】従来の高圧放電ランプの部分断面図。
【図18】従来のランプ梱包箱の斜視図。
【図19】(A)図13のX矢視図、(B)そのY−Y断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示されるように、本発明のランプ梱包箱1は、外装箱体2と、その内部に設けられたランプ支持具3とからなる。
このランプ支持具3は、緩衝性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリウレタンなどの発泡プラスチック材料からなる、2分割構造の上部成形体4と下部成形体5とからなる。
そして、図2に示されるように、該上部成形体4および下部成形体5にはそれぞれ半割り状の貫通孔6a、6bが形成されていて、その両者で貫通孔6が形成されている。
この実施例では、同図に示されるように、ランプ支持具3の上部成形体4は外装箱2の開閉蓋2aの裏面に接着剤などにより固着されている。下部成形体6の半割貫通孔6b上にランプ20が載置され、その後、前記蓋2aを閉めると、上部成形体4が下部成形体5上に閉じられて、上部成形体4の半割貫通孔6aと下部成形体5の半割貫通孔6bとで貫通孔6が形成され、該上部/下部成形体4、5間でランプ20を挟持する。
このとき、図3に示すように、前記貫通孔6には、図17で示す放電ランプ20の封止部23における口金26よりも発光部22側の部分である露出部(以下、「封止部露出部」という)23aが挿入されて、当該封止部露出部23aがランプ支持具3に支持される。
【0020】
図4に、ランプ支持具3の他の実施例が示されていて、この実施例では、ランプ支持具3の下部成形体5が、固定部5aと緩衝部5bとからなる。これらはともに緩衝性を有する材料から構成されるが、緩衝部5bのほうがより緩衝性が大きい材料から構成されている。
上記固定部4および緩衝部5を構成する緩衝性材料としては、発泡プラスチックが採用され、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどあり、好ましくはポリエチレンであるが、前記したように緩衝部5bのほうが固定部5aよりも緩衝性のより大きな材料から選択される。
例えば、固定部5aは、前記図1〜3の実施例の上下部成形体4、5と同等の緩衝材から形成され、緩衝部5bはそれより緩衝性の大きな材料、すなわちより柔らかい材料から構成される。
【0021】
図5に、図4のランプ支持具3の実施例の部分展開図が示されている。
図において、上部成形体4には半割形状の円弧状の貫通孔6aが形成され、一方、下部成形体5の固定部5aには、半割り形状の円弧状貫通孔6bが形成されていて、この両者で貫通孔6が形成されている。
個装時には、ランプ20の封止部23の露出部23aが下部成形体5の円弧状貫通孔6b上に載置され、その上方から上部成形体4の円弧状貫通孔6aが被せられて、上部/下部成形体4、5間で露出部23aを支持するものである。
これにより、ランプ20を下部成形体5の固定部5aで支持するので、ランプの重量による下部成形体の沈み込み量を抑制して、上部成形体との間にクリアランスが生じることがなく、その封止部露出部23aを堅固に固定できる。
また、上部成形体4は緩衝性に富む材料で構成できて、ランプの封止部露出部23aの形状に的確にフィットして支持することができる。また、下部緩衝部5bと併せて振動・衝撃を吸収できる。
【0022】
図6に、ランプ支持具3の他の実施例が示されていて、この実施例では、上部成形体4も、下部成形体5と同様に、固定部4aと緩衝部4bとからなり、この緩衝部4bも固定部4aより緩衝性の大きな材料からなる。
この実施例では、ランプ20の封止部露出部23aの全周を固定部4a、5aで固定することで該封止部露出部23aの固定が堅固になりかつ安定的となり、その固定部4a、5aをこれより緩衝性に富む緩衝部4b、5bで支持するので、輸送時の振動・衝撃を該緩衝部4b、5bで吸収するようになり、ランプ20に直接的に作用することを防止できる。
そのため、ランプ保管時の梱包箱の向きによらず、ランプ支持具の変形を防止し、且つ緩衝性を高めることが可能となり、輸送時にランプを立てた状態で搬送するような場合でも、全方位で堅固な支持ができて振動等でふら付き過ぎるようなことがない。
【0023】
図7には、ランプ支持具3の更に他の実施例が示されている。この実施例では、上記図6に示す実施例における上下固体部4a、5aの周囲に緊縛帯10が設けられている。
図8以下にその詳細が示されている。
図8において、上部成形体4の固定部4aと、下部成形体5の固定部5aとを包みこむように、その外周面に緊縛帯10が巻回されている。
図9にその展開図が示されていて、緊縛体10は下部成形体5の固定部5aの外周面に糊付けなどにより取り付けられ、該下部固定部5aはこの緊縛体10を挟んで下部緩衝部5bに固定されている。
一方、上部成形体4の固定部4aは、前記下部成形体5の固定部5aに回動自在に取り付けられている。この実施例では、前記緊縛帯10に該上部固定部4aが糊付けなどにより取り付けられていて、この緊縛帯10によって前記下部固定部4bに対して回動自在となっている。勿論、他の手段によって回動自在に連結されていてもよい。
前記緊縛帯10は、例えば熱可塑性樹脂から形成された厚さ1〜15mm程度の中空構造板で構成されている。
そして、前記上部/下部固定部4a、5aには半円弧状の貫通孔6a、6bが形成されていて、これら両半割形状の貫通孔6a、6bによって貫通孔6が形成されている。
【0024】
この実施例での梱包手順が図10に示されている。(A)下部成形体5に対して上部成形体4の上部固定部4aが回動展開されて開放状態にある。この下部固定部5aの半割り貫通孔6b上に、上方から、ランプ20の封止部露出部23aを載置する(1)。
(B)そして、上部固定部4aを回動して(2)、ランプ20の封止部露出部23aを上方から押さえるように被せて、両固定部4a、5a間で封止部を挟持する。そして、緊縛帯10を締めて両固定部4a、5aを緊縛する(3)。なお、緊縛帯10には、例えば、面ファスナーやスナップのような固着手段11が設けられていて、緊縛帯10は固定部4a、5aをしっかりと緊縛する。
(C)その後、上部成形体4の上部固定部4aの上方から緩衝部4bを被せるものである(4)。
【0025】
こうしてランプ20がランプ支持具3に支持された状態が、図11に示されている。ランプ支持具3の上部/下部成形体4、5の上部/下部固定部4a、5a間には、ランプ20の封止部露出部23aが挟持されて支持されている。
この実施例では、ランプ20の封止部露出部23aを固定する固定部4a、5aが、緊縛帯10によって強固に緊縛されるので、ランプ20の支持が極めて堅固になされるので、封止部露出部23aと固定部4a、5aとのクリアランスを最小限に抑えることができる。更には、落下衝撃が発生した瞬間には上部/下部緩衝部4b、5bが変形するため、上部成形体4と下部成形体5の間にクリアランスが発生し、ランプがその瞬間に所定の位置からずれてしまう場合があるが、上部/下部固定部4a、5aを緊縛固定することにより、発生するクリアランスの大きさに対して、緊縛固定した上部/下部固定部4a、5aの大きさが十分大きいため、ずれが発生しにくくなる。
そして、輸送時等における振動は上部/下部緩衝部4b、5bによって吸収緩和されて、ランプ20に直接的に作用することがない。
【0026】
ところで、上記の図7に示す実施例において、上部成形体4の固定部4aは必ずしも下部固定部5aと同様の硬さとする必要はなく、その実施例が図12に示されている。
即ち、図12において、上部成形体4の固定部4aは、緩衝部4bと同一材料からなっている。この場合にも、前記上部/下部固定部4a、4bの周囲は緊縛帯10によって緊縛されている。
これにより、上部固定部4aは柔らかい緩衝性を有するので、ランプの封止部露出部23aの形状に沿って良くフィットして緊縛帯10により締め付けられることになる。
【0027】
図13に他の実施例が示されている。図6〜12に示す上記実施例においては、ランプ支持具3における上部/下部固定部4a、5aはランプ20の封止部露出部23aのみを覆うように設けられたものを示したが、図13のものでは、該固定部4a、5aは、封止部露出部23aのみでなく、口金26をも含めて封止部23全体を覆うようにしたものである。なお、この実施例でも、ランプ20の支持手段としての緩衝部4b、5bは当該ランプ20の封止部露出部23aを支持するものであることは変わらない。
こうすると、上部/下部固定部4a、5aによって、ランプ20の封止部端が口金26を含めて覆われるので、これらの部位が全体に保護されることになる。
【0028】
図14には更に他の実施例が示されている。この実施例の場合、ランプ20の一方の封止部23には冷却風が該封止部23に当たらないように風防具13が取り付けられる構成が採用されている。
この実施例では、当該風防具13が取り付けられている側の封止部23においては、露出部が事実上存在しなくなるので、他側の封止部露出部23aをランプ支持具3で支持し、風防具13が設けられた側では、口金26で支持するようにしたものである。
この場合でも、少なくとも封止部露出部23aで支持する側では、支持点(ランプ支持具3)から発光部22までの距離が従来技術よりも小さくなり、振動・衝撃に対する耐性が大きくなる。
【0029】
上記図1〜14の実施例においては、ランプ支持具3は分割構造のブロック成形体からなるものを説明したが、図15には該ブロック成形体が分割構造ではなく、一体構造であるものが示されている。
図15において、ランプ支持具3を構成する緩衝性を有するブロック成形体は、一体構造であって、その上面3aに開口するスリット15が形成されている。該スリット15は、放電ランプ20の封止部露出部23aの径よりも幅狭く形成され、その底部において、前記封止部露出部23aの径とほぼ同等の支持開口16が形成されている。
ランプ20を個装する場合、封止部露出部23aをスリット15内に押圧するように挿入し、底部の支持開口16内に押しこむことにより支持するものである。
【0030】
また、ランプ支持具3はブロック成形体によらず、例えばPETなどの板状体からなっていてもよく、図16にその実施例が示されている。
図16において、ランプ支持具3は、上下一対の成形体17、17からなり、該成形体17は略台形状断面の板状成形体であって、該板状成形体の水平面17aには凹部18が形成されている。
ランプ20の封止部露出部23aは、この上下の成形体17、17の凹部18、18の間で支持される。
この場合、下方成形体17の両脚部19が個装箱2の底部に立脚され、当該上方成形体17の凹部18に封止部露出部23aを載置した状態で、上方成形体17の両脚部19が個装箱2の蓋2aによって下方に押し付けられ、封止部露出部23aを両成形体17、17の凹部18、18間で挟持するものである。
なお、この凹部18は断面半円弧状のものを示したが、これに限られず、例えば、断面V字状、台形状などであってもよい。
【0031】
以上説明したように、本発明のランプ梱包箱においては、外装箱体内のランプ支持具が、ランプの発光管の封止部における口金より発光部側部分を支持するものであるので、ランプを口金部分で支持する従来技術に比べて、当該封止部に作用する曲げモーメントを最少化することができて、封止部でのクラックや破損といったダメージを大幅に減らすことができるという効果を奏する。
また、ランプ支持具を緩衝性を有する分割構造のブロック状成形体より構成し、その中心に前記封止部が挿入される貫通孔を備えたものとすることにより、前記ランプの封止部の支持が極めて容易にできる。
また、ランプ支持具を固定部と、これより緩衝性に富む緩衝部とから構成することにより、ランプ封止部の固定はしっかりと堅固に行い、緩衝部によって全体として緩衝性を持たせて、振動や衝撃を吸収できてランプに直接的に作用することを防止できる。
また、緊縛帯を設けて上部/下部成形体を堅固に緊縛できて、振動・衝撃でこれら上部/下部成形体が分離してランプの支持が不確実になることもない。
更には、ランプ支持具を一体構造のブロック成形体により構成し、該成形体にスリットと支持開口を設ける構成とすることにより、ランプの封止部を前記スリットに押し込むだけというきわめて簡単な操作で支持することができる。
更に、ランプ支持具を台形状の板状成形体によって構成することにより、その両脚部によって高い緩衝性と可撓性が得られて、ランプへの振動・衝撃が大幅に緩和される。
【符号の説明】
【0032】
1 ランプ梱包箱
2 外装箱体
3 ランプ支持具
4 上部成形体
4a 固定部
4b 緩衝部
5 下部成形体
5a 固定部
5b 緩衝部
6 貫通孔
10 緊縛帯
11 固着手段
13 風防具
15 スリット
16 支持開口
17 台形状板状成形体
18 凹部
19 脚部
20 放電ランプ
21 発光管
22 発光部
23 封止部
26 口金
【技術分野】
【0001】
この発明はランプ梱包箱に関し、特に、封止部に口金を設けたショートアーク型放電ランプのためのランプ梱包箱に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
発光物質として水銀が封入された超高圧水銀ランプや、キセノンガスが高圧に封入されたキセノンランプなどのショートアーク型放電ランプの一般的形状は、略球形の発光部の両端に枝状の封止部が連続して形成された発光管を備え、発光部の内部に陰極と陽極が対向配置されて構成される。発光管は、光透過性や耐熱性等の観点から、材質として石英ガラスが好適に使用され、密閉されたガラスの管の内部に、金属製の一対の電極が中空に支持された状態で配置される。
その一般的な構造が図17に示されている。
ショートアーク型放電ランプ20は、略球状の発光部22と、その両端の封止部23、23とからなる発光管21を有し、発光部22の内部には一対の電極24、25が配置されている。そして、封止部23、23の端部には口金26、26が接着剤等により装着されている。
【0003】
このようなショートアーク型放電ランプを輸送する際は、例えば、特開2002−370784号公報(特許文献1)に開示されるような、特別にランプ用として形成された梱包箱に個装されて輸送される。
【0004】
図18、図19は、特許文献1に開示されたランプ梱包箱の一例を説明する図である。図18は、全体の斜視図であって、一部の構成を外部に取り出して展開した説明図。図19は、その断面図であって、(A)は図18のX矢視図、(B)はそのY−Y断面図である。
ランプ梱包箱30は、外装箱体31と、その内部に配設されたランプ支持具32、32とからなる。図19(A)に示されるように、該ランプ支持具32は、側面視で略M字状をなし、ランプ支持面部33は略V字状に形成されている。この従来技術においては、該ランプ支持具32はダンボールからなるものであり、ランプ20の口金26部分を支持するものであって、ランプ20がこのV字状支持面33に挿入されると、ダンボールの中空緩衝部が口金26の形状に適合するよう変形してこれを支持し、ランプ挿入方向の移動が規制されるものである。
【0005】
ところで、近時においてはかかるショートアーク型放電ランプにおいても、光出力の増大の要請が増していて、定格消費電力が大きくなる傾向にある。このため、ショートアーク型放電ランプは、発光管全体が大きくなり、電極もまた大型化していて、ランプ全体の重量も重くなってきている。
このように大型化したランプを上記従来の梱包箱によって輸送すると、該梱包箱では、ランプ支持具によってランプの口金部分を支持する構造であるために、輸送時の振動や衝撃などによって曲げモーメントが大きく作用することになり、発光管にクラックが入ったり、更には破損に至ったりするという不具合が起きてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−370784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、内部に一対の電極を備えた発光部と、該発光部の両端の封止部とからなる発光管と、前記封止部の端部に装着された口金とを有する放電ランプを梱包するために、外装箱体の内部に一対のランプ支持具を備えたランプ梱包箱において、ランプ輸送時の振動や衝撃によって発光管、とりわけ封止部に過大な負荷が掛からないようにして、該発光管の破損を防止することができる構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明に係るランプ梱包箱では、前記ランプ支持具は、前記発光管の封止部における口金より発光部側部分である露出部を支持するものであることを特徴とする。
【0009】
また、前記ランプ支持具は、緩衝性を有する分割構造のブロック状成形体よりなり、その中心に前記封止部露出部が挿入される貫通孔を備えていることを特徴とする。
また、前記ランプ支持具は、その下部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記固定部は前記緩衝部よりも緩衝性が低いことを特徴とする。
また、前記ランプ支持具は、その上部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記固定部は前記緩衝部よりも緩衝性が低いことを特徴とする。
また、前記ランプ支持具は、その上部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記上部/下部固定部は緊縛帯を備え、該上部/下部固定部間に前記封止部露出部を挟持した状態で、上部/下部固定部を緊縛固定することを特徴とする。
また、前記ランプ支持具は、前記上部/下部固定部は緊縛帯を備え、上部/下部固定部間に封止部露出部を挟持した状態で、上部/下部固定部を緊縛固定することを特徴とする。
また、前記ランプ支持具の下部成形体においては、前記固定部が前記緩衝部に固定されているとともに、該下部成形体の固定部に、前記上部成形体の固定部が回動自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
また、前記ランプ支持具は、緩衝性を有するブロック成形体からなり、該成形体には上面に開口するランプ封止部露出部の径よりも幅狭なスリットが形成され、該スリットの底部において前記封止部露出部の径と略同様な直径を有する支持開口が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記ランプ支持具は、上下一対の成形体からなり、該成形体は略台形状断面の板状成形体であって、該板状成形体の水平面には凹部が形成されていて、該上下の成形体の凹部間で前記ランプの封止部露出部を挟持してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ランプ支持具によって、ランプの封止部における口金よりも発光部側部分である露出部を支持するようにしたので、ランプ支持部から発光部までの距離が小さくなって支持部に作用する曲げモーメントが小さくなり、輸送時の振動や衝撃に対しても十分な耐性があり、発光管にクラックなどの破損が生じることがなくなるという効果を奏するものである。
また、ランプ支持具が分割構造の成形体よりなるので、ランプの封止部を全周囲で保持することになり、万一、外装箱体の上下が逆になるようなことがあっても安全にランプを支持することができる。
【0013】
また、前記ランプ支持具の下部成形体を、前記封止部露出部の外周を把持する緩衝性の低い固定部と、該固定部を支持する緩衝性の高い緩衝部とから構成したことにより、ランプ封止部が一体成形の成形体に直接支持される場合と比較して、ランプ重量による保管時の支持具の変形について、前記封止部露出部との接触部である固定部はその材料特性から抑制することができ、また、緩衝部は、固定部を介してランプを支えるため、力が分散され、抑制できる。よって、ランプ封止部が一体成形の成形体に直接支持される場合と比較して、同等以上の緩衝性を保ちながら、保管時においては上部成形体と封止部露出部との間のクリアランスを抑制することができる。
また、前記ランプ支持具の上部/下部成形体ともに、前記封止部露出部の外周を把持する緩衝性の低い固定部と、該固定部を支持する緩衝性の高い緩衝部とから構成したことにより、ランプの封止部露出部の全周を固定部で覆うことができ、その結果、ランプ保管時の梱包箱の向きによらず、ランプ支持具の変形を防止し、且つ緩衝性を高めることが可能となる。
【0014】
また、前記ランプ支持具の上部/下部成形体における上部/下部固定部は緊縛帯を備え、該上部/下部固定部間に前記封止部露出部を挟持した状態で、上部/下部固定部を緊縛固定することにより、封止部と固定部とのクリアランスを最小限に抑えることができる。更には、落下衝撃が発生した瞬間には上部/下部緩衝部が変形するため、上部成形体と下部成形体の間にクリアランスが発生し、ランプがその瞬間に所定の位置からずれてしまう場合があるが、上部/下部固定部を緊縛固定することにより、発生するクリアランスの大きさに対して、緊縛固定した上部/下部固定部の大きさが十分大きいため、ずれが発生しにくくなる。
【0015】
また、下部成形体の固定部に上部成形体の固定部を回動自在に取り付けたので、下部固定部上にランプの封止部を載置したのちに、上部固定体を回動して被せ、その後緊縛帯を締め付けることによって、簡単な操作によって容易にかつ堅固にランプを支持することができる。
【0016】
また、前記ランプ支持具を構成するブロック成形体の上面に開口するランプ封止部より幅狭なスリットを形成し、その底部に支持開口を形成したので、ランプの封止部をこのスリットに圧入して底部の支持開口内に侵入させるという単純な操作のみによって、当該開口内でランプ封止部露出部を支持することができる。
【0017】
また、前記ランプ支持具は、上下一対の略台形状断面の板状成形体からなり、該板状成形体の水平面に形成された凹部間で前記ランプの封止部露出部を挟持してなるので、断面台形状の成形体はその両脚部によって高い緩衝性と可撓性が得られて、ランプへの振動・衝撃が大幅に緩和される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例の部分断面した全体斜視図。
【図2】図1の展開図。
【図3】図1の側断面図(A)と、A−A断面図(B)。
【図4】ランプ支持具の他の実施例の断面図。
【図5】図4の実施例の要部の展開斜視図。
【図6】ランプ支持具の更に他の実施例。
【図7】ランプ支持具の更に他の実施例。
【図8】図7の実施例の展開斜視図。
【図9】図8の部分展開斜視図。
【図10】図8の梱包手順説明図。
【図11】図8の側断面図。
【図12】更に他の実施例の断面図。
【図13】ランプ支持具の更に他の実施例の断面図。
【図14】他の実施例の断面図。
【図15】更に別の実施例の断面図(A)とA−A断面図(B)。
【図16】更に別の実施例の断面図(A)とA−A断面図(B)。
【図17】従来の高圧放電ランプの部分断面図。
【図18】従来のランプ梱包箱の斜視図。
【図19】(A)図13のX矢視図、(B)そのY−Y断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示されるように、本発明のランプ梱包箱1は、外装箱体2と、その内部に設けられたランプ支持具3とからなる。
このランプ支持具3は、緩衝性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリウレタンなどの発泡プラスチック材料からなる、2分割構造の上部成形体4と下部成形体5とからなる。
そして、図2に示されるように、該上部成形体4および下部成形体5にはそれぞれ半割り状の貫通孔6a、6bが形成されていて、その両者で貫通孔6が形成されている。
この実施例では、同図に示されるように、ランプ支持具3の上部成形体4は外装箱2の開閉蓋2aの裏面に接着剤などにより固着されている。下部成形体6の半割貫通孔6b上にランプ20が載置され、その後、前記蓋2aを閉めると、上部成形体4が下部成形体5上に閉じられて、上部成形体4の半割貫通孔6aと下部成形体5の半割貫通孔6bとで貫通孔6が形成され、該上部/下部成形体4、5間でランプ20を挟持する。
このとき、図3に示すように、前記貫通孔6には、図17で示す放電ランプ20の封止部23における口金26よりも発光部22側の部分である露出部(以下、「封止部露出部」という)23aが挿入されて、当該封止部露出部23aがランプ支持具3に支持される。
【0020】
図4に、ランプ支持具3の他の実施例が示されていて、この実施例では、ランプ支持具3の下部成形体5が、固定部5aと緩衝部5bとからなる。これらはともに緩衝性を有する材料から構成されるが、緩衝部5bのほうがより緩衝性が大きい材料から構成されている。
上記固定部4および緩衝部5を構成する緩衝性材料としては、発泡プラスチックが採用され、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどあり、好ましくはポリエチレンであるが、前記したように緩衝部5bのほうが固定部5aよりも緩衝性のより大きな材料から選択される。
例えば、固定部5aは、前記図1〜3の実施例の上下部成形体4、5と同等の緩衝材から形成され、緩衝部5bはそれより緩衝性の大きな材料、すなわちより柔らかい材料から構成される。
【0021】
図5に、図4のランプ支持具3の実施例の部分展開図が示されている。
図において、上部成形体4には半割形状の円弧状の貫通孔6aが形成され、一方、下部成形体5の固定部5aには、半割り形状の円弧状貫通孔6bが形成されていて、この両者で貫通孔6が形成されている。
個装時には、ランプ20の封止部23の露出部23aが下部成形体5の円弧状貫通孔6b上に載置され、その上方から上部成形体4の円弧状貫通孔6aが被せられて、上部/下部成形体4、5間で露出部23aを支持するものである。
これにより、ランプ20を下部成形体5の固定部5aで支持するので、ランプの重量による下部成形体の沈み込み量を抑制して、上部成形体との間にクリアランスが生じることがなく、その封止部露出部23aを堅固に固定できる。
また、上部成形体4は緩衝性に富む材料で構成できて、ランプの封止部露出部23aの形状に的確にフィットして支持することができる。また、下部緩衝部5bと併せて振動・衝撃を吸収できる。
【0022】
図6に、ランプ支持具3の他の実施例が示されていて、この実施例では、上部成形体4も、下部成形体5と同様に、固定部4aと緩衝部4bとからなり、この緩衝部4bも固定部4aより緩衝性の大きな材料からなる。
この実施例では、ランプ20の封止部露出部23aの全周を固定部4a、5aで固定することで該封止部露出部23aの固定が堅固になりかつ安定的となり、その固定部4a、5aをこれより緩衝性に富む緩衝部4b、5bで支持するので、輸送時の振動・衝撃を該緩衝部4b、5bで吸収するようになり、ランプ20に直接的に作用することを防止できる。
そのため、ランプ保管時の梱包箱の向きによらず、ランプ支持具の変形を防止し、且つ緩衝性を高めることが可能となり、輸送時にランプを立てた状態で搬送するような場合でも、全方位で堅固な支持ができて振動等でふら付き過ぎるようなことがない。
【0023】
図7には、ランプ支持具3の更に他の実施例が示されている。この実施例では、上記図6に示す実施例における上下固体部4a、5aの周囲に緊縛帯10が設けられている。
図8以下にその詳細が示されている。
図8において、上部成形体4の固定部4aと、下部成形体5の固定部5aとを包みこむように、その外周面に緊縛帯10が巻回されている。
図9にその展開図が示されていて、緊縛体10は下部成形体5の固定部5aの外周面に糊付けなどにより取り付けられ、該下部固定部5aはこの緊縛体10を挟んで下部緩衝部5bに固定されている。
一方、上部成形体4の固定部4aは、前記下部成形体5の固定部5aに回動自在に取り付けられている。この実施例では、前記緊縛帯10に該上部固定部4aが糊付けなどにより取り付けられていて、この緊縛帯10によって前記下部固定部4bに対して回動自在となっている。勿論、他の手段によって回動自在に連結されていてもよい。
前記緊縛帯10は、例えば熱可塑性樹脂から形成された厚さ1〜15mm程度の中空構造板で構成されている。
そして、前記上部/下部固定部4a、5aには半円弧状の貫通孔6a、6bが形成されていて、これら両半割形状の貫通孔6a、6bによって貫通孔6が形成されている。
【0024】
この実施例での梱包手順が図10に示されている。(A)下部成形体5に対して上部成形体4の上部固定部4aが回動展開されて開放状態にある。この下部固定部5aの半割り貫通孔6b上に、上方から、ランプ20の封止部露出部23aを載置する(1)。
(B)そして、上部固定部4aを回動して(2)、ランプ20の封止部露出部23aを上方から押さえるように被せて、両固定部4a、5a間で封止部を挟持する。そして、緊縛帯10を締めて両固定部4a、5aを緊縛する(3)。なお、緊縛帯10には、例えば、面ファスナーやスナップのような固着手段11が設けられていて、緊縛帯10は固定部4a、5aをしっかりと緊縛する。
(C)その後、上部成形体4の上部固定部4aの上方から緩衝部4bを被せるものである(4)。
【0025】
こうしてランプ20がランプ支持具3に支持された状態が、図11に示されている。ランプ支持具3の上部/下部成形体4、5の上部/下部固定部4a、5a間には、ランプ20の封止部露出部23aが挟持されて支持されている。
この実施例では、ランプ20の封止部露出部23aを固定する固定部4a、5aが、緊縛帯10によって強固に緊縛されるので、ランプ20の支持が極めて堅固になされるので、封止部露出部23aと固定部4a、5aとのクリアランスを最小限に抑えることができる。更には、落下衝撃が発生した瞬間には上部/下部緩衝部4b、5bが変形するため、上部成形体4と下部成形体5の間にクリアランスが発生し、ランプがその瞬間に所定の位置からずれてしまう場合があるが、上部/下部固定部4a、5aを緊縛固定することにより、発生するクリアランスの大きさに対して、緊縛固定した上部/下部固定部4a、5aの大きさが十分大きいため、ずれが発生しにくくなる。
そして、輸送時等における振動は上部/下部緩衝部4b、5bによって吸収緩和されて、ランプ20に直接的に作用することがない。
【0026】
ところで、上記の図7に示す実施例において、上部成形体4の固定部4aは必ずしも下部固定部5aと同様の硬さとする必要はなく、その実施例が図12に示されている。
即ち、図12において、上部成形体4の固定部4aは、緩衝部4bと同一材料からなっている。この場合にも、前記上部/下部固定部4a、4bの周囲は緊縛帯10によって緊縛されている。
これにより、上部固定部4aは柔らかい緩衝性を有するので、ランプの封止部露出部23aの形状に沿って良くフィットして緊縛帯10により締め付けられることになる。
【0027】
図13に他の実施例が示されている。図6〜12に示す上記実施例においては、ランプ支持具3における上部/下部固定部4a、5aはランプ20の封止部露出部23aのみを覆うように設けられたものを示したが、図13のものでは、該固定部4a、5aは、封止部露出部23aのみでなく、口金26をも含めて封止部23全体を覆うようにしたものである。なお、この実施例でも、ランプ20の支持手段としての緩衝部4b、5bは当該ランプ20の封止部露出部23aを支持するものであることは変わらない。
こうすると、上部/下部固定部4a、5aによって、ランプ20の封止部端が口金26を含めて覆われるので、これらの部位が全体に保護されることになる。
【0028】
図14には更に他の実施例が示されている。この実施例の場合、ランプ20の一方の封止部23には冷却風が該封止部23に当たらないように風防具13が取り付けられる構成が採用されている。
この実施例では、当該風防具13が取り付けられている側の封止部23においては、露出部が事実上存在しなくなるので、他側の封止部露出部23aをランプ支持具3で支持し、風防具13が設けられた側では、口金26で支持するようにしたものである。
この場合でも、少なくとも封止部露出部23aで支持する側では、支持点(ランプ支持具3)から発光部22までの距離が従来技術よりも小さくなり、振動・衝撃に対する耐性が大きくなる。
【0029】
上記図1〜14の実施例においては、ランプ支持具3は分割構造のブロック成形体からなるものを説明したが、図15には該ブロック成形体が分割構造ではなく、一体構造であるものが示されている。
図15において、ランプ支持具3を構成する緩衝性を有するブロック成形体は、一体構造であって、その上面3aに開口するスリット15が形成されている。該スリット15は、放電ランプ20の封止部露出部23aの径よりも幅狭く形成され、その底部において、前記封止部露出部23aの径とほぼ同等の支持開口16が形成されている。
ランプ20を個装する場合、封止部露出部23aをスリット15内に押圧するように挿入し、底部の支持開口16内に押しこむことにより支持するものである。
【0030】
また、ランプ支持具3はブロック成形体によらず、例えばPETなどの板状体からなっていてもよく、図16にその実施例が示されている。
図16において、ランプ支持具3は、上下一対の成形体17、17からなり、該成形体17は略台形状断面の板状成形体であって、該板状成形体の水平面17aには凹部18が形成されている。
ランプ20の封止部露出部23aは、この上下の成形体17、17の凹部18、18の間で支持される。
この場合、下方成形体17の両脚部19が個装箱2の底部に立脚され、当該上方成形体17の凹部18に封止部露出部23aを載置した状態で、上方成形体17の両脚部19が個装箱2の蓋2aによって下方に押し付けられ、封止部露出部23aを両成形体17、17の凹部18、18間で挟持するものである。
なお、この凹部18は断面半円弧状のものを示したが、これに限られず、例えば、断面V字状、台形状などであってもよい。
【0031】
以上説明したように、本発明のランプ梱包箱においては、外装箱体内のランプ支持具が、ランプの発光管の封止部における口金より発光部側部分を支持するものであるので、ランプを口金部分で支持する従来技術に比べて、当該封止部に作用する曲げモーメントを最少化することができて、封止部でのクラックや破損といったダメージを大幅に減らすことができるという効果を奏する。
また、ランプ支持具を緩衝性を有する分割構造のブロック状成形体より構成し、その中心に前記封止部が挿入される貫通孔を備えたものとすることにより、前記ランプの封止部の支持が極めて容易にできる。
また、ランプ支持具を固定部と、これより緩衝性に富む緩衝部とから構成することにより、ランプ封止部の固定はしっかりと堅固に行い、緩衝部によって全体として緩衝性を持たせて、振動や衝撃を吸収できてランプに直接的に作用することを防止できる。
また、緊縛帯を設けて上部/下部成形体を堅固に緊縛できて、振動・衝撃でこれら上部/下部成形体が分離してランプの支持が不確実になることもない。
更には、ランプ支持具を一体構造のブロック成形体により構成し、該成形体にスリットと支持開口を設ける構成とすることにより、ランプの封止部を前記スリットに押し込むだけというきわめて簡単な操作で支持することができる。
更に、ランプ支持具を台形状の板状成形体によって構成することにより、その両脚部によって高い緩衝性と可撓性が得られて、ランプへの振動・衝撃が大幅に緩和される。
【符号の説明】
【0032】
1 ランプ梱包箱
2 外装箱体
3 ランプ支持具
4 上部成形体
4a 固定部
4b 緩衝部
5 下部成形体
5a 固定部
5b 緩衝部
6 貫通孔
10 緊縛帯
11 固着手段
13 風防具
15 スリット
16 支持開口
17 台形状板状成形体
18 凹部
19 脚部
20 放電ランプ
21 発光管
22 発光部
23 封止部
26 口金
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に一対の電極を備えた発光部と、該発光部の両端の封止部とからなる発光管と、前記封止部の端部に装着された口金とを有する放電ランプを梱包するために、外装箱体の内部に一対のランプ支持具を備えたランプ梱包箱において、
前記ランプ支持具は、前記発光管の封止部における口金より発光部側部分である露出部を支持するものであることを特徴とするランプ梱包箱。
【請求項2】
前記ランプ支持具は、緩衝性を有する分割構造のブロック状成形体よりなり、その中心に前記封止部露出部が挿入される貫通孔を備えていることを特徴とする請求項1に記載のランプ梱包箱。
【請求項3】
前記ランプ支持具は、その下部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記固定部は前記緩衝部よりも緩衝性が低いことを特徴とする請求項2に記載のランプ梱包箱。
【請求項4】
前記ランプ支持具は、その上部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記固定部は前記緩衝部よりも緩衝性が低いことを特徴とする請求項3に記載のランプ梱包箱。
【請求項5】
前記ランプ支持具は、その上部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記上部/下部固定部は緊縛帯を備え、該上部/下部固定部間に前記封止部露出部を挟持した状態で、上部/下部固定部を緊縛固定することを特徴とする請求項3に記載のランプ梱包箱。
【請求項6】
前記ランプ支持具は、前記上部/下部固定部は緊縛帯を備え、上部/下部固定部間に封止部露出部を挟持した状態で、上部/下部固定部を緊縛固定することを特徴とする請求項4に記載のランプ梱包箱。
【請求項7】
前記ランプ支持具の下部成形体においては、前記固定部が前記緩衝部に固定されているとともに、該下部成形体の固定部に、前記上部成形体の固定部が回動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項5または6に記載のランプ梱包箱。
【請求項8】
前記ランプ支持具は、緩衝性を有するブロック成形体からなり、該成形体には上面に開口するランプ封止部露出部の径よりも幅狭なスリットが形成され、該スリットの底部において前記封止部露出部の径と略同様な直径を有する支持開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のランプ梱包箱。
【請求項9】
前記ランプ支持具は、上下一対の成形体からなり、該成形体は略台形状断面の板状成形体であって、該板状成形体の水平面には凹部が形成されていて、該上下の成形体の凹部間で前記ランプの封止部露出部を挟持してなることを特徴とする請求項1に記載のランプ梱包箱。
【請求項1】
内部に一対の電極を備えた発光部と、該発光部の両端の封止部とからなる発光管と、前記封止部の端部に装着された口金とを有する放電ランプを梱包するために、外装箱体の内部に一対のランプ支持具を備えたランプ梱包箱において、
前記ランプ支持具は、前記発光管の封止部における口金より発光部側部分である露出部を支持するものであることを特徴とするランプ梱包箱。
【請求項2】
前記ランプ支持具は、緩衝性を有する分割構造のブロック状成形体よりなり、その中心に前記封止部露出部が挿入される貫通孔を備えていることを特徴とする請求項1に記載のランプ梱包箱。
【請求項3】
前記ランプ支持具は、その下部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記固定部は前記緩衝部よりも緩衝性が低いことを特徴とする請求項2に記載のランプ梱包箱。
【請求項4】
前記ランプ支持具は、その上部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記固定部は前記緩衝部よりも緩衝性が低いことを特徴とする請求項3に記載のランプ梱包箱。
【請求項5】
前記ランプ支持具は、その上部成形体が、前記封止部露出部の外周を把持する固定部と、該固定部を支持する緩衝部とからなり、前記上部/下部固定部は緊縛帯を備え、該上部/下部固定部間に前記封止部露出部を挟持した状態で、上部/下部固定部を緊縛固定することを特徴とする請求項3に記載のランプ梱包箱。
【請求項6】
前記ランプ支持具は、前記上部/下部固定部は緊縛帯を備え、上部/下部固定部間に封止部露出部を挟持した状態で、上部/下部固定部を緊縛固定することを特徴とする請求項4に記載のランプ梱包箱。
【請求項7】
前記ランプ支持具の下部成形体においては、前記固定部が前記緩衝部に固定されているとともに、該下部成形体の固定部に、前記上部成形体の固定部が回動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項5または6に記載のランプ梱包箱。
【請求項8】
前記ランプ支持具は、緩衝性を有するブロック成形体からなり、該成形体には上面に開口するランプ封止部露出部の径よりも幅狭なスリットが形成され、該スリットの底部において前記封止部露出部の径と略同様な直径を有する支持開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のランプ梱包箱。
【請求項9】
前記ランプ支持具は、上下一対の成形体からなり、該成形体は略台形状断面の板状成形体であって、該板状成形体の水平面には凹部が形成されていて、該上下の成形体の凹部間で前記ランプの封止部露出部を挟持してなることを特徴とする請求項1に記載のランプ梱包箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−60223(P2013−60223A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200657(P2011−200657)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]