説明

ランプ

【課題】取り付けスペースの限定された環境下でも良好なランプの取り付け性を確保する。
【解決手段】ランプ1は、発光部を有する本体2と、外周部にねじ部16が設けられた口金5であって、内周部にねじ部の設けられたソケット内に回転挿入させられるようにされ、口金5の挿入方向に沿った軸線S1と、口金5から見た本体2の遠端側11と近端側12とを結ぶ軸線S2とが互いに対して傾いている口金5と、を有している。口金5は、本体2の回転が拘束された状態で、口金5の挿入方向に沿った軸線S1を中心として回転可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はランプに関し、特に電球型蛍光ランプの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
天井埋め込み型のランプでは、図10,11に示すように、ソケット15を備えた取り付け具14を天井18に設け、ソケット15にランプ101を回転挿入して取り付ける構造が一般的である。ソケット15は鉛直方向に延びるように設けられることも多いが、天井18への埋め込み深さを抑えるために、図10のように、ソケット15を水平に設け、電球が天井と水平に配置するようにされる方式も広く用いられている。図11に示すように、ランプ101の本体102と口金105は直線状に配置されているので、ランプ101は取り付け具14内の空間を水平方向に延びるように取り付けられる。
【0003】
一方、最近では省エネルギー型のランプが開発されており、従来型からのリプレースのニーズが高まっている。例えば、現在、照明器具として一般的に用いられている白熱電球は、消費電力あたりの光出力で表される省エネ率が低く、10〜15lm/w(ルーメン/ワット:ルーメンは明るさを示す光束の単位)程度の値が一般的である。これに対して、白熱電球と似た形状の電球型蛍光ランプ(特許文献1〜3参照)は、省エネ率が40lm/w程度と、白熱電球と比べて高い省エネルギー効果が得られる。白熱電球と同じ口金を備えた電球型蛍光ランプであれば、白熱電球と置き換えて使用することができる。
【特許文献1】特開2004−265736号公報
【特許文献2】特開2004−265737号公報
【特許文献3】特開2004−356060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電球型蛍光ランプは安定器を内蔵するものが多く、一般に白熱電球よりもサイズが大きい。しかし、天井に取り付けられる取り付け具は、天井の強度への影響等を考慮して、当初使用が想定されるランプ(通常は白熱電球)の取り付けに必要な最低限のスペースしか確保されていない場合が多い。また、取り付け具は天井に穴を開けて施工されるため、取り付け具自体の交換は非常に面倒であり、一般的には行われない。白熱電球と同じ大きさの電球型蛍光ランプであれば取り付けスペース上の問題はないが、安定器を内蔵するタイプの電球型蛍光ランプでは、蛍光管(または発光管)と呼ばれる発光部分が安定器の占有スペースの分だけ小さくなるため、必要な明るさが得られない場合がある。これらの理由により、電球型蛍光ランプへの交換は、水平ソケット方式の天井埋め込み型のランプでは特に制約が大きい。
【0005】
また、種々の理由から、電球型蛍光ランプへの交換ではなく、形状やサイズの異なる同一タイプのランプに交換(例えば、白熱電球から白熱電球)することも考えられるが、この場合も同様に取り付けスペースの問題が生じうる。水平ソケット方式の天井埋め込み型以外の方式であっても、周辺配置物との干渉などの理由で、所望の形状やサイズのランプへの交換が困難となる場合は多い。
【0006】
本発明は以上の課題に鑑みてなされ、取り付けスペースの限定された環境下でも良好な取り付け性を確保できるランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のランプは、発光部を有する本体と、外周部にねじ部が設けられた口金であって、内周部にねじ部の設けられたソケット内に回転挿入させられるようにされ、口金の挿入方向に沿った軸線と、口金から見た本体の遠端側と近端側とを結ぶ軸線とが互いに対して傾いている口金と、を有している。口金は、本体の回転が拘束された状態で、口金の挿入方向に沿った軸線を中心として回転可能である。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、ランプの形状が口金部分と本体との間で屈曲したものとなるため全体的な形状がコンパクト化され、しかも口金は本体の回転が拘束された状態でソケットに挿入できるため、本体の回転が取り付け作業を妨害することもない。この結果、スペースの限定された環境下でも良好な取り付け性を確保することのできるランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明のランプについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るランプの外形図、図2は、図1に示すランプの内部構造を示す部分断面図、図3は、図1に示すランプの内部構造を示す部分透視図である。ランプ1は本体2を有し、本体2は発光部である屈曲した蛍光管3と安定器4とを有している。蛍光管3は、内部空間8に水銀ガス等が封入され表面に蛍光物質が塗布されたガラス管7で構成されている。内部空間8の両端部には熱電子を放出するための電極(図示せず)が設けられている。図示の蛍光管3は安定器4からランプ1の遠端側11(図2参照)に向かって2往復する屈曲形状を有しているが、このような形状に限らず、例えば螺旋形などの他の形状でも構わない。安定器4はコンデンサ、コイル等の部品よりなり、ランプ電流を制御すると共に、ランプ1の点灯に必要な始動電圧を提供するために設けられている。安定器4はカバー9の内部に収納されている。本体2はさらに、カバー9と係合して蛍光管3と安定器4とを覆う透光性のグローブ6を有している。
【0010】
本体2には口金5が連結されている。口金5はランプ1に電力を供給すると共に、天井18に設けられた取り付け具14のソケット15(図5参照)にランプ1を固定する働きをする。口金5は日本工業規格のE17タイプを使用している。この口金タイプは現在の小型白熱電球で一般的に使われているものであるため、交換性が向上する。口金5の外周部には外周ねじ部16が設けられている。ソケット15の内周部にはねじ部17(図5参照)が設けられており、外周ねじ部16がソケット15のねじ部17と係合することによって、口金5はソケット15内に回転挿入させられる。以下、口金5の挿入方向に沿った口金5の軸線を第1の軸線S1という。また、口金5から見た本体の遠端側11と本体の近端側12とを結ぶ軸線を第2の軸線S2という。
【0011】
本実施形態では、第2の軸線S2はグローブ6の中心軸と一致している。このため、ランプ1は略L字型の形状を呈しており、口金5がソケット15に挿入されると本体2は下向きに固定される。図5に示したような取り付け具14に装着する場合、ランプがソケット15の延びる方向に長く延びていると取り付け具14との干渉が生じる可能性が高まるが、本実施形態の構成であれば本体2を鉛直方向下側に突き出させることができるため、取り付け具14の内空寸法が小さい場合でも、装着性は悪化しない。第1の軸線S1と第2の軸線S2は必ずしも直交している必要はなく、互いに対して0度以外の角度で傾いていれば程度の差はあるものの上記効果は得られる。
【0012】
図4は、回転機構の詳細を示す概念図である。本体2には口金5をソケット15内に回転挿入させる回転機構10が取り付けられている。具体的には、回転機構10は、本体2と口金5との間を第1の軸線S1に沿って延びる第1のシャフト21と、第1の軸線S1と直交する第2の軸線S2に沿って延びる第2のシャフト22と、を有している。従って、第1のシャフト21と第2のシャフト22とは互いに直交している。このような構成では、水平に延びるソケット15にランプ1を装着した時に本体2が鉛直方向下向きを向くため、ランプ1の点灯時に周囲の照度分布が均等化すると共に、外観的な違和感もない。第1のシャフト21はカバー9を貫通している。第1のシャフト21と第2のシャフト22の各々の端部には一対のかさ歯車23,24が設けられ、第1のシャフト21と第2のシャフト22をトルク伝達が可能な態様で連結している。図2,3に示すように、第2のシャフト22は蛍光管3の間を通って延び、グローブ6を貫通してグローブ6の外部まで延びている。第2のシャフト22のグローブ6の外側の端部には、手動で第2のシャフト22を回すためのつまみ13が付いている。
【0013】
第1のシャフト21と第2のシャフト22の連結手段は、トルク伝達が可能であればかさ歯車に限定されない。他の連結手段としては、例えば、ハイポイドギア、円筒ウォームギアと円筒ウォームホイールの組み合わせ等が挙げられる。
【0014】
本実施形態ではグローブ6を設けているが、グローブのない、すなわち蛍光管3が露出した構成とすることもできる。この場合、第1のシャフト21はカバー9やカバー9内の内部構造物に支持された自立構造とすることが望ましい。
【0015】
第1のシャフト21のかさ歯車23の設けられている端部と反対側の部分にはねじ部25が設けられ、口金5の内側部にはこれと係合する内側ねじ部26が設けられている。従って、第1のシャフト21からの回転トルクは、ねじ部25及び内側ねじ部26を介して口金5に伝達される。口金5の突起部27と外周ねじ部16は電極として機能し、各々から導入線31,32が延びている。導入線31,32は第1のシャフト21の内空部28を通って本体2のカバー9内にある安定器4に接続されている。
【0016】
図5は、ランプがソケットに挿入された状態を示す側方図である。ランプ1をソケット15に取り付けるときは、口金5をソケット15に押付けながら(回転を拘束しながら)第2のシャフト22のつまみ13を回転させる。この回転運動は、その回転軸の向きがかさ歯車23,24で90度変えられ、第1のシャフト21に伝えられる。第1のシャフト21の回転運動は、口金5の内側ねじ部26を介して口金5の回転運動を引き起こす。この結果、第1のシャフト21と口金25とが第1の軸線S1に沿って直線的に相対運動し、口金5がソケット15に回転挿入される。
【0017】
このように、本実施形態によれば、口金を水平方向に向け本体を鉛直方向に向けているので、ランプの長手方向の長さが短縮され、安定器内蔵型の蛍光ランプを天井内に埋め込み設置することが容易となる。このため、省エネルギー効果が得られると共に、白熱電球では不可能な、発光色の選択や明るさの選択が可能となる。
【0018】
(第2の実施形態)
本実施形態は、回転機構の構造が第1の実施形態と異なる他は第1の実施形態と同様である。図6は、本発明の第2の実施形態を示す部分断面図である。本体2は第1の実施形態と同様の構造を持つ蛍光管(図示せず)と安定器4とを覆うグローブ6aを有している。グローブ6aはカバー9aと相対回転可能に係合している。一方、第2のシャフト22aはグローブ6aの内面に固定部29で固定されている。この結果、第2のシャフト22aはグローブ6aが回されることによって回転することができる。第2のシャフト22aが回転すると、その回転運動は第1の実施形態と同様にして、口金5のソケット15への回転挿入運動に変換される。本実施形態は、グローブ6aを回すことでランプの取り付けが可能となるので、特に小型のランプの場合に取り付け性が向上するというメリットがある。なお、本実施形態では第2のシャフト22aはグローブ6aの内面に固定されているが、第1の実施形態と同様、グローブ6aを貫通して端部がグローブ6aの外部に露出していてもよい。
【0019】
(第3の実施形態)
上記実施形態では手動操作の回転機構を用いていたが、本実施形態ではモータ駆動の回転機構を用いている。その他の構成は第1の実施形態と同様である。図7は、このような実施形態の一例を示したもので、第2のシャフト22のグローブ6の外部まで延びた端部に、第2のシャフト22を回転駆動するモータ30が設けられている。すなわち、第1の実施形態のつまみ13の代わりにモータ30が設けられている。モータ30はバッテリーを内蔵しており、第2のシャフト22を回転させることができる。これによって、特に大型のランプの場合に取り付け性が大幅に向上する。モータ30は固定式でもよいが、取り外し式とすれば、多数のランプを一つのモータを用いて順次取り付けることができるため、コスト増加を抑えられると共に、ランプの外観への影響も最小化することができる。
【0020】
(第4の実施形態)
さらに、第1〜3の実施形態で用いた回転機構の代わりに、口金をモータで直接回転挿入させることもできる。図8は、このような実施形態の一例を示したもので、第1の実施形態の回転機構10の代わりにモータ31が設けられている。モータ31は第1のシャフト21aに連結され、第1のシャフト21aを直接回転駆動する。本実施形態でも、特に大型のランプの場合に取り付け性が大幅に向上する。第3の実施形態と同様、モータ31は固定式でもよいが、取り外し式とすれば多数のランプを一つのモータを用いて順次取り付けることができるため、コスト増加を抑えられると共に、ランプの外観への影響も最小化することができる。
【0021】
(第5の実施形態)
さらに、上記の各実施形態で用いた回転機構を用いずに、口金を手動で直接回転挿入させることもできる。図9は、このような実施形態の一例を示したものである。本実施形態では、第1の実施形態の回転機構10が削除されているが、口金5aのねじ部の設けられていない把持部33の長さが、手動操作がしやすいように、他の実施形態に比べて長く形成されている。取り付け時には本体2をソケットに対して片手で押さ付けながら(回転を拘束しながら)、他方の手で直接(またはスパナ、モンキーレンチ等を用いながら)把持部33を回し、口金5aをソケットに回転挿入する。
【0022】
以上の実施形態は安定器内蔵型の電球型蛍光ランプについてのものであったが、本発明は安定器を内蔵しない電球型蛍光ランプについても全く同様に適用できる。さらに、本発明は従来型の白熱電球の場合でも、形状や大きさを変更する場合などに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るランプの外形図である。
【図2】図1に示すランプの内部構造を示す部分断面図である。
【図3】図1に示すランプの内部構造を示す部分透視図である。
【図4】回転機構の詳細を示す概念図である。
【図5】ランプがソケットに挿入された状態を示す側方図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るランプの内部構造を示す部分断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るランプの内部構造を示す部分断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係るランプの内部構造を示す部分断面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係るランプの内部構造を示す部分断面図である。
【図10】本発明に関連するランプの取り付け方法を示す概念図である。
【図11】本発明に関連するランプ(白熱電球)の外形図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ランプ
2 本体
3 蛍光管
4 安定器
5,5a 口金
6,6a グローブ
9,9a カバー
11 遠端側
12 近端側
14 取り付け具
15 ソケット
16 外周ねじ部
17 ねじ部
21,21a 第1のシャフト
22 第2のシャフト
23,24 かさ歯車
26 内側ねじ部
30,31 モータ
S1 第1の軸線
S2 第2の軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を有する本体と、
外周部にねじ部が設けられた口金であって、内周部にねじ部の設けられたソケット内に回転挿入させられるようにされ、該口金の挿入方向に沿った軸線と、該口金から見た前記本体の遠端側と近端側とを結ぶ軸線とが互いに対して傾いている口金と、
を有し、
前記口金は、前記本体の回転が拘束された状態で、前記口金の挿入方向に沿った軸線を中心として回転可能である、ランプ。
【請求項2】
前記本体に取り付けられ、前記口金を前記ソケット内に回転挿入させる回転機構を有している、請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記回転機構は、前記本体と前記口金との間を前記口金の挿入方向に沿った前記軸線に沿って延び、該口金に回転トルクを与える第1のシャフトと、第1のシャフトと異なる方向に延びる第2のシャフトと、該第1のシャフトと該第2のシャフトとをトルク伝達が可能な態様で連結する連結手段と、を有する、請求項2に記載のランプ。
【請求項4】
前記本体は屈曲した蛍光管を有し、
前記第2のシャフトは前記蛍光管の間を通って延びている、
請求項3に記載のランプ。
【請求項5】
前記本体は前記蛍光管を覆うグローブを有し、
前記第2のシャフトは前記グローブを貫通して該グローブの外部まで延びている、
請求項4に記載のランプ。
【請求項6】
前記第2のシャフトの前記グローブの外部まで延びた端部に、該第2のシャフトを回転駆動するモータが設けられている、請求項5に記載のランプ。
【請求項7】
前記本体は前記蛍光管を覆う回転可能なグローブを有し、
前記第2のシャフトは、前記グローブが回されることによって回転するように、前記グローブに固定されている、
請求項4に記載のランプ。
【請求項8】
前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとは互いに直交している、請求項3から7のいずれか1項に記載のランプ。
【請求項9】
前記回転機構は、前記本体と前記口金との間を前記口金の挿入方向に沿った前記軸線に沿って延びる第1のシャフトと、該第1のシャフトを回転駆動するモータと、を有する、請求項1に記載のランプ。
【請求項10】
前記ランプは安定器内蔵型の蛍光ランプである、請求項1から9のいずれか1項に記載のランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−59655(P2009−59655A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227726(P2007−227726)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】