説明

リアクトル集合体

【課題】昇降圧動作及びソフトスイッチングが行えながら、小型で漏れインダクタンスが小さいリアクトル集合体、及びリアクトル集合体の漏れインダクタンスの調整方法を提供する。
【解決手段】リアクトル集合体1Aは、並列された一対のコイル巻回部を有する環状のコア10と、内側コイル11a,11bを有する内側コイル部11と、外側コイル12a,12bを有する外側コイル部12とを具える。コイル11a,12aは、一方のコイル巻回部に同心状に配置され、コイル11b,12bは、他方のコイル巻回部に同心状に配置される。内側コイル部11の巻線11wの一端部と外側コイル部12の巻線12wの一端部とが接合されている。内側コイル11aの隣り合うターン間の間隔よりも、外側コイル12aの隣り合うターン間の間隔が広いことで、リアクトル集合体1Aは、漏れインダクタンスが小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車などの車両に搭載されるDC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に好適なリアクトル集合体、及びリアクトル集合体の漏れインダクタンスの調整方法に関するものである。特に、漏れインダクタンスが少ないリアクトル集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動源や回生時の発電源に利用するハイブリッド自動車や電気自動車といった車両の車載部品として、モータと電源との間で昇圧動作や降圧動作を行う電力変換装置がある。電力変換装置は、電力の大きさを変えるコンバータを具える。
【0003】
車載用コンバータとして、双方向DC-DCコンバータがある(特許文献1 図6)。このコンバータの構成部品として、スイッチング素子のON/OFFのスイッチング動作により発生する電流を平滑化するリアクトルがある。リアクトルLは、図10に示すように磁性材料からなる環状のコア100と、巻線111を巻回してなり、コア100の外周に配置される一対のコイル110a,110bを有するコイル部110とを具える構成が代表的である(特許文献1 図1)。コア100は、コイル110a,110bにそれぞれ挿入される一対のコイル巻回部(図示せず)と、並列されたコイル巻回部を挟むように配置される一対の端部コア100eとを具える。リアクトルLは、例えば、図示しないケースに収納されてポッティング樹脂で封止され(特許文献1 図3)、このケースが冷却ベースに固定されて利用される。
【0004】
近年、従来のコンバータよりもスイッチング損失が少ない、ソフトスイッチングが可能な共振形のDC-DCコンバータが検討されている(特許文献2)。このコンバータは、平滑用のリアクトルに加えて、共振用のリアクトル及び共振用のスイッチング素子を具える補助回路を具える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-116066号公報
【特許文献2】特開2003-033013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2では、ソフトスイッチングが可能なリアクトル(インダクタンス)の具体的な構造を明らかにしていない。例えば、平滑用リアクトルと共振用リアクトルとを独立した別部材とすることが考えられる。ところが、この構成は、双方のリアクトルを設置するスペースが必要となるため、設置面積が小さく小型であることが望まれる車載部品などに好ましくない。
【0007】
設置面積を小さくするために、例えば、図10に示すリアクトルLにおいて、コア100を平滑用と共振用とで共有して利用する構成が考えられる。例えば、コイル110a,110bが配置されていない端部コア100eに、別のコイルを配置し、この別のコイルとコア100とで共振用リアクトルを構成し、コイル部110とコア100とで平滑用リアクトルを構成することが考えられる。しかし、この構成は、端部コア100eの外方に上記別のコイルが突出して存在するだけでなく、コイル110a,110bに接しないように上記別のコイルを端部コア100eに配置しようとすると、コイル巻回部も、コイル110a(110b)の軸方向に長くする必要がある。そのため、リアクトルLにおけるコイル110a(110b)の軸方向の長さが長くなる上に、上記別のコイルも突出することで、設置面積の増大を招く。
【0008】
設置面積をより小さくするために、本発明者は、端部コア100eに別のコイルを配置するのではなく、図2(B)に示すように平滑用リアクトルとして機能するコイル110a,110bがそれぞれ配置されるコイル巻回部100ca,100cbに、共振用リアクトルとして機能する別のコイル120a,120bも配置する構成を検討した。即ち、平滑用のコイル部110と共振用のコイル部120とが軸方向に隣り合うように並べられた構成を検討した。しかし、この構成では、漏れインダクタンス(リーケージ)が大きくなった。漏れインダクタンスが大き過ぎると、ソフトスイッチングを行うにあたり、例えば、電流のパルス幅が大きくなるなどの不具合が生じ、ソフトスイッチングを適切に行えなくなる恐れがある。
【0009】
そこで、本発明の目的の一つは、小型でありながら、漏れインダクタンスを小さくすることができるリアクトル集合体の漏れインダクタンスの調整方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、小型で、漏れインダクタンスが小さいリアクトル集合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、平滑用リアクトルとして機能するコイルと共振用リアクトルとして機能するコイルとを配置するコアを共有すると共に、このコアに上記両コイルを同心状に並べ、かつ、上記両コイルをつくるターン間の間隔を工夫することで上記目的を達成する。
【0011】
具体的には、本発明のリアクトル集合体の漏れインダクタンスの調整方法は、巻線を螺旋状に巻回してなる内側コイルを環状のコアの外周に配置し、この内側コイルの外周に、巻線を螺旋状に巻回してなる外側コイルを上記内側コイルと同軸に配置する。そして、上記外側コイルをつくるターンにおいて、隣り合うターン間の間隔を、上記内側コイルをつくるターンにおいて隣り合うターン間の間隔よりも広くすることにより、漏れインダクタンスを小さくする。
【0012】
上記本発明調整方法により、本発明のリアクトル集合体が得られる。本発明リアクトル集合体は、環状のコアと、この環状のコアの外周に配置される内側コイル部及び外側コイル部とを具える。環状のコアは、並列された一対のコイル巻回部と、両コイル巻回部を挟むように配置される一対の端部コアとを有する。内側コイル部は、巻線を螺旋状に巻回してなり、少なくとも一方のコイル巻回部の外周に配置される内側コイルを有する。外側コイル部は、内側コイル部をつくる巻線とは別の巻線を螺旋状に巻回してなり、少なくとも一方のコイル巻回部の外周に配置される外側コイルを有する。そして、一つのコイル巻回部の外周に配置された一つの内側コイルの外周に、一つの外側コイルが同軸に配置される。内側コイル部が各コイル巻回部の外周にそれぞれ配置される一対の内側コイルを有し、外側コイル部が各コイル巻回部の外周にそれぞれ配置される一対の外側コイルを有する場合、一方のコイル巻回部の外周に配置される一方の内側コイルの外周に、一方の外側コイルが同軸に配置され、他方のコイル巻回部の外周に配置される他方の内側コイルの外周に、他方の外側コイルが同軸に配置される。そして、上記一方の内側コイルを構成する巻線の一端部と、上記一方の外側コイルを構成する巻線の一端部とが接合されている。かつ、上記外側コイルをつくるターンにおいて、隣り合うターン間の間隔が、上記内側コイルをつくるターンにおいて、隣り合うターン間の間隔よりも広い。
【0013】
上記構成によれば、例えば、内側コイル部及びコアを平滑用リアクトルとして機能させ、外側コイル部及び同じコアを共振用リアクトルとして機能させることで、昇圧動作や降圧動作に加えて、ソフトスイッチングを行える。特に、上記構成によれば、内側コイル及び外側コイルが、端部コアではなくコイル巻回部に同心状に配置されているため、端部コアに別のコイルを配置した場合と比較して、リアクトル集合体の長さ(コイル巻回部に配置されたコイルの軸方向の長さ)を短くできる。また、上記構成によれば、一つのコイル巻回部に対して、内側コイルと外側コイルとが軸方向に隣り合うように並べられた縦並び構造ではなく、両コイルが同心状に積み重ねられた積層構造であるため、上記縦並び構造と比較して、リアクトル集合体の長さを短くでき、設置面積の低減を図ることができる。
【0014】
かつ、本発明リアクトル集合体によれば、上記縦並び構造と比較して、漏れインダクタンスを小さくすることができる。ここで、コイルの占積率を高めるためには、隣り合うターン間の間隔ができるだけ小さいことが望まれる。特に、大きな電流が流されるコイル、例えば、内側コイル部を平滑用リアクトルに利用する場合、内側コイルは、ターン間の間隔ができるだけ小さいことが好ましく、ターン同士が実質的に接することがより好ましい。このような内側コイルに対して、その外周に配置される外側コイルの隣り合うターン間の間隔を広くすると、漏れインダクタンスを効果的に小さくすることができる。従って、本発明リアクトル集合体は、設置面積が小さく小型である上に、漏れインダクタンスが小さく、ソフトスイッチングも良好に行える。以下、本発明をより詳細に説明する。
【0015】
前記外側コイルにおける隣り合うターン間の間隔が広いほど、漏れインダクタンスが小さい傾向にある。但し、上記間隔を広げ過ぎると、例えば、内側コイルの軸方向の長さよりも、この内側コイルの外周に配置される外側コイルの軸方向の長さの方が長いと、これらのコイルが配置されるコイル巻回部が長くなり、リアクトル集合体の大型化を招く。従って、小型化を考慮すると、外側コイルの軸方向の長さは、内側コイルの軸方向の長さ以下であること、即ち、内側コイルの軸方向の長さよりも短く、最大でも同じ長さであることが好ましい。例えば、外側コイルは、内側コイルよりもターン数を少なくしたり、内側コイルを形成する巻線よりも細い巻線を利用すると、外側コイルの軸方向の長さを長くし過ぎることなく隣り合うターン間の間隔を十分に広げられる。ターン間の間隔は、漏れインダクタンスが所定の範囲となるように適宜調整することができる。
【0016】
本発明リアクトル集合体において内側コイル部及び外側コイル部の両コイル部を構成するそれぞれの巻線は、隣り合うターン間が絶縁されるように、導体の外周に絶縁被覆層を具えるものが好適に利用できる。例えば、複数の素線を撚り合わせた撚り線導体と、この撚り線導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆電線が挙げられる。上記被覆電線は、一般に柔らかく手で巻回し易いため、例えば、内側コイルの外周に被覆電線を巻回することで、内側コイルの外周に外側コイルを容易に存在させることができる。上記絶縁被覆層は、絶縁性に優れた材料、例えば、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、シリコンゴムなどから構成されると、同心状に配置された内側コイルと外側コイルとの間を十分に絶縁できる。上記内側コイル部及び上記外側コイル部の少なくとも一方を構成する巻線が、上記絶縁性に優れる被覆電線である場合、同心状に配置された内側コイルと外側コイルとの間の絶縁を十分に確保できる。
【0017】
上記被覆電線以外の巻線として、平角線又は丸線からなる導体と、この導体の外周にエナメル樹脂などからなる絶縁被覆層とを具える被覆平角線又は被覆丸線が挙げられる。被覆丸線は、一般に柔らかく手で巻回可能なため、上述の被覆電線と同様に積層構造(多層構造)のコイルを容易に形成できる上に、占積率が高いコイルが得られる。被覆平角線は、一般に剛性が高いことから巻線機によって巻回することでコイルを形成でき、特に占積率が非常に高いコイルが得られる。
【0018】
内側コイル部及び外側コイル部の双方を構成する巻線が上記被覆丸線や被覆平角線である場合、即ち、被覆丸線や被覆平角線からなるコイルを同心状に配置させる場合、内側コイルと外側コイルとの間に別途絶縁材を介在させると、両コイル間をより確実に絶縁することができて好ましい。絶縁材は、例えば、絶縁紙が利用できる。絶縁紙は、一般に薄く、上記コイル間に介在させてもリアクトル集合体の大きさに影響を与え難い上に、材料コストが低く経済的である。或いは、絶縁材として、絶縁性樹脂を成形してなる筒状のボビンといった絶縁部材が利用できる。特に、この筒状のボビンに、内側コイルや外側コイルの位置決め部を成形しておくと、コイルの位置決めを行い易い。
【0019】
内側コイル部及び外側コイル部のうち、一方のコイル部の巻線が上記被覆電線であり、他方のコイル部の巻線が被覆丸線又は被覆平角線である場合、上述のように被覆電線が絶縁性に優れることから上記絶縁材を介在させなくてもよい。この場合、絶縁材が不要なため、部品点数を少なくすることができる。
【0020】
内側コイル部及び外側コイル部の少なくとも一方において、当該コイル部に具えるコイルは、上記被覆平角線をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルとすることができる。
【0021】
上述のように被覆平角線を用いると、コイルの占積率を高められるため、コイルの軸方向の長さを短くできることから、このコイルが配置されるコイル巻回部の軸方向の長さを短くでき、リアクトル集合体を小型にすることができる。
【0022】
内側コイル部及び外側コイル部のそれぞれに一対のコイルを具える場合、各コイル部の一対のコイルは、別個の巻線から形成された構成としてもよいし、一本の連続する巻線から形成された構成としてもよい。前者の場合、一対のコイルを構成するそれぞれの巻線の一端部同士が溶接などにより接合されて接続されることで一つのコイル部が形成され(以下、この形態を接合コイルと呼ぶ)、後者の場合、巻線の一部を折り返してなる巻返し部や巻線の一部からなる渡り部を介して一対のコイルが連結されることで一つのコイル部が形成される(以下、この形態を連続コイルと呼ぶ)。両コイル部が接合コイル又は連続コイルでもよいし、一方のコイル部が接合コイル、他方のコイル部が連続コイルでもよい。溶接は、例えば、TIG溶接、レーザ溶接、抵抗溶接などが利用できる。溶接以外の巻線の接合方法として、圧着、冷間圧接、振動溶着なども利用できる。上記溶接は、容易に接合することができ、作業性に優れる。冷間圧接は、接合にあたり、巻線が実質的に加熱されないため、導体表面の絶縁被覆層が加熱により損傷する恐れが少ない。
【0023】
内側コイル部及び外側コイル部の少なくとも一方において、当該コイル部を構成する一対のコイルがそれぞれ上記エッジワイズコイルであり、かつ上記接合コイルである場合、当該コイル部を構成する両コイルが分離可能であるため、他方のコイル部のコイルに対して配置し易く、組立作業性に優れる。特に、両コイル部が接合コイルであると、積層構造のコイルを更に組み立て易い。また、被覆平角線は、接合などの際の接触面積を十分に確保できるため、接合し易く、接合強度も高い。当該コイル部における一対のコイルを接続するための接続作業は、任意の時期に行えるが、積層構造のコイルを組み立てた後に行うと、組立作業が行い易い。
【0024】
内側コイル部及び外側コイル部の少なくとも一方において、当該コイル部を構成する一対のコイルがそれぞれ上記エッジワイズコイルであり、かつ上記連続コイルである場合、溶接などの接続作業が不要である。
【0025】
上記外側コイル部に具える一対の外側コイルはそれぞれ、上述のように隣り合うターン間の間隔が広く、隣り合うターン間に隙間があいた状態である。そのため、上記両外側コイルの互いに向かい合う部分において、例えば、一方の外側コイルのターン間に他方の外側コイルのターンを嵌め込むように重ね合わせて配置させることができる。即ち、上記一方の外側コイルを形成するターンの少なくとも一部の巻線と上記他方の外側コイルを形成するターンの少なくとも一部の巻線とが外側コイルの軸方向に重複して配置された形態とすることができる。この形態は、両外側コイルの互いに向かい合う部分において、両外側コイルの巻線が隣り合うように配置された場合と比較して、両外側コイル間の間隔を少なくとも重複分狭められることから、コイル巻回部間の間隔をも狭められる。従って、この構成によれば、コアを小さくできるため、設置面積を更に小さくすることができる。この構成は、外側コイル部を構成する巻線が上述した被覆電線、被覆平角線、被覆丸線のいずれにも適用することができる。また、外側コイル部を上述した接合コイルとすると、各外側コイルをそれぞれ形成した後、巻線が重複するように両コイルを配置させることが容易であるため、組立作業性に優れる。
【0026】
外側コイル部を構成する巻線が上記被覆平角線である場合、外側コイルは、この被覆平角線をフラットワイズ巻きしたフラットワイズコイルとすることができる。この構成によれば、外側コイルがエッジワイズコイルである場合と比較して、外側コイルの高さ(コイルの軸方向及び一対のコイルの並列方向の双方に直交する方向の大きさ)及び外側コイルの幅(一対のコイルの並列方向の大きさ)を小さくすることができ、リアクトル集合体を更に小型にすることができる。特に、外側コイルのターン数が少ない場合、外側コイルの軸方向の長さが短くなるため、小型なリアクトル集合体とすることができる。この構成は、内側コイル部を形成する巻線が、被覆電線、被覆平角線、被覆丸線のいずれにも適用することができる。
【0027】
上記外側コイル部が共振用リアクトルの要素に利用される場合などでは、外側コイル部に流される電流が比較的小さい。そのため、導体断面積が小さい巻線や導体の導電率が低い巻線を利用することができる。例えば、上記外側コイル部を構成する巻線の導体として、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものが利用できる。アルミニウムやアルミニウム合金は、銅や銅合金よりも導電率が低いものの軽量であり、リアクトル集合体の軽量化に寄与することができる。
【0028】
或いは、上記外側コイル部を構成する巻線として、箔状の導体の表面に絶縁材がラミネートされたシート状線材からなるものが利用できる。この構成によれば、外側コイル部を構成する巻線の厚さが薄いことから、外側コイルの高さを小さくすることができ、リアクトル集合体を更に小型にすることができる。箔状の導体の構成材料は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられる。
【0029】
上記内側コイル部の巻線の一端部及び上記外側コイル部の巻線の一端部同士の接合は、導体同士が直接接合された形態や、上記巻線の一端部にそれぞれ取り付けられた端子部材同士がボルトなどにより接続された形態が挙げられる。上記導体同士の直接接合には、TIG溶接、レーザ溶接、抵抗溶接などの溶接、その他、圧着、冷間圧接、振動溶着などが利用できる。この直接接合された形態では、接合された一端部同士に対して一つの端子部材を共通に利用できるため、端子部材の数を低減することができる。特に、上記両コイル部の少なくとも一方の巻線が上記被覆平角線である場合、つまり、両コイル部が被覆平角線からなる場合や一方のコイル部が被覆平角線からなり、他方のコイル部が被覆丸線や被覆電線からなる場合などでは、この直接接合された形態であると、上述のように接触面積を十分に確保できて接合強度を高められる。一方、端子部材の取り付けには、上記溶接、圧着などが利用できる。この端子部材を介して両コイル部を接合する形態では、任意の種類の巻線に利用することができる。
【0030】
上記コアと、上記内側コイル部及び上記外側コイル部との組合体は、そのままでもリアクトル集合体として利用することができる。更に、この組合体の外周を覆う樹脂被覆部を具える構成とすると、ケースを有していない場合でも、組合体を一体物として取り扱い易い上に、上記コアや上記コイル部を粉塵や腐食などの外部環境から保護したり、機械的に保護することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明リアクトル集合体は、昇圧動作や降圧動作に加えて、ソフトスイッチングを行うことができる上に、漏れインダクタンスが小さく、小型である。本発明リアクトル集合体の漏れインダクタンスの調整方法は、上記本発明リアクトル集合体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、実施形態1のリアクトル集合体の概略斜視図である。
【図2】図2は、リアクトル集合体を構成する環状のコア及びコイルの配置状態を説明する模式説明図であり、図2(A)は、内側コイルと外側コイルとが同心状に配置された積層構造のコイルを具えるリアクトル集合体、図2(B)は、二つのコイル部が軸方向に隣り合って並べられた縦並び構造のコイルを具えるリアクトル集合体を示す。
【図3】図3は、実施形態1に示すリアクトル集合体の模式説明図であり、図3(A)は、外側コイルのターン間の間隔t1が広い例、図3(B)は、外側コイルのターン間の間隔t2が狭い例を示す。
【図4】図4は、リアクトル集合体に用いられる巻線の断面模式図であり、図4(A)は、被覆平角線、図4(B)は、被覆電線、図4(C)は、被覆丸線を示す。
【図5】図5は、リアクトル集合体に具えるコイル部の形態を示す模式説明図であり、図5(A)は、一つのコイル部に具える一対のコイルが巻返し部を介して連結された連続コイルの例、図5(B)は、一つのコイル部に具える一対のコイルがそれぞれ別の巻線で形成された接合コイルの例を示す。
【図6】図6は、一方のコイル部の巻線に被覆丸線を用いた実施形態4に示すリアクトル集合体の概略斜視図であり、図6(A)は、内側コイルと外側コイルとの間に絶縁紙を介在する例、図6(B)は、内側コイルと外側コイルとの間に筒状のボビンを介在する例である。
【図7】図7は、実施形態4の内側コイルと外側コイルとの間に筒状のボビンを介在するリアクトル集合体の概略を示す分解斜視図である。
【図8】図8は、リアクトル集合体を構成する環状のコア及びコイルの配置状態を説明する模式説明図であり、図8(A)は、外側コイルの巻線の一部が重複して配置された実施形態8のリアクトル集合体、図8(B)は、実施形態1のリアクトル集合体を示す。
【図9】図9は、外側コイル部の巻線の配置状態を説明する模式説明図であり、図9(A)は、一方の外側コイルの巻線と他方の外側コイルの巻線とが一本ずつ交互に重複する例、図9(B)は、一方の外側コイルの巻線と他方の外側コイルの巻線とが二本ずつ交互に重複する例、図9(C)は、一方の外側コイルの端面と他方の外側コイルの端面とが重複する例を示す。
【図10】従来のリアクトルの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(実施形態1:内側コイル部-被覆平角線、外側コイル部-被覆電線)
主として図1〜3を参照して、実施形態1のリアクトル集合体1Aを説明する。以下、図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、図1及び後述する図6では、分かり易いように内側コイルの外周面と外側コイルの内周面との間に隙間を設けて示すが、実際には、この隙間が無いように配置される。また、図2,3及び後述する図8では、巻線の端部や巻返し部、巻線の端部の接続箇所を省略している。
【0034】
リアクトル集合体1Aは、環状のコア10と、このコア10の外周に配置される内側コイル部11及び外側コイル部12とを具える。内側コイル部11は、並列に配置される一対の内側コイル11a,11bを具え、外側コイル部12は、並列に配置される一対の外側コイル12a,12bを具える。コア10及び内側コイル部11は、例えば、コンバータに具えるスイッチング素子のON/OFFのスイッチング動作により発生する電流を平滑化する平滑用リアクトルとして機能する。コア10及び外側コイル部12は、上記スイッチング動作の損失を低減するためにソフトスイッチングに利用される共振用リアクトルとして機能する。リアクトル集合体1Aの特徴とするところは、内側コイル部11と外側コイル部12とに共通してコア10(コイル巻回部10c(図2(A)))を具えると共に、外側コイル12a,12bにおいて隣り合うターン間の間隔t1(図3(A))が、内側コイル11a,11bにおいて隣り合うターン間の間隔ti(図示せず)よりも広い点にある。以下、各構成をより詳細に説明する。
【0035】
[コア10]
コア10は、図2(A),3,及び後述する図7を適宜参照して説明する。コア10は、各コイル対((内側コイル11a,外側コイル12a)、(内側コイル11b,外側コイル12b))がそれぞれ配置される一対の直方体状のコイル巻回部10ca,10cbと、コイル11a,11b,12a,12bが実質的に配置されない一対の端部コア10eとを有する。このコア10は、離間して並列されるコイル巻回部10ca,10cbを挟むように端部コア10eが配置されて閉ループ状(環状)に形成される。コア10は、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料からなる磁性体部10mとアルミナなどの非磁性材料からなるギャップ材(図示せず)とからなる。コイル巻回部10cは、磁性体部10mからなるコア片とギャップ材とを交互に積層して構成される。各コア片は、軟磁性粉末の圧粉成形体や、複数の電磁鋼板を積層した積層体が利用できる。ギャップ材は、インダクタンスの調整のためにコア片間に設けられる隙間に配置される部材である(エアギャップの場合もある)。これらコア片及びギャップ材は、例えば、接着剤などで一体に接合される。コア片の分割数やギャップ材の個数は、内側コイル部11及び外側コイル部12がそれぞれ所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。
【0036】
[内側コイル部11]
内側コイル部11は、一本の連続する巻線11w(図1)を巻回してなり、一対の内側コイル11a,11bを具える。内側コイル11a,11bは、各コイルの軸方向が平行するように並列されている。巻線11wは、図4(A)に示すように銅製の平角線からなる導体11cの表面に、ポリアミドイミドからなるエナメル被覆(絶縁被覆層)11iを具える被覆平角線である。両コイル11a,11bは、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成されたエッジワイズコイルであり、図1,図5(A)に示すように巻線11wの一部を折り返してなる巻返し部11rを介して連結されている。各コイル11a,11bは、ターン数が等しく、軸方向の長さが等しく、端面がほぼ面一となるように並列されている。また、各コイル11a,11bは、隣り合うターン間の間隔tiができる限り小さくなるように形成されており、上記間隔tiは、実質的に0である(ti≒0)。
【0037】
巻線11wの両端部11e(図1,図5(A))は、適宜延伸されており、それぞれに端子部材(図示せず)が接続され、一端側の端子部材には、外側コイル部12を構成する巻線12w(図1)の一端部に取り付けられた端子部材(図示せず)に接続される。これら端子部材を介して、各コイル部11,12に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。内側コイル11a,11bをつくる巻線11wの端部11eと上記端子部材との接続には、TIG溶接、レーザ溶接、抵抗溶接などの溶接を好適に利用することができる。
【0038】
[外側コイル部12]
外側コイル部12は、内側コイル部11と同様に一本の連続する巻線12wを巻回してなり、一対の外側コイル12a,12bを具える。外側コイル12a,12bも、各コイルの軸方向が平行するように並列され、両外側コイル12a,12b間を繋ぐ渡り部(図示せず)を介して接続されている。この巻線12wは、図4(B)に示すように複数の銅製の素線12sを撚り合わせた撚り線導体12cの外周にFEP樹脂からなる絶縁被覆層12iを具える被覆電線である。各コイル12a,12bは、ターン数が等しく、軸方向の長さが等しく、端面がほぼ面一となるように並列されている。また、外側コイル12a(12b)をつくるターンにおいて、隣り合うターン間の間隔t1は、内側コイル11a(11b)の隣り合うターン間の間隔tiよりも広い(t1>ti)。図2(A),図3(A)に示す例では、外側コイル12a(12b)のターン数が内側コイル11a(11b)のターン数よりも少なく、外側コイル12a(12b)の軸方向の長さl1と内側コイル11a(11b)の軸方向の長さとが等しい。
【0039】
巻線12wの両端部12e(図1)は、内側コイル部11と同様に適宜延伸されて、上述のようにそれぞれに端子部材が接続される。特に、巻線12wの一端側の端子部材には、上述のように内側コイル部11を構成する巻線11wの一端側の端子部材が接続されることで、内側コイル部11の巻線11wの一端部と、外側コイル部12の巻線12wの一端部とが上記端子部材を介して接合される。
【0040】
[コアに対するコイルの配置]
内側コイル部11の一方の内側コイル11aと、外側コイル部12の一方の外側コイル12aとがコア10の一方のコイル巻回部10caに配置され、内側コイル部11の他方の内側コイル11bと、外側コイル部12の他方の外側コイル12bとがコア10の他方のコイル巻回部10cbに配置されている。特に、内側コイル11a(11b)の外周に、外側コイル12a(12b)が同軸に配置されている。即ち、内側コイル11a(11b)と外側コイル12a(12b)とが同心状に積層されて並べられている。
【0041】
図2(A),図3(A)に示す例では、コイル11a,11bの軸方向の中心位置と、コイル12a,12bの軸方向の中心位置とがそれぞれ等しくなるように両コイル部11,12がコイル巻回部10ca,10cbに配置されている。即ち、内側コイル11a(11b)の端面と外側コイル12a(12b)の端面とが実質的に揃っている。
【0042】
或いは、図1,図3(B)に示す例のように、外側コイル12a(12b)のターン数を内側コイル11a(11b)のターン数よりも少なく、かつ外側コイル12a(12b)の軸方向の長さl2を内側コイル11a(11b)の軸方向の長さよりも短くすることもできる。この例では、コイル11a,11bの軸方向の中心位置と、コイル12a,12bの軸方向の中心位置とがそれぞれ等しくなるように両コイル部11,12がコイル巻回部10ca,10cbに配置されている。そのため、内側コイル11a(11b)の端面と外側コイル12a(12b)の端面とが内側コイル11a(11b)の軸方向にずれている。内側コイル及び外側コイルのターン数や軸方向の長さは適宜選択することができる。
【0043】
[インシュレータ]
コア10と内側コイル部11との間にインシュレータ14(図1)を設けると、コア10と内側コイル11a,11bとの間の絶縁性を高められる。インシュレータ14は、例えば、各コイル巻回部10ca,10cbの外周を覆う筒状部14b(後述する図7)と、コイル11a,11b,12a,12bの各端面にそれぞれ当接される一対の枠状部14fとを具える構成が挙げられる。筒状部14bは、図7に示すように半割れの筒片同士を係合する構成とすると、コイル巻回部10cの外周を容易に覆うことができる。各枠状部14fは、筒状部14bの一端部に配置される矩形枠であり、一方の枠状部14fとして図1,6,7に示すように巻返し部11rが載置される台部を具えた構成とすると、絶縁性を高められる。インシュレータ14や後述する筒状のボビン14C(後述する図7)(絶縁部材)には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの絶縁材料が利用できる。
【0044】
[ケース又は樹脂被覆部]
コア10と内側コイル部11及び外側コイル部12との組合体は、例えば、アルミニウム製のケース(図示せず)に収納し、更にケース内に絶縁性のポッティング樹脂(図示せず)を充填した構成とすることができる。帯状のステー(図示せず)などを用いて、端部コアをケースに固定したり、端部コアにボルト孔を設けて、このボルト孔にボルトをねじ込むことにより組合体をケースに固定してもよい。
【0045】
或いは、上記組合体をケースに収納せず、絶縁性樹脂により被覆し、樹脂被覆部(図示せず)を具える構成としてもよい。樹脂被覆部の構成樹脂は、例えば、エポキシ樹脂やウレタン樹脂、PPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂などが利用できる。ケースを省略することで、リアクトル集合体を更に小型にできる。また、樹脂被覆部からコアの一部やコイルの一部、特に、リアクトル集合体を冷却ベースに設置したときに冷却ベース側となる面を露出させた構成とすると、コアやコイルの熱を冷却ベースなどに放出し易く、放熱性を高められる。更に、ケースを省略して樹脂被覆部を具える構成とする場合、両コイル部の巻線の端部を任意の箇所に引き出すことができ、端子部材が接続される箇所の設計の自由度を大きくすることができる。
【0046】
なお、両コイル部の巻線の両端部は、ポッティング樹脂や樹脂被覆部から露出させて、巻線同士を接続したり、上述した端子部材が接続できるようにする。このように組合体をケースに収納したり、樹脂被覆部を具えた構成とすることで、コア10や内側コイル部11、外側コイル部12を外部環境から保護したり、機械的に保護したり、組合体を取り扱い易くすることができる。これらケースや樹脂被覆部は、後述する実施形態や変形例にも適用することができる。
【0047】
[リアクトル集合体の組立]
上記構成を具えるリアクトル集合体1Aは、以下のようにして形成することができる。以下、図7を適宜参照する。
【0048】
まず、コア片やギャップ材を接着剤などで固定してコイル巻回部10ca,10cbを形成し、この外周にインシュレータ14の筒状部14bを配置する。別途、被覆平角線を巻回して作製しておいた内側コイル部11のコイル11aを筒状部14bが配されたコイル巻回部10caに配置し、コイル11bを、筒状部14bが配されたコイル巻回部10cbに配置する。次に、内側コイル11a,11bの一端面に、インシュレータ14の一方の枠状部14f及び一方の端部コア10eを当接させ、内側コイル11a,11bの他端面に、インシュレータ14の他方の枠状部14f及び他方の端部コア10eを当接させ、両端部コア10eで内側コイル11a,11bを挟むように枠状部14f及び端部コア10eを配置して、接着剤などで端部コア10eと両コイル巻回部10ca,10cbとを接合する。この工程により、環状のコア10と内側コイル部11とのプレ組合体が形成される。なお、巻返し部11rは枠状部14fの台部に載置する。そして、内側コイル11aの外周に、被覆電線を巻回して外側コイル12aを形成した後、この被覆電線を内側コイル11b側に渡し、内側コイル11bの外周に被覆電線を巻回して外側コイル12bを形成する。同心状に配置された内側コイル11a,11bをつくる巻線11wの端部11eと、外側コイル12a,12bをつくる巻線12wの端部12eとにそれぞれ端子部材を取り付けて、巻線11wの一方の端部11eと、巻線12wの一方の端部12eとを、端子部材を介して接続する。この工程により、環状のコア10と内側コイル部11及び外側コイル部12との組合体が形成される。
【0049】
或いは、別途、外側コイル部を作製しておき、内側コイル11a,11bのそれぞれに外側コイル12a,12bを配置して同心コイル体を形成し、この同心コイル体の内側コイル11a,11b内にそれぞれ、インシュレータ14の筒状部14bを配置させたコイル巻回部10ca,10cbを配置させてもよい。そして、コイル巻回部10cを具える同心コイル体を上述のようにインシュレータ14の枠状部14f及び端部コア10eで挟むことで、組合体を形成することができる。なお、この場合、内側コイル11a,11bをつくる巻線11wの端部11eが外側コイル部12を組み付ける際に邪魔にならないように、例えば、内側コイル11a,11bの軸方向に延ばし、内側コイル11a,11bのターンの外周に端部11eが突出しないようにするとよい。そして、内側コイル11a,11bの外周に外側コイル12a,12bを組み付けた後、端子部材の取り付けや外側コイルとの接続が行い易いように、巻線11wの端部11eを適宜屈曲などするとよい。或いは、内側コイル11a,11bの外周に外側コイル12a,12bを組み付ける際、外側コイル12a,12bを若干変形させ、組み付けた後、外側コイル12a,12bを成形し直してもよい。
【0050】
得られた組合体は、ケースに収納してポッティング樹脂を充填したり、組合体の外周を樹脂被覆部で被覆したりする。上記工程により、リアクトル集合体1Aが組み立てられる。
【0051】
[試験例]
外側コイルの隣り合うターン間の間隔tを変化させたときの漏れインダクタンスをシミュレーションにより求めた。
【0052】
この試験は、上述のように内側コイルの隣り合うターン間の間隔tiを0とし、この内側コイルの外周に同心状に配置した外側コイルの隣り合うターン間の間隔tを変化させたときの漏れインダクタンスを求めた。より具体的には、外側コイル部の両外側コイル:10ターン、内側コイル部の両内側コイル:60ターンとし、このターン数を一定として、図3に示すように間隔t1,t2を変化させた(外側コイルの軸方向の長さl1,l2を変化させた)。そして、内側コイル部をつくる一対の内側コイルを短絡させた状態で外側コイル部にのみ電流を1A流したときの漏れインダクタンスを求めた。その結果を表1に示す。また、比較として、内側コイル部と外側コイル部とを図2(B)に示すように縦並び構造にしたリアクトル集合体(結合係数:0.9)についても、同様の試験条件で漏れインダクタンスを測定した。その結果も表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
表1に示すように、内側コイルと外側コイルとを同心状に配置したリアクトル集合体では、縦並び構造のリアクトル集合体に比較して、漏れインダクタンスが小さいことが分かる。特に、外側コイル部の外側コイルにおける隣り合うターン間の間隔が、内側コイル部の内側コイルにおける隣り合うターン間の間隔よりも大きくなるほど、漏れインダクタンスを効果的に低減できることが分かる。
【0055】
[効果]
リアクトル集合体1Aは、双方向DC-DCコンバータの構成部品として組み付けられた場合、内側コイル部11を具えることで、昇圧動作や降圧動作を行え、かつ外側コイル部12を具えることで、上記昇降圧動作にあたり、ソフトスイッチングを行えるため、スイッチング動作に伴う損失を低減することができる。その上、リアクトル集合体1Aは、内側コイル部11の各内側コイル11a,11bと、外側コイル部12の各外側コイル12a,12bとが、環状のコア10のコイル巻回部10ca,10cbに同心状に配置されていることから、共振用のコイルが端部コア10eに配置された場合や、共振用リアクトルと平滑用リアクトルコアとが別部材である場合、図2(B)に示す縦並び構造のリアクトル集合体と比較して、小型である。
【0056】
かつ、内側コイル部11の内側コイル11a,11bと外側コイル部12の外側コイル12a,12bとが同心状に配置されたリアクトル集合体1Aは、図2(B)に示す縦並び構造のリアクトル集合体と比較して、漏れインダクタンスが小さい。また、リアクトル集合体1Aは、内側コイルにおける隣り合うターン間の間隔よりも外側コイルにおける隣り合うターン間の間隔が広いことで、漏れインダクタンスが更に小さい。そのため、リアクトル集合体1Aは、漏れインダクタンスが小さいことが望まれる場合に好適に利用することができる。
【0057】
その他、リアクトル集合体1Aは、内側コイル部11が被覆平角線で構成されていることから、コイルの占積率を高められるため、内側コイル11a,11bの軸方向の長さを短くできる。かつ、上述したリアクトル集合体1Aはいずれも、内側コイル11a,11bの軸方向の長さが外側コイル12a,12bの軸方向の長さと同等以下であるため、両コイル部11,12を具えるにあたりコイル巻回部10ca,10cbの長さ(コイルの軸方向の長さ)を長くする必要がなく、リアクトル集合体1Aは、小型である。更に、リアクトル集合体1Aは、外側コイル部12が被覆電線で構成されていることから絶縁性に優れるため、内側コイル11a(11b)と外側コイル12a(12b)との間の絶縁を十分に確保することができる。その上、リアクトル集合体1Aは、図1に示すように同心状に配置されたコイル11a,12a(11b,12b)間に別途絶縁材が介在しないため、絶縁材の分だけ小型にできる上に、部品点数を少なくすることができる。また、外側コイル部12に被覆電線を用いることで、手による巻回などで、内側コイルの外周に外側コイルを容易に形成することができる。
【0058】
(実施形態2:内側コイル部及び外側コイル部-被覆電線)
実施形態1のリアクトル集合体1Aでは、内側コイル部11の巻線11wを被覆平角線とし、外側コイル部12の巻線12wを被覆電線とする構成を説明した。両コイル部の巻線を被覆電線としてもよい。この場合、被覆電線の絶縁被覆層により、同心状に配置された内側コイルと外側コイルとの間を十分に絶縁できるため、別途、絶縁材を介在させなくてもよい。また、被覆電線を利用することで、上述のように手による巻回で同心状に配置されたコイルを簡単に形成できる。
【0059】
(実施形態3:内側コイル部及び外側コイル部-被覆平角線)
或いは、両コイル部の巻線を被覆平角線としてもよい。この場合、特に、エッジワイズコイルとすると、占積率の高いコイルとし易い。また、両コイル部の巻線の一端部同士を溶接などにて直接接続する場合に、接触面積(代表的には、溶接面積)を十分に確保できる上に、この接続した一端部に対して一つの端子部材を共通に取り付けられるため、端子部材の数や取り付け工程を削減することができる。また、一方のコイル部(例えば、外側コイル部)に流す電流量が比較的小さい場合、このコイル部をつくる巻線の導体(ここでは平角線)の断面積は小さくてよい。従って、外側コイル部を構成する被覆平角線の幅と内側コイル部を構成する被覆平角線の幅とを等しくする場合、外側コイル部を構成する被覆平角線は、厚さが薄いものが利用できる。各コイル部を構成する被覆平角線が同幅であることで、接触面積を十分に確保することができる。
【0060】
両コイル部の巻線が被覆平角線である場合、内側コイル部をつくる巻線の端部が邪魔して、内側コイルの外周に外側コイルを配置し難い恐れがある。そこで、例えば、内側コイル部に外側コイル部を組み付ける前に、内側コイル部をつくる巻線の端部を上述のように内側コイルの軸方向に延ばしておくことが挙げられる。
【0061】
また、両コイル部の巻線が被覆平角線である場合、両コイル部とも巻返し部を有する連続コイルであると、内側コイルの外周に外側コイルを配置し難い恐れがある。そこで、例えば、外側コイル部の巻返し部を外側コイルの外方に若干引き上げた構成としてもよい。或いは、両コイル部が被覆平角線により形成される場合、図5(B)に示すように、少なくとも一方のコイル部(図5(B)では内側コイル部11を示す)を、当該コイル部11を構成する各内側コイル11a,11bがそれぞれ別の巻線により形成された接合コイルとすると、内側コイルの外周に外側コイルを配置し易い。各内側コイル11a,11bの巻線11wの一方の端部11ea,11ebは適宜溶接などにより接続するとよい。端部11ea,11ebの接続には、別途接続用の板材などを利用してもよいが、端部11ea,11ebをできる限り近付けた形状とし、直接接合させた構成とすると、接合箇所及び接合工程を低減することができる。内側コイル11a,11b同士の接続作業は、各内側コイル11a,11bの外周に外側コイルを配置してから行うと、外側コイルの配置作業が行い易い。
【0062】
なお、実施形態1,2においても、少なくとも一方のコイル部を図5(B)に示すように、当該コイル部を構成する各コイルがそれぞれ別の巻線により形成された接合コイルとすることができる。但し、実施形態2のように巻線に被覆電線を利用する場合、各コイル部に具える各コイルの巻線の各端部にはそれぞれ、端子部材を接続し、当該コイル部におけるコイル同士を、端子部材を介して接続するとよい。
【0063】
その他、両コイル部の巻線が被覆平角線である場合、同心状に配置された内側コイルと外側コイルとの間の絶縁性を高めるために、絶縁紙14B(後述する図6(A))を介在させたり、絶縁材料からなる筒状のボビン14C(後述する図6(B))といった絶縁部材を介在させることができる。絶縁紙14Bは、比較的薄いため、同心状に配置されたコイルの積層方向の厚さが過度に大きくならず、小型なリアクトル集合体とすることができる。また、絶縁紙14Bは、比較的安価であるため材料コストを低減できる。一方、筒状のボビン14Cは、上述のインシュレータ14の構成材料と同様の材料が利用でき、適宜な形状、厚さを選択するとよい。また、筒状のボビン14Cは、上述のインシュレータ14の筒状部14bのように分割片を組み合わせた構成(後述する図7)とすると、内側コイルの外周に配置し易い。特に、このボビン14Cに少なくとも一方のコイル部のコイルの位置決め部(例えば、突起や溝)を設けると、このボビン14Cに対するコイルの位置決めを簡単に行えてコイルを配置し易い。なお、実施形態1,2においても絶縁紙14Bやボビン14Cを設けることができる。
【0064】
また、外側コイル部の巻線が被覆平角線である場合、各外側コイルは、被覆平角線をフラットワイズ巻きにしたフラットワイズコイルとすることができる。この場合、外側コイルの高さ(コイルの軸方向及び一対のコイルの並列方向の双方に直交する方向の大きさ)及び外側コイルの幅(一対のコイルの並列方向の大きさ)を小さくすることができるため、リアクトル集合体の小型化に寄与することができる。また、内側コイルよりもターン数を少なくすることで、外側コイルの軸方向の長さを小さくすることができ、コイル巻回部を過度に長くすることが無く、小型なリアクトル集合体とすることができる。
【0065】
(実施形態4:被覆丸線)
或いは、巻線13wとして、図4(C)に示すような銅製の丸線からなる導体13cの外周にエナメル被覆(絶縁被覆層)13iを具える被覆丸線を利用してもよい。被覆丸線は、被覆電線よりも占積率が高いコイルが得られる上に、被覆電線よりも柔らかいため、手による巻回が行い易い。
【0066】
実施形態1の内側コイル部11を構成する被覆平角線に代えて、被覆丸線を利用してもよいし、両コイル部11,12の巻線を被覆丸線にしてもよいし、一方のコイル部を被覆平角線や被覆電線で構成し、他方のコイル部を被覆丸線で構成してもよい。被覆丸線のみを利用する場合や被覆丸線と被覆平角線とを用いる場合、即ち図4(B)に示すような被覆電線を利用しない場合は、図6(A)に示すリアクトル集合体1Bのように同心状に配置された内側コイル部11の内側コイル11a,11bと外側コイル部12Cの外側コイル13a,13bとの間に絶縁紙14Bを配置させたり、図6(B),図7に示すリアクトル集合体1Cのように同心状に配置された内側コイル部11の内側コイル11a,11bと外側コイル部12Cの外側コイル13a,13bとの間に筒状のボビン14Cを配置させると、絶縁性を高められる。
【0067】
(実施形態5:シート状線材)
或いは、巻線として、銅箔の導体(0.1mm×1.0mm)の表面に絶縁被覆層(厚さ0.2mm、ポリイミド)を具えるシート状線材を利用してもよい。シート状線材は、上述した被覆平角線などと比較して導体断面積が小さく、その厚さが薄い。従って、シート状線材を利用することで、リアクトル集合体の高さ(コイルの軸方向に直交する方向の大きさ)を小さくすることができ、リアクトル集合体の小型化に寄与することができる。特に、共振用リアクトルに利用される場合などで使用時に外側コイル部に流される電流量が少ない場合、外側コイル部を形成する巻線として、このシート状線材を利用することができる。
【0068】
(実施形態6:巻線の導体の材質)
上述の実施形態では、巻線11w,12w,13wの導体11c,12c,13cやシート状線材の導体が銅からなるものを説明した。共振用リアクトルに利用される場合などで使用時に外側コイル部に流される電流量が少ない場合、外側コイル部を構成する巻線の導体として、銅よりも導電率が小さいアルミニウムやアルミニウム合金からなるものを利用してもよい。導体がアルミニウムやその合金からなる巻線を利用することで、リアクトル集合体の軽量化に寄与することができる。
【0069】
(実施形態7:巻線端部の接合)
実施形態1のリアクトル集合体1Aでは、内側コイル部11の巻線11wの両端部11e及び外側コイル部12の巻線12wの両端部12eのそれぞれに端子部材を取り付ける構成、即ち、合計4個の端子部材を具える構成を説明した。内側コイル部11の巻線11wの一端部11eと外側コイル部12の巻線12wの一端部12eとを直接接合した構成としてもよい。接合には、TIG溶接、レーザ溶接、抵抗溶接などの溶接の他、圧着、冷間圧接、振動溶着などを利用することができる。特に、内側コイル部を形成する巻線及び外側コイル部を形成する巻線の少なくとも一方は、被覆平角線であると、接合の際、接触面積を十分に確保することができる。両コイル部の巻線の一端部同士を直接接合することで、一つの端子部材を共通に利用することができ、端子部材の数及び取り付け工程を低減して、作業性を向上することができる。この場合、合計3個の端子部材を具える構成となる。
【0070】
(実施形態8:外側コイルの配置形態)
以下、図8,9を適宜参照して、実施形態8のリアクトル集合体1D〜1Fを説明する。図8(A)では分かり易いように、一方の外側コイル12bを黒色で示す。また、図9では、コアと外側コイルのみを示し、その他の構成を省略している。実施形態1のリアクトル集合体1A(図8(B))では、外側コイル部12の外側コイル12a,12bを形成する各ターンにおいて互いに向かい合う部分の巻線、即ち、横並びされたコイル巻回部10ca,10cb間に配置されている巻線が隣り合うように配置された形態を説明した。図8(A),図9(A)に示すリアクトル集合体1Dのように外側コイル12a,12bを形成する各ターンにおいて互いに向かい合う部分の巻線、即ち、コイル巻回部10ca,10cb間に配置された巻線が外側コイル12a(12b)の軸方向に重複して配置された構成とすることができる。ここでは、リアクトル集合体1Dは、一方の外側コイル12aのターンをつくる巻線と他方の外側コイル12bのターンをつくる巻線とが1本ずつ交互に配置された形態である。即ち、リアクトル集合体1Dが具える外側コイル部12Dは、一方の外側コイル12aをつくる隣り合うターン間に、他方の外側コイル12bをつくるターンが挿入された構成であり、図8(A)に示すように、コイル巻回部10ca,10cb間に配置された両外側コイル12a,12bの巻線が一直線上に並べられている。
【0071】
このように、両外側コイル12a,12bの巻線が重複するように配置されることで、コイル巻回部10ca,10cb間の間隔を図8(B)に示すリアクトル集合体1Aよりも狭くすることができる。従って、リアクトル集合体1Dに具えるコア10Dの端部コア10Deの幅(コイルの軸方向に直交する方向(図8では上下方向)の大きさ)をリアクトル集合体1Aに具えるコア10の端部コア10eよりも小さくすることができる。そのため、リアクトル集合体1Dは、更に小型である。このような外側コイル部12Dは、実施形態1で説明したように巻線を手巻きしたり、実施形態3で説明したように接合コイルとすると形成し易い。特に、各外側コイル12a,12bにおいて隣り合うターン間が広い場合、一方の外側コイル12aの隣り合うターン間に、他方の外側コイル12bのターンを容易に存在させることができる。
【0072】
上述のように一方の外側コイル12aのターンをつくる巻線と他方の外側コイル12bのターンをつくる巻線とが1本ずつ交互に配置された形態の他、図9(B)に示すリアクトル集合体1Eのように、複数本(ここでは2本)ずつ交互に配置された形態とすることができる。この形態では、各外側コイル12a,12bにそれぞれターン間の間隔が広い部分を有することができ、リーケージを低減できると期待される。
【0073】
或いは、図9(C)に示すリアクトル集合体1Fのように、一方の外側コイル12aの端面と、他方の外側コイル12bの端面とが重複するように配置された形態とすることができる。この形態では、重複箇所が少なく、上記外側コイル部12Dなどのように、一方の外側コイル12aの巻線と他方の外側コイル12bの巻線とを交互に配置させる必要がないため、外側コイル部12Fを容易に形成することができる。
【0074】
(変形例:コイルの配置)
実施形態1のリアクトル集合体1Aでは、両コイル部11,12においてコイルの軸方向の中心位置が同じである構成を説明した。内側コイルの軸方向の中心位置と、外側コイルの軸方向の中心位置とが軸方向にずれた配置とすることでも漏れインダクタンスを低減できる。この場合、図1,図3(B)に示すように外側コイルの軸方向の長さが短くなるように、例えば、外側コイルとしてターン数が少ないものとすると、コイル巻回部を短くし易い。
【0075】
なお、上述した実施の形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、コイルの隣り合うターン間の間隔、ターン数などを適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明リアクトル集合体は、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車といった車両に搭載される双方向ソフトスイッチングDC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。また、本発明リアクトル集合体の漏れインダクタンスの調整方法は、上記本発明リアクトル集合体の形成に利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1A,1B,1C,1D,1E,1F リアクトル集合体 10,10D コア 10c,10ca,10cb コイル巻回部
10e,10De 端部コア 10m 磁性体部 11 内側コイル部 11w,12w,13w 巻線
11a,11b 内側コイル 11c,13c 導体 11e,11ea,11eb,12e 巻線の端部
11r 巻返し部 11i,12i,13i 絶縁被覆層 12,12C,12D,12F 外側コイル部
12a,12b,13a,13b 外側コイル 12s 素線 12c 撚り線導体 14 インシュレータ
14b 筒状部 14f 枠状部 14B 絶縁紙 14C ボビン
L リアクトル 100 コア 100ca,100cb コイル巻回部 100e 端部コア
110,120 コイル部 110a,110b,120a,120b コイル 111 巻線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列された一対のコイル巻回部と、両コイル巻回部を挟むように配置される一対の端部コアとを有する環状のコアと、
巻線を螺旋状に巻回してなり、各コイル巻回部の外周にそれぞれ配置される一対の内側コイルを有する内側コイル部と、
巻線を螺旋状に巻回してなり、前記各内側コイルの外周にそれぞれ同軸に配置される一対の外側コイルを有する外側コイル部とを具え、
前記一方の内側コイルを構成する巻線の一端部と、前記一方の外側コイルを構成する巻線の一端部とが接合されており、
前記外側コイルにおいて隣り合うターン間の間隔が、前記内側コイルにおいて隣り合うターン間の間隔よりも広いことを特徴とするリアクトル集合体。
【請求項2】
前記一方の外側コイルを形成するターンの少なくとも一部の巻線と前記他方の外側コイルを形成するターンの少なくとも一部の巻線とが外側コイルの軸方向に重複して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル集合体。
【請求項3】
前記コアと、前記内側コイル部及び前記外側コイル部との組合体の外周を覆う樹脂被覆部を具えることを特徴とする請求項1又は2に記載のリアクトル集合体。
【請求項4】
前記内側コイル部を構成する巻線及び前記外側コイル部を構成する巻線は、平角線又は丸線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線又は被覆丸線であり、
前記内側コイルとその外周に配置される前記外側コイルとの間には、絶縁材が介在されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
【請求項5】
前記内側コイル部及び前記外側コイル部の少なくとも一方において、当該コイル部を構成する各コイルはそれぞれ、平角線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルであり、
当該コイル部は、各コイルを構成するそれぞれの被覆平角線の一端部同士を溶接して形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
【請求項6】
前記内側コイル部及び前記外側コイル部の少なくとも一方において、当該コイル部を構成する各コイルはそれぞれ、平角線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルであり、
当該コイル部は、連続する一本の被覆平角線から構成されており、当該コイル部を構成する両コイル同士が前記被覆平角線の一部を折り返してなる巻返し部を介して連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
【請求項7】
前記内側コイル部を構成する巻線及び前記外側コイル部を構成する巻線の少なくとも一方は、複数の素線を撚り合わせた撚り線導体と、この撚り線導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆電線であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
【請求項8】
前記内側コイル部を構成する巻線及び前記外側コイル部を構成する巻線の一方は、前記被覆電線であり、他方は、平角線又は丸線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線又は被覆丸線であることを特徴とする請求項7に記載のリアクトル集合体。
【請求項9】
前記外側コイル部を構成する巻線の導体は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
【請求項10】
前記各外側コイルはそれぞれ、平角線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線をフラットワイズ巻きしたフラットワイズコイルであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
【請求項11】
前記内側コイル部及び前記外側コイル部の少なくとも一方において、当該コイル部を構成する各コイルはそれぞれ、平角線からなる導体と、この導体の外周に設けられた絶縁被覆層とを具える被覆平角線を巻回してなり、
前記内側コイルの一端部と、前記外側コイルの一端部とは、溶接により接合されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
【請求項12】
前記外側コイル部を構成する巻線は、箔状の導体の表面に絶縁材がラミネートされたシート状線材であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
【請求項13】
前記リアクトル集合体は、双方向のソフトスイッチングコンバータの構成部品に用いられることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
【請求項14】
巻線を螺旋状に巻回してなる内側コイルを環状のコアの外周に配置し、この内側コイルの外周に巻線を螺旋状に巻回してなる外側コイルを前記内側コイルと同軸に配置し、
前記外側コイルの隣り合うターン間の間隔を前記内側コイルの隣り合うターン間の間隔よりも広くすることにより、漏れインダクタンスを小さくすることを特徴とするリアクトル集合体の漏れインダクタンスの調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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