説明

リアルタイムクロック装置

【課題】少ない消費電力で任意の長さの入力信号を確実に検出できるようにする。
【解決手段】リアルタイムクロック装置10は、所定周波数の原振クロック信号を出力する発振部12と、発振部12が出力した原振クロック信号を分周して相互に異なる周期のクロック信号を生成する複数の分周部14と、分周部14の出力する任意の周期のクロック信号を、与えられた選択信号に基づいて出力するクロック選択回路16と、外部のスイッチ40に接続されて、入力した信号の長さをクロック選択回路16が出力したクロック信号によって検出し、入力した信号がスイッチ40からの入力信号であるか否かを検知する信号検出回路30とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に搭載されて時刻を刻むとともに、処理の同期を取るための基準のクロック信号出力するリアルタイムクロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式のスイッチなどがオンからオフに、またはオフからオンに切り替えられると、チャタリングが発生して電子機器の誤動作の原因となることが知られている。このため、従来は、スイッチなどの信号発生源にコンデンサCと抵抗Rとからなる積分回路を接続して、チャタリングを除去するようにしていた。しかし、積分回路を用いたチャタリング除去回路は、除去特性が素子の電圧特性、温度特性などによって変化するため、些細なパルスやノイズの除去程度であれば可能であるが、入力信号長を正確にフィルターして選択的に出力することは困難であり、一度素子定数を設定してしまうと、完成体において感度変更することが困難である。この他、スイッチ信号などをソフトウエアで検出処理して入力信号の有効性を判定する手段があるが、CPUの処理能力の差や割り込み処理の影響などのために判定にばらつきを生ずる。
【0003】
そこで、特許文献1には、コンデンサと抵抗とを用いずに、論理回路によってチャタリングを除去するチャタリング除去回路を設けたマイクロプロセッサが記載してある。このチャタリング除去回路は、クロック発生回路、複数段からなるシフトレジスタ、シフトレジスタの出力側に設けたNAND回路、NOR回路、これらのNAND回路とNOR回路との出力を入力するRSフリップフロップなどから構成してある。そして、シフトレジスタの各段にクロック発生回路が出力するクロック信号を入力するとともに、シフトレジスタの初段に外部からの入力信号を入力し、さらにシフトレジスタの各段の出力と入力信号とをNAND回路とNOR回路とに入力してチャタリングを除去できるようにしている。このチャタリング除去回路は、クロック発生回路の出力するクロックの周波数を設定することにより、任意の長さの入力信号をチャタリングから分離して取り出すことが可能である。
【特許文献1】特開平5−53703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のチャタリング除去回路は、マイクロプロセッサの内部にチャタリングを除去するための、専用のクロック発生回路を設ける必要がある。このため、特許文献1のチャタリング除去回路は、チャタリングを除去して入力信号を検出するために、クロック発生回路を常に動作させる必要があり、電子機器の消費電力を増大させる。特に、近年は、携帯電話を初めとして電子機器の小型化、携帯化が進展し、内蔵した電池によって動作する電子機器が多くなっており、消費電力を低減することが強く求められている。また、近年は、電子機器の中枢であるCPUに多くの機能が要求され、電子機器に備えられたスイッチの数も多くなっている。このため、CPUは、これらのスイッチの状態を監視し、割り込み処理の増大などによって負荷が非常に大きくなり、動作遅れなどを生ずるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の欠点を解消するためになされたもので、少ない消費電力で任意の長さの入力信号を確実に検出できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、チャタリングなどのノイズを除去してシステムが任意に設定した時間長に対して有効な入力信号のみを高精度で検出できるようにすることを目的としている。
さらに、本発明は、電子機器本体が動作していないときでも入力信号があったか否かを確認できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係るリアルタイムクロック装置は、所定周波数の原振クロック信号を出力する発振部と、前記発振部が出力した前記原振クロック信号を複数回分周して相互に異なる周期を持った複数のクロック信号を生成し、出力する分周部と、前記複数のクロック信号の任意の前記クロック信号を、与えられた選択信号に基づいて出力するクロック選択部と、外部の信号発生源に接続されて、入力した信号の長さを前記クロック選択回路が出力した前記クロック信号によって検出し、前記入力した信号が前記信号発生源からの入力信号であるか否かを検知する信号検出回路と、を有することを特徴としている。
【0007】
このようになっている本発明は、ほとんどの電子機器に装備されており、しかも常時クロック信号を出力するリアルタイムクロック装置の発振部の出力するクロック信号を利用して入力信号を検出する。このため、入力信号を検出するのに専用の発振部などを設ける必要がなく、消費電力がほとんど増加せず、非常に低エネルギーで入力信号の検出をすることができる。しかも、発振部の出力した原振クロック信号を複数回分周することによって得た相互に周期の異なるクロック信号を選択して入力信号の検出に使用しているため、選択するクロック信号を変えることにより、種々の長さの入力信号を確実に検出することができる。また、発振部の出力するクロック信号に基づいて入力信号を検出するようにしているため、ソフト処理によって検出する場合に比較して高精度な設定が可能で、長さの異なる入力信号を高精度で検出することができる。
【0008】
前記信号検出回路は、前記入力した信号の長さが所定長さ以上を有する前記入力信号であることを前記クロック信号の周期によって検出する信号長検出部と、前記信号長検出部が前記入力信号を検出したときに、検出情報を保持する検出記憶部と、を設けることができる。リアルタイムクロック装置は、電子機器本体が動作していないときでも常に動作し、通常、データの保存機能、バックアップ機能を有している。したがって、検出記憶部を設けることにより、電子機器本体が作動していないときに入力信号があったか否かを、電子機器本体を作動させたときに、容易に確認することができる。
【0009】
前記入力した信号の長さの検出は、前記クロック信号の立上りまたは立下りを基準にして行なうことができる。クロック信号の立上りまたは立下りを基準にすると、入力した信号の長さの検出が容易となる。また、前記信号検出回路は、前記入力信号を検出したときに、前記クロック選択回路に前記クロック信号の出力を停止させるクロック出力停止信号を出力するようにできる。このようにすると、例えば、信号検出回路が入力信号を検出したときに、電子機器本体が動作していない場合、クロック選択回路の動作を停止させることにより、より消費電力を小さくすることができる。前記信号検出回路の出力したクロック出力停止信号は、遅延回路を介して前記クロック選択回路に入力するようにしてよい。このようにすると、柔軟性が向上して適用範囲を拡げることができる。そして、前記遅延回路は、前記クロック選択回路の出力するクロック信号に基づいて、入力した前記クロック出力停止信号を遅延させるようにするとよい。このようにすると、クロック出力停止信号を遅延させる時間を計時するための発振回路を必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係るリアルタイムクロック装置の好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るリアルタイムクロック装置の要部を示すブロック図である。図1において、リアルタイムクロック装置10は、発振部12と発振部12の出力側に設けた分周部14、分周部14の出力側に設けたクロック選択回路16を備えている。発振部12は、圧電振動子18と、圧電振動子18を励振する発振回路20とからなっている。圧電振動子18は、実施形態の場合、励振周波数(発振周波数)が32768Hzの音叉型水晶振動子からなっていて、発振回路20が圧電振動子18を励振し、32768Hzの原振クロック信号を分周部14に出力する。
【0011】
分周部14は、発振部12から入力した32768Hzの原振クロック信号をそのまま出力可能であるとともに、複数の1/2分周回路15を備えている。各分周回路15は、多段に接続してあって、入力した32768Hzの原振クロック信号を段階的に順次1/2分周し、1Hzの1秒信号を生成する。そして、分周部14は、リアルタイムクロック装置10内の内部時計22に1秒信号を出力するとともに、各1/2分周回路15の各段において分周して生成した相互に異なる周期のクロック信号をクロック選択回路16に送出する。
【0012】
クロック選択回路16は、クロック選択部24と内部レジスタ設定部26とから構成してある。内部レジスタ設定部26は、リアルタイムクロック装置10の外部に設けた図示しない操作部などからクロック選択信号が入力するようになっている。そして、内部レジスタ設定部26は、クロック選択信号によって指定された周波数のクロック信号がクロック選択部24から出力されるように、クロック選択部24のアドレスを設定する。
【0013】
リアルタイムクロック装置10は、クロック選択回路16の出力側に設けた信号検出回路30を備えている。信号検出回路30は、信号長検出部32と検出器億部となるD−FF34とから構成してある。信号長検出部32は、実施形態の場合、それぞれがセット端子S(S1、S2)とリセット端子R(R1、R2)とを有する2つのDフリップフロップ(D−FF)36、38によって構成してある。D−FF36は、D1入力端子がリアルタイムクロック装置10の外部の信号発生源であるスイッチ40の一方の接点に接続してある。スイッチ40は、例えば押しボタンスイッチやメモリースイッチなどであって、スイッチ40が押下されたときだけスイッチ入力ライン41にスイッチ入力信号“H”が入力する。D−FF36を接続したスイッチ40の一方接点は、抵抗42を介して接地してある。また、スイッチ40の他方の接点は、回路電源Vccに接続してある。
【0014】
D−FF36、38は、直列入力、直列出力型のシフトレジスタを構成していて、D−FF36のQ1出力端子がD−FF38のD2入力端子に接続してある。そして、クロック選択部24の出力端子は、各D−FF36、38のCk(Ck1、Ck2)入力端子に接続してあり、各D−FF36、38のCk入力端子にクロック信号を同時に与えることができるようにしてある。また、各D−FF36、38のリセット端子Rは、D−FF36のQ1入力端子を接続したスイッチ40の接地側接点に接続してある。
【0015】
D−FF38の/Q2(Q2バー)出力端子は、信号長検出部32の出力端子となっていて、検出記憶部であるD−FF34に接続してある。D−FF34は、セット端子S3とリセット端子R3とを備えており、セット端子S3がD−FF38の/Q2出力端子に接続してある。また、D−FF34は、リセット端子R3に図示しないCPUなどから検出クリア信号を受けるようになっている。そして、D−FF34のQ3出力端子が信号検出回路30の出力端子となっていて、後述するように、所定長さ以上の信号が信号検出回路30に入力したときに、スイッチ40が押下操作されたことによる入力信号であるとして、検出信号をCPUなどに出力する。なお、各D−FF34、36、38は、セット端子Sおよびリセット端子Rが負論理動作するようになっている。また、D−FF34、36、38は、Ck(Ck1〜Ck3)入力端子に入力するクロック信号の立上り時に動作するようになっている。
【0016】
このようになっている実施形態のリアルタイムクロック装置10の作用は、次のとおりである。そして、図2は、正常なスイッチ入力信号が入力したときの、信号検出回路30の検出動作を説明するタイムチャートである。発振部12は、32768Hzの原振クロック信号を出力し、分周部14に入力する。分周部14を構成している複数の1/2分周回路15は、多段に接続してあって、それぞれが前段の出力するクロック信号を1/2分周する。そして、各段の分周回路15の出力する相互に周期の異なるクロック信号は、32768Hzの原振クロック信号とともに、クロック選択回路16に出力される。
【0017】
クロック選択回路16のクロック選択部24は、外部から与えられたクロック選択信号によって、分周部14が出力するクロック信号から選択された所望の周期(または周波数)のクロック信号を出力する。クロック選択部24の出力したクロック信号は、信号検出回路30の信号長検出部32を構成している各D−FF36、38のCk1入力端子、Ck2入力端子に与えられる。信号検出回路30は、スイッチ40がオン操作されたか否かを監視している。D−FF36のD1入力端子を接続したスイッチ入力ライン41は、スイッチ40が押下されていない場合、入力信号が“L”であって、押下されると“H”となる。また、スイッチ入力ライン41に入力した信号は、D−FF36、38の各リセット端子Rに入力するようになっている。
【0018】
いま、各D−FF34、36、38がリセットされている状態のときに、時刻t1においてスイッチ40が押下されたとする。これにより、図2(1)に示したように、スイッチ入力ライン41に入力した入力信号が“H”に変わり、この“H”が信号長検出部32を構成しているD−FF36のD1入力端子に入力する。このとき、D−FF36は、Ck1入力端子に入力しているクロック選択部24の出力したクロック信号Aが、図2(2)に示したように、“H”となっている。しかし、D−FF36は、Ck1入力端子が立上り動作するようになっているため、Q1出力端子の出力が“L”のままである(同図(3)参照)。そして、D−FF36は、スイッチ入力ライン41に入力したスイッチ入力信号が“H”の状態において、クロック選択部24から次のクロック信号BがCk1入力端子に入力すると、その立上りaにおいて動作し、Q1出力端子の出力が“L”から“H”になる。
【0019】
一方、D−FF36の後段のD−FF38は、クロック信号Bの立上り時aにおいては、Q2入力端子に入力するD−FF36の出力端子Q1の出力が“L”であるため、図2(4)に示したように、/Q2出力端子が“H”を出力しつづける。この/Q2出力端子の出力“H”は、検出記憶部であるD−FF34のセット端子S3に入力される。D−FF34は、セット端子S3が負論理動作であるため、Q3出力端子の出力が図2(5)に示したように“L”のままとなる。
【0020】
クロック選択部24が次のクロック信号Cを出力したときに、スイッチ入力ライン41に入力した入力信号が“H”のままであると、D−FF36は、Q1出力端子から“H”が出力されつづける。このため、D−FF38は、Ck2入力端子に入力するクロック信号Cの立上りbのときに、/Q2出力端子の出力が“L”に変化し(図2(4)参照)、この“L”をD−FF34のセット端子S3に与える。D−FF34は、セット端子S3に“L”が入力すると、同図(5)に示したように、出力端子Q3の出力が“H”となり、この“H”が信号検出回路30による入力信号の検出信号としてCPUなどに出力される。すなわち、信号検出回路30は、クロック選択部24の出力するクロック信号の1周期以上であって、連続する2つのクロック信号の立上り時を経過する長さを有している場合に、スイッチ入力ライン41の“H”を検出するようになっている。
【0021】
時刻t2においてスイッチ40の押下が解除され、スイッチ入力ライン41に入力した入力信号が“L”に変化すると、この“L”がD−FF36、38の負論理動作する各リセット端子Rに入力する。このため、D−FF36、38は、リセットされてD−FF36のQ1出力端子の出力が“L”になるとともに、D−FF38の/Q2出力端子の出力が“H”となる。したがって、D−FF34は、リセット端子R3に検出クリア信号が入力するまでQ3出力端子から検出信号である“H”を出力しつづける。図示しないCPUは、信号検出回路30から検出信号“H”を受け取ると、スイッチ40がオンされたことを認識し、D−FF34のリセット端子R3に検出クリア信号を入力してD−FF34をリセットする。これにより、D−FF34は、Q3出力端子の出力が“L”となる。
【0022】
一方、図3に示したように、チャタリングのような時間的に短いノイズが入力した場合、次のようになる。例えば、図3(1)に示したように、時刻t3にスイッチ入力ライン41に入力した入力信号が“H”に変化したとする。D−FF36は、D1入力端子に“H”が入力すると、時刻t3ののちにクロック選択部24が出力し、Ck1入力端子に入力するクロック信号Dの立上りcにおいてQ1出力端子から“H”を出力する(図3(2)、(3)参照)。このとき、D−FF38の/Q2出力端子の出力は、同図(4)に示したように、前記と同様に“H”のままである。このため、D−FF34のQ3出力端子からは、同図(5)に示すように、“L”が出力される。
【0023】
図3(1)、(2)に示すように、クロック選択部24が次のクロック信号Eを出力する前の時刻t4において、スイッチ入力ライン41に入力した信号が瞬間的に“L”に変化すると、この“L”がD−FF36、38のリセット端子R1、R2に入力する。このため、D−FF36、38の状態がリセットされ、図3(3)に示すように、D−FF36のQ1出力端子の出力が“L”になる。また、D−FF38は、/Q2出力端子の出力が“H”のままであり、D−FF34のQ3出力端子が“L”を出力しつづける。すなわち、信号検出回路30は、スイッチ入力ライン41に入力したスイッチ入力信号が“H”となったαの部分を検出しない。
【0024】
スイッチ入力ライン41に入力した信号が時刻t4において瞬間的に“L”に変化してすぐに“H”に戻ると、D−FF36は、Ck1入力端子に入力した次のクロック信号Eの立上りdにおいて、Q1出力端子の出力が“H”となる。このときにおいても、D−FF38の/Q2出力端子の出力は“H”であり、D−FF34のQ3出力端子の出力は“L”のままである。そして、クロック選択部24が次のクロック信号Fを出力する前の時刻t5において、スイッチ入力ライン41の入力信号が“L”になってしまうと、前記したようにD−FF36のQ1出力端子の出力が“L”となる。このため、図3(5)に示したように、スイッチ入力ライン41のβの部分は、信号検出回路30によって検出されなかったことになる。
【0025】
すなわち、実施形態の信号検出回路30は、スイッチ40が押下されてスイッチ入力ライン41が“H”となった場合、クロック選択部24の出力するクロック信号の連続した2回の立上りが入力する時間の長さを継続しないと検出しない。このため、信号検出回路30は、スイッチ40が押下されたときに生ずるチャタリングなどのノイズを除去して、必要とするスイッチ40が押下された信号のみを確実に検出することができる。
【0026】
しかも、実施形態の信号検出回路30は、ほとんどの電子機器に搭載されているリアルタイムクロック装置の発振周波数を利用しているため、専用の発振回路を必要とせず、消費電力の増加もほとんどない。また、実施形態においては、分周部14の出力する複数の周期の異なるクロック信号を任意に選択して入力信号を検出するようにしているため、種々の長さの入力信号の検出に容易に対応することができる。また、実施形態においては、水晶振動子を用いた発振部12の出力周波数を分周したクロック信号を用いているため、ソフトウエア処理などに比較して高精度なタイミング設計が可能となり、長さの異なる入力信号の検出を高精度で行なうことができる。さらに、リアルタイムクロック装置は、通常、電子機器本体の電源がオフされている間も作動してデータがバックアップされるため、電子機器本体が動作を復帰した時に、オフされていた間の信号検出回路30の入力信号の検出結果を確認することができる。
【0027】
なお、前記実施形態においては、信号長検出部32を2つのD−FF36、38を直列接続して形成した場合について説明したが、3つ以上のフリップフロップを直列接続し、クロック信号の連続した3回以上の立上りまたは立下りを利用して検出するようにしてもよい。また、前記実施形態においては、スイッチ40の押下操作を検出する場合について説明したが、例えば他の電子機器からの信号の入力を検出する場合にも適用することができる。
【0028】
図4は、第2実施形態のブロック図である。この実施形態に係るリアルタイムクロック装置10Aは、D−FF34のQ3出力端子に接続したフラグのような1ビットの検出記録メモリ44を有している。この検出記録メモリ44は、C−MOSなどの低消費電力の素子によって構成してあり、D−FF34が入力信号検出信号であるQ3主力端子から出力される“H”によってビットが立てられ、信号検出回路30が入力信号を検出したことを示す。
【0029】
また、D−FF34のQ3出力端子から出力された“H”は、クロック選択回路16の内部レジスタ設定部26に(クロック)出力停止信号として与えるようになっている。内部レジスタ設定部26は、D−FF34から“H”が入力すると、クロック選択部24からクロック信号が出力されるのを停止する。これにより、例えば夜間などの電子機器本体が使用されていない時間帯において、信号検出回路30が入力信号を検出したときに、クロック選択部24の機能停止することができ、消費電力をより節減することができる。また、D−FF34が“H”を出力したときに、信号検出回路30(D−FF34、36、38)の機能を停止させることにより、一層消費電力を小さくすることができる。しかも、検出記録メモリ44に検出結果が記憶、保持されているため、電子機器本体の動作が復帰したときに、入力信号の検出結果を知ることができる。
【0030】
なお、D−FF34の出力側と内部レジスタ設定部26との間に、必要に応じて破線で示したように遅延回路46を設け、内部レジスタ設定部26に入力する“H”を所定時間遅延させるようにしてもよい。この結果、検出クロックの動作時間が長くなるので、検出クロック停止再開の処理が省略できるため、マウスダブルクリックのような連続した2回以上の信号検出が容易になるなど、リアルタイムクロック装置10Aを種々の電子機器に応用することができる。なお、この場合、クロック選択部24の出力するクロック信号を遅延回路46に入力し、このクロック信号を計数して所定時間遅延させるようにすると、遅延時間を計時するための発振回路などを設ける必要がない。また、遅延回路46に与えるクロック信号は、信号検出回路30に与えるクロック信号と異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係るリアルタイムクロック装置の要部ブロック図である。
【図2】実施形態に係る信号検出回路の入力信号の検出動作を説明するタイムチャートである。
【図3】実施形態に係る信号検出回路によるチャタリング除去時の動作を説明するタイムチャートである。
【図4】他の実施形態にかかるリアルタイムクロック装置の要部ブロック図である。
【符号の説明】
【0032】
10、10A………リアルタイムクロック装置、12………発振部、14………分周部、15………1/2分周回路、16………クロック選択回路、30………信号検出回路、32………信号長検出部、34………検出記憶部(D−FF)、40………信号発生源(スイッチ)、46………遅延回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数の原振クロック信号を出力する発振部と、
前記発振部が出力した前記原振クロック信号を複数回分周して相互に異なる周期を持った複数のクロック信号を生成し、出力する分周部と、
前記複数のクロック信号の任意の前記クロック信号を、与えられた選択信号に基づいて出力するクロック選択部と、
外部の信号発生源に接続されて、入力した信号の長さを前記クロック選択回路が出力した前記クロック信号によって検出し、前記入力した信号が前記信号発生源からの入力信号であるか否かを検知する信号検出回路と、
を有することを特徴とするリアルタイムクロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリアルタイムクロック装置において、
前記信号検出回路は、
前記入力した信号の長さが所定長さ以上を有する前記入力信号であることを前記クロック信号の周期によって検出する信号長検出部と、
前記信号長検出部が前記入力信号を検出したときに、検出情報を保持する検出記憶部と、
を有していることを特徴とするリアルタイムクロック装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のリアルタイムクロック装置において、
前記入力した信号の長さの検出は、前記クロック信号の立上りまたは立下りを基準にして行なうことを特徴とするリアルタイムクロック装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のリアルタイムクロック装置において、
前記信号検出回路は、前記入力信号を検出したときに、前記クロック選択回路に前記クロック信号の出力を停止させるクロック出力停止信号を出力することを特徴とするリアルタイムクロック装置。
【請求項5】
請求項4に記載のリアルタイムクロック装置において、
前記信号検出回路の出力したクロック出力停止信号は、遅延回路を介して前記クロック選択回路に入力することを特徴とするリアルタイムクロック装置。
【請求項6】
請求項5に記載のリアルタイムクロック装置において、
前記遅延回路は、前記クロック選択回路の出力するクロック信号に基づいて、入力した前記クロック出力停止信号を遅延させることを特徴とするリアルタイムクロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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