説明

リアル・タイム・クロック(RTC)のブラウンアウト検知の方法および装置

リアル・タイム・クロックのブラウンアウト検知の方法および装置である。全地球測位システム(「GPS」)受信機の幾つかの構成部品が電力を落とされている間、低電力リアル・タイム・クロック(RTC)は、受信機の時刻を継続的に保持する。様々な実施形態で、ブラウンアウト検知回路はRTCクロック・サイクルの喪失を検知する。RTCクロック・サイクルの喪失が所定のしきい値を超えて、それによりRTCがGPSナビゲーションにおいて信頼できなくなると、RTCステータス信号がそのことを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2001年10月30日に出願された同時係属のアメリカ合衆国特許出願第10/021,119号「低電力動作の間にGPS信号を取得するために較正されたリアル・タイム・クロック("Calibrated Real Time Clock for Acquisition of GPS Signals During Low Power Operation")」の一部継続出願である。
【0002】
(技術分野)
本発明は概して全地球測位システム(「GPS」)受信機に関する。詳しくは、本発明は電力のブラウンアウトが原因でリアル・タイム・クロックが不正確となった場合の正確な検知に関する。
【背景技術】
【0003】
全地球測位システム(「GPS」)とは、24機の地球周回軌道衛星の一群のことである。各GPS衛星は、地表から高度約11,000マイルの正確な軌道を周回する。GPS受信機は、正確な位置を特定するため少なくとも3つの衛星にロックオンする。各衛星は、固有の擬似雑音(PN)符号を用いて変調された信号を送信する。各PN符号は、1.023メガヘルツ(MHz)のチップ・レートで1ms毎に繰り返される1023個のチップの系列である。各衛星は同一の周波数で送信する。民生用途における周波数はL1として知られ、1575.42MHzである。GPS受信機は、その受信機から見える衛星群の送信信号が混合した信号を受信する。受信機は、受信した信号と特定の衛星に対するPN符号をシフトしたものの相関を計算することにより、その衛星からの送信信号を検知する。特定のシフトとPN符号について得られた相関のレベルが、ピークを持つほどに十分に高い場合、受信機はその特定のPN符号に対応する衛星の送信信号を検知する。そして、受信機はシフトされたPN符号を用いて、その衛星についてそれ以降の送信信号との同期化を実現する。
【0004】
GPSは独自の時刻保持システムを採用する。GPS時刻は、1980年1月6日からの秒と週に関して保持されている。1週は604,800秒である。従って、GPS時刻は、週における時刻(TOW)と週番号で表現される。TOWの範囲は0から604,800であり、これは1週間における秒数に対応している。週数は1980年1月6日を0週目として数え始められ、現在では1000週を越えている。TOWは分数部分を持つこともあり、発振器が1/32,768秒(発振器周波数32KHz)の分解能を提供する場合や、GPS時刻が特定のクロック・エポックに関するレンジ測定から計算される場合は特にそうである。GPS時刻はおよそ数十ナノ秒のオーダーの正確さを備えている。GPS時刻はGPSシステムの根幹である。
【0005】
GPS受信機ユニットの位置の最初の特定では、「コールド・スタート」処理が起動される。コールド・スタートでは、GPS受信機は、GPS衛星軌道に対するエフェメリス・データ、GPS位置、あるいはGPS時刻の知見が無い状態で取得処理を開始する。従って、GPS受信機ユニットは、可能性のある周波数の広い範囲にわたって全ての衛星を検索する。ある場合には、GPS衛星に対するアルマナック・データも不明である。最終的に、何秒かの後に、少なくとも4つの衛星信号が取得される。衛星のPN符号化信号が各衛星を識別し、各衛星はエフェメリス・データを送信する。エフェメリス・データは、正確な軌道情報を含み、例えばGPS時刻の関数として表されるその衛星の軌道位置などを含む。
【0006】
取得に先立って何らかの情報が分かっていれば、ナビゲーションのために十分な情報をGPS衛星から取得するのに必要な時間は、通常は削減することができる。例えば、アルマナック・データ、近似的なGPS時刻、および近似的な受信機位置によって、近似的な衛星位置およびドップラー偏移が計算できるのであれば、「ウォーム・スタート」処理を使用してもよい。近似的な衛星位置およびドップラー偏移を計算することができ、かつエフェメリス・データを収集する時間を排除することができるように、エフェメリス、近似的なGPS時刻、および近似的な受信機位置が既知であれば、「ホット・スタート」処理を使用してもよい。しかしながら、ナビゲーション解を計算するために十分な精度で時刻を定めるためには、少なくとも1つの衛星からの完全な6秒間のデータのサブ・フレームが要求される。
【0007】
GPS受信機ユニットは、各衛星からの送信信号における符号位相を特定することにより、各衛星からその受信機ユニットまでの距離を測定する。符号位相(CP)とは、衛星送信信号が衛星から受信機までの略11,000マイルの距離を進行する際の遅延のことであり、チップあるいはチップの何分の1の単位で表わされる。各衛星において、各PNチップの送信時刻は数ナノ秒まで制御される。その結果、正確なGPS時刻を知ることによって、GPS受信機ユニットは任意の時刻において衛星波形のどのチップが送信されているのかを、正確に知ることができる。任意のチップの受信機への到着が、例えばT20エポックなどのローカル・タイミング・エポックに関して測定されると、そのチップの衛星からGPS受信機ユニットまでの伝播時間は、そのT20エポックにおけるGPS時刻と同じ精度で測定することができる。同一のT20エポックに関して4つのそれぞれの衛星からの伝播時間が測定されると、その基準としたT20エポックにおけるGPS時刻の値の誤差とともに、GPS受信機ユニットは3次元空間における受信機の位置を計算することができる。
【0008】
GPS受信機ユニットは、時間遅延と衛星からの送信信号の速度とを乗算することで、その衛星までの距離を正確に特定することができる。GPS受信機ユニットはまた、各衛星の正確な軌道も認識している。衛星の位置の更新は、各衛星から受信機へ送信される。これは低周波数(50Hz)のデータ信号を、衛星からのPN符号送信に変調することで達成される。このデータ信号は、その衛星の時間に依存した位置情報と、その衛星に搭載されたクロックの時刻誤差を、エフェメリス・データのサブ・フレーム内に符号化する。各衛星の送信の正確な時刻は、各6秒間のデータ・サブ・フレームにおいて、次に続くサブ・フレームの開始時点における基準となるチップに関連して与えられる。
【0009】
理論上、受信機は衛星からの推定距離を用いて、受信機が位置しなければならないその衛星周りの球面を特定する。その球面の半径は、受信機が符号位相から測定した衛星までの距離に等しい。受信機は少なくとも3機の衛星に対して、この処理を実行する。受信機は、特定された少なくとも3つの球面の交点から、その正確な位置を計算する。受信機がその位置の高度を認識していれば、3つの衛星からの測定だけで十分である。高度が認識されていない場合は、緯度、経度およびローカル・クロックの測定エポックにおける誤差(例えば、T20エポックにおけるGPS時刻)とともに、高度についても計算できるように、4つの衛星からの測定が要求される。
【0010】
各衛星からの信号の検知は、例えば、ただしこれに限定されないが、1999年3月30日に出願されたアメリカ合衆国特許出願第09/281,566号「コヒーレント積分を用いた信号検知器("Signal Detector Employing Coherent Integration")」において開示されたGPS信号検知器によって実現することができる。その出願は参照することによって本明細書に組み込まれる。そこに開示された信号検知器は、例えば整合フィルタといった相関機構と、コヒーレント積分手法を用いて、適切な衛星信号を検知することができる。
【0011】
一度衛星信号が検知されると、GPS受信機ユニットの正確な位置を特定するために、衛星から受信したPN符号信号上に変調されている低周波数の50Hzデータが復号される。従来の位置特定処理は、完了するまでに数秒間を必要とする。通常これらの従来の手法は継続的に実行され、従って貴重なプロセッサ資源を消費してしまう。これは、例えば携帯型のGPS受信機ユニットのように、電力資源が極めて制限されたGPS受信機ユニットの場合において特に不利である。携帯型のGPS受信機ユニットは、ユーザーがGPS受信機ユニットに位置情報を問い合わせていない期間において、選択された構成部品を停止する、すなわち電力を落とすことができるように設計されてもよい。ユーザー(あるいは自動処理)がGPS受信機ユニットに問い合わせるときに、GPS受信機は電力を落としていた構成部品を再起動して、現在の位置を特定するために衛星データを再取得する。ユーザーの位置が大きく変わっていなかった場合、および/または停止時間が十分に短かった場合、以前の衛星信号を再取得して、符号位相データとの相関をほとんど即座に(ホット、ウォーム、またはコールド・スタート手順に関しては、数秒から数分必要である)得ることができるかも知れない。ほとんど即座に符号位相データとの相関を得ることによって、数秒間が節約され、従って携帯型のGPS受信機ユニットにおいて利用可能な限られた電力の相当な部分を節約することができる。
【0012】
しかしながら、符号位相データの相関をほとんど即座に得て衛星信号を再取得するためには、受信機がオフになっている間も正確に時刻を保持することが必要とされる。特に、再取得の際に受信機が受信するであろうGPS信号構造の全体の範囲内のPN符号周期を見失うことが無いように、GPS発振器およびタイミング・システムは、GPS受信機ユニットにおける様々なクロック信号の精度を±0.5ms以内に維持しなければならない。この0.5msの基準は、1msの符号周期の半分に相当する。さらに、GPS受信機ユニットの移動によって、PN符号信号のタイミングに関連するかも知れない誤差が発生する。クロック信号にGPS受信機ユニットの移動により生じる誤差を加えた精度を、入力されるPN符号信号の±0.5ms内に維持することができれば、ホット、ウォーム、あるいはコールド・スタート手順を用いて位置を特定する際の時間と電力を浪費する処理を回避することが可能となる。なぜなら、GPS受信機ユニットの整合フィルタが、以前に取得された4つの衛星のPN符号信号に即座にロックオンし、信号構造のどのPN符号周期が取得されていたかを認識することができるからである。精度を維持できない場合は、受信機の選択された構成部品あるいは受信機全体が電源を落とされているときに保存されている従来の情報(例えば、アルマナック、エフェメリス、GPS時刻、および受信機位置)に依存して、ホット、ウォーム、またはコールド・スタート手順が用いられなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
通常、従来のリアル・タイム・クロック(RTC)回路は、他のGPS回路がオフとなっている状態で、おおよそのGPS時刻を維持するために使用されてよい。通常のRTC回路は、長期間にわたって数秒の精度を維持するであろう。このような精度はホットおよびウォーム・スタートには十分である。しかしながら、従来のリアル・タイム・クロックの精度は、通常の低価格で低電力なRTC回路の不安定性と温度特性が原因で、±0.5msより劣るレベルまで急速に劣化する。従って、非常に短い期間の後であっても、ホット・スタートが必要とされる。
【0014】
従来のGPS発振器およびタイミング・システムでは、ナビゲーションを更新している間に発振器の電力が落とされると、GPS受信機ユニットの様々なクロック信号の精度を±0.5ms(1ms符号周期の半分)内に維持することはできない。しかしながら、GPS発振器とそれに関連するタイミング・システムはかなりの電力を消費するため、携帯型のGPS受信機ユニットにおいて、これらの構成部品の電力を落として電力資源を節約することが強く望まれている。
【0015】
ある状況下では、ローカル電源の部分的あるいは完全な喪失が原因で、リアル・タイム・クロックが全体的に停止してしまうかもしれない。RTCが全く動作しない場合、起動時に衛星を取得するためにコールド・スタート処理が使用されるべきことは明らかである。他の状況下では、RTCが起動時に通常通り動作しているようであっても、部分的な電力喪失、あるいはブラウンアウトが原因となってRTCがサイクルを失ったことで、不正確となっているかも知れない。例えば、RTCに電力を供給するバッテリーは、その寿命の末期が近づいていたり、その動作範囲を超えた温度に曝されたりすることによって、不十分な電力レベルしか供給できないかもしれない。これは、高速取得をサポートするために、RTCからの時刻がGPSクロック・スキームへ転写される場合に、特に問題となる。不正確なRTC時刻を信頼すると、結果として距離測定が不正確となる。ナビゲーションを解く上で不正確な距離測定を使用すると、結果として位置計算が不正確となる。
【0016】
従来の1つのRTC不具合検知器は、RTCの予備電力が適用されるときに、ステータス・フリップ・フロップを正しくセットする回路を含む。通常、この予備電力は小さなバッテリーである。従って、その予備バッテリーが交換された場合に、その回路は正確に検知をする。これはどちらかといえば不用な特徴である。ユーザーはそのバッテリーが交換されていることを認識している。バッテリーが交換された後に、セットアップ・ルーチンが起動され、時刻を設定するであろう。
【0017】
本質的に電圧レベルを看視するRTC不具合検知の従来技術の方法は、バッテリーが寿命の末期に近い場合、あるいはバッテリーが広範囲の温度に曝されている場合においては、特に不十分である。例えば、GPS受信機は寒い環境において車の中に置かれるかも知れない。この状況では、バッテリーの電圧および電流の供給能力が低下し、RTC発振器が停止してしまうかもしれない。そして、ユーザーは受信機を手に取り、受信機をジャケットの内ポケットに入れて、ハイキングに出かけるかも知れない。バッテリーがその能力を回復するのに十分なほど受信機が暖められ、発振器が再始動する。ユーザーが受信機を使用しようと試みると、受信機はいつも通りの点検を行う。時刻が進んでいるので、RTCは作動しているように見える。バッテリーに支持されたRAM(battery backed RAM;通常はRTCと同じバッテリー上にある)は、RTC発振器が動作するために必要な電圧よりも極めて低い電圧でコンテンツを保有するので、良いチェックサムを備えている。電圧がリセットしきい値以下にまで落ちず、RTC発振器が動作に必要とする電圧よりも低い電圧でロジックは有効な状態を維持できるため、RTC発振器不具合FFは「良好」のステータスを示す。従って、受信機はRTC値が正常であると仮定してそれを使用しようと試みるが、実際にはその時刻には誤差があるために、間違った解を生成する。受信機は解を生成するのにより長い時間を掛け、さらにひどい場合には、間違った解を生成し続ける。
【0018】
理論上、ステータス・フリップ・フロップの不具合検知の電圧しきい値が正確に設定されれば、不具合が検知される。しかし、これは幾つもの理由から困難である。バッテリー寿命を最大限に引き延ばせるように、しきい値はできる限り低く設定するのが好ましい。従って、しきい値は正確でなければならず、さらに発振のための発振器の様々な要求に応じるものでなければならない。上述の様々な条件は、製造プロセスにおける変動などを超えて、特定のクリスタル、温度および回路のパラメータの変動に対する関数であるだろう。従って、しきい値には幾らかの余裕が必要とされるが、それにより有効なバッテリー寿命が縮まる。余裕があったとしても、統計的には何らかの不具合が起こりうる。
【0019】
選択された構成部品が使用されていない場合にそれらの電力を落とすことによって、電力資源を節約するように実施することが可能であり、継続的に動作するリアル・タイム・クロックを用いて起動時に素早く衛星を取得することが可能な、GPSナビゲーションにおける方法および装置が望まれる。バッテリー寿命を縮めずに発振器の不具合を確実に検知するRTCクロックの不具合検知回路を備えることがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(開示の要旨)
低電力リアル・タイム・クロック(RTC)は全地球測位システム(「GPS」)受信機ユニットにおいて継続的に動作する。GPS受信機ユニットの電力は、GPS受信機ユニットの位置を計算するために使用される衛星情報をGPS受信機ユニットが積極的に取得していない期間中、選択された構成部品を停止することにより節約される。低電力時刻保持回路内に配置されているK32(通常は公称32,768Hz)発振器は、選択された構成部品が停止している場合に、GPS時刻を正確に保つ。K32発振器はRTCまたは低電力クロックを生成する。低電力クロックおよびRTCという用語は、本書では同義的に使用する。
【0021】
上記のRTCが、起動時に使用できるほど正確か否かを特定するための方法および装置が開示される。一実施形態では、例えばブラウンアウトの間などに起こるRTCクロック・サイクルの実際の喪失が検知される。一実施形態では、RTCクロック発振器の出力は、半波整流され、計算された抵抗容量(RC)時定数を持つRC回路の入力となる。そのRC回路の出力は、電圧比較器への一方の入力となる。電圧比較器の他方の入力には、基準電圧が入力される。RTC発振器が所定の数のサイクルを失うと、電圧比較器のRC回路の出力電圧が低下し、その比較器はクロック・サイクルの喪失を検知する。そのクロック・サイクルの喪失は、電圧比較器の出力に反映される。
【実施例】
【0022】
(詳細な説明)
図1は全地球測位システム(「GPS])受信機が動作する環境の例を示す。図1はGPS受信機ユニット100とGPS衛星102、104、106、および108を示す。衛星102、104、106、および108のそれぞれは、GPS受信機ユニット100に送信している。衛星102は視線(LOS)110に沿って、ν+の速度でGPS受信機100に向かっている。衛星104は視線(LOS)112に沿って、ν-の速度でGPS受信機100から離れていき、衛星106は視線(LOS)114に沿って、ν-の速度でGPS受信機100から離れていく。従って、搬送波波長がλだと仮定すると、衛星102からの送信信号は、ν+/λの正のドップラー偏移を経験する。衛星104からの送信信号は、ν-/λの負のドップラー偏移を経験する。衛星106からの送信信号は、ν-/λの負のドップラー偏移を経験する。
【0023】
衛星108も同様に、LOS116に沿って、ν-の速度でGPS受信機ユニット100から離れていく。第4の衛星108によって供給される情報は、受信機の高度値における誤差が予め分からない場合に、それを特定するための幾つかの用途に使用されてよい。緯度、経度、高度、および時刻の誤差を解くことができる測定値を提供するためには、4つの衛星は適切な配置になければならない。衛星の配置が不適切な場合には、4つの未知数を解くために、最小限度である4つ以上の可視衛星からの距離測定が必要となるかも知れない。
【0024】
図2は一実施形態に係るGPS受信機ユニット100のブロック図を示す。GPS受信機100は、図2ではRFチップ103内に配置されている無線周波数(RF)機能を含む。GPS受信機ユニット100は、図2ではベースバンド・チップ105内に配置されているベースバンド機能をさらに含む。様々な機能を実行する様々な構成部品を特定の配置で記載するが、開示される本発明ではこれ以外の配置についても考慮することができる。例えば、ベースバンド・チップ105は図示するように、ナビゲーション・プロセッサ210およびメモリ・デバイス220を含んでよい。他の実施形態では、ナビゲーション・プロセッサおよびメモリ・デバイスは、ベースバンド・チップ105内に配置されず、例えば周辺機器インターフェースを介してベースバンド・チップ105と通信していてもよい。さらに他の実施形態では、図示する全ての構成部品と機能が、単一のチップ内に配置されている。
【0025】
RFチップ103は、GPS時刻を保持するために使用される高精度発振器であるGPS発振器204を含む。下記は、一実施形態によるGPS受信機ユニット100の一般的な機能の概説である。概説で言及された構成部品は後に説明され図示されるだろう。GPS受信機ユニット100の位置を計算するために使用される衛星情報をGPS受信機ユニット100が積極的に取得していない期間中、GPS発振器204を含む選択された構成部品を停止することによって、GPS受信機ユニット100の電力は節約される。低電力時刻保持回路内に配置されているK32(通常は公称32,768Hz)発振器は、選択された構成部品が停止している場合に、GPS時刻を正確に維持する。
【0026】
GPS発振器204は、複数の衛星から検知される信号に基づいてGPS時刻を正確に特定するために使用される、M11クロック信号と呼ばれるクロック信号を生成する。エッジ整列比率カウンタは、フリーランニング・カウンタとともに、K32およびM11クロック信号を絶え間なく監視し、K32クロック信号のエッジと、M11クロック信号のエッジが所定の微小な許容範囲内で整列した場合に、K32およびM11カウンタ値をラッチする。T20エポックを生成するGPSタイミング生成器はM11クロックに駆動されるので、フリーランニングのM11カウンタもT20エポックでラッチすることができ、そのカウンタとT20エポックとの関係を成立させることができる。従って、GPS受信機ユニット100は、K32クロック信号およびGPS M11クロック信号のタイミングとレートをT20タイミング・エポックのタイミングとレートと相関させることができる。T20エポックにおけるGPS時刻の十分に正確な推定値が計算されて、取得した衛星PN符号信号の信号構造におけるPN符号周期の特定を可能とするために、相関するK32クロック信号、GPS M11クロック信号、およびT20エポックのタイミングとレートがナビゲーション・プロセッサ210に提供される。
【0027】
GPS受信機ユニットの動作中、ローカルGPS発振器およびK32発振器の周波数は、両方の発振器に対して温度/周波数が定義されるように、様々な動作温度において検知される。双方の温度/周波数の表についてのデータはメモリに保存される。
【0028】
そして、GPS発振器を含むGPS受信機ユニット内に配置されている選択された構成部品は、電力を節約するために停止させられる(非アクティブにされる)。低電力時刻保持回路はオンのまま保たれる。所定の期間後、アラーム・ユニットによって生成されるウェークアップ命令に応じて、システムは周期的に電源が入れられる。低電力時刻保持回路からのK32クロック信号は、K32発振器の実際の動作温度とK32クロックの温度/周波数の表からのデータとに基づいて、再較正される。従って、K32クロック・レートが周期的に更新されて、GPS時刻はより正確に追跡される。
【0029】
ある特定の時点で、特定のシステム・アプリケーションの要求に応じてナビゲーションの更新が実行される。周期的に再較正されたK32クロック信号およびGPSクロックの温度/周波数の表からのデータは、M11クロック信号のレートとGPS時刻を設定するために使用される。そして、受信された衛星信号から真のGPS時刻を迅速に特定できるように、GPS衛星の位置が推定される。一度検知された衛星信号から正確なGPS時刻が特定されると、上述したように、M11およびK32信号は互いにラッチされ、T20エポックにおける真のGPS時刻と相関して、温度較正表をさらに改善して更新する。その後、電力を節約するために、選択された構成部品は再び停止する。
【0030】
上述の処理は、GPS時刻が低電力時刻保持回路によって正確に維持されるように、必要に応じて繰り返される。より正確な時刻保持に基づいてGPS衛星位置および距離が高精度で推定されるため、GPS受信機ユニットのユーザーが位置情報を要求する際に、GPS受信機ユニットはGPS衛星からの位置をより迅速に特定する。すなわち、従来の処理を用いる場合の、GPS衛星までの距離を推定するためにGPS時刻を十分正確に設定するための、サブフレーム・データを検知して、サブフレーム・タイミングを特定するという、電力と時間を浪費する処理を回避することができる。
【0031】
図2を再び参照すると、RFチップ103およびベースバンド・チップ105はシステム・インターフェース109を介して通信する。一実施形態では、システム・インターフェース109はシリアル周辺機器インターフェース(SPI)であるが、他の実施形態では、システム・インターフェース109は任意の適切なメッセージ・スキームでよい。RFチップ103は、アンテナ107を介して視界にある衛星からの信号を受信する。衛星信号はサンプリングされ、SIGN/MAG線上のシリアル・ストリームとしてナビゲーション・プロセッサに送信される。ベースバンド・チップ105とその構成部品は、GPS発振器の水晶から生成され、通常はFの倍数の周波数を持つACQCLK信号で動作する。図示のように、他の様々な信号も、システム・インターフェース109を介してやり取りされる。電源投入(PWRUP)信号は、取得およびナビゲーションに先立って、RFチップ103の電力を落とされている構成部品に電源を投入するために、RFチップ103に送信される。SPI_CLK信号は、同期化を目的として、ベースバンド・チップ105からRFチップ103に送信される。データ線SPI_DIおよびSPI_DOは、データを送受信する。チップ・イネーブル信号(RFRST)はRFRST線でRFチップ103に送信され、リセット信号(SRESET_N)はRFRST線でベースバンド・チップ105に送信される。他の実施形態では、RFチップ103とベースバンド・チップ105の間で情報をやり取りするために、様々なプロトコルが使用される。
【0032】
図3は、低電力時刻保持回路200を含むGPS受信機ユニットの選択された構成部品を示すブロック図である。GPS受信機ユニット100は少なくとも無線202、ローカルGPS発振器204、温度センサ206、複数のGPS信号プロセッサ・チャネル208(1〜N)、ナビゲーション・プロセッサ210、整合フィルタ212、A/D変換器214、ローカルGPSクロック生成器216、エッジ整列比率カウンタ218、メモリ220、および低電力時刻保持回路200を含む。メモリ220はさらにウェークアップ・アラーム論理222と、GPSクロックおよび低電力時刻保持(LPTK)回路の温度/周波数誤差表224の割り当てられた部分とを含む。図3は、基本的に本発明の動作および機能に関連する構成部品だけを図示する。図示されていない他の部品もGPS受信機ユニット100には含まれている。これらの部品は、その動作および機能に関して開示する必要がないので図示していない。
【0033】
無線202は複数の衛星からの複数のGPS信号を検知する。複数の衛星は、例えば図1の衛星102、104、106、および108を含むが、これに限定はされない。一実施形態では、無線202はGPS L1帯(1575.42MHz)を選択する。しかし、他の実施形態では、他の適切な信号を選択してよい。無線202は、接続226を介してローカルGPS発振器204からのタイミング信号も受信する。一実施形態では、そのタイミング信号はM11クロック信号と呼ばれ、実質的に10.949メガヘルツ(MHz)で発振するローカルGPS発振器204内に配置された水晶発振子(図示せず)によって生成される。他の実施形態では、本発明の動作および機能から大きく逸脱することなく、異なる周波数クロック信号で動作するローカルGPS発振器を採用することができる。
【0034】
受信したGPS信号およびM11タイミング信号は、複数のGPS信号プロセッサ208および整合フィルタ212に提供される。複数のGPS信号プロセッサ208のそれぞれは、特定の信号チャネルに対応する。図3は、N個のGPS信号プロセッサがあることを示す。例えば、GPS受信機ユニット100の典型的な実施形態は、12の信号チャネルで並列に処理を行うように構成された12個のGPS信号プロセッサ(N=12)を採用する。
【0035】
信号プロセッサ208および整合フィルタ212は、接続230を介して、各信号プロセッサが検索すべき特定のGPS PN符号を示す前置命令のシーケンスをナビゲーション・プロセッサ210から受信する。ナビゲーション・プロセッサ210から提供される情報は、ドップラー補正値、GPS発振器の誤差補正値、PN符号位相情報、および/または入力される衛星信号に関する他の情報を含んでよい。
【0036】
一実施形態では、整合フィルタ212は、検知された信号の現在のPN符号位相を特定し、信号プロセッサ・チャネルがより迅速にその信号を取得できるように、その情報を信号プロセッサ208に提供する。1つの信号プロセッサ208がチャネルで信号を検知し、PN符号、符号位相、および周波数補正が、入力されるGPS信号群のうちの1つのものと一致する場合、GPS信号プロセッサはその入力される衛星信号に同期化して、その衛星信号を追跡する。他の実施形態は、位置を特定するために整合フィルタ212のみを採用する(しかし、整合フィルタ212は、ある時点における信号の現在の符号位相を特定するが、継続的に追跡しないため、精度は多少劣る)。整合フィルタの現在の実施形態では、全ての取得された衛星信号の継続的かつ正確な追跡を可能にする、整合フィルタの高速多重化も許容される。
【0037】
整合フィルタ212および/またはGPS信号プロセッサ208は、それぞれ接続234および/または接続232を介して、取得された信号に関する符号位相の情報をナビゲーション・プロセッサ210に提供する。そして、少なくとも4つのGPS衛星信号からの十分な情報が、整合フィルタ212および/またはGPS信号プロセッサ208から提供された後、ナビゲーション・プロセッサ210はGPS受信機ユニット100の位置を計算する。そして、ユーザーがGPS受信機ユニット100の位置を知ることができるように、位置情報がインターフェース・システム(図示せず)に出力される。
【0038】
ローカルGPS発振器204は、所定の発振周波数を持つ信号を提供する。例えば、これに限定はされないが、ローカルGPS発振器204の一実施形態に設置されている水晶発振子(図示せず)の発振周波数は、10.949296.875メガヘルツ(MHz)に設定されている。この発振周波数の正確な公称値は137F/128である。Fは10.23MHzであり、GPSシステムにおける基本的パラメータである。受信されるGPS信号のGPS L1周波数は154Fである。民間用システムで使用される明確/取得(C/A)GPS PN符号のチップ・レートはF/10である。GPS発振器204の一実施形態は、M11クロック信号の出力とも呼ばれ、その「M11」という用語は10.949296.875MHzの周波数137F/128に相当する。軍用の受信機に使用される周波数および符号を含む、GPSシステムの他の信号も、Fに関連する。
【0039】
ローカルGPS発振器204は、接続234を介して、ローカルGPSクロック生成器216にM11クロック信号を提供する。ローカルGPSクロック生成器216は、M11クロック信号から複数のクロック信号を抽出する。これらのクロックはローカルなGPS時刻基準に相当する。特に、複数のクロックのうちの1つは、ローカル・タイミング・エポックとして知られるT20クロックである。T20クロックという名前は、クロックと次のクロックの間が20msであることに由来している。GPS信号プロセッサ208および整合フィルタ212において測定される多くの符号位相は、共通のT20エポックを基準とする。ローカルGPSクロック生成器216によって生成される選択されたクロック信号は、接続236を介してGPS信号プロセッサ208および整合フィルタ212に提供される。
【0040】
後に詳述する低電力時刻保持回路200は、接続252を介してエッジ整列比率カウンタ218にクロック信号を供給する。一実施形態では、クロック信号レートは実質的に32.768キロヘルツ(KHz)で発振する水晶発振子によって提供され、K32クロック信号と呼ばれる。低電力時刻保持回路200は、ナビゲーション・プロセッサ210(接続は図示せず)にも情報を提供する。通常、低電力時刻保持回路200によってナビゲーション・プロセッサ210に提供される情報は、T20エポックにおけるGPS時刻の推定値である。他の実施形態では、本発明の動作および機能から大きく逸脱することなく、異なる周波数クロック信号を採用しても良い。
【0041】
図5と図6を参照しながら後に詳述するブラウンアウト検知回路235は、RTCクロック・サイクルの喪失を検知する。
ブラウンアウト検知回路235は、RTCクロック・サイクルの喪失によって、起動に用いるにはRTCがあまりにも不正確となる状況を検知して、それをナビゲーション・プロセッサに通知する。詳細については後述する。
【0042】
エッジ整列比率カウンタ218は、(接続244を介して)ローカルGPSクロック生成器216に、(接続246を介して)整合フィルタ212に、および(接続248を介して)低電力時刻保持回路200に、入力を提供する。説明を容易にするために、接続244、246、および248は別々の接続として図示されている。しかし、これらの接続の1つ以上を単一の接続として実施することも可能である。エッジ整列比率カウンタ218は、接続250を介してナビゲーション・プロセッサ210にも情報を提供する。エッジ整列比率カウンタ218はK32およびM11クロック信号を継続的に看視しながらカウントしており、K32クロック信号のエッジがM11信号のエッジと所定の微小な許容範囲内で整列した時に、K32およびM11カウンタ値がラッチされる。ラッチの時点で、K32およびM11カウントをT20エポックに関連付けるため、現在のT20クロック・カウントがラッチされるように、エッジ整列比率カウンタ218はローカルGPSクロック生成器216に信号を提供する。同様に、エッジ整列比率カウンタ218は、接続248を介して低電力時刻保持回路200に信号を提供し、それにより現在の低電力時刻保持回路200のGPS時刻の推定値がラッチされる。従って、GPS受信機ユニット100は、K32クロック信号、GPS M11クロック信号、T20エポックおよび現在の低電力時刻保持回路200のGPS時刻のタイミングとレートを相関させることができる。相関するK32クロック信号、GPS M11クロック信号、低電力時刻保持回路200のGPS時刻、およびT20エポック・カウントのタイミングとレートがナビゲーション・プロセッサ210に提供されると、T20エポックにおける低電力時刻保持回路200のGPS時刻の推定値が計算でき、エッジ整列比率カウンタ218の2つのクロックのカウンタ比率に基づいて、これら2つのクロックの相対的なレートが推定できる。相対的なクロック周波数を推定するには、連続的なエッジ整列イベントからのカウンタ値の2セットが比較され、その相違の比率を計算する。
【0043】
全てのクロックのレートおよびタイミングの位相は、正確に関連付けられていることに留意すべきである。EARCフリーランニングM11カウンタおよびT20エポック生成器は、どちらもM11クロックによって駆動される。従って、T20エポックにおけるM11カウンタのラッチは、そのカウンタ値とT20エポック時刻とを関連付ける。RTC時刻およびEARCフリーランニングK32カウンタは、どちらもK32クロックによって駆動される。従って、RTCアラーム・イベントにおけるK32カウンタのラッチは、
そのカウンタ値とRTC時刻とを関連付ける。RTCは、所望のRTC時刻において、ラッチ信号と同様に有用であるパルスを生成するアラーム回路を備えている。EARCを用いたエッジ整列イベントにおけるフリーランニングのK32およびM11カウンタのラッチは、K32カウンタ値とM11カウンタ値とを関連付ける。2つの整列イベントからのそれぞれのK32カウンタ値およびM11カウンタ値を比較することは、K32およびM11クロック・レートの比率を関連付けることを可能にする。最後に、GPS信号が追跡されている時、GPS解の計算は、T20エポックにおける正確なGPS時刻と、GPS時刻に対するT20エポックのレートを提供する。従って、K32およびM11クロック・レートは、GPSクロック・レートと関連づけることができ、RTCとT20エポックの時刻は、GPS時刻と関連付けることができる。
【0044】
上記に記載したGPS受信機ユニット100の動作は、GPS受信機ユニットの一つの実施形態に使用される一つのシステムの一般的な説明であることが、当業者には理解されるであろう。GPS受信機ユニットにおける全ての部品は説明あるいは図示しないが、その理由はそれらの部品が本発明に必ずしも関連するとは限らないからである。従って、GPS受信機ユニット100内に配置されている上述した構成部品についての説明は、本発明を理解するために必要とされる範囲に限って、それらの構成部品の動作と機能を説明している。さらに、本発明を用いたGPS受信機ユニットまたは他のプロセッサ・システムは、図3に図示する構成部品を異なる順序や様式で接続してもよく、図3に図示する全ての構成部品を含む必要もなく、図3に図示する構成部品に追加の構成部品を何らかの様式で接続してもよい。本発明を利用するGPS受信機ユニットやプロセッサ・システムについての上記のような変更は、本出願の開示範囲内に含まれており、添付する特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
【0045】
温度センサ206は、接続238を介してローカルGPS発振器204の動作温度を検知する。感知された温度情報はその後、接続240を介してA/D変換器214に提供される。A/D変換器214は、感知された動作温度の情報を適切な形式に変換し、その情報を接続242を介してナビゲーション・プロセッサ210に提供する。温度センサ206およびA/D変換器214は、温度感知の技術で用いられるよく知られた部品および技術を用いて実装されるだろう。温度センサ206および/またはA/D変換器214によって実現される温度感知機能は、任意の種類の電子、半導体、および/またはファームウェア形式の温度センサや、温度感知の技術で一般に採用される手段で実施してもよい。本発明に用いる温度センサは、温度感知の技術で一般に用いられる部品および技術を用いて、ソフトウェアとファームウェアの組み合わせによって実装される。温度センサ206およびA/D変換器214、そしてそれらを構成する個々の構成部品の動作の詳細は、一般的に本発明を理解するため必要とされる範囲を超えては説明されない。温度センサ206およびA/D変換器214が、本発明の機能および動作から大きく逸脱することなく、公知の様々な装置を用いて実装されうることが、当業者には理解されるであろう。
【0046】
ナビゲーション・プロセッサ210は、受信した温度情報を処理して、ローカルGPS発振器204の動作温度に起因するGPS発振器信号の周波数誤差を特定する。この周波数誤差を特定するための典型的な処理は、動作温度範囲に対する温度と周波数誤差の情報を備える表を用いる。一実施形態では、GPSクロックの温度/周波数誤差表224は不揮発性メモリ220に保存されている。初めは、典型的な水晶発振子についての、温度の関数である周波数誤差の多項式表現といった、周波数/温度誤差アルゴリズムを用いて、温度に関連する周波数誤差を推定する。GPS受信機ユニットが動作して時間がたつと、温度/周波数誤差表224のGPSクロック・データに対応する部分は、様々な動作温度におけるGPS衛星のレンジおよびレンジ・レートの測定に基づいた周波数誤差の測定に基づいて、ローカルGPS発振器204に対する特定の動作温度での周波数誤差のより正確な情報で埋められる。GPSナビゲーション方程式の解は、空間的な位置とGPS時刻誤差だけでなく、受信機の空間的な速度およびローカル発振器の周波数誤差(GPS時刻誤差の変化率)を特定することを可能とする。このようにして特定される発振器の周波数誤差は、現在の発振器温度とペアにされて、温度/周波数誤差表224の新たな更新点として使用される。
【0047】
ナビゲーション・モードに入る前に、受信機は、温度/周波数誤差表224を用いて衛星取得処理を支援する。現在動作温度を受信した時点で、ナビゲーション・プロセッサ210は、温度/周波数誤差表224に含まれているそのGPSクロックに対する表の情報を検索する。ローカルGPS発振器204の実際の動作温度は、温度/周波数誤差表224のデータと関連付けられて、ローカルGPS発振器204によって生成される信号の周波数誤差が推定される。このGPSクロックの周波数誤差の情報は、接続230を介してGPS信号プロセッサ208および整合フィルタ212に提供される。あるいは、温度/周波数誤差表224が部分的にしか埋められておらず、正確な現在動作温度に対して十分なデータが含まれない場合、周波数/温度誤差の内挿または外挿アルゴリズムを用いて、ローカルGPS発振器204の動作温度に起因するGPS発振器信号の誤差を推定してもよい。このアルゴリズムは、その表において現在動作温度に最も近い温度にある点群と、使用されている種類のGPSクロックの水晶発振子についての公称の温度対周波数の曲線形状を利用する。
【0048】
図4は、GPS受信機ユニット100のさらなる詳細を示すブロック図である。低電力時刻保持回路200は、少なくともK32発振器302、信号ラッチ304、温度センサ308、および低電力クロック、すなわちリアル・タイム・クロック(RTC)306をさらに含む。
【0049】
K32発振器302は接続310を介して、K32クロック信号とも呼ばれるRTCクロック信号を出力する。そのクロック信号は、実質的に32.768KHzの周波数を備える。K32発振器302は、約30マイクロ秒に等しい32768Hzの時間分解能を備えるK32クロック信号を提供するので、K32発振器302は単一のPN符号周期の±0.5msの分解能の範囲内に十分収まる周波数を備えるクロック信号を提供する。
【0050】
RTCクロック信号は、接続310を介してブラウンアウト検知回路235に送信される。ブラウンアウト検知回路235の詳細は後述する。
【0051】
K32発振器302は、その出力であるK32クロック信号を低電力クロック306のカウンタと、エッジ整列比率カウンタ216に提供する。K32クロック信号のエッジがM11信号のエッジと予め定められた微小な許容範囲内で整列したとエッジ整列比率カウンタ216が特定した場合、接続248を介して信号ラッチ304にラッチ信号が提供される。低電力クロック・カウンタ306の現在値は、接続248を介して信号ラッチ304においてエッジ整列信号が受信された時点で、ラッチされる。信号ラッチ304においてラッチされた値は、接続316を介してナビゲーション・プロセッサ210に提供される。従って、接続316の信号は低電力クロック信号、すなわちRTCクロック信号である。エッジ整列比率カウンタ216は、整列イベント・エポックでのエッジ整列比率カウンタ216のM11およびK32カウンタのラッチされた値を、ナビゲーション・プロセッサ210に提供する。T20エポックはGPS発振器のM11クロック(図示せず)と直接的に関連付けることができるので、エッジ整列比率カウンタ216のM11カウンタ値を、M11クロック・ティックの特定の整数値のオフセットとして、低電力クロック306のK32カウンタ値に関連付けることができる。カウンタ値は全て、K32およびM11クロック・エッジが微小な(無視できるほどの)誤差範囲内で整列したときに取得されているため、クロック・ティックの数は整数値である(クロック・ティックの分数値を持たない)。低電力クロック306はGPSシステム時刻のタイミングとレートに精密に較正されているので、低電力クロック306の値およびローカルGPS時刻表における特定のT20エポックのオフセットを知ることで、低電力時刻保持回路200のGPS時刻を、T20エポックに正確に転写することができる。全てのGPS測定信号の処理がT20エポックに関連しているため、正確なローカルGPS時刻推定値に関連して測定を行うことができる。
【0052】
K32発振器302および低電力クロック306は、それぞれ、非常に電力消費の少ない装置である。特に、後述する手法において電力を落とされるGPS受信機ユニット100内の選択された構成部品と比較すると、非常に電力消費の少ない装置である。さらに、K32発振器302および低電力クロック306は、市販のものであり、比較的低価格である。あるいは、および好ましくは、K32発振器302および低電力クロック306は、GPS装置100に統合されて、より低価格で、より小さなサイズで、そしてより正確な時刻転写性能を提供することができる。
【0053】
図4に示すように、温度センサ308は、接続318を介してK32発振器302の動作温度を検知する。感知された温度の情報はその後、接続320を介してA/D変換器214に提供される。A/D変換器214は、感知された温度の情報を適切な形式に変換し、接続242を介してK32の動作温度の情報をナビゲーション・プロセッサ210に提供する。温度センサ308は、温度感知の技術分野で用いられるよく知られた部品と技術を用いて実装されてよい。温度センサ308によって実現される温度感知機能は、任意の種類の電子、半導体、またはファームウェア形式の温度センサ、若しくは温度感知の技術分野で一般に用いられる手段で実装されてよい。本発明において用いる温度センサ308は、温度感知の技術分野で一般に用いられる部品と技術を用いて、ソフトウェアおよびファームウェアの組み合わせによって実装される。温度センサ308の詳細な動作は、本発明の動作と機能を理解するために必要とされる範囲以外には、詳細に説明されない。温度センサ308は、本発明の機能および動作から大きく逸脱することなく、よく知られた様々な装置を用いて実装されうることが、当業者には分かるであろう。本発明の一部として用いる温度センサ308の上記のような実施形態は何れも、本出願の開示範囲内に含まれており、添付する特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
【0054】
メモリ220に含まれる、温度/周波数誤差表224の部分は、K32発振器302に対する温度/周波数データを保存するために使用される。ナビゲーション・プロセッサ210は、上述したローカルGPS発振器204の周波数誤差と同じように、K32発振器302の現在の動作温度に基づいて、K32発振器302からの信号に関連する周波数誤差を計算する。GPS受信機ユニットが動作して時間がたつと、様々な動作温度での周波数誤差の測定値に基いて、温度/周波数誤差表224はK32発振器302に対する特定の動作温度での周波数誤差についてのより正確な情報で埋められる。M11 GPS発振器の場合とは異なり、ナビゲーション・プロセッサ210は、K32発振器の誤差を測定する直接的な手段を持たない。しかしながら、ナビゲーションの間、ナビゲーション・プロセッサ210は、GPS発振器302からのM11信号の誤差を正確に推定し、エッジ整列比率カウンタ216を使用してT20エポックからK32クロック・ティックでの低電力クロック値にGPS時刻を転写する。そのK32クロック・ティックは、T20エポックからのほぼ整数であるM11クロック・ティック数の既知のオフセットを有する。GPSレンジの測定はT20エポックに関連して行われるため、GPS測定からのナビゲーション解が利用可能な場合、T20エポックは正確に分かっているGPS時刻誤差を有する。ナビゲーションの間にT20エポックのGPS時刻の精度を低電力クロック306に転写することで、現在のK32発振器302の温度でK32クロック信号が較正される。
【0055】
あるいは、温度/周波数誤差表224のK32発振器302に対するデータが部分的にしか埋められていない場合、本発明の一つの実施形態は、典型的なK32水晶発振子302についての温度の関数である周波数誤差の多項式表現といった、周波数/温度誤差アルゴリズムを用いて、表において有効な数値を持つ最も近い温度からの外挿または内挿に基いて、K32クロック信号の温度に関連する周波数誤差を推定する。このようなアルゴリズムは、周波数誤差と動作温度を数学的に関連付ける。
【0056】
電力を節約するため、GPS受信機ユニット100の多くの構成部品およびGPS装置の他の構成部品は、停止されている。電力を節約するためにそれらの構成部品が停止している期間は、スリープ期間あるいはスリープ・モードと呼ばれ、その期間中、本発明は後述するようにGPS時刻の追跡を正確に維持する。従って、例えば「ウェークアップ・イベント」に応じて、あるいは位置を特定すべきことを示す他の1つの信号に応じて、GPS受信機ユニット100がスリープ・モードから切り替わる場合、GPS時刻は、GPS受信機ユニット100の位置を特定するためにGPS衛星を追跡するのに要する時間を最小限に抑えるように、正確に維持されている。
【0057】
例えば、これに限定はされないが、ローカルGPS発振器204、無線202、ローカルGPSクロック生成器216および/またはGPS信号プロセッサ208は、電力を節約するために、ナビゲーション・プロセッサ210によって電力を落とされていてもよい。選択された構成部品の電力を落とすことは、それらの構成部品が入力されるGPS衛星信号を積極的に処理するために必要とされていない場合に、GPS受信機ユニット100全体の電力消費を削減し、それにより携帯型のGPS受信機ユニット100の電源寿命が引き延ばされる。通常は、動作中に比較的多くの電力を消費する構成部品が、電力を落とすように選択される。GPS受信機ユニット100の設計者が、電力を落とす処理の間に停止させるべき構成部品を選択するものと理解される。電力を落とすことのできる構成部品はGPS受信機ユニット100内に多数配置されており、本明細書で記載していない構成部品も多くあるが、電力を落とすことのできる構成部品の一覧表および詳細な説明は、都合よくリストに記して詳しく説明するには数が多すぎることが、当業者には理解できるであろう。本発明に従って電力を落とされる構成部品の如何なる組み合わせも、本出願の開示の範囲内にあり、添付する特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
【0058】
従来のGPS受信機において、選択された構成部品の電力を落とすことは、GPS衛星信号の追跡を見失うことにつながる。そのような従来のGPS受信機がGPS衛星信号を見失った後に電力を投入されると、GPS衛星信号の再取得および/またはそれらの信号を用いたナビゲーションのための十分な精度を備えるGPS時刻の確立までに、数秒間が必要とされる。従来のGPS受信機における衛星信号および時間の再取得は、それに見合った電力の消費につながる。従って、スリープ期間中にGPS時刻を正確に維持する低電力時刻保持回路200は、GPS受信機ユニット100がより迅速にGPS衛星信号を再取得することを可能にし、結果的に電力資源を節約する。
【0059】
ウェークアップ命令は周期的にGPS受信機ユニット100に提供される。その周期的なウェークアップ命令の時間間隔は、低電力時刻保持回路200が実装されたGPS受信機ユニット100の具体的な構造あるいはアプリケーションに基づいて特定される。ウェークアップ命令の時間間隔は、電力を落とした期間の後にナビゲーション・プロセッサ210によって推定されるローカル・レプリカPN符号位相と、入力されるPN符号との間で累積する時刻誤差が、入力されるGPS衛星信号の実際のPN符号位相の±0.5ms以内となるように、選択される。ナビゲーション・プロセッサ210によって推定されるPN符号が±0.5msの基準を超える場合、ナビゲーション・プロセッサ210はGPS衛星の情報を取得するために、従来の処理を開始する。通常は、受信機100は可能性のある累積誤差を推定し、それに従って正しいアルゴリズムを選択しなければならない。選択されたアルゴリズムがあまりにも楽観的(従来の取得法ではなく、迅速な取得法を用いること)かもしれないため、ナビゲーション・プロセッサ210は、位置と時刻誤差の解を前もって仮定された値と比較することによって、時刻の正確さについての前提を検証しなければならない。時刻と時刻に相当する位置を組合せた誤差が実際に±0.5msを超えている場合、結果となる解は前もって仮定された値からすぐ分かるほどの大きな誤差だけ離れているだろう。その誤差が±0.5msを超えない場合、GPS時刻は低電力時刻保持回路200によって十分に正確に維持されている。
【0060】
アラーム・ユニット324は、周期的なナビゲーション更新とも呼ばれる、周期的なウェークアップ命令を実装する機能を実現する。アラーム・ユニット324は少なくともアラーム・レジスタ326と比較器238を含む。一実施形態では、停止に先立って、ナビゲーション・プロセッサ210は、ウェークアップ・アラーム論理222を実行して、アラーム・ユニット324がGPS受信機ユニット100をウェークアップさせるための時間間隔を特定する。他の実施形態では、この時間間隔は予め特定されている。
【0061】
ウェークアップ命令がいつ出されるかを特定するこの時間間隔は、接続330を介してアラーム・レジスタ326に提供される。一実施形態では、この時間間隔はGPS時刻の単位(TOWおよび週番号)で特定される。他の実施形態では、例えば実時間といった他の1つの適切な時間間隔を用いて特定される。
【0062】
GPS受信機ユニット100がスリープ・モードに入った時点で、アラーム・ユニット324は、(スリープ・モードでも停止しない)低電力クロック306から提供されるK32クロック信号を監視して、現在のスリープ・モードの時間を特定する。比較器328は、GPS受信機ユニット100をウェークアップさせるための時間間隔を現在のスリープ・モードの時間と比較する。現在のスリープ・モードの時間とその時間間隔が一致したら、アラーム・ユニット324は周期的なウェークアップ命令を生成する。この周期的なウェークアップ命令は、スリープ期間中に電力を落とされていた構成部品への電力の投入を開始する。
【0063】
一実施形態では、周期的なウェークアップ命令は特殊目的の専用ハードウェアを用いて電力の投入を開始する。例えば、ウェークアップ命令は、スリープ期間中に電力を落とされていた構成部品に電力が供給されるように、1つ以上の電源スイッチを起動する。他の実施形態では、ウェークアップ命令は、ウェークアップ・アラーム論理222が実行されて、スリープ期間中に電力を落とされていた構成部品をウェークアップさせるように、ナビゲーション・プロセッサ210に提供される。
【0064】
アラーム・ユニット324、およびその関連する構成部品は、ウェークアップ命令を生成する技術の分野で用いられる良く知られた部品と技術を用いて実装されるだろう。アラーム・ユニット324およびその関連する構成部品の動作の詳細は、本発明の動作および機能を理解するために必要とされる範囲を超えては記載されていない。アラーム・ユニット324およびその関連する構成部品は、本発明の機能および動作から大きく逸脱することなく、よく知られた様々な装置を用いて実装されうることを、当業者は理解するであろう。本発明の一部として用いられるアラーム・ユニット324およびその関連する構成部品の、如何なる実施形態も、本出願の開示範囲内に含まれており、添付する特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
【0065】
別の実施形態では、電力を落としたり電力を投入したりする機能を実現する他の適切なプロセッサ(図示せず)を用いてもよい。そのようなプロセッサおよびそれに関連する構成部品は、スリープ期間の間も電力を落とされない。このような別のプロセッサは、周期的なウェークアップ命令を生成するように規定されている。そのプロセッサは、GPS受信機ユニット100内に配置されている他のシステム(図3および図4には図示せず)の構成部品、あるいはGPS受信機ユニット100内に配置されている独立した専用プロセッサであってよい。周期的なウェークアップ命令を生成する機能を実現するためにGPS受信機ユニット100内に実装される如何なる別の実施形態も、本出願の開示範囲内に含まれており、添付する特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
【0066】
さらに、位置についての要求に対応する手動で開始させたウェークアップ命令の受信を通して、ユーザーがGPS受信機ユニット100に構成部品への電力の投入を指示してもよい。例えば、GPS受信機ユニット100のユーザーがGPS受信機ユニット100の現在の位置を知りたい場合に、ユーザーはウェークアップ命令を手動で開始させる。GPS受信機ユニット100にユーザーが要求するための適切な手段が提供されている。ウェークアップ命令を手動で開始させる手段は、装置を起動させる技術の分野で用いられているよく知られた部品と技術を用いて実装してよい。ウェークアップ命令を手動で開始させる手段の動作の詳細は、本発明の動作と機能を理解するために必要とされる範囲を超えては記載されていない。ウェークアップ命令を手動で開始させる手段は、本発明の機能および動作から大きく逸脱することなく、よく知られた様々な装置を用いて実装されうることを、当業者は理解するであろう。本発明の一部として用いるウェークアップ命令を手動で開始させる手段の如何なる実施形態も、本出願の開示範囲内に含まれており、添付する特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
【0067】
ウェークアップ命令が始動を開始すると、ローカルGPSクロック生成器216によって提供されるクロック信号(例えば、T20エポック)は、まず衛星信号を再取得し、次いで6秒間のデータのサブ・フレームを収集して、GPS衛星のレンジ測定に対する共通のローカルGPS時刻フレームを再確立しなければ、GPS受信機ユニット100に位置更新を実行させるために必要な精度を得ることができない。しかしながら、低電力時刻保持回路200によって保持された時刻に基づいて電力を落としていた期間が終わった後にナビゲーション・プロセッサ210によって推定されるPN符号と、入力されるPN符号が、入力されるGPS衛星信号の実際のPN符号のタイミングの±0.5ms以内に維持されていれば、GPS衛星信号を取得して共通の時刻フレームを確立する従来の処理を実行しなくても、GPS衛星信号は素早く再取得され、共通のローカルGPS時刻フレームについての測定が実施され、ナビゲーションに用いられる。
【0068】
電力を落とすのに先立って、K32、M11およびGPSクロック信号の間のタイミングとレートの関係は知られている。K32クロック信号を正確に維持することにより、K32クロック信号は、エッジ整列比率カウンタ218によってK32クロック信号とM11信号とをラッチするために使用され、その結果、M11信号とそれから生成されるT20エポックが再較正される。従って、GPS発振器204は再較正される。その後、ナビゲーション・プロセッサ210は、可視であると計算された衛星のPN符号位相を取得するために、整合フィルタまたは信号プロセッサ・チャネルを設定する。整合フィルタまたは信号プロセッサ・チャネルの設定は、GPS発振器の周波数誤差を補償するために以前に保存されたGPS発振器対温度のデータを活用する。符号位相の測定が得られると、それらの値は、PN符号周期のどのチップが現在受信されているという知見から、全体のGPS信号構造のどのチップが受信されているかという知見に変換される。この変換は、仮定された現在のGPS時刻と受信機位置を用いて全体の信号構造内のどのPNチップが受信機に到達しているべきなのかを計算し、実際に到達しているチップが、到達しているべきチップに最も近いPN符号周期におけるこのチップの事例だと仮定することによって、行われる。ローカルなGPS時刻の推定と時刻に相当する受信機位置の誤差の組み合わせが正確であれば、全体のGPS信号構造への変換も正確であろうし、GPSレンジ測定の整合のとれたセットが特定されるであろう。言い換えれば、電力を落としていた期間が終わった後に(スリープ・モードから切り替わった後に)、ナビゲーション・プロセッサ210によって推定されるPN符号と、入力されるPN符号の間の誤差が、入力されるGPS衛星信号の実際のPN符号のタイミングの±0.5ms以内に維持されていれば、位置の情報は正確に更新される。計算された位置と時刻は、前もって推定された値と比較されて、その誤差が実際に±0.5ms以下であることが検証されなければならない。この検証がうまくいかない場合、測定のための共通の時刻フレームを確立するために、6秒間のサブ・フレームが収集されなければならい。
【0069】
その後、GPS受信機ユニット100によって取得された位置と時刻誤差の情報は、M11およびK32クロック誤差を更新するために使用される。GPS発振器204とK32発振器302の両方とも、周波数誤差について更新される。K32低電力クロック306は、正確なGPS時刻について更新される。その後、GPS受信機ユニット100は、電力を節約するためにスリープ・モードに戻る。上述の処理は、次のウェークアップ命令を受信した時に繰り返し実行される。従って、この周期的な更新は、GPSユニットが従来の処理を用いて衛星位置を再取得する必要がないように、クロック信号の精度を維持すると同時に、電力を節約する。
【0070】
ウェークアップ命令が受信される時はいつでも、M11クロック信号を更新するためにK32クロック信号が使用される。しかしながら、K32発振器302から生成されるK32クロック信号は、K32発振器302の周波数が温度に依存することによる誤差の影響を受けやすい。一実施形態では、温度センサ308は、K32発振器302の動作温度を感知する。ナビゲーション・プロセッサ210は、K32発振器302の検知された動作温度を、LPクロックの温度/周波数誤差表322に含まれる情報と比較する。周期的なウェークアップ命令の時間間隔とK32発振器302の感知された動作温度とに基づいて、K32のタイミングとレートがK32発振器302の動作温度を考慮した正しい値に補正されるように、誤差補正係数が特定される。すなわち、K32クロック信号のタイミングは、K32発振器302の実際の動作温度を考慮して誤差係数によって補正される。上述したように、一実施形態においては、LPクロックの温度/周波数誤差表322のデータは、実際の動作の間に収集された履歴データに基いているので、非常に正確である。
【0071】
一度K32クロック信号が再較正されると、M11信号に関連する時刻が再較正される。一実施形態では、温度センサ206はGPS発振器204の温度を感知する。ナビゲーション・プロセッサ210はGPS発振器204の検知された動作温度を、GPSクロックの温度/周波数誤差表224に含まれる情報と比較する。その後、時間が経過するにつれてソフトウェアはこのレート補正を用いて、M11クロックに基づいてT20エポックの間隔を調整し、各エポックでの正確なGPS時刻の推定を維持する。さらに、上述したように、エッジ整列比率カウンタ216を用いて、GPS時刻をK32低電力クロック306からM11に基づくT20エポックに転写することによって、ウェークアップの直後のT20エポックでのGPS時刻の初期値は特定される。スリープ期間の間、M11発振器は停止しているので、M11発振器の経過時間は、K32低電力クロック304の経過時間のようには調整できない。上述したように、一実施形態では、温度/周波数誤差表244のデータは、実際に動作している間に収集された履歴データに基づいているので、極めて正確である。そして、K32クロック信号(温度補正がなされている)を用いてM11クロック信号を更新する(温度補正がなされる)場合、電力を落としていた期間の後にナビゲーション・プロセッサ210によって推定されるPN符号は、入力されるGPS衛星信号の実際のPN符号のタイミングの±0.5ms以下である。
【0072】
別の実施形態では、ウェークアップ・イベントはナビゲーションの更新に要求される頻度よりも高い頻度で起こるようにプログラミングされてよい。このようなウェークアップ・イベントは、K32発振器の現在の温度を抽出する目的のみを果たすであろう。現在とそれ以前のウェークアップ・イベントの平均温度に基づいて、2つのウェークアップ・イベントの間に経過した時間が調整されて、温度における変化を補正する。結果的な補正は、低電力クロック306に適用されるか、今後の計算が補正を必要とするまで不揮発性メモリに保存されてよい。さらに、この別の実施形態は動的なウェークアップ周期を提供するようアップグレードされてよい。すなわち、ウェークアップ命令の時間間隔は、直面する特定の動作状況に応じて、変更されてよい。電力を落としている期間におけるK32発振器302の合計の温度変化量が所定のしきい値を超える場合、ウェークアップ命令の時間間隔は適切な時間の長さに短縮される。一方、合計の温度変化量が所定の温度しきい値以下の場合、ウェークアップ命令の時間間隔は適切な時間の長さに延長される。従って、現在の温度力学の環境についての要求に応じて正確な温度を維持するために消費する電力が最小限に抑えられる。
【0073】
上記の実施形態の改良として、ナビゲーション・プロセッサ210は、最後の周期的なウェークアップ命令から現在の周期的なウェークアップ命令までの間におけるK32発振器の動作温度における合計の変化量を考慮してよい。その温度変化量が所定のしきい値を超えると、ナビゲーション・プロセッサ210は、直ちにナビゲーション更新処理を開始して、GPS衛星信号を再取得して、低電力クロック306の精度が許容範囲内に維持されることを確保する。
【0074】
図5は、一実施形態におけるブラウンアウト検知回路235の一実施形態のブロック図である。ブラウンアウト検知回路235は、検知回路237およびステータス回路239を含む。RTCクロック信号は線310を介して検知回路237へ入力される。RTCクロック信号は、図示するダイオードによって半波整流される。半波整流されたRTCクロック信号は、図示するR、R、およびコンデンサを含む抵抗容量(RC)回路に入力される。RC回路の出力は、減少電圧とも呼ばれ、線241を介して電圧比較器281の一つの入力となる。
【0075】
RTC発振器が動作している限り、検知器237は、何らかの平均的なDC電圧を比較器の入力に維持する。電圧比較器281の他方の入力は、基準電圧243であり、その基準電圧243はVDDと抵抗Rによって形成される分圧器の出力である。基準電圧は、寿命の最期に近いバッテリー電圧の下限値に対して調整される。このことは、クロックが多数のサイクルの間でオフになっていない限り、フィルタ処理され整流されたクロック電圧がこのしきい値を超えることを保証する。これを達成するために、RC時定数は比較的長く設定される。これにより、検知回路237は正確なバッテリー電圧に対して鈍感になる。発振器から検知回路237に求められるエネルギーが比較的小さくてすむため、この長い時定数には回路237の電力消費量を削減する効果もある。
【0076】
ステータス回路239はフリップ・フロップ283を含む。フリップ・フロップ283は出力259に論理0あるいは論理1を示す。上述したように、検知回路の出力はRTCが「不良」の場合にフリップ・フロップ283をクリアする。フリップ・フロップ283は、SET入力257の信号によって、RTCが「良好」であると示すようにセットされる。
【0077】
電力が最初に供給された時、検知器回路237およびフリップ・フロップ238は、発振器が起動する前に応答するので、比較器281の入力で検知される電圧はしきい値より高い。従って、バッテリーが交換された場合には、ステータス回路は「不良」にリセットされる。
【0078】
RTC発振器クロックが十分長く停止していれば、比較器の入力電圧はしきい値よりも低下し、RTCクロックは「不良」であると示すようにフリップ・フロップをクリアする。
【0079】
ステータス・フリップ・フロップ238は、ナビゲーション・プロセッサ、あるいはRTC時刻を利用できなくても最初にGPS衛星を取得して時刻と位置の解を生成しなければならない他のプロセッサにより、RTCクロックは「良好」であると示すようにセットされる。一度プロセッサが時刻と位置の解を生成すると、そのプロセッサは、RTCを設定し、RTCが正確に時刻を伝えているかを検証し、最後にRTCクロックは「良好」であると示すようにフリップ・フロップ238をセットする。RTC発振器が動作し続けRTCクロックを生成し続ける限り、電圧はしきい値以上に保たれ、RTCステータスは「良好」で維持される。
【0080】
RTC発振器がある期間において不具合を生じると、比較器の入力の電圧は徐々に減少する。多数のクロックが喪失された後に、フリップ・フロップ238はRTCクロックが「不良」であると示すようにセットされる。フリップ・フロップ238は、プロセッサが時刻を再確立するまで、この状態を維持する。検知回路235の主な目的の1つは、バッテリー寿命および/または温度変化に起因して発振器が停止するのを防ぐことである。寿命が問題であれば、予備バッテリーは発振に必要なしきい値以下で保たれるべきであろう。温度が問題であれば、温度に関連する時定数は、比較的遅い。さらに、一度バッテリーが低温に曝されたことに起因して発振器が停止すると、発振器を再始動させるためには、停止した時に供給されていた電圧(および電流)よりも高い電圧が要求されるであろう。従って、数千サイクルを必要とする時定数でも許容される。
【0081】
様々な実施形態において、検知回路235は様々な作法で読み書きされてよい。例えば、幾つかの実施形態では、検知回路235はRFチップ103上に配置され、他の実施形態では、ベースバンド・チップ105上に配置される。ステータス回路239の出力259は、バスあるいはインターフェース・プロトコルに沿った命令を用いて読み取ることができ、あるいは直接的に監視することができる。同様に、ステータス回路239のSET入力257は、実施形態の具体的な構造に沿った任意のソフトウェアまたはハードウェア機構によってトグルされてよい。
【0082】
例えば、マイクロプロセッサのバス・インターフェースがフリップ・フロップ283に読み書きを行ってよい。この場合、フリップ・フロップ283を読み取るには、周辺機器バス・ストローブを有効にしていることと、書き込み線を有効にしていないことと、周辺機器選択デコードが適切な選択信号を有効にしていることと、およびローカルRTCブロック・デコードが「RTC_GOOD」信号をアサートすることが要求される。フリップ・フロップ283をバス・プロトコルに沿って読み書きすることは、例えばブラウンアウト検知回路がベースバンド・チップ上に配置されている場合などに考慮される。
【0083】
別の実施形態では、RTC発振器とブラウンアウト検知回路235がRFチップ上に配置されている。これによって、発振器により穏やかな環境が提供され、RTC発振器を正確に較正する能力を高め、較正のためにこの発振器を温度センサの近傍に配置しやすくなる。この場合、フリップ・フロップ283へのインターフェースは異なる。例えば、シリアルIOポートからのメッセージ・デコードは、読み取りのためにフリップ・フロップ283を選択して、このビットをメッセージにラッチし、ブロードバンド・チップ上のプロセッサにポートを介してクロック・アウトされる。
【0084】
開示されたブラウンアウト検知回路の範囲内で、様々な回路の変更が可能である。図示された特定の回路部品は、所望の機能を実現するための一つの実施形態に過ぎない。他の様々な回路も可能であり、それぞれ特定の環境に適している。例えば、検知回路のコンデンサは混合信号積分のためには極めて小さくなければならない。従って、実効的な電気容量を増加するために、単なるRC時定数は付加的な電子機器によって置き換えられてよい。同様に、フリップ・フロップ283への非同期セット・インターフェースは、実際にはプロセッサ・バスからの同期セット・インターフェースでもよい。これらは、回路規模を縮小あるいは電力消費量を削減することによって本発明の概念を高める公知の回路技術である。
【0085】
図6は、一実施形態によるブラウンアウト検知回路235の動作を示すフローチャートである。GPS受信機100の始動時に、602でナビゲーション・プロセッサ210はRTCを読み取る。604では、このRTC時刻がEARC(エッジ整列比率カウンタ)に転写される。608では、検知回路235の出力259を読み取ることによって、RTCのステータスが確認される。RTCが「良好」の場合、ナビゲーション・プロセッサは610で転写されたRTCを使用して取得を開始する。RTCが「不良」の場合、一つの手順は612でナビゲーション・プロセッサ210がコールド・スタートを開始する。614では、ナビゲーション・プロセッサ210が時刻および位置の解を生成する。616では、時刻の解を用いて、ナビゲーション・プロセッサ210がRTCを設定する。618では、ナビゲーション・プロセッサ210が、RTCクロックが動いていることを検証する。RTCクロックが検証された場合、620でナビゲーション・プロセッサ210はステータス回路239に信号を送信することによって、RTCステータスを「良好」にセットする。RTCクロックが検証されなかった場合、618でナビゲーション・プロセッサ210はRTCクロックが動いていることの検証を再試行する。
【0086】
図6に示すブラウンアウト検知処理は、本明細書に記載された他の処理と共に実行される処理の一実施形態である。例えば、図7、図8、および図9は、図6の処理と共に実行されることを考慮した処理の一実施形態を示す。図7、図8、および図9を参照すると、フローチャート400はK32クロック信号を用いてM11クロック信号を更新することを含む処理の一実施形態を示す。フローチャート400の処理はさらに、推定されたGPS時刻がGPS受信機ユニット100の位置を取得するために十分正確か否かを特定することを含む。電力を落としている間にナビゲーション・プロセッサ210によって推定されるPN符号と、入力されるPN符号の間の時刻誤差が、入力される衛星信号の実際のPN符号のタイミングの±0.5ms以内であれば、K32クロック信号およびM11クロック信号は更新される。フローチャート400の処理はさらに、検知されたGPS衛星の情報を用いて、GPS発振器204に関連するM11クロック信号と、K32発振器302と関連するK32クロック信号を更新することを含む。更新後、GPS受信機ユニット100はスリープ・モード、すなわち電力を落とされているモードに戻る。
【0087】
フローチャート400は、さらにウェークアップ・アラーム論理222の一実施形態を示す。幾つかの別の実施形態では、記載された機能はフローチャート400で示す順序とは異なる順序で行われてもよく、あるいは記載された機能は同時に行われてもよく、あるいは記載された機能の幾つかは削除されてもよく、あるいは付加的な機能が追加されてもよい。
【0088】
アラーム・ユニット324によってウェークアップ命令が生成されると、処理はブロック402で開始する。あるいは、ユーザーがGPS受信機ユニット100に位置の情報(「ナビゲーションの更新」)を提供するように要求したときに、処理が開始してもよい。
【0089】
ブロック404では、電力を投入する理由がウェークアップ命令によるものかあるいはユーザーからの位置の要求によるものかを判断する。電源を投入する理由が、GPS受信機ユニット100が低電力時刻保持回路200によって維持されているK32に基づく時刻を更新するために、アラーム・ユニット324によって生成されたウェークアップ命令である場合、処理はブロック406に進む。しかしながら、電源を投入する理由が、ユーザーからの位置の要求に応じて、位置の情報を提供するためである場合、処理はブロック422に進んで、GPS受信機ユニット100はナビゲーションの更新を開始する。
【0090】
ブロック406では、後述するK32クロック信号の再較正に用いられる選択された構成部品に電力を投入する。GPS受信機ユニット100の他の構成部品は、電力を節約するためにブロック406では電力を投入されない。例えば、GPS受信機ユニット100は少なくとも特定された位置の情報をユーザーに表示するディスプレイ(図示せず)を含んでよい。GPS受信機ユニット100が周期的なナビゲーションの更新を行っている場合、ユーザーは装置がナビゲーションの更新を行っていることを知ったり、あるいは位置の情報を知ったりすることに、興味を持たないであろう。従って、ディスプレイ(図示せず)はブロック406では電力を節約するために電力を投入されない。
【0091】
ブロック408では、温度センサ308がK32発振器302の温度を測定する。ブロック410では、GPS受信機ユニット100がスリープ・モードに入っていた期間中のK32発振器302の平均温度が特定される。ブロック412では、低電力時刻保持回路200によって維持されているK32に基づく時刻がアクセスされる。ブロック414では、温度/周波数誤差表224の情報に基づいた時刻誤差に基づいて、上述の補正係数が、K32に基づく時刻の特定に適用される。そしてブロック416では、この補正係数が、低電力時刻保持回路200に維持されているK32に基づく時刻を補正するために用いられる。
【0092】
一実施形態では、ブロック418で次回のウェークアップ命令の時刻が特定される。それに従って、アラーム・レジスタ326においてウェークアップ時刻が更新される。あるいは、他の実施形態は周期的なウェークアップ命令の間に所定の時間間隔を用い、および/または他の構成部品から周期的なウェークアップ命令を提供する。
【0093】
ブロック420では、選択された(ブロック406で)電力を投入された構成部品の電力を落とす。低電力時刻保持回路200によって維持されているK32に基づく時刻が更新されたので、これらの選択された構成部品は、電力資源を節約するために電力を落とされる。そして処理はブロック402に戻り、次のウェークアップ命令あるいはユーザーからの位置要求があるまで待機する。
【0094】
ブロック404で位置の要求が受信されると、GPS受信機ユニット100は、それがGPS受信機ユニット100の位置を正確に特定して、その位置をユーザーに表示するためであることを理解し、処理はブロック422に進む。すなわち、ユーザーはナビゲーションの更新を望んでいる。
【0095】
従って、後述するGPS受信機ユニット100の構成部品は、ブロック422で電力と投入される。M11に基づく時刻の更新に関連する構成部品はブロック422で電力を投入される。例えば、無線202、GPS発振器204、温度センサ206、ナビゲーション・プロセッサ210、整合フィルタ212、A/D変換器214、ローカルGPSクロック生成器216、エッジ整列比率カウンタ218、および/またはメモリ220は、再び電力を投入される。
【0096】
さらに、GPS受信機ユニット100はM11に基づく時刻の更新とは関連しない付加的な構成部品を含んでもよく、それらの構成部品もブロック422で電力を投入される。例えば、ディスプレイ(図示せず)およびそれに関連する回路は、特定された位置の情報をユーザーに表示するために使用されるであろう。従って、ディスプレイに電力を投入する必要がある。対照的に、ブロック406では、(ブロック406〜416で)上述したように、K32に基づく時刻の更新をしている間は位置の情報が表示されないので、ディスプレイに電力を投入する必要はない。一実施形態では、これらの付加的な構成部品は、ブロック406で上述した構成部品と同時に電源を投入される。
【0097】
他の1つの実施形態では、ナビゲーションの更新が完了するまで、これらの付加的な構成部品への電力の投入を遅らせる。従って、ブロック422は2つの別々のブロックとして表され、付加的な構成部品への電力の投入は、フローチャート400の後の方に挿入される新たなブロックとして表される。GPS受信機ユニット100が更新された位置を特定した後に、これらの付加的な選択された構成部品は、ユーザーに更新された位置を表示するように、電力を投入される。例えば、GPS受信機ユニット100は、少なくとも特定された位置の情報をユーザーに表示するディスプレイ(図示せず)とそれに関連する回路とを含んでよい。位置の更新が要求された場合にのみこれらの付加的な選択された構成部品に再び電力を投入することを遅らせる、このような別の実施形態は、電力を節約する点で特に有利である。すなわち、選択された付加的な構成部品が、クロックの再較正とそれに関連するナビゲーションの更新のために必要とされなければ、ウェークアップ命令が受信された場合でもそれらの選択された構成部品をスリープ・モードに維持することにより、さらに電力が節約される。
【0098】
ブロック424では、温度センサ308がK32発振器302の温度を測定し、ブロック408〜416で説明された上述の処理を用いて温度/周波数誤差表224から特定される補正係数を用いて時刻を補正することによって、低電力時刻保持回路200によって維持されているK32に基づく時刻を補正する。すなわち、スリープ・モードの間に起こった如何なる温度/周波数のズレに対しても、K32に基づく時刻が補正される。
【0099】
ブロック426では、更新されたK32に基づく時刻は、エッジ整列比率カウンタ216によって、M11に基づく時刻に転写される。従って、GPS受信機ユニット100は、その構成部品に電力を投入し、低電力時刻保持回路200からの補正されたK32に基づく時刻を用いて、GPS発振器204によって提供されるM11クロック信号からのGPS時刻を正確に更新する。しかしながら、一実施形態では、M11クロック信号における誤差は、GPS発振器204の温度変化が原因で起こっているかもしれない。従って、ブロック428では、温度センサ206がGPS発振器204の温度を測定する。ブロック430では、GPS発振器204の現在の温度が特定される。ブロック432では、M11の周波数誤差が温度/周波数表から特定される。
【0100】
ブロック436では、更新されたT20エポックを用いて、可視であるGPS衛星102、104、106、および/または108の、位置とドップラーを推定する。ブロック438では、可視である衛星102、104、106、および/または108の推定される位置に基づいて、GPS受信機ユニット100は、整合フィルタ212あるいはGPS信号プロセッサ208を用いて、可視である衛星102、104、106、および/または108についての、PN符号位相(モジュロ1ms)を測定する。そして、ブロック440では、推定されたT20エポックを用いて、衛星102、104、106、および/または108のそれぞれについての、予想される現在の完全なPN符号位相が、週における時刻(TOW)として計算される。すなわち、GPS受信機ユニット100は、GPS発振器204からの更新されたM11クロック信号を用いて、モジュロ1msのPN符号位相を正確に推定し、予想される完全なPN符号位相を週における時刻として計算する。
【0101】
ブロック442では、測定されたPN符号位相(モジュロ1ms)に一致するように、完全な符号位相が補正される。ブロック444では、推定された補正後の完全なPN符号位相に基づいて、ナビゲーション解が計算される。次に、ブロック446では、計算されたナビゲーション解が、時間の単位で、前回のナビゲーション解と比較される。
【0102】
ブロック448では、GPS受信機ユニット100の計算された位置が、前回のナビゲーション解の時刻から±0.5ms未満(1PN符号未満)だけ変化しているか否かが特定される。特定された変化が±0.5msを超える場合(NOの場合)、処理はブロック450へ進み、GPS受信機ユニット100がGPS衛星102、104、106、および/または108のそれぞれから完全な6秒間のサブ・フレームを収集して、GPS時刻を確立する。ブロック452では、GPS受信機ユニット100が従来の方法を用いてナビゲーション解を更新し、それによりGPS受信機ユニット100の位置を正確に特定する。
【0103】
しかし、ブロック448で位置の変化が0.5ms以下と特定された場合(YESの場合)、GPS受信機ユニット100は、低電力時刻保持回路200でGPS時刻を正確に維持している。従って、処理はブロック454へ進み、補正されたT20時刻を用いて、上述した手法によってエッジ整列比率カウンタ218を用いて低電力時刻保持回路200のM11時刻を更新する。従って、次回の電力を落とす期間に備えて、K32クロック信号は正確に特定されたGPS T20時刻と関連付けられる。
【0104】
一実施形態では、温度/周波数誤差表224に含まれるデータは、上記のように収集された温度および周波数の情報を用いて更新される。すなわち、この実施形態では、取得した温度および周波数のデータを用いて温度/周波数誤差表224のデータを継続的に更新し、それにより、温度/周波数誤差表224から特定されるそれ以降の補正係数の正確さが改善される。
【0105】
ブロック458では、GPS受信機ユニット100がそのままオンであり続けるか否かを特定する。GPS受信機ユニット100がオンであり続ける場合(YESの場合)、処理はブロック460へ進み、GPS受信機ユニット100は他の機能を実現する。上記のような他の機能は、電力を落としている期間の間も時刻を正確に維持することに必ずしも関連性があるとは言えないので、本明細書では詳しく記載していない。これらの他の機能が実現された後、処理はブロック418へ戻り、次回のウェークアップ命令が特定される。
【0106】
ブロック458で、GPS受信機ユニットがオンであり続ける理由はないと特定された場合(NOの場合)、処理は直接ブロック418へ戻る。すなわち、処理はブロック418へ進み、GPS受信機ユニット100は電力を落とされ、低電力時刻保持回路200が正確にGPS時刻を維持しながら、電力を節約する。
【0107】
GPS受信機ユニット100の上述の実施形態は、GPS発信機204の電力が落とされている期間の間も正確にGPS時刻が維持されるように、K32発振器302から生成されるK32クロック信号と、GPS発信機204から生成されるM11クロック信号とを更新するものとして基本的に説明される。他の実施形態は、GPS衛星からの位置の特定に関連する他の様々なクロック信号を更新する。さらに、GPS発振器204は、実質的に11MHzに等しい発振周波数を備える信号を提供するものとして説明される。同様に、K32発振器302は、実質的に32KHzに等しい発振周波数を備える信号を生成するものとして説明される。GPS受信機ユニットの他の実施形態は、GPS発振器204およびK32発振器302の発振周波数とは異なる発振周波数を備える、GPS発振器および/または低電力時刻保持回路内に配置されている発振器を用いて実施してもよい。さらに、低電力時刻保持回路は、構成部品の電力が落とされている期間の間にGPS時刻の精度を維持するために用いられる、実質的に32kHzのクロック信号を提供するものとして説明される。他の実施形態では、低電力時刻保持回路200から提供されるクロック信号は、GPS受信機ユニット内に配置されている他の構成部品にクロック信号を提供するために使用される。しかし、そのような構成部品の詳細については、本発明の動作および機能を理解するために必要な範囲以上には記載されていない。
【0108】
別の実施形態では、温度センサ206および308は、GPS発振器204およびK32発振器302の動作温度が検知されるように適切に配置された、単一の温度センサに置き換えられ、あるいは組み込まれる。このような温度センサはさらに、ナビゲーション・プロセッサ210に直接的に信号を提供するように構成されていてもよい。この実施形態は、構成部品の点数を削減し、それに伴ってコスト、サイズ、および電力消費を削減できるであろう。
【0109】
図3および図4の図示の都合で、および本発明の動作と機能の説明の都合で、感知された温度を処理すること、K32発振器302、およびGPS発振器204からの信号における合計の周波数誤差を計算することは、ナビゲーション・プロセッサ210による論理の実行によって実現され、そのような論理はウェークアップ・アラーム論理222の一部として含まれると記載かつ図示した。その代わりに、この処理は異なるプロセッサによって実現されてもよい。さらに、感知された温度を処理する論理、およびK32発振器302からの信号における合計の周波数誤差を計算する論理は、メモリ220あるいは他の適切なメモリの内部に含まれる専用論理モジュール(図示せず)に含まれてよい。加えて、LPクロックの温度/周波数誤差表322および/またはGPSクロックの温度/周波数誤差表224は、簡単のためにメモリ220に含まれると図示した。感知温度表508は、別の位置および/または適切な別の記憶媒体の内部に含まれてよい。このような別の実施形態は、本出願の開示範囲内に含まれており、添付する特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
【0110】
本発明の様々な実施形態を記載したが、当業者が利用できる様々な変更も、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
(図面の簡単な説明)
図面内の構成要素は必ずしも実物大ではなく、その代わりに本発明の原理を図解すべく強調がなされている。
【図1】全地球測位システム(「GPS」)受信機の動作における典型的な環境を示すブロック図である。
【図2】GPS受信機の実施形態を示すブロック図である。
【図3】GPS受信機の他の1つの実施形態を示すブロック図である。
【図4】GPS受信機の他の1つの実施形態を示すブロック図である。
【図5】ブラウンアウト検知回路の実施形態を示すブロック図である。
【図6】一実施形態におけるブラウンアウト検知処理を説明するフローチャートである。
【図7】RTCクロック信号を用いてGPSクロック信号を更新することと、推定されたGPS時刻がGPS受信機の位置を取得できるほど十分に正確であるか否かを特定することを含む処理の一実施形態を示すフローチャートである。
【図8】RTCクロック信号を用いてGPSクロック信号を更新することと、推定されたGPS時刻がGPS受信機の位置を取得できるほど十分に正確であるか否かを特定することを含む処理の一実施形態を示すフローチャートである。
【図9】RTCクロック信号を用いてGPSクロック信号を更新することと、推定されたGPS時刻がGPS受信機の位置を取得できるほど十分に正確であるか否かを特定することを含む処理の一実施形態を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全地球測位システム(「GPS」)受信機システムであって、
GPS衛星データを用いて前記GPS受信機システムがナビゲートしている時にGPS時刻に較正されているGPSクロックと、
前記GPSクロックよりかなり低い電力を使用するリアル・タイム・クロック(RTC)と、
前記RTCに接続されたブラウンアウト検知回路を備え、
前記GPSクロックは、前記GPS受信機システムがナビゲートしていない時に電力を落とされるように構成されており、
前記RTCは、前記GPSクロックの電力が落とされている時に時刻を保持するように構成されており、
前記ブラウンアウト検知回路は、RTCクロック信号を受信し、RTCクロック・サイクルの喪失を検知し、所定のしきい値を超えるRTCクロック・サイクルの喪失を示すRTCステータス信号を出力するように構成されている、GPS受信機システム。
【請求項2】
前記ブラウンアウト検知回路は、
前記RTCクロック信号を受信して、前記RTCクロックがサイクルを喪失しているか否かを特定する検知回路と、
前記検知回路からの信号出力を保存して、前記RTCクロックが「良好」および「不良」の何れか一方であることを示すステータス信号を出力するステータス回路を備え、
前記検知回路は、サイクルの喪失が前記所定のしきい値を超えるか否かを特定するように調整されている、請求項1のGPS受信機システム。
【請求項3】
前記検知回路は、所定の時定数を備える抵抗容量(RC)時定数要素を備え、
前記RC時定数要素は、前記RTCクロック信号を受信して、減少電圧を出力し、
前記減少電圧のレベルは、前記サイクルの喪失が前記所定のしきい値を超えるか否かを示す、請求項2のGPS受信機システム。
【請求項4】
前記ステータス信号を受信するように接続されたナビゲーション・プロセッサをさらに備え、
前記ナビゲーション・プロセッサは、前記ステータス信号に基づいて衛星の取得をするために前記RTCクロックを使用するか否かを特定する、請求項3のGPS受信機。
【請求項5】
前記RTCおよび前記GPSクロックに接続されたエッジ整列比率カウンタ(EARC)をさらに備え、
衛星の取得のための前記GPS受信機システムの始動時に、前記RTCクロックによって保持された時刻は、EARCを用いてGPSクロックに転写され、
前記転写されたRTC時刻は、前記ステータス信号が前記RTCを「良好」と示す場合に、取得に用いられる、請求項4のGPS受信機システム。
【請求項6】
全地球測位システム(「GPS」)ナビゲーションのためのシステムであって、
ベースバンド・チップと、
無線周波数(RF)チップを備え、
前記RFチップと前記ベースバンド・チップは、インターフェースを経由して接続しており、
前記RFチップは、
GPS衛星データを用いて前記GPS受信機システムがナビゲートしている時にGPS時刻に較正されているGPSクロックと、
前記GPSクロックよりかなり低い電力を使用するリアル・タイム・クロック(RTC)と、
前記RTCに接続されたブラウンアウト検知回路を備え、
前記GPSクロックは、前記GPS受信機システムがナビゲートしていない時に電力を落とされるように構成されており、
前記RTCは、前記GPSクロックの電力が落とされている時に時刻を保持するように構成されており、
前記ブラウンアウト検知回路は、RTCクロック・サイクルの喪失を検知するように構成されている、システム。
【請求項7】
前記RFチップは、
前記RTCに接続された温度センサと、
前記温度センサに接続されたアナログ・デジタル(A/D)変換器をさらに備える、請求項6のシステム。
【請求項8】
前記ベースバンド・チップは、
前記RTCクロック信号が衛星の取得に使用されるべきか否かを示すRTCステータス信号を含む、前記インターフェースを経由した前記RFチップからの信号を受信するように接続されたナビゲーション・プロセッサと、
GPSクロック信号および前記RTCクロック信号を受信するように接続され、それぞれのGPSおよびRTCクロック信号を高精度で整列させるように構成されており、前記RTCクロックによって保持された時刻を前記GPSクロックに転写するように構成されている、エッジ整列比率カウンタ(EARC)と、
前記A/D変換器および前記RTCに接続され、前記RTCクロックに対する温度を周波数に関連付ける表を保存するように構成されている、メモリ・デバイスを備える、請求項7のシステム。
【請求項9】
前記ブラウンアウト検知回路は、
前記RTCクロック信号を受信し、前記RTCクロックがサイクルを喪失しているか否かを特定する検知回路と、
前記検知回路からの信号出力を保存し、前記RTCが「良好」および「不良」の何れか一方であることを示すステータス信号を出力するステータス回路を備え、
前記検知回路は、サイクルの喪失が前記所定のしきい値を超えているか否かを特定するように調整されている、請求項7のシステム。
【請求項10】
前記検知回路は、所定の時定数を備える抵抗容量(RC)時定数要素を備え、
前記RC時定数要素は、前記RTCクロック信号を受信して、減少電圧を出力し、
前記減少電圧のレベルは、前記サイクルの喪失が前記所定のしきい値を超えるか否かを示す、請求項9のシステム。
【請求項11】
前記インターフェースは、シリアル周辺機器インターフェースを備える、請求項7のシステム。
【請求項12】
前記ナビゲーション・プロセッサは、前記RTCのステータスを要求する前記ブラウンアウト検知回路への前記インターフェースを介した命令を送信し、
前記ブラウンアウト検知回路は、前記インターフェースを介してRTCステータスを送信することによって応答する、請求項8のシステム。
【請求項13】
全地球測位システム(「GPS」)ナビゲーションのためのシステムであって、
無線周波数(RF)チップと、
ベースバンド・チップを備え、
前記RFチップは、GPS衛星データを用いて前記GPS受信機システムがナビゲートしている時にGPS時刻に較正されているGPSクロックを備え、
前記GPSクロックは、前記GPS受信機システムがナビゲートしていない時に電力を落とされるように構成されており、
前記ベースバンド・チップと前記RFチップは、システム・インターフェースを経由して接続しており、
前記ベースバンド・チップは、
前記GPSクロックよりかなり低い電力を使用するリアル・タイム・クロック(RTC)と、
前記RTCに接続されたブラウンアウト検知回路を備え、
前記RTCは、前記GPSクロックの電力が落とされている時に時刻を保持するように構成されており、
前記ブラウンアウト検知回路は、RTCクロック・サイクルの喪失を検知するように構成されている、システム。
【請求項14】
前記ベースバンド・チップは、
前記RTCに接続された温度センサと、
前記温度センサに接続されたアナログ・デジタル(A/D)変換器をさらに備える、請求項13のシステム。
【請求項15】
前記ベースバンド・チップは、
GPSクロック信号および前記RTCクロック信号を受信するように接続され、それぞれのクロック信号を高精度で整列させるように構成されており、前記RTCクロックによって保持された時刻を前記GPSクロックに転写するように構成されている、エッジ整列比率カウンタ(EARC)をさらに備える、請求項14のシステム。
【請求項16】
前記ベースバンド・チップは、周辺機器インターフェースを経由してプロセッサとメモリに接続されており、
前記メモリ・デバイスは、前記A/D変換器および前記RTCに接続されており、前記RTCクロックに対する温度を周波数に関連付ける表を保存するように構成されており、
前記プロセッサは、前記RTCクロック信号が衛星の取得に使用されるべきか否かを示すRTCステータス信号を含む、前記周辺機器インターフェースを経由した信号を受信するように構成されている、請求項15のシステム。
【請求項17】
前記ブラウンアウト検知回路は、
前記RTCクロック信号を受信して、前記RTCクロックがサイクルを喪失しているか否かを特定する検知回路と、
前記検知回路からの信号出力を保存して、前記RTCクロックが「良好」および「不良」の何れか一方であることを示すステータス信号を出力するステータス回路を備え、
前記検知回路は、サイクルの喪失が前記所定のしきい値を超えるか否かを特定するように調整されている、請求項13のシステム。
【請求項18】
前記検知回路は、所定の時定数を備える抵抗容量(RC)時定数要素を備え、
前記RC時定数要素は、前記RTCクロック信号を受信して、減少電圧を出力し、
前記減少電圧のレベルは、前記サイクルの喪失が前記所定のしきい値を超えるか否かを示す、請求項17のシステム。
【請求項19】
前記システム・インターフェースは、シリアル周辺機器インターフェースを備える、請求項13のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記RTCのステータスを要求する前記ブラウンアウト検知回路への前記周辺機器インターフェースを介した命令を送信し、
前記ブラウンアウト検知回路は、前記周辺機器インターフェースを介してRTCステータスを送信することによって応答する、請求項16のシステム。
【請求項21】
クロック信号生成装置におけるクロック・サイクルの喪失を検知する装置であって、
前記クロック信号生成装置からのクロック信号を受信して、前記クロック信号生成装置がサイクルを喪失しているか否かを特定する検知回路と、
前記検知回路による信号出力を保存して、前記クロック信号生成装置が「良好」および「不良」の何れか一方であることを示すステータス信号を出力するステータス回路を備え、
前記検知回路は、サイクルの喪失が前記所定のしきい値を超えるか否かを特定するように調整されている、装置。
【請求項22】
前記検知回路は、所定の時定数を備える抵抗容量(RC)時定数要素を備え、
前記RC時定数要素は、前記RTCクロック信号を受信して、減少電圧を出力し、
前記減少電圧のレベルは、前記サイクルの喪失が前記所定のしきい値を超えるか否かを示す、請求項21の装置。
【請求項23】
前記ステータス回路は、ラッチ装置を備え、
前記検知回路は、前記ラッチ装置に接続された電圧比較器をさらに備え、
前記電圧比較器は、前記減少電圧と基準電圧を比較して、前記サイクルの喪失が前記所定のしきい値を超える場合に、前記ラッチをリセットする結果信号を出力する、請求項22の装置。
【請求項24】
全地球測位システム(「GPS])受信機のリアル・タイム・クロック(RTC)のステータスを特定する方法であって、
検知回路においてRTCクロック信号を受信する工程と、
前記RTCがクロック信号を喪失して前記クロック・サイクルの喪失が所定のしきい値を超える場合を検知する工程と、
「良好」および「不良」の何れか一方である、前記RTCの前記ステータスを保存する工程と、
前記クロック・サイクルの喪失が前記所定のしきい値を超える場合に、前記RTCの前記ステータスを「不良」に設定する工程と、
衛星の取得のために前記RTCクロック信号を用いる前に、前記RTCの前記ステータスを確認する工程を備える方法。
【請求項25】
前記検知する工程は、抵抗容量(RC)回路において前記RTCクロック信号を受信する工程を備え、
前記RC回路は、前記クロック・サイクルの喪失が前記所定のしきい値を超える場合に、前記RC回路の出力電圧が所定のレベル未満まで減少するように、計算されたRC時定数を備える、請求項24の方法。
【請求項26】
前記ステータスを保存する工程は、前記RC回路の前記出力電圧のレベルに基づいてステータス・ビットを保存する工程を備え、
前記ステータス・ビットの第1論理値は「良好」を示し、前記ステータス・ビットの第2論理値は「不良」を示す、請求項25の方法。
【請求項27】
前記GPS受信機の始動時に、前記RTCに電力を投入している期間の間は、「良好」を示すように前記ステータス・ビットを設定する工程をさらに備える、請求項26の方法。
【請求項28】
前記GPS受信機の始動時に、エッジ整列比率カウンタ(EARC)を用いて前記RTCによって保持されていた時刻をGPSクロックに転写する工程と、
前記RTCの前記ステータスを確認する工程と、
前記RTCの前記ステータスが「良好」の場合に、衛星の取得のために前記転写された時刻を用いる工程をさらに備える、請求項27の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−521483(P2007−521483A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517223(P2006−517223)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/018558
【国際公開番号】WO2005/001388
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(501382085)サーフ テクノロジー インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】