説明

リグノセルロース含有バイオマスからのエタノール製造方法

【課題】リグノセルロース原料からエタノールを製造する方法において、生産効率の高いエタノール製造方法を提供する。
【解決手段】
リグノセルロースを原料とした併行糖化発酵後の培養液をスクリーンサイズが1.0〜2.0mmのスクリュープレスで固液分離し、固液分離工程で除去できない微細繊維を80〜600メッシュの篩い処理で選択的に回収し、回収した微細繊維を原料として再度、糖化または併行糖化発酵を行うことによりエタノール生産量の向上が可能となる。さらに工程内に電解質を添加することによりエタノール生産量の向上が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグノセルロースを含有するバイオマスからエタノールを製造する方法において、併行糖化発酵処理後の処理懸濁液に残存する微細繊維を回収し、回収した微細繊維を再度、糖化または併行糖化発酵処理することによりエタノール生産量の向上が可能となるリグノセルロースを含有バイオマスからのエタノール製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖化に適した処理を施したリグノセルロース原料から糖を製造する技術は、この糖を微生物の発酵基質として用いることによりガソリンの代替燃料となるアルコールや、プラスチック原料となるコハク酸や乳酸などの化成品原料を製造することができることから、循環型社会の形成に有益な技術である。
植物系バイオマス中の多糖類から発酵基質となる単糖や小糖類を製造する方法として酵素やその酵素を生産する微生物を用いて加水分解する酵素糖化法がある。リグニンを除去していないリグノセルロース材料は、リグニンを除去したリグノセルロース材料と比べて酵素によって分解されにくく、糖化されずに樹脂、金属などの不純物と一緒に糖化液中に残渣として残る。一般に、この残渣はスクリーン、遠心分離等により分離し廃棄される。酵素糖化法のコスト低減のために残渣を回収し有効利用することが課題である。酵素糖化法において回収した残渣を再利用する技術として、残渣を燃焼し熱エネルギーを得る方法(特許文献1)、残渣を水熱ガス化して、生成した合成ガスよりエタノール合成触媒でエタノールを合成する方法(特許文献2)、残渣を燃料あるいは肥料として利用する方法(特許文献3)、残渣を熱エネルギーとして利用する方法(特許文献4)が報告されている。しかし、これらの方法は、処理工程付加に伴うコストアップが大きいため実用的な設備を考案する場合、コスト低減という課題を解決するための方法として充分であるとは言えない。
また、糖化発酵処理後の酵素が吸着した未分解残渣を再度、糖化発酵工程に戻し酵素を再利用する技術が報告されている(特許文献5)。しかし、この方法では未分解残渣自体は再度酵素溶液と混合しても分解されにくい状態になっているため未分解残渣を糖化し易い状態にすることが課題である。本発明者らは固液分離により回収した未分解残渣を機械処理し再度、糖化発酵することによりエタノール生産量が高まることを見出した(特許文献6)。しかし、この方法で原料として用いた残渣は420メッシュ(38μm)のスクリーンで回収された残渣で幅広いサイズの繊維が含まれているという問題がある。リグニンが多く吸着したサイズの大きい繊維は酵素で分解されにくいため前処理(機械的処理等)を施さないと充分に糖化されない。もし、リグニン吸着量の少ない小さいサイズの繊維のみを選択的に回収し原料として前処理を施さず、再度、酵素糖化することができれば効率の良いエタノール生産量の向上が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4447148号
【特許文献2】特開2005−168335号公報
【特許文献3】特開2008−54676号公報
【特許文献4】特開2009−106932号公報
【特許文献5】特開2010−98951号公報
【特許文献6】特開2011−41493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、リグノセルロースを原料とするエタノール製造工程において、エタノール収率の高いエタノール製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、併行糖化発酵工程の培養液中に含まれる残渣から糖化され易い微細繊維のみを選択的に回収し、回収した微細繊維を原料として再度、糖化または併行糖化発酵を行うことによりエタノール生産量が向上し、かつ、工程内で排出される残渣量が減少することを見出し、下記発明を完成した。
【0006】
(1)リグノセルロース原料に酵素糖化反応に適した原料とする処理を施す前処理工程、前処理が施されたリグノセルロース原料を酵素で糖化する酵素糖化及び酵素糖化処理によって生成する糖類を基質とする発酵処理を併行して行う一次併行糖化発酵工程、該一次併行糖化発酵工程から出る処理懸濁液をスクリーンサイズが1.0 〜 2.0mmのスクリュープレスで残渣と液体留分に分離する固液分離工程、該固液分離工程で分離された液体留分を80〜600メッシュの篩い処理で微細繊維と液体留分に分離する篩い処理工程、篩い処理後の微細繊維を除いた液体留分を減圧蒸留して発酵生成物を分離回収する蒸留工程、を有するリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法において、分離した微細繊維を糖化または併行糖化発酵することを特徴とするリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
【0007】
(2)前記分離した微細繊維を一次併行糖化発酵工程へ移送し併行糖化発酵することを特徴とする(1)項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
【0008】
(3)前記分離した微細繊維を二次併行糖化発酵工程へ移送し併行糖化発酵することを特徴とする(1)項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
【0009】
(4)前記リグノセルロース原料の前処理が、リグノセルロース系原料を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ薬品、又は、亜硫酸ナトリウムと前記アルカリ薬品の中から選ばれる1種以上のアルカリ薬品を含有する溶液に浸漬する化学的処理を含む前処理であることを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
【0010】
(5)前記一次併行糖化発酵工程において、水溶性塩類よりなる電解質を原料懸濁液に添加し、原料懸濁液の電気伝導度を5〜25mS/cmにして糖化または併行糖化発酵を行うことを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、リグノセルロースを原料とした併行糖化発酵後の培養液に含まれる微細繊維を選択的に回収し、回収した微細繊維を原料として再度、糖化または併行糖化発酵を行うことによりエタノール生産量の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の製造工程フローを示す図
【図2】実施例2の製造工程フローを示す図
【図3】比較例1の製造工程フローを示す図
【図4】実施例5の製造工程フローを示す図
【図5】実施例6の製造工程フローを示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0014】
<リグノセルロース系原料>
本発明の方法で原料として使用するリグノセルロース系原料としては、木質系として、製紙用樹木、林地残材、間伐材等のチップ又は樹皮、製材工場等から発生する鋸屑又はおがくず、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられ、草本系としてケナフ、稲藁、麦わら、バガスなどの農産廃棄物、草本系エネルギー作物のエリアンサス、ミスカンサスやネピアグラス等が挙げられる。なお、本発明におけるリグノセルロース系原料としては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ等も利用可能である。
【0015】
前記木質系のリグノセルロース系原料の中でも、木材の樹皮は、現在ほとんど有効利用されておらず、製材工場やチップ工場で均一な品質のものが大量に入手可能であり、木材の木部部分より柔軟かつ可溶性成分が多いため、糖化処理や併行糖化発酵処理の原料として特に好ましい。
例えば、製紙原料用として一般に用いられるユーカリ(Eucalyptus)属又はアカシア(Acacia)属等の樹種の樹皮は、製紙原料用の製材工場やチップ工場等から安定して大量に入手可能であるため、特に好適に用いられる。
【0016】
<併行糖化発酵処理に適した前処理>
本発明の酵素糖化処理に適した前処理を施したリグノセルロースとは、前記リグノセルロース系原料に以下の前処理を行って、リグノセルロースを併行糖化発酵可能な状態としたリグノセルロースである。
機械的処理、化学的処理、水熱処理、加圧熱水処理、二酸化炭素添加水熱処理、蒸煮処理、湿式粉砕処理、希硫酸処理、水蒸気爆砕処理、アンモニア爆砕処理、二酸化炭素爆砕処理、超音波照射処理、マイクロ波照射処理、電子線照射処理、γ線照射処理、超臨界処理、亜臨界処理、有機溶媒処理、相分離処理、木材腐朽菌処理、グリーン溶媒活性化処理、各種触媒処理、ラジカル反応処理、オゾン酸化処理。
これらの処理は、各単独処理もしくは複数を組み合わせた処理のいずれであってもよい。中でも、上記リグノセルロース含有バイオマスに対し、アルカリ処理、加圧熱水処理、機械的処理から選択される1つ以上の前処理を行うことが好ましい。
【0017】
前記機械的処理としては、破砕、裁断、磨砕等の任意の機械的手段が挙げられ、リグノセルロースを次工程の糖化発酵処理工程で糖化され易い状態にすることである。使用する機械装置については特に限定されないが、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー、レファイナー、ニーダー等を用いることができる。
【0018】
化学的処理としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ薬品、又は、亜硫酸ナトリウムと前記アルカリ薬品の中から選ばれる1種以上のアルカリ薬品を含有する溶液に浸漬する化学的処理を含む前処理である。また、オゾン、二酸化塩素などの酸化剤による化学的処理も可能である。
化学的処理は、前記機械的処理と組み合わせてそれらの前処理の後処理として行うことが好適である。
【0019】
化学的処理で使用する薬品の添加量は、状況に応じて任意に調整可能であるが、薬品コスト低下の面から、またセルロースの溶出・過分解による収率低下防止の面から、リグノセルロース系原料の絶乾100質量部に対して50質量部以下であることが望ましい。化学的処理における薬品の水溶液への浸漬時間及び処理温度は、使用する原料や薬品によって任意に設定可能であるが、処理時間20〜90分、処理温度80〜200℃が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理時間は70分以下、処理温度は180℃以下であることが好ましい。
【0020】
酵素糖化反応に適した前処理が施されているリグノセルロース系原料に対しては、リグノセルロース系原料懸濁液の調製に使用する前に、殺菌処理を行うことが好ましい。リグノセルロース系バイオマス原料中に雑菌が混入していると、酵素による糖化を行う際に雑菌が糖を消費して生成物の収量が低下してしまうという問題が発生する。
殺菌処理は、酸やアルカリなど、菌の生育困難なpHに原料を晒す方法でも良いが、高温下で処理する方法でも良く、両方を組み合わせても良い。酸、アルカリ処理後の原料については、中性付近、もしくは、糖化及び/又は糖化発酵工程に適したpHに調整した後に原料として使用することが好ましい。また、高温殺菌した場合も、室温もしくは糖化発酵工程に適した温度まで降温させてから原料として使用することが好ましい。このように、温度やpHを調整してから原料を送り出すことで、好適pH、好適温度外に酵素が晒されて、失活することを防ぐことができる。
【0021】
<一次併行糖化発酵処理工程>
糖化発酵に適した前処理が施されているリグノセルロース系原料が、適量の水と酵
素、及び発酵に必要な酵母等の微生物と混合され、一次併行糖化発酵工程に供給される。併行糖化発酵処理方法の典型的なプロセスは、図1に示される。
図1において、前処理工程で糖化発酵処理に適した状態に処理されたリグノセルロース系原料は酵素により糖化(セルロース→グルコース)され、次に酵母により発酵(グルコース→エタノール)される。
【0022】
リグノセルロース系原料の懸濁濃度は、1〜30質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、最終的に生産物の濃度が低すぎて生産物の濃縮のコストが高くなるという問題が発生する。また、30質量%を超えて高濃度となるにしたがって原料の攪拌が困難になり、生産性が低下するという問題が発生する。
【0023】
併行糖化発酵で使用するセルロース分解酵素は、セロビオヒドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、ベータグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称される酵素である。
各セルロース分解酵素は、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で添加しても良いが、市販されているセルラーゼ製剤は、上記の各種のセルラーゼ活性を有すると同時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多いので市販のセルラーゼ製剤を用いれば良い。
【0024】
市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス(Trametes)属、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属などに由来するセルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、GC220(ジェネンコア社製)等が挙げられる。
原料固形分100質量部に対するセルラーゼ製剤の使用量は、0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。
【0025】
糖化工程または併行糖化発酵工程でのpHは3.5〜10.0の範囲に維持することが好ましく、4.0〜7.5の範囲に維持することがより好ましい。
【0026】
糖化工程または併行糖化発酵工程の温度は、酵素の至適温度の範囲内であれば特に制限はなく、25〜50℃が好ましく、30〜40℃がさらに好ましい。反応は、連続式が好ましいが、セミバッチ式、バッチ式でも良い。反応時間は、酵素濃度によっても異なるが、バッチ式の場合は10〜240時間、さらに好ましくは15〜160時間である。連続式の場合も、平均滞留時間が、10〜150時間、さらに好ましくは15〜100時間である。
【0027】
発酵用に用いられる微生物としては酵母などが用いられ、培地などを同時に添加しても良い。酵母としては、サッカロマイセス・セラビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等が使用できる。
また、微生物は固定化しておいてもよい。微生物を固定化しておくと、次工程に微生物を液と共に送り出して再回収するという工程を省くことができるか、少なくとも回収工程にかかる負担を軽減することができるし、微生物をロスするリスクを軽減することもできる。また、微生物を固定化するほどでのメリットはないが、凝集性のある微生物を選択することにより微生物の回収を容易にすることができる。
【0028】
<固液分離工程>
一次併行糖化発酵工程を出た培養液は、固液分離工程へ移送され、液体分(濾液)と残渣(一次残渣)に分離される。固液分離を行う装置としてスクリーンサイズが1.0 〜 2.0mmのスクリュープレスを用いる。スクリュープレスは構造的に繊維による目詰まりが発生しにくく比較的少ないエネルギーで効率よく固液分離できる装置である。固液分離効率を向上させるために背圧をかけても良い。
固液分離工程で分離された残渣にはリグニン、ヘミセルロース、セルロースが含まれており、セルロースにリグニン等が吸着しており、酵素による糖化が困難な状態となっている。固液分離工程後の残渣は一次併行糖化発酵工程で分解されなかった繊維分を多く含み、機械的処理や化学的処理を施すことにより糖化が容易となる(特許文献6)。
固液分離工程で分離された濾液(液体分)は、次の篩い処理工程へ移送される。
【0029】
<篩い処理工程>
固液分離後の濾液を篩い処理を行い微細繊維と濾液(液体分)に分離する。篩い処理の方法としては、微細繊維を分離できる篩い処理装置であれば特に限定なく用いることができる。篩い処理装置としては、スクリーン、フィルタープレス、ベルトプレス、ロータリープレス等を用いることができる。篩いのメッシュ(網目)は80メッシュ〜600メッシュ(28〜182μm)が好ましく、150メッシュ〜400メッシュ(39〜97μm)がさらに好ましい。処理効率を向上させるために、篩いに振動装置をつけて振動を加えてもよい。以上の処理で分離された微細繊維は一次残渣や二次残渣と比較しリグニン含量が低く、酵素により糖化され易い。また、篩い処理で微細繊維を除くことにより後段の蒸留工程で用いる減圧蒸留装置内に付着する固形分量を軽減することができ装置の長時間の運転が可能となるというメリットがある。回収された微細繊維は、一次糖化発酵工程へ移送し糖化発酵の原料として用いても良い(図1参照)。また、回収された微細繊維を後述の二次糖化発酵工程(一次糖化発酵工程とは異なる糖化発酵工程)へ移送し糖化発酵の原料として用いることもできる(図2参照)。更には、別の工程で糖化のみを行っても良い。このように微細繊維を糖化または糖化発酵することにより、微細繊維に吸着している酵素を有効に利用できる。
一方、篩い処理で分離された濾液は蒸留工程へ移送される。
【0030】
<二次併行糖化発酵処理工程>
二次併行糖化発酵処理工程は一次併行糖化発酵処理工程とは独立した糖化発酵工程で、新しいリグノセルロースを原料として糖化発酵させることもできるし、工程内で排出された残渣を原料として糖化発酵させることもできる。また、一次併行糖化発酵工程でエタノールへ発酵されなかった糖を二次併行糖化発酵処理工程で発酵させることもできる。一次併行糖化発酵工程において、セルロースに由来する六炭糖、即ち、グルコース、マンノース、ガラクトース等がエタノール発酵されるが、ヘミセルロースに由来する五炭糖であるキシロースは未反応のまま残留するものもある。このような場合、二次併行糖化発酵処理工程で五炭糖をより確実に発酵する酵母を添加して五炭糖を発酵させることもできる。
本発明では、前記篩い処理で回収された微細繊維を二次併行糖化発酵処理工程へ移送し糖化発酵させることができる。
【0031】
<蒸留工程>
篩い処理後の濾液、あるいは二次併行糖化発酵処理工程後の処理液(培養液)は蒸留工程へ移送される(図1、図2参照)。
蒸留工程では、減圧蒸留装置により発酵生成物が蒸留分離される。減圧下では低い温度で発酵生成物を分離できるため、酵素の失活を防ぐことができる。減圧蒸留装置としては、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーターなどを用いることができる。
蒸留温度は25〜60℃が好ましい。25℃未満であると、生成物の蒸留に時間がかかって生産性が低下する。また、60℃より高いと、酵素が熱変性して失活してしまい、新たに追加する酵素量が増加するため経済性が悪化する。
蒸留後の蒸留残渣留分中に残る発酵生成物濃度は0.1質量%以下であることが好ましい。このような濃度にすることによって、後段の固液分離工程において固形物とともに排出される発酵生成物量を低減することができ、収率を向上させることができる。
【0032】
<遠心分離工程>
蒸留残液は、遠心分離工程へ移送され残留している残渣(二次残渣)を遠心分離によって除去した後、液体留分は一次併行糖化発酵工程に循環される(図1参照)。この液体留分には酵素が含まれており、一次併行糖化発酵工程で再利用される。一方、残渣には、リグニンが含まれており燃焼原料として回収しエネルギーとして利用することもできるし、リグニンを回収し有効利用することもできる。
【0033】
本発明では、酵素糖化処理工程内に電解質として水溶性塩を添加することができる。酵素糖化処理工程において、電解質を原料懸濁液に添加し原料懸濁液の電気伝導度を5〜25mS/cmの範囲に維持することが好ましい。電気伝導度を5〜25mS/cmの範囲に維持することによりリグノセルロース原料の未反応成分や反応残渣等への酵素の吸着が抑制されるため、酵素糖化処理工程内における酵素の循環率が長期にわたって高い水準に維持することができる。酵素糖化処理工程内において、操作上、電解質を添加することが可能な工程であれば、いずれの工程においても制限なく電解質を添加することができる。一次糖化発酵工程内で添加することが操作が容易なため望ましい。
【0034】
水溶性塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ばれる塩類が好ましい。アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属のハロゲン化物、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩、酢酸塩、クエン酸塩からなる群から選ばれる水溶性塩が挙げられる。
【実施例】
【0035】
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0036】
図1に示す製造フローでエタノールの製造を実施した。
[前処理]
チップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を20mmの丸孔スクリーンを取り付けた一軸破砕機(西邦機工社製、SC−15)で破砕し原料として用いた。
上記原料100kg(絶乾重量)に対して12.5質量%の水酸化カルシウムとなるように水に懸濁した水酸化カルシウム溶液を原料に添加後(原料に対する液比8)、120℃で1時間加熱(アルカリ処理)した。アルカリ処理後の原料をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー:クリアランス0.5mm)で磨砕した。磨砕処理後の原料に同量の純水を添加後、撹拌下で硫酸を用いてpH5に調整した。次に20メッシュ(847μm)のスクリーンを用いて固液分離(脱水)することにより溶液の電気伝導度が30μS/cmになるまで水で洗浄した。固液分離後の固形物(前処理物)を原料として糖化発酵工程に供した。
[一次併行糖化発酵]
一次併行糖化発酵槽に原料濃度が10質量%になるように原料100kg(絶乾重量)、ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/Lとなるように各々を添加後,水を添加し最終容量を1mに調整した。液体培地(グルコース30g/L、ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/L、pH
5.6)50Lで30℃、24時間前培養を行った酵母菌体を含む培養液及び市販セルラーゼ(Accellerase DUET、ジェネンコア社製)50Lを発酵槽に添加し、30℃、24時間で一次併行糖化発酵を行った。糖化発酵中の培養液のpHは5.0に調整した。
[固液分離]
前記第一次併行糖化発酵で得られた培養液を、スクリュープレス(富国工業株式会社製SHX−200 x 1500L、スクリーンサイズ1.2mm)で固液分離して残渣(一次残渣)と濾液を分離した。回収した一次残渣は19.4kg(絶乾重量)であった。
[篩い処理]
固液分離後のろ液を400メッシュ(39μm)のスクリーンを通過させて培養液中の微細繊維を回収した。得られた微細繊維の回収量は合計で15.6kg(絶乾重量)であった。回収した微細繊維は全量(15.6kg)、一次併行糖化発酵槽へ返送した。
[エタノール製造]
前記篩い処理で得られた濾液を減圧蒸留装置(エバポールCEP−1、大川原製作所)で蒸留温度:40℃、加熱温度:80℃、供給液量:150L/hの条件でエタノールを含む水溶液と濃縮培養液に分離した。得られたエタノールを含む水溶液の体積及びエタノール濃度を測定しエタノールの回収量を算出した。溶液中のエタノール濃度はグルコースセンサー(王子計測機器製BF−400型)で測定した。
[遠心分離]
減圧蒸留装置から分離された濃縮培養液をデカンタ式遠心機(IHI製、HS−204L形)は、回転数4500rpm、差速5.0rpmで運転し、残渣(二次残渣)と濾液に分離した。濾液は、一次併行糖化発酵槽へ移送した。回収した二次残渣は、18.6kg(絶乾重量)であった。
【実施例2】
【0037】
図2に示す製造フローでエタノールの製造を実施した。
[前処理]
実施例1と同様の方法で実施した。
[一次併行糖化発酵]
実施例1と同様の方法で実施した。
[固液分離]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した一次残渣は19.2kg(絶乾重量)であった。
[篩い処理]
実施例1と同様の方法で実施した。合計100kgの原料を一次併行糖化発酵で処理して得られた微細繊維の回収量は合計で15.5kg(絶乾重量)であった。
[二次併行糖化発酵]
篩い処理で得られた微細繊維15.5kg(絶乾重量)を原料として二次併行糖化発酵槽に添加した。ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/Lとなるように各々を二次併行糖化発酵槽に添加し水で最終容量を150Lに調整した。液体培地(グルコース30g/L、ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/L、pH5.6)50Lで市販酵母(商品名:Maurivin: Mauri Yeast Australia Pty Limited)を30℃で24時間培養した。培養後の酵母を含む培養液50L及び市販セルラーゼ(Accellerase DUET、ジェネンコア社製)10Lを発酵槽に添加し、30℃、24時間で二次併行糖化発酵を行った。糖化発酵中の培養液のpHは5.0に調整した。
[エタノール製造]
実施例1と同様の方法で実施した。
[遠心分離]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した二次残渣は、18.6kg(絶乾重量)であった。
【0038】
<比較例1>
図3に示す製造フローでエタノールの製造を実施した。実施例1の[篩い処理]を省略した試験を比較例1とした(下記)。
[前処理]
実施例1と同様の方法で実施した。
[一次併行糖化発酵]
実施例1と同様の方法で実施した。
[固液分離]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した一次残渣は19.3kg(絶乾重量)であった。
[エタノール製造]
前記固形分離で得られた濾液を実施例1に記載と同様の方法でエタノールを含む水溶液と濃縮培養液に分離した。得られたエタノールを含む水溶液の体積とエタノール濃度を測定しエタノールの回収量を算出した。
[遠心分離]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した二次残渣は、34.2kg(絶乾重量)であった。
【0039】
【表1】

エタノールの生産量の結果を表1に示す。実施例1(微細繊維を回収し一次併行糖化発酵槽に返送した場合)及び実施例2(微細繊維を回収し二次併行糖化発酵槽に移送した場合)では、比較例1(微細繊維を回収しない場合)と比較しエタノール生産量が向上した。
【実施例3】
【0040】
[糖化発酵試験]
実施例1で得られた微細繊維を原料として用いて試験管内で糖化発酵試験を行いエタノール生産量を下記の方法で測定した。
液体培地A(ポリペプトン5g/L、酵母エキス3g/L、麦芽エキス3g/L、グルコース30g/L、蒸留水に溶解、pH 5.6)100mlと液体培地B(ポリペプトン15g/L、酵母エキス10g/L、麦芽エキス10g/L:蒸留水に溶解)20mlを混合した培地で市販酵母(商品名:Maurivin: Mauri Yeast Australia Pty Limited)を30℃、24時間培養した。培養後の培養液100mlを遠心分離(5000rpm、20分間)し、上清を取り除き培養液の容量を10mlに調製(酵母を集菌)した(濃縮酵母菌体)。
300ml容三角フラスコ(滅菌済)に原料(微細繊維)の最終濃度が5質量%になるように添加した。次に、濃縮酵母菌体10ml、市販セルラーゼ(Accellerase DUET、ジェネンコア社製)2.5mlを添加し、最終容量を蒸留水で100mlにメスアップした。この混合液を30℃で24時間培養(糖化発酵)した。培養後の培養液を遠心分離(5000rpm、20分間)し、上清液のエタノール濃度を測定した。また、微細繊維のカッパー価(リグニン含量の指標)をJISP8211に準拠の測定法で測定した。
【0041】
<比較例2>
実施例1で得られた一次残渣を原料として用いて実施例3と同様の方法で糖化発酵試験を行いエタノール生産量及び一次残渣のカッパー価を測定した。
【0042】
<比較例3>
実施例1で得られた二次残渣を原料として用いて実施例3と同様の方法で糖化発酵試験を行いエタノール生産量及び二次残渣のカッパー価を測定した。
【0043】
【表2】

表2にエタノール濃度及びカッパー価を示す。微細繊維(実施例3)を原料とした場合、一次残渣(比較例2)及び二次残渣(比較例3)を原料とした場合と比較し培養液中のエタノール濃度が高かった。また、微細繊維(実施例3)のカッパー価は、一次残渣(比較例2)及び二次残渣(比較例3)のカッパー価と比較し値が低かった。以上の結果から、微細繊維は一次残渣及び二次残渣と比較しリグニン含量が低く、その結果として微細繊維を糖化発酵の原料として用いた場合、一次残渣及び二次残渣と比較しエタノール生産量が高まることがわかった。微細繊維は前処理(機械的処理等)を施さなくても糖化発酵が容易に進行し、糖化発酵の原料として適していることが判明した。
【実施例4】
【0044】
実施例1で原料として用いたユーカリ・グロブラスの樹皮の変わりにユーカリ・グロブラスの林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を原料として用いた試験を実施例4とした。林地残材を用いた以外は全て実施例1と同様の方法で試験した(製造フローは図1と同様)。
【0045】
<比較例4>
実施例4の[篩い処理]を省略した試験を比較例4とした。篩い処理を省略した以外は全て実施例4と同様の方法で試験した(製造フローは図3と同様)。
【0046】
【表3】

エタノールの生産量の結果を表3に示す。実施例4(微細繊維を回収し一次併行糖化発酵槽に返送した場合)では、比較例4(微細繊維を回収しない場合)と比較しエタノール生産量が向上した。
【実施例5】
【0047】
図4に示す製造フローでエタノールの製造を実施した。
[前処理]
実施例1と同様の方法で実施した。
[一次併行糖化発酵]
培養液中に電解質として塩化ナトリウムを添加する以外は実施例1と同様の方法で実施した。実施例1と同様の方法で調整した培養液に塩化ナトリウム(電解質)の最終濃度が、100mMとなるように添加した(原料懸濁液の電気伝導度:12.2mS/cm)。次に、実施例1と同様の方法で酵母菌体及び市販セルラーゼを発酵槽に添加し、一次併行糖化発酵を行った。
[固液分離]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した一次残渣は15.3kg(絶乾重量)であった。
[篩い処理]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した微細繊維は合計で13.4kg(絶乾重量)であった。回収した微細繊維は全量(13.4kg)、一次併行糖化発酵槽へ返送した。
[エタノール製造]
実施例1と同様の方法で実施した。
[遠心分離]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した二次残渣は、14.7kg(絶乾重量)であった。
【0048】
【表4】

エタノール生産量の結果を表4に示す。培養液中に塩化ナトリウムを添加した場合(実施例5)では、塩化ナトリウムを添加しない場合(実施例1)と比較しエタノール生産量が向上した。
【実施例6】
【0049】
図5に示す製造フローでエタノールの製造を実施した。
[前処理]
実施例1と同様の方法で実施した。
[一次併行糖化発酵]
培養液中に電解質として塩化ナトリウムを添加する以外は実施例1と同様の方法で実施した。実施例1と同様の方法で調整した培養液に塩化ナトリウム(電解質)の最終濃度が、100mMとなるように添加した(原料懸濁液の電気伝導度:12.2mS/cm)。次に、実施例1と同様の方法で酵母菌体及び市販セルラーゼを発酵槽に添加し、一次併行糖化発酵を行った。
[固液分離]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した一次残渣は14.8kg(絶乾重量)であった。
[篩い処理]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した微細繊維は合計で13.0kg(絶乾重量)であった。回収した微細繊維は全量(13.0kg)、一次併行糖化発酵槽へ返送した。
[二次併行糖化発酵]
実施例2と同様の方法で実施した。
[エタノール製造]
実施例1と同様の方法で実施した。
[遠心分離]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した二次残渣は、14.2kg(絶乾重量)であった。
【0050】
【表5】

エタノール生産量の結果を表5に示す。培養液中に塩化ナトリウムを添加した場合(実施例6)では、塩化ナトリウムを添加しない場合(実施例2)と比較しエタノール生産量が向上した。
【実施例7】
【0051】
図1に示す製造フローでエタノールの製造を実施した。
[前処理]
チップ状のユーカリ・グロブラスの樹皮を20mmの丸孔スクリーンを取り付けた一軸破砕機(西邦機工社製、SC−15)で破砕し原料として用いた。
上記原料100kg(絶乾重量)に対して97.0%亜硫酸ナトリウム20g及び水酸化ナトリウム1gを含む水700mlを添加後、170℃で1時間加熱した。加熱処理後の原料をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー:クリアランス0.5mm)で磨砕した。磨砕処理後の原料に同量の純水を添加後、撹拌下で硫酸を用いてpH5に調整した。次に20メッシュ(847μm)のスクリーンを用いて固液分離(脱水)することにより溶液の電気伝導度が30μS/cmになるまで水で洗浄した。固液分離後の固形物(前処理物)を原料として糖化発酵工程に供した。
[一次併行糖化発酵]
実施例1と同様の方法で実施した。
[固液分離]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した一次残渣は14.7kg(絶乾重量)であった。
[篩い処理]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した微細繊維は合計で12.9kg(絶乾重量)であった。回収した微細繊維は全量(12.9kg)を一次併行糖化発酵槽へ返送した。
[エタノール製造]
実施例1と同様の方法で実施した。
[遠心分離]
実施例1と同様の方法で実施した。回収した二次残渣は、14.0kg(絶乾重量)であった。
【0052】
【表6】

エタノール生産量の結果を表6に示す。実施例7(微細繊維を回収し一次併行糖化発酵槽に返送した場合)では、比較例1(微細繊維を回収しない場合)と比較しエタノール生産量が向上した。以上の結果から、原料を亜硫酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを含む溶液で処理した場合においても篩い処理により微細繊維を回収し一次併行糖化発酵槽に返送することによりエタノール生産量が向上することが判明した。
【0053】
本発明により、糖化発酵後の培養液に含まれる微細繊維を糖化発酵の原料として再利用することによりエタノール生産量を向上することが可能となる。また、電解質を培養液中に添加することによりエタノール生産量の向上が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロース原料に酵素糖化反応に適した原料とする処理を施す前処理工程、前処理が施されたリグノセルロース原料を酵素で糖化する酵素糖化及び酵素糖化処理によって生成する糖類を基質とする発酵処理を併行して行う一次併行糖化発酵工程、該一次併行糖化発酵工程から出る処理懸濁液をスクリーンサイズが1.0 〜 2.0mmのスクリュープレスで残渣と液体留分に分離する固液分離工程、該固液分離工程で分離された液体留分を80〜600メッシュの篩い処理で微細繊維と液体留分に分離する篩い処理工程、篩い処理後の微細繊維を除いた液体留分を減圧蒸留して発酵生成物を分離回収する蒸留工程、を有するリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法において、分離した微細繊維を糖化または併行糖化発酵することを特徴とするリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
【請求項2】
前記分離した微細繊維を一次併行糖化発酵工程へ移送し併行糖化発酵することを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
【請求項3】
前記分離した微細繊維を二次併行糖化発酵工程へ移送し併行糖化発酵することを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
【請求項4】
前記リグノセルロース原料の前処理が、リグノセルロース系原料を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリ薬品、又は、亜硫酸ナトリウムと前記アルカリ薬品の中から選ばれる1種以上のアルカリ薬品を含有する溶液に浸漬する化学的処理を含む前処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。
【請求項5】
前記一次併行糖化発酵工程において、水溶性塩類よりなる電解質を原料懸濁液に添加し、原料懸濁液の電気伝導度を5〜25mS/cmにして糖化または併行糖化発酵を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料からのエタノール製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−254072(P2012−254072A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203175(P2011−203175)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【特許番号】特許第4930650号(P4930650)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「セルロース系エタノール革新的生産システム開発事業/バイオエタノール一貫生産システムに関する研究開発/早生樹からのメカノケミカルパルピング前処理によるエタノール一貫生産システムの開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】