説明

リグノセルロース性の材料を発酵性糖に転換するための組成物および方法、ならびにそれらから生成される生成物

本発明は、発酵性糖およびそれらから生成される生成物(例えば、エタノール、食品の原料など)に、リグノセルロース性の材料を転換するための組成物および方法に関する。より詳細には、本発明は、リグノセルロース分解成分およびそれを用いる方法を提供する。当該リグノセルロース分解成分は、例えば、固体発酵の形式におけるリグノセルロースの開始原料をともなった微生物のインキュベーションによって生成されている。当該リグノセルロース分解成分は、例えば、糖化段階および/または加水分解段階(例えば、エタノール生成原料への)において、食品または飼料の添加物として用いられる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、参照によってその全体が本明細書に援用される米国仮特許出願第61/160,969号(出願日:2009年3月17日)に対する優先権を主張する。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、リグノセルロース性の材料を発酵性糖に転換するための組成物および方法、ならびにそれから生成される生成物(例えば、エタノール、食品の原料など)に関する。特に、本発明は、リグノセルロース分解組成物およびそれを使用する方法を提供する。ここで、上記リグノセルロース分解組成物は、例えば、リグノセルロース性の開始原料をともなった微生物の、固体発酵の形態におけるインキュベーションを介して生成される。またここで、当該方法において、上記リグノセルロース分解組成物は、例えば、糖化段階および/または加水分解段階(例えば、エタノール生産性の原料に対する)において使用され、食品または飼料の添加物として使用される。
【0003】
〔背景技術〕
再生可能な輸送手段の燃料は、石油の本質的に限られている供給のために、科学的、経済的、環境的かつ地政学的に多大な関心が寄せられている。再生可能な輸送手段の燃料のなかでも、リグノセルロース性の開始原料からのエタノールの大規模な生成は、種々の利点を有している。当該利点としては、即座の原料供給、温室効果ガスの放出を(例えば耕作、収穫および処理方法に依存して)低減させる見込み、特に郊外の環境における雇用創出の見込み、エタノール燃料の専用車両および種々の燃料の車両の技術の、現状の利用能および予測される利用能、ならびに揮発性の液体燃料をすでに受け入れ可能な流通機構が挙げられる。しかし、リグノセルロース性のエタノール生成にとっての現状の方法は、好ましくない化学薬品および/またはエネルギーの必要性を有しており、したがって、スターチに富んでいる原料(例えば、粉砕したトウモロコシの穀粒)と比べたときの、リグノセルロース性の原料の糖化および加水分解の困難性に大きく起因して、現状の方法は許容不可能な生成コストを有している(例えば、それらの全体のそれぞれが参照によって本明細書に援用される、Sun et al. (2002) Bioresource Technol. 83:1-11; Hahn-Hagerdal et al. (2006) Trends Biotechnol. 24:549-556; Sanchez et al. (2007) Bioresource Technol. 99:5270-5295を参照すればよい)。
【0004】
生化学的に、リグノセルロース性の原料の経済的利用の主な障害は、セルロースを取り囲んでいるか、および/または架橋しているヘミセルロースおよびリグニンの存在である。発酵段階におけるセルロースに効率よく接触し、セルロースを効率よく分解するセルラーゼ酵素のために、これらのヘミセルロースおよびリグニンは少なくとも部分的にあらかじめ分解されている必要がある。したがって、リグノセルロース性の原料の前処理は、これまでのところ経済的に不適切な要求と見なされている。
【0005】
前処理を通して、原料は、化学的、形態学的および/または物理的に改変される。当該技術において標準的な前処理方法としては、リグノセルロース性の原料を高温および/または高圧(蒸気による前処理または熱水分解をともなうような)、酸または塩基にさらすこと、またはそのような方法の組合せが挙げられる(例えば、それらの全体のそれぞれが参照によって本明細書に援用される、Galbe et al. (2007) Adv. Biochem. Engin./Biotechnol. 108:41-65; Chandra et al (2007) Adv. Biochem. Engin./Biotechnol. 108:67-93を参照すればよい)。しかし、これらの前処理の手法のそれぞれは欠点を有している。希釈した酸による前処理(一般的に高温(例えば、140〜200℃)における)は、ヘミセルロースを分解して大きな割合の単量体の糖を生じるが、酸によって加水分解された物質は、発酵に使用される微生物に毒性を示す化合物の生成のために、一般的に発酵することが困難である(例えば、それらの全体のそれぞれが参照によって本明細書に援用される、Galbe and Zacchi (2007) Adv. Biochem. Engin./Biotechnol. 108:41-65; Chandra et al (2007) Adv. Biochem. Engin./Biotechnol. 108:67-93を参照すればよい)。アルカリによる前処理(やはり一般的に高温において実施される)は、少なくとも部分的な脱リグニン化およびヘミセルロースの可溶化、ならびに細胞壁の結晶性セルロースの構成成分の接触性の増大をもたらすが、アルカリによる前処理はリグノセルロース性の原料のすべての種類にとって好適ではない(例えば、その全体が参照によって本明細書に援用される、Galbe et al. (2007) Adv. Biochem. Engin./Biotechnol. 108:41-65を参照すればよい)。さらに、洗浄段階またはpH調整段階が、低いpHまたは高いpHを許容できない後段の発酵処理との適合性を高めるために、酸またはアルカリによって前処理された材料にとって必要になり得る。蒸気による前処理、ならびに蒸気およびpH処理の組合せ(例えば、アンモニア繊維爆砕(AFEX))は、工業的な生成にとって最も関連の深い手法であるが、やはりリグノセルロース性の原料のすべての種類にとって好適ではなく、高エネルギーを必要とする(例えば、その全体が参照によって本明細書に援用される、Galbe and Zacchi (2007) Adv. Biochem. Engin./Biotechnol. 108:41-65を参照すればよい)。熱水分解処理は、蒸気による前処理よりも低い初期のエネルギー投資を必要とするが、より多くのエネルギーを要求する後段の処理に関する必要性をもたらす(例えば、その全体が参照によって本明細書に援用される、Galbe and Zacchi (2007) Adv. Biochem. Engin./Biotechnol. 108:41-65を参照すればよい)。湿式の酸化による前処理(120℃における水ならびに空気または酸素への生物資源の導入)低リグニンの原料のみと適合しており、存在している任意のリグニンを回収不能にする。そうでなければ、このリグニンが生体物質の精製所において固体燃料として使用され得るため、これは処理の観点から不利益であると考えられる(例えば、その全体が参照によって本明細書に援用される、Galbe and Zacchi (2007) Adv. Biochem. Engin./Biotechnol. 108:41-65を参照すればよい)。さらに考慮すべき事項は、他の目的(例えば、農業的な飼料の添加物)のための生体燃料生成からの残余の材料の利用能である。農業的な食品および飼料の費用を低下させることと同時に、生物燃料の残余物を処分する費用を抑えることによって、そのような二次的利用は経済的な利益を提供する。しかし、これは、既存の技術では一般的に不可能である。既存の技術は、溶媒、酸、塩基の存在のためか、または栄養価に乏しいか、もしくは非栄養性でさえある残余物を生じることによって、消費に不向きな残余物質にする。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明は、リグノセルロース性の材料を発酵性糖に転換するための組成物および方法、ならびにそれらから生成される生成物(例えば、エタノール、食品の原料など)に関する。特に、本発明は、リグノセルロース分解組成物およびそれを使用する方法を提供する。ここで、上記リグノセルロース分解組成物は、例えば、リグノセルロース性の開始原料をともなった微生物の、固体発酵の形態におけるインキュベーションを介して生成される。またここで、当該方法において、上記リグノセルロース分解組成物は、例えば、糖化段階および/または加水分解段階(例えば、エタノール生産性の原料に対する)において使用され、食品または飼料の添加物として使用される。
【0007】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、リグノセルロース分解組成物を含んでいる組成物、リグノセルロース分解組成物を生成する方法、およびリグノセルロース分解組成物を利用する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、開始段階を利用するリグノセルロース分解組成物を生成する方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記開始段階は固体発酵を包含している。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解能を有している微生物が開始原料とともにインキュベートされる。本発明は、開始原料の種類または発生源によって限定されない。いくつかの実施形態において、上記開始原料は天然のリグノセルロース性である。いくつかの実施形態において、リグノセルロース性の上記開始原料は天然の材料である。開始原料として利用される天然のリグノセルロース性の材料としては、穀類の蒸留粕、森林の残余物、製粉所の廃棄物、都市の木材廃棄物、農業の残余物、および生物燃料エネルギーの作物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、穀類の蒸留粕は穀類蒸留粕(DDG)の形態である。いくつかの実施形態において、穀類の蒸留粕は可溶性物質を有している穀類蒸留粕(DDGS)の形態である。いくつかの実施形態において、上記天然のリグノセルロース性の材料は、トウモロコシの葉、茎、トウモロコシの皮、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの繊維、コムギのわら、ミロの刈り株、スイッチグラス、落葉樹の木材、針葉樹の木材、落葉樹もしくは針葉樹の小片、落葉樹もしくは針葉樹のおが屑、柑橘類の廃棄物、都市の青果物の廃棄物もしくは残余物、食品製造業の廃棄物もしくは残余物、穀類の製造の廃棄物もしくは残余物、乾草、麦わら、稲のわら、サトウキビ、サトウキビのバガス、精穀物、コメの外皮、オオムギのわら、シダレヤナギ属の木、トウヒ、ポプラ、ユーカリ、Brassica carinataの残余物、Antigonum leptopus、モミジバフウ、Miscanthus、Sericea lespedeza、ナンキンハゼ、アサ、アブラナ、Sorghum bicolor、ダイズの葉、ダイズの茎、ダイズの鞘、ダイズの残余物、ヒマワリの葉、ヒマワリの茎、種無しのヒマワリの頭状花、ヒマワリの外皮、ヒマワリの残余物、ダンチク、堅果の殻、落葉樹の葉、綿繊維、肥料植物、海岸のバミューダグラス、クローバー、ジョンソングラス、亜麻、ソバのわら、カラスムギのわら、キビのわら、アマランスのわら、アマランスの茎、アマランスの葉、アマランスの残余物、スペルトコムギのわら、ライムギのわら、アルファルファおよびタケを包含している。いくつかの実施形態において、1、2、3、4またはそれ以上の種類のリグノセルロース性の開始原料が開始原料として使用される。いくつかの実施形態において、リグノセルロース性の開始原料は、組換え生物、形質転換生物、形質移入生物、遺伝子導入生物、変異体生物、またはそうでなければ遺伝的に改変された生物に由来している。いくつかの実施形態において、リグノセルロース性の開始原料は合成材料である。いくつかの実施形態において、上記合成材料は、植物の細胞壁の1つ以上の構成成分を含んでいる。当該構成成分は、例えば、セルロース、キシログルカン、アラビノキシログルカン、グルクロノアラビノキシラン、キシラン、アラビノキシラン、ポリガラクツロナン、ホモガラクツロノン、ラムノガラクツロノンI、ラムノガラクツロノンII、アピオガラクツロナン、マンナン、カロース、混合結合型グルカン((1→3),(1→4)β−グルカンとしても知られている)、カロース、グルクロマンナン、ヒドロキシプロリンに富んでいる糖タンパク質、アラビノガラクタンタンパク質、グリシンに富んでいるタンパク質、プロリンに富んでいるタンパク質、エクステンシンまたはリグニンである。いくつかの実施形態において、植物の細胞壁の構成成分は、天然の植物の細胞壁におけるそれらの長さに対して、断片化されているか、または短縮されている。いくつかの実施形態において、上記リグノセルロース性の開始原料はトウモロコシの葉および茎である。いくつかの実施形態において、上記リグノセルロース性の開始原料はトウモロコシの穂軸である。
【0008】
いくつかの実施形態において、リグノセルロース性の開始材料は、その開始状態に対してより小さい粒度になるように処理される。例えば、粒子の直径は、0.05〜0.1mm、0.1〜0.5mm、0.5〜1.0mm、1.0〜2.5mm、2.5〜5.0mm、5.0〜10.0mm、10.0〜25.0mm、25.0〜50mm、0.05mm未満、または50mmを超える直径であり得る。本発明は、所望の粒度をもたらす任意の特定の方法に限定されない。いくつかの実施形態において、ハンマーミル、ナイフミル、ボールミル、チッピング機械、製粉機、押出し機、および/または照射は、所望の大きさの特定の直径をもたらすために利用される。所望の粒度を生じさせる方法は当該技術において公知である。いくつかの実施形態において、リグノセルロース性の開始原料の粒度の低下は、大気中の温度および圧力の範囲において生じる。いくつかの実施形態において、リグノセルロース性の開始原料の粒度の低下は、低温において生じる。いくつかの実施形態において、低温は、0℃〜−20℃、−20℃〜−50℃、−50℃〜−100℃、−100℃〜−200℃、またはより低い温度である。いくつかの実施形態において、リグノセルロース性の材料の水の含有量は粒度の低下の前に低下させられる。
【0009】
いくつかの実施形態において、リグノセルロース性の開始原料は、(例えば、本発明のリグノセルロース性の原料の分解組成物を生成するために)リグノセルロースを分解する微生物とともにインキュベートされている。いくつかの実施形態において、上記微生物は真菌である。いくつかの実施形態において、上記微生物は糸状菌である。本発明は使用される発酵性の真菌の種類に限定されない。実際に、種々の糸状菌は、本発明に使用され、これらとしては、Trichoderma、Gliocladium、Aspergillus、Rhizopus、Clostridium、Phanerochaete、Bacillus、Penicillium、Aureobasidium、Humicola、Talaromyces、Chrysosporium、Monilia、Paecilomyces、およびPleurotusの属に属している種が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記微生物は褐色腐朽菌である。いくつかの実施形態において、上記微生物は白色腐朽菌である。いくつかの実施形態において、上記微生物は軟腐朽菌である。いくつかの実施形態において、上記微生物は酵母である。いくつかの実施形態において、上記微生物は、組換え株、形質転換株、形質移入株、遺伝子組換え株、変異体株、またはそうでなければ遺伝的に改変された株である。いくつかの実施形態において、2つ以上の微生物がリグノセルロース性の開始原料とともにインキュベートされる。いくつかの実施形態において、上記微生物は、処理前のリグノセルロース性の材料(例えば、リグノセルロース性の開始原料が無菌ではない)に対して存在している。いくつかの実施形態において、リグノセルロースを分解する上記微生物はAspergillus nigerである。いくつかの実施形態において、リグノセルロースを分解する上記微生物はAspergillus nigerの変種altips(ATCC 10549; IFO 4067; MUCL 13608; WB 4863)である。いくつかの実施形態において、上記微生物はAspergillus oryzaeの株である。いくつかの実施形態において、上記微生物はRhizopus oligoporus(Rhizopus microporusの変種oligoporusとしても知られている)である。いくつかの実施形態において、Rhizopus oligoporusの株は2UV3株である。いくつかの実施形態において、リグノセルロースを分解する微生物の2つ以上が、リグノセルロース性の開始原料をともなったインキュベーションに利用される(例えば、Aspergillus oryzaeおよびRhizopus oligoporusの組合せが利用される)。いくつかの実施形態において、リグノセルロースを分解する微生物の3つ、4つ、5つまたはそれより多くが、リグノセルロース性の開始原料をともなったインキュベーションに利用される。
【0010】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのさらなる構成成分が、(例えば、発酵を補助するためにか、および/または細菌の増殖を制限するために)リグノセルロース性の材料に加えられる。さらなる構成成分としては、水、緩衝液、栄養培地、界面活性剤、塩、ミネラル、浸透圧に作用する物質、発酵補助剤、窒素源、抗生物質および/または炭素源が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、発酵補助剤としては、コーンスターチ、BACTOペプトン(DIFCO)、酵母抽出物、MgSO・7HO、KCl、KHPO、脱イオン化水、および/またはLACTOSIDE抗生物質(Ethanol Technology, Milwaukee, WI)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、種菌(例えば、液体の種菌、乾燥した(例えば、粉末状の)種菌、または1つ以上のリグノセルロースを分解する微生物を含んでいるそれらの組合せ)が、リグノセルロース性の開始原料に加えられる。いくつかの実施形態において、開始原料の重量に対する液体の種菌の体積の割合は、10gにつき1ml未満;10gにつき1〜2ml;10gにつき2〜4ml;10gにつき4〜6ml;10gにつき6〜8ml;10gにつき8〜10ml;10gにつき10〜20ml;10gにつき20〜50ml;10gにつき50〜100mlである。いくつかの実施形態において、開始原料の重量に対する乾燥した種菌の質量の割合は、約1:1;約1:5;約1:10;約1:20;約1:20;約1:50;約1:100;約1:200;約1:500;約1:1000;約1:2500;約1:5000;約1:10000;約1:20000;約1:50000、またはこれらの量を上回るか、もしくは下回る範囲の割合である。いくつかの実施形態において、15%の酵母抽出物が加えられる。
【0011】
いくつかの実施形態において、リグノセルロース性の開始原料(例えば、所望の粒度の原料を生成するために処理されている)は、播種の方法または種菌の調製方法に限定されることなく、リグノセルロースを分解する微生物の1つ以上の株を用いて(例えば、リグノセルロース性の原料の分解組成物を生成するために)播種される。いくつかの実施形態において、リグノセルロースを分解する微生物の1つ以上、およびリグノセルロース性の開始原料は、ベッドを作るために固体の支持体(例えば、ステンレス鋼のトレイ)に広げられる。いくつかの実施形態において、床の高さは、0.5cm未満;0.5〜1cm;1〜5cm;5〜10cm;10〜20cm;20〜50cm;50〜100cm;100〜1000cm;1000cm以上である。いくつかの実施形態において、代替的な発酵装置が使用され、当該発酵装置としては、カラム、反応容器、Koji型の浅いトレイの反応器、固定式の塔型反応器、回転ドラム式の反応器および/または振動型の反応器が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、リグノセルロースを分解する微生物の1つ以上、およびリグノセルロース性の開始原料は、少なくとも1つのリグノセルロース分解組成物の生成にとって十分な、温度、圧力、O濃度、給気レベル、相対湿度、pHおよび期間においてインキュベートされる。本発明はインキュベーションの期間によって限定されない。例えば、インキュベーションの期間は、1時間;2時間;5時間;10時間;20時間;1日間;1〜5日間;5〜10日間;10〜20日間;20〜30日間;30〜50日間;50〜100日間;100〜300日間またはそれ以上であり得る。いくつかの実施形態において、インキュベーションは5日間にわたって実施される。インキュベーションは、1%;1〜10%;10〜25%;25〜50%;50〜75%;75〜99%の相対湿度において実施され得る。いくつかの実施形態において、インキュベーションの相対湿度は50%である。インキュベーションは、10℃;10〜20℃;20〜40℃;40〜60℃;60〜80℃;80〜120℃、または10℃未満〜120℃を超える温度において実施され得る。いくつかの実施形態において、インキュベーションは30℃において実施される。
【0012】
いくつかの実施形態において、本発明は、リグノセルロース性の原料の分解組成物を提供する。いくつかの実施形態において、上記リグノセルロース性の原料の分解組成物は、リグノセルロースを分解する微生物の1つ以上およびリグノセルロース性の開始原料(例えば、少なくとも1つのリグノセルロース分解組成物の生成に十分な、温度、圧力、O濃度、給気レベル、相対湿度、pHおよび/または期間においてインキュベートされている)を含んでいる。本発明は、リグノセルロース分解組成物の特定の作用機序に限定されない。実際に、本発明のリグノセルロース分解組成物の作用機序の理解は本発明の実施に必須ではなく、本発明は任意の特定の作用機序に限定されない。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物は1つ以上の酵素活性を有している。1つ以上の酵素活性としては、セルラーゼ、キシラナーゼ、エンドキシラナーゼ、エキソキシラナーゼ、βキシロシダーゼ、エンドマンナーゼ、βマンノシダーゼ、βマンナ−ゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸塩リアーゼ、エンドポリガラクツロナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、ラムノヒドロラーゼ、キシロガラクツロナーゼ、αラムノシダーゼ、ラムノガラクツロナンリアーゼ、キシロシダーゼ、アラビノフラノシダーゼ、アラビノフラノヒドロラーゼ、エンドアラビナーゼ、エキソアラビナーゼ、エンドガラクタナーゼ、グルクロニダーゼ、フェルロイルエステラーゼ、p−クマロイルエステラーゼ、ガラクトシダーゼ、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、グルコアミラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、αアミラーゼ、アセチルエステラーゼ、メチルエステラーゼ、リグニンペルオキシダーゼ、および/またはラッカーゼが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物はタンパク質分解性の組成物を含んでいる。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物は核酸のポリメラーゼを含んでいる。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物はリボザイムを含んでいる。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物は有機化合物を含んでいる。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物は無機化合物を含んでいる。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物は1つ以上の活性物質(例えば、浸透圧に作用する物質、発酵の添加剤、および/または抗生物質)を含んでいる。
【0013】
いくつかの実施形態において、本発明は、エタノールを生成する方法を提供する。当該方法は、リグノセルロース分解組成物を用いてエタノール生産性(例えば、リグノセルロース性)の原料の糖化および/または発酵を包含している。当該リグノセルロース分解組成物は、リグノセルロースを分解する微生物の1つ以上およびリグノセルロース性の開始原料を含んでいる。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料の、リグノセルロース性の構成成分はトウモロコシの穂軸である。いくつかの実施形態において、トウモロコシの穂軸は、0〜2%の湿度;2〜4%の湿度;4〜9%の湿度;9〜15%の湿度;15〜25%の湿度;25%を超える湿度を有している。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料はスターチに富んでいる材料を含んでいる。スターチに富んでいる材料は当該技術において公知であり、当該材料としては、穀粒、貯蔵根、塊茎、堅果および果実が挙げられ、より詳細にはトウモロコシ(corn)(トウモロコシ(maize))、コムギ、コメ、カラスムギ、オオムギ、ライムギ、アマランス、ソバ(スペルトコムギ)ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤム、サゴ、およびモロコシの種子、穀粒または粉末が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、スターチに富んでいる材料は、食品、飼料もしくは飲料の製造業または製紙業に由来する残余物または副生成物である。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる構成成分は、組換え生物、形質転換生物、形質移入生物、遺伝子組換え生物、変異体生物、またはそうでなければ遺伝的に改変された生物に由来する。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる構成成分は、加工材料または精製材料(スターチ、デキストラン、グルコースまたはセロビオースが挙げられるが、これらに限定されない)である。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる構成成分はトウモロコシの穀粒を含んでいる。いくつかの実施形態において、トウモロコシの穀粒は米国産の黄粒デント種#2(US#2, yellow dent)(例えば、12%の水分を含んでいる)である。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料はリグノセルロース性の物質およびスターチに富んでいる物質を含んでいる。リグノセルロース性の物質およびスターチに富んでいる物質の割合は、最適な水準のエタノール生成をもたらすために変更され得る。例えば、いくつかの実施形態において、リグノセルロース性の物質の含有量は、エタノール生産性の原料の約1%;1〜5%;5〜10%;10〜20%;50〜75%;75〜100%を包含し得る。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料のリグノセルロース性の物質の含有量は30%である。
【0014】
いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料は糖化の前に過熱処理に供される。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料は、加熱の前に、より小さい粒度のエタノール生産性の原料を生じさせるために、(例えば、本明細書に記載の大きさを低下させる方法(例えば、ハンマーミル、ナイフミル、ボールミル、チッピング装置、製粉機など)を利用して)処理される。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料の粒径は、0.05mm未満、0.05〜0.1mm、0.1〜0.5mm、0.5〜1.0mm、1.0〜2.5mm、2.5〜5.0mm、5.0〜10.0mm、10.0〜25.0mm、25.0〜50mm、50mmを超えるか、または0.05mm未満である。いくつかの実施形態において、ハンマーミルには、ふるい(例えば、#4のふるい(例えば、1.588mmのメッシュの開口))が取りつけられている。いくつかの実施形態において、懸濁物は、エタノール生産性の原料の、液体に対する適切な添加によって形成される。いくつかの実施形態において、懸濁物は、エタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる構成成分を上記液体に最初の添加することによって形成される(例えば、続いてリグノセルロース性の構成成分を添加する)。いくつかの実施形態において、懸濁物は、リグノセルロース性の構成成分を上記液体に最初の添加することによって形成される(例えば、続いてスターチに富んでいる構成成分を添加する)。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる構成成分は、リグノセルロースの構成成分の非存在下において加熱される。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料は処理の前に滅菌される。いくつかの実施形態において、滅菌は加圧滅菌(例えば、121℃)によって達成される。いくつかの実施形態において、滅菌は他の方法によって達成される。当該他の方法としては、γ線照射、電子線照射、マイクロ波照射、乾熱、および可視光照射(例えば、紫外光および赤外光の照射)、無菌ろ過、および/または殺細菌剤および/または殺真菌剤(例えば、固体、液体または気体の形態)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、αアミラーゼがエタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる構成成分に加えられ、続いてαアミラーゼの活性にとって十分な温度においてインキュベーションされる。例えば、いくつかの実施形態において、0.06%のαアミラーゼ(穀物の重量に対して)が粉砕したトウモロコシに加えられ、続いて5分間にわたって85℃まで加熱される。いくつかの実施形態において、加えられるαアミラーゼの量は、基質の乾燥重量に対して、0.001%〜0.02%;0.02%〜0.04%;0.04%〜0.06%;0.06%〜0.1%;0.1%〜5%;5%以上である。いくつかの実施形態において、αアミラーゼが加えられているスターチに富んでいる構成成分の加熱は、例えば1〜2分間;2〜5分間;5〜10分間;10〜20分間;20〜60分間;60分間以上にわたって85℃において、実施される。いくつかの実施形態において、αアミラーゼはSPEZYME XTRA(Genencor, Rochester, NY, USA)である。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料の、リグノセルロース性の構成成分は、エタノール生産性の原料の、アミラーゼ処理したスターチに富んでいる構成成分にゆっくりと加えられる。例えば、いくつかの実施形態において、粉砕したトウモロコシの軸穂は、粉砕したトウモロコシのマッシュ(mash)にゆっくり加えられ、混合物は、例えば20分間にわたって85℃において、加熱される。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料のマッシュは加熱段階の全体を通して強く攪拌される。いくつかの実施形態において、マッシュは、発酵の生物反応器の容器に存在しているSC3ブレードを用いて350rpmにおいて攪拌される。いくつかの実施形態において、マッシュは滅菌される。いくつかの実施形態において、マッシュは20分間にわたって121℃まで加熱され、続いて冷却される。いくつかの実施形態において、さらなるαアミラーゼがマッシュに加えられる。いくつかの実施形態において、0.04%(穀物の重量に対して)がマッシュにさらに加えられる。いくつかの実施形態において、マッシュはαアミラーゼの活性にとって十分な温度においてさらにインキュベートされる。いくつかの実施形態において、マッシュは60分間にわたって85℃において加熱される。いくつかの実施形態において、85℃におけるさらなるインキュベーションが、5〜10分間;10〜20分間;20〜60分間;60〜120分間;120〜360分間;360分間以上にわたって実施される。
【0015】
いくつかの実施形態において、本発明はリグノセルロース性の原料からエタノールを生成する方法を提供する。当該方法は、リグノセルロース分解組成物を用いた、エタノール生産性の原料を含んでいる加熱したマッシュの糖化を包含している。いくつかの実施形態において、糖化するマッシュのリグノセルロース分解組成物の含有量は、0.1〜0.5%;0.5〜1%;1〜5%;5〜10%;10〜20%;50〜75%;または75〜100%である。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物は、糖化するマッシュにおける固形分の約1〜2%、2〜4%、4〜8%、8〜15%またはそれ以上を占める。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物は、糖化するマッシュにおける固形分の約5%を占める。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる構成成分は、糖化するマッシュ内の固形分の約15〜25%、約25〜50%、約50〜70%、70〜90%、またはそれ以上を占める。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる構成成分は、糖化するマッシュ内の固形分の約70%を占める。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料の、リグノセルロース性の構成成分は、糖化するマッシュにおける固形分の約2〜5%、約5〜10%、約10〜20%、約20〜40%、約40〜60%、約60〜80%、またはそれ以上を占める。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の原料の、リグノセルロース性の構成成分は、糖化するマッシュにおける固形分の約25%を占める。いくつかの実施形態において、糖化するマッシュは、固形分の含有量の総計として約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、またはそれ以上を含んでいる。いくつかの実施形態において、糖化するマッシュは、固形分の含有量の総計として約30%を含んでいる。いくつかの実施形態において、糖化するマッシュは各構成成分の添加の間に強く攪拌される。例えば、いくつかの実施形態において、マッシュは発酵の生物反応器の容器に存在しているSC3ブレードを用いて350rpmにおいて攪拌される。
【0016】
いくつかの実施形態において、糖化および発酵は別個の段階として起こる。いくつかの実施形態において、糖化および発酵は同時に(例えば、同じ容器において)起こる。いくつかの実施形態において、エタノールは、エタノール生産性の原料を含んでいるマッシュに対するグルコアミラーゼの添加を介して、エタノール生産性の原料から生成される。いくつかの実施形態において、0.06%のグルコアミラーゼ(エタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる構成成分の重量に対して)は、マッシュに加えられる。いくつかの実施形態において、窒素源は、エタノール生産性の原料を含んでいるマッシュに加えられる。窒素源は当該技術において公知であり、当該窒素源としては、尿素;ペプトン;肉の酵素消化物または加水分解物、カゼイン、脱脂大豆またはゼラチン;トリプトン;硝酸塩およびアンモニアが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、尿素が窒素源として使用される。いくつかの実施形態において、尿素は1g/Lのマッシュの濃度において加えられる。いくつかの実施形態において、糖化されたエタノール生産性の原料を含んでいるマッシュは、播種の方法に限定されることなく、エタノール生産性の物質に播種される。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の微生物としては、Saccharomyces、Zymomonas、Kluyveromyces、Brettanomyces、Pichia、Candida、Escherichia、Klebsiella、Fabospora、Pachysolen、Clostridium、Thermoanaerobacter、Mucor、Chalara、Monilia、Neurospora、Aspergillus、Trichoderma、Paecilomyces、Spirochaeta、Erwinia、Leuconostoc、Streptococcus、Fusarium、Thermus、およびPiromyces属に属する種が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の微生物は、組換え微生物、形質転換微生物、形質移入微生物、遺伝子組換え微生物、変異体微生物、またはそうでなければ遺伝的に改変されている微生物である。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の微生物の2種類以上が使用される。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の微生物は酵母である。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の微生物はSaccharomyces cerevisiaeである。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の微生物は、Saccharomyces cerevisiaeのSUPERSTART(Ethanol Technology, Milwaukee, WI, USA)である。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の微生物は、Saccharomyces cerevisiaeのTHERMOSACC(Ethanol Technology, Milwaukee, WI)である。いくつかの実施形態において、播種は、エタノール生産性の原料1グラムにつき3×10細胞を加えることによって実施される。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の微生物は、活性な乾燥酵母として加えられる。いくつかの実施形態において、活性な乾燥酵母は、1×10細胞/g未満、1×10細胞/g、1〜5×10細胞/g、5〜10×10細胞/g、10〜20×10細胞/g、20〜50×10細胞/g、50×10細胞/gまたはそれ以上の細胞のカウント数を有して加えられる。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の微生物は湿った固形の調製物として加えられる。いくつかの実施形態において、活性な酵母の湿った固形の調製物は、1×10細胞/g、1×10細胞/g、1〜5×10細胞/g、5〜10×10細胞/g、10〜20×10細胞/g、20〜50×10細胞/g、50×10細胞/gまたはそれ以上の細胞のカウント数を有して加えられる。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の微生物の成長力は、発酵に加えられる前に決定されるか、または分かっている。いくつかの実施形態において、成長力は、50%以下、50〜75%、75〜85%、85〜95%、99%以上であり得る。いくつかの実施形態において、インキュベーションはエタノール生産性の微生物によるエタノール生成をもたらすために十分な温度において実施される。
【0017】
いくつかの実施形態において、インキュベーションは、エタノール生産性の微生物によるエタノール生成にとって十分な、温度、O濃度、給気レベル、相対湿度、pHおよび期間において生じる。例えば、いくつかの実施形態において、インキュベーションは、10℃;10〜20℃;20〜40℃;40〜60℃;60〜80℃;80〜120℃またはそれ以上において実施される。いくつかの実施形態において、インキュベーションは34℃において実施される。いくつかの実施形態において、インキュベーション30℃において実施される。いくつかの実施形態において、インキュベーションの期間は、1時間;2時間;5時間;10時間;20時間;1日間;1〜5日間;5〜10日間;10〜20日間;20〜30日間;30〜50日間;50〜100日間;100〜300日間またはそれ以上である。いくつかの実施形態において、インキュベーションは48時間にわたって実施される。いくつかの実施形態において、インキュベーションは72時間にわたって実施される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのさらなる構成成分がマッシュに加えられる。いくつかの実施形態において、糖化および/または発酵を補助する構成成分が加えられる。本発明は、インキュベーションに加えられる糖化および/または発酵を補助する構成成分によって限定されない。実際に、糖化および/または発酵を補助する構成成分が加えられ得、当該構成成分としては、水、緩衝液、栄養培地、界面活性剤(TWEEN-20、TWEEN-80、ポリオキシエチレングリコール、TWEEN-81、Emulgen 147、両性のアンヒトール(anhitole) 20BS、カチオン性のQ-86W、ソホロ脂質、ラムノ脂質およびバシトラシンが挙げられるが、これらに限定されない)、塩、ミネラル、浸透圧に作用する物質、精製されている酵素もしくは未精製の酵素、窒素源、抗生物質(LACTOSIDE(Ethanol Technology, Milwaukee, WI)が挙げられるが、これに限定されない)、および炭素源が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
いくつかの実施形態において、発酵の残余物およびエタノールは、分離され、回収される。分離にとって有用な材料および方法は、当該技術において公知であり。当該材料および方法としては、蒸留技術および分子ふるい技術が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、発酵の残余物は以下の目的に利用される。当該目的としては、動物の飼料の添加物、発熱、発電、合成化学物質の製品のための前駆体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明のリグノセルロース分解組成物は、リグノセルロース性の原料の栄養価の向上に利用される。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物は、少なくとも1つの糸状菌をリグノセルロース性の原料に播種すること、および続いて繊維質の副生成物または残余物を発酵させることを包含している方法によって生成される。ここで、上述のように発酵させることによって、上記副生成物または残余物の乾燥物質の含有量が低下し、上記副生成物または残余物のタンパク質の含有量が増加し、上記副生成物または残余物の脂質の含有量が低下する。本発明は利用される糸状菌の種類によって限定されない。種々の糸状菌が使用され得、当該糸状菌としては、Rhizophus、Aspergillus、Trichodermaおよびこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、本発明は、リグノセルロース性の開始原料、または繊維質の副生成物もしくは残余物の種類によって限定されない。種々のリグノセルロース性の開始原料、または繊維質の副生成物もしくは残余物が利用され得、当該リグノセルロース性の開始原料、または繊維質の副生成物もしくは残余物としては、穀類の蒸留粕、穀類蒸留粕、穀類を蒸留した後の可溶性物質、可溶性物質を有している穀類蒸留粕、穀類加工産業の残余物、ふすま、ダイズの外皮、ビートの果肉、キノア、コメの殻もしくは外皮、バガス、りんご酒の絞りかす、および/またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、発酵させたリグノセルロース性の原料の乾燥物質の含有量が約7%〜約12%まで低下させられるか、および/またはタンパク質の含有量が約40%〜約50%まで増加させられるか、および/または脂質の含有量が約40%〜約50%まで減少させられる。いくつかの実施形態において、繊維(中性デタージェント繊維;NDF)の含有量は、約10%〜約15%まで低下する。当業者は、異なる動物がこれらの栄養物に対して異なる至適要求を有していること、ならびに発酵の時間および条件の変更によって、栄養性の要求にしたがって発酵された最終的な生成物の調整が可能なことを適切に理解する。いくつかの実施形態において、発酵段階は、本明細書に記載のように糸状菌の増殖のための基質として繊維質の副生成物または残余物を用いた、固体発酵として実施される。当該固体発酵にとって好適なさらなる反応器および条件は当該技術において公知である。
【0020】
また、本発明は、食品の原料(例えば、動物の飼料および/または飼料の補助物)を含んでいる組成物、およびそれを生成する方法を提供する。当該食品の原料は、リグノセルロース性の原料の構成成分を含んでいる。例えば、いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1つの糸状菌をリグノセルロース性の原料に播種すること;繊維質の副生成物または残余物を発酵させること;発酵させた副生成物または残余物から少なくとも1つの酵素を分離すること;ならびにリグノセルロース分解組成物および/または分離された酵素を回収する(例えば、動物に与える食品の原料(例えば、動物の飼料および/または補助物)として使用するために)ことを包含している方法を提供する。上述のように発酵させることによって、リグノセルロース性の原料の乾燥物質の含有量を低下させるか、および/またはリグノセルロース性の原料のタンパク質の含有量を増加させるか、および/またはリグノセルロース性の原料の脂質の含有量を低下させる。いくつかの実施形態において、分離された酵素は、動物における消化性を向上させるためにか、および/または食品の原料の栄養価を向上させるために利用される。いくつかの実施形態において、分離されて酵素は、醸造産業および/または蒸留酒産業において(例えば、発酵処理に使用するために)利用される。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のように(例えば、醸造産業または蒸留酒産業の副生成物または残余物を通じて)生成され、分離された酵素は、当該酵素が基質(例えば、リグノセルロース性の原料)を消化するための生物によって特に生成されるように、当該基質(例えば、リグノセルロース性の原料)を包含している醸造発酵または蒸留酒発酵に利用される。いくつかの実施形態において、分離された酵素はプロテアーゼである。
【0021】
また、本発明は、リグノセルロース分解組成物を含んでいる、酵素含有の動物の飼料または飼料の補助物を提供する。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物を含んでいる、酵素含有の動物の飼料または飼料の補助物は、少なくとも1つの糸状菌を食品製造過程の繊維質の副生成物または残余物に播種すること、ならびに繊維質の副生成物または残余物を発酵させることによって生成される。いくつかの実施形態において、播種および発酵によって、副生成物または残余物の乾燥物質の含有量の減少、および/または副生成物または残余物のタンパク質の含有量の増加、および/または副生成物または残余物の脂質の含有量の減少、および/または発酵された副生成物または残余物に対する真菌の酵素の少なくとも1つの導入が生じる。いくつかの実施形態において、飼料または飼料の補助物は動物の栄養摂取に利用される。
【0022】
また、本発明は、酵素に基づく動物の飼料の補助物の栄養学的に有効な量を与えることを包含している、成長期の動物の体重増加率を向上させる方法を提供する。上記補助物は、少なくとも1つ微生物(例えば、少なくとも1つの糸状菌)をリグノセルロース性の原料に播種すること;リグノセルロース性の原料を発酵させること;発酵させた繊維質の副生成物または残余物から少なくとも1つの酵素を分離すること;ならびに好適な担体を含んでいる調合物として脱水した酵素を動物に与えることによって調合されている。繊維質の副生成物もしくは残余物または真菌は本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、飼料または飼料の補助物は、任意の動物(ヒト、トリ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、魚類(piscine)、ラクダ、げっ歯類ならびに魚類(fish)および甲殻類が挙げられるが、これらに限定されない)に対して与えられる。
【0023】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本発明の一実施形態における、リグノセルロース性の原料からエタノールを生成する組織化された生体精製手段にとっての処理を描写しているフローチャートを示している。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態における、播種培養物の播種からトウモロコシのマッシュの発酵の播種までの処理の流れを示している。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態において精製された組成物を用いたエタノール生成を示している。エタノール生成は、ウイスキーまたは燃料エタノールの供給源に由来する可溶性物質を有している穀類蒸留粕(DDGS)において培養されたA. oryzaeの固体発酵(SSF)酵素生成物を補った、SUPERSTART酵母を用いた30℃における、標準的なトウモロコシのマッシュの発酵(500mlの三角フラスコ)の過程の間に定量化された。対照(菱形)、ウイスキーのSSF生成物(四角)、燃料エタノールSSF生成物(三角)。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態において生成された組成物を用いたエタノール生成を示している。2つの別の実験(上部のパネルおよび下部のパネル)から得られたデータを示している。エタノール生成は、可溶性物質を有している穀類蒸留粕(DDGS)(燃料エタノール工場)において培養されたA. oryzaeおよびR. oligosporusの固体発酵(SSF)酵素生成物を補った、SUPERSTART酵母を用いた30℃における、標準的なトウモロコシのマッシュの発酵(500mlの三角フラスコ)の過程の間に定量化された。対照(菱形)、A. oryzaeのSSF生成物(四角)、R. oligosporusのSSF生成物(三角)。
【0027】
図5は、本発明の一実施形態における組成物を用いた固体発酵の前後における乾燥物質の重量の変化を示している。A ウイスキー醸造所のDGGSにおいて培養したRhizopus;B 燃料エタノールのDDGSにおいて培養したRhizopus;C ウイスキー醸造所のDGGSにおいて培養したAspergillus;D 燃料エタノールのDDGSにおいて培養したAspergillus。
【0028】
図6は、本発明の一実施形態における固体発酵のフローチャートを示している。
【0029】
図7は、本発明のいくつかの実施形態における固体発酵生成物(リグノセルロース分解組成物)に関する用途を示している。
【0030】
〔定義〕
本発明の理解を容易にするために、多くの用語が以下に定義づけされている。
【0031】
本明細書に使用されるとき、“前処理”という用語は、原料を使用する(例えば、エタノールの生成に)前に原材料に対して適用される、任意の物理的、化学的または機械的な処理を指す。当該処理としては、酸、塩基、高圧、低圧、蒸気、少なくとも99℃まで加熱されている水、酸化剤、有機溶媒、照射、熱分解、アンモニア繊維爆砕(AFEX)、CO爆砕、オゾン分解、湿式酸化またはこれらの組合せに対する原料のばくろが挙げられるが、これらに限定されない。前処理は、基質または原材料の粒度を低下させるためにのみ実施される機械的な加工を包含していない。当業者は、本発明の方法と適合性を有している、製紙業から生じるリグノセルロース性の材料(例えば、再生紙、製紙用パルプ、および製紙用のスラッジ(sludge))は、発酵のための基質としてのそれらの使用前における加工処理を本質的に受けることを認識する。
【0032】
本明細書に使用されるとき、“リグノセルロース分解組成物”および“リグノセルロース性原料の分解組成物”という用語は、リグノセルロースを分解する微生物の1つ以上の種が播種されている(その後に、例えば本明細書に記載の温度、圧力、Oレベル、給気レベル、相対湿度、pH、および/または期間においてインキュベートされる)リグノセルロース性の開始原料を含んでいる組成物を指す。糖化過程、または同時の糖化過程および発酵過程に加えられると、リグノセルロース分解組成物は、その非存在下においてよりも、リグノセルロース性の原料からの増大したエタノール生成を生じる。本発明のリグノセルロース分解組成物は、任意の特定の作用機序に限定されず、作用機序の理解は、本発明の実施にとって必須ではない。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物は酵素活性を有しており、リグノセルロース分解組成物の酵素活性としては、セルラーゼ、キシラナーゼ、エンドキシラナーゼ、エキソキシラナーゼ、βキシロシダーゼ、エンドマンナーゼ、βマンノシダーゼ、βマンナ−ゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸塩リアーゼ、エンドポリガラクツロナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、ラムノヒドロラーゼ、キシロガラクツロナーゼ、αラムノシダーゼ、ラムノガラクツロナンリアーゼ、キシロシダーゼ、アラビノフラノシダーゼ、アラビノフラノヒドロラーゼ、エンドアラビナーゼ、エキソアラビナーゼ、エンドガラクタナーゼ、グルクロニダーゼ、フェルロイルエステラーゼ、p−クマロイルエステラーゼ、ガラクトシダーゼ、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、グルコアミラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、αアミラーゼ、アセチルエステラーゼ、メチルエステラーゼ、リグニンペルオキシダーゼ、およびラッカーゼが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書に使用されるとき、“開始原料”および“リグノセルロース性の開始原料”という用語は、少なくとも1つのリグノセルロース分解組成物の生成のための基質として使用される材料を指す。
【0034】
本明細書に使用されるとき、“穀類蒸留粕”(DDG)という用語は、蒸留酒産業または醸造産業によって生成される廃棄物材料を指し、(a)アルコール発酵、(b)アルコールを取り除くための発酵させたマッシュの蒸留、(c)粗い粒子を取り除くためのふるい分けおよび圧縮もしくは遠心分離によって、例えば、5〜10%の乾燥物質を含んでいる残りの懸濁物の処理、(d)残りの粒子の乾燥(その後にDDGと呼ばれる)によって製造されている。本明細書に使用されるとき、“可溶性物質を有している穀類蒸留粕”(DDGS)という用語は、蒸留酒産業によって生成される廃棄物材料と定義づけられる。上述の段階(c)において抽出された可溶性の物質が濃縮されて、例えば30〜40%の乾燥物質を含んでいるシロップを形成しており、当該シロップがDDGに戻され、混合物の全体が乾燥されてDDGSを生じる。
【0035】
本明細書に使用されるとき、“エタノール生産性の原料”という用語は、糖化反応および/または発酵反応におけるエタノールの生成のための基質として使用される材料を指す。
【0036】
本明細書に使用されるとき、“リグノセルロース性の構成成分”という用語は、発酵過程のための基質として使用される、スターチに富んでいない材料(ここで、スターチの含有量は乾燥物質に基づいて約60%未満である)を指す。リグノセルロース性の構成成分としては、森林の残余物、製粉所の廃棄物、都市の木材廃棄物、農業の残余物、および生物燃料エネルギーの作物が挙げられるが、これらに限定されない。より詳細には、リグノセルロース性の構成成分としては、トウモロコシの葉、茎、トウモロコシの皮、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの繊維、コムギのわら、ミロの刈り株、スイッチグラス、落葉樹の木材、針葉樹の木材、落葉樹もしくは針葉樹の小片、落葉樹もしくは針葉樹のおが屑、柑橘類の廃棄物、都市の青果物の廃棄物、乾草、麦わら、稲のわら、サトウキビ、サトウキビのバガス、精穀物、穀類の蒸留粕(穀類蒸留粕(DDG)および可溶性物質を有している穀類蒸留粕(DDGS)が挙げられる)、コメの外皮、オオムギのわら、シダレヤナギ属の木、トウヒ、ポプラ、ユーカリ、Brassica carinataの残余物、Antigonum leptopus、モミジバフウ、Miscanthus、Sericea lespedeza、ナンキンハゼ、アサ、アブラナ、Sorghum bicolor、ダイズの葉、ダイズの茎、ダイズの鞘、ダイズの残余物、ヒマワリの葉、ヒマワリの茎、種無しのヒマワリの頭状花、ヒマワリの外皮、ヒマワリの残余物、ダンチク、堅果の殻、落葉樹の葉、綿繊維、肥料植物、海岸のバミューダグラス、クローバー、ジョンソングラス、亜麻、ソバのわら、カラスムギのわら、キビのわら、アマランスのわら、アマランスの茎、アマランスの葉、アマランスの残余物、スペルトコムギのわら、ライムギのわら、アルファルファおよびタケが挙げられるが、これらに限定されない。リグノセルロース性の材料の2種類以上が原料の構成成分として使用され得る。リグノセルロース性の構成成分は、合成材料(植物の細胞壁の1つ以上の構成成分が挙げられる)であり得る。植物の細胞壁の構成成分としては、セルロース、キシログルカン、アラビノキシログルカン、グルクロノアラビノキシラン、キシラン、アラビノキシラン、ポリガラクツロナン、ホモガラクツロノン、ラムノガラクツロノンI、ラムノガラクツロノンII、アピオガラクツロナン、マンナン、カロース、混合結合型グルカン((1→3),(1→4)β−グルカンとしても知られている)、カロース、グルクロマンナン、ヒドロキシプロリンに富んでいる糖タンパク質、アラビノガラクタンタンパク質、グリシンに富んでいるタンパク質、プロリンに富んでいるタンパク質、エクステンシンまたはリグニンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書に使用されるとき、“スターチに富んでいる構成成分”という用語は、スターチに富んでいる発酵のための基質として使用される材料(ここで、スターチの含有量は乾燥物質に基づいて約60%以上である)を指す。スターチに富んでいる材料は当該技術において公知であり、当該材料としては、穀粒、貯蔵根、塊茎、堅果および果実が挙げられるが、これらに限定されない。より詳細には、当該材料は、トウモロコシ(トウモロコシ)、コムギ、コメ、カラスムギ、オオムギ、ライムギ、アマランス、ソバ(スペルトコムギ)ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤム、サゴ、およびモロコシの種子、穀粒または粉末を指す。
【0038】
本明細書に使用されるとき、“リグノセルロースを分解する生物”という用語は、リグノセルロース性の開始原料と組み合わせたときに少なくとも1つのリグノセルロース分解組成物を生成可能な、生物学的作用物またはそれらの誘導体を指す。リグノセルロースを分解する生物としては、微生物(細菌および真菌が挙げられる)が挙げられるが、これに限定されない。当該真菌は、例えば、Saccharomyces、Zymomonas、Kluyveromyces、Brettanomyces、Pichia、Candida、Escherichia、Klebsiella、Fabospora、Pachysolen、Clostridium、Thermoanaerobacter、Mucor、Chalara、Monilia、Neurospora、Aspergillus、Trichoderma、Paecilomyces、Spirochaeta、Erwinia、Leuconostoc、Streptococcus、Fusarium、Thermus、およびPiromyces属に属している真菌である。リグノセルロースを分解する生物の特定の例はとしては、Aspergillus niger(例えば、ATCC 10549株)、Aspergillus oryzae、およびRhizopus oligosporus(例えば、2UV3株)の種が挙げられる。リグノセルロースを分解する生物は、単独にか、または組み合わせて使用され得る。
【0039】
本明細書に使用されるとき、“エタノール生産性の生物”という用語は、エタノール生産性の原料の基質をともなったインキュベーションによって、エタノールを生成可能な生物学的作用物またはそれらの誘導体を指す。エタノール生産性の生物としては、微生物が挙げられるが、これらに限定されない。より詳細には、エタノール生産性の生物としては、細菌および真菌が挙げられるが、これらに限定されない。より詳細には、エタノール生産性の生物としては、Saccharomyces、Zymomonas、Kluyveromyces、Brettanomyces、Pichia、Candida、Escherichia、Klebsiella、Fabospora、Pachysolen、Clostridium、Thermoanaerobacter、Mucor、Chalara、Monilia、Neurospora、Aspergillus、Trichoderma、Paecilomyces、Spirochaeta、Erwinia、Leuconostoc、Streptococcus、Fusarium、Thermus、およびPiromyces属に属する種が挙げられるが、これらに限定されない。より詳細には、エタノール生産性の生物としては、Saccharomyces cerevisiaeが挙げられるが、これらに限定されない。より詳細には、エタノール生産性の生物としては、Saccharomyces cerevisiaeの市販の株SUPERSTARTまたはTHERMOSACC(Ethanol Technology, Milwaukee, WI)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、エタノール生産性の微生物は、組換え微生物、形質転換微生物、形質移入微生物、遺伝子導入微生物、変異体微生物、またはそうでなければ遺伝的に改変された微生物である。いくつかの実施形態において、2種以上のエタノール生産性の微生物が使用される。
【0040】
本明細書に使用されるとき、“培養培地”という用語は、生細胞の培養に使用される任意の物質または調製物を一般的に指す。
【0041】
遺伝子または遺伝子発現について本明細書に使用されるとき、“変異されている”という用語は、遺伝子が野生型の遺伝子ではなく、生物が野生型の遺伝子型および/または表現型を有していないことを意味する。改変された遺伝子、遺伝子型または表現型は、正常な発現が崩壊させられるか、または消失するような、その遺伝子における変異、またはその遺伝子の発現(例えば、転写または転写後の)を制御する遺伝子の変異の結果であり得る。“崩壊させられている遺伝子発現”は、完全な阻害、および野生型の遺伝子発現より下回って低下した遺伝子発現(例えば、漏出変異など)の両方を包含していると意図されている。
【0042】
配列(例えば、タンパク質のアミノ酸配列、遺伝子の核酸配列)を参照して本明細書に使用されるとき、“断片”という用語は、基準配列の任意の量(例えば、アミノ酸配列または核酸配列の0.001%、0.1%、1%、10%、30%、50%、75%、85%、90%、95%、98%、99.999%)を表す。
【0043】
本明細書に使用されるとき、“遺伝的に改変された”という用語は、上方制御(すなわち活性化または刺激(例えば、作用させることまたは増強させることによる))および下方制御(すなわち阻害または抑制(例えば、拮抗すること、低下させることまたは阻止することによる))の両方を指す。“誘導性の”という用語は、恒常的ではなく、刺激(例えば、温度、重金属または他の媒介添加物)に応じて生じる遺伝子発現を特に指す。
【0044】
本明細書に使用されるとき、“核酸”という用語は、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)および適切な場合にリボ核酸(RNA))を指す。また、当該用語は、一本鎖(センスまたはアンチセンス)および二本鎖のポリヌクレオチドである、ヌクレオチド類似物から作られているRNAまたはDNAのいずれかの等価物、ならびに記載されている実施形態に適合可能なものを包含していると理解されるべきである。
【0045】
本明細書に使用されるとき、“形質移入”という用語は、核酸を介した遺伝子移入による受容細胞内への核酸の導入(例えば、発現ベクターを介した)を意味する。本明細書に使用されるとき、“形質転換”は、外来性のDNAまたはRNAの細胞の取り込みの結果として細胞の遺伝子型が変化する過程を指す。
【0046】
本明細書に使用されるとき、“導入遺伝子”という用語は、細胞に導入されている核酸(例えば、植物の細胞壁の多糖を分解する酵素、またはそれらに対するアンチセンス転写物をコードしている遺伝子)を意味する。導入遺伝子は、それが導入されている遺伝子導入動物または遺伝子導入細胞にとって部分的もしくは全体的に異種(すなわち外来性)であり得るか、またはそれが導入されている生体もしくは細胞の外来遺伝子と相同であり得るが、それが挿入されている細胞のゲノムを改変するように動物もしくは細胞に挿入されるように設計されているか、または挿入されている。また、導入遺伝子はエピソームの形態において細胞に存在し得る。
【0047】
本明細書に使用されるとき、“ベクター”という用語は、それが連結されている他の核酸を輸送可能な核酸分子を指す。それらが作動可能に連結されている遺伝子の発現を導き得るベクターは、本明細書において“発現ベクター”と呼ばれる。本明細書に使用されるとき、“発現ベクター”は、mRNAが転写され得るか、および/またはmRNAが、タンパク質、他の構造的なRNA、または他の細胞性の構成成分に翻訳され得るという条件に基づく発現ベクターを指す。発現系は、市販のインビボ発現系、もしくは公知技術にしたがって容易に作製されるインビボ発現系、または発現ベクターを含んでいる真核細胞もしくは原核細胞といったインビボ発現系であり得る。一般的に、組換えDNA技術に有用な発現ベクターは、それらのベクターの形態において染色体と結合しない環状の二本鎖DNAのループを一般的に指す“プラスミド”の形態であることが多い。本明細書において、“プラスミド”および“ベクター”は、プラスミドはベクターの形態として最も一般的に使用されるので、交換可能に使用される。しかし、本発明は、等価な機能を果たし、かつ当該技術において公知であるか、またはこの点に関してこれから知られるようになる、他の形態の発現ベクター(例えば、コスミドベクター、ファージミドベクターおよびバクテリオファージベクター)を包含すると意図されている。
【0048】
〔発明を実施するための形態〕
研究者および産業界が投資に対する最も大きな収益の見込みを有している再生可能な燃料を生成に向けて尽力しているため、エタノール産業は発展し続けている。注目に値する研究が集中している一領域は、向上した発酵効率のための組成物の適用および開発である。ほとんどの製造業者は、液中発酵(SmF)技術を用いた、酵素を含んでいる組成物を製造している(例えば、Villas-Boas et al. (2002) Animal Feed Sci. Technol. 98, 1-12を参照すればよい)。しかし、徐々に重要になってきている代替的な方法は、固体発酵(SSF)である(例えば、Krishna (2005) Crit. Rev. Biotechnol. 25:1-30; Lonsane et al (1992) Exoenzymes, In: Solid Substrate Cultivation, Mitchell et al., Eds., Elsevier Applied Science, London, pp. 191-209; Pandey et al. (2001) Solid-state fermentation in biotechnology: Fundamentals and applications, Asiatech Publishers, New Delhi, India, p. 221を参照すればよい)。
【0049】
SSFは、最小の水を用いるか、または水を用いない不溶性の基質における微生物の培養として特徴付けられ得る(例えば、Mitchell et al (1992) Definition, characteristics, and potential, In: Solid Substrate Cultivation, Rolz, Ed., Elsevier Applied Science, London, UK, pp. 1-16; Mitchell et al (2006) Solid-state fermentation bioreactors: Fundamentals of design and operation, Springer, Berlin, Germany; Villas-Boas et al. (2002) Animal Feed Sci. Technol. 98:1-12を参照すればよい)。多くの細菌および真菌は固体基質の上において増殖可能である。しかし、これらの生物のうち、糸状菌は、それらの生理学的な特性のために、これらの過程にとって最も適合している(例えば、Mitchell (1992) Microbial basis of process, In: Solid Substrate Cultivation, Rolz, Ed., Elsevier Applied Science, London, UK, pp 17-28を参照すればよい)。SSFは、数世紀にわたって食品および飲料(例えば、醤油、酒およびテンペ)の製造のためにアジアにおいて広く利用されている(例えば、Mudgett (1986) Solid-state fermentations, In: Manual of Industrial Microbiology and Biotechnology, Demain et al., Eds., American Society for Microbiology, Washington, DC, pp. 66-83; Padmaja et al. (1999) Oriental fermented foods, In: Biotechnology: Food Fermentation, Microbiology, Biochemistry and Technology, Joshi et al., Eds., Educational Publishers and Distributers, New Delhi, India, pp. 523-582を参照すればよい)。
【0050】
本発明は、リグノセルロース性の材料の発酵性糖、およびそれらから生成される製品(例えば、エタノール、食品の原料など)への転換のための組成物および方法に関する。特に、本発明は、リグノセルロース分解組成物およびそれを使用する方法を提供する。ここで、上記リグノセルロース分解組成物は、例えば、リグノセルロース性の開始原料をともなった微生物の、固体発酵の形態におけるインキュベーションを介して生成される。またここで、当該方法において、上記リグノセルロース分解組成物は、例えば、糖化段階および/または加水分解段階(例えば、エタノール生産性の原料に対する)において使用され、食品、または飼料の添加物として使用される。
【0051】
したがって、本発明は、リグノセルロース分解組成物を利用して、化学的もしくは物理的な強い処理を行わずに、リグノセルロース性の原料を発酵性の炭水化物に糖化する方法、およびそれを用いて生成される組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、エタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる構成成分から得られる発酵性糖の存在下における、リグノセルロース性の分解生成物の転換が可能な発酵過程を可能にする。使用されるリグノセルロース分解組成物は、固体発酵過程、湿度の低い固相のリグノセルロース性の開始原料、および特に選択される微生物の株を用いて生成される。本発明の一実施形態の開発中に実施された実験において、糸状菌がリグノセルロースを分解する微生物として使用された(実施例1および2を参照)。いくつかの実施形態において、Aspergillus nigerの選択された株が使用された。本発明は、低水準(1〜10%)のリグノセルロース分解組成物、エタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる粉砕した構成成分、および1つ以上のエタノール生産性の微生物の存在下における、エタノール生産性の原料からのエタノールの生成のための発酵過程を提供する。本発明の一実施形態の開発中に実施された実験において、エタノール生産性の原料の、スターチに富んでいる構成成分は粉砕したトウモロコシであり、エタノール生産性の微生物はSaccharomyces cerevisiaeの株から選択された。本発明は任意の作用機序に限定されず、作用機序の理解は本発明の実施に必須ではない。エタノール生産性の原料のリグノセルロース性の構成要素およびスターチに富んでいる構成要素の割合を制御すること、ならびに固体発酵から得られるリグノセルロース分解組成物の添加を制御することによって、リグニンに由来するフェノール性の化合物の阻害作用は最小化されている。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、エタノールおよび他の産物(動物の飼料および飼料の補助物としての用途のある組成物が挙げられる)への、種々の異なる繊維質の原料の転換に使用され得る。繊維質の原料としては、森林の残余物、製粉所の廃棄物、都市の木材の廃棄物、農業の残余物および生物得寝る儀の作物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、繊維質の原料としては天然のリグノセルロース性の材料が挙げられる。当該材料としては、トウモロコシの葉、茎、トウモロコシの皮、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの繊維、コムギのわら、ミロの刈り株、スイッチグラス、落葉樹の木材、針葉樹の木材、落葉樹もしくは針葉樹の小片、落葉樹もしくは針葉樹のおが屑、柑橘類の廃棄物、都市の青果物の廃棄物もしくは残余物、食品製造業の廃棄物もしくは残余物、穀類の製造の廃棄物もしくは残余物、乾草、麦わら、稲のわら、サトウキビ、サトウキビのバガス、精穀物、コメの外皮、オオムギのわら、シダレヤナギ属の木、トウヒ、ポプラ、ユーカリ、Brassica carinataの残余物、Antigonum leptopus、モミジバフウ、Miscanthus、Sericea lespedeza、ナンキンハゼ、アサ、アブラナ、Sorghum bicolor、ダイズの葉、ダイズの茎、ダイズの鞘、ダイズの残余物、ヒマワリの葉、ヒマワリの茎、種無しのヒマワリの頭状花、ヒマワリの外皮、ヒマワリの残余物、ダンチク、堅果の殻、落葉樹の葉、綿繊維、肥料植物、海岸のバミューダグラス、クローバー、ジョンソングラス、亜麻、ソバのわら、カラスムギのわら、キビのわら、アマランスのわら、アマランスの茎、アマランスの葉、アマランスの残余物、スペルトコムギのわら、ライムギのわら、アルファルファおよびタケが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本発明のリグノセルロース分解組成物は、本明細書に記載の種々の原料および栄養調製物において生成される。固体発酵システムは、糖化段階および発酵段階に使用される特異的な基質に応じて作製されるリグノセルロース分解組成物を可能にする、異なる原料の使用に適合されている。
【0054】
種々の真菌の株は、固体発酵システムにおけるリグノセルロース分解組成物の製造に適合されている。異なる株の真菌は、異なるリグノセルロース分解組成物をもたらし、エタノールの収率を向上させるための本発明の組成物および方法に適用される。いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物(例えば、本明細書に記載の固体発酵過程を介して生成される)は、繊維質の植物材料の、発酵性糖への転換のために、独立して利用される。
【0055】
いくつかの実施形態において、リグノセルロース分解組成物(例えば、本明細書に記載の固体発酵過程を介して生成される)は、他のリグノセルロース分解物質および/または他の活性物質(例えば、緩衝液、栄養培地、界面活性剤、塩、抗生物質、ミネラル、浸透圧に作用する活性物質、精製されている酵素もしくは未精製の酵素、窒素源、および/または炭素源)とともに利用される。上記界面活性剤としては、TWEEN-20、TWEEN-80、ポリオキシエチレングリコール、TWEEN-81、Emulgen 147、両性のアンヒトール 20BS、カチオン性のQ-86W、ソホロ脂質、ラムノ脂質およびバシトラシンが挙げられるが、これらに限定されない。上記抗生物質としては、LACTOSIDE抗生物質(Ethanol Technology, Milwaukee, WI)が挙げられるが、これに限定されない。
【0056】
いくつかの実施形態において、本発明は、少なくとも1つのエタノール生産性の活動的な微生物の活性を利用するエタノール発酵の方法を提供する。本発明の一実施形態の開発中に実施した実験において、Saccharomyces cerevisiaeは、トウモロコシ/トウモロコシの軸穂のマッシュにおける発酵性糖をエタノールに転換するために使用された。本明細書に記載されている他の酵母の株または種は、この過程において等しく有用であり、増大したエタノールの生成効率を実現し得る。
【0057】
また、特定の基質を代謝する酵素を製造することを超えて、真菌は、それらが培養される材料の栄養特性を変える能力を有している。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の組成物および方法は、動物飼料の産業における用途を有している。例えば、本明細書に記載されているリグノセルロース性の原料のSSFによってもたらされる組成物および方法は、農業生産物および飼料用途(例えば、家畜の栄養要求をより効率的に満たすための)にとっての食品の原料を提供する(例えば、食品添加物および/または補助物)。
【0058】
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態および局面を実証し、さらに例示するために設けられており、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0059】
(実施例1:可溶性物質を有している穀類蒸留粕(DDGS)基質上において培養された固体発酵生成物)
材料および方法
生物体:
Aspergillus OryzaeおよびPhizopus oligosporusの菌株を固体発酵に使用した。両方の菌株は、一般に安全と認められる(Generally Regarded As Safe)(GRAS)と指定されている。必要になるまで、Difico Potato Dextrose Agarスロープ(slopes)上において菌株を4℃に保存した。
【0060】
トウモロコシのマッシュの発酵に使用された2つの酵母株は、Saccharomyces cerevisiaeの市販の菌株であった。SUPERSTART(Ethanol Technology、Milwaukee、WI、USA)は、85%の生存度の20×10細胞/gの細胞数を有している、活性な乾燥酵母(ADY)調製物であった。THERMOSACC(Ethanol Technology、Milwaukee、WI、USA)は、90%の生存度の15×10細胞/gの細胞数を有している、湿っている固形の調製物であった。
【0061】
トウモロコシのマッシュの発酵に対する酵母の添加:
マッシュに酵母を加えて、マッシュの最終的な濃度を30×10酵母生細胞/gにした。
【0062】
DDGSの原料:
DDGSは2つの民間の企業から供給された。Canadian Mist(Collingwood Ontario, Canada)は、ウイスキーの製造過程に由来するDDGSを供給していた。Commonwealth Agri-Energy(Hopkinsville, Kentucky, USA)は、燃料エタノールの製造過程に由来するDDGSを供給していた。Canadian Mistは、それらの発酵過程のために、トウモロコシおよびオオムギの麦芽の組合せを使用している。Commonwealth Agri-Energyは、100%の黄流種 #2のトウモロコシを使用している。
【0063】
種菌培養物の調製:
真菌増殖用の培地は、コーンスターチ(6.0%w/v)(PulpTex 12608, Cargill, Cedar Rapids, Iowa);BACTOペプトン(1.8%w/v)(Difco);デキストロース(0.50%w/v);酵母抽出物(0.50%w/v)(LP0021, Oxoid, Ltd., Basingstoke, Hampshire, England);MgSO・7HO(1.5%w/v);KCl(0.10%w/v);KHPO(0.10%w/v);脱イオン化HOを含んでいた。スターチがゼラチン化するまで、各成分を500mLの三角フラスコにおいて加熱した。
【0064】
真菌培養物を含んでいるストックPDAスロープの内容物を用いて冷却した培地に播種し、72時間にわたって200rpm、30℃において浸透しながらフラスコをインキュベートした。
【0065】
この液体の播種培養物を滅菌の脱イオン化水によって1:4希釈したものを、DDGSにとって種菌として使用した。
【0066】
DDGSの調製および発酵:
10gのDDGSが入っている三角フラスコ(500mL)を30分間にわたって105℃において高圧滅菌し、室温まで冷却した。Aspergillus OryzaeおよびPhizopus oligosporusの液体の播種培養物からのそれぞれ4mLおよび6mLの液体の種菌を各フラスコに播種し、各フラスコを十分に混合し、最大で120時間にわたって、30℃および90%の相対湿度のインキュベータに収納した。
【0067】
DDGS生成物の研究室における保存:
研究室における長期の保存の容易さおよび実験の両者において一貫して、DDGSを発酵させた生成物をトウモロコシのマッシュの発酵に対する湿潤な添加物として使用し得るが、フラスコの内容物を凍結乾燥した(Freezemobile 25 ES, VirTis, SP Industries, Inc., Gardiner, NY, USA)。
【0068】
トウモロコシのマッシュの調製:
発酵の基質は、30%(w/v)の溶解した固体を含んでいる液化したトウモロコシのマッシュであった。一貫性を維持するために、大量の市販のトウモロコシを、購入し、10kgごとに分け、気密ホイルの袋に密閉し、必要になるまで室温において箱の中に保存した。発酵の前に、#4のふるい(1.588mmのメッシュの開口)が取りつけられているハンマーミルを用いて、トウモロコシを粉砕した。
【0069】
マッシュを調製するために、粉末のトウモロコシを水にゆっくりと加え、60℃に加熱した。加熱段階の間に、ホモジナイザー(Silverson Machines, Inc.、East Longmeadow、MA、USA)を用いて懸濁液を絶え間なく攪拌した。トウモロコシの添加に続いて、αアミラーゼ(SPEZYME XTRA, Genencor, Rochester, NY, USA)(固形物の0.06重量%)を加えて、粘度を低下させ、かつスターチの逆行を防止した。懸濁液を、85℃まで加熱し、20分間にわたる121℃における高圧滅菌のまえに、20分間にわたってこの温度に維持した。高圧滅菌の後に、マッシュを85℃まで冷却し、残りのαアミラーゼ(固形物の0.04重量%)を加えた。マッシュを、絶え間なく攪拌しながら、1時間にわたってこの温度において維持し、それから放置して30℃まで冷却させた。高圧滅菌の間に失った水を、滅菌水を用いて戻した。抗菌性の製品LACTOSIDE(Ethanol Technology、Milwaukee、WI、USA)を加えて(5μg/mL)、細菌の増殖を制御し、実験における一貫性を確保した。0.016%(w/w)の尿素(Ulrich Chemical、Galveston、Texas)を付加的な窒素源として加えた。グルコアミラーゼ(Distillase L-400 Genencor International、Rochester、New York)(固形物の0.06重量%)を加えて、トウモロコシのマッシュ基質を糖化させた。
【0070】
SUPERSTART酵母を用いた発酵、ならびにウイスキーまたは燃料エタノールの設備からもたらされるDDGSに対するAspergillus oryzaeを用いて生成したSSF生成物の添加のために、200gのマッシュが入っている三角フラスコ(500mLの大きさ)の3組を準備した。
【0071】
THERMOSACC酵母を用いた発酵、ならびにウイスキーまたは燃料エタノールの設備からもたらされるDDGSに対するAspergillus oryzaeおよびRhizopus oligosporusを用いて生成したSSF生成物の添加のために、1000gのマッシュが入っているBellcoのビン(4Lの大きさ)の2組を準備した。THERMOSACC酵母は、より熱耐性の株であると報告されている(例えば、参照によって本明細書に援用されるGraves, Yeast and corn mash fermentation, Ph.D. Thesis, Heriot-Watt University, Scotland, 2007を参照すればよい)。
【0072】
プロテアーゼ活性に関する凍結乾燥した生成物の標準化。標準的なHUT法を用いて、乾燥したSSF生成物を、pH4におけるプロテアーゼ活性について分析した(例えば、参照によって本明細書に援用されるFood Chemicals Codex, 4th ed., 1996, National Academy Press, Washington, D.C., pp. 812-813を参照すればよい)。
【0073】
トウモロコシのマッシュの発酵に対するSSF生成物の添加:
等価なプロテアーゼ活性に基づいて、凍結乾燥したSSF生成物の添加物を加えた。ウイスキーの原料に由来するDDGSを用いて生成されたAspergillus oryzae由来のSSF生成物を0.01%(w/w)加え、燃料エタノールの原料に由来するDDGSを用いて生成されたSSF生成物を0.02%(w/w)加えた。エタノール燃料の原料に由来するDDGSを用いて生成されたRhizopus oligosporus由来のSSF生成物を0.07%(w/w)加えた。図2は、研究室規模の処理の流れを示している。
【0074】
トウモロコシのマッシュの試料採取、およびHPLC分析:
炭水化物(デキストリン、マルトトリオース、マルトースおよびグルコース)、エタノール、ならびに乳酸および酢酸について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、発酵サンプル(8mL)を分析した。分析の前に、回収したサンプルを遠心分離し(4000rpm、15分間)、上清を適切に希釈し、ろ過した(0.2μmのフィルタ)。サンプルまたは標準溶液(20μL)を、屈折率の検出計(Waters Chromatographic Division、Milford、MA)につなげられているBio-Rad HPX-87H Aminexのイオン排除カラムに注入した。カラムを65℃において操作し、硫酸(2mM)を、0.6mL/分の流速において移動相として使用した。Millennium Software(Waters Chromatographic Division)によって、データを処理した。
【0075】
結果:
SSF生成物の添加によって、SSF生成物が加えられていない対照と比較して、72時間におけるエタノールの有意に増大した収率(P<0.001)が生じた。ウイスキーのDDGSの酵素生成物が入っている振とうフラスコを用いて72時間後に生成された最大のエタノールは、14.41%(v/v)であった。燃料のDDGSの酵素生成物が入っている振とうフラスコを用いて72時間後に生成された最大のエタノールは、14.75%(v/v)であった。対照は72時間において13.20%(v/v)の最大値を示した。図3は、ウイスキー醸造所由来の発酵させたDDGSを使用した場合に、燃料エタノール原料由来のDDGSと比較して、大きな差異が認められなかったことを示している。エタノールの向上した収率は、対照のパーセンテージとして表したとき、それぞれ11.7%および9.2%であった。
【0076】
酢酸、乳酸、およびグリセロールのレベルについての発酵のHPLC分析は、表1に示されている。乳酸および酢酸のレベルは低く、発酵には細菌が混入していなかったことが確認された。また、発酵について顕微鏡分析を行った。これらの観察によって、抗生剤製品LACTOSIDE(Ethanol Technology、Milwaukee、Wisconsin、USA)が実験間における一貫性を確保するための細菌の増殖の制御に有効であることが分かる。グリセロールのレベルは、この種の発酵にとって通常の範囲であった(例えば、参照によってその全体が援用される、Russell, Understanding yeast fundamentals, In: The Alcohol Textbook, Jacques et al., eds., Nottingham University Press, Nottingham, UK, pp. 85-119を参照すればよい)。
【0077】
【表1】

【0078】
発酵期間の全体にわたる残余のグルコースについて調べることによって、発酵の対照においては72時間においてさえ、2.05%(w/v)のレベルの利用可能なグルコースが存在することが認められた(表2を参照)。これは、DDGS生成物が添加されているフラスコと比べて、72時間における対照に認められるより低いエタノールと一致している。
【0079】
【表2】

【0080】
48時間までに存在している残余のマルトースはわずかであり(表3を参照)、6時間から18時間におけるマルトースの増加は、より大きなスターチ分子ならびにマルトテトラオースおよびマルトトリオースといった分子の、グルコースおよびマルトースへの加水分解がまだ生じていることを示している。
【0081】
【表3】

【0082】
マッシュに加えられた種々の酵素の作用によって、マルトトリオースは、6時間においていまだにマッシュに蓄積していたが、18時間まで存在しているマルトトリオースの量は1%未満であった(表4)。
【0083】
【表4】

【0084】
本発明は任意の機序に限定されず、機序の理解は本発明の実施に必須ではない。18時間において存在しているマルトースの量がいまだに5〜6%の範囲にあったため、マッシュからのこの糖の消失のほとんどを担っているのは、酵母がマルトースを取り込むことではなく、マルトトリオースをより小さい単位(例えば、グルコースおよびマルトース)に加水分解する、マッシュにおけるアミラーゼの作用であると考えられた。48時間までにマルトースは0.3%(w/v)未満になった。
【0085】
マッシュの高い粘度によって、酵母を播種する前にマッシュに存在しているデキストリンの、整合性のある正確な測定が妨げられた。6時間のマッシュにおいて、粘性のある再生性のデキストリンの多くは認められ得なかった。
【0086】
表5は、添加したSSF酵素生成物をともなっている発酵が6時間においてより少ないデキストリンの材料を含んでおり、72時間において、対照により多くのデキストリン材料がいまだに存在していることを示しており、これは、SSF生成物における酵素が、酵母に利用されるさらなる炭水化物を放出していることを表している。
【0087】
【表5】

【0088】
より大きな規模(4LのBellcoの発酵槽)において、THERMOSACC酵母を用いて実験を実施した。エタノール生成に関するSSF生成物の添加の作用はさらに大きく、結果は独立した発酵の全体において再現可能であった(図4Aおよび4B)。図4Aおよび4Bは、新たに調製されたトウモロコシのマッシュを用いて異なるときに実施された繰返しの発酵を実施した実験を示している。
【0089】
72時間における最も高いエタノールの値は、R. oligosporusの生成物をともなって認められ、1回目および2回目の試験からそれぞれ得られた17.86%(v/v)および18.06%(v/v)であった。A. oryzaeの生成物の添加は、1回目および2回目の試験からそれぞれ得られた16.84%(v/v)および16.90%(v/v)のエタノールの収率を示した。対照の発酵は、1回目および2回目の試験からそれぞれについて、13.98%(v/v)および13.69%(v/v)のエタノールを含んでいた。結果は、対照とSSFの生成物を添加した両方の試験に関する発酵との間において、統計的に有意であった(P=0.001およびP=0.007)。図4Aは、対照と比べて、31.92%および23.44%のエタノールの増加を示している。
【0090】
また、トウモロコシのマッシュのHPLC分析を、Bellco容器における発酵に対して実施した。異なる株の酵母がこれらの実験に使用されたが、糖の加水分解および酵母による糖の取り込みについて上述したように振とうフラスコにおいて認められたものと、傾向が非常に類似していた。表6〜9は、1回目の試験に関する残余のグルコース、マルトース、およびマルトトリオースおよびデキストリンを示している。これまでと同様に、LACTSIDEが発酵に加えられ、非常に低い乳酸および酢酸の値によって、再び最小の混入を示した。
【0091】
【表6】

【0092】
【表7】

【0093】
【表8】

【0094】
【表9】

【0095】
トウモロコシが含んでいる遊離アミノ窒素(FAN)の総量は相対的な低いレベルなので、いくつかの実施形態において、過程を最適化するための窒素源(例えば、尿素または硫酸アンモニウム)が、エタノールを生成するための発酵に補われた(例えば、参照によってその全体が本明細書に援用される、Russell, Understanding yeast fundamentals, In: The Alcohol Textbook, Jacques et al., eds., Nottingham University Press, Nottingham, UK, pp. 85-119を参照すればよい)。尿素の添加は、ウレタンの形成に対する懸念のために、非飲料の用途に一般的に限定されている。潜在的な発がん性物質であるウレタンは、尿素がエタノールと反応すると形成される。
【0096】
いくつかの実施形態において、アミノ窒素の形態においてさらなる窒素を酵母に供給する他の方法は、発酵の系にプロテアーゼを添加することであった。プロテアーゼは、トウモロコシのマッシュに存在するタンパク質の加水分解を増進させる。タンパク質分解性の酵素は、乾式粉砕処理(例えば、Lanteroらの1993における米国特許第5,231,017号を参照すればよい)、E-Mill処理(例えば、Singh et al., 2005, Cereal Chem., 82, 187-190を参照すればよい)におけるエタノールの収量を向上させること、およびトウモロコシの加水分解物におけるFANの量を増大させること(Perez-Carrillo et al, 2007, Cereal Chem., 84, 607-613)が示されている。
【0097】
窒素源の構造的な複雑さは、酵母の増殖およびエタノールの収率に対する作用を有している。より複雑な窒素源(例えば、ペプトン)は、硫酸アンモニウムと比べて、生物資源のより高い蓄積およびエタノールのより高い産生について証明されている(例えば、de Cruz et al., 2002, J Instit. Brewing, 108, 54-61を参照すればよい)。
【0098】
補助的な窒素源またはタンパク質分解性の酵素の最適な含有量は、多くの要素(例えば、特定の酵母株、および補助物の特定の度合いの投入に対する見返りの経済性)に依存する。本明細書に記載の発酵について、北アメリカにおける燃料エタノール工場の多くによって使用されている平均の程度である、0.016%(w/v)の尿素の含有量は、JonesおよびIngledewによって述べられている最大の程度よりもかなり低い(例えば、Jones et al., 1994, Process Biochem., 25, 483-488を参照すればよい)。したがって、本発明は任意の特定の作用機序に限定されず、機序の理解は本発明の実施に必須ではない。本発明は、プロテアーゼの酵素活性を有しているSSF生成物の添加にともなって認められる影響が、発酵の間に利用可能なアミノ窒素の量を部分的に増大させることに寄与していることを示している。さらに、トウモロコシのタンパク質画分の消化は、そうでなければ酵母には利用できない、タンパク質に結合されている発酵性のさらなる糖を遊離させる。
【0099】
プロテアーゼは、この特定の一連の研究にとって興味深い主要な酵素であり、SSF生成物の添加の主な利点の1つは、酵素生成物が多くの異なる酵素(例えば、本明細書に記載の酵素)を含有していることである。当該酵素は、所定の基質(例えば、セルロース)を分解するために共同して機能して、酵母とって利用可能なさらなる糖を作る活性を有している。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、グルコースおよび発酵性の他の糖への、多糖およびオリゴ糖のさらなる消化がより高いエタノール濃度に寄与することをもたらす。いくつかの実施形態において、さらなるでんぷん分解酵素および繊維分解性の酵素の存在は、例え低水準であっても、観察されるエタノール生成の増大に寄与する。したがって、本発明は、SSF酵素生成物の添加が、エタノールの収率を向上させることによって、大きな価値を発酵に与えることをもたらす。
【0100】
(実施例2:固体発酵による穀類の蒸留粕の栄養学的な改良)
材料および方法:
Rhizopus oligosporusおよびAspergillus oryzaeの株をDDGSの発酵に使用した。採用されたすべての微生物は、一般に安全と認められ(GRAS)、動物の飼料の用途に好適である。ウイスキー醸造所のCanadian Mist(Collingwood、Ontario、Canada)、およびDDGSの燃料エタノール源(Commonwealth Agri-Energy、Hopkinsville、Kentucky、USA)からDDGSを入手した。Canadian Mistは、それらの発酵過程のためのトウモロコシおよびオオムギ麦芽の適切な混合物を使用した。Commonwealth Agri-Energyは、100%の黄流種 #2のトウモロコシを使用した。
【0101】
播種培養物および種菌の調製:
真菌増殖用の培地は、コーンスターチ(6.0%w/v)(PulpTex 12608、Cargill、Cedar Rapids、Iowa);Bactoペプトン(1.8%w/v)(Difco);デキストロース(0.50%w/v);酵母抽出物(0.50%w/v)(LP0021、Oxoid, Ltd., Basingstoke、Hampshire、England);MgSO・7HO(1.5%w/v);KCl(0.10%w/v);KHPO(0.10%w/v);脱イオン化HOを含んでいた。スターチがゼラチン化するまで、各成分を500mLの三角フラスコにおいて加熱した。
【0102】
固体発酵に使用された同じ供給源からのDDGS(2.0%w/v)を加え、フラスコを20分間にわたって121℃において加圧滅菌した。
【0103】
適用可能な酵母培養物を含んでいるストックPDAスロープの内容物を用いて冷却した培地に播種し、フラスコを72時間にわたって200rpm、30℃において振とうしながらインキュベートした。
【0104】
この液体の播種培養物を滅菌の脱イオン化水によって1:4希釈したものを、DDGSにとって種菌として使用した。
【0105】
発酵:
20gのDDGSが入っている三角フラスコ(500mL)を30分間にわたって105℃において高圧滅菌し、室温まで冷却した。Aspergillus OryzaeおよびPhizopus oligosporusの液体の播種培養物からのそれぞれ4mLおよび6mLの液体の種菌を各フラスコに播種し、各フラスコを十分に混合した。0時間に対応するフラスコを取り除けておき、残りのフラスコを最大で120時間にわたって、30℃および90%の相対湿度のインキュベータに収納した。
【0106】
DDGS生成物の研究室における保存:
分析が完了するまで、研究室における保存についての一貫性のために、すべてのフラスコの内容物を凍結乾燥した(Freezemobile 25 ES, VirTis, SP Industries, Inc., Gardiner, NY, USA)。
【0107】
分析
物質の乾燥重量:
凍結乾燥の後に発酵の前後におけるサンプルの重量を測定し、サンプルにおける湿度を湿度分析計(Denver Instruments IR-200, Denver, CO, USA)を用いて測定した。発酵前(0時間)のサンプルについての物質の乾燥重量を100%として設定し、これを比較の基準として使用した。すべての分析について乾燥物質の基準に対して記録した。
【0108】
発酵の前後におけるサンプルを近成分析(天然のタンパク質、中性デタージェント繊維(NDF)、酸性デタージェント繊維(ADF)、灰分、および脂質の分析)のためにMidwest Laboratories, Inc.(Omaha, NE)に送った。
【0109】
結果:
発酵の間の観察および分析結果は、DDGSが固体発酵を実施可能な基質であることを示している。視覚的には、微生物は、基質の全体にわたる密な真菌のマットを形成している白色の菌糸体をともなってDDGSを覆っていた。分析的には、生物が乾燥物質の消失によって基質を代謝したことが明らかであった。発酵のための物質の乾燥重量の消失は、図5に示されている。
【0110】
多くの生物資源が発酵後に存在していたが、基質からの微生物の分離にともなう問題のために、固体発酵における生物資源の直接的な測定は非常に困難である(例えば、参照によって本明細書に援用される、Mitchell, 1992, Biomass determination in solid-state cultivation, In: Solid Substrate Cultivation, Mitchell et al., eds., Elsevier Applied Science, London, UK, pp. 53-63を参照すればよい)。したがって、発酵の間に起こったことをより理解するためには、動物の食料を性質決定するために一般的に使用される近成分析を、発酵の前後において実施した。
【0111】
DDGSの栄養学的な特徴の変化は、タンパク質が動物の飼料において最も高価な栄養素の1つであるため、天然のタンパク質について特に注目に値する(例えば、Belyea et al., 2004, Bioresource Tech., 94, 293-298を参照すればよい)。天然のタンパク質は、飼料産業および規制当局によって使用される飼料の総タンパク質含有量の推定値である。天然のタンパク質は、アミノ酸および非タンパク質窒素を含有している純タンパク質を含んでいる。したがって、天然のタンパク質は、飼料サンプルにおけるタンパク質の品質または有用性についての情報をもたらさない。すべての発酵についての天然のタンパク質の増加(表10に示されているようにそれぞれ16.0%、12.6%、17.4%および13.2%)は、乾燥物質の消失に寄与している。
【0112】
【表10】

【0113】
固体発酵の前後におけるサンプルに対する灰分の分析によって、観察される灰分の存在量に変化がないことが示された。発酵の間における消費されるのは、熱およびCOのみである(図6を参照)。
【0114】
しかし、この傾向はすべての栄養価について認められた訳ではなかった。栄養学的な特徴の変化は、DDGSにおける構成成分を代謝する酵母の能力への洞察をもたらす。腐生の糸状菌は炭素および窒素を増殖に必要とする。二酸化炭素の形態における炭素の消失は、トリカルボン酸(TCA)サイクルを介して生物が接触可能な炭素源をエネルギーに転換した結果である。トウモロコシ由来の発酵性糖をエタノールに転換した後に、DDGSにおいて微生物にとって利用可能な主な炭素源は、脂質(トリグリセリド)、セルロース、およびヘミセルロースである。
【0115】
中性デタージェント繊維(NDF)は、植物の細胞壁成分(セルロース、ヘミセルロース、およびリグニン)の推定値であり、酸性デタージェント繊維(ADF)は、セルロースおよびリグニンのみによって構成されている、植物の細胞壁部分である。ヘミセルロースは異なる2つの重要性を含んでいる。
【0116】
乾燥物質の消失に基づいて、栄養性の各構成成分について濃縮された値を算出可能であった。言い換えると、特定の栄養性の構成要素の濃縮は、観察された物質の消失に基づいており、消費されなかったものを予測可能であった。それらの値を表10に挙げている。
【0117】
表10には、Rhizopus株が6%未満の脂質を代謝したことを示されている。さらに、発酵後におけるNDFおよびADFの値は、乾燥物質の消失のために理論的な増加量より小さく、生物がヘミセルロースおよびセルロースのいくらかを増殖にしたがって使用したことを示している。また、Aspergillus株は、接触可能な脂質(5〜6%まで)およびいくらかのヘミセルロースを代謝した。しかし、ADFの値は、濃縮された値とほぼ同じであり、生物が穀類の蒸留粕のセルロースまたはリグニンの部分を分解できなかったことを示している。
【0118】
これまで、醸造所の副生成物は、それらの高い繊維の含有量のために、反芻動物の飼料における栄養源として含まれている(例えば、Ham et al., 1994, J Animal Sci., 72, 3246-3257; Singh et al., 2005, Cereal Chem., 82, 187-190を参照すればよい)。本発明は、任意の特定の機序に限定されず、機序の理解は本発明の実施に必須ではない。反芻胃における微生物がセルロースおよびヘミセルロースの分解について動物を補助して、微生物タンパク質を形成していると考えられている。当該微生物タンパク質は消化過程において後ほど動物によって順に利用されている。反芻胃に存在する微生物と非常に類似して、ヘミセルロースおよびセルロースの一部分を利用する糸状菌の能力は、単胃の動物(例えば、家禽類、ブタなど)が穀物のこれらの部分を利用できないため、興味深い。
【0119】
真菌は、タンパク質合成および菌糸体の増殖のために多糖、ペプチドおよび脂質を単量体の単位に分解し得る広範囲の細胞外酵素を産生する。DDGSにおいて培養されるとき、発現される酵素は、生物が利用可能な栄養物を用いて増殖するために必要なものを生物が産生するような、基質に特異的である。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、そのような化合物を分解する生物の能力を取り入れる能力を提供し、単胃の動物にとっての食料として使用する穀物および農業関連産業の残余物(例えば、ビール粕)の改良された活用の機会をもたらす。
【0120】
動物に対する固体発酵の利点(例えば、図7を参照)としては、特にタンパク質についての、穀物の改良された栄養特性;栄養性の真菌の生物資源;穀物の繊維部分からのエネルギーの発生;向上したタンパク質の消化性;廃棄物として排出されるリンの量を低下させる、動物にとって利用可能なリンの増大が挙げられる。
【0121】
本発明は任意の特定の機序に限定されず、機序の理解は本発明の実施に必須ではない。単胃の動物にとっての穀物の消化性を向上させる真菌の能力と同様にして、固体発酵はまた、エタノールへの穀物の転換について酵母の効率を向上させることが考えられる。酵母にとって利用可能なさらなる窒素の放出、およびセルロースおよびヘミセルロースの発酵性糖への分解によって、真菌はエタノール生成のための原料の分解を補助し得る。
【0122】
(実施例3:組織化されている生物精製手段を用いたリグノセルロース性の原料からのエタノールの生成)
リグノセルロース性の原料からエタノールを生成する組織化されている生物精製手段のための方法における段階は、図1に描写され、本明細書に記載されている。
【0123】
A.エタノール生産性の開始原料:
リグノセルロース分解組成物の生成およびエタノール発酵段階を補助するリグノセルロース性の開始原料を、同定し、性質決定した。トウモロコシの穂軸を、本発明の実施形態の開発の間に実施した実験において広範に使用したが、他の基質(例えば、スイッチグラス、木材の小片、およびトウモロコシの葉、茎)が類似の結果をともなって利用可能であると考えられる。エタノール共発酵における使用のために製造されたエタノール生産性の原料のマッシュにおけるリグノセルロース性の構成成分は30%であり、残りの70%は粉末のトウモロコシの穀粒からなっていた。30%のリグノセルロース性の材料(トウモロコシの穂軸)のうちの、25%は元のままの粉末のトウモロコシの穂軸であり、他の5%は固体発酵から精製されるリグノセルロースの形成に使用した。トウモロコシの穂軸(実質的に穀粒を含んでいない)を、ハンマーミルにおいて数回にわたってふるいの大きさを小さくしながら連続的に挽いて、粗い粉砕材料、中程度の粉砕材料、および微細な粉砕材料を得た。トウモロコシの穀粒および穂軸のエタノール生産性の原料を分けて挽き、それから最初の加熱段階の前に混合した。
【0124】
B.固体発酵、およびリグノセルロース分解組成物の生成:
固体発酵(SSF)処理において、トウモロコシの穂軸において増殖させた糸状菌(Aspergillus niger)を用いて、リグノセルロース分解組成物を生成した。トウモロコシの穂軸の粉末を15%の酵母抽出物および水と混合し、液体の真菌の種菌を有している混合物を播種することによって、発酵を開始した。トウモロコシの穂軸および真菌の種菌のこの混合物をステンレス鋼のトレイの上に播き、湿度を制御した(50%)30℃のチャンバーにおいて5日間にわたって放置して、増殖させた。続いて、トウモロコシの穂軸の上に作られた“湿った”リグノセルロース分解組成物を、糖化および発酵の段階における使用のために回収した。
【0125】
C.加熱処理:
より粘度の高いマッシュの利用を可能にする適合性を有している、変形させた従来の醸造所の加熱システムにおいて、加熱処理を実施した。エタノール生産性の原料における、リグノセルロース性の構成成分およびスターチに富んでいる構成成分の、加熱システムに対する添加を、発酵槽において処理される均質な混合物を確保する段階において行った。加熱処理の最初の段階において、粉砕したトウモロコシ(US #2, yellow dent、12%の湿度)および粉砕したトウモロコシの穂軸(4〜9%の湿度)を含んでいる懸濁液を、上方攪拌式の150LのMicroFerm発酵槽(New Brunswick Scientific Co, Edison, New Jersey)において水と混合した。この処理の成否は、水に対する粉砕したトウモロコシおよび穂軸の適切な添加に依存していた。粉砕したトウモロコシをαアミラーゼ(穀物の0.06重量%)とともに水に加え、5分間にわたって85℃まで加熱した。この最初の懸濁液は21%の固形分を含んでいた。トウモロコシの穂軸が懸濁液に留まっている粘度の高いマッシュを生成するために、穂軸なしで、トウモロコシを最初に加熱した。トウモロコシの穂軸を粉砕したトウモロコシのマッシュにゆっくりと加え、加熱処理を20分間にわたって85℃において続けた。加熱の間に粉砕した穂軸が懸濁液に留まるように、SC3ブレード(Chemineer, Cincinnati, Ohio)を用いて、マッシュを強く(350rpm)攪拌した。マッシュを20分間にわたって121℃において滅菌し、それから冷却させた。αアミラーゼ(穀物の0.04重量%)を加え、マッシュをさらなる60分間にわたって85℃において加熱した。
【0126】
D.リグノセルロース性の原料の糖化:
糖化処理によって、発酵性糖へのリグノセルロースの分解が生じた。リグノセルロース分解組成物(穀物の5%)を70%のトウモロコシ/25%の穂軸のマッシュにゆっくりと加えた。この処理の間、穂軸を懸濁液に維持させ、沈殿させないようにSC3ブレードを用いて、マッシュを強く(350rpm)攪拌した。生じたマッシュは、30%の固形分を含んでいた。最終的なマッシュにおける粉砕したトウモロコシの穂軸に対する粉砕したトウモロコシの理想的な割合は、70/30であった。湿ったリグノセルロース分解組成物はマッシュにおける総原料の5%をなしている。
【0127】
E.エタノール共発酵:
コーンスターチおよびリグノセルロース性の原料(トウモロコシの穂軸)の両方からの発酵性糖の同時放出によって、エタノール発酵を性質決定した。グルコアミラーゼ(穀物の0.06重量%)をマッシュに加えて、粉砕したトウモロコシにおけるスターチの基質を糖化させた。窒素源として尿素(1g/L)を加えた。3×10細胞/gの活性な酵母培養物(Saccharomyces cerevisiae)をマッシュに播種した。34℃におけるエタノール発酵を、約48時間以内に終了させた。従来の蒸留技術および分子ふるい技術を用いて、エタノールおよび発酵の残余物を分離した。
【0128】
試験工場の研究は、トウモロコシの穂軸における効率的なリグノセルロース分解組成物の生成、ならびに0.1%の尿素を加えて34℃に維持されたマッシュ(30%の乾燥固体)における粉砕したトウモロコシ(70%)およびトウモロコシの穂軸(30%)を含んでいる原料の混合物からのエタノールの収率に対する、リグノセルロース分解組成物の作用の評価を目的とした。リグノセルロース分解組成物は、発酵された湿ったトウモロコシの穂軸の調製物として加えられ、マッシュを加熱してから34℃まで冷却した後の原料の最終的な乾燥重量の5%をもたらした。10回分の発酵(150Lの試験発酵槽)における処理試験データの全体的な編集結果を表11に示す。
【0129】
また、リグノセルロース分解組成物が入っている試験工場の発酵槽における原料の発酵を、最大のエタノール濃度に達するまでに必要な時間(24時間対48時間)の減少、残余物におけるタンパク質のより多い含有量(25%対18%)、ならびに残余物における中性デタージェント繊維のより少ない含有量(22%対70%)および酸性デタージェント繊維のより少ない含有量(10.2%対19.6%)の両方によって、性質決定した。すべての観察は、トウモロコシの穂軸におけるリグノセルロース構成成分のエタノールへの、1トンの穂軸につき45〜48ガロンの割合における純粋な転換と一致していた。
【0130】
【表11】

【0131】
F.リグノセルロース分解組成物における酵素活性の定量化
水分の含有量、乾燥材料の含有量、エタノールの含有量(初期および発酵後の48時間)、および酵素活性について、固体発酵によって生成されたリグノセルロース分解組成物を分析した(表12)。
【0132】
【表12】

【0133】
明細書の以上において述べられているすべての刊行物および特許は、参照によって本明細書に援用される。本発明の記載されている方法および系の種々の変更および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者にとって明らかである。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して説明されているが、請求されている発明はそのような特定の実施形態にまで不当に限定されるべきではないことが理解される。実際に、本発明を実施するために記載されている態様の種々の変更は、以下の特許請求の範囲に含まれていると意図されている。上記変更は、発酵、生物燃料、農業の食品、飼料および栄養物、または関連する分野における当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の一実施形態における、リグノセルロース性の原料からエタノールを生成する組織化された生体精製手段にとっての処理を描写しているフローチャートを示している。
【図2】本発明の一実施形態における、播種培養物の播種からトウモロコシのマッシュの発酵の播種までの処理の流れを示している。
【図3】本発明の一実施形態において精製された組成物を用いたエタノール生成を示している。
【図4】本発明の一実施形態において生成された組成物を用いたエタノール生成を示している。
【図5】本発明の一実施形態における組成物を用いた固体発酵の前後における乾燥物質の重量の変化を示している。
【図6】本発明の一実施形態における固体発酵のフローチャートを示している。
【図7】本発明のいくつかの実施形態における固体発酵生成物(リグノセルロース分解組成物)に関する用途を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロース性の原料からエタノールを生成するための組成物であって、
リグノセルロースを分解する微生物の少なくとも1つとともにインキュベートされたリグノセルロース性の開始原料を含んでいるリグノセルロース性の原料の分解成分を含んでいる、組成物。
【請求項2】
リグノセルロースを分解する上記微生物は、Aspergillus、Trichoderma、Gliocladium、Aspergillus、Rhizopus、Clostridium、Phanerochaete、Bacillus、Penicillium、Aureobasidium、Humicola、Talaromyces、Chrysosporium、Monilia、Paecilomyces、およびPleurotusから選択される属に属している種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
リグノセルロースを分解する上記微生物は、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、およびRhizopus oligosporusからなる群から選択される種である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
リグノセルロースを分解する上記微生物は、ATCC 10549のAspergillus nigerである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
リグノセルロースを分解する上記微生物は、Rhizopus oligosporusのUV3株である、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
上記リグノセルロース性の原料は、森林の残余物、製粉所の廃棄物、都市の木材廃棄物、農業の残余物、生物燃料エネルギーの作物、まぐさ、キノア、トウモロコシの皮、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの繊維、コムギのわら、ミロの刈り株、スイッチグラス、落葉樹の木材、針葉樹の木材、落葉樹もしくは針葉樹の小片、落葉樹もしくは針葉樹のおが屑、柑橘類の廃棄物、都市の青果物の廃棄物もしくは残余物、食品製造業の廃棄物もしくは残余物、穀類の製造の廃棄物もしくは残余物、乾草、麦わら、稲のわら、サトウキビ、サトウキビのバガス、精穀物、穀類の蒸留粕、コメの外皮、オオムギのわら、シダレヤナギ属の木、トウヒ、ポプラ、ユーカリ、Brassica carinataの残余物、Antigonum leptopus、モミジバフウ、Miscanthus、Sericea lespedeza、ナンキンハゼ、アサ、アブラナ、Sorghum bicolor、ダイズの葉、ダイズの茎、ダイズの鞘、ダイズの残余物、ヒマワリの葉、ヒマワリの茎、種無しのヒマワリの頭状花、ヒマワリの外皮、ヒマワリの残余物、ダンチク、堅果の殻、落葉樹の葉、綿繊維、肥料植物、海岸のバミューダグラス、クローバー、ジョンソングラス、亜麻、ソバのわら、カラスムギのわら、キビのわら、アマランスのわら、アマランスの茎、アマランスの葉、アマランスの残余物、スペルトコムギのわら、ライムギのわら、アルファルファおよびタケからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
上記穀類の蒸留粕が、穀類蒸留粕(DDG)または可溶性物質を有している穀類蒸留粕(DDGS)である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
リグノセルロース性の原料からエタノールを生成するための上記組成物が、以下のステップ:
a.リグノセルロース性の原料を準備すること;
b.上記リグノセルロース性の原料を処理して、その開始時の粒径と比べてより小さい粒径にすること;
c.リグノセルロースを分解する微生物の種菌を準備すること;
d.上記種菌を、処理された上記リグノセルロース性の原料と混合すること;および
e.少なくとも30℃における少なくとも5日間にわたる条件において、上記リグノセルロース性の原料および上記微生物をインキュベートすること
を包含している方法によって製造されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
動物の飼料の補助物として使用する組成物であって、
リグノセルロース性の原料の特性をもたらすために十分な条件における、リグノセルロースを分解する微生物の少なくとも1つをともなったリグノセルロース性の原料の固体発酵を包含している方法によって製造され、
上記特性が、消化可能なタンパク質の増大、生体が利用可能なリンの増大、および繊維の含有量の低下からなる群から選択される、組成物。
【請求項10】
エタノール生産性の原料からエタノールを製造する方法であって、
(1)以下の(a)、(b)を準備すること
(a)リグノセルロース分解組成物;
(b)リグノセルロース性の構成成分を含んでいるエタノール生産性原料;および
(2)上記エタノール生産性原料を、上記リグノセルロース分解組成物とともにインキュベートすることを包含している、方法。
【請求項11】
上記リグノセルロース分解組成物が請求項1に記載の組成物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記エタノール生産性原料が、穀粒、貯蔵根、塊茎、堅果、果実、トウモロコシ(トウモロコシ)、コムギ、イネ、カラスムギ、オオムギ、ライムギ、アマランス、ソバ、またはスペルトコムギ;ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤム、カサバ、タピオカ、クズウコン、カサバ、マメ科植物、クリ、アラカチャ、バナナ、クズ、アンデスカタバミ、サゴ、およびモロコシからなる群から選択される、スターチに富んでいる原料によって構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
上記トウモロコシはトウモロコシの穂軸または穀粒の形態である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記エタノール生産性原料はリグノセルロースに富んでいる成分およびスターチに富んでいる成分の混合物を含んでいる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
リグノセルロース性の原料からエタノールを生成する方法であって、
(i)リグノセルロースを分解する微生物の少なくとも1つによって、基質として利用可能なリグノセルロース性の開始原料を準備すること;
(ii)リグノセルロースを分解する組成物の少なくとも1つの形成を促進するため十分な条件において、リグノセルロース性の上記開始原料の上において、リグノセルロースを分解する上記微生物をインキュベートすること;
(iii)エタノール生産性微生物によって糖化段階において基質として利用可能なエタノール生産性原料を準備すること;
(iv)上記エタノール生産性原料の糖化を促進するために十分な条件においてリグノセルロースを分解する上記組成物を、上記エタノール生産性原料と混合すること;および
(v)上記エタノール生産性原料の上においてエタノール生産性発酵を実施することを包含している、方法。
【請求項16】
リグノセルロースを分解する上記微生物は、Trichoderma、Gliocladium、Aspergillus、Rhizopus、Clostridium、Phanerochaete、Bacillus、Penicillium、Aureobasidium、Humicola、Talaromyces、Chrysosporium、Monilia、Paecilomyces、およびPleurotusからなる属から選択される1つ以上の種を包含している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
リグノセルロースを分解する上記微生物は、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、およびRhizopus oligosporusからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記Aspergillus nigerはATCC 10549である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記Rhizopus oligosporus種の株は2UV3である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
リグノセルロース性の上記開始原料は、林業の残余物、製粉所の廃棄物、都市の木材廃棄物、農業の残余物、生物燃料エネルギーの作物、まぐさ、トウモロコシの皮、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの繊維、コムギのわら、ミロの刈り株、スイッチグラス、落葉樹の木材、針葉樹の木材、落葉樹もしくは針葉樹の木片、落葉樹もしくは針葉樹の木屑、柑橘類の廃棄物、都市の青果物の廃棄物もしくは残余物、食品製造業の廃棄物もしくは残余物、穀類の製造の廃棄物もしくは残余物、乾草、麦わら、稲のわら、サトウキビ、サトウキビのバガス、精穀物、穀類の蒸留粕、穀類蒸留粕(DDG)、可溶性物質を有している穀類蒸留粕(DDGS)、コメの外皮、オオムギのわら、シダレヤナギ属の木、トウヒ、ポプラ、ユーカリ、Brassica carinataの残余物、Antigonum leptopus、モミジバフウ、Miscanthus、Sericea lespedeza、ナンキンハゼ、アサ、アブラナ、Sorghum bicolor、ダイズの葉、ダイズの茎、ダイズの鞘、ダイズの残余物、ヒマワリの葉、ヒマワリの茎、種無しのヒマワリの頭状花、ヒマワリの外皮、ヒマワリの残余物、ダンチク、堅果の殻、落葉樹の葉、綿繊維、肥料植物、海岸のバミューダグラス、クローバー、ジョンソングラス、亜麻、ソバのわら、カラスムギのわら、キビのわら、アマランスのわら、アマランスの茎、アマランスの葉、アマランスの残余物、スペルトコムギのわら、ライムギのわら、アルファルファおよびタケからなる群から選択される1つ以上の原料によって構成されている、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
上記エタノール生産性原料は、穀粒、貯蔵根、塊茎、堅果、果実、トウモロコシ(トウモロコシ)、コムギ、イネ、カラスムギ、オオムギ、ライムギ、アマランス、ソバ、またはスペルトコムギ;ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、ヤム、カサバ、タピオカ、クズウコン、カサバ、マメ科植物、クリ、アラカチャ、バナナ、クズ、アンデスカタバミ、サゴ、およびモロコシからなる群から選択される、スターチに富んでいる原料の1つ以上である、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−520682(P2012−520682A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500935(P2012−500935)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/027703
【国際公開番号】WO2010/107944
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(505404655)オルテック インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】