説明

リジェクト率制御の物品搬送装置

本発明は、扁平物を搬送するための装置であって、扁平物(E)が通常は一定の間隔幅(P)で組に分かれて順次移動される搬送装置に関する。装置は、上記間隔幅の一定の変動を補償するための同期システム(9)を備える。上記システムは、物品の一定の物理特性に基づいて物品を分類するための手段(8、11)と、取り扱い中の物品の間隔幅の一定の変動を検出し、上記間隔幅変動を取り扱い中の物品のカテゴリに従ってメモリ内に記憶するための手段(7、8、12)と、上記物品のカテゴリに従ってメモリ内に記憶された上記間隔幅変動に基づいて同期システムを制御するための手段(8、12)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平物を搬送するコンベヤ装置であって、扁平物間が通常は一定の間隔幅で扁平物が順次移動されるコンベヤ装置、および上記間隔幅の変動を補償するために設けられる同期システムに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、郵便物のアンスタッカと郵便物を仕分け出口に向けるビンカルーセルとの間に介装されるそのようなコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第1214263号明細書は、弾性変形可能なホイールを有し可変速度で回転駆動される同期装置を備えるそのようなベルトコンベヤ装置を開示している。コンベヤは、1mm(ミリメートル)未満の厚さの通常の書簡から大判の32mmほど厚さの「平たい小包(flats)」までの郵便物を移動させることを目的とする。
【0004】
カルーセルのビンは、一定の速度で仕分け出口上を移動する。各ビンには、コンベヤから搬送されて来る郵便物が詰め込まれる。
【0005】
アンスタッカは、ビンがコンベヤの自由端部を通過する頻度に合わせられた度数を有する周期的な基準信号により制御される。
【0006】
郵便物が検出される基準信号のエッジに応答してアンスタックされると、郵便物はまず同期装置を通過し、この同期装置内でコンベヤのベルトの速度になるように加速/減速段に入る。その後、郵便物はコンベヤベルトに引き取られて、一定の速度でビンカルーセルに運ばれる。郵便物が同期装置内に投入される瞬間は、通過センサに基づいて検出される。通過センサは、郵便物を受け取る働きをする空のビンが通過する瞬間と同時に、コンベヤの端部で郵便物を到着させるように、同期装置内での郵便物の加速度プロフィールを調節できるようにする。
【0007】
コンベヤの端部では、郵便物が到着する瞬間が監視されて、予想される一致時間に対して早すぎないか、または遅すぎないかがチェックされ、早すぎたり遅すぎたりする場合には、郵便物はアンスタッカの入口に再挿入される前にリジェクト出口に向けられる。実際には、知られている装置では、ビンがコンベヤを通過する時間は333ms(ミリ秒)である。郵便物を空のビンに渡す時間ウィンドウは、一致時間の前後−15ms(遅い)から+20ms(早い)の範囲である。時間ウィンドウ外では、郵便物はビンに投入されず、リジェクト出口の方にそらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
いろいろ混ざった郵便物の束、つまり、書簡から大判の扁平な物品もしくは「平たい小包」の広範囲に及ぶ郵便物の束では、リジェクトされる郵便物は高い割合になる可能性があり、このことが機械のスループットに影響を与える可能性があることがわかった。
【0009】
欧州特許第1683586号明細書および欧州特許第0818406号明細書は、郵便物間の一定の間隔幅を得るために郵便物の速度が、検出する郵便物の厚さまたは重量応じて適合される同期装置を開示している。
【0010】
本発明の目的は、改良型のコンベヤ装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、郵便物が(通常は一定速度で動作する)ベルトコンベヤ上を搬送される搬送時間は郵便物の特定の物理特性にも依存するという見解に基づくものである。薄い厚さの郵便物、例えば(手紙など)は、より厚い(扁平物などの)郵便物よりも速く進み、プラスチック製の包装材の郵便物は紙製の封筒の郵便物よりも速く進む。最も遅い郵便物と最も速い郵便物と移動時間の差は、数ミリ秒程度とすることができる。これは、(異なる物理特性を有する)連続した郵便物間の間隔幅が、郵便物がコンベヤのベルト上で移動する間に、特にコンベヤの長さが長い場合に、大きく変動する可能性があるということである。したがって、本発明の基本概念は、リジェクトされた郵便物の種々のカテゴリに対して測定された遅い時間または早い時間に応じて同期装置をサーボ制御することにより郵便物間の間隔幅の変動を補償することである。郵便物の各カテゴリは、郵便物の特定の物理特性に対応する。
【0012】
この目的を達成するために、本発明は、プラスチック材料製または紙製の外装材または封筒を有する扁平物品を搬送するための装置を提供する。この搬送装置では、扁平物品間が通常は一定の間隔幅で扁平物が順次移動され、同期装置が上記間隔幅の一定量の変動を補償するために設けられる。上記搬送装置は:
取り扱い中の物品の外装材または封筒がプラスチック材料製であるかまたは紙製であるかを検出し、プラスチック製の包装材を有する郵便物のクラスと紙製の封筒を有する郵便物のクラスとに各々対応する2つのクラスのうちの1つに取り扱い中の郵便物を分類するための検出器手段および分類器手段と、
取り扱い中の物品の間隔幅の一定量の変動を識別し、メモリ内に取り扱い中の物品の上記クラスに対応する累積間隔幅変動を記録するための識別装置手段および記録装置手段と、
取り扱い中の物品の上記クラスに対応するメモリ内に記録された上記累積間隔幅変動に基づいて、同期システムをサーボ制御するためのサーボ制御手段とを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の特定の実施形態では、コンベヤ装置は取り扱い中の物品の厚さの測定手段を含み、分類器手段は取り扱い中の郵便物を厚さの3つのクラスのうちの1つに分類するように構成される。
【0014】
実際には、郵便物では、これらの物理特性は、各郵便物の厚さおよび/または郵便物の外装材もしくは封筒のタイプ(プラスチックまたは紙)である。しかし、本発明の原理をベルトコンベヤ内の郵便物の移動速度に影響を与える可能性のある郵便物の他の物理特性、例えば、郵便物の高さ、長さ、重量に広げることが可能である。
【0015】
本発明は、図面に示された実施形態の以下の説明を読めばよりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のコンベヤ装置を示す図である。
【図2】本発明のサーボ制御の動作方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、アンスタックマガジン内のスタックに保管された郵便物Eを数回に分けるアンスタッカ2を含む入口ライン経由で供給されるビンカルーセル1を含む郵便物仕分け機の大略部分図である。
【0018】
アンスタッカの出口では、郵便物Eがカルーセル1の連続ビン4内に1つずつ投入されるように、また機械の仕分け出口(図示せず)の方に向けられるように、ベルトコンベヤ3によって順次縁を揃えて(on edge)移動される。
【0019】
分かりやすくするために、図1では、各々のアンスタックされた郵便物に対してどの仕分け出口が郵便物の自動認識された宛先に対応するかを判断する郵便宛先自動読み取り装置を図示していない。
【0020】
ビン4は、通常は一定速度でコンベヤ3の端部に直交する方向Dに移動し、ビンがコンベヤ3を通過する瞬間と次のビンが上記コンベヤを通過する瞬間との差は、例えば、333msである。
【0021】
したがって、郵便物Eは、カルーセル1の空のビン4の通過と一致する時に1つずつ当該ビン4に渡されなければならない。しかしながら、特定の時間ウィンドウは、一致時間より早いまたは遅い、例えば、−15ms遅くから+20ms早くまでの一致時間前後が利用可能である。郵便物がこの時間ウィンドウ内に渡されない場合、郵便物は調整された偏向装置を使用してリジェクト出口6の方に向けられる。物品がコンベヤ3の端部で渡される瞬間は、偏向装置5からすぐ上流側に位置する通過センサ7を使用して検出される。センサ7により生成された信号は、必要な場合には、偏向装置5を作動させる制御ユニット8に送信される。
【0022】
アンスタッカ1は、ビン4がコンベヤ3を通過する頻度と同期する制御信号に従って制御され、その結果、郵便物Eはコンベヤ3内で連続する郵便物に対して通常は一定の間隔幅Pで順次移動する。この間隔幅Pは、図1に示されるように、2つの連続した郵便物の先端間の距離である。
【0023】
同期装置9(例えば、弾性変形可能なモータ駆動ホイールを有する)は、コンベヤ3の入口に設けられて、アンスタッカ1からアンスタックされた各郵便物の速度をコンベヤの一定速度に調節する。同時に、同期装置9は、郵便物のアンスタック時の任意の変動を補償するように連続した郵便物の間隔幅を設定する。同期装置は、同期装置9の変形可能なホイールの回転速度で動作する制御ユニット8により制御される。
【0024】
通過センサ10は、アンスタックされた取り扱い中の郵便物の先端の通過を検出するために同期装置9とアンスタッカ2との間に介装される。取り扱い中の郵便物の到着の瞬間がカルーセルのビンの到着の瞬間と一致するために、得られた検出信号に従って、制御ユニット8は同期装置を介して取り扱い中の郵便物が従わなければならない速度プロフィール(加速度/減速度プロフィール)を算出する(コンベヤ3の長さと搬送速度とは一定のパラメータとする)。
【0025】
本発明によれば、アンスタッカ2によりアンスタックされた郵便物Eの特定の物理特性、例えば、郵便物の封筒または包装材のタイプ(紙/プラスチック)および郵便物の厚さは、上記郵便物が同期装置9を通過する前に判断される。これらの2つの物理特性を識別するための固有のセンサが存在する。ブロック11は、各郵便物の厚さeを測定し、各郵便物の封筒または包装材のタイプ(紙/プラスチック)を判断するのに適したセンサを表す。センサ11により生成された信号は制御ユニット8に送られて、各郵便物を分類する。一般に、上記センサ11は、すでにアンスタッカ内で利用可能である。
【0026】
例として、図1は、制御ユニット8のメモリ内に記憶される表12の郵便物Eの6つのカテゴリを示す。表の列e1、e2、e3は、3つの異なる範囲の郵便物の厚さ、つまり、0mmから10mm、11mmから20mm、21mmから30mmに対応する。上記表の行P1、Ppは、郵便物の封筒もしくは包装材の2つのタイプ、つまりプラスチックおよび紙に対応する。厚さに関しては、本発明の範囲から逸脱せずに、区別される郵便物のカテゴリの数を増やすために4つ以上の列を設けることも可能である。当然、郵便物の他の物理特性(重量、高さ、長さ)が考慮された場合には、表12はより複雑になる可能性がある。例えば、郵便物のカテゴリは、高さや長さの物理特性を考慮することによって補充される場合がある。この場合、新しい寸法が表12に追加される。高さや長さによる物理特性は、特に、郵便物が一様に(flat)搬送される機械の速度変動にとって典型的な特性である。その結果、郵便物のカテゴリを規定する表12の寸法および特性は、仕分け機械のタイプに応じて適合される。厚さ、高さ、長さ、重量の物理特性は、タイプ(プラスチックまたは紙)と組み合わされてもよく、本発明の範囲から逸脱せずに互いに代えて使用されてもよい。
【0027】
制御ユニット8の動作は、図2のフローチャートを参照して以下に説明されている。
【0028】
取り扱い中の郵便物Eは、20においてアンスタッカ2によりアンスタックされる。21において、センサ11により郵便物の物理特性(厚さ、封筒または包装材のタイプ)が識別され、ステップ22において、表12からサーボ制御値Kを取り出すためにユニット8で郵便物が分類される。プロセスが開始される時、表12の値Kはすべて0に設定されることは理解されるべきである。
【0029】
23において、同期装置を制御するために郵便物の速度プロフィールを算出すると同時に、(郵便物の移動を進めるまたは遅らせるために)表12から取り出されたサーボ制御値Kが考慮される。例えば、Kが+4msに等しい場合、このカテゴリの郵便物に対して、制御ユニット8は郵便物がコンベヤ3内を移動する時間を4ms遅延させる。
【0030】
取り扱い中の郵便物がコンベヤ3により移動され、上記郵便物がセンサ7を通過する時に、ユニット8は、24において、上記郵便物が間隔幅Pの「外側」にあるか否か、すなわち、上記郵便物が予想される一致時間に対して早すぎるか、または遅すぎるかを判断する。取り扱い中の郵便物が渡される瞬間が許容時間ウィンドウ内にある(郵便物が間隔幅Pの「内側」にある)場合、制御ユニット8は郵便物がカルーセルのビン4内に投入されるように偏向装置5を作動させ(ステップ25)、プロセスはステップ20から始まる別の郵便物に対して継続される。
【0031】
ステップ24において、取り扱い中の郵便物が渡される瞬間が時間ウィンドウの外側にある(郵便物が間隔幅Pの「外側」にある)場合、制御ユニット8は、ステップ25において、郵便物をリジェクト出口6の方に向けるために偏向装置5を作動させる。同時に、ユニット8は、ステップ26において、予想される一致時間に対する郵便物の早さまたは遅さkを判断して、ステップ21で判断された郵便物のカテゴリに対応する表12内のサーボ制御値Kを(K+kの平均を算出することにより)統合し、プロセスはステップ20から別の取り扱い中の郵便物に対して継続される。
【0032】
制御ユニット8内の表12を管理するために、すでに対応するカテゴリの郵便物に対して十分な数の統合が実行された場合に限り、現在の値Kをユニット8によりサーボ制御に使用されるように準備することが可能である。統合の数が1つのカテゴリの郵便物と別のカテゴリの郵便物とは異なるように準備することが可能である。さらに、サーボ制御が値Kによって生じるのではなく、値Kに達するまで漸増的に生じるように準備することが可能である。
【0033】
Kの値の2つの例が、図1の表12に示されている。紙製の封筒で分厚い郵便物(コンベヤ3における最も遅い郵便物)のカテゴリに対して示される値−3は、このカテゴリの郵便物が同期装置9により一致時間に対して3ms進められるということである。プラスチック包装材を有し、少なくとも10mmの厚さの郵便物(最も速い郵便物)のカテゴリに対して表12内で示されている値+4は、制御ユニット8がこのカテゴリの郵便物を一致時間に対して4ms遅らせることができる速度プロフィールを算出するものである。
【0034】
したがって、本発明の同期装置のサーボ制御によって、リジェクトされる郵便物は次の郵便物のリジェクト率を低減するのに使用される。本発明は、郵便物の物理特性を感知するセンサがすでに郵便物仕分け機で広く使用されているので容易に実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料製または紙製の外装材または封筒を有する扁平物品を搬送するための装置にして、扁平物品(E)間が通常は一定の間隔幅(P)で扁平物品が順次移動され、同期装置(9)が前記間隔幅の一定量の変動を補償するために設けられる装置であって、
取り扱い中の物品の外装材または封筒がプラスチック材料製であるかまたは紙製であるかを検出し、プラスチック製の包装材を有する郵便物のクラスと紙製の封筒を有する郵便物のクラスとに各々対応する2つのクラスのうちの1つに取り扱い中の郵便物を分類するための検出器手段および分類器手段(10、11)と、
取り扱い中の物品の間隔幅の一定量の変動を識別し、メモリ内に取り扱い中の物品の前記クラスに対応する累積間隔幅変動を記録するための識別装置手段および記録装置手段(7、8、12)と、
取り扱い中の物品の前記クラスに対応するメモリ内に記録された前記累積間隔幅変動に基づいて、同期システムをサーボ制御するためのサーボ制御手段(8、12)とを含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
取り扱い中の物品の厚さを測定するための手段を含み、分類器手段が取り扱い中の郵便物を3つのクラスの厚さのうちの1つに分類するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
取り扱い中の物品の高さを測定するためのセンサを含み、この測定が取り扱い中の物品の分類につながる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
取り扱い中の物品の長さを測定するためのセンサを含み、この測定が取り扱い中の物品の分類につながる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
各取り扱い中の物品の重量を測定するためのセンサを含み、この測定が取り扱い中の物品の分類につながる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
アンスタッカ(2)とビンカルーセル(1)との間に介装される請求項1から5のいずれか一項に記載の郵便物コンベヤ装置を含む、郵便物仕分け機。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−534568(P2010−534568A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518718(P2010−518718)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051344
【国際公開番号】WO2009/024693
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(597038530)
【Fターム(参考)】