説明

リジェネラジアントチューブバーナ

【課題】燃焼空気の供給量を安定化し高効率加熱を可能とすると共に、配設方向の自由度が高いリジェネラジアントチューブバーナを提供する。
【解決手段】リジェネラジアントチューブバーナ1は、熱処理炉5内に配設するラジアントチューブ2と、一対のガスバーナ4とを備えてなる。ガスバーナ4は、ガスノズル441を設けたガスパイプ44と、ホールドエアパイプ43と、蓄熱体42を収容したバーナボディ41とを有してなる。バーナボディ41には、コンバスタチューブ3が接続されている。コンバスタチューブ3は、2次エア孔311を有する基部31と、中空円筒部32からなる。コンバスタチューブ3は、基部31が上記バーナボディ41に接続されており、基部31には、3次エアを送るための3次エア孔312を貫通形成してある。ガスノズル441の先端部を2次エア孔311の内周側に挿入配置してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のガスバーナにおいて交互に燃焼を行い、ラジアントチューブからの輻射熱によって熱処理炉内を加熱するよう構成したリジェネラジアントチューブバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
一対のガスバーナにおいて交互に燃焼を行うリジェネラジアントチューブバーナは、一方のガスバーナの燃焼時に生じる排気ガスの熱量を、他方のガスバーナが有する蓄熱体に蓄熱するよう構成してある。そして、他方のガスバーナを燃焼させる際に蓄熱した熱を利用することで燃焼空気を昇温することにより、高い熱効率と高効率加熱とを可能としている。その反面、燃焼空気が高温に予熱されることで火炎の温度が上昇し、NOxの排出量が多くなるという欠点がある。そのため、低NOx化を目的として、ラジアントチューブの内側にコンバスタチューブと呼ばれる円筒状の燃焼筒を設けることにより、二段燃焼を行う構造が知られている。
【0003】
このようなリジェネラジアントチューブバーナとしては、例えば、特許文献1に示すものがある。特許文献1に示されたリジェネラジアントチューブバーナは、ラジアントチューブの内面に配された円弧状板上にコンバスタチューブを載置することよって配置すると共に、上記円弧状板は、上記ラジアントチューブの内周面と、上記コンバスタチューブとの間に形成される空間の下半分を塞ぐように配されている。また、燃焼ガスを噴出するガスノズルの先端と、上記コンバスタチューブの基端側開口端との間には、軸方向に所定の距離が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−132224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に示されるリジェネラジアントチューブバーナにおいては、上記のごとく、上記ガスノズルと上記コンバスタチューブとの間に距離を開け、ガスノズルをコンバスタチューブの外側に配しているため、周囲の燃焼空気の流れにより、上記コンバスタチューブの内に入るべき流れがその外側に流れ出る場合がある。そのため、上記コンバスタチューブ内において、一次燃焼の燃焼状態が不安定となりやすい。
また、上記円弧状板を配することにより、上記ラジアントチューブの内周面と上記コンバスタチューブの外周面との間に形成される燃焼空気流路における断面の略半分が塞がれるため、上記燃焼空気流路から上記コンバスタチューブ先端側へ供給される燃焼空気の供給量に偏りが生じ、二次燃焼における燃焼状態が不安定となるおそれがある。
【0006】
また、上記コンバスタチューブは、上記円弧状板上に載置するように構成されており、適切な位置に配置し難いため、整備や保全作業毎に位置が定まりにくい。この場合にも、一次燃焼及び二次燃焼における燃焼状態が不安定となりやすい。
上記のごとく、一次燃焼及び二次燃焼において、燃焼状態が不安定となるため、上記リジェネラジアントチューブバーナの燃焼効率が低下し、熱効率が低下する場合がある。
【0007】
また、上記コンバスタチューブと上記円弧状板とは、互いに固定されていない。そのため、上記コンバスタチューブは、横倒しした状態でのみ配設が可能であり、リジェネラジアントチューブバーナにおける配設方向の自由度が低い。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、燃焼空気の供給量を安定化し高効率加熱を可能とすると共に、配設方向の自由度が高いリジェネラジアントチューブバーナを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、熱処理炉内に配設するラジアントチューブと、該ラジアントチューブの両端部に配設された一対のガスバーナとを備えたリジェネラジアントチューブバーナにおいて、
上記ガスバーナは、燃焼ガスを噴出させるガスノズルを先端に設けたガスパイプと、該ガスパイプの外側に当該ガスパイプと二重管状となるように配置された1次エア供給用のホールドエアパイプと、該ホールドエアパイプを囲うように配置された蓄熱体を収容したバーナボディとを有してなり、
上記バーナボディの先端には、上記ラジアントチューブの中において先端を開口させた円筒状のコンバスタチューブが接続されており、
該コンバスタチューブは、中央に貫通形成された2次エア孔を有する円板状の基部と、該基部の上記2次エア孔の内周部又はその近傍から立設した中空円筒部からなると共に、上記基部の外周部が上記バーナボディに接続されており、
上記コンバスタチューブの上記基部には、上記バーナボディから上記コンバスタチューブと上記ラジアントチューブの間へと3次エアを送るための複数の3次エア孔を貫通形成してあり、
上記ラジアントチューブと上記コンバスタチューブとの間には、上記3次エアが流通する3次エア流路を形成してあり、
上記ガスノズルの先端部を上記コンバスタチューブの上記2次エア孔の内周側に挿入配置してなることを特徴とするリジェネラジアントチューブバーナにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0010】
本発明において、上記コンバスタチューブは、上記基部の外周部が上記バーナボディに接続されており、上記ガスノズルの先端部を上記コンバスタチューブの2次エア孔の内周側に挿入配置してなる。すなわち、上記ガスノズルと、上記コンバスタチューブとは、共に上記バーナボディに配設されており、両者は、常に一定の位置関係となる。
【0011】
また、上記ガスノズルの先端部が、上記コンバスタチューブの2次エア孔の内周側に挿入配置されることにより、上記ガスノズル及び上記ホールドエアパイプと、上記2次エア孔との間の距離により、上記2次エア孔からコンバスタチューブ内に流入する上記2次エアの流量を決定する事ができ、上記2次エアの流量調整を容易とすることができる。したがって、上記コンバスタチューブ内に流入する上記2次エアの流量を安定させ、上記コンバスタチューブ内で行われる上記一次燃焼の燃焼効率を向上することができる。
また、上記コンバスタチューブと上記バーナボディとは、接続されているため、上記コンバスタチューブの配設方向を自由に設定することができる。そのため、上記リジェネラジアントチューブバーナの構造における自由度を向上することができる。
【0012】
また、上記コンバスタチューブの上記基部には、上記バーナボディから上記コンバスタチューブと上記ラジアントチューブの間へと3次エアを送るための複数の3次エア孔を貫通形成してある。この場合には、上記3次エア流路における上記3次エアの流量及び流通状態を理想の状態に近づけることができる。また、上記3次エア孔を、上記基部の円周方向に等間隔で配することができる。この場合には、上記3次エア流路を流通する3次エアの流量を、円周方向全周において、略均等とすることができる。これにより、上記コンバスタチューブの先端部前方において行われる二次燃焼における、燃焼の偏りを防止し、燃焼効率を向上することができる。また、上記3次エア孔の配設位置を適宜変更することもできる。この場合には、上記3次エアの流入量を意図的に偏らせたい場合においても、所望の3次エアの流通状態を得ることができる。
【0013】
また、上記2次エア孔の内径と、上記3次エア孔の内径及び数量を変更し、それぞれの内径における面積を変更することにより、上記2次エア孔を流通する上記2次エアの流量及び上記3次エア孔を流通する上記3次エアの流量を調整することができる。
上記のごとく、一次燃焼及び二次燃焼に対する2次エア及び3次エアの供給量を安定化し、一次燃焼及び二次燃焼の燃焼状態を最適な状態に近づけることにより、上記リジェネラジアントチューブバーナの2段階燃焼の燃焼状態をより理想に近い状態とすることができ、加熱効率を向上させることができる。
【0014】
このように、本発明によれば、燃焼空気の供給量を安定化し高効率加熱を可能とすると共に、配設方向の自由度が高いリジェネラジアントチューブバーナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1における、リジェネラジアントチューブバーナを示す説明図。
【図2】図1の部分拡大図。
【図3】図2の要部拡大図。
【図4】実施例1における、コンバスタチューブの説明図。
【図5】図3のA−A線矢視断面図。
【図6】実施例1における、コンバスタモジュールの構成を示す説明図。
【図7】実施例2における、コンバスタチューブの正面図。
【図8】図4のB−B線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、上記コンバスタチューブをなす上記基部と上記中空円筒部とは、上記基部の上記2次エア孔の内径D1(mm)が上記中空円筒部の内径D2(mm)よりも小さく設定してあることが好ましい(請求項2)。この場合には、上記基部の2次エア孔の内径D1(mm)を変更することにより、上記2次エア孔に流入する上記2次エアの流量を調整すると共に、上記中空円筒部の内径D2(mm)を、上記二次燃焼を行うのに適した内径とし、空間を確保することができる。これにより、上記二次燃焼における燃焼効率をより理想の状態に近づけることができる。また、上記2次エア孔の内径D1(mm)は、後述の上記ホールドエアパイプの外径D3(mm)よりも大きいことが好ましい。上記内径D1(mm)が上記外径D3(mm)以下の場合、上記二次燃焼に必要な上記2次エアを供給できなくなるおそれがある。
【0017】
また、上記コンバスタチューブの上記基部の内径D1(mm)と、上記ホールドエアパイプの外径D3(mm)と、上記基部の内径D1から上記中空円筒部の内径D2を除した寸法H(mm)とは、0≦H<(D1−D3)/2の関係にあることが好ましい。この場合には、確実に2次エアを上記コンバスタチューブの内側に供給することができる。
H<0の場合には、上記基部と上記中空円筒部の接続部における肉厚が薄くなるため、強度が低下するおそれがある。また、H≧(D1−D3)/2の場合には、上記コンバスタチューブの内側に供給する2次エアの量が不十分となるおそれがある。
【0018】
また、上記コンバスタチューブは、上記基部をガスケットを介して、両面から固定フランジにより挟持されると共に、上記固定フランジを上記ガスバーナと上記ラジアントチューブとの間において挟持することにより保持されていることが好ましい(請求項3)。この場合には、上記コンバスタチューブの破損を防止すると共に、耐久性に優れた保持状態とすることができる。上記コンバスタチューブの材料としては、セラミックを用いる場合が多い。セラミックは、高い耐熱性を有する反面、靭性が低いため大きな外力を受けると破損しやすい。そのため、例えば、セラミック製の上記コンバスタチューブに固定用の貫通穴を設け、その他の構成部品と共に、ボルト等により共締めして固定した場合、締付力により破損する場合がある。
【0019】
これに対し、上記のごとく、上記コンバスタチューブを、上記基部の外周部を上記ガスケットを介して、両面から上記固定フランジにより挟持した場合には、上記ガスケットを圧縮しながら固定されるため、上記基部にかかる圧力を低減し、最適な固定状態とすることができる。尚、上記基部の両面に配される上記固定フランジにおいて、固定時における上記基部を挟持する面の間の距離は、上記基部の厚さと圧縮状態にある上記ガスケットの厚さとを加えたものとする。
【0020】
また、上記基部の貫通穴における内径の面積X1(mm)から上記ホールドエアパイプの外径をなす円の面積X2(mm)を除した面積をX(mm)とし、複数の上記3次エア孔の面積を合計した面積をY(mm)としたとき、2X≦Y≦4Xの関係にあることが好ましい(請求項4)。この場合には、上記2次エア孔に流入する上記2次エアの量と、上記3次エア孔に流入する上記3次エアの量との割合を理想に近い状態とし、上記リジェネラジアントチューブバーナの加熱効率を向上させることができる。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるリジェネラジアントチューブバーナ1について、図1〜図6を用いて説明する。
尚、図3は、コンバスタチューブ3、ホールドエアパイプ43、ガスパイプ44及びガスノズル441以外の記載は省略したものである。
【0022】
本例に示すリジェネラジアントチューブバーナ1は、図1〜図3に示すごとく、熱処理炉5内に配設するラジアントチューブ2と、該ラジアントチューブ2の両端部に配設された一対のガスバーナ4とを備えてなる。ガスバーナ4は、燃焼ガスを噴出させるガスノズル441を先端に設けたガスパイプ44と、該ガスパイプ44の外側に当該ガスパイプ44と二重管状となるように配置された1次エア供給用のホールドエアパイプ43と、該ホールドエアパイプ43を囲うように配置された蓄熱体42を収容したバーナボディ41とを有してなる。バーナボディ41の先端には、ラジアントチューブ2の中において先端を開口させた円筒状のコンバスタチューブ3が接続されている。該コンバスタチューブ3は、図4及び図5に示すごとく、中央に貫通形成された2次エア孔311を有する円板状の基部31と、該基部31の2次エア孔311の内周部又はその近傍から立設した中空円筒部32からなる。また、コンバスタチューブ3は、基部31の外周部が上記バーナボディ41に接続されており、コンバスタチューブ3の基部31には、バーナボディ41からコンバスタチューブ3とラジアントチューブ2の間へと3次エアを送るための複数の3次エア孔312を貫通形成してある。ラジアントチューブ2とコンバスタチューブ3との間には、3次エアが流通する3次エア流路313を形成してある。本例に示すリジェネラジアントチューブバーナ1は、図3に示すごとく、ガスノズル441の先端部をコンバスタチューブ3の2次エア孔311の内周側に挿入配置してなる。
【0023】
以下詳説する。
図1に示すごとく、本例のリジェネラジアントバーナ1は、W字形状のラジアントチューブ2の両端にそれぞれガスバーナを設けたものであり、この一対のガスバーナは、同様の構造を有する。説明の都合上、バーナボディ41を配した側を後方とし、コンバスタチューブ3を配した側を前方とする。また、コンバスタチューブ3等において、後方に配される端部を基端とし、前方に配される端部を先端とする。
【0024】
図2に示すごとく、本例のガスバーナ4は、該ガスバーナ4の中心軸線上に配されたホールドエアパイプ43と、該ホールドエアパイプ43の周囲に配された蓄熱体42と、ホールドエアパイプ43と蓄熱体42とを内側に配するバーナボディ41とを有している。
【0025】
本例のホールドエアパイプ43は、図2及び図3に示すごとく、1次エアを通過させて噴出させる1次エア流路を有し、その内側に燃焼ガスを流通させて噴出させるガスパイプ44と、ガスバーナ4の点火を行うためのスパークロッド45を挿入配置してなる。ガスパイプ44の先端部には、燃料噴出孔を有するガスノズル441を設けてあり、燃焼ガスを後述のコンバスタチューブ3内へ噴出するよう構成してある。また、ガスノズル441の先端部は、ホールドエアパイプ43の先端部の端面から前方に突出するように配されている。
【0026】
本例においては、図3に示すごとく、ガスノズル441の先端部が、コンバスタチューブ3の基端部側の端面より前方に向かって距離Lだけ挿入配置されている。ガスノズル441の先端部の挿入距離Lの大きさは適宜選択できるが、基部31の厚み程度が好ましい。挿入距離Lが、大きすぎる場合、一次燃焼を開始する位置までの距離が長くなり、その分、コンバスタチューブ3を延長する必要があり、コンバスタチューブ3の大型化を招くおそれがある。また、本例のガスバーナ4は、ガスノズル441から噴出させた燃焼ガスの一部と、1次エア流路から噴出させた1次エアとを燃焼させて保炎を行うよう構成してある。
【0027】
バーナボディ41は、図2に示すごとく、略円筒形状を有しており、その外周面には、燃焼空気を流入する空気流入口412を配してある。また、バーナボディ41の先端側には、縮径された開口部が形成されており、該開口部には、ラジアントチューブ2にガスバーナ4を取付けるためのバーナ取付フランジ413が形成してある。また、バーナボディ41の内側には、ホールドエアパイプ43を挿通するホールドエアパイ内筒部411を設けてあり、バーナボディ41の外周面と内筒部411の間に上記の蓄熱体42が収容されている。バーナボディ41の外周面と内筒部411との間に形成される蓄熱体42を配した空間には、空気流入口412から流入した空気を流通させることができ、蓄熱体42に蓄熱した熱により、流入する空気を予熱し昇温することができる。
【0028】
本例の蓄熱体42は、図2に示すごとく、球状のセラミックス(図示略)からなり、ホールドエアパイプ43の周囲に多数配置してある。この蓄熱体42は、後述するバーナボディ41の外カバー411と内筒部411との間のスペースを埋めるように配置してある。尚、蓄熱体42としては、多数の孔を有する多孔質体からなるセラミックスフォーム、又は格子状の多数のセルを形成してなるセラミックスハニカムを用いることもできる。
【0029】
ラジアントチューブ2は、図1及び図2に示すごとく、耐熱鋳鋼からなり、その両端部における外周面に略長方形の平板からなるラジアントチューブ固定フランジ部25を溶接により配設してある。ラジアントチューブ2は、該ラジアントチューブ固定フランジ部25を熱処理炉5の炉壁に配された棒ネジ51とバーナ固定用ナット52とによって、熱処理炉5の炉壁にバーナボディ41と共締めすることにより固定されている。
【0030】
また、ラジアントチューブ2は、図1に示すごとく、一対のガスバーナ4を両端部に配設し、該両端部から垂直方向に垂下した第1ストレート部21の下端と、この第1ストレート部21に平行に並列配置した2つの第2ストレート部22の下端とをそれぞれ曲線状の第1ベンド部23によって連結してなると共に、第2ストレート部22の上端同士を、曲線状の第2ベンド部24によって連結してなるW字形状を有している。同図において、燃焼時における火炎Hを2点鎖線によって示してある。
【0031】
図2に示すごとく、上記のガスバーナ4とラジアントチューブ2との間には、一対の固定フランジ34によって、ガスケット33を介して挟持されたコンバスタチューブ3を配してなる。
一対の固定フランジ34は、図6に示すごとく、押えフランジ35と受けフランジ36とによって構成されている。押えフランジ35は、同図中に示すごとく、後述するコンバスタチューブ3の基部31の外径よりも大きい円板形状を有しており、中央部にガスバーナ4から送られる燃焼空気及び他方のガスバーナ4から送られる排気ガスを流通させる流通孔351を設けてある。該流通孔351は、後述する3次エア孔312の外接円よりも大きく、その円周方向における外側には、コンバスタチューブ3及びバーナボディ41とのシール面となるシール部352が形成されている。該シール部352はコンバスタチューブ3の基部31の外径と略同一の外径を有している。また、該シール部352の周囲には、当該シール部352よりも板厚が厚い締結部353を有している。該締結部353は、シール部352の両面に対して同じ厚さ分突出するように形成されており、コンバスタチューブ3の基部31及びバーナボディ41のバーナ取付フランジ413に設けた段部と嵌合可能に構成されている。また、締結部353には、ラジアントチューブ2に設けた棒ネジ51を挿通する棒ネジ挿通穴354と、押えフランジ35と受けフランジ36とコンバスタチューブ3を仮固定する際に用いるタップ穴35とを設けてある。
【0032】
受けフランジ36は、図6に示すごとく、押えフランジ35と同様にコンバスタチューブ3の基部31の外径よりも大きい円板形状を有しており、中央部にガスバーナ4から送られる燃焼空気及び他方のガスバーナ4から送られる排気ガスを流通させる流通孔361を設けてある。該流通孔361は、後述する3次エア孔312の外接円よりも大きく、その円周方向における外側には、コンバスタチューブ3及びバーナボディ41とのシール面となるシール部362が形成されている。該シール部362はコンバスタチューブ3の基部31の外径と略同一の外径を有している。また、該シール部362の周囲には、当該シール部362よりも板厚が厚い締結部363を有している。該締結部363は、コンバスタチューブ3の基部31に向かって突出するように形成されており、コンバスタチューブ3の基部31と嵌合可能に構成されている。また、締結部363には、ラジアントチューブ2に設けた棒ネジ51を挿通する棒ネジ挿通穴364と、押えフランジ35と受けフランジ36とコンバスタチューブ3を仮固定する際に用いるボルトを挿通するボルト挿通穴365とを設けてある。
【0033】
尚、取付け状態において対向する押えフランジ35のシール部352と、受けフランジ36のシール部362とのシール面間距離は、それぞれの締結部353、363の厚さにより決定される。上記シール面間距離は、コンバスタチューブ3の基部31の板厚に圧縮時のガスケット33の厚さを加えた距離としてある。
ガスケット33は、図6に示すごとく、上記の押えフランジ35及び受けフランジ36におけるシール部352のシール面と略同一のリング形状を有している。該ガスケット33は、固定時の締付力により圧縮されるよう構成されており、メタルジャケットガスケット33等を用いることが好ましい。
【0034】
コンバスタチューブ3は、図4及び図5に示すごとく、中央に貫通形成された2次エア孔311を有する円板状の基部31と、該基部31の2次エア孔311の近傍から立設した中空円筒部32からなる。本例のコンバスタチューブ3は、セラミック製であり基部31及び中空円筒部32は一体に成形されている。基部31には、バーナボディ41から、ラジアントチューブ2とコンバスタチューブ3との間に形成された3次エア流路313へと3次エアを送るための10個の3次エア孔312を同一円周上に等間隔で設けてある。本例においては、基部31の2次エア孔311の内径D1を、中空円筒部32の内径D1よりも小さく設定してあり、コンバスタチューブ3の内周面に突出した内鍔部314が形成してある。
【0035】
本例においては、図4に示すごとく、コンバスタチューブ3の基部31の内径D1(mm)と、ホールドエアパイプ43の外径D3(mm)と、基部31の内径D1から中空円筒部32の内径D2を除した寸法H(mm)とは、0≦H<(D1−D3)/2の関係にある。
また、基部31の2次エア孔311における内径の面積X1(mm)からホールドエアパイプ43の外径をなす円の面積X2(mm)を除した面積をX(mm)とし、複数の3次エア孔312の面積を合計した面積をY(mm)としたとき、2X≦Y≦4Xの関係にある。
【0036】
次に、本例におけるラジアントチューブ2へのガスバーナ4及びコンバスタチューブ3の取付け方法を図2及び図6を用いて説明する。
図6に示すごとく、コンバスタチューブ3、一対の固定フランジ34及びガスケット33の仮固定を行う。受けフランジ36のシール面にガスケット33を配し、次いで、受けフランジ36の流通孔351にコンバスタチューブ3を挿通し、該コンバスタチューブ3の基部31を受けフランジ36の締結部353の内側に勘合させる。次に、押えフランジ35の一方のシール面にガスケット33を配し、該ガスケット33を配した側のシール面をコンバスタチューブ3の基部31に当接させ、該基部31を締結部353の内側に勘合させる。次に、仮固定用ボルト37を受けフランジ36のボルト挿通穴365に挿通し、押えフランジ35のタップ穴35に締め付け固定を行う。これにより、コンバスタチューブ3、一対の固定フランジ34及びガスケット33の仮固定が完了し、コンバスタチューブモジュール30が形成される。
【0037】
次いで、図2に示すごとく、コンバスタチューブモジュール30を、ラジアントチューブ2の内側に挿通すると共に、ラジアントチューブ固定フランジ部25に設けた棒ネジ51を、コンバスタチューブモジュール30をなす一対の固定フランジ34(押えフランジ35、受けフランジ36)の棒ネジ挿通穴354に挿通する。次いで、ガスバーナ4を、バーナボディ41のバーナ取付けフランジ415に設けた段部をコンバスタチューブモジュール30の押えフランジ35が有する締結部353の内側に勘合させると共に、バーナ取付けフランジ415に設けた棒ネジ挿通穴354に挿通させる。そして、棒ネジ51にバーナ固定用ナット52を締付け、ガスバーナ4及びコンバスタチューブモジュール30をラジアントチューブ2に共締め固定する。このとき、1対の固定フランジ34とコンバスタチューブ3の間に配されたガスケット33が圧縮されることにより、コンバスタチューブ3を破損することなく、最適な保持状態で保持される。
【0038】
このように組付けられたリジェネラジアントチューブバーナ1においては、一方のガスバーナ4によって燃焼を行い、ラジアントチューブ2内を通過した後の排気ガスの排熱は、他方のガスバーナ4における蓄熱体42によって回収される。すなわち、排気ガスがバーナボディ41内における蓄熱体42に接触することにより、排熱回収が行われる。また、この排熱回収を行う際には、排気ガスGの熱を、ラジアントチューブ2及びコンバスタチューブ3が吸熱することで両者の温度が上昇する。さらに、この温度低下後の排気ガスの熱を、バーナボディ41に収容された蓄熱体42が蓄熱することにより、排気ガスの排熱回収を行うことができる。
【0039】
また、排熱回収を行った側のガスバーナ4において燃焼を行う際には、バーナボディ41に収容された蓄熱体42に接触し昇温した燃焼空気が、2次エア孔311及び3次エア孔312へと流入する。2次エア孔311とホールドエアパイプ43及びガスノズルとの間から、コンバスタチューブ3内に流入した2次エアは、ガスノズルから噴出された燃料ガスと混合され、コンバスタチューブ3内において一次燃焼を行う。これにより、コンバスタチューブ3内からラジアントチューブ2内に向けて、燃料リッチな不完全な燃焼状態の火炎Hが形成される。
【0040】
そして、3次エア孔312に流入し、3次エア流路313を流通した3次エアが上記火炎Hに供給されることにより、二次燃焼が行われる。これにより、ラジアントチューブ2内において、一次燃焼において未燃状態にあった燃焼ガスを燃焼させることができる。
このように、本例においては、一次燃焼と二次燃焼との2段階燃焼を行うことにより、急激な燃焼を抑え、NOxの排出量を低減させることができる。
【0041】
さらに、本例において注目すべきことは、コンバスタチューブ3は、基部31の外周部がバーナボディ41に接続されており、ガスノズル441の先端部をコンバスタチューブ3の2次エア孔311の内周側に挿入配置してなることである。
これにより、ガスノズル441と、コンバスタチューブ3とは、共にバーナボディ41に配設されており、両者は、常に一定の位置関係となる。
【0042】
また、ガスノズルの先端部が、コンバスタチューブ3の2次エア孔311の内周側に挿入配置されることにより、ガスノズル及びホールドエアパイプ43と、2次エア孔311との間の距離により、2次エア孔311からコンバスタチューブ3内に流入する2次エアの流量を決定する事ができ、2次エアの流量調整を容易とすることができる。したがって、コンバスタチューブ3内に流入する2次エアの流量を安定させ、コンバスタチューブ3内で行われる一次燃焼の燃焼効率を向上することができる。
【0043】
また、コンバスタチューブ3は、ガスバーナ4とラジアントチューブ2との間に挟持することで、固定されているため、コンバスタチューブ3の配設方向を自由に設定することができる。そのため、リジェネラジアントチューブバーナ1の構造における自由度を向上することができる。
【0044】
また、コンバスタチューブ3の基部31には、バーナボディ41からコンバスタチューブ3とラジアントチューブ2の間へと3次エアを送るための複数の3次エア孔312を貫通形成してある。これにより、3次エア流路313における3次エアの流量及び流通状態を理想の状態に近づけることができる。本例においては、3次エア孔312を、基部31の円周方向に等間隔で配している。そのため、3次エア流路313を流通する3次エアの流量を、円周方向全周において、略均等とすることができる。これにより、コンバスタチューブ3の先端部前方において行われる二次燃焼における、燃焼の偏りを防止し、燃焼効率を向上することができる。
【0045】
上記のごとく、一次燃焼及び二次燃焼に対する2次エア及び3次エアの供給量を安定化し、一次燃焼及び二次燃焼の燃焼状態を最適な状態に近づけることにより、リジェネラジアントチューブバーナ1の2段階燃焼の燃焼状態をより理想に近い状態とすることができ、加熱効率を向上させることができる。
【0046】
また、コンバスタチューブ3をなす基部31と中空円筒部32とは、基部31の2次エア孔311の内径D1(mm)が中空円筒部32の内径D2(mm)よりも小さく設定してある。そのため、基部31の2次エア孔311の内径D1(mm)により、2次エア孔311に流入する2次エアの流量を調整すると共に、中空円筒部32の内径D2(mm)を、二次燃焼を行うのに適した内径とし、空間を確保することができる。これにより、二次燃焼における燃焼効率をより理想の状態に近づけることができる。
【0047】
また、コンバスタチューブ3の基部31の内径D1(mm)と、ホールドエアパイプ43の外径D3(mm)と、基部31の内径D1から中空円筒部32の内径D2を除した寸法H(mm)とは、0≦H<(D1−D3)/2の関係にある。これにより、確実に2次エアを上記コンバスタチューブ3の内側に供給することができる。
【0048】
また、コンバスタチューブ3は、基部31をガスケット33を介して、両面から固定フランジ34(押えフランジ35、受けフランジ36)により挟持されると共に、上記固定フランジ34をガスバーナ4とラジアントチューブ2との間において挟持することにより保持されている。そのため、コンバスタチューブ3の破損を防止すると共に、耐久性に優れた保持状態とすることができる。本例において、コンバスタチューブ3は、基部31の外周部をガスケット33を介して、両面から固定フランジ34により挟持してある。このとき、ガスケット33を圧縮しながら固定するため、基部31にかかる圧力を低減し、最適な固定状態とすることができる。
【0049】
また、基部31の貫通穴における内径の面積X1(mm)からホールドエアパイプ43の外径をなす円の面積X2(mm)を除した面積をX(mm)とし、複数の3次エア孔312の面積を合計した面積をY(mm)としたとき、2X≦Y≦4Xの関係にある。これにより、2次エア孔311に流入する2次エアの量と、3次エア孔312に流入する上記3次エアの量との割合を理想に近い状態とし、リジェネラジアントチューブバーナ1の加熱効率を向上させることができる。
【0050】
(実施例2)
本例は、図7及び図8に示すごとく、実施例1のコンバスタチューブ3に対して、基部31の2次エア孔311の内径D1及び3次エア孔312の数量及び形状を変更した例である。本例においては、2次エア孔311の内径D1と中空円筒部32の内径D2とを同一としてある。また、3次エア孔312の数量を6個とし、形状を長円形状としてある。
リジェネラジアントチューブバーナ1の燃焼条件によっては、本例のコンバスタチューブ3を用いた場合においても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。尚、本例に示すコンバスタチューブ3は、その形状の一例を示すものであり、リジェネラジアントチューブバーナ1の燃焼条件に応じて、種々の形状を用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 リジェネラジアントチューブバーナ
2 ラジアントチューブ
3 コンバスタチューブ
31 基部
311 2次エア孔
312 3次エア孔
313 3次エア流路
32 中空円筒部
33 ガスケット
34 固定フランジ
4 ガスバーナ
41 バーナボディ
42 蓄熱体
43 ホールドエアパイプ
44 ガスパイプ
441 ガスノズル
5 熱処理炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理炉内に配設するラジアントチューブと、該ラジアントチューブの両端部に配設された一対のガスバーナとを備えたリジェネラジアントチューブバーナにおいて、
上記ガスバーナは、燃焼ガスを噴出させるガスノズルを先端に設けたガスパイプと、該ガスパイプの外側に当該ガスパイプと二重管状となるように配置された1次エア供給用のホールドエアパイプと、該ホールドエアパイプを囲うように配置された蓄熱体を収容したバーナボディとを有してなり、
上記バーナボディの先端には、上記ラジアントチューブの中において先端を開口させた円筒状のコンバスタチューブが接続されており、
該コンバスタチューブは、中央に貫通形成された2次エア孔を有する円板状の基部と、該基部の上記2次エア孔の内周部又はその近傍から立設した中空円筒部からなると共に、上記基部の外周部が上記バーナボディに接続されており、
上記コンバスタチューブの上記基部には、上記バーナボディから上記コンバスタチューブと上記ラジアントチューブの間へと3次エアを送るための複数の3次エア孔を貫通形成してあり、
上記ラジアントチューブと上記コンバスタチューブとの間には、上記3次エアが流通する3次エア流路を形成してあり、
上記ガスノズルの先端部を上記コンバスタチューブの上記2次エア孔の内周側に挿入配置してなることを特徴とするリジェネラジアントチューブバーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のリジェネラジアントチューブバーナにおいて、上記コンバスタチューブをなす上記基部と上記中空円筒部とは、上記基部の上記2次エア孔の内径D1が上記中空円筒部の内径D2よりも小さく設定してあることを特徴とするリジェネラジアントチューブバーナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリジェネラジアントチューブバーナにおいて、上記コンバスタチューブは、上記基部をガスケットを介して、両面から固定フランジにより挟持されると共に、上記固定フランジを上記ガスバーナと上記ラジアントチューブとの間において挟持することにより保持されていることを特徴とするリジェネラジアントチューブバーナ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリジェネラジアントチューブバーナにおいて、上記基部の貫通穴における内径の面積X1(mm)から上記ホールドエアパイプの外径をなす円の面積X2(mm)を除した面積をX(mm)とし、複数の上記3次エア孔の面積を合計した面積をY(mm)としたとき、2X≦Y≦4Xの関係にあることを特徴とするリジェネラジアントチューブバーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−141100(P2012−141100A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294508(P2010−294508)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000140362)株式会社横井機械工作所 (9)
【Fターム(参考)】