説明

リセット機能付スイッチ

【課題】ロックピンと該ロックピンを係止する部材との間の摩耗を低減する。
【解決手段】本発明のリセット機能付スイッチにおいて、ハートカム部46は、ロック位置Lからロックピン動作端が付勢する側へ延び、かつ係止中にはロックピン係止突起42aにより遮られているロック解除通路IVを有する。ロックピン動作端の付勢力によりロックピン係止突起42aが移動し、ロック解除通路IVを開通させることでロック状態を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リセット機能付スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オン状態(ロック状態)を解除する自己復帰機能(リセット機能)を有するスイッチ(以下、リセット機能付スイッチ)が提案されている。リセット機能付スイッチは、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
この種のスイッチは、ソレイドの吸引力により駆動カムが駆動する。そして、この駆動カムの駆動により、ロックカム係止部に係止されたロックピンが移動し、ロック状態が解除される。図9及び図10は、特許文献1に開示されたリセット機能付スイッチの構造及びロック解除機構の構成を示す図である。
【0004】
特許文献1に開示されたリセット機能付スイッチにおいて、スライダ部材121を押し込むと、ロック位置となる(図9(a))。この状態では、ロックピン127の動作端127bがロックカム係止部130に係止されスライダ部材121が押込位置でロックされる。
【0005】
図9(a)の状態で、自己復帰機能(リセット機能)を動作させると、ソレノイド(不図示)が励磁されて、ソレノイドの吸引力により鉄芯(不図示)を介して駆動カム123がカム突起部126を中心にして反時計回り方向に回動する。そして、図9(b)に示されるように、駆動カム123の先端部124がスライダ部材121のスライド方向に略沿って移動する。そして、駆動カム123の傾斜面125aがロックピン127の動作端127bに当接して、傾斜面125aにより動作端127bはロックカム係止部130から外れる方向(図9(b)における下方向)に移動し、ロックが解除される。
【0006】
このロック解除により、図10(a)に示されるように、スライダ部材121は、復帰用ばね部材(不図示)の付勢力によって、図10(a)における左方向にスライドさせられる。
【0007】
そして、スライダ部材121が左方向にスライドすると、ロックピン127が動作端127bはハートカム部129により図10(a)において上方向に移動する。そして、ロックピン127の動作端127bの移動に伴って傾斜面125aを介して駆動カム123がカム突起部126を中心にして時計回りに回動する。そして、スライダ部材121の復帰が完了すると、図10(b)に示されるように、ロックピン127の動作端127bは、ハートカム部129により、ロック位置における位置よりもやや上方に至り、また、この状態で、ロックピン127の動作端127bは山形の傾斜面25a,25bの頂部に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3277972号公報(2002年 2月15日登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたリセット機能付スイッチには、駆動カム123の先端部124とロックピン127の動作端127bとが摩耗してしまうという問題がある。
【0010】
図9に示されるように、特許文献1に開示されたリセット機能付スイッチにおいては、ロック状態において、ロックピン127の動作端127bは、スライダ部材121の押し込み方向に付勢された状態でロックカム係止部130に係止されている。そして、自己復帰(リセット)するために、動作端127bの付勢方向と反対方向で、かつこの付勢力よりも大きい駆動力で、駆動カム123の先端部124を動作端127bに当接させている。そして、その状態で、動作端127bが駆動カム123の傾斜面125aに沿って移動するので、駆動カム123の先端部124とロックピン127の動作端127bとが摩耗してしまう。
【0011】
その結果、特許文献1に開示されたリセット機能付スイッチは、駆動カム123及びロックピン127の耐久性が低下し、リセット機能が不良になるおそれがある。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロックピンと該ロックピンを係止する部材との間の摩耗を低減することができるリセット機能付スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のリセット機能付スイッチは、上記の課題を解決するために、第1方向への押込操作により回路の開閉動作を行うための押込部材と、一方の端が上記押込部材に連結されたロックピンと、ロックピンにおける上記押込部材と反対側の動作端を押込部材の移動に合わせて案内するカム溝が設けられたカム部と、上記第1方向と反対側の第2方向へ付勢する上記動作端を係止し、ロック位置に保持する係止部と、外部信号の入力により上記係止部と上記動作端との係止を解除する解除機構とを備え、上記カム部は、上記ロック位置から上記動作端が付勢する側へ延び、かつ上記係止中には上記係止部により遮られているロック解除用カム溝を有し、上記解除機構は、上記係止部を上記第2方向へ移動させて、上記ロック解除溝を開通させることで上記係止を解除することを特徴としている。
【0014】
第1方向への押込操作により回路の開閉動作を行うための押込部材と、一方の端が上記押込部材に連結されたロックピンと、ロックピンにおける上記押込部材と反対側の動作端を押込部材の移動に合わせて案内するカム溝が設けられたカム部と、上記第1方向と反対側の第2方向へ付勢する上記動作端を係止し、ロック位置に保持する係止部と、外部信号の入力により上記係止部と上記動作端との係止を解除する解除機構とを備えた構成としているので、このリセット機能付スイッチの構成によれば、押込部材の押込操作による回路(スイッチ回路)の開閉動作に連動して、ロックピンの動作端がカム部のカム溝を摺動するようになっている。そして、回路の閉状態を維持するロック状態においては、上記動作端は、上記第1方向と反対側の第2方向へ付勢した状態になっており、上記係止部による係止によりロック位置に保持されている。そして、外部信号が入力されると解除機構が上記係止部と上記動作端との係止を解除し、ロック状態が解除されスイッチがオフ状態にリセットされる。
【0015】
さらに、上記カム部は、上記ロック位置から上記動作端が付勢する側へ延び、かつ上記係止中には上記係止部により遮られているロック解除用カム溝を有し、上記解除機構は、上記動作端の付勢力により上記係止部を上記第2方向へ移動させて、上記ロック解除溝を開通させることで上記係止を解除し、上記係止部に対し上記第1方向の復帰力を掛けて、上記係止部を上記ロック位置に戻す構成になっている。
【0016】
この構成によれば、外部信号が入力されると、解除機構により、ロック状態にあった(上記係止部により係止されていた)上記動作端は、上記第2方向へ移動する。そして、これに伴い上記係止部は上記第2方向に移動しロック解除用カム溝が開通し、上記動作端は、ロック解除用カム溝を摺動することになる。さらに、ロック解除用カム溝は、上記ロック位置から上記動作端が付勢する側へ延びているので、上記動作端は、その付勢力に逆らうことなくロック解除用カム溝を摺動して、ロック状態が解除される。
【0017】
それゆえ、上記の構成によれば、動作端の付勢方向と反対方向で、かつこの付勢力よりも大きい駆動力で(動作端の付勢力に逆らって)動作端を移動させる従来のリセット機能付スイッチと比較して、ロックピンと係止部との間の摩耗を低減することが可能になる。
【0018】
よって、上記の構成によれば、ロックピンと該ロックピンを係止する部材との間の摩耗を低減することができるリセット機能付スイッチを提供することができる。
【0019】
また、本発明のリセット機能付スイッチは、上記係止部を有する摺動部材と、鉄芯及びソレノイド本体を有し、鉄芯とソレノイド本体との間の吸引力により上記摺動部材の上記係止部を上記ロック位置に固定するソレノイド部材と、上記摺動部材が上記第2方向に移動したときに、上記動作端の付勢力よりも小さい上記復帰力を発生させる弾性部材とを備え、上記解除機構は、上記外部信号を上記ソレノイド部材に入力させ、上記摺動部材とソレノイド部材との固定を解除することで上記係止部を上記第2方向に可動させることが好ましい。
【0020】
従来のリセット機能付スイッチでは、ソレノイドの吸引力により鉄芯を介して駆動カムを、カム突起部を中心にして反時計回り方向に回動させて駆動し、駆動カムの駆動機構にてこの原理を利用している。このため、スイッチが大型化するという第2の問題がある。
【0021】
また、従来のリセット機能付スイッチでは、ロック解除するに際し、駆動カムは、ソレノイドの鉄芯及びロックピンのみにより支持されている。それゆえ、外部からの衝撃や振動が加わると簡単に駆動カムがロックピンから外れるという第3の問題がある。
【0022】
上記の構成によれば、従来のリセット機能付スイッチにおける第2及び第3の問題を招来しない。
【0023】
上記の構成によれば、上記係止部を有する摺動部材は、ソレノイド部材における鉄芯とソレノイド本体との間の吸引力により固定されているので、従来のリセット機能付スイッチよりもロックピンを係止する係止部材(ここでは摺動部材)が安定して固定されている。よって、上記の構成によれば、外部からの衝撃や振動が加わっても摺動部材がロックピンから外れることないリセット機能付スイッチを実現できる。
【0024】
さらに、上記の構成によれば、上記解除機構は、上記外部信号を上記ソレノイド部材に入力させ、上記摺動部材とソレノイド部材との固定を解除することで上記係止部を上記第2方向に可動させるので、従来のリセット機能付スイッチのようなてこの原理を必要としない。よって、上記の構成によれば、小型化したリセット機能付スイッチを実現できる。
【0025】
また、本発明のリセット機能付スイッチでは、上記解除機構は、上記動作端の付勢力により上記係止部を上記第2方向へ移動させて、上記ロック解除溝を開通させることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、上記解除機構は、上記動作端の付勢力により上記係止部を上記第2方向へ移動させて、上記ロック解除溝を開通させるので、解除機構に上記係止部を上記第2方向へ移動させる部材を設ける必要がない。それゆえ、上記の構成によれば、より簡単な構成でロック解除を実現することができる。
【0027】
また、本発明のリセット機能付スイッチでは、上記解除機構は、上記係止部に対し上記第1方向の復帰力を掛けて、上記係止部を上記ロック位置に戻すことが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、上記解除機構は、上記係止部に対し上記第1方向の復帰力を掛けて、上記係止部を上記ロック位置に戻すので、ロック状態を解除した後、速やかにロック状態に戻すことができ、動作がスムーズになるという効果がある。
【0029】
また、本発明のリセット機能付スイッチでは、上記カム部には、オン動作時の押込部材の移動に合わせて上記動作端を案内するオン動作用カム溝と、オフ動作時の押込部材の移動に合わせて上記動作端を案内するオフ動作用カム溝とが形成されていることが好ましい。
【0030】
本発明のリセット機能付スイッチは、上記ロック解除用カム溝とは別に、上記カム部に、オン動作時の押込部材の移動に合わせて上記動作端を案内するオン動作用カム溝と、オフ動作時の押込部材の移動に合わせて上記動作端を案内するオフ動作用カム溝とが形成されている。すなわち、本発明のリセット機能付スイッチは、いわゆる「ハートカム」を備えている。このようなハートカムを備えたスイッチにおいても本発明を適用することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のリセット機能付スイッチは、以上のように、上記カム部は、上記ロック位置から上記動作端が付勢する側へ延び、かつ上記係止中には上記係止部により遮られているロック解除用カム溝を有し、上記解除機構は、上記動作端の付勢力により上記係止部を上記第2方向へ移動させて、上記ロック解除溝を開通させることで上記係止を解除する構成である。
【0032】
それゆえ、本発明によれば、ロックピンと該ロックピンを係止する部材との間の摩耗を低減することができるリセット機能付スイッチを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の実施形態のスイッチ(リセット機能付スイッチ)の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたスイッチの分解斜視図である。
【図3】図1に示されたスイッチの初期状態での内部構造を示す斜視図である。
【図4】図1に示されたスイッチにおけるハートカム部近傍を拡大した斜視図である。
【図5】(a)及び(b)は、図4に示されたハートカム部の外周溝の構成を示す上面図である。
【図6】スイッチ回路の閉動作、及びオン状態を維持するロック動作中の、ハートカム部におけるロックピン動作端の動きを示す表である。
【図7】スイッチ回路の開動作中の、ハートカム部におけるロックピン動作端の動きを示す表である。
【図8】スイッチ1のロック解除動作中の、ハートカム部におけるロックピン動作端の動きを示す表である。
【図9】特許文献1に開示されたリセット機能付スイッチの構造及びロック解除機構の構成を示す図である。
【図10】特許文献1に開示されたリセット機能付スイッチの構造及びロック解除機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
(1)リセット機能付スイッチの構成
まず、本実施形態のリセット機能付スイッチの構成について説明する。図1(a)及び(b)は、本実施形態のスイッチ(リセット機能付スイッチ)1の外観を示す斜視図である。図2は、スイッチ1の分解斜視図である。
【0036】
スイッチ1は、いわゆるプッシュタイプのスイッチであり、ハウジング2と、ハウジング2に収容されたプランジャ部3、ソレノイド部4、及び端子スイッチング部5とを備えている。
【0037】
プランジャ部3は、プランジャ本体(押込部材)31と、接点バネ32・33とを備えている。プランジャ本体31は、押込操作を行うための操作部31aを有する。また、ハウジング2には、操作部31aを挿入するための挿入口2aが設けられている。また、プランジャ本体31は、接点バネ32・33を取り付けるための接点バネ取付部31bを有している。
【0038】
スイッチ1においては、操作部31aを介して押込操作することにより、スイッチ回路の開閉を制御するようになっている。初期状態(オフ状態)において操作部31aの押込操作を行うと、操作部31aがハウジング2内部に収まりながら、スイッチ1は、スイッチ回路が閉じてオン状態になる。そして、操作部31aが最も押し込まれた位置を経由した後でハウジング2から突出しロック状態になる。このロック状態では、スイッチ回路がオン状態を維持しながらスイッチ1がロックされている。そして、ロック状態から再度突出した操作部31aを押し込むと、スイッチ1は、スイッチ回路が開いて初期状態に戻る。本実施形態のスイッチ1は、特定の外部信号を入力したときにロック状態を解除するロック解除機構(リセット機能)を備えている。スイッチ1におけるスイッチ回路の開閉制御機構およびロック解除機構については、後述する。
【0039】
ソレノイド部4は、ソレノイドケース41と、スライダ部材(摺動部材)42と、復帰バネ43と、ソレノイド部材44と、ソレノイドカバー45とを備えている。ソレノイド部材44は、ソレノイドケース41およびソレノイドカバー45により形成された空間内に収容される。
【0040】
そして、ソレノイド部材44には、スライダ部材42及び復帰バネ43が取り付けられる。スライダ部材42は、スライダ係合部42cにてソレノイド部材44と係合している。ソレノイド部材44は、鉄芯44aとソレノイド本体44bとを備えており、鉄芯44aがソレノイド本体44bに挿入されている。また、鉄芯44aには凹部44cが設けられている。この凹部44cにスライダ係合部42cが挿入される。なお図示していないがソレノイド本体44bは磁性材からなるヨークと永久磁石とコイルを備えている。
【0041】
ソレノイド部材44にロック解除信号(外部信号)が入力されていない場合、鉄芯44aとソレノイド本体44bとの間を互いに吸引する吸引力が働いている。そして、この吸引力により、凹部44cに挿入されたスライダ係合部42cが固定される。その結果、スライダ部材42は、ソレノイド部材44に固定される(このときの状態を吸着状態とする)。
【0042】
ソレノイド部材44にロック解除信号(外部信号)が入力された場合、鉄芯44aとソレノイド本体44bとの間の吸引力が打ち消された状態になる。そして、鉄芯44aは、ソレノイド本体44bから離脱する。このとき、スライダ部材42は、ソレノイド部材44に固定されていない状態になる(このときの状態を離脱状態とする)。
【0043】
なお、鉄芯44aとソレノイド本体44bとの間を互いに吸引する吸引力の方向は、押込操作方向と同じである。ここで、操作部31aを介して押込操作する方向をz方向とし、スライダ部材42とソレノイド部材44との対向方向をx方向とする。操作部31aを介して押込操作する方向及びスライダ部材42とソレノイド部材44との対向方向の両方に垂直な方向をy方向とする。
【0044】
また、端子スイッチング部5は、ベース51と、可動片52・53と、接点端子54・55と、共通端子56・57とを備えている。接点端子54および共通端子56は、ベース51におけるx方向の一方の側部に隣接して搭載されている。接点端子55および共通端子57は、ベース51におけるx方向の他方の側部に隣接して搭載されている。そして、接点端子54と共通端子57とが互いに対向し、接点端子55と共通端子56とが互いに対向している。また、可動片52・53はそれぞれ、屈曲した板状体であり、一方の端に接点52A・53Aが取り付けられている。また、接点端子54・55にはそれぞれ、接点54A・55Aが取り付けられている。スイッチ1においては、接点52A及び接点54A同士、並びに接点53A及び接点55A同士が離接することで、オフ状態およびオン状態の切り替えがなされる。
【0045】
また、プランジャ部3とソレノイド部4との間には、ロックピン6が取り付けられる。ロックピン6は、丸棒の両端を互いに逆方向に直角に屈曲した形状になっている。ここで、屈曲した両端のうち一方の端をロックピン支点端6aとし、他方の端をロックピン動作端(動作端)6bとする。
【0046】
図3は、初期状態のスイッチ1の内部構造を示す斜視図である。図3において、図面の煩雑さを避けるため、可動片53およびこれに関連する接点バネ33の構成を省略している。また、可動片53およびこれに関連する接点バネ33の構成については、図示されている可動片52およびこれに関連する接点バネ32の構成と同一であるので、説明を省略する。
【0047】
ここで、可動片52の共通端子56との接触部52Cを支点とし、接点52Aと反対側の端を力端52Bとする。図3に示されるように、可動片52は、支点52Cで共通端子56と接触している。そして、可動片52は、接点52Aが、a端子54に取り付けられた接点54Aのz方向上側に位置するように配置されている。可動片52の接点52Aのz方向上側には、プランジャ本体31が配置されている。
【0048】
初期状態においては、プランジャ本体31と可動片52の接点52Aとは、接点バネ32によって互いに離間している。接点バネ32は、y方向に延びる螺旋状の金属線からなっており、この金属線の両端32a・32bは、互いに異なる方向に延びる直線形状になっている(図2参照)。接点バネ32の両端32a・32bのうち、一方の端32aはプランジャ本体31のz方向下側の面に係合しており、他方の端32bは可動片52の力端52Bに係合している。
【0049】
ソレノイドケース41は、プランジャ本体31とx方向で対向するように配置されている。そして、ソレノイドケース41におけるプランジャ本体31と対向する側の面には、ハートカム部46が形成されている。
【0050】
また、ロックピン6のロックピン支点端6aは、プランジャ本体31に形成された穴に挿入されている(不図示)。一方、ロックピン動作端6bは、ソレノイドケース41に形成されたハートカム部(カム部)46の外周溝に当接している。ロックピン6は、ロックピン支点端6aを中心にしてロックピン動作端6bがスライド可能になっている。このため、ロックピン動作端6bは、プランジャ本体31の操作部31aを介した押込操作に連動して、ハートカム部46の外周溝をスライドするようになる。
【0051】
図4は、スイッチ1におけるハートカム部46近傍を拡大した斜視図である。また、図5(a)及び(b)は、ハートカム部46の外周溝の構成を示す上面図である。
【0052】
図4並びに図5(a)及び(b)に示されるように、スライダ部材42におけるソレノイド部材44と反対側には、ソレノイドケース41側に突起したロックピン係止突起部42aが形成されている。そして、ソレノイドケース41におけるスライダ部材42と対向する側壁部(すなわちハートカム部46)には、ロックピン係止突起42aが挿入される挿入口46bが形成されている。挿入口46bのz方向の寸法は、ロックピン係止突起部42aのz方向の寸法よりも大きくなっている。このため、スライダ部材42が離脱状態となり、かつロックピン6によってロックピン係止突起42aに対しz方向上側の力がかかったとき、ロックピン係止突起42aを有するスライダ部材42はz方向上側へ移動する。z方向上側へ移動したスライダ部材42は、復帰バネ43により、スライダ部材42に対しz方向下側の復帰力がかかっている。その結果、スライダ部材42は、z方向上側へ移動した後、ロックピン6がハートカム部46に設けられているロックピン係止突起42a(スライダ部材42)から外れると共に、復帰力によりz方向下側へ移動し元の位置に戻ることになる。
【0053】
また、図5(a)及び(b)に示されるように、ハートカム部46においては、ロックピン係止突起42aを取り囲むように、外周溝(カム溝)46cが設けられている。この外周溝46cは、プランジャ本体31の押込操作に連動してスライドするロックピン動作端6bの案内溝となっている。外周溝46cにおけるロックピン動作端6bの通路は、スイッチオン通路I、ロック通路II、スイッチオフ通路III、及びロック解除通路(ロック解除用カム溝)IVとからなる。スイッチオフ通路IIIは、一部ロック解除通路IVと共通する通路がある。図5(a)に示されるように、ロック解除通路IVは、ロック状態、オフ状態、及びオン状態においては、ロックピン係止突起42aによって遮られている。一方、図5(b)に示されるように、ロック解除状態においては、上述のようにロックピン係止突起42aがz方向上側へ移動することにより、開通する。また、ロック状態において、ロックピン動作端6bは、z軸方向上側の力が働いており、ロックピン係止突起42aによって係止された状態になっている。ロック状態におけるロックピン係止突起42aの位置をロック位置Lとする。
【0054】
(2)スイッチ1におけるスイッチ回路の開閉機構
次に、スイッチ1におけるスイッチ回路の開閉機構について、説明する。まず、図3を参照して、スイッチ回路の開閉動作中の、プランジャ本体31及び可動片52の動きについて説明する。
【0055】
上述したように、初期状態(操作前)においては、プランジャ本体31は、接点バネ32の一方の端32aに係合しており、接点バネ32の弾性力によって、z方向上方へ付勢されている。一方、接点バネ32の他方の端32bは、可動片52の力端52Bを押し下げている。
【0056】
そして、プランジャ本体31の操作部31aをz方向下方へ押し下げると、接点バネ32が撓むとともに、その端32bが可動片52の力端52B上部をスライドしつつ、可動片52を引き起こす方向(接点52Aがz方向上方へ変位する方向)に付勢する。そして、プランジャ本体31が可動片52の一端を押し下げる。さらに、プランジャ本体31の操作部31aを押し込むことにより、接点バネ32の端32bが所定の位置を超えると、接点バネ32の端32bが可動片52を押し倒す方向(接点52Aがz方向下方へ変位する方向)に付勢する。このため、可動片52は、共通端子56との接触部分を支点として瞬間的に回動し、可動片52の接点52Aが接点端子54の接点54Aに接触する(オン状態)。
【0057】
次いで、プランジャ本体31の操作部31aを最下位(TTP1)まで押し込んだ後、プランジャ本体31の押圧を解除すると、接点バネ32の弾性力によりプランジャ本体31がz方向上方へ押し上げられる。その一方で、ロックピン動作端6bは、ロック位置L(ロックピン係止突起42a)で係止し(図6参照)、プランジャ本体30のz方向上方への復帰を規制し、ロック状態になる。このため、接点バネ32の端32bが可動片52を押し倒すように付勢続け、可動片52の接点52Aが接点端子54の接点54Aに接触し続ける。
【0058】
次にロック状態からオフ状態にする場合、プランジャ本体31の操作部31aを一段深くz方向へ押し下げることにより、ロックピン動作端6bがロックピン係止突起42aから離れる。次いで、操作部31aへの押圧を解除すると、接点バネ32が可動片52を押し倒す方向に付勢しつつ、プランジャ本体31をz方向上方へ押し上げる。その結果、プランジャ本体31が元の位置に復帰する。プランジャ本体31が元の位置に復帰すると、接点バネ32の端32bが所定の位置から可動片52を引き起こす方向に付勢し、可動片52が共通端子56との接触部分を支点として瞬間的に回動し、可動片52の接点52Aが接点端子54の接点54Aに乖離する(オフ状態)。
【0059】
ロックピン6は、ロックピン支点端6aでプランジャ本体31に連結されているので、スイッチ回路の開閉動作中、プランジャ本体31と連動する。ロックピン動作端6bは、プランジャ本体31の押込操作に連動して、ハートカム部46に形成された外周溝46cをスライドする。
【0060】
次に、スイッチ1におけるスイッチ回路の開閉動作に連動するロックピン動作端6bの動きについて、詳述する。図6は、スイッチ回路の閉動作(オフ状態からオン状態への動作)、及びオン状態をロックするロック動作(オン状態からロック状態への動作)中の、ハートカム部46におけるロックピン動作端6bの動きを示す表である。また、図7は、スイッチ回路の開動作(ロック状態からオフ状態への動作)中の、ハートカム部46におけるロックピン動作端6bの動きを示す表である。図6及び図7に示される表では、ロックピン動作端6bの動きに合わせて、プランジャ本体31の操作部31aの動き、ソレノイド部材44とスライダ部材との状態、及び外周溝46cの底面(プランジャ本体側からみた奥面)の高さ変化も示している。
【0061】
まず、スイッチ回路の閉動作及びロック動作に連動するロックピン動作端6bの動きについて説明する。図6中、外周溝46cの位置a、b、及びcは、図5(a)及び(b)に示されるスイッチオン通路Iにある位置である。また、位置d及びeは、ロック通路IIにある位置である。図6に示されるように、操作部31aの押込動作によりスイッチ1がオフ状態からオン状態になる間(「スイッチ回路開」から「スイッチ回路閉」の間)、ロックピン動作端6bは、位置a、b、cの順に通過する過程でオン状態になる。ここで、スイッチオン通路Iにおいて、外周溝46cの底面のレベルは、位置cを境にx方向ソレノイド本体31側にシフトしており、段差が形成されている。これにより、ロックピン動作端6bは、一旦位置cを通過しオン状態になると、位置a,b側へ戻ることがなくなる。
【0062】
次に、プランジャ本体31の操作部31aを最下位(TTP1)まで押し込んだ後、プランジャ本体31の押圧を解除すると、接点バネ32の弾性力により、ロックピン動作端6bは、接点バネ32の弾性力によりz方向上側へ付勢される。そして、ロックピン動作端6bは、ロック通路IIの位置d、eを通過し、ロック位置Lにてロックピン係止突起42aによってz方向上側への移動が係止される。このとき、操作部31aは、ハウジング2から突出した状態になっている。ここで、ロック通路IIにおいて、外周溝46cの底面のレベルは、位置dを境にx方向ソレノイド本体31側にシフトしており、段差が形成されている。これにより、ロックピン動作端6bは、一旦位置dを通過しロック位置Lで係止されると、位置a〜d側へ戻ることがなくなる。その結果、安定なロック状態を維持できるスイッチを実現することができる。
【0063】
なお、ソレノイド部材44は、スイッチ回路の閉動作、及びオン状態をロックするロック動作中、吸着状態を維持している。それゆえ、スライダ部材42のロックピン係止突起42aは、ロック位置Lに固定されている。そして、上述した鉄芯44aとソレノイド本体44bとの間の吸引力により、z方向上側へ付勢されているロックピン動作端6bは、ロックピン係止突起42a(ロック位置L)で係止される。
【0064】
次に、スイッチ回路の開動作に連動するロックピン動作端6bの動きについて説明する。図7中、外周溝46cの位置f、g、h、j及びkは、図5(a)及び(b)に示されるスイッチオフ通路IIIにある位置である。図7に示されるように、ロック状態での操作部31aを一段深く押し込むと、ロックピン動作端6bは、位置e、f、gを通過し、一旦z方向下側へ移動する。操作部31aは最も押し込まれた位置TTP2にあるとき、ロックピン動作端6bが位置gにある。ロックピン動作端6bが位置e、f、gを通過している間、スイッチ回路はオン状態である(図7の「TTP2(スイッチ回路閉)」)。そして、操作部31aへの押圧を解除すると、ロックピン動作端6bは、位置gから、接点バネ32の弾性力によりz方向上側へ付勢されて、位置h、j、kを通過する。ロックピン動作端6bが位置h、j、kを通過する過程で、スイッチ回路がオフ状態となる。そして、そして、ロックピン動作端6bが位置aに復帰する(図7の「FP(スイッチ回路開)」)。
【0065】
ここで、スイッチオフ通路IIIにおいて、外周溝46cの底面のレベルは、位置fを境にx方向ソレノイド本体31側にシフトしており、段差が形成されている。これにより、ロックピン動作端6bは、一旦位置fを通過するとロック位置Lへ戻ることがなくなる。それゆえ、ロックピン動作端6bは、位置gから、接点バネ32によるz方向上側の付勢力により、ロック位置Lへ戻ることがなくなる。その結果、安定したオフ動作を実現することができる。
【0066】
また、スイッチオフ通路IIIにおいて、外周溝46cの底面のレベルは、位置jを境にx方向ソレノイド本体31側にシフトしており、段差が形成されている。これにより、位置aを通過したロックピン動作端6bが再びスイッチオフ通路IIIに戻ることを防止することができる。
【0067】
(3)スイッチ1におけるロック解除機構(リセット機構)
次に、スイッチ1の特徴的構成であるロック解除機構について、説明する。図8は、スイッチ1のロック解除動作中の、ハートカム部46におけるロックピン動作端6bの動きを示す表である。図8に示される表では、ロックピン動作端6bの動きに合わせて、プランジャ本体31の操作部31aの動き、ソレノイド部材44とスライダ部材との状態、及び外周溝46cの底面(プランジャ本体側からみた奥面)の高さ変化も示している。
【0068】
図8中、外周溝46cの位置eから位置hへ向かう通路が、図5(a)及び(b)に示されるロック解除通路IVに含まれる通路である。
【0069】
図8に示されるように、ロック状態(スイッチ回路閉維持)において、ソレノイド部材44の状態は、吸着状態となっている。それゆえ、スライダ部材42のロックピン係止突起42aは、上述した鉄芯44aとソレノイド本体44bとの間の吸引力によって、ロック位置Lに固定されている。一方、ロックピン動作端6bは、z方向上側へ付勢した状態で、ロックピン係止突起42aによって係止されている。
【0070】
そして、ソレノイド部材44にロック解除信号が入力される(reset)と、ソレノイド部材44に上記吸引力を打ち消す力が発生する。その結果、ソレノイド部材44とスライダ部材との状態は、吸着状態から離脱状態になる。離脱状態では、上述した鉄芯44aとソレノイド本体44bとの間の吸引力が働かないので、ロックピン係止突起42aのロック位置Lでの固定が解除される。それゆえ、ロックピン係止突起42aを有するスライダ部材42は、接点バネ32の弾性力によるロックピン動作端6bの付勢力によって、鉄芯44aとともにz方向上側へ移動する。
【0071】
ロックピン動作端6bは、当該ロックピン動作端6bに掛かっている付勢力Fにより、ロックピン係止突起42aをz方向上側へ押圧し移動させるようになっている。そして、ロックピン係止突起42aに当接してz方向上側へ押し上げつつ、この押し上げにより開通したロック解除通路IV(図5(a)及び(b)参照)を通過する。そして、位置hに到達する。
【0072】
ロックピン動作端6bがロックピン係止突起42aに当接してz方向上側へ移動させている間、ロックピン係止突起42aを含むスライダ部材42には、復帰バネ43の弾性によりz方向下側へ向かう復帰力Gが掛かっている。復帰力Gは、付勢力Fよりも小さくなっているので、ロックピン係止突起42aはz方向上側へ移動することになる。
【0073】
ここで、ロックピン係止突起42aには、ロック解除通路IVを形成する側壁と同じ角度で傾斜した傾斜面42bが形成されている。それゆえ、ロック状態を解除する動作がスムーズになるという効果がある。
【0074】
この付勢力Fは、ロックピン動作端6bがロックピン係止突起42aに当接してスライドしている間、ロックピン係止突起42aに対し掛かっている。そして、ロックピン動作端6bがロックピン係止突起42aから外れた時点で、ロックピン係止突起42aに付勢力Fが掛からなくなり、z方向下側へ向かう復帰力Gのみが掛かる。そして、この復帰力Gによって、スライダ部材42のロックピン係止突起42aがz方向下側へ押し下げられ、ロック位置Lに戻る。そして、これに連動して、ソレノイド部材44が吸着状態に戻る。
【0075】
すなわち、ロックピン動作端6bは、当該ロックピン動作端6bに掛かっている付勢力Fにより、ロックピン動作端6bがロックピン係止突起42aをz方向上側へ押し上げている時点で、鉄芯44aとソレノイド本体44bとの間の吸引力が発生している。この時点で、ソレノイド部材44には、瞬間的にロック解除信号が入力されると、この吸引力と復帰力Fとの合計よりもロックピン動作端6bにかかる付勢力Fのほうが強く作用する。このため、ロックピン係止突起42aはz方向上側へ移動することになる。
【0076】
なお、復帰バネ43は、スライダ部材42がz方向上側へ移動したときに、z方向下側への復帰力を発生させるように、弾性力が設定されていればよい。復帰バネ43は、スライダ部材42がソレノイド部材44に固定されているとき、スライダ部材42をz方向下側に予圧しているか、あるいは予圧していない。スライダ部材42をz方向下側に予圧している場合、復帰バネ43はロックピン動作端6bの付勢力Fよりも小さい弾性力で予圧している。
【0077】
このようにスイッチ1は、第1方向(z方向下側)への押込操作によりスイッチ回路の開閉動作を行うためのプランジャ本体31と、一方のロックピン支点端6aがプランジャ本体31に連結されたロックピン6と、ロックピン6におけるプランジャ本体31と反対側のロックピン動作端6bをプランジャ本体31の移動に合わせて案内する外周溝46cが設けられたハートカム部46と、第1方向(z方向下側)と反対側の第2方向(z方向上側)へ付勢するロックピン動作端6bを係止し、ロック位置Lに保持するロックピン係止突起42aと、外部信号の入力によりロックピン係止突起42aとロックピン動作端6bとの係止を解除するロックピン解除機構とを備えた構成である。
【0078】
そして、ハートカム部46は、ロック位置Lからロックピン動作端6bが付勢する側へ延び、かつ係止中にはロックピン係止突起42aにより遮られているロック解除用通路IVを有し、ロックピン解除機構は、ロックピン係止突起42aをz方向上側へ移動させて、ロック解除用通路IVを開通させることで係止を解除する。
【0079】
この構成によれば、外部信号が入力されると、ロック解除機構により、ロック状態にあった(ロックピン係止突起42aにより係止されていた)ロックピン動作端6bは、z方向上側に移動する。そして、これに伴いロックピン係止突起42aはz方向上側に移動しロック解除用通路IVが開通し、ロックピン動作端6bは、ロック解除用通路IVを摺動(スライド)することになる。さらに、ロック解除用通路IVは、ロック位置Lからロックピン動作端6bが付勢する側へ延びているので、ロックピン動作端6bは、その付勢力に逆らうことなくロック解除用通路IVを摺動して、ロック状態が解除される。
【0080】
それゆえ、スイッチ1の構成によれば、ロックピン動作端6bの付勢方向と反対方向で、かつこの付勢力よりも大きい駆動力で(ロックピン動作端6bの付勢力に逆らって)ロックピン動作端6bを移動させる従来のリセット機能付スイッチと比較して、ロックピン6とロックピン係止突起42aとの間の摩耗を低減することが可能になる。
【0081】
よって、ロックピン6とロックピン6を係止するロックピン係止突起42aとの間の摩耗を低減することができるリセット機能付スイッチを提供することができる。
【0082】
また、スイッチ1は、ロックピン係止突起42aを有するスライダ部材42と、鉄芯44a及びソレノイド本体44bを有し、鉄芯44aとソレノイド本体44bとの間の吸引力によりスライダ部材42のロックピン係止突起42aをロック位置Lに固定するソレノイド部材44と、スライダ部材42がz方向上側に移動したときに、ロックピン動作端6bの付勢力よりも小さい復帰力を発生させる復帰バネ43とを備えている。そして、ロックピン解除機構は、ロック解除信号をソレノイド部材44に入力させ、スライダ部材42とソレノイド部材44との固定を解除することでロックピン係止突起42aをz方向上方に可動させる構成である。
【0083】
従来のリセット機能付スイッチでは、ソレノイドの吸引力により鉄芯を介して駆動カムを、カム突起部を中心にして反時計回り方向に回動させて駆動し、駆動カムの駆動機構にてこの原理を利用している。このため、スイッチが大型化するという第2の問題がある。
【0084】
また、従来のリセット機能付スイッチでは、ロック解除するに際し、駆動カムは、ソレノイドの鉄芯及びロックピンのみにより支持されている。それゆえ、外部からの衝撃や振動が加わると簡単に駆動カムがロックピンから外れるという第3の問題がある。
【0085】
スイッチ1の構成によれば、従来のリセット機能付スイッチにおける第2及び第3の問題を招来しない。
【0086】
スイッチ1では、ロックピン係止突起42aを有するスライダ部材42は、ソレノイド部材44における鉄芯44aとソレノイド本体44bとの間の吸引力により固定されているので、従来のリセット機能付スイッチよりもロックピンを係止する係止部材(ここではスライダ部材44)が安定して固定されている。よって、外部からの衝撃や振動が加わっても摺動部材がロックピンから外れることないリセット機能付スイッチを実現できる。
【0087】
さらに、ロックピン解除機構は、ロック解除信号をソレノイド部材44に入力させ、スライダ部材42とソレノイド部材44との固定を解除することでロックピン係止突起42aをz方向上方に可動させる。このため、従来のリセット機能付スイッチのようなてこの原理を必要としない。よって、小型化したリセット機能付スイッチを実現できる。
【0088】
また、スイッチ1におけるロックピン解除機構は、ロックピン動作端6bの付勢力によりロックピン係止突起42aをz方向上側へ移動させて、ロック解除用通路IVを開通させる。
【0089】
この構成によれば、ロックピン解除機構にロックピン係止突起42aをz方向上側へ移動させる部材を設ける必要がない。このため、より簡単な構成でロック解除を実現することができる。
【0090】
また、スイッチ1におけるロックピン解除機構は、ロックピン係止突起42aに対しz方向下側への復帰力を掛けて、ロックピン係止突起42aをロック位置Lに戻す構成となっている。
【0091】
この構成によれば、ロックピン解除機構は、ロックピン係止突起42aに対しz方向下側への復帰力を掛けて、ロックピン係止突起42aをロック位置Lに戻すので、ロック状態を解除した後、速やかにロック状態に戻すことができ、動作がスムーズになるという効果がある。
【0092】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上記実施形態に開示された技術的手段それぞれを適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、洗濯機や食器洗浄器等といった、外部信号によって電源スイッチをオフにすることが可能な電化製品に利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 スイッチ(リセット機能付スイッチ)
2 ハウジング
3 プランジャ部
31 プランジャ本体(押込部材)
32 接点バネ
33 接点バネ
4 ソレノイド部
41 ソレノイドケース
42 スライダ部材(摺動部材)
42a ロックピン係止突起(係止部)
43 復帰バネ
44 ソレノイド部材
44a 鉄芯
44b ソレノイド本体
45 ソレノイドカバー
46 ハートカム部(カム部)
46b 挿入口
46c 外周溝(カム溝)
5 端子スイッチング部
51 ベース
52 可動片
52A 接点
52B 力端
52C 接触部
53 可動片
54 接点端子
54A 接点
55 接点端子
56 共通端子
57 共通端子
6 ロックピン
6a ロックピン支点端
6b ロックピン動作端(動作端)
IV ロック解除通路(ロック解除用カム溝)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向への押込操作により回路の開閉動作を行うための押込部材と、
一方の端が上記押込部材に連結されたロックピンと、
ロックピンにおける上記押込部材と反対側の動作端を押込部材の移動に合わせて案内するカム溝が設けられたカム部と、
上記第1方向と反対側の第2方向へ付勢する上記動作端を係止し、ロック位置に保持する係止部と、
外部信号の入力により上記係止部と上記動作端との係止を解除する解除機構とを備え、
上記カム部は、上記ロック位置から上記動作端が付勢する側へ延び、かつ上記係止中には上記係止部により遮られているロック解除用カム溝を有し、
上記解除機構は、上記係止部を上記第2方向へ移動させて、上記ロック解除溝を開通させることで上記係止を解除することを特徴とするリセット機能付スイッチ。
【請求項2】
上記係止部を有する摺動部材と、
鉄芯及びソレノイド本体を有し、鉄芯とソレノイド本体との間の吸引力により上記摺動部材の上記係止部を上記ロック位置に固定するソレノイド部材と、
上記摺動部材が上記第2方向に移動したときに、上記動作端の付勢力よりも小さい上記復帰力を発生させる弾性部材とを備え、
上記解除機構は、上記外部信号を上記ソレノイド部材に入力させ、上記摺動部材とソレノイド部材との固定を解除することで上記係止部を上記第2方向に可動させることを特徴とする請求項1に記載のリセット機能付スイッチ。
【請求項3】
上記解除機構は、上記動作端の付勢力により上記係止部を上記第2方向へ移動させて、上記ロック解除溝を開通させることを特徴とする請求項1または2に記載のリセット機能付スイッチ。
【請求項4】
上記解除機構は、上記係止部に対し上記第1方向の復帰力を掛けて、上記係止部を上記ロック位置に戻すことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のリセット機能付スイッチ。
【請求項5】
上記カム部には、
オン動作時の押込部材の移動に合わせて上記動作端を案内するオン動作用カム溝と、
オフ動作時の押込部材の移動に合わせて上記動作端を案内するオフ動作用カム溝とが形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のリセット機能付スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−98059(P2013−98059A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240682(P2011−240682)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】