説明

リソース提供システム、仲介エージェント、リソース提供方法、およびコンピュータプログラム

【課題】複数のサーバなどに分散しているリソースの中からユーザが所望するリソースを簡単に検索する。
【解決手段】リソース提供システムRPSに、ユーザエージェントEG1、中間層エージェントEG2、およびリソースエージェントEG3を設ける。ユーザエージェントEG1には、ユーザの所望するファイルFRを中間層エージェントEG2に対して要求するファイル取得処理部16を設ける。中間層エージェントEG2には、ユーザエージェントEG1から要求されたファイルFRを管理するリソースエージェントEG3を判別し、そのリソースエージェントEG3に対して、そのファイルFRをユーザに送信すべき旨の指令を与える、ファイル中継部25を設ける。リソースエージェントEG3には、そのファイルFRをユーザエージェントEG1に送信するファイル送信部35を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介してユーザにリソースを提供するシステムおよび方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを利用したシステムを安価でかつ容易に構築することができるようになり、ハードウェア、ソフトウェア、またはデータなどのリソース(資源)を、複数のパーソナルコンピュータなどの端末装置でネットワークを介して容易に共有することができるようになった。例えば、ファイルサーバに保存されているファイルを複数の端末装置にネットワークを介してダウンロードして使用する方法が実現されている。
【0003】
インターネットで用いられている検索エンジン(例えば、Google社の「Google」)によると、エージェントがインターネット上の多数のサーバから集めてきた膨大な情報の中から、ユーザの指定したキーワードを含む情報を検索することができる。
【0004】
なお、「エージェント」とは、状況または指令に応じて自立的な判断を行い、処理を実行する機能を意味する。例えば、特許文献1〜3に記載されるようなエージェントが提案されている。
【0005】
特許文献1に記載されるリモートファイルシステムには、並列システムを構成する各々の制御ユニットにリモートファイルアクセスエージェントが設けられている。これにより、外部システムから多くのリモートファイルアクセス要求が同時に発行された場合であっても、各リモートファイルアクセスエージェントで分散処理されるので、並列システム全体のリモートファイルアクセス処理速度が低下してしまうことを防止することができる。
【0006】
特許文献2に記載される分散型ファイルシステムによると、複数のエージェントを用いて、リアルタイムアプリケーション及びファイルへの同時の読み出し/書き込みをサポートする。
【0007】
特許文献3に記載されるシステムによると、複数のコピーユニットエージェントが、コピーユニットをそれぞれ管理し、ファイルシステムエージェントが、同一ユーザのコピーユニットエージェントを管理する。コピーユニットエージェントは、コピーユニットの複製機能を有しており、ネットワークを介してコピーユニットの多重度を自律的に検知し、多重度が不足する場合には、他のストレージ装置に対して複製要求を行う。このような構成により、ストレージ装置を自律的に機能させることができる。
【特許文献1】特開平8−194639号公報
【特許文献2】特開2001−75858号公報
【特許文献3】特開2003−223286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ファイルサーバの数が増えると、ユーザは、自分の所望するファイルがどのファイルサーバに保存されているのかが分からず、ファイルを上手く見つけることができないことがある。
【0009】
また、上述のような検索エンジンを用いると、サーバの処理の負担およびネットワークのトラフィックが増大する。したがって、オフィスに導入されているような小規模のネットワークシステムにおいて共有されるファイルなどのリソースの検索には不向きである。特許文献1〜3に記載されるようなエージェントを用いても、やはり、上記の問題点を解決することはできない。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑み、複数のサーバなどに分散しているリソースの中からユーザが所望するリソースを、従来よりも検索処理の負担およびネットワークのトラフィックを軽減しつつ検索することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るリソース提供システムは、ネットワークを介してユーザにリソースを提供するリソース提供システムであって、前記ユーザが操作する端末装置と、リソースを管理する複数のリソース管理サーバと、前記端末装置と前記リソース管理サーバとを仲介するための処理を実行する仲介サーバと、が設けられており、前記端末装置は、前記ユーザの所望するリソースの利用を前記仲介サーバに対して要求するリソース利用要求手段、を有し、前記仲介サーバは、前記端末装置から要求されたリソースを管理する前記リソース管理サーバを判別する管理元判別手段と、前記端末装置から要求されたリソースを前記ユーザが利用することができるようにするための処理を実行すべき旨の指令を、前記管理元判別手段によって判別された前記リソース管理サーバに対して与える、指令手段と、を有し、前記リソース管理サーバは、前記指令に係るリソースを前記ユーザに利用させるための処理を実行するリソース提供処理手段、を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明において「リソース」とは、コンピュータを構成するハードウェア、ソフトウェア、およびデータなどを意味する。例えば、メモリ、印刷装置、演算プログラム、およびファイルなどがリソースに含まれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、複数のサーバなどに分散しているリソースの中からユーザが所望するリソースを、従来よりも検索処理の負担およびネットワークのトラフィックを軽減しつつ検索することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1はリソース提供システムRPSの全体的な構成の例を示す図、図2はユーザエージェントEG1、中間層エージェントEG2、およびリソースエージェントEG3の連携の例を示す図、図3はユーザエージェントEG1、中間層エージェントEG2、およびリソースエージェントEG3の機能的構成の例を示す図である。
【0015】
本発明に係るリソース提供システムRPSは、図1に示すようにユーザ端末装置1、中間サーバ2、リソース管理サーバ3、および通信回線4などによって構成される。ユーザ端末装置1、中間サーバ2、およびリソース管理サーバ3は、通信回線4および各種装置を介して互いに接続されている。
【0016】
通信回線4として、インターネット、公衆回線、専用線、またはLANなどが用いられる。ユーザ端末装置1は、ハブDHおよびルータDRなどによって通信回線4に接続される。モデムまたはTA(Terminal Adapter)などによってアクセスポイントにダイアルアップして接続することも可能である。
【0017】
ユーザ端末装置1として、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、PDA(Personal Digital Assistant)、または携帯電話端末などが用いられる。ユーザは、自分のユーザ端末装置1を操作してリソース管理サーバ3で管理されているリソースの提供を受けることができる。
【0018】
リソース管理サーバ3は、リソース(資源)を管理し、ユーザに対してそのリソースを提供する。以下、ハードディスクなどの記憶媒体に保存されているファイルFRがリソースである場合、すなわち、データ資源がリソースの実体である場合を例に説明する。リソース管理サーバ3として、ファイルの共有機能を有するいわゆるファイルサーバまたはFTP(File Transfer Protocol)によるファイル転送機能を有するFTPサーバなどのサーバ機が用いられる。
【0019】
ファイルFRには、その使用目的、内容(コンテンツ)、または使用する対象者などに応じてテーマが付けられている。例えば、社内会議、顧客向けプレゼンテーション、商品X仕様書、会社案内、企画書、営業部用、または開発グループ用などのようなテーマが付けられている。テーマは、そのファイルFRの作成者、管理者、または所有者が付けることができる。本実施形態では、予め用意されている複数のテーマの中からいずれかを選択して付けるものとする。1つのファイルFRに複数のテーマを付けることも可能である。そのほか、ファイルFRには、作成者の識別情報(ユーザ名またはユーザID)および電子メールアドレスなどを示す情報が対応付けられている。
【0020】
中間サーバ2は、リソース管理サーバ3で管理されているファイルFRに関する情報を管理しおよびユーザの所望するファイルFRを検索するなどの処理を行うことによって、リソース管理サーバ3からユーザのユーザ端末装置1へのリソースの提供の円滑化を図るためのサーバ機である。
【0021】
ユーザ端末装置1には、ユーザエージェントEG1を実現するためのコンピュータプログラムがインストールされている。中間サーバ2には、中間層エージェントEG2を実現するためのコンピュータプログラムがインストールされている。リソース管理サーバ3には、リソースエージェントEG3を実現するためのコンピュータプログラムがインストールされている。これらのエージェントは、オペレーティングシステムおよびハードウェアと連携し、ユーザまたは他のエージェントからの要求を検知して自立的な判断を行い、その要求に応じた処理を実行する。
【0022】
図2に示すように、ユーザエージェントEG1と中間層エージェントEG2とは互いに連携して所定の処理を実行し、中間層エージェントEG2とリソースエージェントEG3とは互いに連携して所定の処理を実行する。
【0023】
中間層エージェントEG2は、ファイルFRのテーマごとに1つずつ設けられている。以下、「テーマA」、「テーマB」、…のために設けられている中間層エージェントEG2を、それぞれ「中間層エージェントEG2A」、「中間層エージェントEG2B」、…と区別して記載することがある。
【0024】
図3に示すように、ユーザエージェントEG1は、検索対象受付部11、検索処理要求部12、検索結果受信部13、検索結果表示部14、ファイル指定受付部15、およびファイル取得処理部16などによって構成される。
【0025】
中間層エージェントEG2は、ファイル情報管理部21、変化情報受信部22、ファイル検索部23、検索結果通知部24、およびファイル中継部25などによって構成される。
【0026】
リソースエージェントEG3は、ファイル状況検知部31、変化情報送信部32、ファイル呼出部33、アクセス可否チェック部34、ファイル送信部35、代替送信依頼部36、およびファイル要求受付部37などによって構成される。
【0027】
次に、ユーザエージェントEG1、中間層エージェントEG2、およびリソースエージェントEG3の各部の処理内容を、ファイルの管理のための処理とユーザへのファイルの提供のための処理とに大別して説明する。
【0028】
〔ファイルの管理のための処理〕
図4はファイル情報データベースDB1の例を示す図である。
【0029】
図3において、リソースエージェントEG3のファイル状況検知部31は、そのリソースエージェントEG3が動作しているリソース管理サーバ3に保存されているファイルFRの状況の変化を検知する。例えば、新しいファイルFRがハードディスクなどの記憶媒体に保存され、ユーザの操作などに応じてファイルFRのファイル名または内容などが変更され、またはファイルFRが削除されたことを検知する。
【0030】
変化情報送信部32は、ファイルFRの状況の変化がファイル状況検知部31によって検知された場合に、その変化に係るファイルFRのテーマに対応する中間層エージェントEG2に対して、その変化の内容およびそのファイルFRの識別情報(例えば、ファイル名)などを示すファイル変化情報DT1を送信する。
【0031】
中間層エージェントEG2において、変化情報受信部22は、リソースエージェントEG3から送信されてきたファイル変化情報DT1を受信する。
【0032】
ファイル情報管理部21は、その中間層エージェントEG2で取り扱うテーマに該当するファイルFRの情報の管理を、例えば、次のような方法で行う。
【0033】
図4に示すようなファイル情報データベースDB1を、その中間層エージェントEG2がインストールされている中間サーバ2の記憶媒体(ハードディスクなど)に予め設けておく。
【0034】
ファイル情報データベースDB1において、1つのファイルFRごとに1つのレコードが設けられている。「ファイル名」、「作成日時」、および「作成者」は、それぞれ、そのファイルFRを識別するためのファイル名、ファイルFRが作成された日付および時刻、および作成したユーザのユーザ名を意味する。「保存場所」は、そのファイルFRが保存されているリソース管理サーバ3のリソースエージェントEG3を意味する。「種類」は、そのファイルFRのコンテンツの種類を意味し、作成者または管理者などが任意に決めることができる。または、複数の選択肢を予め用意しておき、その中から決めることができるようにしてもよい。
【0035】
また、ファイル情報管理部21は、ファイル情報データベースDB1の内容を、リソースエージェントEG3から送信されてきたファイル変化情報DT1に基づいて更新する。例えば、そのファイル変化情報DT1に、新規に保存されたファイルFRに関する情報が示されている場合は、ファイル情報データベースDB1に新規のレコードを生成し、そのファイルFRに関する情報を格納する。ファイルFRが削除された旨を示すファイル変化情報DT1が送信されてきた場合は、ファイル情報データベースDB1の中からそのファイルFRに対応するレコードを削除する。
【0036】
このようにして、各中間層エージェントEG2において、取り扱うテーマに属するファイルFRに関する情報が管理される。
【0037】
〔ユーザへのファイルの提供のための処理〕
図5および図6はユーザが所望するファイルFRを提供する際のユーザエージェントEG1、中間層エージェントEG2、およびリソースエージェントEG3の処理の流れの例を説明するフローチャート、図7は検索条件入力画面HG1、HG1’の例を示す図、図8は検索結果画面HG2の例を示す図、図9は提供可否判別処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0038】
ユーザエージェントEG1の検索対象受付部11は、ユーザの所望するファイルFRを検索するためのキーワード(検索条件)を受け付ける。検索処理要求部12は、受け付けられたキーワードに基づいて中間層エージェントEG2に対して検索処理を実行するように要求する。検索結果受信部13は、中間層エージェントEG2から検索結果を受信し、検索結果表示部14は、その検索結果を表示する。
【0039】
ファイル指定受付部15は、検索結果を見たユーザによるファイルFRの指定を受け付ける。ファイル取得処理部16は、そのファイルFRを保存元から取得するための処理を行う。
【0040】
中間層エージェントEG2のファイル検索部23は、ユーザエージェントEG1からの要求に従って、検索条件を満たすファイルFRを検索する。検索結果通知部24は、検索結果を、要求元のユーザエージェントEG1に通知する。ファイル中継部25は、ユーザエージェントEG1から要求されたファイルFRをリソースエージェントEG3から取得し、そのファイルFRをそのユーザエージェントEG1に中継するための処理を行う。
【0041】
リソースエージェントEG3のファイル呼出部33は、ユーザから中間層エージェントEG2を介して要求されたファイルFRを呼び出し、アクセス可否チェック部34はそのファイルFRを要求元のユーザに使用させてもよいか否かをチェックする。ファイル送信部35は、ファイルFRを使用させてもよい旨のチェック結果が得られた場合に、そのファイルFRを要求元のユーザに送信するための処理を行う。
【0042】
ファイルFRをユーザに提供するための処理の内容を、図5および図6に示すフローチャートなどを参照してさらに詳しく説明する。
【0043】
ユーザは、ユーザ端末装置1を操作することによって、自分の所望するファイルFRをリソース管理サーバ3からダウンロードして使用することができる。ユーザがユーザ端末装置1に所定のコマンドを入力すると、そのユーザ端末装置1のユーザエージェントEG1の検索対象受付部11は、図7(a)に示すような、検索条件を入力するための検索条件入力画面HG1をモニタに表示させる。
【0044】
ここで、ユーザは、自分の所望するファイルFRに関するキーワードを入力する。所望するファイルFRの保存場所であるリソースエージェントEG3およびファイル名が分かるのであれば、これらを入力する。保存場所およびファイル名が分からない場合は、所望するファイルFRのテーマ、作成者、作成日時、または種類などを分かる範囲で入力する。入力後、「検索」ボタンを押下する。これらのキーワードは、後に中間層エージェントEG2において検索条件として用いられる。
【0045】
または、図7(b)に示すような検索条件入力画面HG1’を表示し、「昨日作ったテーマAの資料」などのように、自由文または自然文の形式で入力できるようにしてもよい。この場合は、公知の自然文検索システムを用いて入力された内容の中から各項目に関する検索条件を抽出すればよい。2004年11月18日に「昨日作ったテーマAの資料」と入力されたのであれば、作成日時、種類、およびテーマの各項目の検索条件としてそれぞれ「2004年11月17日」、「資料」、および「テーマA」というキーワードを抽出する。
【0046】
作成者に関する検索条件(キーワード)が入力されなかった場合は、ユーザ端末装置1を操作しているユーザ(つまり、ユーザ端末装置1にログインしているユーザ)を作成者に関する検索条件として加えるようにしてもよい。または、すべての作成者を検索条件に加えても(つまり、作成者に関する限定要件なし、としても)よい。
【0047】
検索対象受付部11がユーザによって入力された検索条件を受け付けると(図5の#101)、検索処理要求部12は、その検索条件に示されるテーマを取り扱う中間層エージェントEG2を図4のファイル情報データベースDB1に基づいて判別し(#102)、その中間層エージェントEG2に対してその検索条件を検索条件情報DT2として送信することによって検索要求を行う(#103)。例えば、検索条件に「テーマA」が示される場合は、中間層エージェントEG2Aに対して検索要求を行う。ただし、検索条件にテーマが指定されていない場合は、すべての中間層エージェントEG2に対して検索要求を行う。
【0048】
中間層エージェントEG2において、検索条件情報DT2が受信されると(#204)、ファイル検索部23は、検索条件情報DT2に示される検索条件を満たすファイルFRをファイル情報データベースDB1の中から検索する(#205)。例えば、図7(a)のような検索条件が入力された場合は、2004年11月17日に佐藤さんによって作成された資料のファイルFRを検索する。そして、検索結果通知部24は、その検索結果を検索結果情報DT3として、検索条件の入力元のユーザエージェントEG1に送信する(#206)。
【0049】
ユーザエージェントEG1の検索結果受信部13が検索結果情報DT3を受信すると、検索結果表示部14は、その検索結果情報DT3に示される検索結果を、図8に示すような検索結果画面HG2としてモニタに表示する(#107)。
【0050】
ここで、ユーザは、自分の所望するファイルFRを、その右側にある「取得」ボタンを押下することによって指定する。すると、ファイル指定受付部15はそのファイルFRの指定を受け付け(#108)、ファイル取得処理部16はそのファイルFRをユーザ端末装置1に送信するように中間層エージェントEG2に対して要求する(#109)。
【0051】
中間層エージェントEG2のファイル中継部25は、ファイルFRの送信要求を受け付けると(#210)、そのファイルFRをリソースエージェントEG3から取得して要求元のユーザエージェントEG1に提供するための処理を行う。すなわち、リソースエージェントEG3からユーザエージェントEG1にファイルFRを中継するための処理を行う。係る処理は、次のようにして行われる。
【0052】
まず、要求されたファイルFRが保存されているリソース管理サーバ3のリソースエージェントEG3を、図4のファイル情報データベースDB1を参照して判別し、そのファイルFRを送信するようにリソースエージェントEG3に対して要求する(図6の#211)。この際、要求元のユーザも通知する。
【0053】
リソースエージェントEG3において、ファイル要求受付部37は、ユーザからのファイルFRの送信要求を、中間層エージェントEG2を介して受け付けると(#312)、そのファイルFRがそのリソースエージェントEG3のリソース管理サーバ3に保存されているか否かをチェックする(#313)。保存されている場合は(#313でYes)、アクセス可否チェック部34は、そのファイルFRのアクセス権を要求元のユーザが有しているか否かを、例えば図9に示すような手順でチェックする(#315)。
【0054】
そのファイルFRに関する情報を呼び出し、要求元のユーザがそのファイルFRの作成者であるか否かをチェックする(#401)。チェックの結果、作成者であると判別された場合は(#402でYes)、アクセス権を有すると判別する(#405)。
【0055】
作成者でないと判別された場合は(#402でNo)、そのファイルFRを要求元のユーザに提供してもよいか否かの問合せを、メッセージを作成者のユーザ端末装置1のモニタに表示しまたは電子メールを作成者の電子メールアドレスに送信することによって行う(#403)。ユーザは、自分のユーザ端末装置1を操作するなどして許否を入力する。そして、提供してもよい旨の結果(許諾)が作成者から得られた場合は(#404でYes)、アクセス権を有すると判別する(#405)。許諾が得られなかった場合は(#404でNo)、アクセス権を有しないと判別する(#406)。
【0056】
図9の例では、ファイルFRの作成者か否かに基づいてアクセス権の有無を判別したが、ファイルFRごとにアクセス権の与えられたユーザを示すリストを予め設けておき、そのリストに基づいてアクセス権の有無を判別してもよい。または、作成者への問合せ(#403、#404)を行うことなく、アクセス権の有無を判別してもよい。
【0057】
図6に戻って、アクセス権があると判別された場合は(#316でYes)、ファイル呼出部33は、要求に係るファイルFRを呼び出し、ファイル送信部35は、要求を中継した中間層エージェントEG2に送信する(#317)。アクセス権がないと判別された場合は(#316でNo)、ファイルFRの送信を拒否する。この場合は、送信を拒否する旨のメッセージを中間層エージェントEG2を介してユーザに通知してもよい。
【0058】
要求に係るファイルFRがそのリソースエージェントEG3のリソース管理サーバ3に保存されていない場合がある。これは、ユーザに対してファイルの検索結果を通知してからユーザがファイルの指定を行うまでの間に、ファイルFRが削除されまたは他のリソースエージェントEG3に移動することがあるからである。このように、要求に係るファイルFRが保存されていない場合は(#313でNo)、代替送信依頼部36は、他のリソースエージェントEG3に対して、要求に係るファイルFRを送信するように依頼する(#314)。つまり、ユーザからのファイルFRの要求をそのまま他のリソースエージェントEG3に引き渡し、送信処理を代替するように依頼する。
【0059】
他のリソースエージェントEG3が複数ある場合は、近隣にあるリソースエージェントEG3に依頼する。例えば、他のすべてのリソースエージェントEG3に対して制御信号(例えば、ping)を発信し、その応答時間が最も短かったリソースエージェントEG3すなわちネットワーク距離が最短であるリソースエージェントEG3に依頼する。または、中間にあるノード数が最も少ないリソースエージェントEG3に依頼してもよい。
【0060】
依頼を受けた他のリソースエージェントEG3は、最初に要求を受けたリソースエージェントEG3の場合と同様に、ステップ#313〜#317の処理を実行する。すなわち、要求に係るファイルFRが保存されている場合は、アクセス権をチェックし、その要求を中継した中間層エージェントEG2にそのファイルFRを送信する(#315〜#317)。ファイルFRが保存されていない場合は、他のリソースエージェントEG3に依頼する(#314)。ただし、一度そのファイルFRについて依頼を受けたことのあるリソースエージェントEG3に対しては、依頼は行わない。依頼を繰り返し行った結果、いずれのリソースエージェントEG3にも要求に係るファイルFRが見つからなかった場合は、中間層エージェントEG2を介してその旨のメッセージをユーザエージェントEG1に通知する。
【0061】
中間層エージェントEG2において、ファイル中継部25は、リソースエージェントEG3から送信されてきたファイルFRを要求元のユーザのユーザエージェントEG1に転送する(#218)。
【0062】
このようにして、ユーザの所望するファイルFRがユーザエージェントEG1のユーザ端末装置1に受信(ダウンロード)される(#119)。ユーザは、このファイルFRを、アプリケーションソフトでオープンするなどして使用することができる。
【0063】
本実施形態によると、複数のリソース管理サーバ3に分散しているリソースの中からユーザが所望するリソースを、従来よりも検索処理の負担およびネットワークのトラフィックを軽減しつつ検索することができる。すなわち、複数の中間層エージェントEG2を設けておき、各中間層エージェントEG2は割り当てられたテーマに該当するリソースの情報だけを管理する。これにより、リソースを検索しまたは提供するためのデータのトラフィックの整理を行うことができ、検索処理の負担およびネットワークのトラフィックを軽減することができる。
【0064】
また、本実施形態によると、常にエージェントを介してリソースの実体すなわちファイルFRを取り扱うので、ファイルFRの保存場所が隠蔽される。よって、ユーザは、従来のようにファイルFRに直接アクセスすることできない。これにより、不正にファイルFRを持ち出されたりセキュリティ情報を書き換えられたりすることを防止することができる。
【0065】
ユーザにとっては、すべてのリソースが仮想的に1つの場所に保存されているように見えるので、所望するリソースによって検索場所を変えるといった煩わしい操作を行わなくてもよい。
【0066】
ユーザエージェントEG1は、ユーザの所望するリソースに関する情報だけを集めてくる。よって、ユーザエージェントEG1のインストールされているユーザ端末装置1の処理能力が低くても、膨大な情報を上手く取り扱うことができる。
【0067】
図10はリソースエージェントEG3およびファイル情報管理エージェントEG4の機能的構成の例を示す図である。
【0068】
本実施形態では、1つのテーマごとに1つの中間層エージェントEG2を設けたが、複数のテーマで1つの中間層エージェントEG2を共用するように構成してもよい。
【0069】
本実施形態では、1台の中間サーバ2に1つの中間層エージェントEG2を設けたが、複数の中間層エージェントEG2を設けてもよい。ユーザ端末装置1またはリソース管理サーバ3に中間層エージェントEG2を設けてもよい。または、既存のプロキシサーバ、Webサーバ、またはゲートウェイなどに中間層エージェントEG2を設けてもよい。
【0070】
ファイルFRに関する情報を管理するエージェント(以下、「ファイル情報管理エージェントEG4」と記載する。)を設け、中間層エージェントEG2の一部の機能をファイル情報管理エージェントEG4で実現するようにしてもよい。
【0071】
例えば、図10に示すように、図3で説明した中間層エージェントEG2のファイル情報管理部21、変化情報受信部22、およびファイル検索部23にそれぞれ相当するファイル情報管理部21’、変化情報受信部22’、およびファイル検索部23’をファイル情報管理エージェントEG4に設ける。ファイル情報データベースDB1(図4参照)も、ファイル情報管理エージェントEG4のインストールされているコンピュータに設けておく。
【0072】
中間層エージェントEG2の検索依頼部26は、ユーザエージェントEG1から検索条件情報DT2とともにファイルFRの検索要求を受け付けると、検索条件情報DT2に示される検索条件を満たすファイルFRを検索するようにファイル情報管理エージェントEG4に対して依頼する。
【0073】
ファイル情報管理エージェントEG4のファイル検索部23’は、前に図5のステップ#205で説明したようにファイル情報データベースDB1を参照して検索条件を満たすファイルFRを検索し、検索結果を中間層エージェントEG2に通知する。
【0074】
そして、中間層エージェントEG2の検索結果通知部24は、要求元のユーザエージェントEG1に検索結果を通知する。
【0075】
ファイル情報管理エージェントEG4で管理されているファイルFRのファイル変化情報DT1は、ファイル情報管理エージェントEG4の変化情報受信部22’によって受信される。ファイル変化情報DT1は、中間層エージェントEG2を介してファイル情報管理エージェントEG4に送信するようにしてもよい。
【0076】
本実施形態では、各リソースエージェントEG3においてリソースとしてファイルすなわちデータ資源が管理されている場合を例に説明したが、他のリソースの場合にも適用することができる。例えば、リソース提供システムRPSに設けられているMFP(Multi Function Peripherals)ごとにリソースエージェントEG3をインストールしておき、MFPのハードウェア資源およびソフトウェア資源などを管理するようにしてもよい。
【0077】
その他、リソース提供システムRPS、ユーザエージェントEG1、中間層エージェントEG2、リソースエージェントEG3、ファイル情報管理エージェントEG4の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、リソースの検索方法、画面構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、特に、複数のサーバに分散したリソースを効率的に使用するために好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】リソース提供システムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】ユーザエージェント、中間層エージェント、およびリソースエージェントの連携の例を示す図である。
【図3】ユーザエージェント、中間層エージェント、およびリソースエージェントの機能的構成の例を示す図である。
【図4】ファイル情報データベースの例を示す図である。
【図5】ユーザが所望するファイルを提供する際のユーザエージェント、中間層エージェント、およびリソースエージェントの処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図6】ユーザが所望するファイルを提供する際のユーザエージェント、中間層エージェント、およびリソースエージェントの処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図7】検索条件入力画面の例を示す図である。
【図8】検索結果画面の例を示す図である。
【図9】提供可否判別処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図10】リソースエージェントおよびファイル情報管理エージェントの機能的構成の例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
RPS リソース提供システム
1 ユーザ端末装置
2 中間サーバ(リソース管理サーバ)
3 リソース管理サーバ(仲介サーバ)
14 検索結果表示部(表示手段)
16 ファイル取得処理部(リソース利用要求手段)
21 ファイル情報管理部(リソース情報管理手段)
23 ファイル検索部(検索手段)
25 ファイル中継部(管理元判別手段、指令手段、エージェント判別手段)
32 変化情報送信部(変化情報送信手段)
35 ファイル送信部(リソース提供処理手段)
EG1 ユーザエージェント
EG2 中間層エージェント(仲介エージェント)
EG3 リソースエージェント
DT1 ファイル変化情報(変化情報)
FR ファイル(リソース)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してユーザにリソースを提供するリソース提供システムであって、
前記ユーザが操作する端末装置と、リソースを管理する複数のリソース管理サーバと、前記端末装置と前記リソース管理サーバとを仲介するための処理を実行する仲介サーバと、が設けられており、
前記端末装置は、
前記ユーザの所望するリソースの利用を前記仲介サーバに対して要求するリソース利用要求手段、を有し、
前記仲介サーバは、
前記端末装置から要求されたリソースを管理する前記リソース管理サーバを判別する管理元判別手段と、
前記端末装置から要求されたリソースを前記ユーザが利用することができるようにするための処理を実行すべき旨の指令を、前記管理元判別手段によって判別された前記リソース管理サーバに対して与える、指令手段と、を有し、
前記リソース管理サーバは、
前記指令に係るリソースを前記ユーザに利用させるための処理を実行するリソース提供処理手段、を有する、
ことを特徴とするリソース提供システム。
【請求項2】
ネットワークを介してユーザにリソースを提供するリソース提供システムであって、
前記ユーザの指令に基づいて処理を実行するユーザエージェントと、リソースを管理する複数のリソースエージェントと、前記ユーザエージェントと前記リソースエージェントとを仲介するための処理を実行する仲介エージェントと、が設けられており、
前記ユーザエージェントは、
前記ユーザの所望するリソースの利用を前記仲介エージェントに対して要求するリソース利用要求手段、を有し、
前記仲介エージェントは、
前記ユーザエージェントから要求されたリソースを管理する前記リソースエージェントを判別するエージェント判別手段と、
前記ユーザエージェントから要求されたリソースを前記ユーザが利用することができるようにするための処理を実行すべき旨の指令を、前記エージェント判別手段によって判別された前記リソースエージェントに対して与える、指令手段と、を有し、
前記リソースエージェントは、
前記指令に係るリソースを前記ユーザに利用させるための処理を実行するリソース提供処理手段、を有する、
ことを特徴とするリソース提供システム。
【請求項3】
前記仲介エージェントは、
前記リソースエージェントにおいてどのようなリソースが管理されているかを示すリソース情報を管理するリソース情報管理手段、を有し、
前記エージェント判別手段は、前記ユーザエージェントから要求されたリソースを管理する前記リソースエージェントを、前記リソース情報に基づいて判別する、
請求項2記載のリソース提供システム。
【請求項4】
前記リソースエージェントは、リソースとしてファイルを管理し、
前記仲介エージェントは、ファイルのコンテンツに関する1つまたは複数のテーマごとに設けられており、
前記仲介エージェントの前記リソース情報管理手段は、当該仲介エージェントに対応する前記テーマに係る前記リソース情報を管理し、
前記ユーザエージェントの前記リソース利用要求手段は、前記ユーザの所望するファイルの利用を、当該ファイルの前記テーマに対応する前記仲介エージェントに対して要求する、
請求項3記載のリソース提供システム。
【請求項5】
前記リソースエージェントは、当該リソースエージェントが管理するファイルの変化に関する変化情報を、当該ファイルの前記テーマに対応する前記仲介エージェントに送信する、変化情報送信手段、を有し、
前記仲介エージェントのリソース情報管理手段は、前記仲介エージェントから送信されてきた前記変化情報に基づいて前記リソース情報を更新する、
請求項4記載のリソース提供システム。
【請求項6】
前記リソースエージェントの前記リソース提供処理手段は、前記指令に係るリソースの作成者が要求元である前記ユーザである場合または当該リソースを提供してもよい旨の許諾が当該作成者から得られた場合に、当該リソースを利用させるための処理を実行する、
請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のリソース提供システム。
【請求項7】
前記仲介エージェントは、前記ユーザエージェントから指定されたキーワードに該当するリソースを検索する検索手段、を有し、
前記ユーザエージェントは、前記検索手段によって検索されたリソースの一覧を表示する表示手段、を有する、
請求項2ないし請求項6のいずれかに記載のリソース提供システム。
【請求項8】
リソースエージェントによって管理されるリソースをユーザに対してネットワークを介して提供するための仲介処理を行う仲介エージェントであって、
前記ユーザからリソースの利用の要求を受け付ける要求受付手段と、
前記要求に係るリソースを管理する前記リソースエージェントを判別するエージェント判別手段と、
前記要求に係るリソースを前記ユーザが利用することができるようにするための処理を実行すべき旨の指令を、前記エージェント判別手段によって判別された前記リソースエージェントに対して与える、利用処理要求手段と、
を有することを特徴とする仲介エージェント。
【請求項9】
前記リソースエージェントにおいて管理されるリソースに関するリソース情報を管理するリソース情報管理手段、を有し、
前記エージェント判別手段は、前記要求に係るリソースを管理する前記リソースエージェントを、前記リソース情報に基づいて判別する、
請求項8記載の仲介エージェント。
【請求項10】
リソースエージェントによって管理されるリソースをユーザに対してネットワークを介して提供するリソース提供方法であって、
前記ユーザからリソースの利用の要求を受け付け、
前記要求に係るリソースを管理する前記リソースエージェントを判別し、
判別された前記リソースエージェントに対して、前記要求に係るリソースを前記ユーザが利用することができるようにするための処理を実行すべき旨の指令を与える、
ことを特徴とするリソース提供方法。
【請求項11】
リソースエージェントによって管理されるリソースをユーザに対してネットワークを介して提供するためのコンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記ユーザからリソースの利用の要求を受け付ける処理と、
前記要求に係るリソースを管理する前記リソースエージェントを判別する処理と、
判別された前記リソースエージェントに対して、前記要求に係るリソースを前記ユーザが利用することができるようにするための処理を実行すべき旨の指令を与える処理と、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−178526(P2006−178526A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−368204(P2004−368204)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】