説明

リトグラフ・ボディペインティング

【課題】 簡単かつ手早く好みの図柄を転写できるボディペインティングの方法を提供する。
【解決手段】 転写にリトグラフの原理を使用し、リトグラフの版として好みの絵柄をコピーした紙を、リトグラフのインクとして油性の化粧品を使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リトグラフを使ったボディペインティングの方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のボディペインティングには絵の具や化粧品を使って筆などで皮膚に直接描く方法、ステンシルを用いる方法、タトゥーシール、ペーパータトゥーなどと呼ばれる転写シールを使う方法、タトゥーシールと同様の転写が可能な特殊紙にプリンタ出力したものを転写する方法などがある。しかし、これら従来のボディペインティング技術には次の(ア)〜(キ)に示すような欠点があった。
【0003】
筆や、ペンシル型の化粧品などを使って皮膚に直接描く方法(例えば文献1〜2参照)は、図柄の出来、不出来が施術者の画力に左右されやすい。(ア)
【0004】
【文献1】
特昭55−19109 化粧用筆記具
【文献2】
特開2001−292829 化粧用具
【0005】
また、施術に時間がかかるためボディペインティングを施される対象者の体力への負担が大きい。(イ)
【0006】
ステンシルを用いる方法(例えば文献3〜4参照)は、その性質上、細い線や中抜けの模様が描けないなどの欠点があった。(ウ)
【0007】
【文献3】
特許公開2004−42658 化粧用ステンシルとその製造方法
【文献4】
実開平7−5173 ワッペン兼用フェイスペインティング用型紙
【0008】
タトゥーシール(例えば文献5〜10参照)はすでに印刷された図柄の中から選ぶことしかできないため、他人とは違う個性的な図柄を使いたいという対象者の意思に応えられないという欠点があった。(エ)
【0009】
【文献5】
特許公開2004−34304 身体装飾用ラベル
【文献6】
特開2005−119091 身体貼着用装飾体付きシートの製造法
【文献7】
特開平7−67912 顔面装飾方法及び装飾用絆創膏
【文献8】
実開平6−78968 入れ墨式転写シール
【文献9】
実用新案登録3103944 人体の皮膚に直接貼付して使用する応援シール
【文献10】
実開平7−15399 貼付けシールセット
【0010】
特殊紙にプリンタ出力して転写する方法(例えば文献11参照)は、特殊紙やインクのコストが高くなる傾向がある。(オ)
【0011】
【文献11】
特開2000ー160111 タトゥーシール
【0012】
また、コンピュータやプリンタ等の機材や、それらを扱うための技術や知識が必要になり、手軽に施術できるものではないという欠点があった。(カ)
【0013】
さらに、これらのボディペインティングで使用されている絵の具の、人体に対する安全性が使用者には確認できないという問題もある。(キ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記(ア)〜(キ)のような欠点を持たず、手軽に施術でき、安全かつ個性的なボディペインティングの手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的に鑑みて鋭意研究した結果、ボディペインティングにリトグラフ版画の技法を取り入れること、具体的には図柄をコピー印刷した紙をリトグラフの版、油性化粧品をリトグラフのインクとし、人体に転写することで完成するボディペインティング法を発明した。
【0016】
なお、本発明における「図柄」とは、ボディペインティングで表現される文字、図形、記号等、装飾に使われるさまざまな形を示すものである。
【0017】
また、本発明における「油性化粧品」とは、化粧品の中でも親油性の強いもの、例えばグリースペイント、クリームファンデーションなどと呼ばれているものを指している。
【0018】
本発明は、以下の構成よりなるリトグラフ・ボディペインティングである。
【発明の効果】
【0019】
図柄をコピー印刷した紙が版となるので、鉛筆やボールペンなどの普段から使い慣れた画材を使って描くことができる。また、コピー機で複写できるものであれば、写真や文字なども図柄として使うことができる。これにより、施術者の画力による影響を小さくすることができる。<欠点(ア)の解決>
【0020】
さらに、人体上で作業するのは転写する間の短時間だけなので、対象者の負担は最小限で済む。<欠点(イ)の解決>
【0021】
コピー印刷した図柄をそのまま使用するため、細い線や中抜けの模様も転写可能である。<欠点(ウ)の解決>
【0022】
コピー印刷した図柄をそのまま転写できるため、自由な図柄や模様が使用できる。<欠点(エ)の解決>
【0023】
コピー印刷に要する費用は、特殊紙にプリントする場合と比較して安価である。<欠点(オ)の解決>例えば本発明では、一般にコピー用紙として使われている上質紙、再生紙のほか、トレーシングペーパーなどコピー機が対応しているものならほとんど使用できる。
【0024】
コピー印刷はプリンタ印刷と比較してより一般的であり、また本発明は特殊な技術や知識を必要としないため、誰でも手軽に施術できる。<欠点(カ)の解決>
【0025】
化粧品を使用するため、人体への悪影響が非常に少ない。<欠点(キ)の解決>
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0027】
図柄をコピー印刷した紙(1)にアラビアゴム溶液を塗布し乾燥させる。これにより、アラビアゴム溶液の酸に紙(1)が腐食され、強い親水性を持つように変化する。
【0028】
スポンジなどの含水性の高いものに水を染み込ませたもので図柄をコピー印刷した紙(1)を拭き、アラビアゴム溶液を洗い流す。なお、これ以後は紙(1)が乾かぬよう、常に湿った状態を保つ。
【0029】
油性化粧品(2)を指あるいは綿棒などのある程度の柔軟性を有する素材に少量取り、紙(1)の図柄の部分(3)を軽く叩くようにして、描画部に化粧品(2)を付着させる。
【0030】
紙(1)が強い親水性であり、また湿った状態を保っているため、油性化粧品(2)は水分に弾かれて紙(1)の白い部分には付着しない。
【0031】
しかしながら、図柄の部分(3)、すなわちコピートナーの部分は親油性のため、油性化粧品(2)は弾かれることなく、紙(1)に付着する。
【0032】
水と油の反発しあう性質を利用した、このリトグラフ印刷の原理により、図柄の部分(3)にのみ、化粧品(2)を付着させることができる。
【0033】
紙(1)を、化粧品(2)を付着させた面を皮膚(4)側に向け、図柄を転写したい部分に置く。
【0034】
皮膚(4)上に置かれた、紙(1)を上から軽く、手あるいはスポンジなどの柔軟性を有する素材を介して押さえる。
【0035】
図柄の部分(3)に付着した化粧品(2)は、対象者の体温によってなじみ、図柄の形を維持したまま皮膚(4)に付着する。
【0036】
すなわち、コピー印刷した図柄が油性化粧品(2)によって、皮膚に(4)転写されるわけである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の断面図である。
【図2】油性化粧品を付着させた状態を示す図である。
【図3】皮膚面への転写状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
[1]図柄をコピー印刷した紙
[2]油性化粧品
[3]図柄をコピー印刷した紙の図柄の部分、すなわちコピートナーの付着した部分
[4]人体皮膚面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リトグラフの原理を利用したボディペインティングの方法であり、その版として、図柄をコピー印刷した紙を使用し、そのインクとして油分を含む化粧品、すなわち薬事法にいう化粧品のほか、医薬品、医薬部外品、あるいはその他の人体に対する作用が緩和な色料を使用するボディペインティングの方法。
【請求項2】
請求項第1項記載の方法を使用したボディペインティング用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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