説明

リニア振動モータの駆動制御回路

【課題】リニア振動モータの駆動終了時における最適な停止制御技術を提供する。
【解決手段】リニア振動モータ200の駆動制御回路100において、駆動信号生成部10は、コイルL1に正電流と負電流とを交互に流すための駆動信号を生成する。駆動部20は、駆動信号生成部10により生成された駆動信号に応じた駆動電流を生成し、コイルL1に供給する。誘起電圧検出部30は、コイルL1に発生する誘起電圧を検出する。駆動信号生成部10は、リニア振動モータ200の駆動終了後、その駆動時に生成していた駆動信号の位相に対して逆位相の駆動信号であって、駆動部20がハイインピーダンス状態に制御されるハイインピーダンス期間を含む駆動信号を生成する。誘起電圧検出部30は、ハイインピーダンス期間にコイルL1に発生する誘起電圧を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子が固定子に対して直線状に往復振動するリニア振動モータを駆動制御するための駆動制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リニア振動モータは、電気カミソリなど特定の用途で使用されてきたが、近年、その用途が拡大している。たとえば、タッチパネルを押下した際の操作感覚をユーザにフィードバックさせるための振動を作り出す素子に採用されている。このようなハプティクス用途の拡大に伴い、今後、リニア振動モータの出荷数が伸びていくと予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−16892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リニア振動モータの駆動制御では、駆動終了時における、振動停止開始から振動停止完了までの時間(以下、振動停止時間という)の短縮が求められ、逆位相で駆動することにより、その振動停止時間を短縮するブレーキ制御の開発が試みられている。ただし、ブレーキ回数を固定にした場合、リニア振動モータの種類や終了時までの駆動回数などにより、必要なブレーキ力は異なるため、ブレーキ力に過不足が生じてしまう。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、リニア振動モータの駆動終了時における最適な停止制御技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様のリニア振動モータの駆動制御回路は、固定子と振動子とを有し、両者の少なくとも一方は電磁石で構成され、この電磁石のコイルに駆動電流を供給して、振動子を固定子に対して振動させるリニア振動モータの駆動制御回路であって、コイルに正電流と負電流とを交互に流すための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、駆動信号生成部により生成された駆動信号に応じた駆動電流を生成し、コイルに供給する駆動部と、コイルに発生する誘起電圧を検出する誘起電圧検出部と、を備える。駆動信号生成部は、リニア振動モータの駆動終了後、その駆動時に生成していた駆動信号の位相に対して逆位相の駆動信号であって、駆動部がハイインピーダンス状態に制御されるハイインピーダンス期間を含む駆動信号を生成し、誘起電圧検出部は、ハイインピーダンス期間にコイルに発生する誘起電圧を検出し、駆動信号生成部は、誘起電圧からリニア振動モータの駆動終了後の振動力を推定し、その振動力をもとに逆位相の駆動信号を制御する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リニア振動モータの駆動終了時において、最適な停止制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る、リニア振動モータの駆動制御回路の構成を示す図である。
【図2】駆動部、誘起電圧検出部およびコンパレータの構成例を示す図である。
【図3】実施の形態に係る駆動制御回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図4】エッジ信号、第1クロック信号、第2クロック信号および第3クロック信号の一例を示すタイミングチャートである。
【図5】デコーダの構成例を示す図である。
【図6】駆動信号の一周期の波形を示す図である。
【図7】駆動信号の通電期間幅の制御を説明するための図である。
【図8】駆動信号の位相制御を説明するための図である。
【図9】停止制御機能が追加されたデコーダの構成例を示す図である。
【図10】逆位相の駆動信号の一周期の波形を示す図である。
【図11】コンパレータをヒステリシスコンパレータで構成する例を示す図である。
【図12】Pch受けオペアンプの構成例を示す図である。
【図13】Nch受けオペアンプの構成例を示す図である。
【図14】上記停止制御の一例を説明するための図(その1)である。
【図15】上記停止制御の一例を説明するための図(その2)である。
【図16】図11に示したヒステリシスコンパレータの変形例を示す図である。
【図17】図1に示したリニア振動モータの駆動制御回路の構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(基本構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る、リニア振動モータ200の駆動制御回路100の構成を示す図である。まず、リニア振動モータ200は、固定子210と振動子220とを有し、両者の少なくとも一方は電磁石で構成される。本実施の形態では、固定子210が電磁石で構成される。固定子210は、磁性材料の芯211にコイルL1が巻き付けられて形成され、コイルL1に通電されると磁石として作用する。振動子220は、永久磁石221を含み、永久磁石221の両端(S極側とN極側)は、それぞれバネ222a、222bを介してフレーム223に固定される。固定子210と振動子220とは、所定の隙間を空けて並べて配置される。なお、図1の例と反対に、振動子220が電磁石で構成され、固定子210が永久磁石で構成されてもよい。
【0011】
駆動制御回路100は、上記コイルL1に駆動電流を供給して、振動子220を固定子210に対して直線状に往復振動させる。駆動制御回路100は、駆動信号生成部10、駆動部20、誘起電圧検出部30およびゼロクロス検出部40を備える。
【0012】
駆動信号生成部10は、コイルL1に正電流と負電流とを非通電期間を挟んで交互に流すための駆動信号を生成する。駆動部20は、駆動信号生成部10により生成された駆動信号に応じた駆動電流を生成し、コイルL1に供給する。誘起電圧検出部30は、コイルL1の両端に接続され、コイルL1の両端電位差を検出する。主に、非通電期間において、コイルL1に発生する誘起電圧を検出する。ゼロクロス検出部40は、誘起電圧検出部30により検出された誘起電圧のゼロクロスを検出する。
【0013】
駆動信号生成部10は、ゼロクロス検出部40により検出された誘起電圧のゼロクロスの検出位置から、リニア振動モータ200の固有振動数を推定し、上記駆動信号の周波数を、当該固有振動数にできる限り近づける。すなわち、上記駆動信号の周波数が当該固有振動数に一致するよう、上記駆動信号の周波数を適応的に変化させる。
【0014】
より具体的には、駆動信号生成部10は、上記駆動信号の一周期の終了位置と、その終了位置に対応すべきゼロクロスの検出位置との差分を算出し、その差分を現在の駆動信号の周期幅に加算して、上記駆動信号の周期幅を適応的に制御する。上記駆動信号の一周期が通常の位相(ゼロ→正電圧→ゼロ→負電圧→ゼロ)で形成される場合、上記終了位置に対応すべきゼロクロスの検出位置は、上記誘起電圧の負電圧から正電圧にゼロクロスする位置となる。反対に、上記駆動信号の一周期が逆位相(ゼロ→負電圧→ゼロ→正電圧→ゼロ)で形成される場合、上記終了位置に対応すべきゼロクロスの検出位置は、上記誘起電圧の正電圧から負電圧にゼロクロスする位置となる。
【0015】
以下、駆動制御回路100の構成についてより具体的に説明する。まず、駆動部20、誘起電圧検出部30、ゼロクロス検出部40の構成について説明する。ゼロクロス検出部40は、コンパレータ41およびエッジ検出部42を含む。コンパレータ41は、誘起電圧検出部30により検出された誘起電圧と、ゼロクロスを検出するための基準電圧とを比較する。コンパレータ41は、当該誘起電圧が当該基準電圧をクロスするタイミングで、出力を反転させる。たとえば、ローレベル信号からハイレベル信号に反転させる。エッジ検出部42は、コンパレータ41の出力が反転した位置をエッジとして検出する。
【0016】
図2は、駆動部20、誘起電圧検出部30およびコンパレータ41の構成例を示す図である。図2では、駆動部20をHブリッジ回路で、および誘起電圧検出部30を差動増幅回路で構成する例を示している。
【0017】
当該Hブリッジ回路は、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2、第3トランジスタM3および第4トランジスタM4を含む。なお、図2では説明の便宜上、リニア振動モータ200のコイルL1も駆動部20の枠内に描いている。第1トランジスタM1と第3トランジスタM3との第1直列回路、および第2トランジスタM2と第4トランジスタM4との第2直列回路が、それぞれ電源電位Vddとグラウンド電位間に接続される。第1トランジスタM1と第3トランジスタM3との接続点(以下、A点という)と、第2トランジスタM2と第4トランジスタM4との接続点(以下、B点という)との間に、コイルL1が接続される。
【0018】
図2では、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2はPチャンネルMOSFETで構成され、それぞれのソース−ドレイン間にボディダイオードとして、第1ダイオードD1および第2ダイオードD2が接続されている。第3トランジスタM3および第4トランジスタM4はNチャンネルMOSFETで構成され、それぞれのソース−ドレイン間にボディダイオードとして、第3ダイオードD3および第4ダイオードD4が接続されている。
【0019】
第1トランジスタM1、第2トランジスタM2、第3トランジスタM3および第4トランジスタM4のゲートには、駆動信号生成部10(より厳密には、後述するデコーダ14)から上記駆動信号が入力される。当該駆動信号により、第1トランジスタM1と第4トランジスタM4がオン、および第2トランジスタM2と第3トランジスタM3がオフに制御されると、コイルL1に正電流が流れ、第1トランジスタM1と第4トランジスタM4がオフ、および第2トランジスタM2と第3トランジスタM3がオンに制御されると、コイルL1に負電流が流れる。
【0020】
上記差動増幅回路は、オペアンプOP1、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3および第4抵抗R4を含む。オペアンプOP1の反転入力端子は第1抵抗R1を介してB点と接続され、非反転入力端子は第2抵抗R2を介してA点と接続される。オペアンプOP1の、反転入力端子と出力端子とは第3抵抗R3を介して接続される。オペアンプOP1の非反転入力端子には、第4抵抗R4を介して基準電圧Vrefがオフセット電圧として印加される。
【0021】
第1抵抗R1と第2抵抗R2の抵抗値を同じ値に設定し、第3抵抗R3と第4抵抗R4の抵抗値を同じ値に設定する。この条件では、上記差動増幅回路の増幅率はR3/R1となる。たとえば、第1抵抗R1と第2抵抗R2の抵抗値を10kΩ、および第3抵抗R3と第4抵抗R4の抵抗値を20kΩに設定して、コイルL1の両端電圧(A−B間電圧)を2倍に増幅する。
【0022】
コンパレータ41(オープンループのオペアンプで構成される)の反転入力端子には基準電圧Vrefが印加される。コンパレータ41の非反転入力端子はオペアンプOP1の出力端子と接続され、当該非反転入力端子にはオペアンプOP1の出力電圧が印加される。上記差動増幅回路に基準電圧Vrefがオフセット電圧(たとえば、1/2Vdd)として印加される場合、オペアンプOP1とコンパレータ41とのレンジを合わせるために、コンパレータ41の参照電圧として、基準電圧Vrefが使用される。なお、上記差動増幅回路にオフセット電圧が印加されない場合、コンパレータ41の参照電圧として、グラウンド電圧が使用される。
【0023】
このように、コイルL1の両端電圧(A−B間電圧)を上記差動増幅回路により増幅してからコンパレータ41に入力することにより、コイルL1に発生する誘起電圧のゼロクロスの検出精度を高めることができる。
【0024】
図3は、実施の形態に係る駆動制御回路100の動作例を示すタイミングチャートである。この動作例は、単相全波にてリニア振動モータ200を駆動する例である。その際、非通電期間を設定する。非通電期間は、正電流通電期間および負電流通電期間のそれぞれの前後に設定される。すなわち、全周期のうち、第1半周期は非通電期間、正電流通電期間および非通電期間で構成され、第2半周期は非通電期間、負電流通電期間および非通電期間で構成される。以下の例では、半周期の180°のうち、非通電期間に40°、正(負)電流通電期間に100°および非通電期間に40°を割り当てる。したがって、一周期のうち、5/9が通電期間に割り当てられ、4/9が非通電期間に割り当てられる。以下、本明細書では、この比率にしたがった駆動方式を100度通電と呼ぶ。
【0025】
図3にて、上記Hブリッジ回路のオン−1状態(M1、M4がオン、M2、M3がオフ)ではコイルL1に正電流が流れる。上記Hブリッジ回路のオフ状態(M1〜M4がオフ)ではコイルL1に駆動電流は流れない。上記Hブリッジ回路のオン−2状態(M1、M4がオフ、M2、M3がオン)ではコイルL1に負電流が流れる。
【0026】
コイルL1に正電流が流れている状態では固定子210がN極に励磁され、その磁力により、振動子220は永久磁石221のS極側への力を受ける。その力により、振動子220はバネ222aに抗して永久磁石221のS極側へ移動し、バネ222aの収縮限界まで移動する。コイルL1に駆動電流が流れていない状態では固定子210が励磁されず、磁力は発生しない。振動子220は、バネ222aの復元力により中心位置に向けて移動する。コイルL1に負電流が流れている状態では固定子210がS極に励磁され、その磁力により、振動子220は永久磁石221のN極側への力を受ける。その力により、振動子220はバネ222bに抗して永久磁石221のN極側へ移動し、バネ222bの収縮限界まで移動する。
【0027】
このように、駆動信号生成部10は、上記Hブリッジ回路をオフ状態→オン−1状態→オフ状態→オン−2状態→オフ状態というサイクルで制御することにより、リニア振動モータ200を往復運動させることができる。
【0028】
上記Hブリッジ回路がオン−1状態からオフ状態に遷移し、第1トランジスタM1〜第4トランジスタM4がすべてオフに切り替えられると、上記ボディーダイオードを通じて回生電流が流れる。上記Hブリッジ回路がオン−2状態からオフ状態に遷移する際も同様である。この回生電流を活用することにより、エネルギー効率を高め、駆動制御回路100の消費電力を低減することができる。
【0029】
上記回生電流は、コイルL1にそれまで流れていた電流と同じ方向に流れる。上記回生電流が流れ終わると、コイルL1に、振動子220の移動により誘起される誘起電流が流れる。振動子220が停止している状態ではこの誘起電流は流れない。振動子220が停止している状態は、振動子220の振動レンジの両端に振動子220が到達した瞬間に発生する。
【0030】
誘起電圧検出部30は、非通電期間においてコイルL1に発生する逆起電圧を監視することにより、振動子220の位置を推定することができる。当該逆起電圧がゼロの状態は、振動子220が停止している(すなわち、振動レンジのS極側最大到達地点またはN極側最大到達地点に位置する)ことを示している。
【0031】
したがって、ゼロクロス検出部40は、コイルL1の両端電圧(A−B間電圧)がゼロクロス(駆動電流および回生電流によるゼロクロスを除く)するタイミングを検出し、検出したゼロクロス間の期間を測定することにより、リニア振動モータ200の固有振動数を求めることができる。なお、連続するゼロクロス間の期間が、リニア振動モータ200の半振動周期幅を示し、一つ飛ばしのゼロクロス間の期間がその全振動周期幅を示す。
【0032】
本実施の形態では、ゼロクロス検出部40は非通電期間にてコイルL1の両端電圧(A−B間電圧)が負から正にゼロクロスするタイミングのみを検出する。この場合、図2に示したコンパレータ41は、オペアンプOP1の出力電圧が基準電圧Vrefより低い間、ローレベル信号を出力し、オペアンプOP1の出力電圧が基準電圧Vrefより高くなると、ハイレベル信号を出力するよう、設定される。
【0033】
駆動信号生成部10は、測定されたリニア振動モータ200の固有振動数に対応する周期幅を用いて、つぎの駆動信号の周期幅を調整する。この測定と調整が繰り返されることにより、駆動制御回路100は、リニア振動モータ200をその共振周波数またはその近傍の周波数で継続的に駆動することができる。
【0034】
図1に戻り、駆動信号生成部10をより具体的に説明する。駆動信号生成部10は、第1ラッチ回路11、メインカウンタ12、ループカウンタ13、デコーダ14、第2ラッチ回路15、差分算出回路16、第3ラッチ回路17、加算回路18および第4ラッチ回路19を含む。
【0035】
第1ラッチ回路11は、上記駆動信号の一周期の終了位置に対応すべきカウント終了値をラッチし、第3クロック信号CLK3により指示されたタイミングでメインカウンタ12およびデコーダ14に出力する。なお、差分算出回路16にも出力することができる。第1ラッチ回路11には、リニア振動モータ200の駆動開始時には、図示しないレジスタなどから上記カウント終了値の初期値が設定される。駆動開始後は、第4ラッチ回路19から入力される値が上記カウント終了値となる。
【0036】
メインカウンタ12は、第1ラッチ回路11から上記カウント終了値が設定され、カウント初期値から当該カウント終了値までを繰り返しカウントする。カウント初期値には、通常、0が設定される。たとえば、当該カウント終了値として199が設定された場合、メインカウンタ12は0〜199までを繰り返しカウントアップする200進カウンタとなる。メインカウンタ12のカウント値は、ループカウンタ13、デコーダ14および第2ラッチ回路15に出力される。
【0037】
ループカウンタ13は、メインカウンタ12の一カウントループが終了するたびにインクリメントし、メインカウンタ12のカウントループ回数を保持する。ここで、一カウントループとは、メインカウンタ12の上記カウント初期値から上記カウント終了値までカウントすることを指す。一カウントループは一駆動周期に対応するため、カウントループ回数は駆動周期回数に対応する。
【0038】
デコーダ14は、メインカウンタ12から供給されるカウント値を用いて、上記カウント終了値に応じた周期幅の駆動信号を生成する。デコーダ14の詳細な構成は後述する。第2ラッチ回路15は、メインカウンタ12から供給されるカウント値を順次ラッチし、ゼロクロス検出部40によりゼロクロスが検出された位置でラッチしたカウント値を差分算出回路16に出力する。当該ゼロクロスが検出された位置は、エッジ検出部42から入力されるエッジ信号により通知される。当該ゼロクロスが検出された位置が、理想的に常に同じタイミングで発生すれば、第2ラッチ回路15の出力は常に同じカウント値となる。
【0039】
差分算出回路16は、第2ラッチ回路15から入力されるカウント値と、現在のカウント終了値との差分を算出する。図1では現在のカウント終了値は第1ラッチ回路11から入力される例を描いている。なお、差分算出回路16が現在のカウント終了値を保持する構成であってもよいし、第4ラッチ回路19から供給される構成であってもよい。
【0040】
ゼロクロスが検出された位置のカウント値(=第2ラッチ回路15から入力されるカウント値)が、現在のカウント終了値より小さい場合、差分算出回路16は、前者から後者を減算する。たとえば、ゼロクロスが検出された位置のカウント値が197で、現在のカウント終了値が199の場合、差分算出回路16は、−2を出力する。
【0041】
ゼロクロスが検出された位置のカウント値が、現在のカウント終了値より大きい場合、第2ラッチ回路15から入力されるカウント値は、現在のカウント終了値に対する増分値となる。この場合、差分算出回路16は、第2ラッチ回路15から入力されるカウント値をそのまま出力する。たとえば、ゼロクロスが検出された位置の本来のカウント値が201で、現在のカウント終了値が199の場合、第2ラッチ回路15から入力されるカウント値は2となり、差分算出回路16は2をそのまま出力する。当該カウント値は199でリセットされるため、第2ラッチ回路15から入力されるカウント値は、201ではなく、2となる。
【0042】
第3ラッチ回路17は、差分算出回路16から入力される差分値をラッチし、第1クロック信号CLK1により指示されたタイミングで、その差分値を加算回路18に出力する。加算回路18は、第3ラッチ回路17から入力される差分値を、第4ラッチ回路19から入力される現在のカウント終了値に加算する。第4ラッチ回路19は、加算回路18から入力される値をラッチし、第2クロック信号CLK2により指示されたタイミングで第1ラッチ回路11に出力する。第4ラッチ回路19にも、リニア振動モータ200の駆動開始時には、図示しないレジスタなどから上記カウント終了値の初期値が設定される。
【0043】
加算回路18により生成された値は新たなカウント終了値として、第4ラッチ回路19および第1ラッチ回路11を介してメインカウンタ12およびデコーダ14に設定される。したがって、メインカウンタ12およびデコーダ14には、直前のゼロクロスの検出位置を反映したカウント終了値が常に設定される。
【0044】
図4は、エッジ信号、第1クロック信号CLK1、第2クロック信号CLK2および第3クロック信号CLK3の一例を示すタイミングチャートである。エッジ信号はエッジ検出部42から第2ラッチ回路15に設定される。第1クロック信号CLK1は、エッジ信号を半クロック、遅延させた信号である。この半クロックの遅延は、差分算出回路16による演算処理を考慮したものである。第2クロック信号CLK2は、第1クロック信号CLK1を半クロック、遅延させた信号である。この半クロックの遅延は、加算回路18による演算処理を考慮したものである。
【0045】
第3クロック信号CLK3は、第2クロック信号CK2を数クロック、遅延させた信号である。この数クロックの遅延は、現在の駆動周期のカウント終了前に、現在の駆動周期のカウント終了値が変更されることを抑制するための遅延である。たとえば、第1ラッチ回路11が設置されない場合であって、現在の駆動周期において、その終了位置より前にゼロクロスが検出された場合、そのゼロクロス位置を反映した新たなカウント終了値が、次回の駆動周期からではなく、現在の駆動周期から適用されてしまう可能性がある。その場合、更新前のカウント終了値を基準に通電期間が決定されるため、通電期間と非通電期間との比率が維持できなくなってしまう。本実施の形態では、100度通電が維持できなくなってしまう。
【0046】
第4ラッチ回路19とメインカウンタ12との間に第1ラッチ回路11を設置することにより、メインカウンタ12に設定されている現在のカウント終了値を、ゼロクロス位置を反映した新たなカウント終了値に更新するタイミングを遅らせることができる。
【0047】
(デコーダ構成)
図5は、デコーダ14の構成例を示す図である。デコーダ14は、上記カウント終了値に、上記駆動信号の一周期に対する通電期間の比率を一定にするための係数を乗算して得られる値に応じて、上記駆動信号の通電期間に対応するカウント幅を決定する。上述したように、上記駆動信号の一周期には、正電流通電期間と負電流通電期間とが含まれる。したがって、上記100度通電の場合、上記駆動信号の一周期に対する各通電期間の比率は、100°/360°(≒0.28)となる。また、上記駆動信号の一周期に対する各通電期間の半期間の比率は、50°/360°(≒0.14)となる。
【0048】
また、デコーダ14は、上記カウント終了値に、上記駆動信号の通電期間の中心位置を決定するための係数を乗算して得られる値に応じて、上記駆動信号の通電期間の開始位置および終了位置に対応するカウント値を決定する。上述したように、上記駆動信号の一周期は、前後に非通電期間が設定された正電流通電期間および前後に非通電期間が設定された負電流通電期間により形成される。ここで、正電流通電期間の長さおよび負電流通電期間の長さは等しく設定され、非通電期間の長さも、すべて等しく設定される。
【0049】
したがって、上記駆動信号の正電流通電期間の中心位置を決定するための係数は、0.25に設定され、上記駆動信号の負電流通電期間の中心位置を決定するための係数は、0.75に設定される。なお、上記駆動信号の位相が逆の場合、負電流通電期間の中心位置を決定するための係数は、0.25に設定され、正電流通電期間の中心位置を決定するための係数は、0.75に設定される。
【0050】
このように、デコーダ14は、各通電期間に対応するカウント幅、および各通電期間の中心位置に対応するカウント値を算出することができる。そして、当該中心位置に対応するカウント値から、上記カウント幅の半分の値を減算することにより、各通電期間の開始位置に対応するカウント値を算出することができる。また、当該中心位置に対応するカウント値に、上記カウント幅の半分の値を加算することにより、各通電期間の終了位置に対応するカウント値を算出することができる。
【0051】
以下、より具体的に説明する。デコーダ14は、駆動幅算出部51、正駆動中心値算出部52、負駆動中心値算出部53、正側減算部54、正側加算部55、負側減算部56、負側加算部57、正駆動信号生成部58および負駆動信号生成部59を含む。
【0052】
駆動幅算出部51は、上記駆動信号の一周期に対する各通電期間(以下適宜、駆動期間ともいう)の半期間の比率を係数として保持する。上記100度通電の場合、0.14を保持する。駆動幅算出部51は、第1ラッチ回路11からカウント終了値が供給される。駆動幅算出部51は、そのカウント終了値に当該係数を乗算する。これにより、各駆動期間の半期間に対応するカウント幅を算出することができる。
【0053】
正駆動中心値算出部52は、上記駆動信号の正電流通電期間(以下適宜、正駆動期間ともいう)の中心位置を決定するための係数を保持する。本実施の形態では、0.25を保持する。正駆動中心値算出部52は、第1ラッチ回路11からカウント終了値が供給される。正駆動中心値算出部52は、そのカウント終了値に当該係数を乗算する。これにより、各正駆動期間の中心位置に対応するカウント値を算出することができる。
【0054】
負駆動中心値算出部53は、上記駆動信号の負電流通電期間(以下適宜、負駆動期間ともいう)の中心位置を決定するための係数を保持する。本実施の形態では、0.75を保持する。負駆動中心値算出部53は、第1ラッチ回路11からカウント終了値が供給される。負駆動中心値算出部53は、そのカウント終了値に当該係数を乗算する。これにより、各負駆動期間の中心位置に対応するカウント値を算出することができる。
【0055】
正側減算部54は、正駆動中心値算出部52から供給される正駆動期間の中心位置に対応するカウント値から、駆動幅算出部51から供給されるカウント幅を減算することにより、正駆動期間の開始位置に対応するカウント値を算出する。正側加算部55は、正駆動中心値算出部52から供給される正駆動期間の中心位置に対応するカウント値に、駆動幅算出部51から供給されるカウント幅を加算することにより、正駆動期間の終了位置に対応するカウント値を算出する。
【0056】
負側減算部56は、負駆動中心値算出部53から供給される負駆動期間の中心位置に対応するカウント値から、駆動幅算出部51から供給されるカウント幅を減算することにより、負駆動期間の開始位置に対応するカウント値を算出する。負側加算部57は、負駆動中心値算出部53から供給される負駆動期間の中心位置に対応するカウント値に、駆動幅算出部51から供給されるカウント幅を加算することにより、負駆動期間の終了位置に対応するカウント値を算出する。
【0057】
正駆動信号生成部58は、メインカウンタ12から同期クロックとしてのカウント値、正側減算部54から正駆動期間の開始位置に対応するカウント値、および正側加算部55から正駆動期間の終了位置に対応するカウント値が供給される。正駆動信号生成部58は、同期クロックとしてのカウント値にしたがい、正駆動期間の開始位置に対応するカウント値から正駆動期間の終了位置に対応するカウント値まで有意な信号(たとえば、ハイレベル信号)を正駆動信号として出力する。それ以外の期間は、非有意な信号(たとえば、ローレベル信号)を出力する。
【0058】
なお、正駆動信号生成部58は、当該正駆動信号を、設定されたデューティ比のPWM信号で生成することができる。正駆動信号生成部58により生成された正駆動信号は、駆動部20、より具体的には第1トランジスタM1および第4トランジスタM4のゲートに入力される。なお、第1トランジスタM1の前段には、図示しないインバータが設けられ、当該正駆動信号は位相が反転されて、第1トランジスタM1のゲートに入力される。
【0059】
負駆動信号生成部59は、メインカウンタ12から同期クロックとしてのカウント値、負側減算部56から負駆動期間の開始位置に対応するカウント値、および負側加算部57から負駆動期間の終了位置に対応するカウント値が供給される。負駆動信号生成部59は、同期クロックとしてのカウント値にしたがい、負駆動期間の開始位置に対応するカウント値から負駆動期間の終了位置に対応するカウント値まで有意な信号(たとえば、ハイレベル信号)を負駆動信号として出力する。それ以外の期間は、非有意な信号(たとえば、ローレベル信号)を出力する。
【0060】
なお、負駆動信号生成部59は、当該負駆動信号を、設定されたデューティ比のPWM信号で生成することができる。負駆動信号生成部59により生成された負駆動信号は、駆動部20、より具体的には第2トランジスタM2および第3トランジスタM3のゲートに入力される。なお、第2トランジスタM2の前段には、図示しないインバータが設けられ、当該負駆動信号は位相が反転されて、第2トランジスタM2のゲートに入力される。
【0061】
図6は、駆動信号の一周期の波形を示す図である。図6にて網点領域が、正駆動期間(先)および負駆動期間(後)を示している。正駆動開始値aに対応するカウント値は正側減算部54により生成され、正駆動中心値bに対応するカウント値は正駆動中心値算出部52により生成され、正駆動終了値cに対応するカウント値は正側加算部55により生成される。同様に、負駆動開始値dに対応するカウント値は負側減算部56により生成され、負駆動中心値eに対応するカウント値は負駆動中心値算出部53により生成され、負駆動終了値fに対応するカウント値は負側加算部57により生成される。
【0062】
図5に示すようにデコーダ14を構成することにより、駆動信号生成部10は、上記駆動信号の周波数の変更によりその周期幅が変更されても、上記駆動信号の通電期間と非通電期間との比が維持されるよう、上記駆動信号を調整することができる。また、駆動信号生成部10は、上記駆動信号の周期幅が変更されても、一周期における通電期間の信号位相の相対的位置関係が維持されるよう、上記駆動信号を調整することができる。
【0063】
図7は、駆動信号の通電期間幅の制御を説明するための図である。図7(a)は、駆動周期がデフォルト状態における、コイル駆動電圧の推移を示す図であり、図7(b)は、駆動周期がデフォルト状態から長く調整された後の、コイル駆動電圧(通電期間幅の調整なし)の推移を示す図であり、図7(c)は、駆動周期がデフォルト状態から長く調整された後の、コイル駆動電圧(通電期間幅の調整あり)の推移を示す図である。
【0064】
図7(a)では、上記100度通電に設定されている。すなわち、1駆動周期における通電期間と非通電期間との比が5:4に設定されている。図7(b)では、駆動周期がデフォルト状態から長く調整された後も、デフォルト状態における通電期間幅が維持される例を示している。この場合、リニア振動モータ200に対する駆動力が低下し、リニア振動モータ200の振動が弱くなる可能性がある。
【0065】
図7(c)では、駆動周期がデフォルト状態から長く調整された後も、1駆動周期における通電期間と非通電期間との比が維持されるよう制御される。本実施の形態では、上記100度通電が維持されるよう制御される。この制御は、デコーダ14内の駆動幅算出部51の作用により実現される。
【0066】
ここでは、駆動周期がデフォルト状態から長く調整される例を説明したが、デフォルト状態から短く調整される例も同様である。駆動周期がデフォルト状態から短く調整された後も、デフォルト状態における通電期間幅が維持されると、リニア振動モータ200に対する駆動力が上昇し、リニア振動モータ200の振動が強くなる可能性がある。この点、本実施の形態では、駆動周期がデフォルト状態から短く調整された後も、100度通電が維持されるよう制御される。
【0067】
図8は、駆動信号の位相制御を説明するための図である。図8は、リニア振動モータ200の共振周波数に調整された後の、コイルL1の両端電圧の推移を示している。なお、説明を単純化するために回生電圧は省略して描いている。一段目の波形は、駆動信号の位相が最適な状態で、リニア振動モータ200が駆動されている状態を示している。
【0068】
二段目の波形は、その二周期目から、駆動信号の位相が位相遅れ状態で、リニア振動モータ200が駆動されている状態を示している。この状態は、駆動周期がそれまでより短く調整された場合であって、その調整後も、各通電期間の開始位置および終了位置が、その調整前の位置を維持している場合に発生する。
【0069】
三段目の波形は、その二周期目から、駆動信号の位相が位相進み状態で、リニア振動モータ200が駆動されている状態を示している。この状態は、駆動周期がそれまでより長く調整された場合であって、その調整後も、各通電期間の開始位置および終了位置が、その調整前の位置を維持している場合に発生する。
【0070】
すなわち、各通電期間の開始位置および終了位置が固定の場合にて、駆動周期幅が変更されると、駆動信号の位相に遅れや進みが発生する。これに対し、本実施の形態では駆動周期が変更されると、各通電期間の開始位置および終了位置が適応的に調整されるため、駆動信号の位相を最適に保つことができる。この開始位置および終了位置の調整は、デコーダ14内の主に、正駆動中心値算出部52および負駆動中心値算出部53の作用により実現される。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態に係る駆動制御回路100によれば、測定されたリニア振動モータ200の固有振動数に対応する周期幅を用いて、つぎの駆動信号の周期幅を調整することにより、リニア振動モータ200がどのような状態であっても、その固有振動数にできるだけ近い周波数で継続的に駆動することができる。
【0072】
したがって、リニア振動モータ200の製品間による固有振動数のばらつきを吸収することができ、モータを量産する場合の歩留の低減を防止することが可能となる。また、バネ222a、220bなどが経時変化しても、経時変化後の固有振動数に対応した駆動周波数で駆動されるため、振動が弱まることを抑制することができる。
【0073】
また、リニア振動モータ200の固有振動数と駆動信号の周波数とが一致するよう、駆動信号の周期幅を適応的に制御する際、その周期幅変更による影響を最小限に抑えることができる。具体的には、駆動信号の周期幅が変更されても、一周期における通電期間と非通電期間との比率を維持するよう通電期間幅を調整することにより、リニア振動モータ200に対する駆動力を維持することができる。したがって、駆動力の変動によって、リニア振動モータ200の動きが弱くなることを抑制することができる。
【0074】
また、駆動信号の周期幅が変更されても、一周期における通電期間の相対的位置関係が維持されるよう、各通電期間の開始位置および終了位置を最適な位置に調整することにより、駆動効率の低下を抑制することができる。すなわち、駆動信号の位相がずれると、振動子220の位置と、駆動力の供給位置とにずれが発生し、駆動効率が低下してしまう。この点、駆動信号の位相を最適な位置に維持することにより、同じ消費電力で、最大限の振動を得ることができる。
【0075】
(停止制御)
以下、本実施の形態に係る駆動制御回路100による、上述した駆動制御に追加することが可能な停止制御について説明する。駆動信号生成部10は、リニア振動モータ200の駆動終了後、その駆動時に生成していた駆動信号の位相に対して逆位相の駆動信号であって、駆動部20がハイインピーダンス状態に制御されるハイインピーダンス期間を含む駆動信号を生成する。駆動部20は、駆動信号生成部10により生成された逆位相の駆動信号に応じた逆位相の駆動電流をコイルL1に供給することにより、リニア振動モータ200の停止を早める。コイルL1に当該逆位相の駆動電流が供給されると、固定子210は振動子220の動きを止めるためのブレーキ作用を発揮する。
【0076】
誘起電圧検出部30は、上記ハイインピーダンス期間にコイルL1に発生する誘起電圧を検出する。駆動信号生成部10は、当該誘起電圧からリニア振動モータ200の駆動終了後の振動力を推定し、その振動力をもとに上記逆位相の駆動信号を制御する。たとえば、駆動信号生成部10は、当該誘起電圧が所定の電圧レンジ内に収まったとき、リニア振動モータ200が停止したと判定してもよい。すなわち、当該振動力がゼロまたは所定の基準値より小さくなったとみなす。
【0077】
駆動信号生成部10は、上記条件を満たしたとき当該駆動信号の駆動部20への供給を停止する。なお、その基準を満たした後、半周期または一周期分の当該駆動信号を駆動部20に供給してから、その供給を停止してもよい。なお、本明細書ではリニア振動モータ200の駆動終了時とは、停止制御のための逆駆動期間を含まない正規の駆動終了時を意味することとする。
【0078】
図9は、停止制御機能が追加されたデコーダ14の構成例を示す図である。図9に示すデコーダ14は、図5に示したデコーダ14に停止制御部61が追加された構成である。停止制御部61は、リニア振動モータ200の駆動終了指示をループカウンタ13から受けると、その駆動時に生成していた駆動信号の位相に対して逆位相の駆動信号を生成するよう正駆動信号生成部58および負駆動信号生成部59に指示する。正駆動信号生成部58は正駆動信号内にハイインピーダンス期間を設ける。同様に、負駆動信号生成部59は負駆動信号内にハイインピーダンス期間を設ける。
【0079】
図10は、逆位相の駆動信号の一周期の波形を示す図である。当該駆動信号には、負駆動期間および正駆動期間のそれぞれにハイインピーダンス期間が挿入される。ハイインピーダンス期間は、図2に示した第1トランジスタM1、第2トランジスタM2、第3トランジスタM3および第4トランジスタM4がすべてオフに制御され、駆動部20がハイインピーダンス状態となる期間である。このハイインピーダンス期間においては、コイルL1に発生する誘起電圧がそのまま誘起電圧検出部30により検出される。なお、図9、図10に示すデコーダ14の詳細な動作は、ハイインピーダンス期間の挿入を除き、図5、6に示したデコーダ14の動作を逆位相の動作にしたものと同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0080】
コンパレータ41は上記ハイインピーダンス期間が到来するたびに、誘起電圧検出部30により検出される誘起電圧に対応する出力信号として、ハイレベル信号またはローレベル信号を出力する。駆動信号生成部10は、コンパレータ41から、連続するハイインピーダンス期間に、連続して同相信号が出力されたとき、またはコンパレータ41からハイインピーダンス期間とその直前の駆動信号の期間とで、連続して同相信号が出力されたとき、リニア振動モータ200が停止したと判定する。すなわち、連続してハイレベル信号が出力されるか、または連続してローレベル信号が出力されたとき停止したと判定する。この具体例は後述する。
【0081】
図11は、コンパレータ41をヒステリシスコンパレータで構成する例を示す図である。ヒステリシスコンパレータは、入力電圧の変化にもかからわず、出力レベルが変化しない不感帯を持つコンパレータである。ここでは、誘起電圧検出部30からの出力電圧にかからわずに前値をエッジ検出部42に出力する不感帯を持つ。
【0082】
コンパレータ41の非反転入力端子とその出力端子との間にスイッチング素子M5(たとえば、Nチャンネル型MOSFET)が挿入される。スイッチング素子M5の両端には抵抗素子R11、R12がそれぞれ接続される。当該スイッチング素子M5がオンに制御されると、そのオン抵抗によりヒステリシスコンパレータとして機能する。当該スイッチング素子M5がオフに制御されると、通常のコンパレータとして機能する。不感帯の幅は、抵抗素子R11、R12に応じて決定される。
【0083】
リニア振動モータ200の駆動中、駆動信号生成部10(より厳密にはデコーダ14の停止制御部61)は、スイッチング素子M5をオフして、不感帯を持たない通常のコンパレータとして機能せさる。リニア振動モータ200の駆動終了後、スイッチング素子M5をオンして、不感帯を持つヒステリシスコンパレータとして機能せさる。なお、スイッチング素子M5の代わりに可変抵抗を用いてもよい。
【0084】
つぎに、上記逆位相の駆動信号がHブリッジ回路に供給される期間における回生電流について考える。当該逆位相の駆動信号にはハイインピーダンス期間が設定されるため、駆動信号生成部10は、当該Hブリッジ回路をハイインピーダンス状態に制御する前に回生電流を流すよう制御する。その際、第3トランジスタM3および第4トランジスタM4(両者ともにNチャンネル型)をオンして、コイルL、第3トランジスタM3、第4トランジスタM4およびグラウンド電位間に回生電流を流す第1方法と、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2(両者ともにPチャンネル型)をオンして、コイルL、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2および電源電位間に回生電流を流す第2方法との二種類がある(図2参照)。
【0085】
第1方法を採用する場合、入力電圧を受けるトランジスタにPチャンネル型が使用されるオペアンプOP1(以下、本明細書ではPch受けオペアンプという)を含む差動増幅回路を使用するのが好適である。一方、第2方法を採用する場合、入力電圧を受けるトランジスタにNチャンネル型が使用されるオペアンプOP1(以下、本明細書ではNch受けオペアンプという)を含む差動増幅回路を使用するのが好適である。
【0086】
図12は、Pch受けオペアンプOP1pの構成例を示す図である。当該Pch受けオペアンプOP1pは、差動入力段と出力段を含む。当該差動入力段は、差動入力電圧(本実施の形態ではコイル両端電圧(A−B点))が入力される、一対をなす第11Pチャンネル型トランジスタM11および第12Pチャンネル型トランジスタM12を含む。
【0087】
グラウンド電位と、第11Pチャンネル型トランジスタM11および第12Pチャンネル型トランジスタM12のそれぞれのドレイン端子との間に、負荷とすべきカレントミラー回路が接続される。当該カレントミラー回路は、一対をなす第13Nチャンネル型トランジスタM13および第14Nチャンネル型トランジスタM14により構成される。第13Nチャンネル型トランジスタM13および第14Nチャンネル型トランジスタM14のソース端子はグラウンド電位に接続され、第13Nチャンネル型トランジスタM13および第14Nチャンネル型トランジスタM14のドレイン端子は、それぞれ第11Pチャンネル型トランジスタM11および第12Pチャンネル型トランジスタM12のドレイン端子に接続される。
【0088】
第13Nチャンネル型トランジスタM13および第14Nチャンネル型トランジスタM14のゲート端子は、第11Pチャンネル型トランジスタM11および第13Nチャンネル型トランジスタM13のドレイン端子に接続される。第12Pチャンネル型トランジスタM12および第14Nチャンネル型トランジスタM14のドレイン端子は、上記出力段に接続される。
【0089】
電源電位と、第11Pチャンネル型トランジスタM11および第12Pチャンネル型トランジスタM12の共通ソースとの間に、定電流源とすべき第15Pチャンネル型トランジスタM15が接続される。第15Pチャンネル型トランジスタM15のゲート端子には所定のバイアス電圧が印加され、定電流源として機能する。
【0090】
上記出力段に含まれる第16Nチャンネル型トランジスタM16のゲート端子は、差動入力段から、第12Pチャンネル型トランジスタM12および第14Nチャンネル型トランジスタM14のドレイン端子の電圧を受ける。第16Nチャンネル型トランジスタM16のソース端子はグラウンド電位に接続され、そのドレイン端子は定電流源とすべき第17Pチャンネル型トランジスタM17のドレイン端子と接続される。第17Pチャンネル型トランジスタM17のゲート端子には所定のバイアス電圧が印加され、定電流源として機能する。
【0091】
第16Nチャンネル型トランジスタM16のゲート端子と、第16Nチャンネル型トランジスタM16および第17Pチャンネル型トランジスタM17のドレイン端子との間に第11容量C11が接続される。第16Nチャンネル型トランジスタM16および第17Pチャンネル型トランジスタM17のドレイン端子の電圧が、Pch受けオペアンプOP1pの出力電圧となる。Pch受けオペアンプOP1pは、電源電位付近の入力電圧に対する同相入力電圧範囲が狭いという性質がある。
【0092】
図13は、Nch受けオペアンプOP1nの構成例を示す図である。当該Nch受けオペアンプOP1nは、差動入力段と出力段を含む。当該差動入力段は、差動入力電圧(本実施の形態ではコイル両端電圧(A−B点))が入力される、一対をなす第21Nチャンネル型トランジスタM21および第22Nチャンネル型トランジスタM22を含む。
【0093】
電源電位と、第21Nチャンネル型トランジスタM21および第22Nチャンネル型トランジスタM22のそれぞれのドレイン端子との間に、負荷とすべきカレントミラー回路が接続される。当該カレントミラー回路は、一対をなす第23Pチャンネル型トランジスタM23および第24Pチャンネル型トランジスタM24により構成される。第23Pチャンネル型トランジスタM23および第24Pチャンネル型トランジスタM24のソース端子は電源電位に接続され、第23Pチャンネル型トランジスタM23および第24Pチャンネル型トランジスタM24のドレイン端子は、それぞれ第21Nチャンネル型トランジスタM21および第22Nチャンネル型トランジスタM22のドレイン端子に接続される。
【0094】
第23Pチャンネル型トランジスタM23および第24Pチャンネル型トランジスタM24のゲート端子は、第21Nチャンネル型トランジスタM21および第23Pチャンネル型トランジスタM23のドレイン端子に接続される。第22Nチャンネル型トランジスタM22および第24Pチャンネル型トランジスタM24のドレイン端子は、上記出力段に接続される。
【0095】
グラウンド電位と、第21Nチャンネル型トランジスタM21および第22Nチャンネル型トランジスタM22の共通ソースとの間に、定電流源とすべき第25Nチャンネル型トランジスタM25が接続される。第25Nチャンネル型トランジスタM25のゲート端子には所定のバイアス電圧が印加され、定電流源として機能する。
【0096】
上記出力段に含まれる第26Pチャンネル型トランジスタM26のゲート端子は、差動入力段から、第22Nチャンネル型トランジスタM22および第24Pチャンネル型トランジスタM24のドレイン端子の電圧を受ける。第26Pチャンネル型トランジスタM26のソース端子は電源電位に接続され、そのドレイン端子は定電流源とすべき第27Nチャンネル型トランジスタM27のドレイン端子と接続される。第27Nチャンネル型トランジスタM27のゲート端子には所定のバイアス電圧が印加され、定電流源として機能する。
【0097】
第26Pチャンネル型トランジスタM26のゲート端子と、第26Pチャンネル型トランジスタM26および第27Nチャンネル型トランジスタM27のドレイン端子との間に第21容量C21が接続される。第26Pチャンネル型トランジスタM26および第27Nチャンネル型トランジスタM27のドレイン端子の電圧が、Nch受けオペアンプOP1nの出力電圧となる。Nch受けオペアンプOP1nは、グラウンド電位付近の入力電圧に対する同相入力電圧範囲が狭いという性質がある。
【0098】
上記回生電流を流す際に上記第1方法を採用した場合、回生電流が流れる際、A点およびB点の電圧は電源電位付近に上がる。反対に、上記第2方法を採用した場合、回生電流が流れる際、A点およびB点の電圧はグラウンド電位付近に下がる。
【0099】
したがって、上記第1方法を採用した場合であって、オペアンプOP1にPch受けオペアンプOP1pを採用した場合、回生電流が流れている間はPch受けオペアンプOP1pはほとんど動作せず、その出力電圧は増幅されないが、Nch受けオペアンプOP1nを採用した場合、Nch受けオペアンプOP1nが動作し、その出力電圧は増幅された値となる。
【0100】
また、上記第2方法を採用した場合であって、オペアンプOP1にNch受けオペアンプOP1nを採用した場合、回生電流が流れている間はNch受けオペアンプOP1pはほとんど動作せず、その出力電圧は増幅されないが、Pch受けオペアンプOP1pを採用した場合、Pch受けオペアンプOP1pが動作し、その出力電圧は増幅された値となる。
【0101】
このオペアンプOP1の出力電圧は、ハイインピーダンス状態に遷移する直前に、回生電流が流れている間に増幅動作していると、インパルス状の電圧となって出現し、コンパレータの出力を反転させてしまうため、駆動信号生成部10による停止制御判定を狂わす要因となる。上記第1方法を採用した場合、オペアンプOP1にPch受けオペアンプOP1pを採用することにより、また、上記第2方法を採用した場合、オペアンプOP1にNch受けオペアンプOP1nを採用することにより、このインパルス状の電圧の発生を抑制することができる。
【0102】
図14は、上記停止制御の一例を説明するための図(その1)である。リニア振動モータ200の駆動期間中の、コイル駆動電圧(A点)、コイル駆動電圧(B点)およびコイル両端電圧(A−B点)の推移は、図3に示した推移と同様である。図12では、コンパレータ41は、コイル両端電圧(A−B点)が正の期間、ハイレベル信号を出力し、コイル両端電圧(A−B点)が負の期間、ローレベル信号を出力する。
【0103】
ブレーキ期間中には、上記逆位相の駆動信号が駆動部20に供給される。当該駆動信号にはハイインピーダンス期間が設定されるため、その期間に、駆動部20による直接的な逆回転制御に起因しない、リニア振動モータ200に残存する振動力を示す誘起電圧がコンパレータ41に入力される。このコンパレータ41は不感帯dbを持つヒステリシスコンパレータである。当該ヒステリシスコンパレータは、当該誘起電圧が不感帯dbを負電位側から正電位側にクロスするとハイレベル信号を出力する。反対に、当該誘起電圧が不感帯dbを正電位側から負電位側にクロスするとローレベル信号を出力する。
【0104】
ただし、ハイインピーダンス状態に遷移する直前に流れる回生電流により、上記インパルス状の電圧(縦点線参照)が発生している。すなわち、図14に示す例は、上記第2方法を採用し、オペアンプOP1にPch受けオペアンプOP1pを採用した例を示している。したがって、残存する振動力を示す誘起電圧が小さくなっても(すなわち、不感帯dbに収まっても)、当該振動力が収束したとのサインが出なくなってしまう。
【0105】
図15は、上記停止制御の一例を説明するための図(その2)である。図15に示す例は、上記第1方法を採用し、オペアンプOP1にPch受けオペアンプOP1pを採用した例を示している。図15では、残存する振動力を示す誘起電圧が小さくなると(すなわち、不感帯dbに収まると)、当該ヒステリシスコンパレータが当該誘起電圧に反応しなくなる。すなわち、連続するハイインピーダンス期間に、連続してローレベル信号が出力されている。これにより、残存する振動力がほとんど失われたことを的確に検知することができる。なお、上記停止制御における振動力の検知は、ハイインピーダンス期間とその直前の駆動信号のヒステリシスコンパレータの出力を比較して行ってもよい。ハイインピーダンス期間とその直前の駆動信号のヒステリシスコンパレータの出力が一致したとき、残存する振動力がほとんど失われたことを検知することができる。
【0106】
以上説明したように本実施の形態に係る停止制御によれば、上記逆位相の駆動信号にハイインピーダンス期間を設定し、その期間に発生する誘起電圧を検出することにより、最適なブレーキ期間を制御することができる。したがって、リニア振動モータの駆動終了時において最適な停止制御を実現することができる。より具体的には、リニア振動モータの種類、終了時までの駆動期間、個々のモータの特性バラツキによるブレーキ応答などが異なっていても、最適な停止制御を実現することができる。
【0107】
また、ヒステリシスコンパレータを用いて当該誘起電圧を検出することにより、リニア振動モータ200の停止ポイントを正確に特定することができる。不感帯を設けない場合、上記誘起電圧の細かな変動やノイズの影響により、振動モータ200の停止ポイントを誤認識する可能性が発生するが、不感帯を設けることにより、誤認識する可能性を低減することができる。
【0108】
また、リニア振動モータ200の駆動中と、駆動終了後とでコンパレータ41のモードを切り替える構成を設けたことにより、駆動終了後の停止制御時の振動力検出にコンパレータ41を転用することができ、回路規模および消費電力の増大を抑制することができる。なお、リニア振動モータ200の駆動中は、共振周波数制御の誤差を低減するため、不感帯を設けない、または狭くすることが望ましい。
【0109】
また、駆動終了後に使用するヒステリシスコンパレータの代わりにアナログ/デジタル変換器を設けることも考えられるが、その場合、チップコスト、消費電力が増大し、テスト工程も多くなる。
【0110】
オペアンプOP1にPch受けオペアンプOP1pを採用した場合にて、上記ハイインピーダンス期間に入る前に、電源電位側に回生電流を流すことにより、Pch受けオペアンプOP1pの動作を抑制することができる。また、オペアンプOP1にNch受けオペアンプOP1nを採用した場合にて、上記ハイインピーダンス期間に入る前に、グラウンド電位側に回生電流を流すことにより、Nch受けオペアンプOP1nの動作を抑制することができる。これにより、上記ハイインピーダンス期間に入る直前に発生するインパルス状の電圧により、ヒステリシスコンパレータが誘起電圧の存在またはその大きさを誤認識することを回避することができる。
【0111】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0112】
図16は、図11に示したヒステリシスコンパレータの変形例を示す図である。コンパレータ41の非反転入力端子とその出力端子との間に、並列に複数のスイッチング素子が挿入される。図16では、三つのスイッチング素子M5〜M7が並列に接続される。駆動信号生成部10(より厳密にはデコーダ14の停止制御部61)は、それらスイッチング素子をオンする数を制御することにより、不感帯の幅を調整することができる。オンする数が多いほど不感帯の幅が広くなり、すべてオフすると、通常のコンパレータとなる。
【0113】
図17は、図1に示したリニア振動モータ200の駆動制御回路100の構成の変形例を示す図である。図17に示すゼロクロス検出部40では、コンパレータ41の代わりにアナログ/デジタル変換器41aを用いる。アナログ/デジタル変換器41aは、誘起電圧検出部30(図17の例では差動増幅回路)の出力アナログ信号をデジタル信号に変換する。駆動信号生成部10は、リニア振動モータ200の駆動終了後、アナログ/デジタル変換器41aの出力デジタル信号をもとに、リニア振動モータ200が停止したか否かを判定する。上述したようにコストや消費電力は増大するが、高精度なデジタル処理による停止制御を実現することができる。
【符号の説明】
【0114】
100 駆動制御回路、 10 駆動信号生成部、 14 デコーダ、 16 差分算出回路、 18 加算回路、 20 駆動部、 30 誘起電圧検出部、 40 ゼロクロス検出部、 200 リニア振動モータ、 210 固定子、 L1 コイル、 220 振動子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と振動子とを有し、両者の少なくとも一方は電磁石で構成され、この電磁石のコイルに駆動電流を供給して、振動子を固定子に対して振動させるリニア振動モータの駆動制御回路であって、
前記コイルに正電流と負電流とを交互に流すための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記駆動信号生成部により生成された駆動信号に応じた駆動電流を生成し、前記コイルに供給する駆動部と、
前記コイルに発生する誘起電圧を検出する誘起電圧検出部と、を備え、
前記駆動信号生成部は、前記リニア振動モータの駆動終了後、その駆動時に生成していた駆動信号の位相に対して逆位相の駆動信号であって、前記駆動部がハイインピーダンス状態に制御されるハイインピーダンス期間を含む駆動信号を生成し、
前記誘起電圧検出部は、前記ハイインピーダンス期間に前記コイルに発生する誘起電圧を検出し、
前記駆動信号生成部は、前記誘起電圧から前記リニア振動モータの駆動終了後の振動力を推定し、その振動力をもとに前記逆位相の駆動信号を制御することを特徴とするリニア振動モータの駆動制御回路。
【請求項2】
前記駆動信号生成部は、前記誘起電圧が所定の電圧レンジ内に収まったとき、前記リニア振動モータが停止したと判定することを特徴とする請求項1に記載のリニア振動モータの駆動制御回路。
【請求項3】
前記誘起電圧検出部により検出された誘起電圧と、その誘起電圧のゼロクロスを検出するための基準電圧とを比較するコンパレータをさらに備え、
前記コンパレータは、前記ハイインピーダンス期間に、ハイレベル信号またはローレベル信号を出力し、
前記駆動信号生成部は、前記コンパレータから、連続する前記ハイインピーダンス期間に、連続して同相信号が出力されたとき、前記リニア振動モータが停止したと判定することを特徴とする請求項1に記載のリニア振動モータの駆動制御回路。
【請求項4】
前記誘起電圧検出部により検出された誘起電圧をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器をさらに備え、
前記駆動信号生成部は、前記アナログ/デジタル変換器の出力デジタル信号をもとに、前記リニア振動モータが停止したか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のリニア振動モータの駆動制御回路。
【請求項5】
前記誘起電圧検出部により検出された誘起電圧と、その誘起電圧のゼロクロスを検出するための基準電圧とを比較するコンパレータをさらに備え、
前記コンパレータは、前記ハイインピーダンス期間に、ハイレベル信号またはローレベル信号を出力し、
前記駆動信号生成部は、前記コンパレータから、ハイインピーダンス期間とその直前の駆動信号の期間とで、連続して同相信号が出力されたとき、前記リニア振動モータが停止したと判定することを特徴とする請求項1に記載のリニア振動モータの駆動制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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