説明

リニア駆動型超音波モータ

【課題】安定した押圧力を得ることができ、外部装置との関係における制約が少ない、小型のリニア駆動型超音波モータを提供する。
【解決手段】圧電素子を有する超音波振動子と、超音波振動子との間の摩擦力により駆動される被駆動部材と、超音波振動子と被駆動部材との間に摩擦力が生じるように超音波振動子を押圧する押圧部材と、超音波振動子と押圧部材を収容するケース部材と、被駆動部材を移動可能に支持するベース部材と、を少なくとも具備し、押圧部材の中央部が超音波振動子と当接し、かつ、押圧部材の端部のうちの少なくとも中央部を挟む二つの端部がケース部材と当接した状態でケース部材がベース部材に組みつけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニア駆動型超音波モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のリニア駆動型超音波モータとしては、例えば特許文献1記載の振動装置が挙げられる(図22)。ここで、図22は、従来のリニア駆動型超音波モータの構成を示す図であって、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
【0003】
図22に示す振動装置は、振動体901を収容したケース906、ケース906内を通って振動体901に接触する移動体904、及び、移動体904と振動体901とを加圧接触させる押圧力(付勢力)を発生する押圧バネ905を備えている。押圧バネ905は、ケース906の外側に取り付けられている。ケース906の振動体901に面する側には開口部が形成され、押圧バネ905の押圧力は、開口部を通して振動体901に作用している。すなわち、この振動装置は、押圧バネ905がケース906の開口部を覆いながらケース906の外側に取り付けられた構造をしており、押圧力を発生させる押圧バネ905の変形部(開口部を覆っている平面部)が露出している。
【0004】
【特許文献1】特許第3524248号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の振動装置では、なんらかの外部装置に取り付ける場合には、押圧バネ905の押圧力の変化をさけるために、押圧バネ905が外部装置の部材に接触しないように、すなわち、押圧バネ905を回避するように配置しなければならないという設計の制限が発生する。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安定した押圧力を得ることができ、外部装置との関係における制約が少ない、小型のリニア駆動型超音波モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るリニア駆動型超音波モータは、圧電素子を有する超音波振動子と、超音波振動子との間の摩擦力により駆動される被駆動部材と、超音波振動子と被駆動部材との間に摩擦力が生じるように超音波振動子を押圧する押圧部材と、超音波振動子と押圧部材を収容するケース部材と、被駆動部材を移動可能に支持するベース部材と、を少なくとも具備し、押圧部材の中央部が超音波振動子と当接し、かつ、押圧部材の端部のうちの少なくとも中央部を挟む二つの端部がケース部材と当接した状態でケース部材がベース部材に組みつけられたことを特徴としている。
【0008】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータにおいては、ケース部材及びベース部材の一方に係合部を、他方に被係合部をそれぞれ設け、係合部と被係合部とが互いに係合して組みつけられることが好ましい。
【0009】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータにおいては、ケース部材における押圧部材との当接面からベース部材との固定または係止面までの高さ方向の距離(A)、撓んでいない自然状態の押圧部材におけるケース部材との当接面から超音波振動子との当接面までの高さ方向の距離(B)、超音波振動子における押圧部材との当接面から被駆動部材との当接面までの高さ方向の距離(C)、被駆動部材における超音波振動子との当接面から、ベース部材におけるケース部材との固定または係止面までの高さ方向の距離(D)、及び、押圧部材の所望の押圧力を発生する高さ方向の撓み変形量(X)が、(A)=(B)+(C)+(D)−(X)の関係を満たすことが望ましい。
【0010】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータにおいては、ケース部材及び押圧部材の一方に第1凹部を、他方に第1突出部をそれぞれ設け、第1凹部内に第1突出部を収容して、ケース部材が、押圧部材を押圧方向に直交する面内の位置を案内するとよい。
【0011】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータにおいて、ケース部材は、超音波振動子と押圧部材を収容する収容凹部の側面において、押圧部材の幅方向の端面の少なくとも一部に近接する凸部を備えることが好ましい。
【0012】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータにおいては、ケース部材及び超音波振動子の一方に第2凹部を、他方に第2突出部をそれぞれ設け、第2凹部内に第2突出部を収容して、ケース部材が超音波振動子を案内することができる。
【0013】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータにおいて、ケース部材は、超音波振動子と押圧部材を収容する収容凹部の上面において、押圧部材の両端部とそれぞれ当接する二つの第3突出部を備えることが好ましい。
【0014】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータにおいては、ケース部材の、超音波振動子を案内する第2凹部又は第2突出部において、超音波振動子の幅方向に、第2凹部又は第2突出部の幅より狭い係止部が設けられているとよい。
【0015】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータにおいて、ケース部材は、側面の少なくとも一部に貫通穴あるいは切り欠き部が設けられていることが望ましい。
【0016】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータにおいては、ケース部材が樹脂材料を含むとよい。
【0017】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータにおいては、押圧部材におけるケース部材との当接部、超音波振動子との当接部、又は、両当接部に樹脂部材をアウトサート成形することができる。
【0018】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータにおいては、押圧部材がケース部材に一体的に成形されることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るリニア駆動型超音波モータは、安定した押圧力を得ることができ、外部装置との関係における制約が少なく、かつ、小型化可能である、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明に係る超音波モータ(リニア駆動型超音波モータ)の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
(第1実施形態)
第1実施形態及びその変形例に係る超音波モータ10(リニア駆動型超音波モータ)について、図1から図12を参照しつつ説明する。ここで、図1は、超音波モータ10の構成を示す図であって、(a)は、(b)のIA−IA線における断面図であり、(b)はケース部材11の長手方向(x方向)をその中心において直交する断面図である。図1に示すように、超音波モータ10は、超音波振動子としての振動子22、被駆動部材24、押圧部材21、ケース部材11、及びベース部材12を備える。直方体状のケース部材11の内部には、収容凹部16が形成されており、ベース部材12を配置することによって閉じられる開口部13から外部へ至る。収容凹部16内には、超音波モータ10の高さ方向(図1(a)のz方向)において開口部13側から順に、振動子22、押圧部材21が収容されている。押圧部材21は、長板状の板バネであり、その長手方向が、超音波モータ10、ケース部材11の長手方向(図1(a)のx方向)に沿うように配置される。
【0022】
押圧部材21は、長手方向の両端部21a、21bの上面が、ケース部材11の収容凹部16の上面に設けられた二箇所の当接凸部16a、16bに当接するとともに、中央部21cの下面が振動子22の位置決め用の支持部材23と当接するような配置となっている。ここで、支持部材23は、振動子22の長手方向(図1(a)のx方向)中央に固定されている。また、振動子22は、超音波振動子(例えば圧電素子)によって構成される。なお、以下の図においては、振動子22を駆動するための電気配線は省略している。
【0023】
ベース部材12上には、転動部材25を介して、長板状の被駆動部材24がケース部材11の長手方向に沿って移動可能に配置されている。また、長板状のベース部材12の対向する二つの側辺の両端部には、ベース突出部12a(係合部)がそれぞれ設けられている。これに対して、ケース部材11の開口部13の内側面には、ベース突出部12aに対応する位置に、切り欠き部11a(被係合部)が設けられている。ベース部材12は、ケース部材11の切り欠き部11aと、対応するベース部材12のベース突出部12aとを互いに係止させることによりケース部材11内に組みつけられる。
【0024】
ケース部材11は押圧部材21より十分高い剛性を有しており、ケース部材11が図示しない外部装置の部材に接触しても、例えば押圧部材21の撓み量が変わるということがない。そのため、外部装置の設計自由度が向上する。また、押圧部材21がケース部材11の外部に露出していないため、ケース部材11の外形を外部装置にあてつけて取り付けの位置決めに使うことができる。さらに、ケース部材11に取り付け穴を設けて外部装置に直接取り付けることも可能になる。
【0025】
図1、図2に示すように、被駆動部材24の両端部には、連結部材固定ネジ32によって連結部材31が連結されている。この連結部材31は、外部装置(不図示)に連結されてリニア可動装置を実現することができる。連結部材31と外部装置との連結は、例えば、連結部材31に設けた取り付け穴33を用いて行う。ここで、図2は、被駆動部材24と外部装置との連結のための構成を示す斜視図である。なお、図2においては、ケース部材11の図示は省略している。
【0026】
以上の構成においては、押圧部材21が振動子22を被駆動部材24に対して押圧することにより、振動子22と被駆動部材24との間には摩擦力が生じるため、振動子22の振動によって被駆動部材24はその長手方向に移動する。
【0027】
また、図3に示すように、ケース部材11の上面に外部装置35を固定することもできる。外部装置35は、取り付け穴34を用いてケース部材11の上面に固定される。この場合、連結部材固定ネジ32を用いて被駆動部材24に固定された連結部材31の端部に設けた取り付け穴33によって、外部装置35の可動側と被駆動部材24を連結することができる。これにより、ケース部材11に固定された外部装置の可動部は、被駆動部材24とともに、被駆動部材24の長手方向に沿った方向(図3の矢印方向)に可動となる。ここで、図3は、被駆動部材24と外部装置との連結のための構成の変形例を示す斜視図である。
【0028】
これに対して、外部装置35のうち、連結部材31に固定された部分ではなく、ケース部材11の上面に固定された部分を可動とする構成もできる。これにより、ケース部材11を動作させると、外部装置35のケース部材11に固定された部分は被駆動部材24の長手方向に沿った方向(図4の矢印方向)に可動となる。ここで、図4は、被駆動部材24と外部装置との連結のための構成の変形例を示す斜視図である。
【0029】
以上のとおり、外部装置に対してケース部材11を固定することが可能となるため、押圧部材21による押圧力(付勢力)を安定的に得つつ、幅広いリニア可動装置に適用することができる。
【0030】
また、被駆動部材24に固定される連結部材31は、被駆動部材24の振動の節に対応する位置に固定することが望ましい。被駆動部材24は駆動状態では常に振動子22から振動を受けているため、長手方向へ移動するだけでなく、振動子22の駆動周波数で振動している。このような形態においては、被駆動部材24の節に連結部材31を設けることにより、外部装置への振動の伝播を低減することができる。したがって、外部装置を安定した状態で駆動することができる。
【0031】
ここで、ケース部材11がベース部材12に係止される位置、すなわちベース部材12のベース突出部12a及びケース部材11の切り欠き部11aの高さ方向の位置の関係について、図5を参照しつつ説明する。図5は、組み付け過程における超音波モータ10の構成を示す分解縦断面図である。
【0032】
超音波モータ10においては、次式(1)の関係を満たしている。
A = B+C+D−X ・・・(1)
ここで、A、B、C、D、Xは次のとおりである。
A:ケース部材11における、押圧部材21との当接面(当接凸部16a、16b)からベース部材12との係止当接面(切り欠き部11aの底面)までの距離
B:撓んでいない自然状態の押圧部材21における、ケース部材11との当接面(両端部21a、21bの上面)から支持部材23との当接面(中央部21cの下面)までの距離
C:支持部材23における押圧部材21との当接面から、振動子22における被駆動部材24との当接面までの距離
D:被駆動部材24における振動子22との当接面から、ベース部材12におけるケース部材11との係止当接面(ベース突出部12aの底面)までの距離
X:振動子22と被駆動部材24の所望の接触圧力を発生させるために必要な押圧部材21の撓み量
【0033】
すなわち、ケース部材11をベース部材12に組み付けると、ケース部材11の当接凸部16a、16bが押圧部材21の両端部21a、21bに当接する。中央部21cが支持部材23で支持された押圧部材21は、当接凸部16a、16bの突出形状、及び切り欠き部11a、ベース突出部12aの位置に応じて所望の形状に撓むため、押圧部材21による所望の押圧力が振動子22から被駆動部材24に対して作用する構造となっている。ケース部材11は押圧部材21に対して十分高い剛性を持った剛体であるため、図5の距離Aが組みつけによって変形する量はごくわずかであり押圧力に影響することはない。また、押圧部材21は幅方向(図1(b)のy方向)に狭くすることによりバネ定数を小さく設定できる。この二つの理由により、撓み量の精度があがることに加え、撓み量の変化に対して押圧力の増減を小さくすることが可能であるため、押圧力の精度が向上する。
【0034】
また、ケース部材11を成形品にすれば図5の距離Aの固体ばらつきは少なくなり、押圧部材21も自然状態では単純な平板形状であるため形状バラつきが少ない。よって、押圧力の個体ばらつきも低減できる。結果的に、本構造にすることにより、ケース部材11に押圧部材21を内包する構造においても、押圧力の精度を高く、固体バラつきを小さくすることができ、かつ、ケース部材11によって外部装置の設計自由度が制限されることがないため、幅広い外部装置に適用できるリニア型超音波モータを実現できる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、図6、図7を参照しつつ、第2実施形態及びその変形例に係る超音波モータについて説明する。図6は、図1(b)に対応する縦断面図であって、(a)は第2実施形態に係る超音波モータにおけるケース部材51とベース部材52との係止構造を示す図であり、(b)は第2実施形態の変形例に係る超音波モータにおけるケース部材61とベース部材62との係止構造を示す図である。図7は、(a)は第2実施形態に係る超音波モータにおけるケース部材51とベース部材52との係止構造を示す図であり、(b)は第2実施形態のさらなる変形例に係る超音波モータにおけるケース部材71とベース部材72との係止構造を示す図である。図7では、ケース部材及びベース部材において係止構造を設けた面の構成を示した側面図を並べて表示している。
【0036】
図6(a)、図7(a)に示すように、ベース部材52の外側面52sにはベース突出部52a(係合部)が設けられ、ケース部材51の内側面51sにはベース突出部52aに対応するように切り欠き部51a(被係合部)が設けられている。このように形成したベース突出部52aを切り欠き部51a内に係止することによって、ケース部材51内にベース部材52を組み付けることができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0037】
これに対して、係止構造は、図6(b)に示すように、雄雌逆でも良い。すなわち、ベース部材62の外側面62sには切り欠き部62a(被係合部)が設けられ、ケース部材61の内側面61sには切り欠き部62aに対応するようにベース突出部61a(係合部)が設けられている。
【0038】
また、ケース部材とベース部材の係止形状は、図7(a)に示すような凹穴状の切り欠き部51aに代えて、図7(b)に示すような貫通穴状の切り欠き部71a(被係合部)でも良い。具体的には、ケース部材71の内側面71sに、この面の厚さ方向に貫通するカギ型の切り欠き部71aを設けるとともに、ベース部材72の内側面72sには、切り欠き部71aに対応するように、ベース突出部72a(係合部)を設ける。この構成によれば、ベース部材72のベース突出部72aをケース部材71の切り欠き部71aの内側面の形状に沿ってスライドさせて組み付けることができ、これにより、ケース部材71にベース部材72を変形することなく容易にくみつけることができる。
【0039】
(第3実施形態)
つづいて、図8から図11を参照して、第3実施形態及びその変形例に係る超音波モータについて説明する。図8は、第3実施形態に係る超音波モータにおけるケース部材111による押圧部材121の位置規制構造を示す平面図である。図9は、第3実施形態の変形例に係る超音波モータにおけるケース部材111による押圧部材171の位置規制構造を示す平面図である。図10は、第3実施形態のさらなる変形例に係る超音波モータにおけるケース部材211による押圧部材221の位置規制構造を示す平面図である。図11は、第3実施形態のさらに別の変形例に係る超音波モータにおけるケース部材261による押圧部材271の位置規制構造を示す平面図である。
【0040】
図8に示す第3実施形態に係る超音波モータにおいては、押圧部材121の長手方向(x方向)略中央部に幅方向(y方向)に突出する突出部121b(第1突出部)を設けるとともに、ケース部材111には、突出部121bに対応する位置に、ケース凹部111b(第1凹部、第2凹部)を設けている。ケース凹部111bは、ケース部材111の高さ方向(z方向)において、開口部まで貫通している。したがって、開口部からケース部材111のケース凹部111b内に押圧部材121の突出部121bを係合させることによって、押圧部材121のxy面内方向の位置規制を行うことができる。さらに、ケース凹部111b内に突出部121bを係合させることによって、押圧部材121の長手方向中央部を支持部材23上に配置できるため、組み立て性を向上させることができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0041】
これに対して、図9に示すように、押圧部材171の長手方向(x方向)略中央部に幅方向(y方向)に突出する突出部171b(第1突出部)を設け、さらに、この突出部171bの端部を円弧状とすることもできる。ケース部材111のケース凹部111b内に押圧部材171の突出部171bを係合させると、押圧部材171のxy面内方向の位置規制を行うことができるとともに、組み立て性を高めることができる。
【0042】
また、図10に示すように、ケース部材211の長手方向(x方向)略中央部に内側へ突出する突出部211b(第1突出部)を設けるとともに、押圧部材221には、突出部211bに対応する位置に、凹部221b(第1凹部)を設けてもよい。押圧部材221の凹部221b内にケース部材211の突出部211bを当接させる構成によって、ケース部材211へ押圧部材221が案内されて組みつけられることで組立性が向上する。
【0043】
さらに、図11に示すように、押圧部材271の長手方向(x方向)略中央部に幅方向(y方向)に突出する突出部271b(第1突出部)を設けるとともに、ケース部材261には、突出部271bに対応する位置に、ケース凹部261b(第1凹部)を設け、さらに、ケース部材261に、押圧部材271の端面に近接するように突出したケース凸部261cを設けることもできる。このような構成とすると、押圧部材271のxy面内回転方向の位置が規制される。また、押圧部材271の位置ばらつきが低減され、組立性が向上する。なお、ケース凸部261cは、押圧部材271の長手方向において離れた位置に配置することが望ましい。
【0044】
(第4実施形態)
次に、図12を参照して、第4実施形態に係る超音波モータについて説明する。図12は、第4実施形態に係る超音波モータにおけるケース部材111による支持部材123の位置規制構造を示す平面図である。なお、第4実施形態においては、第1実施形態又は第3実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0045】
図12に示す第4実施形態に係る超音波モータにおいては、図8に示す超音波モータと同様に、ケース部材111の長手方向(x方向)略中央部にケース凹部111bを設けている。このケース凹部111bは、ケース部材111の高さ方向(z方向)を開口部113まで貫通している。また、振動子22上面の長手方向(x方向)略中央部に固定した支持部材123には、ケース部材111のケース凹部111bに対応するように、突出部123b(第2突出部)を設けている。この構成においては、開口部113側からケース部材111のケース凹部111b内に支持部材123の突出部123bを嵌合することにより、振動子22の位置決めを行うことができる。さらに、第3実施形態として説明したように、ケース部材111のケース凹部111bは、押圧部材121の位置決めを行っており、組み立て性を高めることができる。なお、支持部材123の突出部123bを嵌合する凹部は、押圧部材121の突出部121bを嵌合するケース凹部111bとは別個に設けても良い。また、ケース部材111に突出部を、支持部材123に凹部を設けても良い。
【0046】
(第5実施形態)
次に、図13を参照して、第5実施形態に係る超音波モータについて説明する。図13は、第5実施形態に係る超音波モータの構成を示す縦断面図であって、図1(a)に対応する図である。図14は、第5実施形態の変形例に係る超音波モータにおけるケース部材と押圧部材の当接構造を示す縦断面図である。図14は、図1(a)に対応する図であって、ケース部材及び押圧部材以外の構成の図示は省略している。
【0047】
第5実施形態に係る超音波モータにおいては、ケース部材311内に設けられた収容凹部316の上面316sが平面をなしており、この上面316sのうち、押圧部材21の両端部21a、21bに対応する位置に、先端が球面状の当接凸部316a、316b(第3突出部)をそれぞれ設けている。この構成では、当接凸部316a、316bの先端が押圧部材21の両端部21a、21bと当接して、押圧部材21は中央部21cを中心として上に凸状に撓む。これにより、押圧部材21は、振動子22を被駆動部材24に対して押圧する押圧力を発生する。第5実施形態では、押圧部材21とケース部材311の当接凸部316a、316bとがそれぞれ点接触するため、押圧部材21の姿勢を規制することなく、押圧部材21を変形させることができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0048】
次に、図14を参照して、第5実施形態の変形例に係る超音波モータについて説明する。図14に示すように、ケース部材361内に設けた収容凹部366の上面366sは平面をなしている。一方、押圧部材371は、その長手方向(x方向)両端部に貫通穴371a、371bを備える。これに対して、収容凹部366の上面366sのうち、押圧部材371の貫通穴371a、371bに対応する位置には、当接凸部366a、366bが形成されている。
【0049】
当接凸部366aは、上面366s側から順に、大径部366a1と、大径部366a1よりも外径が小さな小径部366a2と、を備え、大径部366a1と小径部366a2の外径の違いにより、両者の間には段差が形成されている。当接凸部366aと同様に、当接凸部366bは、上面366s側から順に、大径部366b1と、大径部366b1よりも外径が小さな小径部366b2と、を備え、大径部366b1と小径部366b2の外径の違いにより、両者の間には段差が形成されている。
【0050】
当接凸部366a、366bの小径部366a2、366b2を、押圧部材371に設けた貫通穴371a、371bに挿入して、大径部366a1、大径部366b1を押圧部材371に当接することにより、押圧部材371の位置決めができるため、組立を容易にすることができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0051】
(第6実施形態)
次に、図15を参照して、第6実施形態に係る超音波モータについて説明する。図15は、第6実施形態に係る超音波モータの構成を示す縦断面図であって、図1(a)に対応する図である。第6実施形態に係る超音波モータにおいては、ケース部材411は収容凹部416の上面416sが凹凸のない平面となっている。一方、押圧部材421は、下に凸の形状を備え、長手方向(x方向)の中央部421cが支持部材23に支持されるとともに、長手方向両端部421a、421bが上面416sにそれぞれ当接する。押圧部材421をこのような曲げ形状とすれば、ケース部材411側に突出部を設けるが必要がなくなるため、ケース部材411の寸法精度が向上する。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0052】
(第7実施形態)
次に、図16、図17を参照して、第7実施形態及びその変形例に係る超音波モータについて説明する。図16(a)は、第7実施形態に係る超音波モータのケース部材の係止構造を示す縦断面図であって、図1(a)に対応する図である。図16(a)においては、ケース部材461以外の部材については、点線で表示又は表示を省略している。図16(b)は、図16(a)のXVIB−XVIB線における断面図である。図17は、第7実施形態の変形例に係る超音波モータのケース部材の係止構造を示す縦断面図であって、図16(b)に対応する図である。図17においても、説明の便宜上一部の部材の表示を省略している。
【0053】
第7実施形態に係るケース部材461においては、図16に示すように、押圧部材21、振動子22、支持部材23を収容する収容凹部466の内壁に、高さ方向(z方向)において上面461sから開口部463まで貫通する溝部461bが形成されている。溝部461bは、図8、図12に示すケース部材111のケース凹部111bと同様に、押圧部材21及び支持部材23(振動子22)を位置規制可能に設けられている。さらに、溝部461bには、その内部にいったん導入された支持部材23に係止する係止部467が設けられている。具体的には、押圧部材21及び振動子22の溝部461bの一部に、ケース部材461の幅方向(y方向)において、対向する溝幅が振動子支持部材23の幅より狭くなるように突出部を設け、係止部467としている。このような係止部467を設けることにより、押圧部材21及び振動子22を溝部461bに沿って挿入した後、押圧部材21及び振動子22の落下を防止できるため組立方法の自由度があがる。
【0054】
これに対して、図17に示すように、係止部467に代えて又は係止部467に加えて、溝部461bに係止部468を設けることもできる。係止部468は、対向する溝幅が押圧部材21の幅より狭くなるように設けられた突出部である。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0055】
(第8実施形態)
次に、図18を参照して、第8実施形態に係る超音波モータについて説明する。図18(a)は、第8実施形態に係る超音波モータの構成を示す縦断面図であって、図1(a)に対応する図である。図18(b)は、図18(a)のXVIIIB方向から見た側面図である。
【0056】
第8実施形態に係る超音波モータにおいては、ケース部材511の長手方向(x方向)の両側面518に、穴部519をそれぞれ設けており、二つの穴部519に被駆動部材24を挿通して、ケース部材511を被駆動部材24が貫通することができる。このケース部材511では、ベース部材512とケース部材511との係止部を、穴部519を設けた側面部に設けている。ケース部材511をこのように構成すると、ケース部材511の両側面518がベース部材512との係止部まで存在するため、ケース部材511が完全な箱型形状となり、これによりケース部材511の剛性を増すことが可能である。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0057】
(第9実施形態)
次に、図19を参照して、第9実施形態に係る超音波モータについて説明する。図19(a)は、第9実施形態に係る超音波モータのケース部材561の構成を示す側面図である。図19(b)は、図19(a)のXIX−XIX線における断面図である。
【0058】
以上の実施形態に示すようなケース部材の構造とした場合、被駆動部材24を組み付けるには、ケース部材の下部に設けた開口部から挿入することになる。被駆動部材の交換その他の観点からは、振動子が被駆動部材と干渉しないように治具などを用いて保持して挿入することが望ましい。そこで、第9実施形態に係る超音波モータにおいては、ケース部材561の側面569に切り欠き部561aが設けられている。この切り欠き部561aは、振動子22の片面が外部から見える位置まで開口されている。このような構成においては、例えば図19(b)に示すような振動子保持治具590の先端を切り欠き部561aに挿入して、振動子22が下面563側から落ちないように支持することができ、これにより、振動子22、支持部材23、及び押圧部材21を、ケース部材561を図19(b)に示すような姿勢で保持することが可能となる。さらに、振動子保持治具590によって、被駆動部材24が挿入できる位置まで振動子22を持ち上げた後、被駆動部材24を組み付けることができるため、被駆動部材24の交換が容易となる。
【0059】
また、第9実施形態に係る超音波モータにおいて、ケース部材561の側面569の略中央部には、振動子22の支持部材23が見えるように貫通穴561cが設けられている。すなわち、貫通穴561cは、振動子22、支持部材23、及び被駆動部材24を収容する収容凹部566に至っている。ケース部材561にベース部材562を組みつけ、押圧部材21から被駆動部材24に所望の押圧力を作用させた後、この貫通穴561cより接着剤を塗布すると、振動子22とケース部材561を接着固定することができる。これにより、ケース部材561と振動子22との隙間が埋められ、実駆動時の振動子22の左右方向(x方向)の動きが抑制できるため、効率良く被駆動部材24に駆動力を伝達することができる。
なお、切り欠き部、貫通穴は図の形状に限定されず、丸穴や角穴でも良い。
また、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0060】
(第10実施形態)
次に、図20を参照して、第10実施形態に係る超音波モータについて説明する。図20(a)は、第10実施形態に係る超音波モータの構成を示す縦断面図であって、図1(a)に対応する図である。図20(b)は第10実施形態に係る押圧部材621の構成を示す平面図である。
【0061】
図19に示すように、押圧部材621では、支持部材23との当接部621c、及び、ケース部材11の当接凸部16a、16bとの当接部621a、621bに、樹脂部材をアウトサート成形している。このように押圧部材621に樹脂部材をアウトサーと成形すると、ケース部材11及び支持部材23の材料によることなく、振動子22の振動を樹脂部材の制振効果によって減衰させることができ、したがって、ケース部材11への振動の伝播を防ぎ駆動特性の低下を防ぐことができる。また、押圧部材621にアウトサート成形で一体的に成形するため、樹脂部材を接着するなどの工数が低減できる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0062】
(第11実施形態)
次に、図21を参照して、第11実施形態に係る超音波モータについて説明する。図21は、第11実施形態に係る超音波モータの構成を示す縦断面図であって、図1(a)に対応する図である。図21(a)は、ケース部材11と押圧部材671をインサート成形し、かつ、超音波モータの組み立て前の状態を示す図であり、(b)は超音波モータを組み立てた後の状態を示す図である。第11実施形態に係る超音波モータでは、ケース部材11の内壁17a、17bに押圧部材671の両端部671a、671bがインサートされて一体的に成形されている。図21(a)に示すように、超音波モータの組み立て前においては、押圧部材671は自然状態であって撓んでいない。これに対して、図21(b)に示すように、超音波モータの組み立て後においては、振動子22、支持部材23、被駆動部材24、及び転動部材25を所定の位置に配置してケース部材11とベース部材12とを組み付けることによって、押圧部材671は撓んでいる。これにより、押圧部材671は、振動子22と被駆動部材24との間に所定の摩擦力を生じるように振動子22を押圧する。このように構成すると、ケース部材への押圧部材の組み付けが不要となり、組立性が向上するとともに押圧部材の組み付け位置ばらつきも低減する。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0063】
一般に、超音波モータ装置において、主要な構成要件をパッケージしたユニット構造にすることは汎用性、特性安定化の点で有効であるが、小型にすることが求められている。これに対して、従来の超音波モータにおいては、押圧部材(付勢部材)をケース部材に内包した状態で小型化することは、押圧力のばらつきが大きくなりやすく、困難である。しかし、押圧部材をケースに取り付け露出した状態ではケースとして内容物を保護するという機能が不十分である。
【0064】
これに対して、上述の各実施形態に係る超音波モータによれば、押圧部材の位置決めが容易にでき、かつ、組立及びメンテナンスも簡易なユニット構造を実現できる。すなわち、箱状のケース部材の開口部側に振動子、開口部と逆側に押圧部材を案内して収容する。このとき押圧部材の両端部が、ケース部材の振動子を収容する収容凹部の上面に設けられた二箇所の突出部に当接するとともに、押圧部材の略中央部が振動子の位置決め用の支持部材と当接するような配置となっている。よって、小型化が可能となるとともに、剛体であるケース部材が押圧部材を含む各部材を覆って保護するため、ケース部材は外部装置に固定したり、位置決めのために当てつけたり、ということが可能となる。さらに、ベース部材によって閉じられたケース部材内で、押圧部材の押圧力によって、振動子が被駆動部材に接触するため、異音の発生を防止することができる。また、押圧部材及び/又は振動子を位置規制することによって、被駆動部材の精密な駆動には不必要な共振の発生を抑えることができる。さらにまた、押圧部材と移動部材との間に振動子を配置する構造により、被移動部材の移動がスムーズとなる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明に係るリニア駆動型超音波モータは、小型機器の精度の高い駆動に適している。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1実施形態に係る超音波モータの構成を示す図であって、(a)は(b)のIA−IA線における断面図であり、(b)はケース部材の長手方向をその中心において直交する断面図である。
【図2】第1実施形態に係る被駆動部材と外部装置との連結のための構成を示す斜視図である。
【図3】被駆動部材と外部装置との連結のための構成の変形例を示す斜視図である。
【図4】被駆動部材と外部装置との連結のための構成の変形例を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る組み付け過程における超音波モータの構成を示す分解縦断面図である。
【図6】(a)は第2実施形態に係る超音波モータにおけるケース部材とベース部材との係止構造を示す図であり、(b)は第2実施形態の変形例に係る超音波モータにおけるケース部材とベース部材との係止構造を示す図である。
【図7】(a)は第2実施形態に係る超音波モータにおけるケース部材とベース部材との係止構造を示す図であり、(b)は第2実施形態のさらなる変形例に係る超音波モータにおけるケース部材とベース部材との係止構造を示す図である。
【図8】第3実施形態に係る超音波モータにおけるケース部材による押圧部材の位置規制構造を示す平面図である。
【図9】第3実施形態の変形例に係る超音波モータにおけるケース部材による押圧部材の位置規制構造を示す平面図である。
【図10】第3実施形態のさらなる変形例に係る超音波モータにおけるケース部材による押圧部材の位置規制構造を示す平面図である。
【図11】第3実施形態のさらに別の変形例に係る超音波モータにおけるケース部材による押圧部材の位置規制構造を示す平面図である。
【図12】第4実施形態に係る超音波モータにおけるケース部材による支持部材の位置規制構造を示す平面図である。
【図13】第5実施形態に係る超音波モータの構成を示す縦断面図である。
【図14】第5実施形態の変形例に係る超音波モータにおけるケース部材と押圧部材の当接構造を示す縦断面図である。
【図15】第6実施形態に係る超音波モータの構成を示す縦断面図である。
【図16】(a)は第7実施形態に係る超音波モータのケース部材の係止構造を示す縦断面図であり、(b)は(a)のXVIB−XVIB線における断面図である。
【図17】第7実施形態の変形例に係る超音波モータのケース部材の係止構造を示す縦断面図である。
【図18】(a)は、第8実施形態に係る超音波モータの構成を示す縦断面図であり、(b)は、図18(a)のXVIIIB方向から見た側面図である。
【図19】(a)は、第9実施形態に係る超音波モータのケース部材の構成を示す側面図であり、(b)は(a)のXIX−XIX線における断面図である。
【図20】(a)は、第10実施形態に係る超音波モータの構成を示す縦断面図であり、(b)は第10実施形態に係る押圧部材の構成を示す平面図である。
【図21】第11実施形態に係る超音波モータの構成を示す縦断面図であって、(a)は超音波モータの組み立て前の状態を示す図であり、(b)は超音波モータを組み立てた後の状態を示す図である。
【図22】従来のリニア駆動型超音波モータの構成を示す図であって、(a)は分解斜視図、(b)は縦断面図である。
【符号の説明】
【0067】
10 超音波モータ(リニア駆動型超音波モータ)
11 ケース部材
11a 切り欠き部(被係合部)
12 ベース部材
12a ベース突出部(係合部)
13 開口部
16 収容凹部
16a、16b 当接凸部
17a、17b 内壁
21 押圧部材
21a、21b 端部
21c 中央部
22 振動子(超音波振動子)
23 支持部材
24 被駆動部材
25 転動部材
31 連結部材
32 連結部材固定ネジ
33、34 取り付け穴
35 外部装置
51 ケース部材
51a 切り欠き部(被係合部)
52 ベース部材
52a ベース突出部(係合部)
61 ケース部材
61a ベース突出部(係合部)
62 ベース部材
62a 切り欠き部(被係合部)
71 ケース部材
71a 切り欠き部(被係合部)
72 ベース部材
72a ベース突出部(係合部)
111 ケース部材
111b ケース凹部(第1凹部、第2凹部)
121 押圧部材
121b 突出部(第1突出部)
123 支持部材
123b 突出部(第2突出部)
171 押圧部材
171b 突出部(第1突出部)
211 ケース部材
211b 突出部(第1突出部)
221 押圧部材
221b 凹部(第1凹部)
261 ケース部材
261b ケース凹部(第1凹部)
261c ケース凸部
271 押圧部材
271b 突出部(第1突出部)
311 ケース部材
316 収容凹部
316a、316b 当接凸部(第3突出部)
361 ケース部材
366 収容凹部
366a、366b 当接凸部
366a1 大径部
366a2 小径部
366b1 大径部
366b2 小径部
411 ケース部材
416 収容凹部
416s 上面
421 押圧部材
421a、421b 端部
421c 中央部
461 ケース部材
461b 溝部
461s 上面
463 開口部
466 収容凹部
467、468 係止部
511 ケース部材
512 ベース部材
519 穴部
561 ケース部材
561a、561b 切り欠き部
561c 貫通穴
566 収容凹部
590 振動子保持治具
621 押圧部材
621a、621b、621c 樹脂部材
671 押圧部材
671a、671b 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を有する超音波振動子と、
前記超音波振動子との間の摩擦力により駆動される被駆動部材と、
前記超音波振動子と前記被駆動部材との間に摩擦力が生じるように前記超音波振動子を押圧する押圧部材と、
前記超音波振動子と前記押圧部材を収容するケース部材と、
前記被駆動部材を移動可能に支持するベース部材と、
を少なくとも具備する超音波モータであって、
前記押圧部材の中央部が前記超音波振動子と当接し、かつ、前記押圧部材の端部のうちの少なくとも前記中央部を挟む二つの端部が前記ケース部材と当接した状態で前記ケース部材が前記ベース部材に組みつけられたことを特徴とするリニア駆動型超音波モータ。
【請求項2】
前記ケース部材及び前記ベース部材の一方に係合部を、他方に被係合部をそれぞれ設け、前記係合部と前記被係合部とが互いに係合して組みつけられたことを特徴とする請求項1に記載のリニア駆動型超音波モータ。
【請求項3】
前記ケース部材における前記押圧部材との当接面から前記ベース部材との固定または係止面までの高さ方向の距離(A)、
撓んでいない自然状態の前記押圧部材における前記ケース部材との当接面から前記超音波振動子との当接面までの高さ方向の距離(B)、
前記超音波振動子における前記押圧部材との当接面から前記被駆動部材との当接面までの高さ方向の距離(C)、
前記被駆動部材における前記超音波振動子との当接面から、前記ベース部材における前記ケース部材との固定または係止面までの高さ方向の距離(D)、及び、
前記押圧部材の所望の押圧力を発生する高さ方向の撓み変形量(X)が、
(A)=(B)+(C)+(D)−(X)の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニア駆動型超音波モータ。
【請求項4】
前記ケース部材及び前記押圧部材の一方に第1凹部を、他方に第1突出部をそれぞれ設け、前記第1凹部内に前記第1突出部を収容して、前記ケース部材が、前記押圧部材を押圧方向に直交する面内の位置を案内することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリニア駆動型超音波モータ。
【請求項5】
前記ケース部材は、前記超音波振動子と前記押圧部材を収容する収容凹部の側面において、前記押圧部材の幅方向の端面の少なくとも一部に近接する凸部を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリニア駆動型超音波モータ。
【請求項6】
前記ケース部材及び前記超音波振動子の一方に第2凹部を、他方に第2突出部をそれぞれ設け、前記第2凹部内に前記第2突出部を収容して、前記ケース部材が前記超音波振動子を案内することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリニア駆動型超音波モータ。
【請求項7】
前記ケース部材は、前記超音波振動子と前記押圧部材を収容する収容凹部の上面において、前記押圧部材の前記両端部とそれぞれ当接する二つの第3突出部を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のリニア駆動型超音波モータ。
【請求項8】
前記ケース部材の、前記超音波振動子を案内する前記第2凹部又は前記第2突出部において、前記超音波振動子の幅方向に、前記第2凹部又は前記第2突出部の幅より狭い係止部が設けられていることを特徴とする請求項6又は請求項7のいずれか1項に記載のリニア駆動型超音波モータ。
【請求項9】
前記ケース部材は、側面の少なくとも一部に貫通穴あるいは切り欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のリニア駆動型超音波モータ。
【請求項10】
前記ケース部材が樹脂材料を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のリニア型超音波モータ。
【請求項11】
前記押圧部材における前記ケース部材との当接部、前記超音波振動子との当接部、又は、両当接部に樹脂部材がアウトサート成形されたことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のリニア駆動型超音波モータ。
【請求項12】
前記押圧部材が前記ケース部材に一体的に成形されたことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のリニア駆動型超音波モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−268236(P2009−268236A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114169(P2008−114169)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】