説明

リフィル容器

【課題】負荷をできるだけ掛けることなく極めて簡単に中皿を取り出せるリフィル容器を提供する。
【解決手段】化粧料が充填された中皿2の側面を取り囲む側壁部20と、化粧料が露出した露出面3を覆う蓋部10とによって中皿2を収納する収納部40を構成したリフィル容器1において、前記蓋部10に前記露出面3に向けて凸となる折り目部14を、当該蓋部10を横断する方向に備えると共に、前記折り目部14の両端近くの前記側壁部20に、前記蓋部10を前記折り目部14にて折り曲げ可能にする切れ込み部31を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリフィル容器、具体的には化粧料が充填された中皿を収納し保護するリフィル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション等の粉末化粧料用のコンパクト容器は、近年、化粧料が充填されたリフィルと呼ばれる中皿を内部に装着し、中皿のみを交換可能な構成となっている。このため、化粧料が充填された中皿のみが販売されることが多い。このとき、運搬中や販売展示中に、充填された化粧料の飛散を防ぐなどの理由により、中皿を収納するリフィル容器が用いられる。
【0003】
このようなリフィル容器が、例えば、特開2002−119326号公報(特許文献1)や特開2003−212255号公報(特許文献2)、特開2003−265224号公報(特許文献3)、特開2006−218032号公報(特許文献4)、特開2004−275640号公報(特許文献5)に開示されている。
【0004】
これらの公報に開示されたリフィル容器はそれぞれ、化粧料が露出した露出面を覆う構成となっており、前記露出面を覆う蓋部と中皿の周囲を囲む側壁部を備え、側壁部と蓋部によって中皿を収納する収納部が構成されている。この収納部は、輸送中や展示販売時などにおいてリフィル容器から中皿が離脱しないように、中皿の外周を強固に保持している。そして、中皿からの離脱の防止を確実なものにするため、収納部側に飛び出た係止部をリフィル容器の側壁部に備えている。この係止部が中皿の底面を保持する結果、中皿がリフィル容器から容易に離脱しない。さらに、離脱を確実に防止するために、例えば特許文献1や特許文献2には、中皿の底面又は側面に設けた凹部と収納部側に飛び出た係止部を係合させるようにしたリフィル容器も開示されている。
【0005】
一方、リフィル容器が強固に中皿を保持しすぎると、使用時に中皿を取り外すことが困難になる。そこで、取り出しを容易にするために、特許文献1〜4のリフィル容器では、中皿の両側を指で挟んで取り外せるように、側壁部の一部が切り欠かれている。また、特許文献5に記載のリフィル容器では、側壁部にこれを切り開くための切り離し線が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−119326号公報
【特許文献2】特開2003−212255号公報
【特許文献3】特開2003−265224号公報
【特許文献4】特開2004−275640号公報
【特許文献5】特開2006−218032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜4に開示されたリフィル容器は、指で中皿の両側を掴み、半ば強制的に取り出す構造であるので、場合によっては取り出しがうまくできず、取り外した中皿を落としてしまうということがある。そうすると、中皿に充填された化粧料に割れ(ひび)が入ったり、化粧料が飛び散り、ひどい場合には使用ができないという事態を生じていた。また、取り出し時に中皿の側面に大きな負荷が掛かる。この結果、中皿の内側の壁面に沿って出来た化粧料の立ち上がり部分(いわゆるバリと呼ばれる部分)が崩れやすくなり、化粧料の露出面にバリの崩れによる化粧料が粉体となって飛び散り、良好な塗布を妨げたり、使用者の被服や周辺箇所を汚すことにもなっていた。さらに、通常の使用に問題がなくても、コンパクトを机上に軽く落とす程度の小さな衝撃によっても、バリが崩れるだけでなく、化粧料の露出面に割れや欠けを生じやすくなる傾向にある。
【0008】
また、特許文献5に開示されたリフィル容器では、切り離し線で側壁部を切り開く必要があり、取り外しがやや面倒なものであった。
【0009】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は負荷をできるだけ掛けることなく極めて簡単に中皿を取り出せるリフィル容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明においては、中皿を持たずにリフィル容器から中皿を取り出すことを可能にすべく、リフィル容器の蓋部に、化粧料が露出された露出面に向けて凸となる折り目部を、当該蓋部を横切る方向に設け、かつ、蓋部を折り曲げ可能にすべく蓋部を構成する側壁部に切り欠き部を形成することにしている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のリフィル容器は、蓋部に当該蓋部を横切る方向に、化粧料が露出された露出面に向けて凸となる折り目部を備えると共に当該折り目部の両端近くの側壁部に蓋部を折り曲げ可能にする切れ込み部を備えているので、蓋部の両端を持ち上げると、折り目部で蓋部がV字状に折り曲げられる。このとき、折り目部近くの蓋部が中皿の縁を押し下げるように力が働き、蓋部と中皿の係合が解かれる。このように、本発明のリフィル容器を用いると、中皿を直接指で持つことなく中皿のみを取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の一実施形態であるリフィル容器の斜視図である。
【図2】図2は図1のリフィル容器の側面図である。
【図3】図3は図1のリフィル容器の平面図である。
【図4】図4は図1のリフィル容器の断面図である。
【図5】図5は図1のリフィル容器を裏面から見た斜視図である。
【図6】図6は図1のリフィル容器の使用方法を示す説明図である。
【図7】図7は本発明の他の実施形態であるリフィル容器の断面図である。
【図8】図8は本発明の他の実施形態であるリフィル容器の平面図である。
【図9】図9は図8のリフィル容器の断面図である。
【図10】図10は図8のリフィル容器の斜視図である。
【図11】図11は本発明の他の実施形態であるリフィル容器の斜視図である。
【図12】図12は図10のリフィル容器の断面図である。
【図13】図13は本発明の他の実施形態であるリフィル容器の斜視図である。
【図14】図14は本発明の他の実施形態であるリフィル容器を裏面から見た斜視図である。
【図15】図15は本発明の他の実施形態であるリフィル容器の平面図である。
【図16】図16は図15のリフィル容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のリフィル容器は、化粧料が充填された中皿の側面を取り囲む側壁部と、化粧料が露出した露出面を覆う蓋部とによって中皿を収納する収納部が構成されたリフィル容器であって、前記蓋部に前記露出面に向けて凸となる折り目部が当該蓋部を横切る方向に備えられる。また、側壁部には前記折り目部の両端近くに前記蓋部を折り曲げ可能にする切れ込み部が備えられている。折り目部は、例えば断面略U字形状をした溝から構成される。また、前記蓋部に、蓋部の両端からそのほぼ中央部に向けて傾斜する側面視で略三角形状の断面を有する凸状部からなる一対の指当て部を対向させて設け、当該一対の指当て部によって形成された谷から構成される。
【0014】
本発明のリフィル容器は、例えば、前記側壁部の上端に、前記折り目部の配置方向とほぼ直交する方向に延設された板状部からなる一対の指当て部を備える場合がある。また、別な実施形態では、前記折り目部の配置方向とほぼ直交する側壁部の側面に、前記折り目部の配置方向とほぼ直交する方向に指を押し当てることができる窪みからなる一対の指当て部を備える場合がある。さらに別な実施形態では、前記蓋部の両端部近傍に、前記折り目部の配置方向とほぼ直交する方向に指を押し当てることができる突起物からなる指当て部を備える場合がある。また、さらに別な実施形態では、前記蓋部の端から当該蓋部のほぼ中央に向けて傾斜する略三角形状の断面を有する凸状部からなる一対の指当て部が対向して設けられる。このような指当て部を備えたリフィル容器では、指当て部を介して蓋部に力を加えやすくなり、取り扱いがより一層容易になる。また、取り出しの際には、指当て部がない場合に比べて、中皿に加わる負荷が和らげられるので、中皿に充填された化粧料への影響がより少なくなる。
【0015】
本発明のリフィル容器は、側壁部の外周に、当該側壁部と一体となって断面略U字状を形成する緩衝壁部が前記側壁部の下縁から上方に向けて備えられる場合もある。この場合にも、緩衝壁部には、側壁部と同様に、前記折り目部の両端近くにおいて蓋部を折り曲げ可能にする切れ込み部が備えられる。
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明について詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されることがないのは言うまでもない。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の一実施形態であるリフィル容器1の斜視図、図2はその側面図、図3はその平面図、図4はその断面図、図5は図1のリフィル容器1を裏面から見た斜視図である。
【0018】
リフィル容器1は、中皿2に充填された化粧料が露出した露出面3を覆う蓋部10と、中皿2の側面2aを覆う側壁部20を有している。当該蓋部10と当該側壁部20が中皿2を収納する収納部40を形成している。側壁部20の周囲には、側壁部20と一体となって断面略U字状を形成する緩衝壁部30が、側壁部20の下縁から上方に向けて形成されている。緩衝壁部30は、外部から加えられる衝撃を和らげる。
【0019】
蓋部10は、中皿2を収納した際に中皿2の縁が当たる蓋周縁部11と、化粧料の露出面3に対向して位置する蓋対向部12を有する。蓋周縁部11と蓋対向部12との間には段差部13が形成され、蓋対向部12が蓋周縁部11よりも一段高くなった構造をしている。このために、蓋部10と化粧料の露出面3が接触する可能性がない。
【0020】
蓋部10は、蓋部10の長手方向のほぼ中央に、蓋部10の短手方向に蓋部10を横切る折り目部14を有している。この折り目部14は露出面3に向けて凸となる断面U字状の溝14aからなり、蓋対向部12を端から端まで横切るように形成されている。折り目部14の下端は段差部13のほぼ中程の高さに位置し、蓋部10(折り目部14)が折り曲げられた際に、折り曲げられた蓋部10が化粧料の露出面3に接触しないように形成されている。折り目部14は蓋対向部12を端から端まで横切らず、蓋対向部12の一部に設けてもよいが、好ましくは蓋対向部12を完全に横切るのが好ましい。蓋部10をより折り曲げやすいからである。
【0021】
側壁部20には、折り目部14の両端近くに側面視で略逆V字形状をした切れ込み部21が形成されている。また、緩衝壁部30にも折り目部14の両端近くに側面視で略逆V字形状をした切れ込み部31が形成されている。折り目部14の端側からリフィル容器1の側面を見た場合には、それぞれ、側壁部20の切れ込み部21と緩衝壁部30の切れ込み部31はほぼ重なる位置に形成されている。切れ込み部21によって形成された側壁部20の左右2つの縁と切れ込み部31によって形成された緩衝壁部30の左右の縁は、左右それぞれ曲面となった連結部32で連結されている。これらの切れ込み部21,切れ込み部31は、折り目部14において蓋部10を折り曲げ可能にするものである。従って、当該機能を発揮する限りにおいて、切れ込み部21,切れ込み部31の形状は問われず、単に切断しただけの構造としてもよい。連結部32も必須の構成ではない。また、切れ込み部21や切れ込み部31は小さい幅のものでよく、特許文献1や特許文献2に開示されたリフィル容器とは異なり、指で中皿2をつまめない幅の切れ込みで差し使えない。
【0022】
側壁部20の内側には収納部40に向けて突出した係合突起22が4箇所に設けられている。係合突起22は中皿2の底を支え、中皿2が収納部40内から脱落するのを防止する。もっともこの係合突起22は必須のものではなく、側壁部20の内周を中皿2の外周よりもやや小さくすることにより、側壁部20の全周で中皿2を保持する構造としてもよい。
【0023】
リフィル容器1は、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの各種プラスチック材料など弾性変形可能な素材から一体成型される。一体成型には、例えば真空成型法や射出成型法などが用いられる。このような弾性変形可能な素材から作製されたリフィル容器1は、中皿2との係合を良好なものとする。また、弾性力が強くゴムのような弾性体も用いることができるが、弾性力が強いものよりは、蓋部10の折り曲げが容易である降伏点が小さい素材が好ましく用いられる。弾性力が強い場合には、蓋部10の折り曲げに大きな力が必要となり、中皿2の取り外しに苦労するからである。
【0024】
リフィル容器1への中皿2の収納は、これまでのリフィル容器1とほぼ同じである。つまり、化粧料を中皿2に充填し、露出面3を上にした状態でリフィル容器1を中皿2の上方から被せる。中皿2の取り出しの際には、折り目部14を挟む位置にある側壁部20両側の下の縁を上方から、例えば片手の指、例えば親指と人差し指で挟む。そして、図6に示すように、両側の側壁部20の下の縁を持ち上げるように両方の指に力を加え、折り目部14にて蓋部10を折り曲げるようにする。そうすると、折り目部14の近傍にある蓋周縁部11が中皿2の縁の上端を下に押す方向に力が働く。こうして、係合突起22における係合が解かれて、中皿2がリフィル容器1から取り出される。また、片手ではなく両手を使って中皿2を取り出すこともできる。例えば、両方の親指で蓋部10の両端部をそれぞれ押さえるようにしながら、人差し指で側壁部20の下の縁をそれぞれ持ち上げる。そうすると、片手で取り出す場合と同じく折り目部14の近傍にある蓋周縁部11が中皿2の縁の上端を下方に押す方向に力が働き、係合突起22における係合が解かれる。
【0025】
このように本発明のリフィル容器1を用いた場合には、中皿2を直接指で持つことなく中皿2を取り出すことができる。また、てこの原理を利用しているので、比較的小さな力でも中皿2を取り出すことができるので、指先の力が弱い人であっても苦労することなく取り出せる。それだけでなく、取り外す際に中皿2に強い力が掛からないので、中皿2に充填された化粧料に負荷が掛からず、製造時の状態に近い状態を維持できる。この結果、コンパクト使用時における落下から受ける悪影響を少なくできる。このような観点から、本発明では折り目部14をリフィル容器1の長手方向の中央近傍に設けるなど、てこの原理を最大限利用できる位置に折り目部14を設けるのが好ましい。
【実施例2】
【0026】
図7は本発明の別な実施形態であるリフィル容器1の断面図である。このリフィル容器1は実施例1のリフィル容器1とほぼ同様な構成を有しているが、折り目部14の配置方向とほぼ直交する緩衝壁部30の側面に一対の指当て部50が設けられている点で異なっている。指当て部50は、折り目部14の配置方向とほぼ直交する方向に指を押し当て可能な窪みからなる。この指当て部50に指がフィットする結果、取り出し作業が行いやすくなる。また、取り出し操作における指をあてがう目印ともなる。
【実施例3】
【0027】
図8は本発明のさらに別な実施形態であるリフィル容器1の平面図、図9は当該リフィル容器1の断面図、図10は当該リフィル容器1の斜視図である。このリフィル容器1では、実施例1のリフィル容器1において、緩衝壁部30の上端から外周側に、折り目部14の配置方向とほぼ直交して延設された板状部材からなる一対の指当て部51を有している。この指当て部51は中皿2を取り外す際に、蓋部10の両端を持ち上げやすくするための部材である。この指当て部51を上に持ち上げることにより、蓋部10を容易に折り曲げることができる。また、図示はしないが、板状部からなる指当て部51を備えたリフィル容器1において、さらに実施例2に示される窪みからなる指当て部50を緩衝壁部30に設けてもよい。こうすると、両手での操作がより簡単に行える。板状部材からなる指当て部51は蓋周縁部11から外周側に備えても差し支えない。
【実施例4】
【0028】
図11は本発明のさらに別な実施形態であるリフィル容器1の概略斜視図、図12は当該リフィル容器1の断面図である。このリフィル容器1は、実施例1のリフィル容器1において蓋部10の両端部近傍に折り目部14で左右対称となる一対の指当て部52を有している。この指当て部52も中皿2を取り出しやすくするための部材である。各指当て部52は蓋部10の端から当該蓋部10のほぼ中央に向けて傾斜する側面視で略三角形状の断面を有する中空状の凸状部からなり、一対の指当て部52全体として断面略M字形状をしている。一対の指当て部52は蓋対向部12の全体に形成されているものではなく、折り目部14の配置方向において蓋対向部12の両端部を残し、蓋対向部12の中央部分にのみ形成されている。
【0029】
また、各指当て部52は折り目部14の配置方向と直交する方向においては、蓋対向部12よりも大きく形成され、側壁部20の外周側に飛び出して形成されている。そして、側壁部20の外周側への飛び出しに合わせて、収納部40を形成する側壁部20も外周側に飛び出して形成されている。そして、それに合わせて緩衝壁部30も外周側に飛び出して形成されている。この結果、蓋部10の両端にある指当て部52が形成された部分では、中皿2を収納した際には、側壁部20と中皿2の側壁の間に空間24が形成される。しかしながら、収納部40の4隅が中皿2に当接される構造であるので、中皿2を強固に保持する点には変わりがない。また、図示するリフィル容器1では、収納部40の4隅の近傍には係合突起22が形成されており、中皿2の保持性が高められているので、空間が保持性に与える影響は少ない。
【0030】
このリフィル容器1では、対向する一対の前記指当て部52によって形成された谷14bが折り目部14の一部となり、この谷14bと指当て部52が形成されていない蓋対向部12に形成された断面略U字形状の溝14aとから折り目部14が形成されている。つまり、一対の指当て部52によって形成される谷14bからなる折り目部14の両側に、断面略U字形状の溝14aからなる折り目部14が形成されている。
【0031】
このリフィル容器1も上記の各実施例のリフィル容器1と何ら変わりなく使用できる。このリフィル容器1は、蓋部10の両端において高くなった指当て部52を有しているために、片手で摘みやすい構造となっている。この結果、中皿2を取り出しやすくなっている。なお、折り目部14の全体を、一対の指当て部52によって構成される谷14bから構成することもできるが、本実施例のように谷14bからなる折り目部14の両側に断面略U字形状の溝14aからなる折り目部14を設けた方が、折り目部14全体を谷14bから構成する場合に比べて、蓋部10が確実に折り曲がる傾向にある。また、谷14bからなる折り目部14の両側に、断面略U字形状の溝14aからなる折り目部14をほぼ均等に構成することにより、左右のバランスが崩れることなく蓋部10が折り曲げられる。
【実施例5】
【0032】
中皿2を取り出しやすくするための部材は、上記実施例以外にも種々の形状が考えられる。図13はさらに別な実施形態であるリフィル容器1の概略斜視図である。このリフィル容器1は、蓋対向部12の両端部に、ほぼ蓋対向部12に対して直立した突起物からなる一対の指当て部53を備える。各指当て部53は、折り目部14の配置方向とほぼ平行となった幅広の略柱状物であって、折り目部14を中心にして左右対称に形成されている。各指当て部53の外周側の側壁は内側に湾曲した湾曲部53aを有している。この指当て部53を例えば片手の親指と人差し指で挟むことにより、中皿2を取り出せる。この実施例では湾曲部53aの存在により一対の指当て部53を片手で摘みやすくなっている。湾曲部53aが指にフィットするからである。このような突起物から指当て部53を構成することもできる。なお、湾曲部53aは必須の構成ではない。
【実施例6】
【0033】
図14は本発明のさらに別な実施形態であるリフィル容器1の斜視図である。このリフィル容器1には、図示するように底に切り欠き部2bが設けられた中皿2が用いられる。リフィル容器1の側壁部20には、この切り欠き部2bに係合する係合突起22が形成されている。このように、本発明は切り欠き部2bが形成され当該切り欠き部2bで中皿2を保持する構造を有するリフィル容器1にも適用することができる。本発明のリフィル容器1は、折り目部14において折り曲げる構造となっているので中皿2との係合を外しやすく、このようなリフィル容器1においても指で中皿2を掴むことなく容易に中皿2のみを取り出せる。また、図示はしないが、特許文献1や2に記載された側面に切り欠き部を有する中皿にも適用できる。
【実施例7】
【0034】
図15は本発明のさらに別な実施形態であるリフィル容器1の平面図、図16は当該リフィル容器1の断面図である。上記実施例においては、収納部40を構成する側壁部20の周囲に緩衝壁部30を設けた場合について説明したが、本発明のリフィル容器1では、緩衝壁部30は必須の要素ではない。例えば、図15に示すリフィル容器1は緩衝壁部30を有さず、側壁部20は、その下端縁が外周側にやや幅を広げて形成された側壁周縁部23を有している。そして、当該側壁周縁部23に、折り目部14と交差する方向に一対の板状部材からなる指当て部54が外周側に延設されている。このリフィル容器1においても上記各実施例のリフィル容器1と同様に使用することができる。例えば、片方の手の親指と人差し指で指当て部54を持ち上げるようにしてもよく、また、指当て部54の下面を人差し指で支え、蓋対向部12の両端を親指で下方に押し下げるようにすれば、折り目部14で蓋部10が折り曲がり、中皿2との係合を外すことができる。
【0035】
なお、上記実施例ではいずれも、中皿2が平面視で長方形状であって、折り目部14が蓋部10の長手方向のほぼ中央に設けられたリフィル容器1について説明したが、折り目部14は必ずしもこの位置に限られる訳ではない。本発明は、折り目部14と中皿2の側壁2bの上端との接触点をいわば支点とする言わばてこの原理を利用したものである。従って、本発明においてはより小さな力で蓋部10を折り曲げられるように折り目部14を配置するのが好ましい実施形態であると言える。もっとも、例えば、蓋部10の短手方向のほぼ中央において、中皿2の長手方向と平行に設けてもよいし、蓋部10の対角方向に折り目部14を設けることもできる。これらの場合には、上記板状部からなる指当て部51を折り目部14の配置方向とほぼ直交する方向に延設し、また、上記凸状部からなる指当て部52や突起物からなる指当て部53は前記折り目部14の配置方向と直交する方向に力を加えられるように形成すればよい。また、本発明は、平面視で正方形状をした中皿2や平面視で円形若しくは楕円形状をした中皿2を収納するリフィル容器1についても同様に適用できるのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、中皿をつまみ出さずに中皿のみを取り出すことができるリフィル容器が提供される。これにより、コンパクトなどの化粧品が使用者にとってより使いやすいものとなる。
【符号の説明】
【0037】
1 リフィル容器
2 中皿
3 露出した化粧面
10 蓋部
12 蓋対向部
13 段差部
14a 折り目部である断面U字形状の溝
14b 折り目部である谷
20 側壁部
22 係合突起
23 側壁部にある幅広の側壁周縁部
30 緩衝壁部
31 緩衝壁部の切れ込み部
32 側壁部と緩衝壁部の連結部
40 収納部
50 窪みからなる指当て部
51 板状部材からなる指当て部
52 断面が略三角形状を有する凸状部からなる指当て部
53 突起物からなる指当て部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料が充填された中皿の側面を取り囲む側壁部と、化粧料が露出した露出面を覆う蓋部とによって中皿を収納する収納部が構成されたリフィル容器であって、
前記蓋部に前記露出面に向けて凸となる折り目部が当該蓋部を横切る方向に備えられると共に、前記折り目部の両端近くの前記側壁部に前記蓋部を前記折り目部にて折り曲げ可能にする切れ込み部が備えられたことを特徴とするリフィル容器。
【請求項2】
前記側壁部の外周に、当該側壁部と一体となって断面略U字状を形成する緩衝壁部が前記側壁部の下縁から上方に向けて備えられ、前記折り目部の両端近くの当該緩衝壁部に前記蓋部を前記折り目部にて折り曲げ可能にする切れ込み部が備えられたことを特徴とする請求項1に記載のリフィル容器。
【請求項3】
前記折り目部が前記蓋部の長手方向のほぼ中央近傍に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のリフィル容器。
【請求項4】
前記折り目部の配置方向と平行となった緩衝壁部に一対の指当て部が設けられ、当該指当て部が前記折り目部の配置方向とほぼ直交する方向に指を押し当てることができる窪みからなることを特徴とする請求項2又は3に記載のリフィル容器。
【請求項5】
前記側壁部の下端縁若しくは前記緩衝壁部の上端縁に一対の指当て部が備えられ、当該指当て部が前記折り目部の配置方向とほぼ直交する方向に延設された板状部材からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のリフィル容器。
【請求項6】
前記蓋部の両端部近傍に一対の指当て部が設けられ、当該指当て部は前記折り目部の配置方向とほぼ直交する方向に指を押し当てることができる突起物からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のリフィル容器。
【請求項7】
前記折り目部が断面略U字形状をした溝からなることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のリフィル容器。
【請求項8】
前記蓋部の端から当該蓋部のほぼ中央に向けて傾斜する側面視で略三角形状の断面を有する凸状部からなる一対の指当て部が対向して設けられ、前記折り目部が前記指当て部によって形成された谷からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のリフィル容器。
【請求項9】
前記谷からなる折り目部の両側に断面略U字形状をした溝からなる折り目部を有することを特徴とする請求項8に記載のリフィル容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−273864(P2010−273864A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129224(P2009−129224)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】