リフティングマグネット作業機
【課題】回生電気エネルギが不足することによりリフティングマグネットの吸着作業に支障が生じないようにする。
【解決手段】リフティングマグネット作業機10は、旋回用電動モータ8を駆動することにより回生電気エネルギが蓄電される蓄電装置16Bと、リフティングマグネット17を励磁することにより回生電気エネルギが蓄電される蓄電装置16Aを備えている。蓄電装置16Aに保持された回生電力は、リフティングマグネット17を励磁する際にのみ使用される。
【解決手段】リフティングマグネット作業機10は、旋回用電動モータ8を駆動することにより回生電気エネルギが蓄電される蓄電装置16Bと、リフティングマグネット17を励磁することにより回生電気エネルギが蓄電される蓄電装置16Aを備えている。蓄電装置16Aに保持された回生電力は、リフティングマグネット17を励磁する際にのみ使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリフティングマグネット作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
リフティングマグネット作業機では、回生電気エネルギを利用して動力源の効率を高める方法が採用されている。この方法は、リフティングマグネットに通電(吸引)した後、釈放する際にリフティングマグネットに蓄積された電気エネルギを蓄電装置に蓄電するものである。
【0003】
蓄電装置に蓄電される蓄電電荷を大きくするために、走行体に旋回可能に取り付けられた旋回体駆動用の旋回用電動モータの回生電気エネルギとリフティングマグネットの回生電気エネルギを蓄電装置に蓄電する方法が知られている。この方法では、蓄電装置に蓄電された回生電気エネルギをリフティングマグネットおよび旋回用電動モータの駆動に用いている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開番号WO2006/080100号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明では、蓄電装置に蓄電された回生電気エネルギをリフティングマグネットと旋回用電動モータとの異なる2つの駆動装置に供給している。このため、一方の駆動装置に供給した後には、他方の駆動装置への供給量が不足する状況が発生する。特に、リフティングマグネット作業機では、被吸着物を吸着して搬送(旋回)する複合作業を頻繁に行うため、蓄電装置に蓄電された回生電気エネルギを上手く配分しないとリフティングマグネット作業機の作業に支障をきたすこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリフティングマグネット作業機は、走行体と、走行体に旋回可能に設けられた旋回体と、旋回体を旋回駆動する旋回用電動モータと、旋回用電動モータの回生発電による回生電気エネルギを蓄電する旋回用蓄電装置と、リフティングマグネットと、リフティングマグネットからの回生電気エネルギの蓄電が可能であり、蓄電した回生電気エネルギをリフティングマグネットのみに供給する駆動源として、旋回用蓄電装置とは別に設けられたリフティングマグネット用蓄電装置と、旋回用電動モータおよび前記リフティングマグネットに駆動電力を供給する電力供給部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リフティングマグネット用蓄電装置に蓄電された回生電気エネルギはリフティングマグネットの励磁用としてのみ供給される。したがって、リフティングマグネットを用いた吸着作業と旋回作業の複合作業時にも支障が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のリフティングマグネット作業機の側面図。
【図2】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態1を示すブロック図。
【図3】図2の制御装置の詳細を示すブロック回路図。
【図4】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態2を示すブロック図。
【図5】図4の変形例を示すブロック図。
【図6】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態3を示すブロック図。
【図7】図6の変形例を示すブロック図。
【図8】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態4を示すブロック図。
【図9】図8の制御装置の詳細を示すブロック回路図。
【図10】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態5を示すブロック図。
【図11】図10の変形例を示すブロック図。
【図12】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態6を示すブロック図。
【図13】図12の変形例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
以下、この発明のリフティングマグネット作業機の実施形態1について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明のリフティングマグネット作業機10の側面図である。このリフティングマグネット作業機10は油圧ショベルをベースマシンとしており、走行体1と、走行体1上に旋回可能に設けられた旋回体2と、旋回体2に回動可能に取り付けられた作業用フロント3とを有する。
【0010】
作業用フロント3は、旋回体2に回動可能に軸支されたブーム4と、ブーム先端部に回動可能に軸支されたアーム5と、アーム先端部に回動可能に軸支されたリフティングマグネット装置9とを有する。ブーム4は、ブームシリンダ4aの伸縮により上下方向に回動し、アーム5は、アームシリンダ5aの伸縮によりクラウドまたはダンプする。
【0011】
リフティングマグネット装置9は、リンク機構(リンク6b,6c)を介してチルトシリンダ6aの伸縮によりチルトする。なお、図の点線はリフティングマグネット装置9に鉄やスクラップ等の被吸着物9aを吸着した吸着作業状態を示している。
走行体1は、走行用油圧モータ7により駆動され、前後方向に走行する。また、左右の走行モータが異なる回転数で駆動されると、ステアリングやピボットターンを行うことができる。旋回体2は、旋回用電動モータ(作業用電動モータ)8により駆動されて、走行体1上において旋回する。
【0012】
図2は、図1のリフティングマグネット作業機10のブロック図である。
エンジン11の駆動軸には、油圧ポンプ12と1個の交流発電機13が取り付けられている。油圧ポンプ12にはコントロールバルブ21およびシリンダ22が接続されている。油圧ポンプ12はエンジン11により回転軸が回転され、その吐出油によりコントロールバルブ21を介してシリンダ22を駆動する。シリンダ22は、図1に図示された、ブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、チルトシリンダ6aに対応し、各シリンダのロッドが移動することにより、ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を回動あるいは傾動する。ブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、チルトシリンダ6aは、ほぼ同一の構成であり、図2では、それらの代表としてシリンダ22を1個のみ図示する。
【0013】
エンジン11により回転軸が回転される交流発電機13の出力端子には整流装置14が接続されている。整流装置14は、AC−DCコンバータである。整流装置14の出力側には制御装置30Aと30Bが並列に接続されている。制御装置30Bには、旋回用電動モータ8および蓄電装置16Bが接続されている。旋回用電動モータ8は、直流電動モータでも交流電動モータでもよい。また、制御装置30Aには、リフティングマグネット17および蓄電装置16Aが接続されている。リフティングマグネット17は図1に図示されたリフティングマグネット装置9に含まれる。
【0014】
制御装置30Aは、リフティングマグネット17を励磁し、あるいはリフティングマグネット17の回生電気エネルギを蓄電装置16Aに蓄電する制御を行う。
制御装置30Aの詳細なブロック回路図を蓄電装置16Aおよびリフティングマグネット17と共に図3に図示する
以下、図3を参照して、リフティングマグネット17の励磁および回生時の動作について説明する。
【0015】
制御装置30Aは整流装置14に接続された入力側に受電制御部31および受電制御部31に接続された4個のスイッチ素子32〜35からなるブリッジ回路36を有する。スイッチ素子32および34には、リフティングマグネット17側から蓄電装置16A側方向にのみ電流を流すダイオードが並設されている。スイッチ素子33および35には、蓄電装置16A側からリフティングマグネット17側方向にのみ電流を流すダイオードが並設されている。受電制御部31の正極はスイッチ素子32および34に接続され、負極はスイッチ素子33および35に接続されている。リフティングマグネット17の一端は、スイッチ素子32とスイッチ素子33とに接続され、他端はスイッチ素子34とスイッチ素子35に接続されている。また、蓄電装置16Aの正極・負極の端子は、それぞれ、受電制御部31のいずれかの端子に接続されている。
【0016】
整流装置14からリフティングマグネット17を駆動するための直流電流が供給されると、蓄電装置16Aが蓄電される。受電制御部31は、リフティングマグネット17への電流・電圧を制御する。また、蓄電装置16Aからの逆流を防止する。被吸着物9aを吸引するために、運転室において、操作部材(図示せず)を操作すると、スイッチ素子32および35がオンする。これにより、リフティングマグネット17が励磁され、被吸着物9aが吸着される。
【0017】
旋回体2の旋回操作により、リフティングマグネット装置9を搬送場所に移動して操作部材により被吸着物9aを釈放するための操作を行うと、スイッチ素子32および35がオフする。このとき、リフティングマグネット17には、逆起電力により電気エネルギが発生し、この電気エネルギがスイッチ素子34のダイオード―蓄電装置16A−スイッチ素子33のダイオードの経路で蓄電装置16Aに蓄電され、回生される。すなわち、蓄電装置16Aに回生電気エネルギが蓄電される。
【0018】
同時に、スイッチ素子33および34が導通する。これにより、リフティングマグネット17に励磁の際と逆方向の釈放のための電流が流れる。この際に、上記で蓄電された電気エネルギは消費される。
次に、スイッチ素子33および34がオフになると、リフティングマグネット17に蓄積されていた回生電気エネルギがスイッチ素子32のダイオード―蓄電装置16A−スイッチ素子35のダイオードの経路で蓄電装置16Aに蓄電される。すなわち、蓄電装置16Aに回生電気エネルギが蓄電される。これとともに、釈放のための電流は停止する。
【0019】
制御装置30Bは、旋回用電動モータ8の駆動を制御すると共に回生電気エネルギを蓄電装置16Bに蓄電するためのものであり、制御装置30Aと同様な回路構成を有する。但し、旋回用電動モータ8が交流電動機である場合には、DC−ACインバータおよびAC−DCコンバータが制御装置30Aに付加された回路構成とする。蓄電装置16Bには、旋回体2が旋回駆動された後、旋回体2の停止指令が出された場合、旋回用電動モータ8が慣性力で旋回することにより、旋回用電動モータ8から出力される発電電力である回生電気エネルギが蓄電される。蓄電装置16A、16Bとしては、二次電池あるいは電気二重層型コンデンサ等を用いることができる。
【0020】
図2に図示されたリフティングマグネット作業機10の動作を説明する。
エンジン11により油圧ポンプ12および交流発電機13を駆動する。油圧ポンプ12から吐出される作動油により走行用油圧モータ7およびシリンダ22(ブームシリンダ4a、アームシリンダ5aおよびチルトシリンダ6a)が駆動される。
また、エンジン11により駆動された交流発電機13により整流装置14に交流電流が供給される。AC−DCコンバータよりなる整流装置14により、交流電流が直流電流に変換されて制御装置30Aおよび30Bに供給される。制御装置30Aおよび30Bに供給された電流は、それぞれ、リフティングマグネット17および旋回用電動モータ8に供給される。
【0021】
運転室内の操作レバーを操作することにより、走行用油圧モータ7を駆動して走行体1を走行させ、また、旋回用電動モータ8を駆動して旋回体2を旋回する。被吸着物9aの近傍にリフティングマグネット装置9を位置させ、運転室において、操作部材を操作して、被吸着物9aの吸着作業を開始する。
【0022】
リフティングマグネット装置9の吸着動作に際しては、上述した如く、制御装置30Aの制御により蓄電装置16Aに蓄電された電気エネルギと、整流装置14から出力される電気エネルギとによってリフティングマグネット17が励磁され、被吸着物9aが吸着される。そして、走行用油圧モータ7、旋回用電動モータ8、ブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、チルトシリンダ6aを駆動してリフティングマグネット装置9を所定の場所に移動して、操作部材により被吸着物9aを釈放する操作を行うと、被吸着物9aが釈放され、これと共に、蓄電装置16Aにリフティングマグネット17に蓄積された回生電気エネルギが蓄電される。
【0023】
蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギは、次にリフティングマグネット17を励磁する際に使用される。また、蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギは、次に旋回用電動モータ8を起動する際に使用される。
このように、蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁にのみ使用され、旋回用電動モータ8の駆動への給電には使用されることはない構成とされている。
【0024】
通常、リフティングマグネット17は吸着開始時に大きな電力を必要とするが、これに見合う大型給電装置を備えることはコスト高となる。
本発明では、リフティングマグネット17から回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17に専用に設けた蓄電装置16Aに蓄電される。また、蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギはリフティングマグネット17の励磁のみに使用され、旋回用電動モータ8の給電には使用されることがない。このため、蓄電装置16Aに蓄電された電気エネルギを旋回用電動モータ8へ配分するための複雑な回路構成を必要としない。
【0025】
(実施形態2)
実施形態1では、エンジン11により油圧ポンプ12および交流発電機13を駆動する構成であるが、実施形態2は、エンジン11により交流発電機13のみを駆動する構成である点に特徴を有する。
すなわち、本発明の実施形態2として図4に図示されたリフティングマグネット作業機では、整流装置14に並列に接続された制御装置30Aおよび30Bに、さらに、制御回路38が接続されている。以下、実施形態1との相違点を主に実施形態2について説明する。
【0026】
制御回路38はDC−ACインバータよりなり、制御回路38には、電動モータ41が接続されている。電動モータ41には、油圧ポンプ12が接続されている。
交流発電機13により発生された交流電流は、整流装置14において直流電流に変換され、リフティングマグネット17に供給される。また、制御装置30Bおよび制御回路38で再び交流電流に変換されて、それぞれ、旋回用電動モータ8および電動モータ41を駆動する。
電動モータ41の回転によって油圧ポンプ12が駆動され、油圧ポンプ12の吐出油がコントロールバルブ21により制御されて走行用油圧モータ7およびシリンダ22が駆動される。
【0027】
蓄電装置16Bには、実施形態1において説明した如く、旋回用駆動モータ8が慣性力で回転される際に生じる回生電気エネルギが蓄電される。蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギは次の旋回用駆動モータ8の起動時に使用される。また、この実施形態2の場合には、蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギを、電動モータ41を駆動する際にも使用することが可能である。
【0028】
しかし、この実施形態2においても、リフティングマグネット17を励磁することによって蓄電装置16Aに回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。したがって、リフティングマグネット装置9の吸着作業において支障を生じることはない。
他の構成は、実施形態1と同様であり、同一の構成要素に同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0029】
(実施形態2の変形例)
実施形態2では、エンジン11および交流発電機13を作業機内に備えている構成であった。
図5には、エンジン11および交流発電機13を備えていないリフティングマグネット作業機を示す。
すなわち、図5に図示されたリフティングマグネット作業機は、交流の電力供給源42に接続可能な整流装置14を備えている。交流の電流供給源42は、工場内に設置された発電機あるいは単なる商用電源である。
整流装置14に接続された制御装置を含む他の構成要素は実施形態2と同様である。
【0030】
(実施形態3〕
実施形態3に記載されたリフティングマグネット作業機は、シリンダを駆動する際に生じる回生電気エネルギを回生するようにしたものである。
すなわち、図6に図示された実施形態3は、実施形態2に対して、制御装置30Cによりシリンダ22の回生電気エネルギを蓄電装置16Bに蓄電することが可能である点に特徴を有する。以下、実施形態2との相違点を主に実施形態3について説明する。
制御装置30Cは、制御装置30Bと同様な回路構成であり、図3に図示される制御装置30AにDC−ACインバータおよびAC−DCコンバータが付加されている。
【0031】
また、油圧ポンプ12には、コントロールバルブを介することなく、直接、シリンダ22が接続されている点で実施形態2とは相違する。
シリンダ駆動用電動モータ41’により回転される油圧ポンプ12は、直接、シリンダ22のロッド室およびボトム室に作動油を供給し、あるいは作動油をロッド室およびボトム室からタンクに排出させる。
【0032】
シリンダ22は、ブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、チルトシリンダ6aに対応し、シリンダのロッドが移動することにより、ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を回動あるいは傾動する。
交流発電機13により発生された交流電流は、整流装置14において直流電流に変換され、リフティングマグネット17に供給される。また、制御装置30Bおよび30Cで交流電流に変換されて、それぞれ、旋回用電動モータ8およびシリンダ駆動用電動モータ41’に供給され、旋回用電動モータ8およびシリンダ駆動用電動モータ41’が駆動される。
【0033】
シリンダ駆動用電動モータ41’の回転軸の回転に伴って油圧ポンプ12が回転され、油圧ポンプ12からの吐出油によりシリンダ22を作動する。シリンダ22のロッドが移動することにより、ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を回動あるいは傾動する。ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を降下させる動作の際、油圧ポンプ12が逆転し、これによりシリンダ駆動用電動モータ41’が発電して回生電気エネルギが発生する。この回生電気エネルギが蓄電装置16Bに蓄電される。
【0034】
また、実施形態2で説明した如く、蓄電装置16Bには、旋回用電動モータ8の発電により生じる回生電気エネルギも蓄電される。
つまり、蓄電装置16Bには、旋回用電動モータ8の発電により発生する回生電気エネルギとシリンダ駆動用電動モータ41’の発電により発生する回生電気エネルギが蓄電される。そして、蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギを、旋回用電動モータ8およびシリンダ駆動用電動モータ41’の起動時に任意に使用することが可能となる。
【0035】
しかし、この実施形態3においても、リフティングマグネット17を釈放することによって蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。したがって、リフティングマグネット装置9の吸着作業において支障を生じることはない。
他の構成は、実施形態2と同様であり、同一の構成要素に同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0036】
なお、上記実施形態3では、制御装置30Cにシリンダ駆動用電動モータ41’を介して接続された油圧ポンプ12に、コントロールバルブを介すことなく、直接、シリンダ22を接続した場合で説明した。しかしながら、油圧ポンプ12にコントロールバルブを接続し、このコントロールバルブにシリンダ22を接続するようにすることも可能である。
また、シリンダ駆動用電動モータ41’の回生電気エネルギを蓄電する蓄電装置を、旋回用電動モータ8の回生電気エネルギを蓄電する蓄電装置16Bとは別体として設ける構成としてもよい。
【0037】
(実施形態3の変形例)
実施形態3では、エンジンおよび発電機を作業機内に備えている構成であった。
図7には、エンジンおよび発電機を備えていないリフティングマグネット作業機を示す。
すなわち、図7に図示されたリフティングマグネット作業機は、交流の電力供給源42に接続可能な整流装置14を備えている。交流の電流供給源42は、工場内に設置された発電機あるいは単なる商用電源である。
整流装置14に接続された制御装置を含む他の構成要素は実施形態3と同様である。
【0038】
(実施形態4)
実施形態1〜3では、整流装置14でAC−DC変換を行い、制御装置30A〜30Cに直流電力を供給する構成であった。しかしながら、各制御装置に交流電力を配電する構成とすることも可能である。実施形態4として図8に図示された本発明のリフティングマグネット作業機は、このような構成を有する。以下、実施形態1〜3に対する相違点を主に実施形態4について説明する。
【0039】
図8において、交流発電機13は、制御装置50Aおよび50Bに配電する配電装置45が接続されている。
制御装置50Aの詳細なブロック回路図を、蓄電装置16Aおよびリフティングマグネット17と共に図9に図示する。制御装置50Aは、図3にて説明した制御装置30Aの受電制御部31の前段に、AC−DCコンバータ51を配置した構成を有する。配電装置45から供給された交流電流をAC−DCコンバータ51で直流電流に変換する。
【0040】
実施形態4においては、交流発電機13で発生された交流電流は配電装置45により電圧変換されて旋回用電動モータ8に供給される。制御装置50Bは、制御装置50Aと同様な回路構成を有する。但し、旋回用電動モータが交流電動モータである場合には、配電装置45から配電された交流電力により駆動される。また、配電装置45に接続された制御装置50AのAC−DCコンバータ51で直流電流に変換されてリフティングマグネット17に供給される。
【0041】
蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギは、次にリフティングマグネット17を励磁する際に使用され、他の装置の駆動には使用されることはない構成とされている。
また、蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギは、次に旋回用電動モータ8を駆動する際に使用される。
その他の構成は、実施形態1と同様であり、同一構成要素に同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0042】
このように、実施形態4に示されたリフティングマグネット作業機においても、リフティングマグネット17から回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。したがって、実施形態1と同様に、リフティングマグネット装置9の吸着作業において支障を生じることはない。
【0043】
(実施形態5)
図10に図示された実施形態5は、図8に図示された実施形態4に対して、エンジン11により交流発電機13のみを駆動するようにしたものである。
すなわち、実施形態5においては、交流発電機13に接続された配電装置45に制御装置50A、50Bおよび制御回路46が並列に接続されている。制御回路46には電動モータ41が接続されている。電動モータ41により、油圧ポンプ12が駆動され、油圧ポンプ12からの吐出油がコントロールバルブ21により制御されて走行用油圧モータ7およびシリンダ22が駆動される。
【0044】
実施形態5では、交流発電機13により発生された交流電流は配電装置45を介して旋回用電動モータ8および電動モータ41を駆動する。また、図8に図示された実施形態4の場合と同様、制御装置50AのAC−DCコンバータ51で直流電流に変換されてリフティングマグネット17を励磁する。旋回用電動モータ8の発電動作で蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギは、旋回用電動モータ8または電動モータ41の駆動に使用される。リフティングマグネット17の釈放により蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギは、次のリフティングマグネット17の励磁の際に使用される。その他の構成および動作は実施形態4の場合と同様である。
【0045】
実施形態5に示されたリフティングマグネット作業機においても、リフティングマグネット17から回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。したがって、実施形態1と同様に、リフティングマグネット装置9の吸着作業において支障を生じることはない。
【0046】
(実施形態5の変形例)
図11は、図10に示された実施形態5に対し、エンジン11および交流発電機13を備えていないリフティングマグネット作業機を示す。
すなわち、図11に図示されたリフティングマグネット作業機では、交流の電力供給源42に接続可能な配電装置45を備えている。交流の電流供給源42は、工場内に設置された発電機あるいは単なる商用電源である。
配電装置45に接続された制御装置を含む他の構成要素は実施形態5と同様である。
【0047】
(実施形態6)
図12は、本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態6を示すブロック図である。
実施形態6は、図10に示された実施形態5のリフティングマグネット作業機に対し、シリンダ22の降下動作によるシリンダ駆動用電動モータ41’の発電動作によって回生された回生電気エネルギを蓄電装置16Bに蓄電することが可能である点に特徴を有する。
【0048】
すなわち、実施形態6においては、配電装置45に制御装置50A、50Bおよび50Cが接続されている。制御装置50Cは制御装置50Bと同様な回路構成を有しており、シリンダ駆動用電動モータ41’の駆動を制御すると共にシリンダ22の降下動作における回生電気エネルギの蓄電を制御する。この場合、図6に図示された実施形態3と同様に、油圧ポンプ12には、コントロールバルブを介すことなく、直接、シリンダ22が接続されている。つまり、シリンダ駆動用電動モータ41’により駆動される油圧ポンプ12は、直接、シリンダ22のロッド室およびボトム室に作動油を供給し、あるいは作動油をロッド室およびボトム室からタンクに排出させる。
【0049】
実施形態6では、交流発電機13から発生する交流電流は、配電装置45を介して旋回用電動モータ8およびシリンダ駆動用電動モータ41’に供給され、各電動モータが駆動される。
シリンダ駆動用電動モータ41’の回転によって油圧ポンプ12が駆動され、油圧ポンプ12からの吐出油によってシリンダ22が駆動される。シリンダ22のロッドが移動することにより、ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を回動あるいは傾動する。ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を降下させる動作によりシリンダ22からの作動油が油圧ポンプ12に流入し、油圧ポンプ12が逆転してシリンダ駆動用電動モータ41’が発電動作を行なう。これにより得られた回生電気エネルギが蓄電装置16Bに蓄電される。また、図8に図示された実施形態4で説明した如く、蓄電装置16Bには、旋回用電動モータ8の発電動作によって生じる回生電気エネルギが蓄電される。
【0050】
つまり、蓄電装置16Bには、旋回用電動モータ8の発電動作で発生する回生電気エネルギとシリンダ駆動用電動モータ41’の発電動作で発生する回生電気エネルギが蓄電される。そして、蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギを、旋回用電動モータ8およびシリンダ駆動用電動モータ41’の起動時に任意に使用することが可能である。
その他の構成および動作は実施形態5の場合と同様である。
【0051】
実施形態6に示されたリフティングマグネット作業機においても、リフティングマグネット17から回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。したがって、実施形態1と同様に、リフティングマグネット装置9の吸着作業において支障を生じることはない。
【0052】
なお、上記実施形態6では、制御装置50Cにシリンダ駆動用電動モータ41’を介して接続された油圧ポンプ12に、コントロールバルブを介すことなく、直接、シリンダ22を接続した場合で説明した。しかしながら、油圧ポンプ12にコントロールバルブを接続し、このコントロールバルブにシリンダ22を接続するようにすることも可能である。
また、シリンダ駆動用電動モータ41’の発電動作で得られた回生電気エネルギを蓄電する蓄電装置を、旋回用電動モータ8の回生電気エネルギを蓄電する蓄電装置16Bとは別体として設ける構成としてもよい。
【0053】
(実施形態6の変形例)
図13は、図12に示された実施形態6に対し、エンジン11および交流発電機13を備えていないリフティングマグネット作業機を示す。
すなわち、図13に図示されたリフティングマグネット作業機では、交流の電力供給源42に接続可能な配電装置45を備えている。交流の電流供給源42は、工場内に設置された発電機あるいは単なる商用電源である。
配電装置45に接続された制御装置を含む他の構成要素は実施形態6と同様である。
【0054】
以上のように、この発明のリフティングマグネット作業機では、リフティングマグネット17から回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17に専用に設けた蓄電装置16Aに蓄電される。また、蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギはリフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。従って、したがって、リフティングマグネット装置9の吸着作業をなんら支障なく効率的に行うことができる、という効果を奏する。
【0055】
なお、上記実施形態においては、リフティングマグネット17に回生電気エネルギを供給する蓄電装置16Aには、リフティングマグネット17のみの回生電気エネルギを蓄電する場合で説明した。しかし、蓄電装置16Aには、旋回用電動モータ8または電動モータ41等のいずれかあるいは複数の回生電気エネルギを蓄電が可能とするようにしてもよい。
【0056】
要は、走行体と、走行体に旋回可能に設けられた旋回体と、旋回体を旋回駆動する旋回用電動モータと、旋回用電動モータの回生発電による回生電気エネルギを蓄電する旋回用蓄電装置と、リフティングマグネットと、リフティングマグネットからの回生電気エネルギの蓄電が可能であり、蓄電した回生電気エネルギをリフティングマグネットのみに供給する駆動源として、旋回用蓄電装置とは別に設けられたリフティングマグネット用蓄電装置と、旋回用電動モータおよび前記リフティングマグネットに駆動電力を供給する電力供給部とを具備するものであればよい。
以上、実施形態に従って本発明を説明したが、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態になんら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1 走行体
8 旋回用電動モータ
10 リフティングマグネット作業機
13 交流発電機
16A 旋回用蓄電装置
16B リフティングマグネット用蓄電装置
17 リフティングマグネット
30A、30B、30C 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明はリフティングマグネット作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
リフティングマグネット作業機では、回生電気エネルギを利用して動力源の効率を高める方法が採用されている。この方法は、リフティングマグネットに通電(吸引)した後、釈放する際にリフティングマグネットに蓄積された電気エネルギを蓄電装置に蓄電するものである。
【0003】
蓄電装置に蓄電される蓄電電荷を大きくするために、走行体に旋回可能に取り付けられた旋回体駆動用の旋回用電動モータの回生電気エネルギとリフティングマグネットの回生電気エネルギを蓄電装置に蓄電する方法が知られている。この方法では、蓄電装置に蓄電された回生電気エネルギをリフティングマグネットおよび旋回用電動モータの駆動に用いている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開番号WO2006/080100号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明では、蓄電装置に蓄電された回生電気エネルギをリフティングマグネットと旋回用電動モータとの異なる2つの駆動装置に供給している。このため、一方の駆動装置に供給した後には、他方の駆動装置への供給量が不足する状況が発生する。特に、リフティングマグネット作業機では、被吸着物を吸着して搬送(旋回)する複合作業を頻繁に行うため、蓄電装置に蓄電された回生電気エネルギを上手く配分しないとリフティングマグネット作業機の作業に支障をきたすこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリフティングマグネット作業機は、走行体と、走行体に旋回可能に設けられた旋回体と、旋回体を旋回駆動する旋回用電動モータと、旋回用電動モータの回生発電による回生電気エネルギを蓄電する旋回用蓄電装置と、リフティングマグネットと、リフティングマグネットからの回生電気エネルギの蓄電が可能であり、蓄電した回生電気エネルギをリフティングマグネットのみに供給する駆動源として、旋回用蓄電装置とは別に設けられたリフティングマグネット用蓄電装置と、旋回用電動モータおよび前記リフティングマグネットに駆動電力を供給する電力供給部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リフティングマグネット用蓄電装置に蓄電された回生電気エネルギはリフティングマグネットの励磁用としてのみ供給される。したがって、リフティングマグネットを用いた吸着作業と旋回作業の複合作業時にも支障が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のリフティングマグネット作業機の側面図。
【図2】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態1を示すブロック図。
【図3】図2の制御装置の詳細を示すブロック回路図。
【図4】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態2を示すブロック図。
【図5】図4の変形例を示すブロック図。
【図6】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態3を示すブロック図。
【図7】図6の変形例を示すブロック図。
【図8】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態4を示すブロック図。
【図9】図8の制御装置の詳細を示すブロック回路図。
【図10】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態5を示すブロック図。
【図11】図10の変形例を示すブロック図。
【図12】本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態6を示すブロック図。
【図13】図12の変形例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
以下、この発明のリフティングマグネット作業機の実施形態1について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明のリフティングマグネット作業機10の側面図である。このリフティングマグネット作業機10は油圧ショベルをベースマシンとしており、走行体1と、走行体1上に旋回可能に設けられた旋回体2と、旋回体2に回動可能に取り付けられた作業用フロント3とを有する。
【0010】
作業用フロント3は、旋回体2に回動可能に軸支されたブーム4と、ブーム先端部に回動可能に軸支されたアーム5と、アーム先端部に回動可能に軸支されたリフティングマグネット装置9とを有する。ブーム4は、ブームシリンダ4aの伸縮により上下方向に回動し、アーム5は、アームシリンダ5aの伸縮によりクラウドまたはダンプする。
【0011】
リフティングマグネット装置9は、リンク機構(リンク6b,6c)を介してチルトシリンダ6aの伸縮によりチルトする。なお、図の点線はリフティングマグネット装置9に鉄やスクラップ等の被吸着物9aを吸着した吸着作業状態を示している。
走行体1は、走行用油圧モータ7により駆動され、前後方向に走行する。また、左右の走行モータが異なる回転数で駆動されると、ステアリングやピボットターンを行うことができる。旋回体2は、旋回用電動モータ(作業用電動モータ)8により駆動されて、走行体1上において旋回する。
【0012】
図2は、図1のリフティングマグネット作業機10のブロック図である。
エンジン11の駆動軸には、油圧ポンプ12と1個の交流発電機13が取り付けられている。油圧ポンプ12にはコントロールバルブ21およびシリンダ22が接続されている。油圧ポンプ12はエンジン11により回転軸が回転され、その吐出油によりコントロールバルブ21を介してシリンダ22を駆動する。シリンダ22は、図1に図示された、ブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、チルトシリンダ6aに対応し、各シリンダのロッドが移動することにより、ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を回動あるいは傾動する。ブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、チルトシリンダ6aは、ほぼ同一の構成であり、図2では、それらの代表としてシリンダ22を1個のみ図示する。
【0013】
エンジン11により回転軸が回転される交流発電機13の出力端子には整流装置14が接続されている。整流装置14は、AC−DCコンバータである。整流装置14の出力側には制御装置30Aと30Bが並列に接続されている。制御装置30Bには、旋回用電動モータ8および蓄電装置16Bが接続されている。旋回用電動モータ8は、直流電動モータでも交流電動モータでもよい。また、制御装置30Aには、リフティングマグネット17および蓄電装置16Aが接続されている。リフティングマグネット17は図1に図示されたリフティングマグネット装置9に含まれる。
【0014】
制御装置30Aは、リフティングマグネット17を励磁し、あるいはリフティングマグネット17の回生電気エネルギを蓄電装置16Aに蓄電する制御を行う。
制御装置30Aの詳細なブロック回路図を蓄電装置16Aおよびリフティングマグネット17と共に図3に図示する
以下、図3を参照して、リフティングマグネット17の励磁および回生時の動作について説明する。
【0015】
制御装置30Aは整流装置14に接続された入力側に受電制御部31および受電制御部31に接続された4個のスイッチ素子32〜35からなるブリッジ回路36を有する。スイッチ素子32および34には、リフティングマグネット17側から蓄電装置16A側方向にのみ電流を流すダイオードが並設されている。スイッチ素子33および35には、蓄電装置16A側からリフティングマグネット17側方向にのみ電流を流すダイオードが並設されている。受電制御部31の正極はスイッチ素子32および34に接続され、負極はスイッチ素子33および35に接続されている。リフティングマグネット17の一端は、スイッチ素子32とスイッチ素子33とに接続され、他端はスイッチ素子34とスイッチ素子35に接続されている。また、蓄電装置16Aの正極・負極の端子は、それぞれ、受電制御部31のいずれかの端子に接続されている。
【0016】
整流装置14からリフティングマグネット17を駆動するための直流電流が供給されると、蓄電装置16Aが蓄電される。受電制御部31は、リフティングマグネット17への電流・電圧を制御する。また、蓄電装置16Aからの逆流を防止する。被吸着物9aを吸引するために、運転室において、操作部材(図示せず)を操作すると、スイッチ素子32および35がオンする。これにより、リフティングマグネット17が励磁され、被吸着物9aが吸着される。
【0017】
旋回体2の旋回操作により、リフティングマグネット装置9を搬送場所に移動して操作部材により被吸着物9aを釈放するための操作を行うと、スイッチ素子32および35がオフする。このとき、リフティングマグネット17には、逆起電力により電気エネルギが発生し、この電気エネルギがスイッチ素子34のダイオード―蓄電装置16A−スイッチ素子33のダイオードの経路で蓄電装置16Aに蓄電され、回生される。すなわち、蓄電装置16Aに回生電気エネルギが蓄電される。
【0018】
同時に、スイッチ素子33および34が導通する。これにより、リフティングマグネット17に励磁の際と逆方向の釈放のための電流が流れる。この際に、上記で蓄電された電気エネルギは消費される。
次に、スイッチ素子33および34がオフになると、リフティングマグネット17に蓄積されていた回生電気エネルギがスイッチ素子32のダイオード―蓄電装置16A−スイッチ素子35のダイオードの経路で蓄電装置16Aに蓄電される。すなわち、蓄電装置16Aに回生電気エネルギが蓄電される。これとともに、釈放のための電流は停止する。
【0019】
制御装置30Bは、旋回用電動モータ8の駆動を制御すると共に回生電気エネルギを蓄電装置16Bに蓄電するためのものであり、制御装置30Aと同様な回路構成を有する。但し、旋回用電動モータ8が交流電動機である場合には、DC−ACインバータおよびAC−DCコンバータが制御装置30Aに付加された回路構成とする。蓄電装置16Bには、旋回体2が旋回駆動された後、旋回体2の停止指令が出された場合、旋回用電動モータ8が慣性力で旋回することにより、旋回用電動モータ8から出力される発電電力である回生電気エネルギが蓄電される。蓄電装置16A、16Bとしては、二次電池あるいは電気二重層型コンデンサ等を用いることができる。
【0020】
図2に図示されたリフティングマグネット作業機10の動作を説明する。
エンジン11により油圧ポンプ12および交流発電機13を駆動する。油圧ポンプ12から吐出される作動油により走行用油圧モータ7およびシリンダ22(ブームシリンダ4a、アームシリンダ5aおよびチルトシリンダ6a)が駆動される。
また、エンジン11により駆動された交流発電機13により整流装置14に交流電流が供給される。AC−DCコンバータよりなる整流装置14により、交流電流が直流電流に変換されて制御装置30Aおよび30Bに供給される。制御装置30Aおよび30Bに供給された電流は、それぞれ、リフティングマグネット17および旋回用電動モータ8に供給される。
【0021】
運転室内の操作レバーを操作することにより、走行用油圧モータ7を駆動して走行体1を走行させ、また、旋回用電動モータ8を駆動して旋回体2を旋回する。被吸着物9aの近傍にリフティングマグネット装置9を位置させ、運転室において、操作部材を操作して、被吸着物9aの吸着作業を開始する。
【0022】
リフティングマグネット装置9の吸着動作に際しては、上述した如く、制御装置30Aの制御により蓄電装置16Aに蓄電された電気エネルギと、整流装置14から出力される電気エネルギとによってリフティングマグネット17が励磁され、被吸着物9aが吸着される。そして、走行用油圧モータ7、旋回用電動モータ8、ブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、チルトシリンダ6aを駆動してリフティングマグネット装置9を所定の場所に移動して、操作部材により被吸着物9aを釈放する操作を行うと、被吸着物9aが釈放され、これと共に、蓄電装置16Aにリフティングマグネット17に蓄積された回生電気エネルギが蓄電される。
【0023】
蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギは、次にリフティングマグネット17を励磁する際に使用される。また、蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギは、次に旋回用電動モータ8を起動する際に使用される。
このように、蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁にのみ使用され、旋回用電動モータ8の駆動への給電には使用されることはない構成とされている。
【0024】
通常、リフティングマグネット17は吸着開始時に大きな電力を必要とするが、これに見合う大型給電装置を備えることはコスト高となる。
本発明では、リフティングマグネット17から回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17に専用に設けた蓄電装置16Aに蓄電される。また、蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギはリフティングマグネット17の励磁のみに使用され、旋回用電動モータ8の給電には使用されることがない。このため、蓄電装置16Aに蓄電された電気エネルギを旋回用電動モータ8へ配分するための複雑な回路構成を必要としない。
【0025】
(実施形態2)
実施形態1では、エンジン11により油圧ポンプ12および交流発電機13を駆動する構成であるが、実施形態2は、エンジン11により交流発電機13のみを駆動する構成である点に特徴を有する。
すなわち、本発明の実施形態2として図4に図示されたリフティングマグネット作業機では、整流装置14に並列に接続された制御装置30Aおよび30Bに、さらに、制御回路38が接続されている。以下、実施形態1との相違点を主に実施形態2について説明する。
【0026】
制御回路38はDC−ACインバータよりなり、制御回路38には、電動モータ41が接続されている。電動モータ41には、油圧ポンプ12が接続されている。
交流発電機13により発生された交流電流は、整流装置14において直流電流に変換され、リフティングマグネット17に供給される。また、制御装置30Bおよび制御回路38で再び交流電流に変換されて、それぞれ、旋回用電動モータ8および電動モータ41を駆動する。
電動モータ41の回転によって油圧ポンプ12が駆動され、油圧ポンプ12の吐出油がコントロールバルブ21により制御されて走行用油圧モータ7およびシリンダ22が駆動される。
【0027】
蓄電装置16Bには、実施形態1において説明した如く、旋回用駆動モータ8が慣性力で回転される際に生じる回生電気エネルギが蓄電される。蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギは次の旋回用駆動モータ8の起動時に使用される。また、この実施形態2の場合には、蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギを、電動モータ41を駆動する際にも使用することが可能である。
【0028】
しかし、この実施形態2においても、リフティングマグネット17を励磁することによって蓄電装置16Aに回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。したがって、リフティングマグネット装置9の吸着作業において支障を生じることはない。
他の構成は、実施形態1と同様であり、同一の構成要素に同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0029】
(実施形態2の変形例)
実施形態2では、エンジン11および交流発電機13を作業機内に備えている構成であった。
図5には、エンジン11および交流発電機13を備えていないリフティングマグネット作業機を示す。
すなわち、図5に図示されたリフティングマグネット作業機は、交流の電力供給源42に接続可能な整流装置14を備えている。交流の電流供給源42は、工場内に設置された発電機あるいは単なる商用電源である。
整流装置14に接続された制御装置を含む他の構成要素は実施形態2と同様である。
【0030】
(実施形態3〕
実施形態3に記載されたリフティングマグネット作業機は、シリンダを駆動する際に生じる回生電気エネルギを回生するようにしたものである。
すなわち、図6に図示された実施形態3は、実施形態2に対して、制御装置30Cによりシリンダ22の回生電気エネルギを蓄電装置16Bに蓄電することが可能である点に特徴を有する。以下、実施形態2との相違点を主に実施形態3について説明する。
制御装置30Cは、制御装置30Bと同様な回路構成であり、図3に図示される制御装置30AにDC−ACインバータおよびAC−DCコンバータが付加されている。
【0031】
また、油圧ポンプ12には、コントロールバルブを介することなく、直接、シリンダ22が接続されている点で実施形態2とは相違する。
シリンダ駆動用電動モータ41’により回転される油圧ポンプ12は、直接、シリンダ22のロッド室およびボトム室に作動油を供給し、あるいは作動油をロッド室およびボトム室からタンクに排出させる。
【0032】
シリンダ22は、ブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、チルトシリンダ6aに対応し、シリンダのロッドが移動することにより、ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を回動あるいは傾動する。
交流発電機13により発生された交流電流は、整流装置14において直流電流に変換され、リフティングマグネット17に供給される。また、制御装置30Bおよび30Cで交流電流に変換されて、それぞれ、旋回用電動モータ8およびシリンダ駆動用電動モータ41’に供給され、旋回用電動モータ8およびシリンダ駆動用電動モータ41’が駆動される。
【0033】
シリンダ駆動用電動モータ41’の回転軸の回転に伴って油圧ポンプ12が回転され、油圧ポンプ12からの吐出油によりシリンダ22を作動する。シリンダ22のロッドが移動することにより、ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を回動あるいは傾動する。ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を降下させる動作の際、油圧ポンプ12が逆転し、これによりシリンダ駆動用電動モータ41’が発電して回生電気エネルギが発生する。この回生電気エネルギが蓄電装置16Bに蓄電される。
【0034】
また、実施形態2で説明した如く、蓄電装置16Bには、旋回用電動モータ8の発電により生じる回生電気エネルギも蓄電される。
つまり、蓄電装置16Bには、旋回用電動モータ8の発電により発生する回生電気エネルギとシリンダ駆動用電動モータ41’の発電により発生する回生電気エネルギが蓄電される。そして、蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギを、旋回用電動モータ8およびシリンダ駆動用電動モータ41’の起動時に任意に使用することが可能となる。
【0035】
しかし、この実施形態3においても、リフティングマグネット17を釈放することによって蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。したがって、リフティングマグネット装置9の吸着作業において支障を生じることはない。
他の構成は、実施形態2と同様であり、同一の構成要素に同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0036】
なお、上記実施形態3では、制御装置30Cにシリンダ駆動用電動モータ41’を介して接続された油圧ポンプ12に、コントロールバルブを介すことなく、直接、シリンダ22を接続した場合で説明した。しかしながら、油圧ポンプ12にコントロールバルブを接続し、このコントロールバルブにシリンダ22を接続するようにすることも可能である。
また、シリンダ駆動用電動モータ41’の回生電気エネルギを蓄電する蓄電装置を、旋回用電動モータ8の回生電気エネルギを蓄電する蓄電装置16Bとは別体として設ける構成としてもよい。
【0037】
(実施形態3の変形例)
実施形態3では、エンジンおよび発電機を作業機内に備えている構成であった。
図7には、エンジンおよび発電機を備えていないリフティングマグネット作業機を示す。
すなわち、図7に図示されたリフティングマグネット作業機は、交流の電力供給源42に接続可能な整流装置14を備えている。交流の電流供給源42は、工場内に設置された発電機あるいは単なる商用電源である。
整流装置14に接続された制御装置を含む他の構成要素は実施形態3と同様である。
【0038】
(実施形態4)
実施形態1〜3では、整流装置14でAC−DC変換を行い、制御装置30A〜30Cに直流電力を供給する構成であった。しかしながら、各制御装置に交流電力を配電する構成とすることも可能である。実施形態4として図8に図示された本発明のリフティングマグネット作業機は、このような構成を有する。以下、実施形態1〜3に対する相違点を主に実施形態4について説明する。
【0039】
図8において、交流発電機13は、制御装置50Aおよび50Bに配電する配電装置45が接続されている。
制御装置50Aの詳細なブロック回路図を、蓄電装置16Aおよびリフティングマグネット17と共に図9に図示する。制御装置50Aは、図3にて説明した制御装置30Aの受電制御部31の前段に、AC−DCコンバータ51を配置した構成を有する。配電装置45から供給された交流電流をAC−DCコンバータ51で直流電流に変換する。
【0040】
実施形態4においては、交流発電機13で発生された交流電流は配電装置45により電圧変換されて旋回用電動モータ8に供給される。制御装置50Bは、制御装置50Aと同様な回路構成を有する。但し、旋回用電動モータが交流電動モータである場合には、配電装置45から配電された交流電力により駆動される。また、配電装置45に接続された制御装置50AのAC−DCコンバータ51で直流電流に変換されてリフティングマグネット17に供給される。
【0041】
蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギは、次にリフティングマグネット17を励磁する際に使用され、他の装置の駆動には使用されることはない構成とされている。
また、蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギは、次に旋回用電動モータ8を駆動する際に使用される。
その他の構成は、実施形態1と同様であり、同一構成要素に同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0042】
このように、実施形態4に示されたリフティングマグネット作業機においても、リフティングマグネット17から回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。したがって、実施形態1と同様に、リフティングマグネット装置9の吸着作業において支障を生じることはない。
【0043】
(実施形態5)
図10に図示された実施形態5は、図8に図示された実施形態4に対して、エンジン11により交流発電機13のみを駆動するようにしたものである。
すなわち、実施形態5においては、交流発電機13に接続された配電装置45に制御装置50A、50Bおよび制御回路46が並列に接続されている。制御回路46には電動モータ41が接続されている。電動モータ41により、油圧ポンプ12が駆動され、油圧ポンプ12からの吐出油がコントロールバルブ21により制御されて走行用油圧モータ7およびシリンダ22が駆動される。
【0044】
実施形態5では、交流発電機13により発生された交流電流は配電装置45を介して旋回用電動モータ8および電動モータ41を駆動する。また、図8に図示された実施形態4の場合と同様、制御装置50AのAC−DCコンバータ51で直流電流に変換されてリフティングマグネット17を励磁する。旋回用電動モータ8の発電動作で蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギは、旋回用電動モータ8または電動モータ41の駆動に使用される。リフティングマグネット17の釈放により蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギは、次のリフティングマグネット17の励磁の際に使用される。その他の構成および動作は実施形態4の場合と同様である。
【0045】
実施形態5に示されたリフティングマグネット作業機においても、リフティングマグネット17から回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。したがって、実施形態1と同様に、リフティングマグネット装置9の吸着作業において支障を生じることはない。
【0046】
(実施形態5の変形例)
図11は、図10に示された実施形態5に対し、エンジン11および交流発電機13を備えていないリフティングマグネット作業機を示す。
すなわち、図11に図示されたリフティングマグネット作業機では、交流の電力供給源42に接続可能な配電装置45を備えている。交流の電流供給源42は、工場内に設置された発電機あるいは単なる商用電源である。
配電装置45に接続された制御装置を含む他の構成要素は実施形態5と同様である。
【0047】
(実施形態6)
図12は、本発明のリフティングマグネット作業機の実施形態6を示すブロック図である。
実施形態6は、図10に示された実施形態5のリフティングマグネット作業機に対し、シリンダ22の降下動作によるシリンダ駆動用電動モータ41’の発電動作によって回生された回生電気エネルギを蓄電装置16Bに蓄電することが可能である点に特徴を有する。
【0048】
すなわち、実施形態6においては、配電装置45に制御装置50A、50Bおよび50Cが接続されている。制御装置50Cは制御装置50Bと同様な回路構成を有しており、シリンダ駆動用電動モータ41’の駆動を制御すると共にシリンダ22の降下動作における回生電気エネルギの蓄電を制御する。この場合、図6に図示された実施形態3と同様に、油圧ポンプ12には、コントロールバルブを介すことなく、直接、シリンダ22が接続されている。つまり、シリンダ駆動用電動モータ41’により駆動される油圧ポンプ12は、直接、シリンダ22のロッド室およびボトム室に作動油を供給し、あるいは作動油をロッド室およびボトム室からタンクに排出させる。
【0049】
実施形態6では、交流発電機13から発生する交流電流は、配電装置45を介して旋回用電動モータ8およびシリンダ駆動用電動モータ41’に供給され、各電動モータが駆動される。
シリンダ駆動用電動モータ41’の回転によって油圧ポンプ12が駆動され、油圧ポンプ12からの吐出油によってシリンダ22が駆動される。シリンダ22のロッドが移動することにより、ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を回動あるいは傾動する。ブーム4、アーム5、リフティングマグネット9を降下させる動作によりシリンダ22からの作動油が油圧ポンプ12に流入し、油圧ポンプ12が逆転してシリンダ駆動用電動モータ41’が発電動作を行なう。これにより得られた回生電気エネルギが蓄電装置16Bに蓄電される。また、図8に図示された実施形態4で説明した如く、蓄電装置16Bには、旋回用電動モータ8の発電動作によって生じる回生電気エネルギが蓄電される。
【0050】
つまり、蓄電装置16Bには、旋回用電動モータ8の発電動作で発生する回生電気エネルギとシリンダ駆動用電動モータ41’の発電動作で発生する回生電気エネルギが蓄電される。そして、蓄電装置16Bに蓄電された回生電気エネルギを、旋回用電動モータ8およびシリンダ駆動用電動モータ41’の起動時に任意に使用することが可能である。
その他の構成および動作は実施形態5の場合と同様である。
【0051】
実施形態6に示されたリフティングマグネット作業機においても、リフティングマグネット17から回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。したがって、実施形態1と同様に、リフティングマグネット装置9の吸着作業において支障を生じることはない。
【0052】
なお、上記実施形態6では、制御装置50Cにシリンダ駆動用電動モータ41’を介して接続された油圧ポンプ12に、コントロールバルブを介すことなく、直接、シリンダ22を接続した場合で説明した。しかしながら、油圧ポンプ12にコントロールバルブを接続し、このコントロールバルブにシリンダ22を接続するようにすることも可能である。
また、シリンダ駆動用電動モータ41’の発電動作で得られた回生電気エネルギを蓄電する蓄電装置を、旋回用電動モータ8の回生電気エネルギを蓄電する蓄電装置16Bとは別体として設ける構成としてもよい。
【0053】
(実施形態6の変形例)
図13は、図12に示された実施形態6に対し、エンジン11および交流発電機13を備えていないリフティングマグネット作業機を示す。
すなわち、図13に図示されたリフティングマグネット作業機では、交流の電力供給源42に接続可能な配電装置45を備えている。交流の電流供給源42は、工場内に設置された発電機あるいは単なる商用電源である。
配電装置45に接続された制御装置を含む他の構成要素は実施形態6と同様である。
【0054】
以上のように、この発明のリフティングマグネット作業機では、リフティングマグネット17から回生した回生電気エネルギは、リフティングマグネット17に専用に設けた蓄電装置16Aに蓄電される。また、蓄電装置16Aに蓄電された回生電気エネルギはリフティングマグネット17の励磁のみに使用され、他の装置への給電には使用されることがない。従って、したがって、リフティングマグネット装置9の吸着作業をなんら支障なく効率的に行うことができる、という効果を奏する。
【0055】
なお、上記実施形態においては、リフティングマグネット17に回生電気エネルギを供給する蓄電装置16Aには、リフティングマグネット17のみの回生電気エネルギを蓄電する場合で説明した。しかし、蓄電装置16Aには、旋回用電動モータ8または電動モータ41等のいずれかあるいは複数の回生電気エネルギを蓄電が可能とするようにしてもよい。
【0056】
要は、走行体と、走行体に旋回可能に設けられた旋回体と、旋回体を旋回駆動する旋回用電動モータと、旋回用電動モータの回生発電による回生電気エネルギを蓄電する旋回用蓄電装置と、リフティングマグネットと、リフティングマグネットからの回生電気エネルギの蓄電が可能であり、蓄電した回生電気エネルギをリフティングマグネットのみに供給する駆動源として、旋回用蓄電装置とは別に設けられたリフティングマグネット用蓄電装置と、旋回用電動モータおよび前記リフティングマグネットに駆動電力を供給する電力供給部とを具備するものであればよい。
以上、実施形態に従って本発明を説明したが、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態になんら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1 走行体
8 旋回用電動モータ
10 リフティングマグネット作業機
13 交流発電機
16A 旋回用蓄電装置
16B リフティングマグネット用蓄電装置
17 リフティングマグネット
30A、30B、30C 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体に旋回可能に設けられた旋回体と、
前記旋回体を旋回駆動する旋回用電動モータと、
前記旋回用電動モータの回生発電による回生電気エネルギを蓄電する旋回用蓄電装置と、
リフティングマグネットと、
前記リフティングマグネットからの回生電気エネルギを蓄電することが可能であり、蓄電した回生電気エネルギを前記リフティングマグネットのみに供給する駆動源として、前記旋回用蓄電装置とは別に設けられたリフティングマグネット用蓄電装置と、
前記旋回用電動モータおよび前記リフティングマグネットに駆動電力を供給する電力供給部と、
を具備することを特徴とするリフティングマグネット作業機。
【請求項2】
請求項1に記載のリフティングマグネット作業機において、前記旋回用電動モータおよび前記リフティングマグネットに駆動電力を供給する電力供給部として、1個の発電機のみを用いることを特徴とするリフティングマグネット作業機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリフティングマグネット作業機において、さらに、シリンダ、前記シリンダを駆動するための油圧ポンプ、前記油圧ポンプを駆動するためのシリンダ駆動用電動モータを有し、前記旋回用蓄電装置に蓄電された回生電気エネルギを前記シリンダ駆動用電動モータに供給するように構成したことを特徴とするリフティングマグネット作業機。
【請求項4】
請求項3に記載のリフティングマグネット作業機において、前記シリンダ駆動用電動モータの回生発電による回生電気エネルギを前記旋回用蓄電装置、前記リフティングマグネット用蓄電装置およびそれ以外の蓄電装置の中、少なくともいずれかに蓄電することを特徴とするリフティングマグネット作業機。
【請求項1】
走行体と、
前記走行体に旋回可能に設けられた旋回体と、
前記旋回体を旋回駆動する旋回用電動モータと、
前記旋回用電動モータの回生発電による回生電気エネルギを蓄電する旋回用蓄電装置と、
リフティングマグネットと、
前記リフティングマグネットからの回生電気エネルギを蓄電することが可能であり、蓄電した回生電気エネルギを前記リフティングマグネットのみに供給する駆動源として、前記旋回用蓄電装置とは別に設けられたリフティングマグネット用蓄電装置と、
前記旋回用電動モータおよび前記リフティングマグネットに駆動電力を供給する電力供給部と、
を具備することを特徴とするリフティングマグネット作業機。
【請求項2】
請求項1に記載のリフティングマグネット作業機において、前記旋回用電動モータおよび前記リフティングマグネットに駆動電力を供給する電力供給部として、1個の発電機のみを用いることを特徴とするリフティングマグネット作業機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリフティングマグネット作業機において、さらに、シリンダ、前記シリンダを駆動するための油圧ポンプ、前記油圧ポンプを駆動するためのシリンダ駆動用電動モータを有し、前記旋回用蓄電装置に蓄電された回生電気エネルギを前記シリンダ駆動用電動モータに供給するように構成したことを特徴とするリフティングマグネット作業機。
【請求項4】
請求項3に記載のリフティングマグネット作業機において、前記シリンダ駆動用電動モータの回生発電による回生電気エネルギを前記旋回用蓄電装置、前記リフティングマグネット用蓄電装置およびそれ以外の蓄電装置の中、少なくともいずれかに蓄電することを特徴とするリフティングマグネット作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−236013(P2011−236013A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109302(P2010−109302)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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