説明

リプル抽出装置、車両用シート及びリプル抽出方法

【課題】カットオフ周波数可変型のフィルタを用いずに、モータの電流信号に含まれるリプル成分を正確に検出できるようにする。
【解決手段】リプル抽出装置3が、モータ2の電流信号に含まれるリプル成分を抽出する。リプル抽出装置3は、モータ2の電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換器10と、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号を濾波して、リプル成分を減衰させるフィルタ40と、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号と、フィルタ40の出力信号との差分を取る差動増幅器50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リプル抽出装置、車両用シート及びリプル抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シート、電動ドアミラー、パワーウィンドウ等には可動部が設けられ、可動部がモータによって駆動される。可動部の位置や速度を制御装置によって正確に制御するためには、動作中のモータの回転位置を検出する必要がある。モータの回転位置を検出するべく、センサが用いられる。つまり、センサ(例えば、ホール素子、エンコーダ、リードスイッチセンサ)がモータ等に設けられ、動作中のモータの回転に同期した信号がセンサによって出力され、センサの出力信号が検出回路(例えば、コンパレータやAD変換器)を介して制御装置に入力される。
【0003】
ところが、センサを用いると、コストアップの要因になってしまう。そこで、センサを用いずに、モータの電流信号を利用して、モータの後段回路によってモータの回転位置を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。モータが動作している際には、モータの電流信号には直流成分、低周波成分及び高周波ノイズ等が含まれており、更に、モータの回転に同期した脈動(以下、リプル(ripple)という。)成分も含まれている。特許文献1、特許文献2に記載の技術では、モータの電流信号を後段回路によって処理することによってリプル成分を抽出する。具体的には、後段回路のフィルタによってモータの電流信号のうち直流成分、低周波成分及び高周波ノイズを除去し、リプル成分を通過させる。モータの電流信号の各成分の周波数が環境変化によって変動するため、後段回路のフィルタには、カットオフ周波数を可変することができるスイッチト・キャパシタ・フィルタを用いる。具体的には、スイッチト・キャパシタ・フィルタを通過した信号が演算回路にフィードバックされ、演算回路がフィードバック信号からカットオフ周波数を演算して、スイッチト・キャパシタ・フィルタのカットオフ周波数を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−9585号公報
【特許文献2】特開2008−283762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、スイッチト・キャパシタ・フィルタは高価である。
また、従来の技術では、フィードバック制御によってスイッチト・キャパシタ・フィルタのカットオフ周波数が設定されるから、モータの電流信号の各成分の周波数が過渡的に又は急激に変化すると、カットオフ周波数の設定が遅れてしまい、リプル成分を正確に検出できない虞がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、モータの電流信号の各成分の周波数が環境変化によって変動したものとしても、カットオフ周波数可変型のフィルタを用いずに、モータの電流信号に含まれるリプル成分を正確に検出できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための請求項1に係る発明は、リプル抽出装置が、モータの電流信号に含まれるリプル成分を抽出するリプル抽出装置であって、前記モータの電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換器と、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を濾波するフィルタと、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号と、前記フィルタの出力信号との差分を取る差動増幅器と、を備えるリプル抽出装置である。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記フィルタが前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号のうちリプル成分を減衰させる、請求項1のリプル抽出装置である。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記フィルタは、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより低くなるように、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を減衰させるローパスフィルタである、請求項1又は2に記載のリプル抽出装置である。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記フィルタのカットオフ周波数が前記リプル成分の周波数よりも低く設定された、請求項3に記載のリプル抽出装置である。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記フィルタは、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより高くなるように、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を減衰させるハイパスフィルタである、請求項1又は2に記載のリプル抽出装置である。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記フィルタのカットオフ周波数が前記リプル成分の周波数よりも高く設定された、請求項5に記載のリプル抽出装置である。
【0012】
請求項7に係る発明は、前記フィルタは、低カットオフ周波数を下回る低周波域において前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより高くなるように、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を減衰させ、前記低カットオフ周波数よりも高い高カットオフ周波数を超える高周波域において前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより低くなるように、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を減衰させ、前記低カットオフ周波数と前記高カットオフ周波数の間の周波数帯域において前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を通過させるバンドパスフィルタである、請求項1又は2に記載のリプル抽出装置である。
【0013】
請求項8に係る発明は、前記フィルタの前記低カットオフ周波数が前記リプル成分の周波数よりも高く設定された、請求項7に記載のリプル抽出装置である。
【0014】
請求項9に係る発明は、前記フィルタの前記高カットオフ周波数が前記リプル成分の周波数よりも低く設定された、請求項7に記載のリプル抽出装置である。
【0015】
請求項10に係る発明は、前記フィルタが一又は複数の抵抗器及びキャパシタからなるフィルタである、請求項1から9の何れか一項に記載のリプル抽出装置である。
【0016】
請求項11に係る発明は、可動部を有するシート本体と、請求項1から10の何れか一項に記載のリプル抽出装置と、前記モータと、を備え、前記可動部が前記モータによって駆動される、車両用シートである。
【0017】
請求項12に係る発明は、モータの電流信号に含まれるリプル成分を抽出するリプル抽出方法であって、前記モータの電流信号を電圧信号に変換し、前記変換された電圧信号を濾波し、前記変換された電圧信号と、前記濾波された電圧信号との差分を取る、リプル抽出方法である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1,2,12に係る発明によれば、電流電圧変換器によって変換された電圧信号がフィルタによって濾波される際には、リプル成分が減衰される。電流電圧変換器の電圧信号とフィルタの出力信号との差分が差動増幅器によって得られるから、その差分はリプル成分となる。モータの電流信号の各成分の周波数が環境変化によって変動しても、得られたリプル成分が電流電圧変換器の電圧信号とフィルタの出力信号との差分であるから、モータの電流信号に含まれるリプル成分を高精度に検出することができる。
しかも、フィルタと差動増幅器を用いてリプル成分を抽出したため、フィルタにカットオフ周波数可変型フィルタを用いずとも済む。そのため、フィルタのコストを削減することができる。
このリプル抽出装置がフィードバック制御回路のような閉ループ回路でないから、モータの電流信号の各成分の周波数が過渡的に又は急激に変化したものとしても、リプル成分を正確に検出することができる。
【0019】
請求項3,4に係る発明によれば、電流電圧変換器によって変換された電圧信号が、リプル成分とそのリプル成分よりも周波数が低い低周波成分とを重畳したものであれば、モータの電流信号の各成分の周波数が環境変化によって変化しても、リプル成分が差動増幅器による差分として正確に検出される。
【0020】
請求項5,6に係る発明によれば、電流電圧変換器によって変換された電圧信号が、リプル成分とそのリプル成分よりも周波数が高い高周波成分とを重畳したものであれば、モータの電流信号の各成分の周波数が環境変化によって変化しても、リプル成分が差動増幅器による差分として正確に検出される。
【0021】
請求項7,8に係る発明によれば、電流電圧変換器によって変換された電圧信号が、リプル成分とそのリプル成分よりも周波数が低い低周波成分とを重畳したものであれば、モータの電流信号の各成分の周波数が環境変化によって変化しても、リプル成分が差動増幅器による差分として正確に検出される。
【0022】
請求項7,9に係る発明によれば、電流電圧変換器によって変換された電圧信号が、リプル成分とそのリプル成分よりも周波数が高い高周波成分とを重畳したものであれば、モータの電流信号の各成分の周波数が環境変化によって変化しても、リプル成分が差動増幅器による差分として正確に検出される。
【0023】
請求項10に係る発明によれば、フィルタが抵抗器とキャパシタからなるフィルタであるので、フィルタの構成がシンプルであり、フィルタのコストを低くすることができる。
【0024】
請求項11に係る発明によれば、モータの電流信号に含まれるリプル成分を高精度に検出することができるとともに、フィルタや車両用シートのコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用した実施形態に係るモータ制御装置を示したブロック図である。
【図2】モータの電流信号の波形を示したタイミングチャートである。
【図3】モータの電流信号の波形を示したタイミングチャートである。
【図4】電流電圧変換器、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、フィルタと差動増幅器、増幅器及び波形整形部の入力信号及び出力信号の波形を示した図である。
【図5】フィルタの周波数特性を示したグラフである。
【図6】フィルタと差動増幅器を示した回路図である。
【図7】フィルタと差動増幅器の入力信号及び出力信号の波形を示したタイミングチャートである。
【図8】車両用シートのシート本体を示した側面図である。
【図9】フィルタの周波数特性を示したグラフである。
【図10】フィルタの周波数特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0027】
図1は、モータ制御装置1のブロック図である。
モータ制御装置1は、モータ2、リプル抽出装置3、コンピュータ4、記憶部5及びモータドライバ6等を備える。
【0028】
モータ2は、直流モータである。電流がモータ2に流れると、モータ2が回転するとともに、モータ2が周期的なリプル(ripple)を電流に発生させる。モータ2の電流信号について図2及び図3を参照して説明する。図2は、モータ2が駆動される際にモータ2に流れる電流のレベルの変化を示したチャートである。図3は、図2に示されたA部における時間及び電流のスケールを大きくして示したチャートである。
【0029】
図2において、時刻T1はモータ2が起動したタイミングであり、時刻T2はモータ2が安定的に動作し始めるタイミングである。時刻T3は、モータ2によって駆動される可動部がストッパ等に当接して、モータ2の動力を可動部に伝える伝動機構が拘束され始めるタイミングである。時刻T4は、モータ2が停止するタイミングである。
図2及び図3に示すように、モータ2の電流信号は直流成分、リプル成分及び一又は複数の周波成分(交流成分)を含み、周波成分及びリプル成分が直流成分に重畳している。モータ2の電流信号のうち、電流のレベルが急激に変化した高周波成分はノイズである(例えば、符号n参照)。なお、図3は、高周波ノイズ成分がないものとして図示されている。
【0030】
時刻T1から時刻T2までの期間P1では、リプル成分r1と、リプル成分r1よりも周波数が低い低周波成分とが直流成分に重畳している。期間P1のうちモータ2の起動直後では、慣性力の影響により低周波成分の電流レベルが大きく、その後、低周波成分の電流レベルが時間の経過に伴って緩やかに減少する。また、モータ2の起動直後では、低周波成分よりも周波数が高いリプル成分r1の振幅が大きく、その後、リプル成分r1の周波数が時間の経過に伴って漸増するとともに、リプル成分r1の振幅が時間の経過に伴って漸減する。
時刻T2から時刻T3までの期間P2では、リプル成分r2と、リプル成分r2よりも周波数が低い低周波成分とが直流成分に重畳し、直流成分がほぼ一定で安定し、低周波成分の周波数及び振幅が安定し、リプル成分r2の周波数及び振幅が安定している。リプル成分r2の周波数が低周波成分の周波数よりも高くなるのは、モータ2に内蔵された複数のコイルが巻き線抵抗に差を有するためである。
時刻T3から時刻T4までの期間P3では、モータの電流信号のうち低周波成分の周波数が低くなり、低周波成分の電流レベルが時間の経過とともに漸増する。期間P3では、モータの電流信号のうちリプル成分r3の周波数が時間の経過に伴って漸減し、リプル成分r3の振幅が時間の経過に伴って漸増する。
【0031】
モータ2の電流信号のうち低周波成分及びリプル成分の周波数及び振幅は、様々な環境(例えば、モータ2に対する負荷、環境温度、モータ2の電源電圧等)の影響を受ける。そのため、環境が変化すれば、低周波成分及びリプル成分の周波数及び振幅が変化する。
【0032】
リプル抽出装置3は、モータ2の電流信号からリプル成分を抽出して、リプル成分をパルス化し、リプル成分がパルス化されてなるパルス信号をコンピュータ4に出力する。リプル抽出装置3及びリプル抽出装置3を用いたリプル抽出方法について具体的に説明する。
【0033】
図1に示すように、リプル抽出装置3は、電流電圧変換器10、ハイパスフィルタ(High-pass Filter)20、バンドパスフィルタ(Band-pass Filter)30、フィルタ40、差動増幅器50、増幅器60及び波形整形部70を備える。図4は、電流電圧変換器10、ハイパスフィルタ20、バンドパスフィルタ30、フィルタ40と差動増幅器50、増幅器60及び波形整形部70の入力信号及び出力信号を説明するための図である。図4において、電流電圧変換器10、ハイパスフィルタ20及びバンドパスフィルタ30の入力信号と出力信号が示されている期間は、図2における時刻T1から期間P2の初期にかけてである。フィルタ40と差動増幅器50、増幅器60及び波形整形部70の入力信号及び出力信号が示されている期間は、図2における期間P2の一部である。
【0034】
電流電圧変換器10は、モータ2の電流信号を入力する。電流電圧変換器10は、入力したモータ2の電流信号を電圧信号に変換する。具体的には、電流電圧変換器10が抵抗器11を有し、抵抗器11がグランドとモータ2の間に接続され、モータ2の電流信号が抵抗器11とモータ2の間における電圧信号に変換される。電流電圧変換器10は、変換した電圧信号をハイパスフィルタ20及びバンドパスフィルタ30を介してフィルタ40及び差動増幅器50に出力する。なお、電流電圧変換器10は、オペアンプを用いたもの(例えば、負帰還型電流電圧変換器)でもよい。
【0035】
ハイパスフィルタ20は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(電流電圧変換器10の出力信号)を入力する。ハイパスフィルタ20は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(電流電圧変換器10の出力信号)のうち高周波成分を通過させ、低周波成分を減衰させる。つまり、ハイパスフィルタ20は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号のうち直流成分を除去する。ハイパスフィルタ20は、バンドパスフィルタ30を介して、低周波成分が減衰した信号をフィルタ40及び差動増幅器50に出力する。
ハイパスフィルタ20は、オペアンプを用いたもの(例えば、負帰還型ハイパスフィルタ、正帰還型ハイパスフィルタ)又は抵抗器・キャパシタを用いたもの(例えば、CRハイパスフィルタ)である。
【0036】
バンドパスフィルタ30は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号をハイパスフィルタ20を介して入力する。バンドパスフィルタ30は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(ハイパスフィルタ20の出力信号)のうち所定周波数帯域の成分を通過させ、その所定周波数帯域外の成分を減衰させる。つまり、バンドパスフィルタ30は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(ハイパスフィルタ20の出力信号)のうち高周波ノイズ成分を除去するとともに、ハイパスフィルタ20によって除去しきれなかった低周波成分を除去する。バンドパスフィルタ30は、所定周波数帯域外の成分を減衰させた信号をフィルタ40及び差動増幅器50に出力する。
バンドパスフィルタ30は、オペアンプを用いたもの(例えば、多重負帰還型バンドパスフィルタ、多重正帰還型バンドパスフィルタ)又は抵抗器・キャパシタを用いたものである。
【0037】
フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号をハイパスフィルタ20及びバンドパスフィルタ30を介して入力し、その信号を濾波する。フィルタ40は、濾波した信号を差動増幅器50に出力する。
【0038】
図5は、フィルタ40の周波数特性を示したグラフである。
図5に示すように、フィルタ40は、バンドパスフィルタである。フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)のうち、低カットオフ周波数fc1から高カットオフ周波数fc2までの間の中間周波数帯域の成分を通過させる。低カットオフ周波数fc1<高カットオフ周波数fc2である。なお、カットオフ周波数とは、出力電力が入力電力の1/2となる周波数を指す。つまり、ゲインGが−3dbとなる周波数がカットオフ周波数である。
また、フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)のうち、低カットオフ周波数fc1を下回る低周波域の成分を減衰させる。具体的には、低カットオフ周波数fc1を下回る低周波域において、フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより高くなるように、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)の低周波域成分を減衰させる。
また、フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)のうち、高カットオフ周波数fc2を超える高周波域の成分を減衰させる。具体的には、高カットオフ周波数fc2を超える高周波域において、フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより低くなるように、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)の高周波域成分を減衰させる。
【0039】
図2及び図3に示したように、モータ2の電流信号は、リプル成分と、そのリプル成分よりも周波数が低い低周波成分とを重畳したものである。リプル成分の周波数は実験・測定等によって予め調べられ、フィルタ40の回路設計において、温度変化によるリプル成分の周波数の変動も考慮しつつ、フィルタ40の高カットオフ周波数fc2がリプル成分の周波数(例えば、常温時の周波数)よりも低く設定されている。従って、フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)のうちリプル成分を低周波成分(低周波成分はリプル成分よりも周波数が低い。)よりも高い減衰率で減衰させる。つまり、フィルタ40は、リプル成分を低周波成分よりも効率的に除去する。従って、フィルタ40は、リプル成分を除去した信号を差動増幅器50に出力する。
【0040】
差動増幅器50は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号をハイパスフィルタ20及びバンドパスフィルタ30を介して入力するとともに、フィルタ40の出力信号を入力する。差動増幅器50は、入力したフィルタ40の出力信号と、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)の差分を取って、その差分を増幅する。差動増幅器50は、その差分を表す差分信号を増幅器60に出力する。
【0041】
図6は、フィルタ40と差動増幅器50の一例を示した回路図である。図7(a)は図6に示されたA部における電圧信号の波形を示したタイミングチャートであり、図7(b)は図6に示されたB部における電圧信号の波形を示したタイミングチャートであり、図7(c)は図6に示されたC部における電圧信号の波形を示したタイミングチャートである。
【0042】
図6に示すように、フィルタ40は、ハイパスフィルタ41、ローパスフィルタ42及びハイパスフィルタ43を有する。バンドパスフィルタ30の出力がハイパスフィルタ41の入力に接続され、ハイパスフィルタ41の出力がローパスフィルタ42の入力に接続され、ローパスフィルタ42の出力がハイパスフィルタ43の出力に接続される。
【0043】
ハイパスフィルタ41は、二次のCRハイパスフィルタである。つまり、ハイパスフィルタ41は、キャパシタ41a、抵抗器41b、キャパシタ41c及び抵抗器41dを有する。なお、ハイパスフィルタ41が一つのキャパシタ及び抵抗器からなる一次のCRハイパスフィルタであってもよい。また、ハイパスフィルタ41が三次以上のCRハイパスフィルタでもよい。
ローパスフィルタ42は、二次のRCローパスフィルタである。つまり、ローパスフィルタ42は、抵抗器42a、キャパシタ42b、抵抗器42c及びキャパシタ42dを有する。なお、ローパスフィルタ42が一つの抵抗器及びキャパシタからなる一次のRCローパスフィルタであってもよい。また、ローパスフィルタ42が三次以上のRCローパスフィルタでもよい。
ハイパスフィルタ43は、キャパシタ43aからなる。
【0044】
差動増幅器50は抵抗器51,52、オペアンプ53、カップリングコンデンサ54及びバイアス回路55等を有する。オペアンプ53の出力端子が抵抗器52を介してオペアンプ53の反転入力端子に接続され、負帰還がオペアンプ53にかけられている。フィルタ40の出力信号(ハイパスフィルタ43の出力信号)が抵抗器51を介してオペアンプ53の反転入力端子に入力され、バンドパスフィルタ30の出力信号がカップリングコンデンサ54及びバイアス回路55を介してオペアンプ53の非反転入力端子に入力される。カップリングコンデンサ54は、バンドパスフィルタ30の出力信号の直流成分を除去する。バイアス回路55は、電源電圧とグランドの間に直列された抵抗器56,57を有する。バイアス回路55は、カップリングコンデンサ54によって直流成分を除去されたバンドパスフィルタ30の出力信号にバイアス電圧をかけて、バンドパスフィルタ30の出力信号の基準レベルを引き上げる。なお、カップリングコンデンサ54及びバイアス回路55を省略してもよい。
【0045】
差動増幅器50によって出力された差分信号は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号のうちリプル成分である。差動増幅器50によって出力された差分信号が、バンドパスフィルタ30の出力信号とフィルタ40の出力信号との差分を表すからこそ、モータ2の電流信号の各成分の周波数が環境変化によって変化しても、モータ2の電流信号に含まれるリプルを高精度に検出することができる。
【0046】
図1、図6に示すように、増幅器60は、差動増幅器50によって出力された差分信号(オペアンプ53の出力信号)を入力する。増幅器60は、差動増幅器50によって出力された差分信号を増幅して、それを波形整形部70に出力する。増幅器60は、例えば負帰還型増幅器である。
【0047】
波形整形部70は、差動増幅器50によって出力された差分信号(オペアンプ53の出力信号)を増幅器60を介して入力する。波形整形部70は、差動増幅器50によって出力された差分信号(増幅器60の出力信号)の波形を矩形波に整形する。具体的には、波形整形部70がコンパレータを有し、該コンパレータが、差動増幅器50によって出力された差分信号(増幅器60の出力信号)を基準電圧と比較することによって、差動増幅器50によって出力された差分信号(増幅器60の出力信号)をパルス信号に変換する。波形整形部70は、矩形波に整形されたパルス信号をコンピュータ4に出力する。
【0048】
コンピュータ4は、CPU、RAM及びROM等を有する。ROMには、コンピュータ4によって読み取り可能なプログラムが格納されている。RAMは、コンピュータ4に作業領域を提供する。コンピュータ4は、ROMに格納されたプログラムを読み込んでそのプログラムに従った処理を行ったり、そのプログラムによって各種機能を実現したりする。例えば、コンピュータ4は、プログラムによって以下のような手段として機能する。
【0049】
コンピュータ4は、回転向きに関する指令及び起動指令をモータドライバ6に出す起動手段として機能する。コンピュータ4は、波形整形部70の出力信号を入力する入力手段として機能する。コンピュータ4は、波形整形部70の出力信号のパルス数を計数するカウンタとして機能する。コンピュータ4は、波形整形部70の出力信号のパルス間の時間を計測することによってモータ2の回転速度(単位時間当たりの回転数)を算出する速度算出手段として機能する。コンピュータ4は、カウンタにより計数したパルス数に基づきモータ2の回転量(モータ2によって駆動される可動部の移動量や位置に相当する)を算出する回転量算出手段として機能する。コンピュータ4は、計数したパルス数、算出した回転速度又は算出した回転量等に基づいて設定速度を算出し、その設定速度の指令をモータドライバ6に出す速度設定手段として機能する。コンピュータ4は、計数したパルス数、算出した回転速度又は算出した回転量等に基づいて停止タイミングを決定し、その停止タイミングで停止指令をモータドライバ6に出す停止手段として機能する。コンピュータ4は、計数したパルス数、算出した回転速度、算出した回転量、設定速度及び停止タイミング等をRAMに一時記憶したり、記憶部5に記録したりする記録手段として機能する。
【0050】
記憶部5は、不揮発性メモリ、ハードディスクといった読み書き可能な記憶媒体である。
【0051】
モータドライバ6は、コンピュータ4からの指令に従ってモータ2を駆動する。つまり、モータドライバ6は、コンピュータ4から起動指令及び回転向き指令を受けたら、モータ2をその回転向きに起動させる。モータドライバ6は、コンピュータ4から受けた設定速度指令に従ってその設定速度でモータ2を駆動する。モータドライバ6は、コンピュータ4から停止指令を受けたら、モータ2を停止する。
【0052】
図1に示されたモータ制御装置1は、車両用シートに用いられる。その車両用シートは、図1に示されたモータ制御装置1と、図7に示されたシート本体90を備え、シート本体90の可動部がモータ2によって駆動される。なお、シート本体90の可動部の数とモータ2の数が同数であることが好ましく、モータ2の数が複数である場合、モータドライバ6及びリプル抽出装置3がモータ2ごとに設けられ、コンピュータ4及び記憶部5が全てのモータ2に共通している。
【0053】
シート本体90について具体的に説明する。シート本体90はレール91、シートボトム92、バックレスト93、ヘッドレスト94、アームレスト95及びレッグレスト96等を備える。
【0054】
シートボトム92がレール91の上に搭載され、シートボトム92がレール91よって前後方向に移動可能に設けられており、モータ2がシートボトム92を前後方向に駆動する。シートボトム92の前部が昇降可能に設けられ、別のモータ2がシートボトム92の前部を上下方向に駆動する。シートボトム92の後部が昇降可能に設けられ、別のモータ2がシートボトム92の後部を上下方向に駆動する。バックレスト93がリクライニング機構によってシートボトム92の後端部に回転可能に連結され、別のモータ2がバックレスト93をシートボトム92に対して起伏させる。ヘッドレスト94がバックレスト93の上端部に昇降可能・回転可能に連結され、別のモータ2がヘッドレスト94を上下方向に駆動し、更に別のモータ2がヘッドレスト94を前後に起伏させる。アームレスト95がバックレスト93の側面に回転可能に連結され、別のモータ2がアームレスト95を水平状態から垂直状態に及びその逆に駆動する。レッグレスト96がシートボトム92の前端部に回転可能に連結され、別のモータ2がレッグレスト96を跳ね上げ状態から垂下状態又はその逆に駆動する。
【0055】
以上のようなリプル抽出装置3、モータ制御装置1及び車両用シートは次のような効果を生じる。
(1) フィルタ40の回路設計においてフィルタ40の高カットオフ周波数fc2がリプル成分の周波数よりも低く設定されているから、フィルタ40によってリプル成分を除去することができる。
(2) 差動増幅器50が、バンドパスフィルタ30の出力信号(電流電圧変換器10によって変換された電圧信号のうち直流成分及び高周波ノイズ成分等が除去されたもの)と、フィルタ40の出力信号(電流電圧変換器10によって変換された電圧信号のうち直流成分、高周波ノイズ成分及びリプル成分等が除去されたもの)の差分を取って、それを差分信号として出力する。そのため、差動増幅器50の出力信号は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号のうちリプル成分である。差動増幅器50の出力信号が差分信号であるからこそ、モータ2の電流信号の各成分の周波数が環境変化によって変動しても、リプル成分が正確に抽出されて、モータ2の電流信号中のリプルを高精度に検出することができる。
(3) 図5に示す周波数特性のうち、高カットオフ周波数fc2よりも高い領域の傾斜部分を利用したからこそ、リプル成分の周波数が温度変化により変動したものとしても、差動増幅器50の出力信号がリプル成分として正確に抽出される。
(4) フィルタ40の周波数特性を利用して、フィルタ40と差動増幅器50によってリプル成分を抽出したから、フィルタ40にカットオフ周波数可変型フィルタを用いなくても済む。そのため、フィルタ40のコストを削減することができる。
(5) リプル抽出装置3がフィードバック制御回路のような閉ループ回路でないから、モータ2の電流信号の各成分の周波数が過渡的に又は急激に変化したものとしても、リプルを正確に検出することができる。
(6) フィルタ40が抵抗器41b,41d,41a,41c及びキャパシタ41a,41c,41b,41d,43aからなるフィルタであるから、フィルタ40の構成がシンプルであり、フィルタ40のコストアップを抑えることができる。
(7) フィルタ40の周波数特性を利用して、フィルタ40と差動増幅器50によってリプル成分を抽出したから、ハイパスフィルタ20やバンドパスフィルタ30にカットオフ周波数可変型フィルタを用いなくても済む。そのため、ハイパスフィルタ20やバンドパスフィルタ30のコストアップを抑えることができる。
(8) 電流電圧変換器10によって変換された電圧信号のうち直流成分がハイパスフィルタ20によって除去されるから、そのハイパスフィルタ20の後段のバンドパスフィルタ30、フィルタ40及び差動増幅器50の処理が正確に行われる。
(9) 電流電圧変換器10によって変換された電圧信号のうち所定周波数帯域外の成分がバンドパスフィルタ30によって減衰するから、そのバンドパスフィルタ30の後段のフィルタ40や差動増幅器50の処理が正確に行われる。
【0056】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
【0057】
〔変形例1〕
フィルタ40の回路設計において、温度変化によるリプル成分の周波数の変動も考慮しつつ、図5に示すフィルタ40の低カットオフ周波数fc1がリプル成分の周波数(例えば、常温時の周波数)よりも高く設定されている。従って、フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)のうちリプル成分を高周波成分(高周波成分はリプル成分よりも周波数が高い。)よりも高い減衰率で減衰させる。つまり、フィルタ40は、リプル成分を高周波成分よりも効率的に除去する。従って、フィルタ40は、リプル成分を除去した信号を差動増幅器50に出力する。
【0058】
この場合、モータ2の電流信号やフィルタ40及び差動増幅器50の入力信号は、リプル成分と、そのリプル成分よりも周波数が高い高周波成分とを重畳したものである。
【0059】
〔変形例2〕
フィルタ40がバンドパスフィルタではなく、図9に示すような周波数特性を有したローパスフィルタであってもよい。フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)のうちカットオフ周波数fc3以下の成分を通過させ、カットオフ周波数fc3を超える成分を減衰させる。具体的には、カットオフ周波数fc3を超える高周波域において、フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより低くなるように、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)を減衰させる。
【0060】
フィルタ40の回路設計において、温度変化によるリプル成分の周波数の変動も考慮しつつ、図9に示すフィルタ40のカットオフ周波数fc3がリプル成分の周波数(例えば、常温時の周波数)よりも低く設定されている。従って、フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)のうちリプル成分を低周波成分(低周波成分はリプル成分よりも周波数が低い。)よりも高い減衰率で減衰させる。つまり、フィルタ40は、リプル成分を低周波成分よりも効率的に除去する。従って、フィルタ40は、リプル成分を除去した信号を差動増幅器50に出力する。
【0061】
この場合、モータ2の電流信号やフィルタ40及び差動増幅器50の入力信号は、リプル成分と、そのリプル成分よりも周波数が低い低周波成分とを重畳したものである。
【0062】
フィルタ40がローパスフィルタである場合、図6に示すハイパスフィルタ41,43が省略され、バンドパスフィルタ30の出力がローパスフィルタ42の入力に接続され、ローパスフィルタ42の出力が抵抗器51を介してオペアンプ53の反転入力端子に接続される。
【0063】
〔変形例3〕
フィルタ40がバンドパスフィルタではなく、図10に示すような周波数特性を有したハイパスフィルタであってもよい。フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)のうちカットオフ周波数fc4以上の成分を通過させ、カットオフ周波数fc4を下回る成分を減衰させる。具体的には、カットオフ周波数fc4を下回る低周波域において、フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより高くなるように、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)を減衰させる。
【0064】
フィルタ40の回路設計において、温度変化によるリプル成分の周波数の変動も考慮しつつ、図10に示すフィルタ40のカットオフ周波数fc4がリプル成分の周波数(例えば、常温時の周波数)よりも高く設定されている。従って、フィルタ40は、電流電圧変換器10によって変換された電圧信号(バンドパスフィルタ30の出力信号)のうちリプル成分を高周波成分(高周波成分はリプル成分よりも周波数が高い。)よりも高い減衰率で減衰させる。つまり、フィルタ40は、リプル成分を高周波成分よりも効率的に除去する。従って、フィルタ40は、リプル成分を除去した信号を差動増幅器50に出力する。
【0065】
フィルタ40がハイパスフィルタである場合、図6に示すローパスフィルタ42が省略され、バンドパスフィルタ30の出力がハイパスフィルタ41の入力に接続されている。
【0066】
〔変形例4〕
フィルタ40がバンドパスフィルタではなく、バンドストップフィルタであってもよい。
【0067】
〔変形例5〕
ハイパスフィルタ20とバンドパスフィルタ30の一方又は両方を省略してもよい。ハイパスフィルタ20を省略した場合には、電流電圧変換器10の出力がバンドパスフィルタ30の入力に接続される。バンドパスフィルタ30を省略した場合には、ハイパスフィルタ20の出力がフィルタ40の入力及び差動増幅器50の入力に接続される。ハイパスフィルタ20とバンドパスフィルタ30の両方が省略されている場合には、電流電圧変換器10の出力がフィルタ40の入力及び差動増幅器50の入力に接続される。
【0068】
〔変形例6〕
モータ制御装置1が電動ドアミラー装置に組み込まれ、電動ドアミラー装置の可動部(例えば、ドアに対してミラーハウジングの格納及び展開をする格納機構、ミラーハウジングに対してミラーを上下に振るチルト機構、ミラーハウジングに対してミラーを左右に振るパン機構)がモータ制御装置1のモータ2によって駆動されてもよい。モータ制御装置1がパワーウィンドウ装置に組み込まれ、パワーウィンドウ装置の可動部(例えば、ウィンドウレギュレター)がモータ2によって駆動されてもよい。
【0069】
〔変形例7〕
フィルタ40がオペアンプを用いたもの(例えば、負帰還型ローパスフィルタ、正帰還型ローパスフィルタ、多重負帰還型バンドパスフィルタ、多重正帰還型バンドパスフィルタ)でもよい。
【0070】
〔変形例8〕
上述の実施の形態では、波形整形部70が差動増幅器50によって出力された差分信号をパルス信号に変換したから、波形整形部70が1ビットのADコンバータである。それに対して、波形整形部70の分解能が2ビット以上であり、波形整形部70が差動増幅器50によって出力された差分信号をデジタル信号に変換してもよい。
【符号の説明】
【0071】
2 モータ
3 リプル抽出装置
4 コンピュータ
10 電流電圧変換器
20 ハイパスフィルタ
30 バンドパスフィルタ
40 フィルタ
50 差動増幅器
60 増幅器
70 波形整形部
90 シート本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの電流信号に含まれるリプル成分を抽出するリプル抽出装置であって、
前記モータの電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換器と、
前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を濾波するフィルタと、
前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号と、前記フィルタの出力信号との差分を取る差動増幅器と、を備えるリプル抽出装置。
【請求項2】
前記フィルタが前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号のうちリプル成分を減衰させる、請求項1のリプル抽出装置。
【請求項3】
前記フィルタは、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより低くなるように、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を減衰させるローパスフィルタである、請求項1又は2に記載のリプル抽出装置。
【請求項4】
前記フィルタのカットオフ周波数が前記リプル成分の周波数よりも低く設定された、請求項3に記載のリプル抽出装置。
【請求項5】
前記フィルタは、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより高くなるように、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を減衰させるハイパスフィルタである、請求項1又は2に記載のリプル抽出装置。
【請求項6】
前記フィルタのカットオフ周波数が前記リプル成分の周波数よりも高く設定された、請求項5に記載のリプル抽出装置。
【請求項7】
前記フィルタは、低カットオフ周波数を下回る低周波域において前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより高くなるように、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を減衰させ、前記低カットオフ周波数よりも高い高カットオフ周波数を超える高周波域において前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号に含まれる成分の周波数が低いほど減衰率がより低くなるように、前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を減衰させ、前記低カットオフ周波数と前記高カットオフ周波数の間の周波数帯域において前記電流電圧変換器によって変換された電圧信号を通過させるバンドパスフィルタである、請求項1又は2に記載のリプル抽出装置。
【請求項8】
前記フィルタの前記低カットオフ周波数が前記リプル成分の周波数よりも高く設定された、請求項7に記載のリプル抽出装置。
【請求項9】
前記フィルタの前記高カットオフ周波数が前記リプル成分の周波数よりも低く設定された、請求項7に記載のリプル抽出装置。
【請求項10】
前記フィルタが一又は複数の抵抗器及びキャパシタからなるフィルタである、請求項1から9の何れか一項に記載のリプル抽出装置。
【請求項11】
可動部を有するシート本体と、
請求項1から10の何れか一項に記載のリプル抽出装置と、
前記モータと、を備え、
前記可動部が前記モータによって駆動される、車両用シート。
【請求項12】
モータの電流信号に含まれるリプルを抽出するリプル抽出方法であって、
前記モータの電流信号を電圧信号に変換し、
前記変換された電圧信号を濾波し、
前記変換された電圧信号と、前記濾波された電圧信号との差分を取る、リプル抽出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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