説明

リベット材取付作業管理システム

【課題】 リベット材を取り付け状態の適否は勿論のこと、リベット材の種類やサイズの間違い等といった詳細な内容までも把握することのできるリベット材取付作業管理システムを提供する。
【解決手段】 リベッターに取り付けられ、直動又は回転する移動体の移動量が所定の単位移動量になる度に、移動体が単位移動量移動したことを検知するセンサーと、センサーの検知が起因して移動体が単位移動量移動するのに要する移動時間を測定するタイマーと、単位移動量とタイマーの測定結果とを基に、単位移動量移動と対応するセンサーの検知間隔のそれぞれでの移動体の移動速度を算出する演算手段と、標準のリベットを母材に取り付ける際に移動体が単位移動量ずつ移動することになる移動間隔毎に移動体の基準速度が設定されたテーブルを記憶した記憶手段と、演算手段の算出結果とテーブル上の基準速度とを比較してリベットの取り付け状態を判断する判断手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、母材に取り付けられるリベットの取り付け状態を把握するためのリベット材取付作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、市場に提供する製品の品質のバラツキを把握したり、材料の消費等を管理したりするための作業管理システムとして種々のものが提供されており、その一つとして、リベット材の取付作業を対象としたリベット材取付作業管理システムが提供されている。
【0003】
かかるリベット材取付作業管理システムには、かしめ処理される筒状のリベットに対して一端部に大径部の形成された軸状の引抜ピンが挿通され、該引抜ピンを他端側に引っ張ることで大径部がリベットを径方向に拡大させるように構成されたリベット材を用いて作業を行うことを前提に、該リベット材を母材に取り付ける際に用いるリベッターの動作状態を把握するように構成されている。
【0004】
具体的に説明すると、リベット材取付作業管理システムが前提とするリベッターは、リベット材の引抜ピンを挟持可能に構成されたジョーと、引抜ピンを挟持したジョーを引抜ピンの軸線方向に移動させる作動機構とを備えている。
【0005】
そして、前記リベット材取付作業管理システムは、引抜ピンに対する引っ張り力や、ジョー(又は、作動機構)の位置、引抜ピンを引っ張る際の負荷、作動機構の動作時間等を基に、リベット材の取り付け作業が適正になされたかを判断するようになっている。すなわち、前記リベット材取付作業管理システムには、積分器を用いて引抜ピンに対する引っ張り力と作動機構の変位からリベットの取り付けに要した全エネルギーを算出し、その算出結果と予め設定された適正値(基準値)とを比較することでリベットの取り付け状態の適否を判断するようにしたもの(例えば、特許文献1参照)や、引抜ピンを対する引っ張り力、ジョー等の位置、リベットの取り付け開始からの時間等を測定し、その測定結果と予め記憶された所望曲線とを比較することで、リベット材の取り付け状態の適否を判断するようにしたもの(例えば、特許文献2参照)等がある。
【0006】
これらのリベット材取付作業管理システムは、リベットを母材に取り付ける度にその取り付け状態の適否を判断するようになっており、例えば、リベットの取り付け状態(リベットのかしまり具合)や、製品量産時におけるリベット材の取付作業のミスの発生量(率)等を把握できるようになっている。
【特許文献1】特許第3895800号公報
【特許文献2】特表2005−514210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記構成のリベット材取付作業管理システムの何れも、単一のリベットを取り付ける作業過程における全エネルギーや、引っ張り力の変化、位置情報の変化等を基に、リベット材の取り付けの適否を判断するようになっているため、単一のリベット材の取り付けに関する不具合を詳細に把握できないといった問題がある。すなわち、上記各リベット材取付作業管理システムは、リベットの取り付け過程全体を対象に適否の判断を行うように構成されているため、不具合が発生したときの詳細な情報(ピンを引き抜く過程の何れのタイミングで不具合が発生したのか、誤って異なるサイズ或いはタイプのリベットが用いられたのか等といった情報)を適確に把握することができず、作業管理する上で不十分なものであった。
【0008】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、リベット材の取り付け状態の適否は勿論のこと、リベット材の種類やサイズの間違い等といった詳細な内容までも把握することのできるリベット材取付作業管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るリベット材取付作業管理システムは、リベットに挿通された引抜ピンを挟持可能に構成されたジョーと、該ジョーに引抜ピンを挟持させるとともに、該ジョーを引抜ピンの軸線方向に移動させる作動機構とを備え、作動機構がジョーの軸線方向の移動と連動して直動又は回転する移動体を備えたリベッターを用いて母材に対するリベットの取付作業を行うことを前提に、リベットの取り付け状態を把握するためのリベット材取付作業管理システムであって、リベッターに取り付けられ、直動又は回転する移動体の移動量が所定の単位移動量になる度に、移動体が単位移動量移動したことを検知するセンサーと、センサーの検知が起因して移動体が単位移動量移動するのに要する移動時間を測定するタイマーと、単位移動量とタイマーの測定結果とを基に、単位移動量と対応するセンサーの検知間隔のそれぞれでの移動体の移動速度を算出する演算手段と、標準のリベットを母材に取り付ける際に移動体が単位移動量ずつ移動することになる移動間隔毎に移動体の基準速度が設定されたテーブルを記憶した記憶手段と、演算手段の算出結果とテーブル上の基準速度とを比較してリベットの取り付け状態を判断する判断手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
上記構成のリベット材取付作業管理システムは、リベッターに取り付けられ、直動又は回転する移動体の移動量が所定の単位移動量になる度に、移動体が単位移動量移動したことを検知するセンサーと、センサーの検知が起因して移動体が単位移動量移動するのに要する移動時間を測定するタイマーと、単位移動量とタイマーの測定結果とを基に、単位移動量移動と対応するセンサーの検知間隔のそれぞれでの移動体の移動速度を算出する演算手段とを備えているので、直動又は回転に伴って移動体が移動する移動量が所定の単位移動量毎に細分化され、その細分化された単位移動量(センサーの検知間隔)毎の移動体の移動速度を求めることができる。すなわち、移動体の移動速度を微分的に算出することができる。
【0011】
そして、上記構成のリベット材取付作業管理システムは、標準のリベットを母材に取り付ける際に移動体が単位移動量ずつ移動することになる移動間隔毎に移動体の基準速度が設定されたテーブルを記憶した記憶手段と、演算手段の算出結果とテーブル上の基準速度とを比較してリベットの取り付け状態を判断する判断手段とを備えているので、リベットの取り付け状態の適否や、リベットのサイズや種類の間違い等を適確に把握することができる。
【0012】
すなわち、作業に用いられる同一対象のリベットは、品質や変形特性が一定又は略一定になるように製造されるため、サイズや種類を間違えることなくリベットが適正に取り付けられた場合には、実作業によって得られるデータを基に演算手段で算出された単位移動量毎の移動体の移動速度と、テーブルに設定された移動間隔毎の移動体の基準速度とが完全に或いは略完全に一致した状態になる一方で、リベットのサイズや種類を間違えたり、リベットが適正に取り付けられなかったりした場合には、算出された移動体の移動速度(センサーの検知間隔の何れかでの移動体の移動速度)がテーブル上の基準速度と不一致になる。
【0013】
そして、この算出された移動速度と基準速度とが不一致になるセンサーの検知間隔が何れであるか、或いは、何れの組み合わせであるかにより、リベットが母材に対する取付作業に用いられなかった(いわゆる、空打ちされた)旨や、リベットの取り付けの不具合の状態を把握できる上に、使用されたリベットのサイズや種類までも把握することができる。
【0014】
本発明の一態様として、前記単位移動量は、前記リベッターで母材に対して取付可能なリベットのうち、軸線方向の長さが最短のリベットを適正にかしめるのに必要な移動体の移動量の0.1%〜10%に設定されていることが好ましい。このようにすれば、移動体の移動量が微小に細分化されることになり、単位移動量(センサーの検知間隔)毎に求められる移動体の移動速度が瞬時の速度となる結果、判断手段の判断に用いる情報が多くなって判断精度をよりいっそう高めることができる。
【0015】
本発明に係るリベット材取付作業管理システムは、リベットに挿通された引抜ピンを挟持可能に構成されたジョーと、該ジョーに引抜ピンを挟持させるとともに、該ジョーを引抜ピンの軸線方向に移動させる作動機構とを備え、作動機構がジョーの軸線方向の移動と連動して直線移動又は回転移動する移動体を備えたリベッターを用いて母材に対するリベットの取付作業を行うことを前提に、リベットの取り付け状態を把握するためのリベット材取付作業管理システムであって、所定の単位時間を繰り返し測定するタイマーと、リベッターに取り付けられ、タイマーの測定が単位時間になる度に、直動又は回転する移動体の位置を検知するセンサーと、センサーの検知結果から得られる移動体の移動量と単位時間とを基に移動体の移動速度を単位時間毎に算出する演算手段と、標準のリベットを母材に取り付ける際の移動体の基準速度が単位時間毎に設定されたテーブルを記憶した記憶手段と、演算手段による算出結果とテーブル上の基準速度とを比較してリベットの取り付け状態を判断する判断手段とを備えていることを特徴とする。
【0016】
上記構成のリベット材取付作業管理システムは、所定の単位時間を繰り返し測定するタイマーと、リベッターに取り付けられ、タイマーの測定が単位時間になる度に、直動又は回転する移動体の位置を検知するセンサーと、センサーの検知結果から得られる移動体の移動量と単位時間とを基に移動体の移動速度を単位時間毎に算出する演算手段とを備えているので、直動又は回転に伴って移動体が移動するときの移動時間が単位時間毎に細分化され、その細分化された単位時間毎の移動体の移動速度を求めることができる。すなわち、移動体の移動速度を微分的に算出することができる。
【0017】
そして、上記構成のリベット材取付作業管理システムは、標準のリベットを母材に取り付ける際の移動体の基準速度が単位時間毎に設定されたテーブルを記憶した記憶手段と、演算手段による算出結果とテーブル上の基準速度とを比較してリベットの取り付け状態を判断する判断手段とを備えているので、リベットの取り付け状態の適否や、リベットのサイズや種類の間違い等を適確に把握することができる。
【0018】
すなわち、作業に用いられる同一対象のリベットは、品質や変形特性が一定又は略一定になるように製造されるため、サイズや種類を間違えることなくリベットが適正に取り付けられた場合には、実作業によって得られるデータを基に演算手段で算出された単位時間毎の移動体の移動速度と、テーブルに設定された単位時間毎の移動体の基準速度とが完全に或いは略完全に一致した状態になる一方で、リベットのサイズや種類を間違えたり、リベットが適正に取り付けられなかったりした場合には、算出された移動体の移動速度(単位時間の何れかでの移動体の移動速度)がテーブル上の基準速度と不一致になる。
【0019】
そして、この算出された移動速度と基準速度とが不一致になる単位時間が何れであるか、或いは、何れの組み合わせであるかにより、リベットが母材に対する取付作業に用いられなかった(いわゆる、空打ちされた)旨や、リベットの取り付けの不具合の状態を把握できる上に、使用されたリベットのサイズや種類までも把握することができる。
【0020】
本発明の一態様として、前記単位時間は、前記リベッターで母材に対して取付可能なリベットのうち、軸線方向の長さが最短のリベットを適正にかしめるのに必要な移動体の移動時間の0.1%〜10%に設定されていることが好ましい。このようにすれば、移動体の移動時間が微小に細分化されることになり、単位時間毎に求められる移動体の移動速度が瞬時の速度となる結果、判断手段の判断に用いる情報が多くなって判断精度をよりいっそう高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係るリベット材取付作業管理システムによれば、リベット材の取り付け状態の適否は勿論のこと、リベット材の種類やサイズの間違い等といった詳細な内容までも把握することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の第一実施形態に係るリベット材取付作業管理システム(以下、単に作業管理システムという)について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0023】
まず、本実施形態にかかる作業管理システムの前提となるリベット材及び該リベット材を対象とするリベッターについて概略説明する。
【0024】
前記リベット材は、図1(a)に示す如く、鋼板等の母材を締結するためのリベットRと、リベットRに挿通された引抜ピンPとで構成されている。前記リベットRは、筒状に形成されており、一端部に大径の鍔部Bが形成されている。前記引抜ピンPは、前記リベットRに挿通される棒材で、一端部に大径部Hが形成されるとともに、該大径部Hから所定距離おいた外周に切断溝Dが形成されている。そして、該引抜ピンPは、大径部HをリベットRの他端側に位置させてリベットRに挿通され、後述するジョー10に狭持される他端側をリベットRの鍔部Bから外側に延出させている。
【0025】
上記構成のリベット材Aは、図1(b)に示す如く、板材等の母材Mに穿設した穴にリベットRを他端側から挿入した状態で、引抜ピンPに軸線方向の引っ張り力を作用させると、該引抜ピンPの大径部HがリベットRの他端部を変形させ(かしめさせ)、かしめられた部分(径方向に拡大変形した部分)と鍔部Bとで母材Mを挟み込むことで母材M,M同士を締結するようになっている。そして、該リベット材Aは、上述の如く引抜ピンPに引っ張り力を作用させ、リベットRの他端部がかしめられると、切断溝Dで引抜ピンPが破断して該引抜ピンPがリベットRから引き抜かれるようになっている。
【0026】
上記構成のリベット材Aを対象とするリベッターは、図2に示す如く、リベットRに挿通された引抜ピンPを挟持可能に構成されたジョー10と、該ジョー10に引抜ピンPを挟持させるとともに、該ジョー10を引抜ピンPの軸線方向に移動させる作動機構11とを備えている。
【0027】
前記ジョー10は、栽頭円錐体を軸線に沿って二分割した態様をなす一対の分割体10a,10bで構成され、該一対の分割体10a,10bの各対向面には、リベットRの引抜ピンPを挟み込むための溝(採番しない)が両分割体10a,10bを組み合わせたときの軸線(裁頭円錐体となるときの軸線)に沿うように形成されており、その溝の内周面には、滑り止めが施されている。
【0028】
本実施形態に係る作動機構11は、ジョー10が先端部に内装された筒状のジョーケース110と、ジョー10が狭持した引抜ピンPの軸線方向にジョーケース110を移動させる油圧機構120とを備えている。
【0029】
前記ジョーケース110は、ジョー10を内装する先端部の内周面が先端側ほど先細りしたテーパー状に形成された筒状体で構成されている。
【0030】
そして、前記一対の分割体10a,10b(ジョー10)は、ジョーケース110の先端部に形成されるテーパー状の内周面にテーパー状の外周面が摺動できるように内装され、ジョーケース110に略同心で内装されるとともにコイルバネ(採番しない。)で付勢された付勢補助筒体111を介してジョーケース110の先端に向けて付勢されている。これにより、ジョーケース110の内周面に沿って移動することで、一対の分割体10a,10bが開閉した態様、すなわち、引抜ピンPの挿入を許容した状態と、挿入された引抜ピンPをジョーケース110と略同心で狭持する状態とに切り換わるようになっている。
【0031】
このようにジョー10が内装されたジョーケース110は、筒状のハウジング112に略同心で内挿されており、油圧機構120の作動で軸線方向(ジョー10に狭持された引抜ピンPの軸線方向)に移動できるようになっている。
【0032】
前記ハウジング112は、内装されたジョーケース110の先端側の内周面が先端に向けて先細りしてテーパー状に形成された筒体であり、その先端開口にはノズル113が取り付けられている。該ノズル113は、引抜ピンPを遊嵌する貫通穴114がハウジング112と同心で穿孔されている。また、ノズル113は、ハウジング112に取り付けた状態でハウジング112内部に突出するように形状設定され、ジョーケース110の先端がハウジング112の先端と接触状態にあるときに、ジョーケース110内のジョー10の先端部が当接する、すなわち、ジョー10をジョーケース110の後端側に押すようになっている。
【0033】
これにより、本実施形態に係るリベッター1は、ジョー10(一対の分割体10a,10b)がノズル113に当接すると、一対の分割体10a,10bが互いに離間してリベット材Aの引抜ピンPの挿入を許容した状態になる一方で、ジョーケース110が後端側に向けて(ノズル113とは反対側に向けて軸線方向に)移動することで、ジョー10の先端部とノズル113とが離間して、一対の分割体10a,10bがバネ付勢によって互いに接近してジョー10に挿入された引抜ピンPを狭持するようになっている。
【0034】
前記油圧機構120は、筒状の第一シリンダ部121と、該第一シリンダ部121内に軸線方向で移動可能に設けられた第一ピストン122と、第一シリンダ部121と略同心で前記第一ピストン122に連結されるとともに、先端がジョーケース110に間接的に連結された第一ピストンロッド123とを備えている。
【0035】
第一シリンダ部121は、一端側をジョーケース110側にして横臥状態で形成され、リベッター1の外装をも構成している。該第一シリンダ部121の一端側には、ハウジング112が連設され、他端側には、切断溝Cで破断した引抜ピンPを回収するためのバキューム機構140が接続されている。
【0036】
第一ピストンロッド123は、第一シリンダ部121の一端部から延出しており、第一シリンダ部121の一端部と第一ピストン122との間に作動油を供給することで、第一ピストンロッド123が軸線(所定の軸線)上の一方向(ジョーケース110を引っ張る方向)に移動するようになっている。該油圧機構120は、第一ピストン122と第一シリンダ部121の他端部と間にコイルバネ(採番しない)が介装されており、第一ピストン122を第一シリンダ部121の一端側に向けて付勢するように構成されている。すなわち、第一シリンダ部121内の作動油が排出される(後述するオイルタンクに戻る)と、コイルバネの付勢力で第一ピストン122を第一シリンダ部121の一端側に移動させ、ジョーケース110をノズル113側に移動させるようになっている。
【0037】
本実施形態に係るリベッター1は、油圧機構120への作動油の供給を圧縮空気の供給で行うように構成されている。すなわち、該リベッター1は、油圧機構120に供給するための作動油を貯留するオイルタンク124と、オイルタンク124内の作動油を油圧機構120に供給するためのエアーシリンダ125とを備えている。
【0038】
オイルタンク124は、第一シリンダ部121の一端側内部に連通しており、横臥状態にある第一シリンダ部121から下方に向けて延びるように形成されている。本実施形態に係るオイルタンク124は、該リベッター1を取り扱う作業者が把持するためのハンドル部126内部に形成されている。オイルタンク124は、作動油を貯留するための空間が上下方向に延びる円柱状に形成されており、後述する第二ピストンロッド129がシール性を担保しつつ略同心で長手方向に進退できるようになっている。
【0039】
エアーシリンダ125は、ハンドル部126の下端に接続された筒状の第二シリンダ部127と、第二シリンダ部127内で軸線方向に移動可能に設けられた第二ピストン128と、第二シリンダ部127と略同心で第二ピストン128に連結されるとともに、先端側がオイルタンク124内に延出した第二ピストンロッド129とを備えている。該エアーシリンダ125には、別途設けられたエアーコンプレッサー(図示しない)に接続されたエアーホース(図示しない)を接続する接続ポート(図示しない)が設けられている。接続ポートは、流路切換弁130を介して第二シリンダ部127に流体的に接続されている。
【0040】
上記構成のリベッター1は、作業者がトリガースイッチSを引き操作すると、第二シリンダ部127の一端側に圧縮空気が供給されるようになっており、該圧縮空気で第二ピストン128を第二シリンダ部127の他端側に移動させることで、該第二ピストン128の移動に伴って前進する第二ピストンロッド129がオイルタンク124内の作動油を押して第一シリンダ部121内に流入させるようになっている。そして、該リベッター1は、第一シリンダ部121に対して流入した作動油が第一ピストン122を押すことで、ジョーケース110の連結された第一ピストンロッド123を軸線の一方向に移動させるようになっている。これにより、該リベッター1は、作業者がトリガースイッチSを引き操作したときに、後端側を先頭にジョーケース110を移動し、該ジョーケース110の先端部に内装されたジョー10がリベット材Aの引抜ピンPを引っ張って、該引抜ピンPを切断溝Cで破断させて引き抜くようになっている。
【0041】
その一方で、該リベッター1は、作業者がトリガースイッチSの引き操作を解除すると、第二シリンダ部127内部の空気を外部に排出できるように、流路切換弁130が第二シリンダ部127を開放するようになっており、該第二シリンダ部127内部の開放に伴って第一ピストン122がコイルバネの付勢で移動するようになっている。すなわち、第二シリンダ部122が開放されることで第二ピストン128と該第二ピストンロッド128に連結された第二ピストンロッド129との移動が許容されるため、コイルバネの付勢された第一ピストン122が第一シリンダ部121内の作動油をオイルタンク124に押し戻しつつ移動し、これに伴って、ジョーケース110の連結された第一ピストンロッド123も軸線の他方向に移動するようになっている。これにより、上記構成のリベッター1は、作業者がトリガースイッチSの引き操作を解除したときに、先端側を先頭にしてジョーケース110が移動し、該ジョーケース110の先端部に内装されたジョー10が引抜ピンPの挿入を許容した状態になる(復帰する)ようになっている。
【0042】
そして、本実施形態に係るリベッター1は、作業管理システムに採用されることを前提に、直動又は回転する移動体(本実施形態においてはジョーケース110)の移動量が所定の単位移動量になる度に、移動体110が単位移動量移動したことを検知するセンサー2が取り付けられている。
【0043】
前記センサー2には、例えば、絶対位置を測定するアブソリュート式のセンサー、或いは、パルスを積算して相対位置を求めるインクリメンタル式のセンサーを採用することが可能であり、本実施形態においては、インクリメンタル式のセンサーを採用している。
【0044】
インクリメンタル式のセンサーには、光学式・磁気式のものがあり、何れも相対移動する何れか一方にエッチングや磁化によって微小な目盛が付され、各目盛りを検出して移動距離を求めるようになっている。本実施形態においては、装置内部で移動するジョーケース110の位置を検知するために、ジョーケース110に対して該ジョーケース110の移動方向に間隔をあけた目盛り(図示しない)を付して、電気的な信号を出力とするセンサー2をハウジング112に固定するようにしている。
【0045】
なお、本実施形態に係るリベッター1は、油圧機構120で駆動するように構成されているため、前記センサー2は、油圧機構120を躱すべく、ジョーケース110の内装されたハウジング112に取り付けられている。また、ジョーケース110やハウジング112が金属製であることから、本実施形態のセンサー2には、光学式のものを採用している。なお、目盛りを付す領域やセンサー2近傍に対して非磁性処理すれば磁気式のセンサーを採用することも可能である。
【0046】
前記センサー2が移動体110の移動量(位置)を検知する基準となる単位移動量は、小さいほど好ましく、前記リベッター1で母材Mに対して取付可能なリベットR(リベット材A)のうち、軸線方向の長さが最短のリベットRを適正にかしめるのに必要な移動体110の移動量の0.1%〜10%に設定される。すなわち、リベッター1は、サイズや長さ、材質等を異にする複数種類のリベットRをかしめ処理できるため、前記単位移動量は、かしめ処理できる複数種類のリベットRのうちの軸線方向の長さが最短のリベットRを塑性変形させる実際の仕事を行うときの移動体110の移動量の0.1%〜10%に設定される。換言すれば、単位移動量は、引抜ピンPに対する引っ張り(リベットRに対する圧縮)が生じてリベットRが変形し始めた時点から引抜ピンPを切断溝Cで破断させるのに必要な移動体110の移動量の0.1%〜10%に設定される。
【0047】
例えば、軸線方向の長さが最短のリベットRを適正にかしめ処理するのに必要な移動体110の移動量が5mm程度である場合、単位移動量は、5μm〜0.5mm(好ましくは、最小値の5μm)に設定される。従って、センサー2は、単位移動量が5μmに設定された場合、移動体110が5μmずつ移動する度に、移動体110を単位移動量(5μm)移動したことを検知するようになる。すなわち、センサー2が検知する目盛り(ジョーケース110に付された目盛り)は5μm毎に付され、ハウジング112に取り付けられたセンサー2が各目盛り(5μm毎の目盛り)を順々に検知し、移動体としてのジョーケース110の位置(移動量)が把握される。
【0048】
なお、本実施形態に係るリベッター1は、ジョー10の軸線方向の移動と連動して直動する移動体として、移動量がジョー10の一対一の関係にあるジョーケース110を採用しているため、最短のリベットを適正な状態にかしめ処理するのに必要な移動体の移動量(単位移動量の基準となる移動体の移動量)は、リベットを適正にかしめるのにジョー10が移動する実際の距離と一致するが、例えば、移動体110が作動機構11内の一構成であって、移動量がジョー10の移動量と一対一の関係でなく比例的になるものである場合、単位移動量の基準となる移動体の移動量は、ジョー10の移動量と対応した比例的な値となる。
【0049】
本実施形態に係る作業管理システムは、上記リベッター1を用いてリベットR(リベット材A)の取り付け作業を行うことを前提に、リベットRの変形過程と、リベットRをかしめ処理する際の引抜ピンPを挟持するジョー10の移動と関連する移動体110の各位置での移動速度とが対応関係にあることに着目したものである。
【0050】
具体的に説明すると、本実施形態に係る作業管理システムは、図3及び図4に示す如く、リベッター1に取り付けられた前記センサー2と、センサー2の検知が起因して移動体110が単位移動量移動するのに要する移動時間を測定するタイマー3と、単位移動量とタイマー3の測定結果とを基に、単位移動量と対応するセンサー2の検知間隔のそれぞれでの移動体110の移動速度を算出する演算手段4と、標準のリベットRを母材Mに取り付ける際に移動体110が単位移動量ずつ移動することになる移動間隔P1,P2,P3…毎に移動体110の基準速度V1,V2,V3…が設定されたテーブル50(図5(a)参照)を記憶した記憶手段5と、演算手段4の算出結果V1’,V2’,V3’…とテーブル50上の基準速度V1,V2,V3…とを比較し(図6(a)参照)、リベットRの取り付け状態を判断する判断手段6とを備えている。
【0051】
前記タイマー3、演算手段4、記憶手段5、及び判断手段6は、制御装置7によって一体的に構成されている。すなわち、本実施形態に係る制御装置7は、図4に示す如く、CPU70に対してROM71やRAM72、ハードディスクドライブ73等の記憶手段5、DVD、CD等のメディアに対してデータの読み書きを行うメディアドライブ74、キーボード75やマウス76等の入力手段77、モニタ78等がバスラインLを介して接続されたパーソナルコンピュータで構成されている。
【0052】
制御装置7には、バスラインLを介してリベッター1(センサー2)が接続されており、刻々と位置変更する移動体110が単位移動量ずつ移動して各位置を通過している旨(単位移動量ずつ移動した移動体110の位置情報)が入力されるようになっている。本実施形態に係る作業管理システムは、単一の制御装置7に対して複数のリベッター1(センサー2)が接続されており、これらのリベッター1による作業を一括管理できるようになっている。
【0053】
そして、制御装置7は、移動体110の単位移動量となるセンサー2の検知間隔のそれぞれに対応する移動体110の移動速度の算出や、算出結果とテーブル50の内容とを比較して作業状態の適否を判断するためのプログラムがインストールされており、これらの処理をCPU70で実行するようになっている。
【0054】
そして、前記タイマー3は、CPU70等と別個に設けてバスラインLに接続してもよいが、本実施形態においては、CPU70がクロック周波数を基にしたタイマー3として機能するようになっている。また、テーブル50やプログラムを記憶させる記憶手段5は、ROM71や、RAM72、ハードディスクドライブ73の何れかを採用すればよく、本実施形態においては、ハードディスクドライブ73を記憶手段5として採用している。なお、本実施形態において、前記テーブル50は、プログラムと一体化されている。
【0055】
そして、上述の如く、制御装置7(演算手段4)によって算出される移動体110が単位移動量ずつ移動する際の移動速度V1’,V2’,V3’…は、センサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…における移動体110の平均移動速度であるが、センサー2の検知間隔(単位移動量)P1’,P2’,P3’…を極力小さくすることで、各単位移動量P1’,P2’,P3’…での移動速度V1’,V2’,V3’…は、移動体110の全体移動量から見て微分的な速度、すなわち、連続して移動する移動体110のある位置での瞬間的な速度に匹敵することになる。これにより、移動体110の移動速度を各状況(移動体110の移動状態)に応じて正確に導くことができる。
【0056】
前記テーブル50に設定される基準速度V1,V2,V3は、品質や強度が標準的なリベットRの取り付け作業を行ったり、材料力学的に算出したりすることで予め得られた基準値であり、図5(a)に示す如く、標準的なリベットR(基準となるリベットR)を取り付けるときに移動体110が単位移動量ずつ移動することになる移動間隔P1,P2,P3…(センサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…と対応関係にある間隔)のそれぞれに対応するようにテーブル50上に設定されている。
【0057】
そして、テーブル50の内容をグラフ化すると、図5(b)に示すように移動間隔P1,P2,P3…単位で設定される基準速度V1,V2,V3…が連続的な線Lとなる。すなわち、図5(a)に示す如く、移動体110の微小な移動間隔P1,P2,P3…のそれぞれに対して基準速度(基準となる移動速度)V1,V2,V3…が設定されることで、図5(b)示す如く、微小な移動間隔P1,P2,P3…のそれぞれ(移動することで位置変更する移動体110の各位置)における移動体110の基準速度V1,V2,V3…が連続した態様で表される。
【0058】
ここで、図5(a)及び図5(b)を参照しつつ標準のリベットR(母材Mに対する取り付けに使用されるべきリベットRの標準的なもの)を対象としたときの移動体110の移動距離(移動量)の変化に伴う基準速度V1,V2,V3の推移について説明すると、移動体110が移動し始めた段階では引抜ピンP等の遊び等でリベットRの変形による抵抗が移動体110に作用しないため、移動体110が所定距離移動(所定数の移動間隔P1,P2,P3…を移動)する間、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は比例的に速くなる(以下、この所定数の移動間隔P1,P2,P3…を含む区間を第一区間W1という)。
【0059】
そして、移動体110が引き続き移動し、ジョー10が引抜ピンPを把持して引っ張り始めてリベットRが変形し始めると、ジョー10とリベットRとの干渉やリベットRの変形による抵抗が生じるため、移動体110が僅かな距離を移動(所定数の移動間隔P1,P2,P3…を移動)する間、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は徐々に遅くなる(以下、この所定数の移動間隔P1,P2,P3…を含む区間を第二区間W2という)。
【0060】
そして、リベットRの変形する間、その変形に伴う抵抗のみが作用するため、その間(移動体110が所定数の移動間隔P1,P2,P3…を移動する間)、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は一定を推移する(以下、この所定数の移動間隔P1,P2,P3…を含む区間を第三区間W3という)。
【0061】
そして、リベットRが適正に変形し、引抜ピンPが切断溝Cで破断しようとするとき、引抜ピンPが切断溝Cで一次的に伸びが生じるため、移動体110がごく僅かな距離を移動(所定数の移動間隔P1,P2,P3…を移動)する間、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は比例的に遅くなる(以下、この所定数の移動間隔P1,P2,P3…を含む区間を第四区間W4という)。
【0062】
そして、引抜ピンPが切断溝Cで破断すると、リベットRや引抜ピンPによる抵抗から開放され、一時的な衝撃が生じるため、移動体110が非常にごく僅かな距離を移動する間、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は、非常に高速になる(以下、この所定数の移動間隔P1,P2,P3…を含む区間を第五区間W5という)。
【0063】
そして、本実施形態においては、移動体110の移動限界に至るまで移動体110が移動する間、第一ピストン122に対するコイルバネの作用で、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は、徐々に遅くなり(以下、この所定数の移動間隔P1,P2,P3…を含む区間を第六区間W6という)、移動体110が移動限界にくると該移動体110の移動速度V1,V2,V3…は、ゼロになる。
【0064】
本実施形態に係る作業管理システムは、以上の構成からなり、次に、当該システムによる作用について説明することとする。
【0065】
本実施形態に係る作業管理システムは、作業者がリベッター1を用いて作業する際に、リベットRの取り付けに対応して移動する移動体(ジョーケース)110の移動速度V1’,V2’,V3’…を微分的に算出し、その算出結果と基準として設定されたテーブル50の設定値とを比較して一致点と相違点を抽出し、微分的に算出された移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の全てがテーブル50上の基準速度V1,V2,V3…と一致又は略一致したときに、リベットRが適正に取り付けられたと判断し、微分的に算出された移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の何れかがテーブル50上に設定された対応する基準速度V1,V2,V3…と相違する場合には、その相違する態様によってリベットRの取り付けに関する不具合や、リベットRの適正を把握する。
【0066】
具体的に説明すると、作業者がリベッター1を用いて作業を行うべく、リベッター1のトリガースイッチSを引き操作すると、空圧の作用で油圧機構120が作動する。そうすると、ジョーケース110が軸線方向に移動し始め、引抜ピンPの挿通されたジョー10がジョーケース110の内面に案内されて該引抜ピンPを挟持する。その後、ジョー10(ジョーケース110)の移動に伴って引抜ピンPが引っ張られることでリベットRが変形し、所定の引っ張り力が作用したときに引抜ピンPが破断することになる(図1(b)参照)。このようにリベッター1が一連の動作をするに伴い(ジョーケース110が軸線方向に移動するに伴い)、ジョーケース110に付された目盛りをセンサー2が順々に読み取る。すなわち、センサー2は、直動する移動体110の移動量が所定の単位移動量になる度に、移動体110が単位移動量移動したことを検知することになる。
【0067】
そして、タイマー3は、センサー2の検知が起因して移動体110が単位移動量移動するのに要する移動時間を測定する。すなわち、タイマー3は、ジョーケース110の移動量が単位移動量になってセンサー2が検知する度に、センサー2の検知間隔のそれぞれで移動体110が移動するのに要した移動時間を測定する。
【0068】
そして、制御装置7(演算手段4)は、単位移動量(目盛りの設定値)とタイマー3の測定結果とを基に、単位移動量と対応するセンサー2の検知間隔のそれぞれでの移動体110の移動速度を算出する。これにより、直動に伴う移動体110の移動量が所定の単位移動量毎に細分化され、その細分化された単位移動量(センサー2の検知間隔)毎の移動体110の移動速度が求められる。すなわち、演算手段4は、移動体110の移動速度を微分的に算出することになる。
【0069】
そして、図6(a)に示す如く、制御装置7(判断手段6)が算出結果とテーブル50の設定値とを比較し、リベットRの取り付け状態の適否や、リベットRのサイズや種類の間違い等が把握する。具体的には、実作業によって得られるデータを基に演算手段4で算出された単位移動量毎の移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…と、テーブル50に設定された単位移動量毎の移動体110の基準速度V1,V2,V3…とが完全に或いは略完全に一致している場合、判断手段6は、サイズや種類を間違えることなくリベットRが適正に取り付けられたと判断する。
【0070】
これに対し、算出された移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…(センサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…の何れかでの移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…)がテーブル50上の基準速度V1,V2,V3…と不一致である場合、判断手段6は、リベットRのサイズや種類を間違えたり、リベットRが適正に取り付けられなかったりしたと判断する。
【0071】
この場合、判断手段6は、移動速度V1’,V2’,V3’…と基準速度V1,V2,V3…とが異なる箇所(移動間隔P1,P2,P3…及びセンサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…)が何れの箇所であるか(移動体110がどれだけ移動したところであるか)や、移動速度V1’,V2’,V3’…と基準速度V1,V2,V3…とが異なる箇所が複数あり、その異なる箇所の組み合わせがどのようなものであるか等を基に、リベットRのサイズを間違えていると判断したり、リベットRの種類が異なると判断したり、リベットRが母材Mに対して適正に取り付けられていないと判断したりする。
【0072】
ここで、テーブル50の内容と実際の作業で得られた内容とを概略的にグラフ化した図6(b)〜図6(d)を参照して判断手段6の判断方法の一例について説明する。なお、図6(b)〜図6(d)のそれぞれに示すグラフは、移動間隔P1,P2,P3…単位で設定される基準速度V1,V2,V3…を連続的な実線Lで示し、センサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…単位で実測に基づいて算出された移動速度V1’,V2’,V3’…を連続的な破線L’で示している。
【0073】
例えば、図6(b)に示す如く、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第三区間W3乃至第五区間W5に切り替わる移動間隔P1,P2,P3…(移動体110の位置)よりも前の移動間隔P1,P2,P3…と対応するセンサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…(移動体110の位置)で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、一定を推移した状態から低速になって急激に高速になり、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第五区間W5から第六区間W6に切り替わる移動間隔P1,P2,P3…(移動体110の位置)よりも前の移動間隔P1,P2,P3…と対応するセンサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…(移動体110の位置)で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、急激に高速になった状態から徐々に低速になるような場合、使用されるべきリベットRよりも軸線方向の長さが短いリベットRが用いられたと判断される。
【0074】
これは、使用されるべきリベットRよりも小さなリベットRの場合、引抜ピンPが破断して抵抗から開放される位置が使用されるべきリベットRを用いたときよりも早い位置になるからである。
【0075】
なお、使用されるべきリベットRよりも軸線方向の長さが長いリベットRが用いられたときは、センサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…(移動体110の位置)での移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の変化は、上述のような軸線方向の長さが短いリベットRと逆のパターンになる(リベットRが変形を開始する位置が使用されるべきリベットRを用いたときよりも遅い位置になり、また、引抜ピンPが破断して抵抗から開放される位置も使用されるべきリベットRを用いたときよりも遅い位置になる)ため、それによって、使用されるべきリベットRよりも軸線方向の長さが長いリベットRが用いられたと判断される。
【0076】
そして、図6(c)に示す如く、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第一区間W1から第二区間W2に切り替わる移動間隔P1,P2,P3…(移動体110の位置)よりも後の移動間隔P1,P2,P3…と対応するセンサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…(移動体110の位置)で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、高速になった状態から低速に切り替わり、且つ、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が一定を推移する第三区間W3の移動間隔P1,P2,P3…(移動体110の位置)と対応するセンサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…(移動体110の位置)で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、基準速度V1,V2,V3…よりも高速で一定を推移し、また、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第四区間W4から第五区間W5に切り替わる移動間隔P1,P2,P3…(移動体110の位置)よりも後の移動間隔P1,P2,P3…と対応するセンサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…(移動体110の位置)で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、低速になった状態から急激に高速になり、さらにテーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第五区間W5から第六区間W6に切り替わる移動間隔P1,P2,P3…(移動体110の位置)よりも後の移動間隔P1,P2,P3…と対応するセンサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…(移動体110の位置)で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、急激に高速になり、移動速度V1’,V2’,V3’…の変化が徐々に緩やかになるような場合、使用されるべきリベットRよりも径が小径なリベットRが用いられたと判断される。
【0077】
これは、使用されるべきリベットRよりも小さなリベット材Aは、リベットRの径に対応して引抜ピンPの径が小径であるためにジョー10が引抜ピンRを把持する位置が使用されるべきリベットRを用いたときよりも遅い位置になり、また、リベットRが小径であるために塑性変形させるときの抵抗が小さく、さらに、引抜ピンPが小径であるために使用されるべきリベットRを用いたときよりも破断時の反発が小さくて衝撃も小さいからである。
【0078】
そして、使用されるべきリベットRよりも径が大径のリベットRが用いられたとき或いはリベッター1が空打ちされたとき(母材MにリベットRを挿通せずにかしめ処理されたとき)は、センサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…(移動体110の位置)での移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の変化は、上述のような径が小径なリベットRと逆のパターンになるため、これによって、使用されるべきリベットRよりも大径のリベットRが用いられた或いはリベッター1が空打ちされたと判断することが可能である。
【0079】
なお、通常は、リベットRを挿通させるために母材Mに穿設される穴は、使用されるべきリベットRに対応して形成される。そのため、作業時に使用されるべきリベットRよりも大径なリベットRを使用しようとしても穴に挿通できないことから、作業者が作業中に大径のリベットRであることに気付くので、本実施形態においては、上述のような径が小径なリベットRと逆のパターンになったときは、リベッター1が空打ちされたと判断するようにしている。
【0080】
また、図6(d)に示す如く、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が、第二区間W2乃至第四区間W4に切り替わる移動間隔P1,P2,P3…(移動体110の位置)と対応するセンサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…(移動体110の位置)で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、基準速度V1,V2,V3…よりも低速で、且つ、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第五区間W5から第六区間W6に切り替わる移動間隔P1,P2,P3…(移動体110の位置)と対応するセンサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…(移動体110の位置)で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、基準速度V1,V2,V3…よりも高速であるような場合、使用されるべきリベットRよりも硬質なリベットRが用いられたと判断される。
【0081】
これは、リベットRが硬質であるために該リベットRが塑性変形するときの抵抗が大きく、また、引抜ピンPの破断時の衝撃が非常に大きくなって衝撃速度が急激に速くなるからである。
【0082】
その他に、移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…と基準速度V1,V2,V3…との異なる箇所(センサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…とテーブル50の移動間隔P1,P2,P3…との対応関係)を見ることで、リベットRの変形の良否等も当然に把握することができる。
【0083】
このように、本実施形態に係る作業管理システムは、リベット材Aを取り付け状態の適否は勿論のこと、リベット材Aの種類やサイズの間違い等といった詳細な内容までも把握することができる。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る作業管理システムは、リベッター1に取り付けられ、直動又は回転する移動体110の移動量が所定の単位移動量になる度に、移動体110が単位移動量移動したことを検知するセンサー2と、センサー2の検知が起因して移動体110が単位移動量移動するのに要する移動時間を測定するタイマー3と、単位移動量とタイマー3の測定結果とを基に、単位移動量移動と対応するセンサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…のそれぞれでの移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…を算出する演算手段4とを備えているので、移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…を微分的に算出することができ、その算出結果とテーブル50のデータとを比較することで、リベットRの取り付け状態の適否や、リベットRのサイズや種類の間違い等を適確に把握することができる。
【0085】
また、前記単位移動量は、前記リベッター1で母材Mに対して取付可能なリベットR(リベット材A)のうち、軸線方向の長さが最短のリベットRを適正にかしめるのに必要な移動体の移動量の0.1%〜10%に設定されているため、移動体110の移動量が微小に細分化されることになり、単位移動量(センサー2の検知間隔P1’,P2’,P3’…)毎に求められる移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が瞬時の速度となる結果、判断手段6の判断に用いる情報が多くなって判断精度をよりいっそう高めることができる。
【0086】
次に、本発明の第二実施形態に係るリベット材取付作業管理システム(作業管理システム)について説明する。なお、本実施形態に係る作業管理システムは、前提となるリベッター1が第一実施形態のものと同一であるため、リベッターの構成については、図2を参照するとともに、第一実施形態と同一名称及び同一符号を付して説明を割愛することとする。また、本実施形態に係る作業管理システムは、第一実施形態とソフト(制御的)な点で相違するが、ハードについて第一実施形態と共通するため、図3及び図4を参照するとともに各構成については同一名称及び同一符号を付すこととして各構成の設定内容(ソフト面)を中心に説明することとする。
【0087】
本実施形態に係る作業管理システムは、経時的に変形するリベットRの変形過程と、リベットRをかしめ処理する際の引抜ピンPを挟持するジョー10の移動時間とが対応関係にあることに着目したものである。
【0088】
具体的に説明すると、本実施形態に係る作業管理システムは、第一実施形態で説明したリベッター1(図2参照)を用いることを前提としたものであり、図3及び図4に示す如く、所定の単位時間を繰り返し測定するタイマー3と、リベッター1に取り付けられ、タイマー3の測定が単位時間になる度に、直動する移動体110の位置を検知するセンサー2と、センサー2の検知結果から得られる移動体110の移動量と単位時間とを基に移動体110の移動速度を単位時間毎に算出する演算手段4と、標準のリベットRを母材Mに取り付ける際の移動体110の基準速度V1,V2,V3…が単位時間T1,T2,T3…毎に設定されたテーブル50’(図7(a)参照)を記憶した記憶手段5と、演算手段4による算出結果V1’,V2’,V3’…とテーブル50’上の基準速度V1,V2,V3…とを比較し(図8(a)参照)、リベットRの取り付け状態を判断する判断手段6とを備えている。
【0089】
前記タイマー3、演算手段4、記憶手段5、及び判断手段6は、制御装置7によって一体的に構成されている。すなわち、本実施形態に係る制御装置7は、図4に示す如く、CPU70に対してROM71やRAM72、ハードディスクドライブ73等の記憶手段5、DVD、CD等のメディアに対してデータの読み書きを行うメディアドライブ74、キーボード75やマウス76等の入力手段77、モニタ78等がバスラインLを介して接続されたパーソナルコンピュータで構成されている。
【0090】
制御装置7には、バスラインLを介してリベッター1(センサー2)が接続されており、刻々と位置変更する移動体110が単位時間ずつ移動して各位置を通過している旨(単位時間ずつ移動した移動体110の位置情報)が入力されるようになっている。本実施形態に係る作業管理システムは、単一の制御装置7に対して複数のリベッター1(センサー2)が接続されており、これらのリベッター1による作業を一括管理できるようになっている。
【0091】
そして、制御装置7は、移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の単位時間毎の算出や、算出結果とテーブル50’の内容とを比較して作業状態の適否を判断するためのプログラムがインストールされており、これらの処理をCPU70で実行するようになっている。
【0092】
そして、前記タイマー3は、CPU70等と別個に設けてバスラインLに接続してもよいが、本実施形態においては、CPU70がクロック周波数を基にしたタイマー3として機能するようになっている。また、テーブル50’やプログラムを記憶させる記憶手段5は、ROM71や、RAM72、ハードディスクドライブ73の何れかを採用すればよく、本実施形態においては、ハードディスクドライブ73を記憶手段5として採用している。なお、本実施形態において、前記テーブル50’は、プログラムと一体化されている。
【0093】
前記センサー2には、アブソリュート式のセンサーや、インクリメンタル式のセンサーを採用することが可能であり、本実施形態においては、第一実施形態と同様に、インクリメンタル式の光学式センサーを採用している。本実施形態に係るセンサー2においても、ジョーケース110に付された目盛りを読み取るようになっている。本実施形態では、移動体110の位置からその移動量を適正に把握するために、ジョーケース110に付された目盛りがセンサー2で読み取り可能な最小限の間隔に設定されている。
【0094】
そして、上述の如く、制御装置7(演算手段4)によって算出される移動体110が単位時間ずつ移動する際の移動速度V1’,V2’,V3’…は、各単位時間T1’,T2’,T3’…における移動体110の平均移動速度であるが、単位時間を極力短くすることで、各単位時間T1’,T2’,T3’…の移動速度V1’,V2’,V3’…は、移動体110の全体移動時間から見て微分的な速度、すなわち、連続して移動する移動体110のある位置での瞬間的な速度に匹敵することになる。これにより、移動体110の移動速度を各状況(移動体110の移動状態)に応じて正確に導くことができる。
【0095】
前記単位時間は、小さいほど好ましく、前記リベッター1で母材Mに対して取付可能なリベットR(リベット材A)のうち、軸線方向の長さが最短のリベットRを適正にかしめるのに必要な移動体110の移動時間の0.1%〜10%に設定される。すなわち、リベッター1は、サイズや長さ、材質等を異にする複数種類のリベットRをかしめ処理できるため、前記単位時間は、かしめ処理できる複数種類のリベットRのうちの軸線方向の長さが最短のリベットRを塑性変形させる実際の仕事を行うときの移動体110の移動時間の0.1%〜10%に設定される。換言すれば、単位時間は、引抜ピンPに対する引っ張り(リベットRに対する圧縮)が生じてリベットRが変形し始めた時点から引抜ピンPを切断溝Cで破断させるのに必要な移動体110の移動時間の0.1%〜10%に設定される。
【0096】
例えば、軸線方向の長さが最短のリベットRを適正にかしめ処理するのに必要な移動体110の移動時間が1秒程度である場合、単位移動量は、0.001〜0.1秒(好ましくは、最小値の0.001秒)に設定される。これにより、移動体110が移動する全移動時間が微小な単位時間に細分化され、移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…を微分的に算出することができる。
【0097】
前記テーブル50’に設定される基準速度V1,V2,V3は、品質や強度が標準的なリベットRの取り付け作業を行ったり、材料力学的に算出したりすることで予め得られた基準値であり、図7(a)に示す如く、標準的なリベットR(基準となるリベットR)を取り付けるときに移動体110が所定の単位時間ずつ移動することになる各単位時間T1,T2,T3に対応するようにテーブル50上に設定されている。
【0098】
そして、テーブル50’の内容をグラフ化すると、図7(b)に示すように単位時間T1,T2,T3毎に設定される基準速度V1,V2,V3…が連続的な線Lとなる。すなわち、図7(a)に示す如く、移動体110の微小な単位時間T1,T2,T3…のそれぞれに対して基準速度(基準となる移動速度)V1,V2,V3…が設定されることで、図7(b)示す如く、微小な単位時間T1,T2,T3…のそれぞれ(移動体110の移動経過時間の各時)における移動体110の基準速度V1,V2,V3…が連続した態様で表される。
【0099】
ここで、図7(a)及び図7(b)を参照しつつ標準のリベットR(母材Mに対する取り付けに使用されるべきリベットRの標準的なもの)を対象としたときの移動体110の移動時間(経過時間)の変化に伴う基準速度V1,V2,V3の推移について説明すると、移動体110が移動し始めた段階では引抜ピンP等の遊び等でリベットRの変形による抵抗が移動体110に作用しないため、移動体110が所定時間移動(所定数の単位時間T1,T2,T3…移動)する間、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は比例的に速くなる(以下、この所定数の単位時間T1,T2,T3…を含む区間を第一区間W1’という)。
【0100】
そして、移動体110が引き続き移動し、ジョー10が引抜ピンPを把持して引っ張り始めてリベットRが変形し始めると、ジョー10とリベットRとの干渉やリベットRの変形による抵抗が生じるため、移動体110が僅かな時間を移動(所定数の単位時間T1,T2,T3…を移動)する間、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は徐々に遅くなる(以下、この所定数の単位時間T1,T2,T3…を含む区間を第二区間W2’という)。
【0101】
そして、リベットRの変形する間、その変形に伴う抵抗のみが作用するため、その間(移動体110が所定数の単位時間T1,T2,T3…を移動する間)、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は一定を推移する(以下、この所定数の単位時間T1,T2,T3…を含む区間を第三区間W3’という)。
【0102】
そして、リベットRが適正に変形し、引抜ピンPが切断溝Cで破断しようとするとき、引抜ピンPが切断溝Cで一次的に伸びが生じるため、移動体110がごく僅かな時間を移動(所定数の単位時間T1,T2,T3…を移動)する間、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は比例的に遅くなる(以下、この所定数の単位時間T1,T2,T3…を含む区間を第四区間W4’という)。
【0103】
そして、引抜ピンPが切断溝Cで破断すると、リベットRや引抜ピンPによる抵抗から開放され、一時的な衝撃が生じるため、移動体110が非常にごく僅かに移動する間、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は、非常に高速になる(以下、この所定数の単位時間T1,T2,T3…を含む区間を第五区間W5’という)。
【0104】
そして、本実施形態においては、移動体110の移動限界に至るまで移動体110が移動する間、第一ピストン122に対するコイルバネの作用で、移動体110の移動速度V1,V2,V3…は、徐々に遅くなり(以下、この所定数の単位時間T1,T2,T3…を含む区間を第六区間W6’という)、移動体110が移動限界にくると該移動体110の移動速度V1,V2,V3…は、ゼロになる。なお、移動体110の移動速度V1,V2,V3…には、時間的要素が含まれているため、速度がゼロになってからも時間軸は測定が停止されるまで所定時間経過する。
【0105】
本実施形態に係る作業管理システムは、以上の構成からなり、次に、当該システムによる作用について説明することとする。
【0106】
本実施形態に係る作業管理システムは、作業者がリベッター1を用いて作業する際に、リベットRの取り付けに対応して移動する移動体(ジョーケース)110の移動速度V1’,V2’,V3’…を微分的に算出し、その算出結果と基準として設定されたテーブル50の設定値とを比較して一致点と相違点を抽出し、微分的に算出された移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の全てがテーブル50上の基準速度V1,V2,V3…と一致又は略一致したときに、リベットRが適正に取り付けられたと判断し、微分的に算出された移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の何れかがテーブル50上に設定された対応する基準速度V1,V2,V3…と相違する場合には、その相違する態様によってリベットRの取り付けに関する不具合や、リベットRの適正を把握する。
【0107】
具体的に説明すると、作業者がリベッター1を用いて作業を行うべく、リベッター1のトリガースイッチSを引き操作すると、空圧の作用で油圧機構120が作動する。そうすると、ジョーケース110が軸線方向に移動し始め、引抜ピンPの挿通されたジョー10がジョーケース110の内面に案内されて該引抜ピンPを挟持する。その後、ジョー10(ジョーケース110)の移動に伴って引抜ピンPが引っ張られることでリベットRが変形し、所定の引っ張り力が作用したときに引抜ピンPが破断することになる(図1(b)参照)。このようにリベッター1が一連の動作をするに伴い(ジョーケース110が軸線方向に移動するに伴い)、タイマー3が所定の単位時間を繰り返し測定し、タイマー3の測定が単位時間になる度にセンサー2がジョーケース110に付された目盛りを読み取る。すなわち、タイマー3の測定が単位時間になる度に、センサー2が直動する移動体110の位置を検知する。
【0108】
そして、演算手段4は、センサー2の検知結果から得られる移動体110の移動量と単位時間とを基に移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…を単位時間毎に算出する。なお、移動体110の移動量は、センサー2に付随するドライバーで算出される場合があるが、本実施形態では、演算手段4が入力されたセンサー2の検知結果(移動体110の位置)を基に算出するようになっている。
【0109】
このように、演算手段4が移動体110の移動に伴って経過する単位時間毎に移動体110の移動速度を算出する結果、移動体110が移動するときの移動時間が単位時間毎に細分化され、その細分化された単位時間毎の移動体110の移動速度が求められることになる。すなわち、本実施形態に係る作業管理システムは、単位時間を基礎にして移動体110の移動速度を微分的に算出することになる。
【0110】
そして、図8(a)に示す如く、制御装置7(判断手段6)が算出結果とテーブル50’の設定値とを比較し、リベットRの取り付け状態の適否や、リベットRのサイズや種類の間違い等が把握する。具体的には、実作業によって得られるデータを基に演算手段4で算出された単位時間T1’,T2’,T3’…毎の移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…と、テーブル50に設定され単位時間T1,T2,T3…毎の移動体110の基準速度V1,V2,V3…とが完全に或いは略完全に一致している場合、判断手段6は、サイズや種類を間違えることなくリベットRが適正に取り付けられたと判断する。
【0111】
これに対し、算出された移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…(単位時間T1’,T2’,T3’…の何れかでの移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…)がテーブル50’上の基準速度V1,V2,V3…と不一致である場合、判断手段6は、リベットRのサイズや種類を間違えたり、リベットRが適正に取り付けられなかったりしたと判断する。
【0112】
この場合、判断手段6は、移動速度V1’,V2’,V3’…と基準速度V1,V2,V3…とが異なる単位時間T1,T2,T3…,T1’,T2’,T3’…が何れの箇所(何れのタイミング)であるかや、移動速度V1’,V2’,V3’…と基準速度V1,V2,V3…とが異なる単位時間T1,T2,T3…,T1’,T2’,T3’…が複数あり、その組み合わせがどのようなものであるか等を基に、リベットRのサイズを間違えていると判断したり、リベットRの種類が異なると判断したり、リベットRが母材Mに対して適正に取り付けられていないと判断したりする。
【0113】
ここで、テーブル50’の内容と実際の作業で得られた内容とを概略的にグラフ化した図8(b)〜図8(d)を参照して判断手段6の判断方法の一例について説明する。なお、図8(b)〜図8(d)のそれぞれに示すグラフは、単位時間T1,T2,T3毎に設定される基準速度V1,V2,V3…を連続的な実線Lで示し、実測に基づいて単位時間T1’,T2’,T3’毎に算出された移動速度V1’,V2’,V3’…を連続的な破線L’で示している。
【0114】
そして、使用されたリベットRが使用されるべきリベットRよりも軸線方向の長さが短いとき、リベットRの径が小径であるとき、リベットRの材質が硬質であるときは、実測に基づく移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の変化パターンが第一実施形態で説明した移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の変化パターンに時間要素が反映された変化パターンになるため、この時間要素を考慮した上で、第一実施形態と同様にリベットRがどのようなものであるか等について適正に判断される。すなわち、本実施形態においては、時間要素が反映されることで、移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が速くなるとき、第一実施形態で説明した移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の変化パターンが時間軸でゼロ側にシフトしたパターンになる一方、移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が遅くなるとき、第一実施形態で説明した移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の変化パターンが時間軸で時間の経過側にシフトしたパターンになるため、このパターンのシフトを考慮してリベットRのサイズや材質が適正なものであるか否かについて適正に判断される。
【0115】
具体的には、図8(b)に示す如く、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第三区間W3’乃至第五区間W5’に切り替わる単位時間T1,T2,T3…よりも前の単位時間T1’,T2’,T3’…で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、一定を推移した状態から低速になって急激に高速になり、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第五区間W5’から第六区間W6’に切り替わる単位時間T1,T2,T3…よりも前の単位時間T1’,T2’,T3’…で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、急激に高速になった状態から低速になるような場合、使用されるべきリベットRよりも軸線方向の長さが短いリベットRが用いられたと判断される。
【0116】
これは、使用されるべきリベットRよりも小さなリベットRの場合、引抜ピンPが破断して抵抗から開放される位置が使用されるべきリベットRを用いたときよりも早い位置になるからである。
【0117】
なお、使用されるべきリベットRよりも軸線方向の長さが長いリベットRが用いられたときは、各単位時間T1’,T2’,T3’…での移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の変化は、上述のような軸線方向の長さが短いリベットRと逆のパターンになる(リベットRが変形を開始する位置が使用されるべきリベットRを用いたときよりも遅い位置になり、また、引抜ピンPが破断して抵抗から開放される位置も使用されるべきリベットRを用いたときよりも遅い位置になる)ため、それによって、使用されるべきリベットRよりも軸線方向の長さが長いリベットRが用いられたと判断される。
【0118】
そして、図8(c)に示す如く、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第一区間W1’から第二区間W2’に切り替わる単位時間T1,T2,T3…よりも後の単位時間T1’,T2’,T3’…で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、高速な状態から低速に切り替わり、且つ、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が一定を推移する第三区間W3’の単位時間T1,T2,T3…と対応する単位時間T1’T2’,T3’…で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、基準速度V1,V2,V3…よりも高速で、また、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第四区間W4’から第五区間W5’に切り替わる単位時間T1,T2,T3…よりも前の単位時間T1’,T2’,T3’…で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、低速になった状態から急激に高速になり、さらにテーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第五区間W5’から第六区間W6’に切り替わる単位時間T1,T2,T3…よりも前の単位時間T1’,T2’,T3’…で急激に高速になった移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の変化が徐々に緩やかになるような場合、使用されるべきリベットRよりも径が小径なリベットRが用いられたと判断される。
【0119】
これは、使用されるべきリベットRよりも小さなリベット材Aは、リベットRの径に対応して引抜ピンPの径が小径であるためにジョー10が引抜ピンRを把持する位置が使用されるべきリベットRを用いたときよりも遅い位置になり、また、リベットRが小径であるために塑性変形させるときの抵抗が小さく、さらに、引抜ピンPが小径であるために使用されるべきリベットRを用いたときよりも破断時の反発が小さくて衝撃も小さいからである。
【0120】
そして、使用されるべきリベットRよりも径が大径のリベットRが用いられたとき或いはリベッター1が空打ちされたとき(母材MにリベットRを挿通せずにかしめ処理されたとき)は、各単位時間T1’,T2’,T3’…での移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…の変化は、上述のような径が小径なリベットRと逆のパターンになるため、これによって、使用されるべきリベットRよりも大径のリベットRが用いられた或いはリベッター1が空打ちされたと判断することが可能である。なお、通常は、リベットRを挿通させるために母材Mに穿設される穴は、使用されるべきリベットRに対応して形成される。そのため、作業時に使用されるべきリベットRよりも大径なリベットRを使用しようとしても穴に挿通できないことから、作業者が作業中に大径のリベットRであることに気付くので、本実施形態においては、上述のような径が小径なリベットRと逆のパターンになったときは、リベッター1が空打ちされたと判断するようにしている。
【0121】
また、図8(d)に示す如く、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が、第二区間W2’乃至第五区間W5’に切り替わる単位時間T1,T2,T3…と対応する単位時間T1’,T2’,T3’…で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、基準速度V1,V2,V3…よりも低速で、テーブル50に設定された基準速度V1,V2,V3…が第四区間W4’から第五区間W5’に切り替わる単位時間T1,T2,T3…よりも後の単位時間T1’,T2’,T3’…で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、低速になって急激に高速になり、第五区間W5’から第六区間W6’に切り替わる単位時間T1,T2,T3…と対応する単位時間T1’,T2’,T3’…よりも後の単位時間T1’,T2’,T3’…で移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が、基準速度V1,V2,V3…よりも高速で且つ徐々に減速するような傾向にあるような場合、使用されるべきリベットRよりも硬質なリベットRが用いられたと判断される。
【0122】
これは、リベットRが硬質であるために該リベットRが塑性変形するときの抵抗が大きく、また、引抜ピンPの破断時の衝撃が非常に大きくなって衝撃速度が急激に速くなるからである。
【0123】
その他に、移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…と基準速度V1,V2,V3…との異なるタイミング(単位時間T1,T2,T3…,T1’,T2’,T3’…の対応関係)を見ることで、リベットRの変形の良否等も当然に把握することができる。
【0124】
このように、本実施形態に係る作業管理システムにおいても、第一実施形態と同様に、リベット材Aを取り付け状態の適否は勿論のこと、リベット材Aの種類やサイズの間違い等といった詳細な内容までも把握することができる。
【0125】
以上のように、本実施形態に係る作業管理システムは、所定の単位時間T1’,T2’,T3’…を繰り返し測定するタイマー3と、リベッター1に取り付けられ、タイマー3の測定が単位時間T1’,T2’,T3’…になる度に、直動又は回転する移動体110の位置を検知するセンサー2と、センサー2の検知結果から得られる移動体110の移動量と単位時間T1’,T2’,T3’…とを基に移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…を単位時間T1’,T2’,T3’…毎に算出する演算手段4と、標準のリベットRを母材Mに取り付ける際の移動体110の基準速度V1,V2,V3…が単位時間T1,T2,T3…毎に設定されたテーブル50’を記憶した記憶手段5と、演算手段4による算出結果とテーブル50’上の基準速度V1,V2,V3…とを比較してリベットRの取り付け状態を判断する判断手段6とを備えているので、第一実施形態と同様に、移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…を微分的に算出することができ、その算出結果とテーブル50のデータとを比較することで、リベットRの取り付け状態の適否や、リベットRのサイズや種類の間違い等を適確に把握することができる。
【0126】
また、前記単位時間T1,T2,T3…,T1’,T2’,T3’…は、前記リベッター1で母材Mに対して取付可能なリベットR(リベット材A)のうち、軸線方向の長さが最短のリベットRを適正にかしめるのに必要な移動体110の移動時間の0.1%〜10%に設定されているため、移動体110の移動時間が微小に細分化されることになり、単位時間T1’,T2’,T3’…毎に求められる移動体110の移動速度V1’,V2’,V3’…が瞬時の速度となる結果、判断手段6の判断に用いる情報が多くなって判断精度をよりいっそう高めることができる。
【0127】
尚、本発明のリベット材取付作業管理システムは、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0128】
すなわち、上記各実施形態において、作動機構11として油圧機構120が採用されたリベッター1を対象に説明したが、リベット材取付作業管理システムが対象とするリベッター1はこれに限定されるものではなく、例えば、作動機構11がジョーケース110を移動させるための機構として油圧機構120に代えて空圧機構を備えたものであってもよい。また、作動機構11がジョーケース110を移動させるための機構として駆動モータの回転出力を直動に変更するように構成されたギア機構を備えたものであってもよい。
【0129】
また、上記各実施形態において、リベット材Aを取り付ける際に直動するジョーケース110を移動体として説明したが、移動体は、直動するものに限定されるものではなく、例えば、リベット材Aの取り付けに伴ってジョー10の移動に連動して回転するものであってもよい。すなわち、移動体は、リベット材Aを取り付ける際に直動するジョー10と連動するものであれば、直動するものや回転するものの何れであってもよい。移動体110が回転するものである場合においても、移動体110の移動量(回転量)や移動時間は、リベットRの変形と比例的な関係があるため、移動体110の単位時間当りの移動量をセンサー2で検知したり、単位移動量当りの所要時間をタイマー3で測定したりすることで、上記実施形態と同様に、リベット材Aの取り付け状態の適否は勿論のこと、リベット材Aの種類やサイズの間違い等といった詳細な内容までも把握することができる。なお、例えば、ジョー10と連動して回転する移動体とするには、例えば、駆動源に電動モータやエアーモータ、或いは油圧モータを採用し、ジョーケース110に回転自在な移動体を螺合させるとともに、該移動体を駆動モータで回転させることで、ジョーケース110を軸線方向に移動させる(ジョー10を引抜ピンPの軸線方向に移動させる)構成が考えられる。
【0130】
上記各実施形態において、単一の制御装置7(パーソナルコンピュータ)で複数のリベッター1の作業管理を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の制御装置7をLANで接続する等して、複数の制御装置7で複数のリベッター1…の作業管理を行うようにしてもよい。
【0131】
上記各実施形態において、制御装置7に一般的なパーソナルコンピュータを採用したが、これに限定されるものではなく、例えば、上記実施形態で説明した処理を実行できる専用のコンピュータを制御装置7として採用したものであってもよい。
【0132】
上記各実施形態において、判断の基準となるテーブル50,50’を取り付けの対象となるリベットRの標準のものを対象にして一つ設定するようにしたが、例えば、サイズや種類(材質)などの異なるリベットRの標準のものを対象にテーブル50,50’を複数設定しておき、リベッター1で作業する際に対象となるリベットRが変更されたときに、判断基準となるテーブル50,50’を変更するようにしてもよい。また、算出結果とテーブル50,50’の基準速度V1,V2,V3…とが不一致になり、リベットRの種類やサイズが異なったものであると判断された場合、そのときの算出結果と他のテーブル50,50’と照合して何れの種類或いはサイズのリベットRが用いられたかまで判断するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第一実施形態及び第二実施形態に係るリベット材取付作業管理システムの前提となるリベッターに用いられるリベット材の説明図であって、(a)は、断面図を示し、(b)は、リベットをかしめるときの状態断面図を示す。
【図2】第一実施形態に係るリベット材取付作業管理システムの前提となるリベッターの断面図を示す。
【図3】第一実施形態及び第二実施形態に係るリベット材取付作業管理システムの全体構成図を示す。
【図4】第一実施形態及び第二実施形態に係るリベット材取付作業管理システムのタイマー、演算手段、記憶手段、及び判断手段を構成する制御装置のブロック図を示す。
【図5】第一実施形態に係るリベット材取付作業管理システムの判断基準についての説明図であって、(a)は、判断基準となるテーブルの概念図を示し、(b)は、(a)に示すテーブルの内容を概略的にグラフ化した図を示す。
【図6】第一実施形態に係るリベット材取付作業管理システムでのリベットの取り付け状態の判断についての説明図であって、(a)は、判断基準となるテーブルの内容と算出値とを比較したときの概念図を示し、(b)は、使用されたリベットが軸線方向の長さが短いものであると判断される場合の算出値を概略的にグラフ化し、テーブルの内容の概略的なグラフを併記した図を示し、(c)は、使用されたリベットが径の小さいものであると判断される場合の算出値を概略的にグラフ化し、テーブルの内容の概略的なグラフを併記した図を示し、(d)は、使用されたリベットが使用されるべきものよりも硬質なものであると判断される場合の算出値を概略的にグラフ化し、テーブルの内容の概略的なグラフを併記した図を示す。
【図7】本発明に係る第二実施形態に係るリベット材取付作業管理システムの判断基準についての説明図であって、(a)は、判断基準となるテーブルの概念図を示し、(b)は、(a)に示すテーブルの内容を概略的にグラフ化した図を示す。
【図8】第二実施形態に係るリベット材取付作業管理システムでのリベットの取り付け状態の判断についての説明図であって、(a)は、判断基準となるテーブルの内容と算出値とを比較したときの概念図を示し、(b)は、使用されたリベットが軸線方向の長さが短いものであると判断される場合の算出値を概略的にグラフ化し、テーブルの内容の概略的なグラフを併記した図を示し、(c)は、使用されたリベットが径の小さいものであると判断される場合の算出値を概略的にグラフ化し、テーブルの内容の概略的なグラフを併記した図を示し、(d)は、使用されたリベットが使用されるべきものよりも硬質なものであると判断される場合の算出値を概略的にグラフ化し、テーブルの内容の概略的なグラフを併記した図を示す。
【符号の説明】
【0134】
1…リベッター、2…センサー、3…タイマー、4…演算手段、5…記憶手段、6…判断手段、7…制御装置、10…ジョー、10a,10b…分割体、11…作動機構、50…テーブル、70…CPU、71…ROM、72…RAM、73…ハードディスクドライブ、74…メディアドライブ、75…キーボード、76…マウス、77…入力手段、78…モニタ、110…ジョーケース(移動体)、111…付勢補助筒体、112…ハウジング、113…ノズル、114…貫通穴、120…油圧機構、121…第一シリンダ部、122…第一ピストン、123…第一ピストンロッド、124…オイルタンク、125…エアーシリンダ、126…ハンドル部、127…第二シリンダ部、128…第二ピストン、129…第二ピストンロッド、130…流路切換弁、140…バキューム機構、A…リベット材、B…鍔部、C…切断溝、D…切断溝、H…大径部、L…バスライン、M…母材、P…引抜ピン、P1’,P2’,P3’…センター検知間隔、P1,P2,P3…移動間隔、R…リベット、S…トリガースイッチ、T1,T2,T3,T1’,T2’,T3’…単位時間、V1,V2,V3…基準速度、V1’,V2’,V3’…移動速度、W1,W2,W3,W4,W5,W6,W1’,W2’,W3’,W4’,W5’,W6’…第一区間〜第六区間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リベットに挿通された引抜ピンを挟持可能に構成されたジョーと、該ジョーに引抜ピンを挟持させるとともに、該ジョーを引抜ピンの軸線方向に移動させる作動機構とを備え、作動機構がジョーの軸線方向の移動と連動して直動又は回転する移動体を備えたリベッターを用いて母材に対するリベットの取付作業を行うことを前提に、リベットの取り付け状態を把握するためのリベット材取付作業管理システムであって、リベッターに取り付けられ、直動又は回転する移動体の移動量が所定の単位移動量になる度に、移動体が単位移動量移動したことを検知するセンサーと、センサーの検知が起因して移動体が単位移動量移動するのに要する移動時間を測定するタイマーと、単位移動量とタイマーの測定結果とを基に、単位移動量と対応するセンサーの検知間隔のそれぞれでの移動体の移動速度を算出する演算手段と、標準のリベットを母材に取り付ける際に移動体が単位移動量ずつ移動することになる移動間隔毎に移動体の基準速度が設定されたテーブルを記憶した記憶手段と、演算手段の算出結果とテーブル上の基準速度とを比較してリベットの取り付け状態を判断する判断手段とを備えていることを特徴とするリベット材取付作業管理システム。
【請求項2】
前記単位移動量は、前記リベッターで母材に対して取付可能なリベットのうち、軸線方向の長さが最短のリベットを適正にかしめるのに必要な移動体の移動量の0.1%〜10%に設定されている請求項1記載のリベット材取付作業管理システム。
【請求項3】
リベットに挿通された引抜ピンを挟持可能に構成されたジョーと、該ジョーに引抜ピンを挟持させるとともに、該ジョーを引抜ピンの軸線方向に移動させる作動機構とを備え、作動機構がジョーの軸線方向の移動と連動して直線移動又は回転移動する移動体を備えたリベッターを用いて母材に対するリベットの取付作業を行うことを前提に、リベットの取り付け状態を把握するためのリベット材取付作業管理システムであって、所定の単位時間を繰り返し測定するタイマーと、リベッターに取り付けられ、タイマーの測定が単位時間になる度に、直動又は回転する移動体の位置を検知するセンサーと、センサーの検知結果から得られる移動体の移動量と単位時間とを基に移動体の移動速度を単位時間毎に算出する演算手段と、標準のリベットを母材に取り付ける際の移動体の基準速度が単位時間毎に設定されたテーブルを記憶した記憶手段と、演算手段による算出結果とテーブル上の基準速度とを比較してリベットの取り付け状態を判断する判断手段とを備えていることを特徴とするリベット材取付作業管理システム。
【請求項4】
前記単位時間は、前記リベッターで母材に対して取付可能なリベットのうち、軸線方向の長さが最短のリベットを適正にかしめるのに必要な移動体の移動時間の0.1%〜10%に設定されている請求項3記載のリベット材取付作業管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−99659(P2010−99659A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270632(P2008−270632)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000232830)株式会社ロブテックス (21)
【Fターム(参考)】