説明

リベット要素

【解決課題】 リベット要素、リベット要素と、ファイバ構造体との部材アセンブリ、リベット要素を組立てるためのダイ・ボタンおよびファイバ複合材料の構造体にリベット要素を組付けるための方法を提供すること。
【解決手段】
本発明は、特にファイバ複合材料製の構造体のためのリベット要素に関し、少なくとも部分的に先端に向かった方向にテーパ付けされ、かつダイ・ボタン(31)手段によって拡張可能なスパイク様の形状とされたリベット・セクション(11)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リベット要素、リベット要素と、ファイバ構造体との部材アセンブリ、リベット要素を組立てるためのダイ・ボタンおよびファイバ複合材料の構造体にリベット要素を組付けるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特にリベット要素といった締結要素を、シート材料またはファイバ複合材料といった構造体に組付けるため、従来では締結要素のための開口を、構造体に形成することが必要とされている。特にファイバ複合材料といった構造体については、しかしながら上述した種類の手順は、材料内の開口において不連続性を生じさせてしまい、実に締結要素の結果として特に高い材料強度が実質上要求される当該位置で材料を大きく脆弱化させてしまうので、重大な欠点を伴っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、したがって、とりわけリベット要素といった締結要素を、構造体の不連続性により脆弱化させずに構造体、特に実際的にファイバ複合材料の構造体に締結要素を取り付ける可能性を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した目的は、本発明により、請求項1に記載した構成を備えるリベット要素、請求項10の構成を備える部品アセンブリ、請求項13の構成を備えるダイ・ボタンおよび請求項15の構成を備える方法により達成される。
【0005】
本発明に従うリベット要素は、先端の方向にスパイク状のテーパとして形成されたリベット領域を備えており、このリベット領域は、ダイ・ボタン手段によって少なくとも局所的に広げられることができる。
【0006】
拡張可能なスパイクとしてのリベット領域の形成により、スパイクを備えるリベット要素をそれぞれの材料内に圧入させることが可能となるため、スパイクが好適な形状を備えるダイ・ボタン手段によって拡張されてリベット連結が形成される。
【0007】
この種類のリベット領域の圧入を可能とする材料から製造される構造体のため、少なくとも材料の所定の状態において、リベット要素のための開口の製造を排除することが結果として可能とされる。本発明のリベット要素は、この結果として、少なくとも材料が充分に柔らかくおよび/または“ペースト”状態の時のファイバ複合材料製の構造体のために特に好適である。この点に関しては以下により詳細に説明する。本発明のさらなる効果は、構造体に対して締結要素を接着接合する必要が無い、と言う事実にある。
【0008】
リベット要素の好ましい設計においては、リベット領域は、特に舌様の形状の複数のセグメントを備えており、これら舌様のセグメントは、協働してスパイクを形成すると共に、スパイクが拡張する間に互いに離れるように移動することができる。
【0009】
これらのセグメントは、意図的な裂け目となる締結位置にもたらされる結合位置のポイントに発生する材料の意図的な脆弱化を、例えば、よりわずかな壁厚を使用することによって、合体して連結させることができる。この場合におけるスパイクの拡張は、スパイクが裂けて離間することに伴ってセグメントを互いに引き離す様に運動させる。これとは別に、セグメントは少なくとも部分的に連結されておらず、開始条件においてはこれらを協働して構造体内に圧入させるためのスパイクを形成し、その後、材料に開口を穿つこと無く、ダイ・ボタン手段により分離するように運動されるようにされても良い。
【0010】
本発明に従う部品アセンブリは、本発明に従うリベット要素およびまた、ファイバ複合材料の構造体を含む。特に、部品アセンブリは、リベット要素が構造体の背後で少なくとも1回折りたたまれるような領域を伴って係合するリベット領域を備えることを特徴とする。このような仕方で、特に良好な固定化が、比較的高い引抜き力に対して達成される。
【0011】
構造体内へのリベット要素の取り付けは、構造体の仕上げされた構造体の過剰の材料が、リベット領域の反対側でリベット要素を取り囲むような仕方で行われることが好ましい。
【0012】
本発明に従うダイ・ボタンは、本発明に従うリベット要素の組付けを提供しており、ダイ・ボタンは、リベット要素のスパイクの拡張のための拡張領域を含んでおり、この拡張領域は、それ自体が少なくとも局所的にスパイク様に形成されている。
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【0013】
この仕方において、ダイ・ボタンは、そのスパイクをリベット領域とダイ・ボタンの協働が開始される前、すなわちリベット領域のスパイクがダイ・ボタンのスパイク手段によって拡張される前に構造体内にまず圧入させることで、所望するリベット係合が製造できる。
【0014】
この方法の特に好ましい実施形態は、リベット要素およびダイ・ボタンの構造体内への圧入が、構造体の製造中に行なうことである。このような仕方において一方でリベット要素の組付けを行うことが、構造体の製造中というコンテキストで行うことができる。この仕方において、構造体の製造のために使用する治具を同時に使用して、リベット要素をダイ・ボタンへと圧入させると共にリベット要素と、ダイ・ボタンとの間を協働させるために必要な力を印加させることが可能となる。一方では、この事実は、ファイバ複合材料製の構造体の製造中に、材料に対し、当該プロセスの結果として、少なくともリベット要素がダイ・ボタンに圧入されることが許容され、またリベット係合の製造に必要な材料の変位を可能とする時間的な期間を提供されることが許容される。
【0015】
本発明は、比較的短尺のファイバおよびまた、比較的長尺のファイバを含むファイバ複合材料の両方との関係において効果的に利用することができる。短尺ファイバの構造体は、射出成形プロセスにおいて製造できる。これとの関係において、材料混合物は、首尾良く、これらの構造体の製造のために使用する治具を、リベット要素を組付けのために同時に使用することができる。長尺のファイバを含む複合材料は、ラミネート、すなわち、方向性を持ったファイバの個別プライを布状に積層することによって製造することができる。多くのプラスチック材料についてはこのため、シート金属部材を深く敷くと同様な仕方において特定の形状への治具手段による加熱下で、ラミネート部材をプレスすることができる。このために使用されるプレスは、その後、同時的にリベット要素および第・ボタンを柔軟な複合材料に適切に導入するようにすることができる。
【0016】
両方の場合、すなわち短尺ファイバ材料およびまた長尺ファイバ材料において、その状況を、本発明のリベット要素および本発明のダイ・ボタンがプロセスの結果として、少なくとも時間的期間で適切な柔らかさを有する材料に圧入することができるように利用することができる。
【0017】
本発明によるさらなる改良は、独立請求項、詳細な説明およびまた図面において上述した通りである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明について図面を参照しながら以下のように実施形態に従って説明する。
【図1】本発明のリベット要素の実施形態を示す異なる図。
【図2】本発明のリベット要素の実施形態を示す異なる図。
【図3】本発明のリベット要素の実施形態を示す異なる図。
【図4】ダイ・ボタン並びに本発明に従うリベット要素を構造体に取り付けることを可能とする工程を示す図。
【図5】本発明に従うダイ・ボタン並びに本発明に従うリベット要素を構造体に取り付けることを可能とする工程を示す図。
【図6】本発明に従うダイ・ボタン並びに本発明に従うリベット要素を構造体に取り付けることを可能とする工程を示す図。
【図7】本発明に従うリベット要素及びダイ・ボタン並びに本発明に従うリベット要素を構造体に取り付けることを可能とする工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図3は、本発明のリベット要素の実施形態を示す異なる図である。
【0020】
リベット要素は、フランジ・セクション21を備えており、フランジ・セクション21は、要素の中心軸15に関して径方向に延びている。フランジ・セクション21の一方側において締結セクション27が配置されており、締結セクション27には、フランジ部分21にまで上に延びる内ネジ29が形成されている。
【0021】
この実施形態においては、リベット要素は、結果としてナット要素として形成されている。しかしながらこのことは、義務的なものではない。他の実施形態では、本発明のリベット要素は、例えば、またボルト要素として形成することができ、ボルト要素は、締結セクションとして外ネジが形成されたシャフトを備える。
【0022】
締結セクション27から離間したフランジ部分21の下側は、リベット要素を組付ける構造体51のための接触面23を提供する(具体的には図6を参照のこと。)。接触面23には、複数の突出リブ25が備えられており、これらの突出リブ25は、径方向に延びて回転防止を提供している。
【0023】
リベット・セクション11は、締結セクション27から離れたフランジ部分21の側部に延びており、リベット・セクションの外径は、接触面23の領域で少なくとも実質的に円筒形の締結セクション27の外径に対応している。
【0024】
フランジ部分21から出発したリベット・セクション11は、まず実質的な円筒部分19を備えており、この円筒部分19は、先端、すなわち頂点に向かった方向にテーパとされたスパイクへと収れんしている。スパイクの先端には、ダイ・ボタン31(図5を参照のこと。)に対するファンネル形状の導入補助部17が設けられている。
【0025】
リベット領域11は、複数の舌状セグメント13によって形成されており、これらの舌状セグメント13は、フランジ領域21から開始し、かつ芽が閉じるようにしてリベット領域11のテーパ状スパイクを形成する。当該実施形態においては4つのセグメント13が、結果としてこれらが中心軸15に沿ってフランジ部分21から開始して先端の方向にまで狭くなるような仕方で設計されている。
【0026】
上述した様に、セグメント13は、互いに連結されるか、または例えば単純に互いが連結するまで非連結とさせておくことができる。
【0027】
リベット要素のスパイクは、リベット要素を、構造体にリベット要素のための開口を(まず)形成させる必要無しにリベット要素が組付けられる適切に柔らかい構造体へと圧入させることを可能とする。
【0028】
リベット要素を、対応する形状のダイ・ボタン手段によって構造体51に組付ける可能なシーケンスが図4〜図7に示されている。
【0029】
ダイ・ボタン31は、リベット要素のスパイクを拡張させるための部分33を備えており、ダイ・ボタンのこの部分33は、スパイクを形成する部分を備える様なものであり、当該実施形態では、円錐形である。この結果として、本発明のダイ・ボタン31は、構造体内へとそのスパイクが圧入される。
【0030】
円筒セクション37は、スパイクの中心軸と、スパイクに対して垂直に延びたダイ・ボタン31の平坦面35との間に形成されている。
【0031】
図5は、リベット要素のスパイクおよびまた、ダイ・ボタン31のスパイクが構造体51内に圧入され、ダイ・ボタン31の拡張セクション33は、しかしながら未だリベット要素のスパイクを拡張し始めていない状態を示す。
【0032】
全体として、ダイ・ボタンは、とりわけ直径および角度の関係がリベット要素のリベット・セクションに対応する形状となっており、その終状態は、図6に示すようになる。ダイ・ボタンと、リベット要素のリベット・セクション11との間の協働により、一方ではセグメント13が拡張され、他方では折りたたまれるので、折りたたまれたリベット・ビード30が構造体の下側に与えられる。図示する実施形態では、このリベットは、構造体51の下側面と面一に存在する。これは、しかしながら本質的ではなくリベット・ビードは、これとは別にまた構造体51の下側面で突き出しても良い。
【0033】
図6に示すように、構造体51の材料は、過剰の材料53がフランジ部分21の周りに、構造体51の上側部で環状に突出する。
【0034】
折りたたまれたリベット30は、リベット要素を押圧力に対して固定するので、フランジ部分21が引抜き力に対して固定される。
【0035】
導入部分ですでに述べた様に、リベット要素およびダイ・ボタン31の圧入は、それぞれ構造体51を製造するために使用される治具の補助によって行われる。本発明のリベット要素の導入は、結果としてどのような状況が発生しても製造プロセスのコンテキスト内で行われる。この製造プロセスは、具体的には、リベット要素およびダイ・ボタン31が、材料中に圧入することができるように、少なくとも暖かく、そのため時間的期間にわたり柔軟である材料が必要とされる。
【0036】
本発明は、従来ではリベット要素のために形成されていた開口無くしてリベット要素をファイバ複合材料製の構造体、また“有機シート”の用語が当てられる構造体に取り付けることを可能とする。これにより材料の不利益な脆弱化が、効果的な方法で避けられる。
【符号の説明】
【0037】
11: リベット領域
13: セグメント
15: 中心軸
17: 導入補助部
19: 円筒セクション
21: フランジ部分
23: 接触面
25: 回転防止手段、リブ
27: 締結セクション
29: 内ネジ
30: 曲げられたリベット・ビード
31: ダイ・ボタン
33: 拡張セクション
35: 平坦面
37: 円筒セクション
51: 構造体
53: 過剰材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にファイバ複合材料製の構造体(51)のためのリベット要素であって、少なくとも部分的に先端に向かった方向にテーパ付けされ、かつダイ・ボタン(31)手段によって拡張可能なスパイクの形状とされたリベット・セクション(11)を備えるリベット要素。
【請求項2】
前記リベット・セクション(11)が実質的に円形断面を有することを特徴とする、請求項1に記載のリベット要素。
【請求項3】
前記リベット・セクション(11)が、特に舌様のセグメントとして複数のセグメント(13)を備え、該セグメントが連結して前記スパイクを形成すると共に前記スパイクの拡張の間の互いに離間することを特徴とする、請求項2に記載のリベット要素。
【請求項4】
前記セグメント(13)がそれぞれ中心軸(15)に沿って前記スパイクの先端の方向へと狭められていることを特徴とする請求項3に記載のリベット要素。
【請求項5】
前記スパイクが少なくとも前記ダイ・ボタン(31)のための導入補助部(17)をその先端に備え、該導入補助部(13)が特にファンネル形状を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリベット要素。
【請求項6】
前記リベット・セクション(11)は、前記スパイクに続く少なくとも実質的に円筒部分(19)を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリベット要素。
【請求項7】
前記リベット・セクション(11)に対して径方向に突出すると共に対となる構造体(51)のための接触面(23)を備えるフランジ・セクション(21)を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリベット要素。
【請求項8】
前記フランジ・セクション(21)には、回転防止のため、特にリブ様の手段(25)が備えられていることを特徴とする、請求項7に記載のリベット要素。
【請求項9】
ナット要素として形成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリベット要素。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載されたリベット要素と、ファイバ複合材料製の構造体(51)とを含むことを特徴とする、部品アセンブリ。
【請求項11】
前記リベット要素の前記リベット・セクション(11)が、前記構造体(51)の背面に係合する、少なくとも一重に折りたたまれた領域を備えることを特徴とする、請求項10に記載の部品アセンブリ。
【請求項12】
前記構造体(51)の過剰材料(53)が、前記リベット・セクション(11)の反対側で前記リベット要素を取り囲むことを特徴とする、請求項10または11に記載の部品アセンブリ。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のリベット要素を組付けするためのダイ・ボタンであって、前記ダイ・ボタンは、前記リベット要素の前記スパイクを拡張するための拡張セクション(33)を備え、前記拡張セクション(33)は、少なくとも部分的に先端方向にテーパ付けされたスパイクとして形成されることを特徴とする、ダイ・ボタン。
【請求項14】
前記スパイクが、少なくとも実質的に円錐形を有することを特徴とする、請求項13に記載のダイ・ボタン。
【請求項15】
ファイバ複合材料製の構造体(51)内にリベット要素を組付けるための方法であって、リベット要素およびダイ・ボタン(31)はそれぞれスパイク様に形成されたセクションを備えており、前記リベット要素および前記ダイ・ボタン(31)を前記リベット要素のための開口を前記構造体(51)に提供されていない未処理の前記構造体(51)内に圧入し、前記リベット要素の前記スパイクを前記ダイ・ボタン(31)のスパイク手段によって拡張させてリベット連結を形成する、方法。
【請求項16】
前記リベット要素と前記ダイ・ボタン(31)の圧入が、特に前記構造体(51)を製造するためのジグ手段によって前記構造体(51)の製造中に行われ、前記ジグが特に前記構造体(51)を製造するための射出成形プロセスにおける手段、または前記構造体(51)の形状付けを行なうための手段であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記リベット要素のリベット・セクション(11)が、部分的に少なくとも1回折り重ねられていることを特徴とする、請求項15または請求項16のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−61069(P2013−61069A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−195818(P2012−195818)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【出願人】(512186689)プロフィル フェルビンドゥングステクニーク ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー (2)
【氏名又は名称原語表記】PROFIL Verbindungstechnik GmbH&Co.KG
【Fターム(参考)】