説明

リボン支管

【課題】 巻き取った使用済みリボンから支管を容易に分別でき、再利用や再資源化を容易にする技術の提供。
【解決手段】 支管3は3個の樋状分割体4から構成し、両端の外周面に各樋状分割体4を1周する円弧状のバンド溝5を形成する。各バンド溝5にゴムバンド7を装着すると、各分割体4が締め付けられて円筒状に位置決めされる。この状態の支管3に使用済みリボンを巻き取り、廃棄時には支管3からゴムバンド7を取り外して押しつぶす。支管3はリボン中央の穴から、分割体4として取り出すことができ、再利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頁幅のインクリボンを印字用紙と同時に搬送し、印字ヘッドから加えた熱でインクを印字用紙に転写するタイプのプリンタに用いて好適なリボン支管に関する。
【背景技術】
【0002】
値札のラベルやタグなどへの印字に用いるラベルプリンタでは、用紙幅寸法と同等かそれ以上の広幅なインクリボンを用いるものがある。
【0003】
この形式のプリンタでは、リボン供給側と使用済みリボン巻取側双方のスピンドルに、インクリボンの巻芯となる支管(「コア」、「ボビン」、「リール」ともいう。紙製の場合、特に「紙管」というが、本願中特に材質を限定しない場合、「支管」という)を装着して用いるのが一般的である。
【0004】
上記のようなリボン支管は、たとえば特許文献1等により知られ、紙管を紙と補強金具の鉄とに分別回収する方法が特許文献2により知られている。
【特許文献1】特開平9−234808号公報
【特許文献2】特開2002−119944号公報
【0005】
ところが、上記従来技術では、紙管自体を紙と鉄に分別回収することはできても、使用済みリボンを巻き取った支管から分離するのは困難であり、カッターでリボンを切り裂くか、全てのリボンを巻き戻すしかなく、リボンと支管を分けて捨てるには周囲が散らかり、廃棄物が嵩張るのを覚悟するか、あきらめるしかなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来技術の問題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、巻き取った使用済みリボンから支管を容易に分別でき、再利用や再資源化を容易にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明が採用する構成の特徴は、インクリボンを巻き取る円筒形の支管の外周面または内周面に、肉厚を減らすように軸方向に伸張する溝部を設けたことにある。
【0008】
ここで、上記リボン支管は、断面円弧の樋状分割体を複数組み合わせて円筒形とし、両端部を締め付けて固定することにより一体化するのが好ましい。
【0009】
また、上記樋状分割体は、両側面が他の樋状分割体との衝合部となり、該衝合部に他の樋状分割体と組み合わせたときに溝部となるテーパを形成するのが好ましい。
【0010】
上記構成より、支管を巻き取ったリボンごと押しつぶせば、溝部で支管が円周方向に割れて分断されるので、リボン中央の穴から支管の破片を取り出すことができる。
【0011】
ここで、樋状分割体を組合わせて円筒を形成した場合、使用時には支管の両端を締め付けておくことで支管として一体化され、使用後には両端の締め付けを緩め、リボンごと押しつぶせば、支管が容易に樋状分割体に分かれて回収できる。
【0012】
また、樋状分割体に衝合部とテーパを形成することで、支管形成時には分割体同士の位置決めが容易となり、押しつぶす時にはテーパ部分よりずれて破壊し易くなる。
以上により、リボンを解(ほぐ)したり切断せずに支管が分離できる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、回収される支管が破片となってしまうものの、シュレッダー屑のように再資源化困難な程に粉砕されることなく、まとめて回収できるので、紙や汎用プラスチックのような、素材に戻してリサイクルする場合に好適である。
【0014】
請求項2に係る発明では、予め破片のような大きさに分割した支管を集めて一体化したので、支管が破壊しても各分割体自体は無傷で回収することができる。よって、これを回収して再利用(リユース)すれば、再資源化(リサイクル)よりも有効な省資源対策となる。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項2の発明を実施するのに一つの有用な形態を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態につき図1ないし図5を参照しつつ詳細に説明する。なお、各実施の形態では同一構成要素に同一符号を付し、後の説明は省略するものとする。
【0017】
図1は本発明の第一の実施の形態にかかる外観図、図2は第二の実施の形態にかかる外観図、図3は第三の実施の形態にかかる外観図、図4は図2の支管にリボンを巻き取った状態の外観図、図5は図4のリボンを押しつぶして支管を回収する方法の説明図である。
【0018】
図1中、1は支管、2は支管1の肉厚を減らすように、内周面に形成されたV字状の溝部であり、該溝部2は支管1の中心軸から120度ずつ離れて3箇所に設けられ、軸方向に伸張している。
【0019】
支管1の材質としては、適度な強度と脆性(もろさ)を兼ね備えた紙や塩化ビニールやポリスチレンなどの汎用プラスチックが挙げられ、支管1はリボンごと押しつぶすことにより破片として回収される。この破片は、資源回収に有利な大きさなので、燃やして熱源としたり、溶解して素材に戻し再利用される。
【0020】
図2中、3は支管であり、3個の樋状分割体4から構成される。支管3両端の外周面には、各樋状分割体4を通して1周する円弧状のバンド溝5が形成され、ゴムバンド7を装着するようになっている。6は、前述2と類似の溝部である。該溝部6は、各樋状分割体4同士の境界に形成されるべく、各分割体4の両側面の衝合部(突き合わせ面)にテーパーを設けて構成されている。
【0021】
図3は図2の変形例であり、溝部を支管の外周面に設けたものである。図中、8は支管、9は樋状分割体、10はバンド溝、11は溝部である。支管8の作用効果は支管3とほぼ同様であるので、説明は省略する。
【0022】
図4は、支管3にインクリボンを巻き取った状態を示す外観図である。
支管3は、3個の樋状分割体4のバンド溝5にゴムバンド7を装着することにより各分割体4同士が締め付けられ、衝合部とテーパが位置決めされ、容易に支管形状となる。
そして、押しつぶす時には両端のゴムバンド7を取り外したことでテーパ部分よりずれて破壊し易くなっているので、図5のように、径方向外側から圧力をかけると、各分割体4同士がずれて衝合部がずれる。よって、リボン12を解(ほぐ)したり切断せずに支管3が分離できる。
【0023】
支管3、支管8を構成する各分割体4または9は、それ自身弾性変形を許すような材料で構成することによって無傷で取り出すことができるので、再資源化より有効な諸資源対策である再利用が可能である。
【0024】
本発明の実施の形態は以上のようなものであるが、上述した各形態は発明を現す一形態に過ぎず、本発明は請求項に記載した技術思想の範囲内での変形や均等物との置換が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す支管の外観図。
【図2】第二の実施の形態を示す支管の外観図。
【図3】第三の実施の形態を示す支管の外観図。
【図4】第三の実施の形態に係る支管の使用方法説明図。
【図5】第三の実施の形態に係る支管の使用方法説明図。
【符号の説明】
【0026】
1、3,8…支管、4,9…樋状分割体、5,10…バンド溝、2,6,11…溝部、12…リボン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンを巻き取る円筒形の支管であって、外周面または内周面に、肉厚を減らすように軸方向に伸張する溝部を設けたことを特徴とするリボン支管。
【請求項2】
前記リボン支管は、断面円弧の樋状分割体を複数組み合わせて円筒形とし、両端部を締め付けて固定することにより一体化したものである、請求項1記載のリボン支管。
【請求項3】
前記樋状分割体は、両側面が他の樋状分割体との衝合部となり、該衝合部に他の樋状分割体と組み合わせたときに溝部となるテーパを形成した、請求項2に記載のリボン支管。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−184315(P2008−184315A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21621(P2007−21621)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】