説明

リムーバブルメディア録画機器、リムーバブルメディア録画機器内蔵テレビ放送受信装置

【課題】消費電力を低減し、ファンの騒音も低減したリムーバブルメディア録画機器を提供する。
【解決手段】リムーバブルメディアを装着し、該リムーバブルメディアに情報を記録するリムーバブルメディアドライブ(3)と、前記リムーバブルメディアドライブにおける情報の記録を制御する録画用回路(2)と、前記リムーバブルメディアドライブ及び前記リムーバブルメディア制御部を冷却するファン(4)と、各部を制御する主制御部(1)とを備え、前記主制御部は、リムーバブルメディアへの情報の記録をすぐに開始できない条件を満たす場合、前記録画用回路及び前記ファンへの電力供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルーレイディスク等のリムーバブルメディアにテレビ放送などを録画することができる、リムーバブルメディア録画機器や、このようなリムーバブルメディア録画機器を内蔵したテレビ放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブルーレイディスク(以下、BD)等のリムーバブルメディアにテレビ放送などを録画するリムーバブルメディア録画機器や、このようなリムーバブルメディア録画機器を液晶テレビ等に内蔵したテレビ放送受信装置が普及してきている。さらにハードディスクも搭載し、リムーバブルメディアとハードディスクとの間で録画された番組を移動できるようにしたものもある。
【0003】
リムーバブルメディア録画機器は、録画用回路の消費電力が大きい。さらに、発熱量が多いため、動作中は冷却ファン等の冷却機能を必要とする。したがって、さらに消費電力が増大するという問題があった。さらに、冷却ファンの騒音の問題もあった。このような問題は、リムーバブルメディア録画機器を内蔵したテレビ放送受信装置においては特に顕著である。
【0004】
引用文献1には、一定期間以上操作がなされない場合、省電力のスリープ状態に入り、スリープ状態のときにディスクの挿入またはリモコンによる操作に応じてノーマル状態に自動復帰するDVDレコーダシステムが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−92627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
BD等のリムーバブルメディアに録画する録画機器は、起動時にディスクをマウントするのに時間を要するため、起動時間が長いという問題がある。同様に、ディスクをマウントするのに時間を要するという理由のため、消費電力を低減させるために非録画時に安易に録画用回路を停止させると、希望するタイミングで録画を開始させることができないという問題があった。
【0007】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、消費電力を低減し、ファンの騒音も低減したリムーバブルメディア録画機器及びリムーバブルメディア録画機器内蔵テレビ放送受信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のリムーバブルメディア録画機器は、リムーバブルメディアを装着し、該リムーバブルメディアに情報を記録するリムーバブルメディアドライブと、前記リムーバブルメディアドライブにおける情報の記録を制御するリムーバブルメディア制御部と、前記リムーバブルメディアドライブ及び前記リムーバブルメディア制御部を冷却するファンと、各部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記リムーバブルメディアドライブにリムーバブルメディアが装着されていない場合、前記リムーバブルメディアドライブに装着されているリムーバブルメディアが再生専用リムーバブルメディアなどで情報の記録に対応していない場合、前記リムーバブルメディアドライブに装着されているリムーバブルメディアがライトプロテクトされており、情報の記録が禁止されている場合等、リムーバブルメディアへの情報の記録をすぐに開始できない条件を満たす場合、前記リムーバブルメディア制御部及び前記ファンへの電力供給を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のリムーバブルメディア録画機器内蔵テレビ放送受信装置は、消費電力を低減し、ファンの騒音も低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明のリムーバブルメディア録画機器の実施の形態を説明する。
【0011】
本発明のリムーバブルメディア録画機器は、テレビ放送を受信し、テレビ放送信号や外部から入力された他の映像信号、音声信号を、BD等のリムーバブルメディアに録画することができる。BDに加え、又は、BDの代わりに、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等の他のリムーバブルメディアに録画できるようにしてもよい。
【0012】
本発明のリムーバブルメディア録画機器は、さらに、ハードディスクドライブを内蔵し、テレビ放送信号や外部から入力された他の映像信号、音声信号をハードディスクドライブに録画したり、ハードディスクとリムーバブルメディアとの間で録画した番組を移動できるようにしてもよい。
【0013】
図1は、本発明のリムーバブルメディア録画機器の構成の一例を示すブロック図である。本図においては、本発明の特徴である機能に関する部分のみを示すが、リムーバブルメディア録画機器が通常備える部分、例えば、テレビ放送受信チューナ等も備えることは当然である。
【0014】
図1において、リムーバブルメディア録画機器は、主制御部1と、リムーバブルメディア制御部2と、リムーバブルメディアドライブ3と、ファン4とを備える。
【0015】
主制御部1は、本リムーバブルメディア録画機器の各部を制御し、これら各部への電力供給を行う。リムーバブルメディア録画機器の電源オンに応じて、主制御部1は、制御信号PS_ONによってリムーバブルメディア録画機器の各部へ電力を供給する。主制御部1は、制御信号BD_P−CONによってリムーバブルメディア制御部2への電力供給を制御し、制御信号FAN_CNTによってリムーバブルメディア制御部2を介してファン4への電力供給を制御し、制御信号DRIVE_P−CONによってリムーバブルメディア制御部2を介してリムーバブルメディアドライブ3への電力供給を制御する。主制御部1は、制御信号COLD_RST#によって、起動時にリムーバブルメディア制御部2をリセットする。
【0016】
リムーバブルメディア制御部2は、主制御部1からの指示に応じてリムーバブルメディアドライブ3を制御し、リムーバブルメディアドライブ3やファン4への電力供給を行う。また、リムーバブルメディア制御部2は、リムーバブルメディアドライブ3に装着されたBD等の書き込み可能メディアへの情報の書き込みを行う録画用の回路を含む。
【0017】
リムーバブルメディアドライブ3は、BD、DVD等のリムーバブルメディアが装着され、リムーバブルメディアの回転、リムーバブルメディアへの情報の書き込み、リムーバブルメディアからの情報の読み出し等を行う。リムーバブルメディアドライブ3にリムーバブルメディアが装着されている場合、リムーバブルメディアドライブ3に備わる物理スイッチがオンになり、メディア検出信号が主制御部1に送信される。
【0018】
本発明のリムーバブルメディア録画機器においては、リムーバブルメディアへの録画をすぐに開始できない条件を満たす場合、リムーバブルメディア制御部2における録画用の回路と、ファン4への電力供給を停止し、スリープ状態にする。上記条件は、例えば、リムーバブルメディアが装着されていない、再生専用のリムーバブルメディアが装着されている。書込み禁止にした録画用リムーバブルメディアが装着されている、等である。
【0019】
上記のような、リムーバブルメディアへの録画をすぐに開始できない条件を満たす場合、録画可能にするためには、必然的に、録画可能なリムーバブルメディアを装着して、当該リムーバブルメディアをマウントする動作が必要となる。このマウントにかかる時間と比較すると、スリープ状態からの復帰にかかる時間は短く、相対的に無視できるため、録画用の回路と、ファン4への電力供給を停止し、スリープ状態に移行させ、消費電力の低減と、騒音の低減とを実現する。
【0020】
録画用のリムーバブルメディアが挿入されていて、空き容量があり、録画可能な状態にある場合、スリープ状態にすると復帰時にリムーバブルメディアのマウント処理が必要なため、スリープ状態からの復帰に時間がかかってしまう。したがって、このような状態にある場合には、録画用の回路と、ファン4への電力供給を停止せず、スリープ状態にならないようにし、いつでも録画できるよう状態を維持する。
【0021】
図2は、本発明のリムーバブルメディア録画機器の起動時の動作を説明するフローチャートである。
【0022】
ステップS101において、リムーバブルメディアドライブ3にリムーバブルメディアが装着されているかどうかを判定する。リムーバブルメディアドライブ3にリムーバブルメディアが装着されている場合、リムーバブルメディアドライブ3の物理スイッチがオンになり、メディア検出信号が主制御部1に送信される。
【0023】
リムーバブルメディアドライブ3にリムーバブルメディアが装着されていない場合、リムーバブルメディアへの録画をすぐに開始できない条件を満たしているので、ステップS104において、主制御部1は、リムーバブルメディア制御部2における録画用の回路と、ファン4への電力供給を停止し、スリープ状態に遷移し、動作を終了する。
【0024】
ステップS101でリムーバブルメディアドライブ3にリムーバブルメディアが装着されていると判定された場合、ステップS102において、リムーバブルメディアドライブ3に装着されているリムーバブルメディアが録画可能なものであるかどうかを判定する。例えば、リムーバブルメディアがリムーバブルメディアドライブ3に対応するものであり、且つ、BD−R、BD−RE、DVD−R、DVD−RWなどの録画可能なリムーバブルメディアであり、且つ、ライトプロテクトされておらず、且つ、録画するための空き容量がある場合、録画可能であると判定する。リムーバブルメディアがリムーバブルメディアドライブ3に対応していないものであったり、BD−ROM、DVD−ROM、CDなどの再生専用のリムーバブルメディアであったり、録画可能なリムーバブルメディアであってもライトプロテクトされていたり、録画するための空き容量がない場合、録画可能なものではないと判定する。
【0025】
リムーバブルメディアドライブ3に装着されているリムーバブルメディアが録画可能なものである場合、ステップS103において、主制御部1は、リムーバブルメディア制御部2における録画用の回路と、ファン4への電力供給を維持し、いつでも録画できる状態を維持する。
【0026】
リムーバブルメディアドライブ3に装着されているリムーバブルメディアが録画可能なものではない場合、リムーバブルメディアへの録画をすぐに開始できない条件を満たしているので、ステップS104において、主制御部1は、リムーバブルメディア制御部2における録画用の回路と、ファン4への電力供給を停止し、スリープ状態に遷移し、動作を終了する。
【0027】
次に、リムーバブルメディアの交換時、スリープ状態におけるリムーバブルメディアの装着時における動作について説明する。図3は、本発明のリムーバブルメディア録画機器のリムーバブルメディア装着時の動作を説明するフローチャートである。
【0028】
ステップS201において、リムーバブルメディアドライブ3にリムーバブルメディアが装着され、リムーバブルメディアドライブ3の物理スイッチがオンになり、メディア検出信号が主制御部1に送信される。
【0029】
ステップS202において、主制御部1は、リムーバブルメディア制御部回路2における録画用の回路と、ファン4への電力供給を開始する。
【0030】
ステップS203において、リムーバブルメディアドライブ3に装着されているリムーバブルメディアが録画可能なものであるかどうかを判定する。例えば、リムーバブルメディアがリムーバブルメディアドライブ3に対応するものであり、且つ、BD−R、BD−RE、DVD−R、DVD−RWなどの録画可能なリムーバブルメディアであり、且つ、ライトプロテクトされておらず、且つ、録画するための空き容量がある場合、録画可能であると判定する。リムーバブルメディアがリムーバブルメディアドライブ3に対応していないものであったり、BD−ROM、DVD−ROM、CDなどの再生専用のリムーバブルメディアであったり、録画可能なリムーバブルメディアであってもライトプロテクトされていたり、録画するための空き容量がない場合、録画可能なものではないと判定する。
【0031】
リムーバブルメディアドライブ3に装着されているリムーバブルメディアが録画可能なものである場合、ステップS204において、主制御部1は、リムーバブルメディア制御部回路2における録画用の回路と、ファン4への電力供給を維持し、いつでも録画できる状態を維持する。
【0032】
リムーバブルメディアドライブ3に装着されているリムーバブルメディアが録画可能なものではない場合、リムーバブルメディアへの録画をすぐに開始できない条件を満たしているので、ステップS205において、主制御部1は、リムーバブルメディア制御部2における録画用の回路と、ファン4への電力供給を停止し、スリープ状態に遷移し、動作を終了する。
【0033】
以上、説明したように、本発明のリムーバブルメディア録画機器においては、リムーバブルメディアへの情報の記録をすぐに開始できない条件を満たす場合、前記録画用回路及び前記ファンへの電力供給を停止することにより、消費電力を低減し、ファンの騒音も低減することができる。
【0034】
本発明のリムーバブルメディア録画機器は、特に、リムーバブルメディアとしてBDを用いる場合に好適である。BD用のリムーバブルメディア制御部のBD用録画回路は消費電力が大きく、スリープからの起動に時間がかかり、BDドライブの消費電力も大きく、BDはマウント時間も長い。BD用録画回路の最大負荷は、例えば1.84A/27.90W(15V入力時)であり、BDドライブの最大負荷は2.49A/37.33Wであり、合計の最大電力は4.35A/65.23W(15V入力時)である。また、BD用録画回路の起動時間は約10秒であり、BDマウント時間は、最長3分30秒(2層、200タイトル録画時)、最短50秒であり、合計、最長約3分40秒、最短約1分である。
【0035】
本発明は、上述したようなリムーバブルメディア録画機器を液晶テレビ等に内蔵したリムーバブルメディア録画機器内蔵テレビ放送受信装置としても実施可能である。リムーバブルメディア録画機器内蔵テレビ放送受信装置では、リムーバブルメディア録画機器を内蔵しないテレビ放送受信装置に比べて、消費電力、発熱量が極端に増大するため、より大きい効果が得られる。
【0036】
例えば、52型の液晶テレビにBD録画機器を内蔵した場合、BDドライブ及びBD用録画回路の電源をオンにした場合の消費電力は約360Wであるが、BDドライブ及びBD用録画回路の電源をオフにした場合の消費電力は約300Wにまで低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、リムーバブルメディア録画機器及びリムーバブルメディア録画機器内蔵テレビ放送受信装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のリムーバブルメディア録画機器の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明のリムーバブルメディア録画機器の起動時の動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明のリムーバブルメディア録画機器のリムーバブルメディア装着時の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 主制御部
2 リムーバブルメディア制御部
3 リムーバブルメディアドライブ
4 ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リムーバブルメディアを装着し、該リムーバブルメディアに情報を記録するリムーバブルメディアドライブと、
前記リムーバブルメディアドライブにおける情報の記録を制御する録画用回路と、
前記リムーバブルメディアドライブ及び前記リムーバブルメディア制御部を冷却するファンと、
上記各部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記リムーバブルメディアドライブにリムーバブルメディアが装着されているかどうかを判定し、装着されていない場合、前記録画用回路及び前記ファンへの電力供給を停止することを特徴とするリムーバブルメディア録画機器。
【請求項2】
リムーバブルメディアを装着し、該リムーバブルメディアに情報を記録するリムーバブルメディアドライブと、
前記リムーバブルメディアドライブにおける情報の記録を制御する録画用回路と、
前記リムーバブルメディアドライブ及び前記リムーバブルメディア制御部を冷却するファンと、
各部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記リムーバブルメディアドライブに装着されているリムーバブルメディアが情報の記録に対応しているかどうかを判定し、情報の記録に対応していない場合、前記録画用回路及び前記ファンへの電力供給を停止することを特徴とするリムーバブルメディア録画機器。
【請求項3】
リムーバブルメディアを装着し、該リムーバブルメディアに情報を記録するリムーバブルメディアドライブと、
前記リムーバブルメディアドライブにおける情報の記録を制御する録画用回路と、
前記リムーバブルメディアドライブ及び前記リムーバブルメディア制御部を冷却するファンと、
各部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記リムーバブルメディアドライブに装着されているリムーバブルメディアへの情報の記録が禁止されているかどうかを判定し、情報の記録が禁止されている場合、前記録画用回路及び前記ファンへの電力供給を停止することを特徴とするリムーバブルメディア録画機器。
【請求項4】
前記リムーバブルメディアドライブにリムーバブルメディアが装着されている場合、前記制御部は、前記リムーバブルメディアドライブに装着されているリムーバブルメディアが情報の記録に対応しているかどうかを判定し、情報の記録に対応していない場合、前記録画用回路及び前記ファンへの電力供給を停止することを特徴とする請求項1記載のリムーバブルメディア録画機器。
【請求項5】
前記リムーバブルメディアドライブにリムーバブルメディアが装着されている場合、前記制御部は、前記リムーバブルメディアドライブに装着されているリムーバブルメディアへの情報の記録が禁止されているかどうかを判定し、情報の記録が禁止されている場合、前記録画用回路及び前記ファンへの電力供給を停止することを特徴とする請求項1又は2記載のリムーバブルメディア録画機器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のリムーバブルメディア録画機器を内蔵したリムーバブルメディア録画機器内蔵テレビ放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−289316(P2009−289316A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139575(P2008−139575)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】