説明

リモコン及びトイレ設備

【課題】トイレ用機器が電源オフであることをトイレ使用者が容易に認識することができるリモコン及びトイレ設備を提供する。
【解決手段】リモコン20の電源スイッチ25を押すことにより、温水洗浄便座装置のヒータ電源の入切状態が切り替えられる。電源スイッチ25によってヒータ電源をOFFにして節電モードとすると、表示画面30にOFFが表示される。この節電モードでスイッチ22又は23を押しても節電動作は実行されず、警告音を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ用機器の電源をオフとする機能を有するリモコンと、このリモコン及びトイレ用機器を備えたトイレ設備とに関する。
【背景技術】
【0002】
各種機能を備えたトイレ用機器を操作するためのリモコンに表示画面を設け、この表示画面に各種機能の現状の設定条件を各機能ごとに個別に表示することは公知である。
【0003】
例えば、特開2006−194009号のリモコンでは、リモコンのおしり洗浄スイッチを押すと、おしり洗浄動作が実行されると共に、リモコンの表示画面に温水の温度や水勢を示す表示が表示される。
【特許文献1】特開2006−194009号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、温水洗浄便座の省エネ対策として、リモコンに本体電源をオフするための節電スイッチを設け、この節電スイッチを押すと、便器側の本体(温水洗浄便座)の電源をオフとし、ヒータ等の多消費電力機器への通電を停止するよう構成した商品が販売されている。
【0005】
トイレ用機器の使用者がこの節電スイッチを操作して本体電源をオフとしてトイレルームから退出した場合、次の使用者が本体電源がオフであることに気が付かないと、便座が冷たいあるいは使用しようとしても作動しないことなどから故障と勘違いするおそれがある。
【0006】
また、リモコンの節電のために、節電スイッチを操作したときにリモコンの液晶表示画面からすべての表示を消去するよう構成した場合、次のトイレ使用者が表示のない表示画面を見て故障又は電池切れと勘違いするおそれもある。
【0007】
本発明は、このような不具合を解消し、トイレ用機器が電源オフであることをトイレ使用者が容易に認識することができるリモコン及びトイレ設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のリモコンは、電源をオフとする機能を有するトイレ用機器を操作するためのリモコンであって、該トイレ用機器の電源をオフとするための電源オフスイッチと、表示画面とを有するリモコンにおいて、該電源オフスイッチによってトイレ用機器の電源をオフとした場合、該トイレ用機器の電源がオフであることを示す電源オフ表示を該表示画面に表示することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のリモコンは、請求項1において、前記トイレ用機器の電源をオフとした状態において、トイレ用機器の電源をオンとするためのスイッチ以外のスイッチが操作された場合、警告音の発生と表示画面での警告表示との少なくとも一方を行うと共に、当該スイッチの操作に応じた作動指令信号を出力しないことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3のリモコンは、請求項1において、前記トイレ用機器の電源をオフとした状態において、トイレ用機器の電源をオンとするためのスイッチ以外のスイッチが操作された場合、トイレ用機器の電源をオンとするための信号と、当該スイッチの操作に応じた作動指令信号とを送信すると共に、前記表示画面から電源オフ表示を消去することを特徴とするものである。
【0011】
請求項4のリモコンは、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記トイレ用機器の電源をオフとした場合、前記表示画面には電源オフ表示のみを表示することを特徴とするものである。
【0012】
請求項5のリモコンは、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記表示画面は7セグメントディスプレイによる時刻表示部を有しており、この時刻表示部を用いて前記電源オフ表示としてOFFを表示することを特徴とするものである。
【0013】
請求項6のトイレ設備は、電源をオフとする機能を有するトイレ用機器と、このトイレ用機器を操作するための請求項1ないし5のいずれか1項のリモコンを備えてなるものである。
【0014】
請求項7のトイレ設備は、請求項6において、前記トイレ用機器は、電源状態を示す信号を送信する手段を備えており、前記リモコンは、該トイレ用機器からの信号を受信する受信手段を備えており、該受信手段の受信結果からトイレ用機器の電源がオフであることが検知されるときには電源オフ表示を前記表示画面に表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜5のリモコンにおいては、リモコンの電源オフスイッチによってトイレ用機器の電源をオフとした場合、リモコンの表示画面にトイレ用機器の電源がオフであることを示す表示がなされるので、トイレ使用者はトイレ用機器が電源オフであることを容易に認識することができる。なお、画面に表示が存在するので、リモコンの電池切れであると誤認することもない。
【0016】
請求項2では、トイレ用機器の電源がオフであるときにリモコンの例えばおしり洗浄スイッチを操作した場合、警告音の発生と表示画面での警告表示との少なくとも一方が行われるので、トイレ用機器の電源がオフであることをより確実に認識することができる。なお、この場合、おしり洗浄動作を指令する信号は出力されず、おしり洗浄動作は実行されない。
【0017】
なお、市販のトイレ用機器用リモコンにあっては、スイッチ操作をすると所定時間「ピー」等の確認音を発するものが多い。この場合に、この「ピー」音とは別音、たとえばより長く継続する音、「ピ、ピ、ピ、ピ」という断続音、別周波数の音、音声、ブザー音などの別音を発することにより、トイレ用機器が電源オフであることをより確実に認識することができる。
【0018】
請求項3では、トイレ用機器の電源をオフとした状態において例えばおしり洗浄スイッチを操作した場合、トイレ用機器の電源がオンになると共に、おしり洗浄が実行され、且つ、表示画面から電源オフ表示が消える。このため、使用者が意図した通りの動作が実行されることになり、故障等の誤解が防止される。
【0019】
請求項4では、トイレ用機器の電源をオフとした場合に表示画面に電源オフ表示のみを表示させるので、液晶などの表示画面の電力消費を抑制することができる。
【0020】
請求項5では、時刻表示用の7セグメントディスプレイ表示部を利用したOFF表示を行うので、OFF表示専用の表示部が不要であり、表示画面のコスト削減を図ることができる。
【0021】
請求項6〜7のトイレ設備においても、トイレ使用者は、リモコンの表示により、トイレ用機器の電源がオフであることを容易に認識することができる。
【0022】
請求項7では、リモコンとトイレ用機器とは双方向通信を行うよう構成されている。トイレ用機器の電源がオフであるときには、トイレ用機器から送信されてくる電源オフを示す信号に基づいて、又はトイレ用機器から電源オンであることを示す信号が送信されてこないことに基づいて、トイレ用機器が電源オフであることが検知される。この検知結果に基づいてリモコンの表示画面にトイレ用機器が電源オフであることが表示される。
【0023】
従って、請求項7では、リモコンによってトイレ用機器の電源をオフとした状態とトイレ用機器の電源が実際にオフになっていることが必ず合致したものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な形態について説明する。第1図は実施の形態に係るリモコンの正面図であり、(a)図は本体電源ON時、(b)図は本体電源OFF時である。第2図はこのリモコンが設置されたトイレルームの斜視図である。
【0025】
本実施形態のトイレ用機器は、第2図に示すように、洋風水洗式便器に組み込まれた温水洗浄便座である。洋風便器1の後部に便座ボックス2が設置され、該便座ボックス2には、便座3及び便蓋4が回動可能に取り付けられている。便座3には着座センサ及び便座用ヒータが設けられている。
【0026】
この便座ボックス2の内部には、便座着座者の臀部を温水で洗浄するための温水洗浄装置の洗浄ノズル5,6と、洋風便器1を使用する者を検知するための人体検知センサ7が設けられている。便座ボックス2の側面には手動式フラッシュハンドル8が設けられている。
【0027】
図示は省略するが、便座ボックス2には、温水用ヒータ、脱臭装置、足元及び便鉢内を照らす照明装置、トイレルーム内にプラスイオンとマイナスイオンとを放出するイオン発生器、トイレルーム内を暖房する部屋暖房装置、便座ヒータ、温水用ヒータ及び部屋暖房装置への給電回路の入切状態の切替を行うヒータ電源スイッチ及びこれらの制御を行う制御回路並びに後述のリモコン20との赤外線による通信装置等が設けられている。
【0028】
トイレルームの壁面に設置されたリモコン20の前面下部に設けられた前蓋21には、第1図の通り、おしり洗浄用のおしりスイッチ22、ビデスイッチ23、洗浄停止用の止スイッチ24、及び電源スイッチ25が設けられている。
【0029】
おしりスイッチ22を押すと、洗浄ノズル5から温水が噴出し、臀部が洗浄される。ビデスイッチ24についても、該ビデスイッチ24を押すと洗浄ノズル6から温水が噴出する。止スイッチ24を押すと、これらの洗浄動作が停止する。電源スイッチ25を押すと、便座ボックス2側のヒータ電源スイッチが切状態とされ、便座ヒータ、温水ヒータ及び部屋暖房ヒータへの通電がオフとされる。電源スイッチ25をもう1回押すと、ヒータ電源スイッチが入状態とされ、制御回路によって通電制御される。
【0030】
おしり洗浄及びビデ洗浄の洗浄強さ、温水温度、便座温度、及び暖房温度を調節するためのスイッチ(図示略)はカバー21の裏側に設けられている。
【0031】
リモコン20の前面の上部には、液晶パネル等よりなる表示画面30が設けられている。この表示画面30には、時刻表示部31、リモコン20の電池残量を表示する電池残量表示部32、リモコン20からの信号光が便座ボックス2に向けて出力されたことを示すための表示部33、暖房装置の設定温度を表示する暖房温度表示部34、洗浄ノズル5から噴出する温水の水勢すなわち洗浄強さの表示部35、この温水の設定温度の表示部36、暖房便座3の設定温度の表示部37が設けられている。
【0032】
時刻表示部31は略「日」字形状の7セグメントディスプレイにより表示を行うものであり、第1図(a)に示す時刻表示と、第1図(b)に示す「OFF」表示との双方が可能となっている。このようにOFF表示を7セグメントディスプレイの時計表示部31を利用して行うので、表示画面の構造が簡易であり、その製造コストを低くすることができる。
【0033】
このリモコン20は、音声周波数にて発振する発振子を有した発振器が設けられている。この発振器は、「ピー」という音と、「ピ、ピ、ピ、ピ」という断続音とを発生可能なものである。
【0034】
温水洗浄便座装置のヒータ電源スイッチを入状態とした定常使用時にスイッチ22〜25を押すと、「ピー」という音が発生し、スイッチ操作を受け付けて動作指令信号がリモコン20から温水洗浄便座装置に出力されたことを使用者に知覚させるよう構成されている。
【0035】
上記の通り、電源スイッチ25を押すことにより、便座ボックス2側の各ヒータの入切状態が切り替えられる。ヒータが切状態とされることにより、温水洗浄便座装置は節電モードとされる。
【0036】
電源スイッチ25によって温水洗浄便座装置を節電モードとした場合、表示画面30の表示が第1図(b)に示すようにOFFのみを表示するものとなる。
【0037】
これにより、この表示を見た使用者は、温水洗浄便座装置が節電モードにあることを一目で認識することができる。なお、このOFF表示は連続的に表示されてもよく、点滅してもよい。
【0038】
このような節電モードとした状態において、おしりスイッチ22を押した場合の動作の諸例を、次の(1)〜(3)に示す。なお、おしりスイッチ22ではなくビデスイッチ23を押した場合も同様である。
【0039】
(1)第1例
節電モードとした状態において、おしりスイッチ22を押すと、リモコン20は「ピ、ピ、ピ、ピ」という断続音を発生する。おしり節電動作の指令信号は出力しない。
【0040】
使用者は、この断続音を耳にすることにより、温水洗浄便座装置が節電モードにあることを知る。そのため、おしり節電動作が開始しなくても、温水洗浄便座装置が故障していると誤認することがない。
【0041】
(2)第2例
この第2例は、上記第1例において「ピ、ピ、ピ、ピ」という断続音の代りに、又はこの断続音の発生と共に、表示画面30に警告表示を表示するようにしたものである。この警告表示としては、「OFF」表示を短い周期で点滅させることが例示される。なお、警告表示と上記の継続音発生との双方を行うのが、使用者が警告に気づき易く、好ましい。
【0042】
また、OFFの表示を行うと共に表示画面30の「温水」「便座」及び「暖房」の各文字を点滅させてこれらのヒータが切状態であることを表示するようにしてもよい。
【0043】
この警告表示を見ることにより、使用者は、温水洗浄便座装置が節電モードにあることを知る。そのため、おしり節電動作が開始しなくても、温水洗浄便座装置が故障していると誤認することがない。
【0044】
(3)第3例
この第3例では、節電モードとした状態においておしりスイッチ22を押すと、リモコン20は、節電モードの解除信号と、おしり洗浄動作の指令信号とを出力する。
【0045】
これにより、温水洗浄便座装置の節電モードが解除され、おしり洗浄動作が実行される。また、リモコン20の表示画面は、第1図(a)に示す定常画面に復帰する。
【0046】
[別の実施の形態]
上記の説明では、節電モードとした場合にヒータへの通電を切状態とするようにしているが、人体検知センサ7による人体検知動作など、その他の電気機器への通電も停止して該機器を停止状態とするよう構成してもよい。
【0047】
上記実施の形態は、リモコン20の電源スイッチ25によって節電モードを選択した場合に関するものであるが、温水洗浄便座装置側に節電モードであることを示す信号の発信手段を設け、リモコン20から節電モード指令信号を受けた場合に節電モードに入ったことを示す返信信号をリモコン20に向けて発信し、リモコン20側ではこの返信信号に基づいて節電モードに入り、第1図(b)のOFF表示を行うようにしてもよい。このようにすれば、温水洗浄便座装置側のモードとリモコン20側のモードが必らず合致したものとなる。例えば、何らかの理由で電源スイッチ25を押しても節電モード指令信号が温水洗浄便座装置に届かず、温水洗浄便座装置側の定常通電モードと節電モードとの切り替えが実行されず、温水洗浄便座装置側のモードとリモコン20側のモードとが食い違うことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態に用いられるリモコンの正面図である。
【図2】実施の形態に係るトイレ用機器及びリモコンが設置されたトイレルームの斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 洋風便器
2 便座ボックス
3 便座
4 便蓋
5,6 洗浄ノズル
20 リモコン
25 電源スイッチ
30 表示画面
31 時刻表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源をオフとする機能を有するトイレ用機器を操作するためのリモコンであって、
該トイレ用機器の電源をオフとするための電源オフスイッチと、
表示画面とを有するリモコンにおいて、
該電源オフスイッチによってトイレ用機器の電源をオフとした場合、該トイレ用機器の電源がオフであることを示す電源オフ表示を該表示画面に表示することを特徴とするリモコン。
【請求項2】
請求項1において、前記トイレ用機器の電源をオフとした状態において、トイレ用機器の電源をオンとするためのスイッチ以外のスイッチが操作された場合、警告音の発生と表示画面での警告表示との少なくとも一方を行うと共に、当該スイッチの操作に応じた作動指令信号を出力しないことを特徴とするリモコン。
【請求項3】
請求項1において、前記トイレ用機器の電源をオフとした状態において、トイレ用機器の電源をオンとするためのスイッチ以外のスイッチが操作された場合、トイレ用機器の電源をオンとするための信号と、当該スイッチの操作に応じた作動指令信号とを送信すると共に、前記表示画面から電源オフ表示を消去することを特徴とするリモコン。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記トイレ用機器の電源をオフとした場合、前記表示画面には電源オフ表示のみを表示することを特徴とするリモコン。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記表示画面は7セグメントディスプレイによる時刻表示部を有しており、
この時刻表示部を用いて前記電源オフ表示としてOFFを表示することを特徴とするリモコン。
【請求項6】
電源をオフとする機能を有するトイレ用機器と、このトイレ用機器を操作するための請求項1ないし5のいずれか1項のリモコンを備えてなるトイレ設備。
【請求項7】
請求項6において、前記トイレ用機器は、電源状態を示す信号を送信する手段を備えており、前記リモコンは、該トイレ用機器からの信号を受信する受信手段を備えており、該受信手段の受信結果からトイレ用機器の電源がオフであることが検知されるときには電源オフ表示を前記表示画面に表示することを特徴とするトイレ設備。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−197450(P2009−197450A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38962(P2008−38962)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】