説明

リモコン装置

【課題】リモコン装置本体とカバー体との位置関係に多少の誤差を生じても、シール性能が大きく損なわれるようなことがなく、リモコン装置本体とカバー体との間の所望領域への水滴などの進入を好適に防止することが可能なリモコン装置を提供する。
【解決手段】リモコン装置本体1の前面部11aおよびカバー体2の壁部22の一方から他方に向けて突出してリモコン装置本体1の幅方向に延びる第1のリブ5Aと、前記他方から前記一方に向けて突出して第1のリブ5Aの上面側に重なり、かつ前記幅方向に延びる第2のリブ5Bとを備えており、第1のリブ5A上には、この第1のリブ5Aの上面の一部を底部とし、かつ第2のリブ5Bの先端面51および前記一方の一部を両側壁とする凹溝50が前記幅方向に延びて形成され、この凹溝50の底部の全体または一部は、この凹溝50に進入した物質を凹溝50の長手方向端部に向けてガイド可能に傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器やその他の装置・機器類を遠隔制御するのに用いられるリモコン装置、さらに詳しくは、内部の所望領域に水滴やダスト類などが進入することを好適に防止することが可能とされたリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、給湯器用のリモコン装置は、データ表示部などを備えたリモコン装置本体に、化粧用のカバー体が取り付けられ、リモコン装置本体の前面部や側面部がカバー体によって覆われた構成とされているのが通例である。このような構成によれば、リモコン装置全体の体裁を良好とし、またリモコン装置本体の保護を図ることができる。一方、前記したようなリモコン装置が台所や洗面所などの壁面に取り付けられて使用される場合、水滴やダスト類が前記リモコン装置内部に進入し、リモコン装置本体とカバー体との間に進入する虞がある。カバー体にスピーカ用の開口部が形成されているような場合には、その虞がとくに大きい。水滴やダスト類が内部に進入し、これらがリモコン装置本体のデータ表示部の前面などに付着したのでは、リモコン装置の見栄えが悪くなる。
【0003】
そこで、従来においては、前記したような不具合を防止するための手段として、たとえば特許文献1に記載の手段がある。同文献に記載の手段においては、リモコン装置本体の前面部に、データ表示部の周囲を囲み、かつ前方に突出する環状のリブを形成し、このリブの先端をカバー体の後面に当接させるようにしている。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるような不具合があった。
【0005】
すなわち、前記従来技術は、図9(a)に模式的に示すように、リモコン装置本体84に設けられているリブ80の先端を、カバー体81に当接させ、この部分をシールする構造である。したがって、同図(b)に示すように、リブ80の先端がカバー体81から僅かに離反し、比較的小さな隙間82を生じただけで、前記シール状態は簡単に解除される。隙間82は、その上部および下部が開口し、リブ80の上方領域と下方領域とをストレートに連通させる形態であるために、水滴やダスト類はこの隙間82を通過し易い。一方、リモコン装置の組み立て作業を行なう場合、リモコン装置本体に対するカバー体の取り付け位置に誤差を生じ、リブ80の先端がカバー体81から離反した状態に組み立てられてしまう場合がある。従来においては、そのような組み立てがなされて、図9(b)に示したような隙間82が生じると、リブ80によるシール性能が大きく低下し、水滴やダスト類がデータ表示部の正面領域に進入し易くなるという不具合がある。
【0006】
なお、本発明の一部の構成にやや近似する手段として、特許文献2に記載された手段がある。同文献2に記載された手段においては、所望の防水対象領域の上方に、凹溝が形成されたリブを突設している。このような構成によれば、防水対象領域の上方にたとえば雨水が到達すると、この雨水は前記リブによって受けられて凹溝内に流入する。そして、この雨水は、前記凹溝内を流れて防水対象領域の側方にガイドされる。ところが、前記したようなリブをたとえばリモコン装置本体の前面部に設けて、このリモコン装置とカバー体との間に水滴などが進入しないようにするには、前記した特許文献1の場合と同様に、前記リブの先端をカバー体に対して、隙間の無い状態に当接させる必要がある。したがって、特許文献2に記載された手段では、特許文献1と同様な不具合を生じることとなり、上述した不具合を適切に回避することは困難である。
【0007】
【特許文献1】特開平9−322277号公報
【特許文献2】特開平11−233955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、リモコン装置本体とカバー体との位置関係に多少の誤差を生じても、このことに起因してシール性能が大きく損なわれるようなことがなく、リモコン装置本体とカバー体との間の所望領域に対して水滴やダスト類が進入することを好適に防止することが可能なリモコン装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明により提供されるリモコン装置は、リモコン装置本体と、このリモコン装置本体の前面部の正面に位置する壁部を有するカバー体と、を備えている、リモコン装置であって、前記リモコン装置本体の前記前面部および前記カバー体の前記壁部のうち、いずれか一方から他方に向けて突出し、かつ前記リモコン装置本体および前記カバー体の幅方向に延びる第1のリブと、前記他方から前記一方に向けて突出していることによって前記第1のリブの上面側に重なり、かつ前記幅方向に延びる第2のリブと、を備えているとともに、前記第1のリブ上には、この第1のリブの上面の一部を底部とし、かつ前記第2のリブの先端面および前記一方の一部を両側壁とする上部開口状の凹溝が前記幅方向に延びて形成されており、前記第1のリブのうち、少なくとも前記凹溝の底部に相当する箇所の全体または一部は、この凹溝に進入した物質を前記凹溝の長手方向端部に向けてガイド可能に上下方向に傾斜していることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、リモコン装置本体の前面部とカバー体の壁部との間の領域に、その上方または上部から水滴やダスト類などの物質が進入すると、この進入物質は、第1および第2のリブが設けられている箇所に到達した際にこれら第1および第2のリブの上面によって受けられ、凹溝に入り込む。次いで、前記進入物質は、前記凹溝の傾斜作用により、この凹溝の長手方向端部に向けて進行し、前記第1および第2のリブ上から排除される。したがって、前記進入物質が第1および第2のリブが設けられている箇所をそのまま通過して、その下方領域に進行することが防止される。したがって、第1および第2のリブの下方領域が水滴などの進入物質によって汚染されないようにすることができる。
【0012】
さらに、重要な効果として、本発明においては、第1および第2のリブを突き合わせるのではなく、これらを上下に重ね合わせた構造としており、たとえばリモコン装置本体に対するカバー体の取付けに誤差を生じて、リモコン装置本体の前面部とカバー体の壁部との間隔が多少増減しても、このことに起因して前記の重ね合わせ状態が容易に解除されることはない。また、第1および第2のリブどうしの間に上下方向の隙間が存在したとしても、この隙間は水平な姿勢であるため、その寸法が比較的小さい限りは、進入物質を通過させ難いものとなる。さらに、進入物質が水滴である場合には、表面張力によって水膜が生じ易く、この水膜がシール機能を発揮する効果も得られる。さらにまた、第1および第2のリブによって受けられた進入物質については、凹溝を利用してこれら第1および第2のリブ上から迅速に排除することも可能であるために、多くの進入物質が前記隙間に入り込むことも抑制される。このようなことから、本発明においては、前記従来技術とは異なり、リモコン装置本体とカバー体との位置関係に多少の誤差が生じたとしても、このことによって防滴および防塵用のシール性能が大きく低下するようなことはなく、その信頼性を高めることができる。
【0013】
また、本発明においては、凹溝を形成する手段として、第1および第2のリブを重ね合わせており、これらのリブ自体に凹溝を形成する必要はない。凹溝が形成されたリブを樹脂成形するには、金型が複雑化する(凹溝に相当する部分の金型を他の金型部分とは別体として、その部分の金型の抜き方向を他の金型部分とは相違させる必要がある)が、本発明によれば、そのような不具合も回避することができる。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1のリブの突出寸法は、前記第2のリブの突出寸法よりも大きくされている。
【0015】
このような構成によれば、第1および第2のリブの互いに重なり合う寸法を大きくとり、シール性能をより高めることが可能となる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記リモコン装置本体は、前記前面部において所望のデータ表示が可能なデータ表示部を有しているとともに、前記カバー体の前記壁部は、前記データ表示部を前記カバー体の前方から透視可能とする透明部を有しており、前記第1および第2のリブは、前記データ表示部の正面領域の上方または上部に設けられている。
【0017】
このような構成によれば、データ表示部の正面領域に水滴などが進入して、この領域の見栄えが悪くなることを適切に防止し、または抑制することができる。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1および第2のリブの下方に位置するようにして前記リモコン装置本体の前面部および前記カバー体の壁部に突設され、かつ前記幅方向に延びる第3および第4のリブをさらに備えており、これら第3および第4のリブは、少なくともそれらの先端部が上下方向において互いに接近または接触して重なり合ったシール構造部を構成している。
【0019】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。すなわち、リモコン装置の近傍で湯が使用されるような場合には、水蒸気がリモコン装置内にその下方から進入してくる可能性がある。これに対し、前記構成によれば、第3および第4のリブが設けられている箇所に対してその下方から水蒸気が到達すると、これら第3および第4のリブによって遮られて、これ以上に上方へ進行することが抑制され、第1および第2のリブが設けられている箇所の下方の特定領域が水蒸気によって汚染されないようにすることができる。第3および第4のリブは、第1および第2のリブと同様に、上下に重なり合っているために、これら2つのリブを突き合わせた構造と比較すると、優れたシール機能が得られることとなる。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1〜図5は、本発明が適用されたリモコン装置およびこれに関連する構成の一例を示している。本実施形態のリモコン装置Aは、たとえば給湯器の遠隔制御を行なうためのものであり、図1に示すように、台所や洗面所などの壁面9に取り付けられて使用される。図2によく表われているように、リモコン装置Aは、リモコン装置本体1およびカバー体2を具備して構成されており、リモコン装置本体1は、取付板3を利用して壁面9に取り付けられる。より具体的には、取付板3は、ネジ体40を利用して壁面9に固定され、またリモコン装置本体1は、その下部の突縁部14を取付板3の係止部33に係止させるとともに、ネジ体41を利用することにより取付板3に固定される。
【0023】
リモコン装置本体1は、図3に示すように、制御基板10と、これを収容する筐体11とを備えている。制御基板10は、給湯器の運転のオン・オフや目標給湯温度の設定制御などを行なうための電気および電子回路(図示略)を備えたものである。また、この制御基板10には、たとえば液晶パネルなどの画像表示用のディスプレイ装置10aや、スピーカ10bなども搭載されている。筐体11は、ディスプレイ装置10aの前面のデータ表示部Sを筐体11の正面から目視し得るようにたとえば透明樹脂製とされている。この筐体11の前面部11aの上部にはスピーカ10b用のスリット状の開口部19が形成され、また前面部11aの下部には、操作スイッチを構成する複数の操作用押圧部10cが形成されている(図2,図4を参照)。
【0024】
カバー体2は、リモコン装置本体1を保護しつつ、リモコン装置A全体の外観体裁を良好とする役割を果たすものであり、リモコン装置本体1の前面部11aおよびその上下左右の周側面部を覆うことが可能な合成樹脂製のケース状である。ただし、このカバー体2は、不透明な樹脂製の本体部2aと、透明樹脂板2bとを組み合わせて構成されている。本体部2aには、データ表示部Sを目視可能とする開口状の窓部21が形成されている。透明樹脂板2bは、この窓部21を塞いでいる。カバー体2には、リモコン装置本体1の操作用押圧部10cを押圧操作するための操作部20(図2を参照)や、スピーカ10b用のスリット状の開口部29なども設けられている。リモコン装置本体1に対するカバー体2の取り付け手段としては、筐体11に対してカバー体2を外嵌する手段が採用され、またカバー体2が筐体11から容易に抜け外れないように位置決めするための手段として、これらにはたとえば互いに係脱可能な凹凸状の係合用手段(図示略)が設けられている。
【0025】
リモコン装置本体1の前面部11a、およびこれに対面するカバー体2の壁部22の背面側には、第1ないし第4のリブ5A〜5Dが突設されている。これらはいずれも前面部11aまたは壁部22に一体的に形成された矩形断面状である。第1のリブ5Aは、前面部11aのうち、スピーカ用の開口部19,29よりも下方であって、データ表示部Sよりも高い位置に設けられている。また、この第1のリブ5Aは、図2および図4によく表われているように、リモコン装置本体1の幅方向に延びている。ただし、この第1のリブ5Aは、正面視略へ字状であり、長手方向略中央部が最も高く、かつ長手方向両端部に進むにしたがってその高さが徐々に低くなるように傾斜している。第3のリブ5Cは、データ表示部Sよりも低い位置に設けられており、リモコン装置本体1の幅方向に略直線状に延びている。
【0026】
第2のリブ5Bは、第1のリブ5Aと対をなすものであり、図2に表われているように、カバー体2の幅方向に延びている。ただし、その形態は、第1のリブ5Aと同様に、正面視略へ字状である。第4のリブ5Dは、第3のリブ5Cと対をなすものであり、カバー体2の幅方向に略直線状に延びている。
【0027】
図5に示すように、カバー体2がリモコン装置本体1に取り付けられている状態においては、第2のリブ5Bの一部が第1のリブ5Aの上面側に重なっている。同図のVa部拡大図によく表われているように、第1のリブ5Aの基端部上には、上部開口状の凹溝50が形成されている。この凹溝50は、第1のリブ5Aの基端部の上面を底部とし、かつ第2のリブ5Bの先端面51およびリモコン装置本体1の前面部11aの一部を両側壁とするものである。また、この凹溝50は、第1および第2のリブ5A,5Bと同様に、リモコン装置本体1の幅方向に正面視略へ字状に延びており、その長手方向両端はデータ表示部Sよりも幅方向外方に位置して開口している。第1および第2のリブ5A,5Bどうしの間には、隙間52が形成されている。この隙間52の高さ寸法L3としては、たとえば0.2mm程度が予定されている。このような程度の隙間52を予定しておけば、カバー体2の寸法やその取り付け位置に誤差が生じた場合に、第1および第2のリブ5A,5Bどうしを適切に重ね合わせることが困難になるといったことが適切に回避される。この点は、後述する他の隙間53についても同様である。もちろん、本発明においては、第1および第2のリブ5A,5Bが互いに接触し、前記した隙間52が存在しない構成とされていてもよい。好ましくは、第1のリブ5Aの突出寸法L1は、第2のリブ5Bの突出寸法L2よりも長くされている。
【0028】
第3および第4のリブ5C,5Dは、図5のVb部拡大図によく表われているように、それらの先端寄り部分どうしが上下方向に重なり合ったシール構造部を構成している。第3および第4のリブ5C,5Dどうしの間には、隙間53が形成されている。隙間53が発生しないように、第3および第4のリブ5C,5Dが互いに接触していてもよい点については、第1および第2のリブ5A,5Bの場合と同様である。
【0029】
次に、リモコン装置Aの作用について説明する。
【0030】
図5に示したように、リモコン装置Aが壁面9に取り付けられて使用されている場合、このリモコン装置Aに水がかかり、スピーカ用の開口部29に水滴やダスト類が進入する場合がある。このような場合、前記の進入物質がその後リモコン装置本体1の前面部11aとカバー体2の壁部22との間に進行し、第1および第2のリブ5A,5B上に到達すると、前記進入物質はそれらによって受けられる。第1および第2のリブ5A,5Bは、上下に重なり合っており、これらによって構成されたシール構造部には、その上方領域と下方領域とを上下方向にストレートに連通させる隙間は形成されていない。第1および第2のリブ5A,5Bどうしの隙間52は、略水平状であるために、この隙間52をダスト類などは通過し難い。また、隙間52内に水滴が進入した場合には、この隙間52内において表面張力に起因する水膜が形成され、それ以上に水滴が進入することが抑制される効果も期待できる。第1のリブ5Aの突出寸法L1を第2のリブ5Bの突出寸法L2よりも長くすると、第1および第2のリブ5A,5Bが重なり合う寸法を長くし、隙間52の長さ(リモコン装置本体1の前後方向の長さ)も長くすることが可能となる。したがって、進入物質が隙間52をより通過し難くすることができる。このようなことから、前記進入物質がデータ表示部Sの正面領域に向けて下降することは、適切に抑制される。
【0031】
また、前記進入物質が第1および第2のリブ5A,5B上に到達すると、この進入物質は凹溝50に入り込む。この凹溝50の底部は、その長手方向略中央部よりも長手方向両端部の方が低くなるように傾斜しているために、前記進入物質が水滴である場合には、凹溝50の長手方向両端部に向けて流れ、この凹溝50の長手方向両端の開口から下方に流れ落ちる。前記進入物質がダスト類の場合には、水滴のような円滑な排除は難しいものの、凹溝50内にダスト類を滞留し難くする効果が期待できる。このように凹溝50の作用によって第1および第2のリブ5A,5B上から進入物質が排除され易くなると、隙間52内に入り込もうとする進入物質の量が少なくなる。したがって、進入物質が第1および第2のリブ5A,5Bの形成箇所を下方に通過することがより抑制される。その結果、データ表示部Sの正面領域が前記進入物質によって汚染されないようにし、その領域を見栄えの良い状態に維持することができる。
【0032】
凹溝50の長手方向両端は、データ表示部Sよりも幅方向外方に位置している。このため、前記進入物質が凹溝50の長手方向両端の開口部からその下方に落下する際に、画像表示領域(データ表示部S)に入り込まないようにすることができる。前記進入物質は、前記凹溝50の両端からカバー体2の底壁部28上に落下し、この底壁部28によって受けられる。カバー体2およびリモコン装置本体1のそれぞれの底部または底部近傍の接合箇所に適当な隙間を形成し、この隙間から前記進入物質がリモコン装置Aの外部に排出されるようにしておけば、リモコン装置A内に前記進入物質が滞留したままとなる不具合も適切に回避される。
【0033】
リモコン装置Aが設置されている台所や洗面所で湯が使用されるような場合、水蒸気がリモコン装置A内にその下方から進入してくる可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、第3および第4のリブ5C,5Dが設けられている箇所にその下方から水蒸気が到達すると、この水蒸気は、それら第3および第4のリブ5C,5Dによって遮られ、それよりも上方に進行することが抑制される。第3および第4のリブ5C,5Dは、第1および第2のリブ5A,5Bと同様に、上下に重なり合っており、上下方向に延びた隙間を形成するものではないために、やはり水蒸気の進行を抑制する効果を充分に発揮する。その結果、データ表示部Sの正面領域に水蒸気が進入してその部分に水滴が発生することも適切に抑制される。
【0034】
前記したように、このリモコン装置Aにおいては、第1および第2のリブ5A,5Bを組み合わせたシール構造部、および第3および第4のリブ5C,5Dを組み合わせたシール構造部を有しているが、これらのシール構造部は、一対のリブを突き合わせた構造ではなく、一対のリブを上下に重ね合わせた構造とされている。したがって、リモコン装置本体1に対するカバー体2の取り付け位置に誤差があり、前面部11aと壁部22との間隔寸法に多少の狂いが生じても、これに起因して、前記したシール性能が大きく低下するといった不具合はない。また、リモコン装置本体1とカバー体2との取り付けが上下方向に位置ずれし、隙間52,53の寸法が多少増減した場合にも、前記シール性能はさほど大きく低下することはない。
【0035】
図6〜図8は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
【0036】
図6に示す実施形態においては、カバー体2の壁部22に第1のリブ5Aが設けられ、かつリモコン装置本体1の前面部11aには、第1のリブ5Aの上面側に重なった第2のリブ5Bが設けられた構成とされている。本実施形態においても、前記実施形態と同様なシール構造を構成することが可能である。本発明においては、2つのリブのうち、下方側のリブが第1のリブに相当し、上方側のリブが第2のリブに相当するが、本実施形態および前記実施形態から理解されるように、第1および第2のリブ5A,5Bはリモコン装置本体1およびカバー体2に対して個々に設けられていればよい。
【0037】
図7に示す実施形態においては、第1のリブ5Aの基端部に凸状の段部54が設けられており、凹溝50は、第2のリブ5Bの先端面51および段部54の側面54aを両側壁とするものとして形成されている。このような構成であっても、凹溝50は、前記実施形態のものと同様な作用を発揮する。段部54の側面54aは、リモコン装置本体1の前面部11aのうち、凹溝50を規定する一部分として認識することが可能であり、本実施形態のような構成も本発明の技術的範囲に包摂される。
【0038】
図8(a)に示す実施形態においては、第1のリブ5Aが正面視略円弧状に形成されている。このような構成においては、凹溝50(図示略)の底部もそれと同様な形状となるが、本発明においてはこのような構成とすることもできる。図8(b)に示す実施形態においては、第1のリブ5Aの一部に水平部Hを形成しており、それ以外の部分については、長手方向端部に進むほど高さが低くなるように傾斜している。本実施形態においては、凹溝50(図示略)の底部に水平な領域が部分的に形成されるが、それ以外の部分が傾斜していることによって水滴などを積極的に凹溝50の長手方向端部に進行させて排除することが可能である。図8(c)に示す実施形態においては、第1のリブ5Aが、長手方向一端から他端に向けて進むほどその高さが低くなるように一方向に傾斜している。このような構成によれば、凹溝50(図示略)の底部も一方向に傾斜することとなるが、水滴などを適切に凹溝50の長手方向一端側に進行させて排除することが可能である。
【0039】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。本発明に係るリモコン装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0040】
上述した実施形態では、第1ないし第4のリブがいずれも一定幅(正面視における上下方向の幅が一定)の帯状に形成されているが、これらの幅は一定でなくてもよい。また、各リブは、リモコン装置本体の前面部やカバー体の壁部に一体的に形成されていることが好ましいものの、やはりこれに限定されず、別体に形成された部材がリモコン装置本体の前面部やカバー体の壁部に接合されることによって設けられていてもよい。第1および第2のリブによって形成される凹溝の具体的な幅や深さなども限定されない。
【0041】
本発明は、データ表示部の正面領域に水滴やダスト類が進入することを防止するのに好適であるが、これに代えて、あるいはこれに加えて、たとえば電子回路が設けられている領域に水滴などが進入することを防止し、その領域の保護を図る目的で用いることも可能である。本発明でいうリモコン装置本体とは、リモコン装置の主要部をなす部分であり、その具体的な構成はとくに限定されるものではない。また、カバー体は、リモコン装置本体の前面部の正面に配される壁部を有するものであればよく、やはりその具体的な構成は限定されるものではない。本発明は、給湯器用のリモコン装置に限らず、それ以外の種々の装置、機器類のリモコン装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明が適用されたリモコン装置の一例を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示すリモコン装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示すリモコン装置の分解断面図である。
【図4】図1に示すリモコン装置のリモコン装置本体の正面図である。
【図5】図1に示すリモコン装置の一部拡大図を含む断面図である。
【図6】本発明の他の例を示す要部断面図である。
【図7】本発明の他の例を示す要部断面図である。
【図8】(a)〜(c)は、本発明の他の例を示す要部正面図である。
【図9】(a),(b)は、従来技術の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
A リモコン装置
S データ表示部
1 リモコン装置本体
2 カバー体
5A〜5D 第1ないし第4のリブ
11a 前面部(リモコン装置本体の)
22 壁部(カバー体の)
50 凹溝
51 先端面(第2のリブの)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモコン装置本体と、このリモコン装置本体の前面部の正面に位置する壁部を有するカバー体と、を備えている、リモコン装置であって、
前記リモコン装置本体の前記前面部および前記カバー体の前記壁部のうち、いずれか一方から他方に向けて突出し、かつ前記リモコン装置本体および前記カバー体の幅方向に延びる第1のリブと、
前記他方から前記一方に向けて突出していることによって前記第1のリブの上面側に重なり、かつ前記幅方向に延びる第2のリブと、を備えているとともに、
前記第1のリブ上には、この第1のリブの上面の一部を底部とし、かつ前記第2のリブの先端面および前記一方の一部を両側壁とする上部開口状の凹溝が前記幅方向に延びて形成されており、
前記第1のリブのうち、少なくとも前記凹溝の底部に相当する箇所の全体または一部は、この凹溝に進入した物質を前記凹溝の長手方向端部に向けてガイド可能に上下方向に傾斜していることを特徴とする、リモコン装置。
【請求項2】
前記第1のリブの突出寸法は、前記第2のリブの突出寸法よりも大きくされている、請求項1に記載のリモコン装置。
【請求項3】
前記リモコン装置本体は、前記前面部において所望のデータ表示が可能なデータ表示部を有しているとともに、前記カバー体の前記壁部は、前記データ表示部を前記カバー体の前方から透視可能とする透明部を有しており、
前記第1および第2のリブは、前記データ表示部の正面領域の上方または上部に設けられている、請求項1または2に記載のリモコン装置。
【請求項4】
前記第1および第2のリブの下方に位置するようにして前記リモコン装置本体の前面部および前記カバー体の壁部に突設され、かつ前記幅方向に延びる第3および第4のリブをさらに備えており、
これら第3および第4のリブは、少なくともそれらの先端部が上下方向において互いに接近または接触して重なり合ったシール構造部を構成している、請求項1ないし3のいずれかに記載のリモコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−185294(P2008−185294A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20431(P2007−20431)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【出願人】(503116659)ノーリツエレクトロニクステクノロジー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】