説明

リモコン送信機

【課題】主に各種電子機器の遠隔操作に使用されるリモコン送信機に関し、誤操作がなく、確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】送信手段18を複数の発光素子18Aから形成すると共に、電磁発電手段12を設け、この電磁発電手段12で複数の発光素子18Aを発光させることによって、電池等が不要になると共に、電磁発電手段12で生成された高電圧で複数の発光素子18Aを発光させ、遠くまで赤外線のリモコン信号を送信できるため、誤操作がなく、確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の遠隔操作に用いられるリモコン送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビやビデオ、エアコン等の各種電子機器の高機能化が進むなか、これらを遠隔操作するリモコン送信機においても、使い易く、確実な操作を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来のリモコン送信機について、図3を用いて説明する。
【0004】
なお、この図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0005】
図3は従来のリモコン送信機の断面図であり、同図において、1は略箱型で絶縁樹脂製のケースで、上面には複数の開口孔1Aが形成されている。
【0006】
また、2はゴム等の操作体で、下端に略ドーム状の薄肉部が設けられた複数の操作部2Aが形成されると共に、この複数の操作部2Aがケース1上面の複数の開口孔1Aから、上下動可能に突出している。
【0007】
そして、3は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板で、上面には銅やカーボン等によって複数の固定接点4が形成されると共に、この固定接点4が操作部2A下面の可動接点5と、所定の間隙を空けて対向して、複数のスイッチ接点が形成されている。
【0008】
さらに、6は絶縁樹脂製のカバーで、このカバー6がケース1下面を覆うと共に、カバー6内には電池7が収納され、この下面には絶縁樹脂製の蓋体8が装着されている。
【0009】
また、配線基板3の上下面には、発光ダイオード等の発光素子から形成された送信手段9や、配線パターン等を介して複数の固定接点4や電池7、送信手段9に接続されたマイコン等の制御手段10が設けられて、リモコン送信機が構成されている。
【0010】
以上の構成において、リモコン送信機を操作するテレビ等の電子機器に向けて、指で所定の操作部2Aを押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して操作部2Aが下方へ移動し、この下面の可動接点5が複数の固定接点4に接触して、可動接点5を介して複数の固定接点4の電気的接離が行われる。
【0011】
そして、この所定の操作部2A下方のスイッチ接点の電気的接離を制御手段10が検出し、これに応じて送信手段9の発光素子を発光させ、送信手段9から赤外線のリモコン信号が電子機器へ送信されて、例えば、テレビの電源の入/切や音量の増減等が遠隔操作によって行われる。
【0012】
つまり、複数の操作部2Aの押圧操作によって、この下方のスイッチ接点の電気的接離を行い、これに応じて制御手段10が送信手段9から赤外線のリモコン信号を送信することで、離れた場所に置かれた電子機器の様々な操作が行えるように構成されている。
【0013】
なお、このようなリモコン送信機においては、一般にDC1.5Vの電池7を二本直列に接続し、DC3Vの電源によって送信手段9の発光素子を発光させて、遠隔操作が行われているため、機器との遠隔操作可能な距離は7〜10m前後となっている。
【0014】
また、この電池7の消耗を防ぐため、非操作時には制御手段10にのみ電源を供給し、所定の操作部2Aが押圧操作され、これを制御手段10が検出した場合に、送信手段9にも電池7から電源を供給して、遠隔操作を行うように構成されているものであった。
【0015】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2010−50660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来のリモコン送信機においては、ある期間使用して電池7が消耗すると、これをカバー6内から取り出して交換する必要があり、手間がかかると共に、電池7が消耗して電圧が所定の値よりも小さくなった場合には、送信手段9の発光素子の輝度が低下して、送信される赤外線のリモコン信号が弱くなり、誤操作が生じ易くなってしまう場合があるという課題があった。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、誤操作がなく、確実な操作の可能なリモコン送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、送信手段を複数の発光素子から形成すると共に、電磁発電手段を設け、この電磁発電手段で複数の発光素子を発光させるようにしてリモコン送信機を構成したものであり、電池が不要になると共に、電磁発電手段で生成された高電圧で複数の発光素子を発光させ、遠くまで赤外線のリモコン信号を送信できるため、誤操作がなく、確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、誤操作がなく、確実な操作が可能なリモコン送信機を実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図
【図2】同回路図
【図3】従来のリモコン送信機の断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
【0023】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0024】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0025】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図、図2は同回路図であり、同図において、1は略箱型でポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製のケースで、上面には複数の開口孔1Aが形成されている。
【0026】
また、2はゴムやエラストマー等の操作体で、下端に略ドーム状の薄肉部が設けられた複数の操作部2Aが形成されると共に、この複数の操作部2Aがケース1上面の複数の開口孔1Aから、上下動可能に突出している。
【0027】
そして、11は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、この上面には銅やカーボン等によって、複数の固定接点4が形成され、この固定接点4が操作部2A下面のカーボン等の可動接点5と、所定の間隙を空けて対向して、複数のスイッチ接点が形成されている。
【0028】
さらに、12は電磁発電手段で、螺旋状に巻回された銅線等のコイル13内に、略柱状でフェライトやNd−Fe−B合金等の磁石14が、移動可能に挿通して形成されると共に、磁石14の両端にはゴムやばね等のダンパー(図示せず)が設けられている。
【0029】
また、15は複数のダイオード等が接続された整流回路、16はコンデンサ等の蓄電手段、17はレギュレータIC等の定電圧回路で、電磁発電手段12のコイル13両端が整流回路15に接続されると共に、定電圧回路17が蓄電手段16や整流回路15を介して、電磁発電手段12に接続されている。
【0030】
そして、18は送信手段で、発光ダイオード等の複数の発光素子18Aが、直列に接続されて形成されると共に、ツェナーダイオード等を介して、蓄電手段16や整流回路15に接続されている。
【0031】
さらに、19はマイコン等の制御手段、20はトランジスタ等の信号生成手段で、定電圧回路17との間にコンデンサが設けられた制御手段19に、信号生成手段20が抵抗を介して接続されると共に、この信号生成手段20に抵抗21を介して、送信手段18の複数の発光素子18Aが接続されている。
【0032】
そして、制御手段19に配線パターン等を介して、複数のスイッチ接点の固定接点4や送信手段18、電磁発電手段12や整流回路15等が接続されると共に、ケース1下面を絶縁樹脂製のカバー22が覆って、リモコン送信機が構成されている。
【0033】
以上の構成において、リモコン送信機を手で持って所定方向へ振ると、電磁発電手段12の磁石14がコイル13内を移動して電磁力が生じ、コイル13に電流が流れてAC10〜20V前後の高電圧が発生し、これが整流回路15を通った後、DC12V前後の電源として蓄電手段16に充電される。
【0034】
そして、この後、リモコン送信機を操作するテレビ等の電子機器に向けて、指で所定の操作部2Aを押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して操作部2Aが下方へ移動し、この下面の可動接点5が複数の固定接点4に接触して、可動接点5を介して複数の固定接点4の電気的接離が行われる。
【0035】
そして、この所定の操作部2A下方のスイッチ接点の電気的接離を制御手段19が検出し、これに応じて信号生成手段20を駆動させて送信手段18の複数の発光素子18Aを発光させ、送信手段18から赤外線のリモコン信号が電子機器へ送信されて、例えば、テレビの電源の入/切や音量の増減等が遠隔操作によって行われる。
【0036】
つまり、複数の操作部2Aの押圧操作によって、この下方のスイッチ接点の電気的接離を行い、これに応じて制御手段19が送信手段18から赤外線のリモコン信号を送信することで、離れた場所に置かれた電子機器の様々な操作が行えるように構成されている。
【0037】
なお、この時、上記のようなスイッチ接点の電気的接離や制御手段19の検出、信号生成手段20の駆動等は、蓄電手段16のDC12V前後の電圧を定電圧回路17が変換し、定電圧回路17から供給されるDC3Vを電源として行われる。
【0038】
これに対し、送信手段18には蓄電手段16から、ツェナーダイオードを通してDC12V前後の高電圧が供給され、この高い電圧によって複数の発光素子18Aが発光する。
【0039】
すなわち、電磁発電手段12によって生成された高電圧電源は、スイッチ接点や制御手段19、信号生成手段20等には定電圧回路17によって、DC3Vの電源として供給されるが、送信手段18には蓄電手段16から、DC12V前後の高電圧のままで供給される。
【0040】
つまり、電磁発電手段12で生成されたDC12V前後の高電圧によって、送信手段18の直列に接続された、複数の発光素子18Aの発光が可能になると共に、送信される赤外線のリモコン信号の到達距離が12〜17m前後となり、より遠く離れた機器の遠隔操作が行えるように構成されている。
【0041】
そして、上記のように操作の都度、リモコン送信機を振ることで、電磁発電手段12によって高い電圧電源を生成し、これによって遠隔操作を行うようになっているため、電池等の電源が不要となって、電池交換といった手間もなくなると共に、電池電圧の低下による誤操作等も生じないようになっている。
【0042】
なお、以上の説明では、電磁発電手段12で生成された高電圧によって複数の発光素子18Aを発光させ、遠くまで赤外線のリモコン信号を送信する構成について説明したが、遠隔操作する距離がそれほど必要ではない場合には、複数の発光素子18Aに接続された抵抗21を抵抗値の大きなものとすることで、発光素子18Aに流れる電流を減らし、使用電力の少ない省電力化を図ったものとすることも可能である。
【0043】
また、以上の説明では、配線基板11上に操作体2を載置し、操作部2A下面の可動接点5と、配線基板11上面の固定接点4を対向配置して、複数のスイッチ接点を形成した構成について説明したが、配線基板11上面の固定接点4上に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を載置したものや、あるいは配線基板11上面に個別のプッシュスイッチ等を実装したもの等、様々なスイッチ接点を用いた構成としても、本発明の実施は可能である。
【0044】
このように本実施の形態によれば、送信手段18を複数の発光素子18Aから形成すると共に、電磁発電手段12を設け、この電磁発電手段12で複数の発光素子18Aを発光させることによって、電池等が不要になると共に、電磁発電手段12で生成された高電圧で複数の発光素子18Aを発光させ、遠くまで赤外線のリモコン信号を送信できるため、誤操作がなく、確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によるリモコン送信機は、誤操作がなく、確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の遠隔操作用として有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 ケース
1A 開口孔
2 操作体
2A 操作部
4 固定接点
5 可動接点
11 配線基板
12 電磁発電手段
13 コイル
14 磁石
15 整流回路
16 蓄電手段
17 定電圧回路
18 送信手段
18A 発光素子
19 制御手段
20 信号生成手段
21 抵抗
22 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱型のケースと、このケース上面から操作部が突出した操作体と、この操作部の操作によって電気的接離を行うスイッチ接点と、このスイッチ接点の電気的接離に応じて、送信手段からリモコン信号を送信する制御手段からなり、上記送信手段を複数の発光素子から形成すると共に、電磁発電手段を設け、この電磁発電手段で複数の発光素子を発光させるリモコン送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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