説明

リモコン雲台システム

【課題】 2台のテレビカメラ装置を同期してパン/チルト動作させる場合に生ずる合成映像の不自然さを解消する。
【解決手段】 2台のテレビカメラ装置の焦点距離に関する焦点距離情報が異なる場合に、各テレビカメラ装置によって撮影される映像の移動速度が同じとなるように補正したパン/チルト補正速度で、テレ側のテレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作させるリモコン雲台システムを提供することにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリモコン雲台システムに係り、特にテレビカメラ装置を搭載する2台の雲台を同期制御する雲台コントローラを備えたリモコン雲台システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビカメラ装置を遠隔操作する場合には、リモコン雲台システムを使用することが多い。リモコン雲台システムは、パン機能及びチルト機能を備えた雲台、雲台に搭載されるテレビカメラ装置、雲台及びテレビカメラ装置を遠隔操作するための雲台コントローラ等から構成される。雲台と雲台コントローラは、ケーブルや通信回線を介して接続される。例えば、雲台及びテレビカメラ装置は撮影場所等に配置され、雲台コントローラは放送局の操作室等に配置される。
【0003】
雲台コントローラは、雲台に対して、雲台やテレビカメラ装置を制御するための制御信号を送信する。雲台コントローラでの操作により制御できる制御項目としては、テレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作(以下、パン/チルト動作という)させるパン/チルト制御や、テレビカメラ装置のレンズのズーム制御、フォーカス制御等がある。
【0004】
ところで、2台のテレビカメラ装置が撮影した2つの映像を、クロマキーシステムによって合成する技術が知られている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。
【0005】
このようなテレビカメラ装置の多くは雲台に搭載されている。そして、雲台コントローラから雲台に対してパン/チルト制御を行うことにより、各テレビカメラ装置がパン/チルト動作を行う。
【特許文献1】特開平5−244630号公報
【特許文献2】特開平7−154819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、雲台コントローラでの操作により、レンズの焦点距離(ズーム位置)が異なる2台のテレビカメラ装置を同期してパン/チルト動作させた場合、各テレビカメラ装置は同じ速度でパン/チルト動作させられるが、各テレビカメラ装置によって撮影される映像の移動速度が相対的に異なり、その合成映像が不自然になる。その結果、この合成映像を見る者に違和感を感じさせることが判明した。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、2台のテレビカメラ装置を同期してパン/チルト動作させる場合に生ずる合成映像の不自然さを解消したリモコン雲台システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、テレビカメラ装置を搭載すると共に、前記テレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作させる2つの雲台と、操作部からの操作情報に基づいて、前記2つの雲台を制御し、前記2つの雲台に搭載される各テレビカメラ装置を同期してパン動作及び/又はチルト動作させることのできる雲台コントローラと、を備えたリモコン雲台システムであって、前記2つの雲台に搭載される各テレビカメラ装置の焦点距離に関する焦点距離情報を夫々取得する焦点距離情報取得手段と、前記焦点距離情報取得手段により取得された各焦点距離情報が異なる場合に、前記2つの雲台に搭載される各テレビカメラ装置によって撮影される映像の移動速度が同じとなるように補正した補正速度で、焦点距離が長い側のテレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作させる制御を行う制御手段と、を前記雲台コントローラに備えたリモコン雲台システムを提供する。
【0009】
本発明によれば、2台のテレビカメラ装置の焦点距離情報が異なる場合、各テレビカメラ装置によって撮影される映像の移動速度が同じとなるように補正した補正速度で、テレ側のテレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作させる。これにより、2台のテレビカメラ装置を同期してパン/チルト動作させる場合、各テレビカメラ装置により撮影された映像の移動速度は同じになる。この結果、これらの映像の合成映像の不自然さは解消される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリモコン雲台システムであって、前記制御手段は、前記焦点距離情報取得手段により取得された各焦点距離情報が異なる場合に、前記操作情報に基づいた速度で、ワイド側のテレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作させる制御を行うとともに、前記操作情報に基づいたパン動作及び/又はチルト動作の速度に、ワイド側のテレビカメラ装置の画角に対する前記テレ側のテレビカメラ装置の画角の比を乗じることによって補正した補正速度で、前記テレ側のテレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作させる制御を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項2の態様によれば、雲台コントローラの操作部からの操作情報に基づく速度に、ワイド側のテレビカメラ装置の画角に対するテレ側のテレビカメラ装置の画角の比を乗じることによって補正した速度で、テレ側のテレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作させる。これにより、請求項1の態様と同様に、各テレビカメラ装置により撮影された映像の移動速度を同じとすることができ、これらの映像の合成映像の不自然さは解消される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るリモコン雲台システムによれば、2台のテレビカメラ装置を同期してパン/チルト動作させる場合に、焦点距離が長い側のテレビカメラ装置のパン動作及び/又はチルト動作の速度を補正したので、2台のテレビカメラ装置により撮影された映像の移動速度が同じとなる。この結果、これらの合成映像の不自然さは解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明に係るリモコン雲台システムの全体構成図である。リモコン雲台システム1は、テレビカメラ装置20A、20Bをそれぞれ搭載した雲台10A、10Bと、雲台10A、10Bを遠隔制御する雲台コントローラ30とから主に構成される。雲台10A、10Bは、それぞれ支持台12A、12Bによって支持される。
【0014】
雲台10Aは、ケーブル22を介して直接雲台コントローラ30に接続される。一方、雲台10Bは、ケーブル23を介してシステムコントローラ24に接続される。システムコントローラ24は、モデム25、26、専用回線や公衆回線等の通信回線27を介して、雲台コントローラ30に接続され、雲台10Bと雲台コントローラ30との各種信号の送受信等を行う。例えば、雲台コントローラ30は放送局の操作室に、雲台10Aは放送局のスタジオに、雲台10Bは屋外に、それぞれ設置される。
【0015】
次に雲台10Aの構成等について説明する。なお雲台10Aと雲台10Bの構成は共通するため、雲台10Bについての説明は省略する。
【0016】
雲台10Aには、パン用モータ(不図示)及びチルト用モータ(不図示)が内蔵されている。パン用モータは、雲台10Aの内周部に固定され、その出力軸に取り付けられたウォームギア(不図示)が、図1の破線で示すパン軸14Aに固定されたウォームホイール(不図示)に噛合されている。パン用モータを駆動すると、ウォームギアがウォームホイールの周りを周回移動する。これにより、雲台10Aが、ウォームギアと共に、パン軸14Aを中心に回動する。
【0017】
チルト用モータの出力軸は、図1の破線で示すチルト軸16Aに連結されている。そしてチルト軸16Aには、カメラハウジング18Aが連結されている。チルト用モータを駆動すると、チルト軸16Aが回動する。これにより、カメラハウジング18Aがチルト軸16Aを中心に揺動する。
【0018】
テレビカメラ装置20Aは、雲台10Aのカメラハウジング18Aに取り付けられる。そのため、雲台10Aに内蔵されるパン用モータ、チルト用モータの駆動によって、テレビカメラ装置20Aがパン/チルト動作をする。
【0019】
雲台コントローラ30には、図1に示すように、ジョイスティック32、ズームつまみ34、フォーカスつまみ36、雲台選択ボタン40A、40B、ショットボタン群42を備える。
【0020】
雲台選択ボタン40A、40Bは、雲台コントローラ30の制御対象とする雲台10A、10Bを選択するためのボタンである。雲台選択ボタン40Aが押下されると、雲台10Aが制御対象となる。一方、雲台選択ボタン40Bが押下されると、雲台10Bが操作対象となる。従って、雲台選択ボタン40A、40Bの両方が押下された場合は、雲台10Aと雲台10Bが制御対象となる。
【0021】
以下、説明の便宜上、雲台選択ボタン40A及び/又は40Bが押下され、雲台コントローラ30の制御対象となった雲台を符号10で記載し、その雲台に搭載されているテレビカメラ装置を符号20で記載する。
【0022】
ジョイスティック32を左右方向に操作すると、雲台10のパン用モータが駆動して、その操作量に応じた速度でテレビカメラ装置20がパン動作する。また、ジョイスティック32を前後方向に操作すると、雲台10のチルト用モータが駆動して、その操作量に応じた速度でテレビカメラ装置20がチルト動作する。
【0023】
雲台選択ボタン40A、40Bの両方が押下された状態で、上記のジョイスティック32の操作が行われると、テレビカメラ装置20A、20Bが同期してパン/チルト動作を行う。
【0024】
ズームつまみ34を回動操作すると、テレビカメラ装置20は、その回動方向に対応する方向(テレ側又はワイド側)に、テレビカメラ装置20に搭載されるズームレンズ(不図示)を移動し、ズーム調整を行う。
【0025】
フォーカスつまみ36を回動操作すると、テレビカメラ装置20は、その回動位置に応じたフォーカス位置に、テレビカメラ装置20に搭載されるフォーカスレンズ(不図示)を移動し、フォーカス調整を行う。
【0026】
ショットボタン群42は、テレビカメラ装置20の所望のショット情報を複数登録するとともに、登録された任意のショット情報を選択して再生するためのボタン群である。なお各ショット情報は、パン位置、チルト位置、ズーム位置及びフォーカス位置を示す情報から構成される。登録された任意のショット情報を選択するショットボタン群42のボタンが押下されると、選択されたショット情報が雲台10に送信される。そして、雲台10に搭載されるテレビカメラ装置20は、そのショット情報に示す位置に自動で再生される。
【0027】
雲台10A、10Bにそれぞれ搭載されるテレビカメラ装置20A、20Bによって撮影された映像50A、50Bは、不図示の映像回線を介して、クロマキーシステム52に送られる。
【0028】
クロマキーシステム52は、映像50Aの背景を映像50Bに入れ替えた合成映像54を生成し、その合成映像54をモニター等に出力する。なお、クロマキーシステム52が映像50Aの背景と非背景とを識別できるようにするため、映像50Aの背景に特定の色が使用される。特に、背景の色としてブルーが使用されることが多い。
【0029】
図2は、図1に示したリモコン雲台システム1の要部構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、雲台コントローラ30は、主として、操作部44、コントローラ制御部46及びスイッチ部49から構成されている。
【0031】
操作部44は、図1に示したジョイスティック32、ズームつまみ34、フォーカスつまみ36、雲台選択ボタン40A、40B、ショットボタン群42から構成されている。
【0032】
コントローラ制御部46は、操作部44とスイッチ部49に接続される。コントローラ制御部46は、操作部44の操作を検出し、検出した操作に基づいて各種処理を実行する。
【0033】
スイッチ部49は、開閉自在なスイッチ49A、49Bから構成される。スイッチ49A、49Bの一端はコントローラ制御部46に共に接続される。またスイッチ49Aの他端は、雲台10Aの雲台制御部60Aに接続され、スイッチ49Bの他端は、雲台10Bの雲台制御部60Bに接続される。
【0034】
コントローラ制御部46は、雲台選択ボタン40Aの押下を検出すると、スイッチ部49に対して、スイッチ49Aの開閉を指示する制御信号を送出する。同様にコントローラ制御部46は、雲台選択ボタン40Bの押下を検出すると、スイッチ部49に対して、スイッチ49Aの開閉を指示する制御信号を送出する。
【0035】
スイッチ部49は、コントローラ制御部46からスイッチ49A(又は49B)の開閉を指示する制御信号を受信すると、スイッチ49A(又は49B)が開いた状態である場合はスイッチ49A(又は49B)を閉じる動作を行い、スイッチ49A(又は49B)が閉じた状態である場合はスイッチ49A(又は49B)を開く動作を行う。
【0036】
コントローラ制御部46がジョイスティック32等の操作を検出した場合、コントローラ制御部46は、検出した操作に基づく制御信号を生成し、その制御信号をスイッチ部49に対して送信する。
【0037】
コントローラ制御部46から送信された制御信号は、スイッチ49A、49Bの開閉状態により、雲台10A、10Bに送信される。すなわち、スイッチ49A、49Bが共に閉じた状態のときは、雲台10A、10Bに制御信号が送信される。この場合、雲台コントローラ30の操作部44の操作によって、2つの雲台10A、10Bが同期制御される。
【0038】
一方、スイッチ49A、49Bのいずれか一方のみが閉じた状態のときは、閉じた状態のスイッチ49A(又は49B)の一端と接続する雲台10A(又は10B)にのみ制御信号が送信される。この場合、任意の雲台10A(又は10B)が、雲台コントローラ30の操作部44の操作によって単独で制御される。
【0039】
次に、雲台10Aについて説明する。なお雲台10Bについての説明は、雲台10Aと共通するので省略する。
【0040】
図2に示すように、雲台10Aは、主として、雲台制御部60A、パン駆動部/位置検出部62A、チルト駆動部/位置検出部64A、ズーム駆動部/位置検出部66A、フォーカス駆動部/位置検出部68Aから構成される。
【0041】
雲台制御部60Aは、雲台30のパン駆動部/位置検出部62A、チルト駆動部/位置検出部64Aのそれぞれからパン方位(パン位置)を示すパン情報、チルト角度(チルト位置)を示すチルト情報を取得するとともに、コントローラ制御部46から送信される制御信号に基づいて、パン駆動部/位置検出部62A、チルト駆動部/位置検出部64Aのそれぞれに駆動信号を与える。
【0042】
パン駆動部/位置検出部62A、チルト駆動部/位置検出部64Aは、雲台制御部60Aから与えられた駆動信号に基づいて、それぞれパン用モータ、チルト用モータを駆動する。
【0043】
これにより、操作部44のジョイスティック32の操作に基づく速度で、テレビカメラ装置20Aがパン/チルト動作を行う。
【0044】
また、雲台制御部60Aは、パン駆動部/位置検出部62A、チルト駆動部/位置検出部64Aから取得したパン情報、チルト情報を適宜コントローラ制御部46に送信する。
【0045】
雲台制御部60Aは、ズーム駆動部/位置検出部66A、フォーカス駆動部/位置検出部68Aのそれぞれからテレビカメラ装置20Aのズームレンズのズーム位置(焦点距離)を示すズーム情報(焦点距離情報)、フォーカスレンズのフォーカス位置を示すフォーカス情報を取得するとともに、コントローラ制御部46から送信される制御信号に基づいて、各ズーム駆動部/位置検出部66A、フォーカス駆動部/位置検出部68Aに駆動信号を与える。
【0046】
ズーム駆動部/位置検出部66A、フォーカス駆動部/位置検出部68Aは、雲台制御部60Aから与えられた駆動信号に基づいて、それぞれズームレンズ、フォーカスレンズの位置を移動する。
【0047】
これにより、操作部44のズームつまみ34、フォーカスつまみ36の操作に基づいて、テレビカメラ装置のズーム位置、フォーカス位置が調整される。
【0048】
また、雲台制御部60Aは、ズーム駆動部/位置検出部66A、フォーカス駆動部/位置検出部68Aから取得したズーム情報(焦点距離情報)、フォーカス情報を適宜コントローラ制御部46に送信する。
【0049】
図3は、コントローラ制御部46がジョイスティック32の操作を検出した場合の処理フローである。
【0050】
S10では、コントローラ制御部46は、ジョイスティック32の操作量に応じたパン/チルト動作の速度(以下、パン/チルト速度という)Vを算出する。
【0051】
S12では、コントローラ制御部46は、スイッチ49A、49Bが共に閉じた状態にあるか否か判断する。すなわち、雲台コントローラ30の操作部44の操作が行われた場合に、雲台10A、10Bが同期制御される状態にあるか否か判断する。スイッチ49A、49Bが共に閉じた状態である場合はS14に移行し、スイッチ49A、49Bが共に閉じた状態でない場合はS34に移行する。
【0052】
S14では、コントローラ制御部46は、雲台10Aの雲台制御部60Aに対して、焦点距離情報Z1の送信を要求する制御信号を送信する。なお焦点距離情報Z1は、テレビカメラ装置20Aのズームレンズの焦点距離(ズーム位置)である。雲台制御部60Aは、コントローラ制御部46から送信された制御信号に基づいて、ズーム駆動部/位置検出部66Aから、テレビカメラ装置20Aのズームレンズの焦点距離情報Z1を取得する。そして雲台制御部60Aは、コントローラ制御部46に対して、ズーム駆動部/位置検出部66Aから取得した焦点距離情報Z1を送信する。
【0053】
S16では、コントローラ制御部46は、雲台制御部60Aから送信された焦点距離情報Z1を受信する。
【0054】
S18では、コントローラ制御部46は、雲台10Bの雲台制御部60Bに対して、焦点距離情報Z2の送信を要求する制御信号を送信する。なお焦点距離情報Z2は、テレビカメラ装置20Bのズームレンズの焦点距離(ズーム位置)である。雲台制御部60Bは、コントローラ制御部46から送信された制御信号に基づいて、ズーム駆動部/位置検出部66Bから、テレビカメラ装置20Bのズームレンズの焦点距離情報Z2を取得する。そして雲台制御部60Bは、コントローラ制御部46に対して、ズーム駆動部/位置検出部66Bから取得した焦点距離情報Z2を送信する。
【0055】
S20では、コントローラ制御部46は、雲台制御部60Bから送信された焦点距離情報Z2を受信する。
【0056】
S22では、コントローラ制御部46は、焦点距離情報Z1と焦点距離情報Z2の比較を行う。焦点距離情報Z1が焦点距離情報Z2より大きい場合はS24に移行し、焦点距離情報Z1が焦点距離情報Z2より小さい場合はS28に移行し、焦点距離情報Z1と焦点距離情報Z2が等しい場合はS32に移行する。
【0057】
S24では、コントローラ制御部46は、雲台10Bの雲台制御部60Bに対して、S10で算出したパン/チルト速度Vで、テレビカメラ装置20Bをパン/チルト動作させる制御信号を送信する。雲台制御部60Bは、コントローラ制御部46から送信された制御信号に基づき、パン駆動部/位置検出部62B、チルト駆動部/位置検出部64Bに駆動信号を与える。パン駆動部/位置検出部62B、チルト駆動部/位置検出部64Bは、雲台制御部60Bから与えられた駆動信号に基づいて、パン用モータ、チルト用モータを駆動する。これにより、ジョイスティック32の操作量に基づくパン/チルト速度Vでテレビカメラ装置20Bがパン/チルト動作を行う。
【0058】
S26では、コントローラ制御部46は、雲台10Aの雲台制御部60Aに対して、パン/チルト補正速度V1で、テレビカメラ装置20Aをパン/チルト動作させる制御信号を送信する。パン/チルト補正速度V1は、S10で算出したパン/チルト速度Vに、補正係数kを乗じて得られる補正速度である。補正係数kは、テレビカメラ装置20Bの画角に対するテレビカメラ装置20Aの画角の比である。
【0059】
ここで補正係数kについて説明する。図4(a)は、テレビカメラ装置20Aの焦点距離情報(焦点距離)、CCD(電荷結合素子)及び画角との関係を示す説明図であり、図4(b)は、テレビカメラ装置20Bの焦点距離情報(焦点距離)、CCD(電荷結合素子)及び画角との関係を示す説明図である。図4(a)に示すテレビカメラ装置20AのCCD(電荷結合素子)のサイズをh1、画角をθ1、焦点距離をZ1とすると、次式(1)のような関係が成立する。
【0060】
【数1】

同様に、図4(b)に示すテレビカメラ装置20AのCCD(電荷結合素子)のサイズをh2、画角をθ2、焦点距離をZ2とすると、次式(2)の関係が成立する。
【0061】
【数2】

従って、補正係数kは次式(3)に示す通りとなる。
【0062】
【数3】

すなわち、テレビカメラ装置20A、20Bの焦点距離Z1、Z2及びCCDサイズh1、h2から算出することができる。このように本実施形態では、テレビカメラ装置20A、20Bに内蔵されるCCD(電荷結合素子)のサイズ等が異なる場合でも、パン/チルト速度の差を補正することができる。
【0063】
雲台制御部60Aは、コントローラ制御部46から送信された制御信号に基づき、パン駆動部/位置検出部62A、チルト駆動部/位置検出部64Aに駆動信号を与える。パン駆動部/位置検出部62A、チルト駆動部/位置検出部64Aは、雲台制御部60Aから与えられた駆動信号に基づいて、パン用モータ、チルト用モータを駆動する。これにより、パン/チルト補正速度V1で、テレビカメラ装置20Aがパン/チルト動作を行う。
【0064】
S28では、コントローラ制御部46は、雲台10Aの雲台制御部60Aに対して、S10で算出したパン/チルト速度Vで、テレビカメラ装置20Aをパン/チルト動作させる制御信号を送信する。雲台制御部60Aは、コントローラ制御部46から送信された制御信号に基づき、パン駆動部/位置検出部62A、チルト駆動部/位置検出部64Aに駆動信号を与える。パン駆動部/位置検出部62A、チルト駆動部/位置検出部64Aは、雲台制御部60Aから与えられた駆動信号に基づいて、パン用モータ、チルト用モータを駆動する。これにより、ジョイスティック32の操作量に基づくパン/チルト速度Vでテレビカメラ装置20Aがパン/チルト動作を行う。
【0065】
S30では、コントローラ制御部46は、雲台10Bの雲台制御部60Bに対して、パン/チルト補正速度V2で、テレビカメラ装置20Bをパン/チルト動作させる制御信号を送信する。
【0066】
パン/チルト補正速度V2は、S10で算出したパン/チルト速度Vに、テレビカメラ装置20Aの画角に対するテレビカメラ装置20Bの画角の比である補正係数k’を乗じて得られる速度である。なおS26における補正係数kと同様に、補正係数k’はテレビカメラ装置20A、20Bの焦点距離Z1、Z2及びCCDサイズh1、h2から算出することができる。
【0067】
雲台制御部60Bは、コントローラ制御部46から送信された制御信号に基づき、パン駆動部/位置検出部62B、チルト駆動部/位置検出部64Bに駆動信号を与える。パン駆動部/位置検出部62B、チルト駆動部/位置検出部64Bは、雲台制御部60Bから与えられた駆動信号に基づいて、パン用モータ、チルト用モータを駆動する。これにより、パン/チルト補正速度V2で、テレビカメラ装置20Bがパン/チルト動作を行う。
【0068】
S32では、コントローラ制御部46は、雲台10Aの雲台制御部60A及び雲台10Bの雲台制御部60Bに対して、S10で算出したパン/チルト速度Vで、テレビカメラ装置20A及び20Bをパン/チルト動作させる制御信号を送信する。これにより、ジョイスティック32の操作量に基づくパン/チルト速度Vで、テレビカメラ装置20A及び20Bがパン/チルト動作を行う。
【0069】
S34では、コントローラ制御部46は、雲台10Aの雲台制御部60A又は雲台10Bの雲台制御部60Bに対して、S10で算出したパン/チルト速度Vで、テレビカメラ装置20A又は20Bをパン/チルト動作させる制御信号を送信する。この場合、制御信号は、閉じた状態のスイッチ49A又は49Bに対応する雲台10A又は雲台10Bに対して送信される。これにより、ジョイスティック32の操作量に基づくパン/チルト速度Vで、テレビカメラ装置20A又は20Bがパン/チルト動作を行う。
【0070】
このように、テレビカメラ装置20A、20Bの焦点距離情報Z1、Z2が異なる場合に、テレ側のズームレンズを有するテレビカメラ装置20A(又は20B)のパン/チルト速度を、テレビカメラ装置20A、20Bの焦点距離情報Z1、Z2を利用して補正する。これにより、テレビカメラ装置20A、20Bを同期してパン/チルト動作させる場合に、テレビカメラ装置20A、20Bによって撮影される各映像の移動速度は同じとなる。この結果、これらの映像の合成映像の不自然さが解消される。
【0071】
以上、本発明のリモコン雲台システムについて詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係るリモコン雲台システムの全体構成図である。
【図2】図1に示したリモコン雲台システムの要部構成を示すブロック図である。
【図3】コントローラ制御部がパン/チルト動作の操作を検出した場合の処理フローである。
【図4】(a)は、テレビカメラ装置20Aの焦点距離、CCD及び画角との関係を示す説明図であり、(b)は、テレビカメラ装置20Bの焦点距離、CCD及び画角との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0073】
1…リモコン雲台システム、10、10A、10B…雲台、20、20A、20B…テレビカメラ装置、30…雲台コントローラ、32…ジョイスティック、34…ズームつまみ、36…フォーカスつまみ、40A、40B…雲台選択ボタン、44…操作部、46…コントローラ制御部、49…スイッチ部、60A、60B…雲台制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビカメラ装置を搭載すると共に、前記テレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作させる2つの雲台と、
操作部からの操作情報に基づいて、前記2つの雲台を制御し、前記2つの雲台に搭載される各テレビカメラ装置を同期してパン動作及び/又はチルト動作させることのできる雲台コントローラと、を備えたリモコン雲台システムであって、
前記2つの雲台に搭載される各テレビカメラ装置の焦点距離に関する焦点距離情報を夫々取得する焦点距離情報取得手段と、
前記焦点距離情報取得手段により取得された各焦点距離情報が異なる場合に、前記2つの雲台に搭載される各テレビカメラ装置によって撮影される映像の移動速度が同じとなるように補正した補正速度で、焦点距離が長い側のテレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作させる制御を行う制御手段と、を前記雲台コントローラに備えたことを特徴とするリモコン雲台システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記焦点距離情報取得手段により取得された各焦点距離情報が異なる場合に、前記操作情報に基づいた速度で、ワイド側のテレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作させる制御を行うとともに、前記操作情報に基づいたパン動作及び/又はチルト動作の速度に、ワイド側のテレビカメラ装置の画角に対する前記テレ側のテレビカメラ装置の画角の比を乗じることによって補正した補正速度で、前記テレ側のテレビカメラ装置をパン動作及び/又はチルト動作させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のリモコン雲台システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−67451(P2006−67451A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250181(P2004−250181)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】