説明

リヤアームレスト

【目的】 リヤシートのシートバックに起伏可能に設けたアームレスト本体を支持するアームレストヒンジが、使用状態において露出しないようにする。
【構成】 シートバックCのフレーム10に固定されて収納凹部Dの下部両側に沿って前方に突出するアームレストヒンジ11の側板部11aには、前部に外向きに折曲形成した折曲部11bの上下方向中間部に係合穴13を開口させると共に上縁から下方に向かってU字状溝12を切り込む。アームレスト本体20のフレーム21の一端部には、各U字状溝の底部に係合可能な頚部22aを有する1対のヒンジピン22を左右方向に突出して設ける。アームレストヒンジに着脱可能に設けたストッパプレート15は、その両側の押さえ板部15aの突出部16の先端部を側板部の折曲部の係合穴内に係合し、この突出部を各ヒンジピンの上側に当接して同ヒンジピンがU字状溝の底部から浮き上がるのを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一端部をリヤシートのシートバックフレームに起伏可能に枢支したリヤアームレストに関する。
【0002】
【従来の技術】この種のリヤアームレストは、図4に示すように、リヤシートAのシートバックCの中央に形成された収納凹部D内の下部に、アームレスト本体5の一端部を回動可能に支持して、矢印Yに示すように収納凹部D内に位置する収納状態とその下部より前方に突出する使用状態の間で起伏可能なアームレスト本体5を有している。
【0003】従来のこの種のリヤアームレストにおいては、図5に示すように、パッド材5bをかぶせたフレーム5aを表皮5cにより覆ってアームレスト本体5を形成し、フレーム5aの後部に段付ブッシュ9、ヒンジボルト8及びナット8aを介してアームレストヒンジ3を予め回動可能に取り付けておく。一方、シートバックCは、そのフレーム1の前側に取り付けたシートバックパッド4aをシートバックカバー4により覆って前側中央部に収納凹部Dを形成し、リヤアームレストは、図5に示すように、アームレストヒンジ3を収納凹部D内に差し込み、シートバックカバー4を間に挟んでシートバックフレーム1に固着したアームレスト取付板2に当接し、取付ボルト7とナット7aにより締め付け固定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来技術では、アームレストヒンジ3はシートバックカバー4の上側に取り付けられているので、使用状態では前方に突出したアームレスト本体5の後側にアームレストヒンジ3が露出して見え、見栄えが悪いという問題がある。この問題はシートバックカバー4と同材質のシートをアームレストヒンジ3の両側を除く部分に巻き付けることにより多少改善されるが、充分ではない。本発明はこのような問題を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このために、本発明によるリヤアームレストは、リヤシートのシートバックのフレームの前側に設けたシートバックパッドとこれを覆うシートバックカバーによりシートバックの前側中央に収納凹部を形成し、この収納凹部内に位置する収納状態とその下部より前方に突出する使用状態の間で起伏可能なアームレスト本体を左右方向軸線回りに回動可能に支持してなるリヤアームレストにおいて、シートバックカバーの収納凹部を形成する部分の下部両外側に沿って前方に突出する1対の側板部を有するアームレストヒンジをシートバックのフレームに固定し、各側板部にはその前部に外向きに折曲形成した折曲部の上下方向中間部に係合穴を開口させると共に上縁から下方に向かってU字状溝を切り込み、アームレスト本体のフレームの一端部には各U字状溝の底部に係合可能な頚部を有する1対のヒンジピンを左右方向に突出して設け、アームレストヒンジの各側板部の外側面に当接され前部に形成した突出部の先端部が係合穴内に係合されこの突出部が各ヒンジピンの上側に当接して同ヒンジピンがU字状溝の底部から浮き上がるのを阻止する1対の押さえ板部を有するストッパプレートをアームレストヒンジに着脱可能に取り付け、シートバックカバーには各側板部のU字状溝の少なくとも下半部に対応して1対の開口を設けたものである。
【0006】
【作用】シートバックフレームの前側に設けたシートバックパッドはシートバックカバーにより覆われて収納凹部を有するシートバックが形成され、シートバックフレームに固定したアームレストヒンジの内側はシートバックカバーにより覆われる。アームレスト本体はヒンジピンを設けた一端部が収納凹部内に差し込まれ、各ヒンジピンは開口を通ってシートバックカバー内に入って各頚部はアームレストヒンジの各側板部のU字状溝の底部に係合される。アームレストヒンジの側板部の外側面に当接されるストッパプレートの各押さえ板部は、この状態で突出部の各先端部が係合穴内に係合されてアームレストヒンジに取り付けられ、ヒンジピンがU字状溝の底部から浮き上がるのを阻止する。これによりアームレスト本体は、収納凹部内に位置する収納状態と前方に突出する使用状態の間で起伏可能に、アームレストヒンジにより支持される。
【0007】
【実施例】以下に、図1〜図3に示す実施例により、本発明の説明をする。なお全体的使用状態は、図4に示す従来技術と同じである。
【0008】主として図3に示すように、シートバックフレーム10(中央の一部のみを示す)の前側に設けたシートバックパッド18aは、周辺部がシートバックフレーム10に取り付けられたシートバックカバー18により覆われ、前側中央部に収納凹部Dを有するシートバックC(図4参照)が形成される。アームレスト本体20は一端部に設けたヒンジピン22を介して、収納凹部D内に位置する収納状態と前方に突出する使用状態の間で起伏可能に、シートバックフレーム10に固着したアームレストヒンジ11に支持されている。シートバックカバー18は、数ミリメートル厚のポリウレタン発泡体のスラブ材の表面及び裏面にファブリックまたは合成皮革等の表層材及びポリエステル繊維等の裏基布をラミネートした3層構造のシートを縫い合わせたものである。
【0009】図1〜図3に示すように、アームレストヒンジ11は前方に向けて折曲形成された左右1対の側板部11aを有し、シートバックフレーム10の中央部に溶接固定されている。側板部11aの前端部には外向きの折曲部11bが形成され、その前側は更に折曲されてZ形段状に形成されている。各折曲部11bの上下方向中間部には、略長方形で後述するストッパプレート15の突出部16の上下幅よりやや広い上下幅の係合穴13が形成されている。アームレストヒンジ11の各側板部11aには、折曲部11bの多少後側に、上縁から下方に向かって深いU字状溝12が切り込まれている。各U字状溝12の底部は各係合穴13よりも下方まで達し、前後の内縁は平行である。シートバックカバー18の収納凹部Dに相当する部分は、シートバックフレーム10に固定されたアームレストヒンジ11の内側を覆い、各U字状溝12下半部に対応して1対の縦長の開口18bが形成されている。
【0010】アームレスト本体20は、図1〜図3に示すように、パッド材24をかぶせた下向きコ字状断面形状のフレーム21を表皮23により覆って形成したもので、フレーム21の一端部の両側面には左右方向に突出する1対のヒンジピン22がかしめにより固定されている。各ヒンジピン22には小径の頚部22aが形成され、ヒンジピン22の取付部付近はパッド材24が除かれて頚部22aは表皮23よりも外側に位置している。
【0011】アームレスト本体20は、図1の一点鎖線Zに示すように、ヒンジピン22を設けた一端部が収納凹部D内に差し込まれて下方に移動され、各ヒンジピン22は開口18bを通ってシートバックカバー18内に入って各頚部22aはアームレストヒンジ11の各側板部11aのU字状溝12の底部に係合される。このように係合された各ヒンジピン22は、次に述べるストッパプレート15によりU字状溝12の底部から浮き上がるのを阻止される。
【0012】ストッパプレート15は、図1〜図3に示すように、前方に折曲形成された左右1対の押さえ板部15aを有しており、各押さえ板部15aは前部上側に長い突出部16が、その下側に短い補助突出部16aが、この両突出部16,16aの間に係合凹部16bが形成されている。ストッパプレート15は、図1の矢印Xに示すように、各押さえ板部15aをアームレストヒンジ11の各側板部11aの外側面に当接させて前進させ、各突出部16の先端部を各係合穴13に係合させ、各ヒンジピン22の頚部22aを係合凹部16b内に挟んだ状態で、取付ボルト17及びナット17aによりアームレストヒンジ11に締め付け固定される。
【0013】ストッパプレート15は突出部16の先端部が係合穴13に係止され、後部がアームレストヒンジ11にねじ止め固定されるので、各押さえ板部15aの突出部16が各頚部22aに当接して、各ヒンジピン22はU字状溝12の底部から浮き上がるのが阻止される。これによりアームレスト本体20は、収納凹部D内に位置する収納状態と前方に突出する使用状態の間で起伏可能に、アームレストヒンジ11により支持される。本実施例では、アームレスト本体20はシートクッションBの上面に当接して使用状態に停止されるが、アームレスト本体20のフレーム21に設けた突起をアームレストヒンジ11に当接させて停止するようにしてもよい。
【0014】上述した実施例では、ストッパプレート15の左右の突出部16は小径の頚部22a内に入り、その上側に当接してしているが、頚部22aはその幅を側板部11aの厚さより多少大きくする程度とし、突出部16はヒンジピン22の大径部の上側に当接してU字状溝12の底部から浮き上がるのを阻止するようにしてもよい。補助突出部16aは省略してもよいし、あるいは突出部16と同じ長さとして折曲部11bに形成した補助係合穴(図示省略)に先端部を係合させてもよい。また上述の実施例では、側板部11aは、係合穴13を設けた折曲部11bが前側でU字状溝12が後側になるように形成したが、この前後は逆にしてもよい。
【0015】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、アームレストヒンジの内面はシートバックカバーにより覆われるので、アームレスト本体を前方に突出させた使用状態において、アームレストヒンジが露出することはなく、見栄えが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるリヤアームレストの一実施例の全体構造を示す分解斜視図である。
【図2】 図1に示す実施例の要部の一部を破断した側面図である。
【図3】 図2の3−3断面図である。
【図4】 リヤアームレストを備えたリヤシートの全体斜視図である。
【図5】 従来技術の一例の図3に対応する断面図である。
【符号の説明】
10…シートバックフレーム、11…アームレストヒンジ、11a…側板部、11b…折曲部、12…U字状溝、13…係合穴、15…ストッパプレート、15a…押さえ板部、16…突出部、18…シートバックカバー、18a…シートバックパッド、18b…開口、20…アームレスト本体、21…アームレストのフレーム、22…ヒンジピン、22a…頚部、A…リヤシート、C…シートバック、D…収納凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 リヤシートのシートバックのフレームの前側に設けたシートバックパッドとこれを覆うシートバックカバーによりシートバックの前側中央に収納凹部を形成し、この収納凹部内に位置する収納状態とその下部より前方に突出する使用状態の間で起伏可能なアームレスト本体を前記収納凹部内の下部に位置する左右方向軸線回りに回動可能に支持してなるリヤアームレストにおいて、前記シートバックのフレームに固定されて前記シートバックカバーの前記収納凹部を形成する部分の下部両外側に沿って前方に突出する1対の側板部を有するアームレストヒンジと、この各側板部の前部に外向きに折曲形成されて上下方向中間部に係合穴が開口された折曲部と、前記各側板部の上縁から下方に向かって切り込まれたU字状溝と、このU字状溝の少なくとも下半部に対応して前記シートバックカバーに形成された1対の開口と、前記アームレスト本体のフレームの一端部両側から左右方向に突出して前記各U字状溝の底部に係合可能な頚部を有する1対のヒンジピンと、前記アームレストヒンジの側板部の外側面に当接され前部に形成された突出部の先端部が前記係合穴内に係合されこの突出部が前記各ヒンジピンの上側に当接して同ヒンジピンが前記U字状溝の底部から浮き上がるのを阻止する1対の押さえ板部を有し前記アームレストヒンジに着脱可能に取り付けられるストッパプレートを備えたことを特徴とするリヤアームレスト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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