説明

リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の診断もしくは診断準備、および/または炎症性疾患の治療監視を行うための装置、ならびにその方法

本発明の第1の態様は、リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の診断、および/または炎症性疾患の治療監視を行う装置に関する。本発明の装置は、個人の四肢(11)を保持するための固定装置または支持装置(1)を備える。支持装置は、個人の四肢の少なくとも1つ、好ましくは、四肢の2つ、例えば2本の手を安定させて且つ不動に配置することを助長する。支持装置は、窪み、椀状の凹部、リッジ、弾性もしくは非弾性のストラップおよび/またはループ等の種々の付属品を有する保持装置により提供される。予め定められた励起波長を有する放射線でもって、四肢を励起するか、または、四肢を部分的に照明するための励起源(2)が設けられている。四肢(11)からの基準信号、および、四肢(11)の医学的関心領域からの信号を捕捉するための画像センサ(3)が組み込まれている。本発明の装置は、基準信号と医学的関心領域からの信号とを比較するためのコンパレータを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性疾患の診断もしくは診断準備、および/または炎症性疾患の治療監視を行うための装置、ならびにその方法に関する。ここでは、蛍光色素が静脈内に投与され、この蛍光色素の蛍光性が、蛍光色素投与後の様々な時点で、手の全ての指節間関節(interphalangeal articulation)にて測定される。様々な時点および/または様々な組織領域に関連する複数の蛍光性の値から選択された少なくとも2つの測定による蛍光性の値、ならびに、炎症性疾患の診断および/または治療監視を促進するために病気の関節と正常な関節とを互いに区別するための数学的相関関係が、上記蛍光色素の蛍光性の測定結果から導き出される。
【背景技術】
【0002】
診断画像処理は、炎症性疾患の初期仮説および鑑別診断における不可欠な部分である。このような診断画像処理においては、一般的なX線処理および超音波処理によって重要な役割が演じられている。このようなX線処理および超音波処理自体は、例えば、「米国の大学のリュウマチ専門医の勧告書(米国の大学のリュウマチ性関節炎(関節リュウマチともよばれる)のガイドラインに関するリュウマチ学小委員会、関節炎およびリュウマチ 46(2002)328)(recommendations of the American College of Rheumatologists(American College of Rheumatology Subcommittee on Rheumatoid Arthritis Guidelines. Arthritis & Rheumatism 46(2002)328))」(後述の非特許文献1に対応する)に明記されている。また一方で、磁気共鳴トモグラフィに関して、疾患の活性化の度合いの証拠を示すための機能的方法が記述されている(例えば、「ライザ エムエフ他、骨格放射線学 18(1989)591(Reiser MF et al.,Skeletal Radiology 18(1989)591)」(後述の非特許文献2に対応する))。しかしながら、上記の機能的方法は、半定量的レベルに関するものであり、かつ、画像の分析における非常に大きな医学的困難性を伴っている。
【0003】
さらに、関節の領域の解剖学的画像処理に対して、光散乱技術(光トモグラフィ)を使用した光学的技術を適用する方法が記述されている。この方法は、解剖学的構造の画像処理を可能にするが、複数の患者の定量的比較を達成する可能性を提示しないという欠点を有する(例えば、「シール他、リュウマチ性関節炎によるリュウマチ様疾患 2002,46,1177(Scheel et al.,rheumatic Arthritis Rheumatoides 2002,46,1177)」(後述の非特許文献3に対応する))。この理由として、上記の解剖学的構造は、個人間でまたは個々の事情に応じて著しく変動する点が挙げられる。この方法の他の欠点は、炎症性の滑液に関する画像が取得されないという事実にある。さらなる改良によって、上記の技術が、リュウマチ性関節炎(RA)の複数の副画像(sub−aspect)を取得することが可能になることが示されている。しかしながら、この場合は、1回の検査において、手の1つの指節間関節のみが測定されるにすぎない。リュウマチ性関節炎(RA)により影響される手の検査は、手の全ての指節間関節を連続的に測定することによってのみ可能である。この事実は、手の検査に非常に時間がかかって造影剤の使用を阻害することになり、あるいは、造影剤の使用を完全に不可能にすることになる。大部分の造影剤は、非常に速やかに除去されるので、幾つかの関節における測定によって得られる最終的な値は、それぞれかなり異なってくるという結果になるであろう(例えば、「シール他、例年のリュウマチ性疾患 2005,64,239(Scheel et al.,Ann Rheum Dis 2005,64,239)」(後述の非特許文献4に対応する)、および、米国特許出願公開2001/0037811号公報(後述の特許文献1に対応する))。その上、ダイナミックなデータ(流れ(circulation)、分布(distribution))は、記録され得ない。上記の方法のさらに他の欠点は、造影剤を使用している期間において、基準が存在しないことである。
【0004】
蛍光色素を造影剤として使用する技術は、動物の実験に関する先行技術文献に記述されている(例えば、「ダブリューティー チェン他、(2005)関節炎に関する研究の現状 7:R310(WT Chen et al.,(2005)Arthritis Res There.7:R310)」(後述の非特許文献5に対応する)、「ハンシュ エー.他、(2004)放射能調査 39:626(Hansch A.et al.,(2004)Invest Radiol 39:626)」(後述の非特許文献6に対応する)、および、「ウンダー エー.他、(2004)関節リュウマチ 50:2459(Wunder A.et al.,(2004)Arthritis Rheum.50:2459)」(後述の非特許文献7に対応する))。これらの先行技術文献の例においては、造影剤を投与した後に1時間から最大24時間までの範囲内の時間間隔で静的信号の差が追跡されるような形式で、造影剤が使用される。予め定められた時点で強い濃度を示す領域は、リュウマチ性関節炎(RA)源であると疑われ得る。ここで使用される造影剤は、この造影剤を投与してから3時間以上経過した後に、好ましくは、6時間経過後に、起り得る最も大きな静的信号の差を示すように構成される。しかしながら、このプロセスは、医療業務においてはそれほど重要ではない。なぜならば、造影剤を使用した検査を担当する医者は、検査を開始してから5〜20分以内に迅速に診断箇所に到着しなければならないからである。インドシアニン・グリーン(indocyanine green:ICG)の造影剤を使用して光学的方法を適用する技術は、特にリュウマチ性関節炎に罹っている特定の人間に対する光学的方法の適用に関して記述されている(例えば、国際公開第2007/000349号)(後述の特許文献2に対応する)。このような技術においては、カメラを使用することによって、静脈注射後のインドシアニン・グリーンの分布が短い時間間隔で追跡される。患者の手の外部の基準信号に対して、手の1つの関節からの信号の測定が遂行される。さらに、患者の手の様々な監視点において、基準信号に対して、任意の数の信号の差が追跡される。これらの信号の差は、診断に利用される。換言すれば、患者の様々な監視点からそれぞれ取得される信号が、外部の基準信号と比較される。この比較結果により得られる信号の差が、予め規定された値を超えた場合、検査を担当している人は、リュウマチ性関節炎(RA)源の発生を確認することができる。このようなプロセスは、かなり迅速に結果を出すけれども(10〜20分以内)、測定の感度が低く且つケースバイケースで測定値が大きく変動するという欠点を有している。それゆえに、医療業務において、特に同一の患者が繰り返しの健康診断(check−up)を行うケースに対しては、上記のプロセスはそれほど適切ではない。同一の患者内での変動は、1つの検査から他の検査に移行する際の測定値の変動である。これらの変動は、1つの検査から他の検査に移行する際に、ICGの薬物動態(pharmacokinetics)が際立って変動するという事実に基づいている。さらに、これらの変動は、それぞれ著しく異なる要因を有しており、且つ、血液中のICGの最大濃度やICGの放出の半減期に関して1〜50%の変化を生じさせる。このことは、検査に関係している関節上で、変化しているリュウマチ性関節炎(RA)の活性化の度合いに関連していない関節であるにもかかわらず通常の場合と顕著に異なる信号強度が測定されるおそれがあることを意味する。これらの変動の結果として、同一の患者内での大きな変動を補償するために、信号の差に関する閾値を非常に高い値にしなければならない。国際公開第2007/000349号にて提示されている診断方法は、プロセスに関連する治療介入技術(process−relevant intervention technique)によって反応が鈍くなっている。敏感に反応する領域でさらなる測定を行うために、上記信号の差のスケールアップをしないようにした場合、多くの正常な手の指節間関節に対して炎症性疾患が進行していると診断される危険性がある。国際公開第2007/000349号の先行技術文献、および、前述のような臨床前の試みは、病気の関節の検出や病気の関節と正常な関節との区別を容易にするための方法を考え出すために全ての関節の信号を利用するプロセスを一切記述していない。特に、この先行技術文献では、本発明の主題を予測するような解は記述されていない。
【0005】
一般的にいって、全ての先行技術文献の診断方法の欠点は、使用される造影剤の同一の患者内での変動に関係なく明確に決定可能な値がないことである。このことは、初期の炎症性疾患の診断、または、非常に敏感に反応する炎症性疾患の診断に関係しているだけでなく、様々な炎症性疾患と他の炎症性疾患との区別、および、様々な炎症性疾患と他の非炎症性疾患との区別にも関係しており、特に、鑑別診断方法によって、初期治療または継続的治療の下で炎症性疾患の進行の定量的評価を行うことに関係している。医療業務においては、治療監視がますます重要になってくるので、このような定量的評価は特に重要である。周知の診断方法により提示されている評価アルゴリズムは、特に、繰り返しの検査の場合に測定結果が著しく変動するという欠点を有している。これによって、蛍光性の測定に基づく治療監視が非常に困難になり、且つ、不確かなものになる。全体として、国際公開第2007/000349号にて提示されている評価アルゴリズムは、定性的なものであるにすぎず、信頼できる治療監視には適していない。
【0006】
造影剤の蓄積の半定量的測定の方法が、MRT(磁気共鳴技術)におけるガドリニュウムを含む造影剤の測定に関する多くの先行技術文献に記述されている。(例えば、「ホフマン ユー.他、磁気共鳴医学 33(1995)506(Hoffmann U.et al.,Magnetic Resonance Med.33(1995)506)」(後述の非特許文献8に対応する))。さらに、造影剤の蓄積の半定量的測定の方法は、超音波画像処理プロセスにおける超音波造影剤のドップラー超音波測定に関する多くの先行技術文献に記述されている(例えば、「フェイン エム.他、超音波医学生物学 21(1995)1013(Fein M.et al.,Ultrasound Med Biol 21(1995)1013)」(後述の非特許文献9に対応する))。さらにまた、コンピュータ断層撮影法における造影剤の量の半定量的測定に関する幾つかの先行技術文献がある(例えば、「ブリックス ジー.他、放射線学 210(1999)269(Brix G.et al.,Radiology 210(1999)269)」(後述の非特許文献10に対応する))。しかしながら、これまでのところ、臨床ルーチンの広域スペクトルにおいては、これらの測定の方法はほとんど使用されていない。この理由として、これらの測定の方法が、非常に多くの計算を必要とする評価方法である点、および、広範な利用可能性が欠如している点が挙げられる。
【0007】
驚いたことに、これまでは、体内の光学的画像処理に関して、特に、リュウマチ性関節炎を含む炎症性疾患の光学的画像処理に関して、半定量的評価方法または定量的評価方法は記述されていない。本願の発明者は、光学的画像処理プロセスのフレームワークにおいて、患者の体内の造影剤の分散統計データを半定量的に評価すると共に定量的に評価する方法および手順を述べている。
【0008】
したがって、前述のような従来の技術を改善すると共に、炎症性疾患の進行の評価が技術的に簡単であって且つ短い期間内で可能である状態で、リュウマチ性関節炎(RA)の診断を促進するための新しい方法を見つけ出すことが、本発明の基本となる原理である。
【0009】
さらに、驚いたことに、両手上で発生する蛍光性の信号を同時に測定すると共に適切な評価方法を適用するによって、高い確実性でもってリュウマチ性関節炎(RA)の半定量的および定量的な診断が可能であることが見出されている。本発明に関連する従来の技術は、国際公開第2007/000349号にて提示されているような蛍光性の測定の技術である。このような技術は、ICGの静脈注射および病気の手の検査を提供する。第2の手内に炎症性疾患の疑いがある場合、国際公開第2007/000349号は、この第2の手のさらなる測定を示唆している。
【0010】
さらに、驚いたことに、本願の発明者は、片一方の手のみの検査が、ある程度、最も重大であるような幾つかの欠点を有することを見出している。また一方で、特にリュウマチ性関節炎(RA)の診断の場合には、十分前もって炎症性疾患の始まりを検出することは基本的な関心事である。医者が、患者が不快感を有する一方の手のみに注意を集中している場合、たった今凝集し始めたばかりでまだ不快感を生じさせないような、他方の手における小さなリュウマチ源を見落とす危険性がある。これによって、医者は、治療を開始する時点、または、既に存在する治療を強化する時点を見逃すおそれが生ずる。
【0011】
国際公開第2007/000348号(後述の特許文献3に対応する)に提示されている診断方法の他の欠点は、ICGを1回投与した後に、一方の手のみ検査することが可能であることである。なぜならば、蛍光性の信号の時間依存性プロフィールは、一本の手(一方の手)のみに対して追跡されるのみであるからである。驚いたことに、本願の発明者は、2回目の検査を行うために繰り返しICGを投与しても、病気の可能性を有する他方の手は、望ましい結果を生じさせないことを見出している。この理由として、2回目のICGの投与が、1回目にICGを投与してから60分経過による時間間隔で行われる場合、2回目のICG投与の薬物動態は、1回目のICGの投与の場合と異なる薬物動態を有する点が挙げられる。2回目のICGの投与が、1回目にICGを投与してから30分経過またはそれより短い時間経過の期間内で行われることは、特に重大である。2回目のICGを投与した後は、あまりにも大きなスプリアス信号(spurious signal)が測定される。なぜならば、2回目のICGの投与時にICGの放出を促進するための肝臓等の臓器が既に飽和しており、それにもかかわらず、血液内でさらに測定可能なICGの濃度のレベルが利用可能であるからである。2回目の検査を行うために繰り返しICGを投与しても、病気の可能性を有する他方の手の炎症性疾患が検出されないという観測結果は、驚くべきことであり、且つ、今まで知られていなかった。
【0012】
本発明の主題は、疑わしいリュウマチ性関節炎(RA)源の自動検出の方法、および、リュウマチ性関節炎(RA)の進行の評価を目的として患者に関する幾つかの検査を比較する方法である。ここで、重要なタスクは、医者が、広範囲の考えられる治療から判断することを助長するための定量的情報を計算することである。造影剤によりサポートされる光学的画像処理の高度化によって、今まで知られている診断方法は、炎症性疾患の現在の活性化の度合いを評価することを可能にするための定量的診断を提示するのに適さないものになっている。特に、1つの検査から他の検査に移行する際に著しく変動するようなICGの血中動態(blood kinetics)は、今まで、同一の患者に対する相異なる検査を比較することを妨げていた。
【0013】
本願の発明者は、国際公開第2007/000349号に提示されている診断方法において、両手上で発生する蛍光性の信号を同時に測定することによって、同一の患者内で測定値が大きく変動するという欠点を解消することができるようにしている。それゆえに、本発明の主題は、動的基準(dynamic reference)に基づく測定方法である。この測定方法は、これまで、従来の技術では知られていなかったものであり、且つ、両手上で発生する蛍光性の信号を同時に測定することによって実行されることが可能である。さらに、この測定方法は、特に、同一の患者に対して繰り返しの診断を行う場合に、高品質で優れたリュウマチ性関節炎(RA)の診断を可能にする。発明性を有するプロセスの利点は、当該プロセスが、同一の患者内での造影剤の変動に無関係であるという事実にある。動的基準に基づく測定によって発明性を有するプロセスは、様々な時点で測定された信号の値の相互依存の数学的相関関係に基づいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2001/0037811号公報
【特許文献2】国際公開第2007/000349号
【特許文献3】国際公開第2007/000348号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】「米国の大学のリュウマチ専門医の勧告書(米国の大学のリュウマチ性関節炎(関節リュウマチともよばれる)のガイドラインに関するリュウマチ学小委員会、関節炎およびリュウマチ 46(2002)328)(recommendations of the American College of Rheumatologists(American College of Rheumatology Subcommittee on Rheumatoid Arthritis Guidelines. Arthritis & Rheumatism 46(2002)328))」
【非特許文献2】「ライザ エムエフ他、骨格放射線学 18(1989)591(Reiser MF et al.,Skeletal Radiology 18(1989)591)」
【非特許文献3】「シール他、リュウマチ性関節炎によるリュウマチ様疾患 2002,46,1177(Scheel et al.,rheumatic Arthritis Rheumatoides 2002,46,1177)」
【非特許文献4】「シール他、例年のリュウマチ性疾患 2005,64,239(Scheel et al.,Ann Rheum Dis 2005,64,239)」
【非特許文献5】「ダブリューティー チェン他、(2005)関節炎に関する研究の現状 7:R310(WT Chen et al.,(2005)Arthritis Res There.7:R310)」
【非特許文献6】「ハンシュ エー.他、(2004)放射能調査 39:626(Hansch A.et al.,(2004)Invest Radiol 39:626)」
【非特許文献7】「ウンダー エー.他、(2004)関節リュウマチ 50:2459(Wunder A.et al.,(2004)Arthritis Rheum.50:2459)」
【非特許文献8】「ホフマン ユー.他、磁気共鳴医学 33(1995)506(Hoffmann U.et al.,Magnetic Resonance Med.33(1995)506)」
【非特許文献9】「フェイン エム.他、超音波医学生物学 21(1995)1013(Fein M.et al.,Ultrasound Med Biol 21(1995)1013)」
【非特許文献10】「ブリックス ジー.他、放射線学 210(1999)269(Brix G.et al.,Radiology 210(1999)269)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明は、リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の診断もしくは診断準備、および/または炎症性疾患の治療監視を行うための代替的もしくはどちらかといえば改善された装置、ならびにその方法を提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、本明細書に添付の特許請求の範囲の請求項に係る発明の主題によって達成される。
【0018】
本発明の第1の態様は、リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の診断、および/または炎症性疾患の治療監視を行うための装置に関連している。本発明に係る装置は、個人の四肢の少なくとも1つを保持するための少なくとも1つの保持装置(rest device)または支持装置を備えている。これによって、上記支持装置は、個人の四肢の少なくとも1つ、好ましくは、個人の四肢の2つ、さらに好ましくは、個人の2本の手をできる限り長く安定した位置に固定することを可能にするというタスクを有している。このような支持装置は、例えば、窪み、椀状の凹部、リッジ、弾性もしくは非弾性のストラップおよび/またはループ等の種々の付属品によって提供され得る。さらに、本発明に係る装置は、少なくとも1つの予め定められた励起波長を有する放射線でもって、四肢を励起するか、または、四肢を少なくとも部分的に照明するための少なくとも1つの励起源を備えている。さらに、四肢からの少なくとも1つの基準信号、および、四肢の医学的関心領域(region of medical interest:ROI)からの幾つかの信号を捕捉するための少なくとも1つの画像センサが設けられている。本発明に関連する装置はまた、基準信号と医学的関心領域(ROI)からの信号とを比較するためのコンパレータを備えている。
【0019】
代替的に、または付加的に、本発明に係る装置は、四肢の少なくとも1つを照明し且つ走査するための保持装置と、予め定められた励起波長を有する励起源と、1つまたは2つ以上の基準信号、および、幾つかの医学的関心領域(ROI)からの信号を感知するための画像センサとを備えている。これによって、基準信号および医学的関心領域(ROI)からの信号の両方が、四肢の少なくとも1つから発生する。さらに、本発明に係る装置は、基準信号と医学的関心領域(ROI)からの信号とを比較するためのコンパレータを備えている。これによって、前述と同様に、基準信号および医学的関心領域(ROI)からの信号の両方が、四肢の少なくとも1つから発生する。
【0020】
本発明によれば、「医学的関心領域(region of (medical)interest(ROI))」の用語は、評価を目的とした画像処理に関連する画像領域であって、リュウマチ性関節炎(RA)等の炎症性疾患が疑われる画像領域を指している。代替的に、頭字語AOI(area of interest:関心領域)またはWOI(window of interest:関心ウィンドウ)もまた、先行技術文献にて使用されている。
【0021】
本発明によれば、「基準信号(reference signal)」の用語は、測定装置の信号の値が参照されることを可能にするための予め定められたパラメータの信号を示している。
【0022】
本発明の他の態様は、リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の画像処理に基づく診断、および/または炎症性疾患の治療監視を行うための装置に関連している。本発明に係る装置は、個人の四肢の少なくとも1つ、好ましくは、個人の四肢の2つ、さらに好ましくは、個人の2本の手を保持するための少なくとも1つの保持装置または支持装置を有するハウジングを備えている。この支持装置は、さらに、四肢が保持されている状態でハウジング外に移動され、且つ、四肢が保持されている状態でハウジング内に再度移動されることが可能である。これによって、四肢が保持されている位置で、患者を精神的にホッとさせるべく患者が自分の手を見ることができるようになっている状態で、支持装置上で患者の手を単純な初期の位置に配置することが可能になる。この場合、両方の手が、支持装置と共にハウジング内に移動するようになっている。
【0023】
本発明はまた、前述のような本発明の2つの態様を互いに組み合わせた装置に関連している。
【0024】
本発明において、好ましくは、保持されている領域は、四肢の2つを同時に照明し且つ/または同時に走査するための少なくとも30cm×20cmの寸法を有しており、ならびに、少なくとも30cm×20cmの照明の領域を有する画像センサが、四肢の2つからの信号を同時に検出するのに適している。
【0025】
本発明において、動作領域を一度に感知する方法と組み合わせて大きな寸法の領域で四肢を照射することによって、または(代替的に)、動作領域を走査する方法と組み合わせて多数のドットにより四肢を照射することによって、均一な照明を有することが好ましい。好ましくは、2つまたは3つ以上の励起源、さらに好ましくは、最大4つの励起源が意図されている。
【0026】
励起波長は、好ましくは、650nm〜900nmの波長の範囲から選択される。最も好ましくは、励起波長は、740nm〜810nmの波長の範囲から選択される。他の好ましい実施態様においては、本発明に係る装置は、1つの励起源の他に、400nm〜700nmの範囲、または、800nm〜1000nmの範囲にわたる波長を有する第2励起源を備えている。この第2励起源は、大きな寸法の領域または多数のドットを使用する方法によって、四肢を照射するか、あるいは、四肢を走査する。
【0027】
励起源は、レーザー、レーザーダイオード、LED(light−emitting diode:発光ダイオード)およびフィルタ付きの多色ランプを含むグループから選択される。保持装置は、好ましくは、励起源を用いて、大きな寸法の領域または多数のドットを使用する方法によって照射され、且つ、階段状に(ラスタ形の走査方法によって)走査される。複数のLED(light−emitting diodes)、レーザー、レーザーダイオード、および/または、キセノンランプ等のように強い光強度を有し且つフィルタと組み合わせて狭い波長の範囲を選択するような多色光源が、光源として好ましい。このような光源は、連続的に光を発するか(連続波(continuous wave:CW))、または、パルス状の光を発する(時間分解測定(time−resolved measurement))。650nm〜900nmのスペクトルの範囲の励起波長が好ましい。
【0028】
画像センサは、好ましくは、画像信号増幅器を有するCCDカメラおよび/またはCMOSカメラであってよい。さらに、センサチップ上のマイクロチャネルプレートおよび/または電子増倍型増幅器を有することが好ましい。
【0029】
画像センサはまた、ドット走査機構を有するフォトダイオードまたはアバランシェ・フォトダイオードを具備することが可能である。さらに、画像センサは、フィルタ、好ましくは、ロングパス・フィルタを具備することが可能である。このロングパス・フィルタは、励起波長において励起源の反射された光が、検出されるべき信号よりも弱くなるように、反射された光を抑える。これに関連して、励起源は、フィルタ、好ましくは、ショートパス・フィルタを具備することが可能である。このショートパス・フィルタは、検出波長において励起源の反射された光信号が、検出されるべき信号よりも弱くなるように、反射された光を抑える。
【0030】
四肢の別の側部において、他の光の受信位置に対して少なくとも第2画像センサおよび/または経路偏向器(path deflector)が設けられている。
【0031】
手の内部の測定は、いわゆる、血液の流れの数学的モデル化のための入力関数の決定を可能にする。医学的関心領域内の信号の測定結果によって、血液の流れの数学的モデル、入力関数および拡散係数が、中間に位置する組織に対して決定され得る。ここで、病気の組織に対する拡散係数と、正常な組織に対する拡散係数とは、互いに顕著に異なっている。これによって、リュウマチに罹っている関節と正常な関節との区別が、同様に実現可能である。
【0032】
コンパレータにより類比される信号は、投与された色素の蛍光性に基づいている可能性がある。本発明によれば、コンパレータは、少なくとも1つまたは2つの基準信号、好ましくは、8個の基準信号を有する。さらに、コンパレータは、一般の基準値を決定するために、数学的に測定された基準値を有することが好ましい。さらに、コンパレータは、医学的関心領域からの少なくとも5個の信号を有することが好ましい。さらに好ましくは、コンパレータは、医学的関心領域からの28個の信号を有することが好ましい。
【0033】
本発明に係る装置は、20ミリ秒(msec)〜10分のサイクル時間tR で、特に好ましくは、20ミリ秒〜5秒のサイクル時間で、最も好ましくは、100ミリ秒〜2秒のサイクル時間で、幾つかの信号を連続的且つ繰り返し受信する(図9参照)。任意の時点において、これらの信号は、1ミリ秒〜1秒のサイクル時間で、数回、好ましくは、1〜20回測定される。選択的に、1つの時点におけるnの数の測定値の代わりに、nの数の測定値の平均値が計算される。幾つかの信号は、1時間から最大24時間までの範囲内の時間周期で受信される。最も好ましくは、これらの信号の受信は、5分〜20分の時間周期で遂行され、または好ましくは、最大10分の時間周期で遂行される。さらに、受信した信号は、コンパレータによって処理され、比較される。
【0034】
本発明に関連する装置は、少なくとも2つの結合している時間依存性の信号の相関係数によって、少なくとも1つの医学的関心領域を決定するのに適している。ここで、上記信号は、1人の個人または2人の異なる個人から発生することが可能である。データ同期化のための基礎として、データベースが形成され且つ使用され得る。
【0035】
かくして、本発明によれば、診断を実行することを目的として、少なくとも2つの測定パラメータが、様々な時点および/または様々な組織領域で測定された値から選択され、これらの測定パラメータの間で数学的相関関係が形成される。コンパレータは、ソフトウェアを有しており、さらに、このソフトウェアは評価アルゴリズムを含む。コンパレータは、測定パラメータの数学的相関関係を遂行する。数学的相関関係を遂行するために、数学的な商、積、和および差(標準化されているもの)、ならびに積分を使用することが好ましい。信号強度の値から測定パラメータの数学的相関関係を遂行する場合、蛍光色素投入と同時にまたは蛍光色素投入後の異なる時点にて取得された測定パラメータから、同一の測定パラメータが発生し得る。時間的経過により得られる測定パラメータは、1つの予め定められた時点における信号強度の値から得られる測定パラメータと結合し得る。コンパレータは、正常な四肢および/または病気の四肢を表示するための少なくとも1つの拡散係数を用いて一般の基準値を決定するために、四肢の1つにおける血液の流れの数学的モデル化によって、測定された基準値を処理するのに適している可能性がある。
【0036】
コンパレータは、医者が炎症性疾患の重症度を評価する際の助けとなる出力マスク(output mask)を有することが可能である。
【0037】
コンパレータは、手の反射像に基づいて医学的関心領域(ROI)の位置を自動的に決定するために、手の反射像を捕捉する装置を具備することが可能である。医学的関心領域(ROI)の位置を決定するために、手の輪郭が追跡され、選択的に、手関節において、評価する者によって基準点が固定される。医学的関心領域(ROI)の位置は、結果的に、手関節における基準点と、手の輪郭から決定される指先との間で厳密に規定された相対的経路に基づいて決定される。複数の医学的関心領域(複数のROI)は、輪郭追跡処理によって、側面に沿って決定される。もしかしたら、評価する者は、適切なソフトウェアを用いて、医学的関心領域(ROI)の位置を修正することができるであろう。特に医学的関心領域(ROI)内の90パーセンタイル(percentile)が評価された後に医学的関心領域(ROI)の位置を自動的に選択することは、問題にならないであろう。
【0038】
反射像は、好ましくは、四肢を照射するための付加的な光源を用いて測定される。この付加的な光源の波長は、蛍光発光の波長の範囲内にある。それゆえに、この付加的な光源は、画像センサの前面に配置されたロングパス・フィルタによって妨げられることなく当該ロングパス・フィルタを通過する。上記の付加的な光源は、反射像を捕捉するためにのみ使用され、また一方で、この光源は、実際の蛍光性の信号を受信している間はスイッチオンの状態にならない。
【0039】
本発明はまた、リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の定量的診断もしくは半定量的診断準備、および/または炎症性疾患の治療制御を行うための方法について言及する。この目的のために、次のような複数のステップが遂行される。これらのステップの順序は、詳しく述べる必要はないであろう。これらのステップにおいて、まず、患者に対して蛍光色素が経口または非経口で投与される。つぎに、患者の四肢の少なくとも1つが、これまで述べたような装置、および/または、これから述べるような装置内に挿入されるか、または、当該装置上に配置される。その後、蛍光色素の蛍光発光が励起される。さらに、四肢の少なくとも1つからの1つまたは2つ以上の基準信号の蛍光性、および、四肢の少なくとも1つの医学的関心領域からの1つまたは2つ以上の信号の蛍光性が、同時に測定される。ここで、基準信号および医学的関心領域からの信号の両方が、四肢の少なくとも1つから発生する。さらに、コンパレータ内で、基準信号と医学的関心領域からの信号とが比較される。
【0040】
本発明はまた、空間的に2次元の蛍光画像を画像処理し、且つ、2次元の蛍光画像の画像処理を準備するための方法に関係している。この方法は、患者に対して蛍光色素を経口または非経口で投与するステップと、これまで述べたような装置、および/または、これから述べるような装置内に、患者の四肢の少なくとも1つを配置するステップと、650nm〜900nmの励起波長にて、投与された蛍光色素を励起するステップと、蛍光色素の蛍光性の信号を含む空間的に2次元の蛍光画像を捕捉するステップとを有する。
【0041】
2次元の蛍光画像はまた、所定の領域を走査することによって取得され、測定された値は、2次元の蛍光画像を構成する。
【0042】
さらに好ましくは、四肢の2つ(両手)が、保持装置上に同時に配置される。これと同時に、四肢の2つからの信号が測定され、且つ、比較される。驚いたことに、両手の同時測定のみが、正常な関節とおそらくは病気の関節との間で十分大きな数の数学的相関関係を生成し、ひいては、改善された結果を取得することが見出されている。
【0043】
本発明によれば、蛍光色素は、好ましくは、ポリメチン色素の部類から選択された近赤外色素である。ポリメチン色素の部類から選択された最も好ましい蛍光色素は、インドトリカルボシアニン(indotricarbocyanine)色素である。特に好ましい蛍光色素は、インドシアニン・グリーン(ICG)の蛍光色素である。
【0044】
本発明によれば、650nm〜950nmのスペクトルの波長の範囲で高いモル吸収係数(molar absorption coefficient)、すなわち、モル吸光係数(molar extinction coefficient)を有する色素が、蛍光色素として好ましい。700nm〜900nmのスペクトルの波長の範囲で150,000cm-1-1よりも大きなモル吸収係数、すなわち、モル吸光係数を有するポリメチン色素が、特に好ましい。国際公開第2005/019247号、国際公開第2004/028449号および国際公開第98/48846号に記述されているように、好ましいポリメチン色素は、シアニン色素である。これらの刊行物に開示されている蛍光色素およびその構造は、本発明の開示の主題である。
【0045】
インドシアニン・グリーン(indocyanine green(ICG)、すなわち、cardiogreen)等のインドトリカルボシアニン色素が、特に好ましい。インドシアニン・グリーン(ICG)は、臨床的に承認され、診断画像処理に使用されている(例えば、国際公開第2007/000349号、「米国科学アカデミー紀要、米国 2000,97,2767(Proc.Nat.Acad.Sci.USA 2000,97,2767)」、および、「眼科学セミナー、1998,13,189(Semin.Ophthalmol.1998,13,189)」)。体重1kg当たりの一回の服用量が1mg(1mg/kg)であるようなICGを使用することが、特に好ましい。本発明に従って、蛍光色素を静脈内に投与することが好ましい。
【0046】
本発明によれば、次のような測定パラメータが測定され、且つ、処理されることが可能である。これらの測定パラメータは、例えば、蛍光強度(信号強度)、蛍光性の上昇(蛍光強度の最大値に向かうときの信号の上昇の傾き)、任意の時点、または最大の蛍光強度に達するための時間周期、蛍光性の下降(蛍光強度の最小値に向かうときの信号の下降の傾き)、蛍光性の上昇曲線部分および下降曲線部分におけるピークの半値幅、蛍光性の上昇曲線部分および下降曲線部分の領域、蛍光性の上昇曲線部分および下降曲線部分の積分、ならびに信号の時間的経過による種々の遅延時間から導き出される平均値の決定である。付加的な測定パラメータとして、全体的な曲線の追跡が使用され、且つ、数学的調整法(数学的適合法(mathematical fit))を用いて記述され得る。この数学的適合法は、コンパートメントモデル(compartment model)に基づくものであってよい(例えば、「クッシア他、応用光学、2003(Cuccia et al.Applied Optics, 2003)」)。
【0047】
本発明によれば、0分〜10分のサイクル時間で、幾つかの信号が連続的且つ何度も捕捉されて処理され、且つ、コンパレータによって比較されることが、さらに好ましい。好ましくは、蛍光色素投与後の様々な時点で測定された値が検出される。本発明の1つの実施態様において、蛍光性の測定は、投与された造影剤の蛍光性に基づいており、且つ、造影剤投与後の様々な時点および任意の数の時点での測定を含む。光源および蛍光色素を使用した結果として、造影剤投与後の0分〜20分の範囲、0分〜15分の範囲、0分〜10分の範囲、0分〜5分の範囲、0秒〜120秒の範囲、0秒〜60秒の範囲、0秒〜30秒の範囲、0秒〜20秒の範囲、または、0秒〜10秒の範囲の任意の時点において、両手の全体の領域にわたって蛍光色素の蛍光性の分布を有する2次元(2D)の画像が生成される。蛍光性の分布を有する2次元(2D)の画像は、好ましくは、5秒またはそれ以下のサイクル時間、特に好ましくは、2秒のサイクル時間、最も好ましくは、1秒のサイクル時間で取得される。
【0048】
リュウマチ性関節炎(RA)を検出するために、2つまたは3つ以上のパラメータが、評価アルゴリズムによる処理に使用される。
【0049】
信号強度の値から測定パラメータの数学的相関関係を遂行する場合、蛍光色素投入と同時にまたは蛍光色素投入後の異なる時点にて取得された測定パラメータから、同一の測定パラメータが発生し得る。時間的経過により得られる測定パラメータは、1つの予め定められた時点における信号強度の値から得られる測定パラメータと結合し得る。
【0050】
好ましくは、両手、両手の全ての関節、および、これらの関節の外部にある他の全ての領域、または、対応する両足において、全ての値が同時に測定される。ここで、制御領域または基準領域は、手(または、対応する足)の中で関節が無い領域(指腹、指の爪等)や、手(または、対応する足)の外部の領域(手首、内耳、表面血管を有する他の領域等)は、制御領域または基準領域である。考えられる医学的関心領域、および、考えられる制御領域は、図2に示されている。
【0051】
このことは、基準信号および医学的関心領域からの信号が、四肢の1つから発生することを意味している。しかしながら、必ずしも、このような状態になるとは限らない。基準信号は、例えば、あらまし述べたように、内耳から発生することも可能である。
【0052】
本発明に関連する診断方法の好ましい変形例を実施するために、両方の手(または、対応する両方の足)における各々の指および手首において、28個の測定領域(複数のROI:複数の関心領域、すなわち、複数の医学的関心領域)が特定される。人差し指、中指、薬指および小指の遠位部の指節間関節(DIP(distal interphalangeal articulation))、近位部の指節間関節(PIP(proximal interphalangeal articulation))および中手指関節(MCP(metacarbophalangeal articulation))に対して、複数の医学的関心領域(ROI)が割り当てられる。指節間関節(interphalangeal articulation:IP)および中手指関節(MCPMCP)を表す2つの医学的関心領域(ROI)は、親指に関連している。検査の期間で、これらの医学的関心領域(ROI)において、例えばICG等の造影剤を投与してから20分の時間周期、好ましくは、例えばICG等の造影剤を投与してから最大10分の時間周期で、蛍光性の活性化の度合いが連続的に測定される。造影剤を投与してから最大で24時間経過した後に、リュウマチ性関節炎(RA)の病変によって明らかに蓄積するような目に見える造影剤を使用する場合、この造影剤が最大の蓄積を表す時間に基づいて検査時間を選択することが可能である。
【0053】
同一の患者に対して互いに独立した幾つかの検査において、ICG等の造影剤の薬物動態がはっきりと変動することは、一般に知られている。驚いたことに、本発明によるプロセスを用いることによって、同一の患者内での造影剤の薬物動態の変動を互いに相殺し、様々な検査の定量的比較を容易にすることが可能である。
【0054】
本発明は、内部の測定基準を確立する手法、疑わしいリュウマチ性関節炎(RA)の病変を自動的に監視する手法、および、リュウマチ性関節炎(RA)の疾患の重症度の進行を定量的に測定する手法が提示されるという事実によって特徴付けられる方法を提供する。
【0055】
驚いたことに、内部の測定基準を確立することが、定量的測定方法を提供するための適切な方法であることが見出されている。この方法は、今まで専門家に知られていなかった。驚いたことに、指の爪の蛍光性の測定が、血液中の造影剤の濃度と密接に相関することが見出されている。これらの指の爪の点において、蛍光性の信号はほとんど減衰しない。他の利点は、指内の血液の流れの解剖学上および機能上の特殊性である。この場合、動脈血が最初に指先に供給され、次に指内の指先以外の部分に供給されるようになっている。上記方法の他の態様は、指先がリュウマチ性関節炎(RA)に罹らないという事実である。かくして、本発明に従って測定されるべき基準信号のための好ましい領域は、前述のような指先上の医学的関心領域(ROI)である。本発明に従って、指先上で、8個の医学的関心領域(ROI)(すなわち、各々の手に対してそれぞれ4個の医学的関心領域(ROI))が規定(定義)される。検査の期間で、これらの医学的関心領域(ROI)において、例えばICG等の造影剤を投与してから20分の時間周期、好ましくは、例えばICG等の造影剤を投与してから最大10分の時間周期で、蛍光性の活性化の度合いが連続的に測定される。医学的関心領域(ROI)は、その形状において、円形、楕円形または長方形である。医学的関心領域(ROI)における信号強度の決定は、カメラにおける複数のピクセルの信号の値を平均化することによって実行され得る。これらの信号の値は、代表的に、CCDカメラで使用される単位(mV、任意単位、カウント(count)、cps等)によって取得され得る。ピクセルの強度の平均化、または、おそらくはピクセルのビニング(binning)が使用可能である。技術的なピクセルエラー(過度に小さな増幅、または、過度に大きな増幅による)が最小限に抑えられた状態で、例えば90パーセンタイル等のパーセンタイルの値を使用することが特に好ましい。
【0056】
発明性を有する方法は、指の爪の医学的関心領域(ROI)における信号強度が、数学的相関関係により処理されるという事実によって特徴付けられる。曲線の下側の領域(area under the curve:AUC)として測定されるような時間依存性の信号強度の曲線の決定が、適切であることが証明されている。これによって、指の爪上の全ての医学的関心領域(ROI)に対して、AUCの値が計算される。ICG投与後の最大の信号強度の測定、および、ICG投与後の最大の信号強度に対応する時点の測定もまた適切である。ICG投与後の20秒〜1200秒の測定周期が、適切であることが証明されている。ICG投与後の20秒〜600秒の測定周期が適切であって、ICG投与後の20秒〜500秒の測定周期が特に適切であって、ICG投与後の20秒〜300秒の測定周期がとりわけ適切であった。AUCRef(AUC基準値)を形成するために、指の爪にて取得された8個のAUCの値が、数学的相関関係により処理される。個々のAUCの値から平均値を生成することが、適切であることが証明されている。メジアンの値を生成することが、同様に適切であることが証明されている。
【0057】
指の爪上における平均のAUCRefの値が、とりわけ適切であることが証明されている。この場合、ランダムエラー(random error)が、考えられる最大限の程度まで除去される。なぜならば、8個の医学的関心領域(ROI)が、上記のAUCの値に含まれており、且つ、望ましい範囲内で測定周期が選択され得るからである。
【0058】
指の爪上における平均のAUCRefの値が計算された後に、補正係数(correction factor:CF)が決定される。100の値の基準係数(reference factor:RF)によって平均のAUCRefの値を除算した結果として得られる商、および、補正係数CFが、結果的に次のように表される。
CF=平均のAUCRef/100(RF)
100(RF)=平均のAUCRef/CF
【0059】
上記の方法を用いることによって、内部の測定基準が提供される。
【0060】
発明性を有する方法は、手の指節間関節の医学的関心領域(ROI)における信号強度が、数学的相関関係により処理されるという事実によってさらに特徴付けられる。ここでは、医学的関心領域(ROI)は、遠位部の指節間関節(DIP)、近位部の指節間関節(PIP)、他の指節間関節(IP)および中手指関節(MCP)上に位置する。曲線の下側の領域(AUC)として測定されるような時間依存性の信号強度の曲線の決定が、適切であることが証明されている。これによって、手の指節間関節上の全ての医学的関心領域(ROI)に対して、AUCの値が決定される。ICG投与後の最大の信号強度の測定、および、ICG投与後の最大の信号強度に対応する時点の測定もまた適切である。ICG投与後の20秒〜1200秒の測定周期が、適切であることが証明されている。とりわけ適切な時間周期(測定周期)は、ICG等の造影剤投与後の100秒〜600秒の範囲内の時間周期であった。
【0061】
他の指節間関節にて取得された28個のAUCの値が、数学的相関関係により処理される。これらのAUCの値を補正係数(CF)により除算することによって、手のそれぞれの指節間関節において、補正されたAUCの値(AUCcorr)が得られる。このようにして補正されたAUCの値(AUCcorr)は、次のように表される。
AUCcorr=AUC/CF
【0062】
驚いたことに、内部の基準係数(RF)である100に対して、50よりも大きなAUCの値が、疑わしいリュウマチ性関節炎(RA)の病変を示すことが見出されている。内部の基準係数(RF)である100に対して、100よりも大きなAUCcorrの値が、特に好ましい。正常な関節は、内部の基準係数(RF)である100に対して、50よりも小さなAUCcorrの値を有している。このようにして、新規の自立診断アルゴリズム(autonomous diagnostic algorithm)が、本発明による方法に基づいて考え出されている。
【0063】
発明性を有する方法は、同一の患者に対して異なる検査を互いに比較することを可能にするための方法のレイアウトによってさらに特徴付けられる。この方法は、ICGの薬物動態の変動の結果として生ずるような蛍光性の信号強度の異なるレベルを相殺するようになっている。信号強度の曲線の形成につながる各々の測定結果に対して、補正係数(CF)が計算される。指先上の医学的関心領域(ROI)の補正係数(CF)によって、任意の数の検査、または、任意のタイプの検査が、互いに割り当てられ得る。任意の検査から取得されたAUCcorrの値を補正係数(CF)により除算することによって、このAUCcorrの値が、以前の検査から取得された他のAUCcorrの値と直接比較されることが可能である。任意の検査を計算するための式は、次のように表される。
AUCcorr(n)=AUC(n)/CF(n)
【0064】
時間依存性の炎症性疾患の活性化の度合いを表すAKDの値は、補正されたAUCの値を直接比較することができるという可能性の結果として取得されるようになっている。異なる時間での2つの検査に対する炎症性疾患の活性化の度合いを表すAKDの値を計算するための式は、次のように表される。
AKD=AUCcorr(n)/AUCcorr(n-1)
【0065】
1よりも大きなAKDの値は、炎症性疾患の活性化の度合いが増大したことを示している。これに対して、1よりも小さなAKDの値は、炎症性疾患の活性化の度合いが減少するという結果が優勢になったことを示している。
【0066】
体重1kg当たりの一回の服用量が1mg(1mg/kg)であるような造影剤を含む蒸留水の溶液を使用することによって、例えばインドシアニン・グリーン(ICG)等の造影剤の投与が行われ得る。造影剤の投与と同時に、2本の手等の四肢の2つが、測定装置内に配置される。本発明に係る実施例において、10分のトータルの時間周期に対して3秒のサイクル時間で、画像が捕捉される。
【0067】
本発明において、個人の関節上の絶対的な信号強度の計算は、数学的相関関係の比較結果から導き出される補正係数によって容易に行われる。本明細書にて述べている方法は、リュウマチ性関節炎(RA)の定量的診断または半定量的診断を提供する。それゆえに、この方法は、これまで知られている従来の方法よりも優れていると考えられ得る。
【0068】
本発明による方法の他の利点は、同一の患者内での造影剤(例えば、ICG)の薬物動態の変動が、個々の検査間の動的基準の測定において重要な役割を演じていないことである。このような利点は、特に、治療監視の目的で行われる繰り返しの検査に適している。両手を同時に検査することのさらなる利点は、検査時間が比較的短くて済むこと、造影剤の2回目の投与が回避されること、および、例えば、測定状態の変化または造影剤の動態等の技術的エラーの原因が除去されることである。さらに、本発明の主題は、本発明による方法において、ポリメチン色素を使用することである。特に、本発明の主題は、本発明による方法の1つにおいて、インドトリカルボシアニン色素を使用することである。最も好ましくは、本発明による方法において、インドシアニン・グリーン(ICG)を使用することである。
【0069】
本発明は、リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の定量的診断に使用するために、ポリメチン色素、インドトリカルボシアニン色素およびインドシアニン・グリーン(ICG)を含むグループから選択された蛍光色素を含む診断組成物に関連している。ここで、定量的診断は、
患者に対して診断組成物を経口または非経口で投与するステップ(a)と、
患者の四肢の少なくとも1つを装置内に配置するステップ(b)と、
蛍光色素の蛍光発光を励起するステップ(c)と、
四肢の少なくとも1つからの1つまたは2つ以上の基準信号の蛍光性、および、四肢の少なくとも1つの医学的関心領域からの1つまたは2つ以上の信号の蛍光性を同時に測定するステップ(d)であって、基準信号および医学的関心領域からの信号の両方が、四肢の少なくとも1つから発生するようなステップ(d)と、
コンパレータ内で基準信号と医学的関心領域からの信号とを比較するステップ(e)とを有する。
【0070】
好ましくは、上記装置は、本発明に係る装置である。
【0071】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明のサンプルとして例示された幾つかの実施形態(実施例)を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る装置の実施例を概略的に表示する図(a))、および、本発明に係る装置の他の実施例を概略的に表示する図(b)〜f))である。
【図2】本発明に係る方法の流れ図(a))、および、考えられる医学的関心領域(複数の関心領域、すなわち、複数のROI)を概略的に表示する図(b))である。
【図3】手内および手の指節間関節内で考えられる医学的関心領域を概略的に表示すると共に、指先領域内の基準点を概略的に表示する図である。
【図4】本発明に係る装置の実施例を示す図である。
【図5】本発明に係る装置の他の実施例を示す図である。
【図6】本発明に係る装置の他の実施例を示す図である。
【図7】複数種の信号および/または基準信号を捕捉するための本発明に係る装置の実施例を示す図である。
【図8a】本発明に係る遠隔装置を概略的に表示する図である。
【図8b】本発明に係る遠隔装置を概略的に表示する図である。
【図9】n=3の場合における信号取得の時間特性のモデルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1のa)は、個人の四肢11の少なくとも1つを保持するための保持装置または支持装置1を示す図である。ここでは、個人の両手11が、実施例に表示されている。これらの両手11は、支持装置1を用いて、3次元(3D)および/または2次元(2D)の構造要素により配置される。このような構造要素は、リッジ、窪みおよび/またはストラップ等であり得る。
【0074】
図1のa)において、予め定められた励起波長を有する信号を送信するために、光ファイバおよび導波管アウトレット20を有するレーザーダイオード等の励起源2が、公知の方法によって、支持装置1の上部または下部に配置され得る。基準信号および医学的関心領域からの信号(複数種の信号)を捕捉するための画像センサ3が、励起源2と同じ側に配置され得る。画像センサ3が、支持装置1と反対の側に配置されている場合には、この支持装置1は、医学的関心領域からの信号または基準信号に対して透明性を有していなければならない。例えば、この支持装置1は、これらの信号に対して完全に透明であるか、または、これらの信号をわずかに拡散させるのみでなければならない。画像センサ3と支持装置1との間に、1つまたは2つ以上のフィルタが設けられ得る。
【0075】
図1のb)に示されている第2の実施例は、導波管アウトレット20の代わりに、画像センサ3の他方の側部に他の導波管アウトレット21を備えている。これによって、影の部分の形成(shadow formation)の最小化が促進される。画像品質をさらに改善するために、4つの導波管アウトレット21〜24が図1のc)に示されている。これらの導波管アウトレット21〜24は、画像センサ3を取り囲むようにして画像センサ3の周囲に配置されることが可能である。図1のc)の例において、導波管アウトレット21〜24は、共通の励起源2(ここでは、レーザーダイオード)に接続され得る。
【0076】
図1のa)〜c)と同様に設計された実施例のレイアウトが、図1のd)〜f)に示されている。これらの実施例では、励起源として、共通のコントローラにより調整されるLEDのみが設けられている。なお、その他の励起源も考えられ得る。
【0077】
図4は、本発明に係る装置の内部のメカニズム、または、当該装置に接続されるメカニズムの実施例を示す図である。図4に表示されているレイアウトは、支持装置1、励起源2および画像センサ3に関して割り当てられている。さらに、コンピュータ4等のコンパレータ4が表示されている。このコンパレータ4は、所定の時間周期にて画像センサ3により捕捉された信号または基準信号をそれぞれ受信し、診断プロセスおよび治療監視プロセスを促進するような結果を提示すべく上記の信号および基準信号を比較する。付加的な信号または基準信号を捕捉してコンピュータ4に送信するための他の画像センサ3′が、図4にて表示される実施例に示されている。
【0078】
図5は、図4に類似した配置を示している。ただし、図5においては、支持装置1の両側からの信号を捕捉するために、付加的な画像センサ3′の代わりに、プリズムおよび/またはミラー等の経路偏向器5が設けられている点が図4と異なる。
【0079】
図6は、支持装置1に対して横方向に配置された画像センサ3であって、支持装置1の上部および下部からの信号および基準信号を受信するための画像センサ3が設けられている。ここでは、適切に設計された経路偏向器5、5′によって、上記の信号および基準信号が画像センサ3に導かれる。
【0080】
図7は、多くの種類の付加的または代替的な画像センサを示す図である。ただし、ここでは、全ての画像センサが示されているわけではない。図7の左端に向かう位置において、関節の側部からの信号をも捕捉することによって、特に関節の領域内でさらに改善された画像を送信するためのミラー構造12が示されている。図7の右端に向かう位置において、光偏向のためのプリズム14が設けられている。このプリズム14は、光偏向によって、支持装置(図示されていない)の下側からの信号、またはどちらかといえば、手11からの信号を画像センサ(図示されていない)に送信することを目的としている。図7の中央部において、付加的または代替的な画像センサの例としてさらなる評価を行うことを目的として、信号および基準信号を捕捉するための光検出器13が設けられている。
【0081】
本発明に係る装置またはその構成要素のためのハウジング12が、図8aに示されている。このハウジング12は、画像センサ(図示されていない)等の構成要素を収容するための補助的な構造13を備えることが可能である。さらに、ハウジング12は、支持装置1を配置するための少なくとも1つの開口または凹部14を備えることが可能である。図8aに矢印で示されているように、支持装置1は、開口14の外側に向かって直線的に移動され得る。個人の両手は、前述のような位置において、この支持装置1上に配置され得る。この両手の位置は、ストラップまたは窪み10によって最適化され得る。
【0082】
図8bは、支持装置1が挿入された状態において、支持装置1を有するハウジング12を示す図である。個人の両手は、まだ支持装置内に存在している。このような支持装置内の位置において、信号の取得が実現される。外側に向かって開いている開口14の部分は、適切な且つほぼ黒色の材料またはその他の遮光手段により構成されるような1つまたは2つ以上のスクリーン等の適切な手段によって、周囲に対して暗くすることが可能である。
【0083】

下記の例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
例1
患者、男性、56歳、体重78kg
この患者の臨床検査は、左手のDIP−L1、DIP−L2およびPIP−L2の関節と、右手のPIP−R1の関節の痛みを伴う炎症を示している。この患者は、臨床検査の時点で、必要に応じて消炎薬により治療される。
【0084】
方法および実施:一回の服用量が2mg/kgであるようなインドシアニン・グリーンの静脈注射(ICG圧入(ICG pulsion))が行われる。約5秒間のボーラス投与(bolus injection)が行われる。測定時間0が、静脈注射の終了に対応する。
測定装置:両手の同時測定が行われる。照明の領域は、約20cm×30cmである。775nmの励起波長を有する複数のLEDが使用される。800nmよりも長い波長の領域で検出が行われる(検出>800nm)(2つのロングパス・干渉フィルタ使用、各々のフィルタにおける波長のピークの半値幅は800nm(λ50%=800nm))。標準レンズ付きのiCCDカメラ(水冷/ペルチェ形冷却)が使用される。
【0085】
ここでは、静脈注射を行ってから最大で10分経過した後に、3秒のサイクル時間(20フレーム/分)で、両手に対するデータ収集(画像捕捉)が行われている。
【0086】
画像解析:
測定の方策および医学的関心領域(ROI)の位置が、図3に示されている。
指の爪の複数の医学的関心領域(ROI)→形状:楕円形、幅:8mm、高さ:5mm
関節の複数の医学的関心領域(ROI)→形状:楕円形
DIP→幅:8mm、高さ:5mm
PIP→幅:10mm、高さ:8mm
MCP→幅:10mm、高さ:8mm
親指の複数の医学的関心領域(ROI)→形状:楕円形
IP→幅:10mm、高さ:8mm
MCP→幅:12mm、高さ:10mm
【0087】
指の爪におけるAUCRefの値を決定するための画像解析:
指の爪において、信号の立ち上がりを始点として、且つ、約20秒〜450秒の範囲で、医学的関心領域(ROI)における信号強度の時間依存性プロフィールのAUCの値が決定される(140フレーム、信号の立ち上がりを始点として、約20秒〜450秒の範囲で信号強度が測定される、各々のフレームは、医学的関心領域(ROI)における信号強度の値の90パーセンタイルを有する、任意単位)(下記の表を参照のこと)。
【0088】
【表1】

【0089】
AUCの値(関節)を決定するための画像解析:
指の爪の医学的関心領域(ROI)において、約60秒〜490秒の範囲で、AUCの値が決定される(140フレーム、約60秒〜490秒の範囲で信号強度が測定される、各々のフレームは、医学的関心領域(ROI)における信号強度の値の90パーセンタイルを有する、任意単位)(例えば、下記の表を参照のこと)
【0090】
【表2】

【0091】
この表に記載されているAUCの値は、測定されたAUCcorrの値が、患者の自覚的な痛みの感覚および診断された炎症に合致することを示している。左手のDIP−L1、DIP−L2およびPIP−L2の関節は、100よりも大きなAUCcorrの値を表示している。さらに、左手のDIP−L2およびMCP−L2と、右手のDIP−R2およびPIP−R1の関節は、50よりも大きなAUCcorrの値を有しており、これらの値は、リュウマチ性関節炎に罹っていることが明確であるとして分類される。このような結果は、痛みを伴う炎症の進行のさらなる評価のための有用な基準として使用可能である。
【0092】
例2
患者、女性、63歳、体重59kg
この患者は、リュウマチ性関節炎がひどく進行しており、右手のDIP−R3、PIP−R3およびPIP−R4関節に損傷が生じている。
【0093】
この患者に対して、2回の検査(4週間前の検査および現在の検査)が行われた。現在の検査から4週間前に活性化された状態のリュウマチ性関節炎の診断を行った際に、インフリキシマブ(登録商標)(infliximab(登録商標))を使用した集中治療(intensive therapy)が施されている。現在の臨床検査は、炎症性疾患に罹っている関節の炎症を示すAUCの値がわずかに低レベルの方に下降している点を除いては、炎症性疾患の活性化の度合いが実質的に変化していないという結果を示している。しかしながら、この患者は、朝の関節の硬直および痛みの感覚が減少して炎症性疾患に対する自覚的な知覚が改善されたことを報告している。
ここでは、4週間の時間間隔でもって行われる2回の検査の異なる日において、それぞれ、一回の服用量が0.2mg/kgであるようなインドシアニン・グリーンの静脈注射(ICG圧入)が行われている。
【0094】
例2に関する実施、手順およびデータ収集
指の爪の複数の医学的関心領域(ROI)→形状:楕円形、幅:7mm、高さ:5mm
関節の複数の医学的関心領域(ROI)→形状:楕円形
DIP→幅:7mm、高さ:5mm
PIP→幅:8mm、高さ:7mm
MCP→幅:8mm、高さ:7mm
親指の複数の医学的関心領域(ROI)→形状:楕円形
IP→幅:9mm、高さ:7mm
MCP→幅:10mm、高さ:8mm
【0095】
1回目の検査(現在の検査の4週間前)
AUCRefの値(指の爪)を決定するための画像解析:指の爪において、約20秒〜300秒の範囲で、医学的関心領域(ROI)における信号強度の時間依存性プロフィールのAUCの値が決定される(93フレーム、約20秒〜300秒の範囲で信号強度が測定される、各々のフレームは、医学的関心領域(ROI)における信号強度の値の90パーセンタイルを有する、任意単位)(下記の表を参照のこと)。
【0096】
【表3】

【0097】
AUCの値(関節)を決定するための画像解析:
指の爪の医学的関心領域(ROI)において、約20秒〜300秒の範囲で、AUCの値が決定される(93フレーム、約20秒〜300秒の範囲で信号強度が測定される、各々のフレームは、医学的関心領域(ROI)における信号強度の値の90パーセンタイルを有する、任意単位)(例えば、下記の表を参照のこと)
【0098】
【表4】

【0099】
2回目の検査(現在)
AUCRefの値(指の爪)を決定するための画像解析:指の爪において、約20秒〜300秒の範囲で、医学的関心領域(ROI)における信号強度の時間依存性プロフィールのAUCの値が決定される(93フレーム、約20秒〜300秒の範囲で信号強度が測定される、各々のフレームは、医学的関心領域(ROI)における信号強度の値の90パーセンタイルを有する、任意単位)(下記の表を参照のこと)。
【0100】
【表5】

【0101】
現在の検査における測定結果においては、現在の検査の4週間前の検査における測定結果に対して、信号レベルが9.3%低下している(ICGの信号動態(siganl kinetics)の変動)。
【0102】
AUCの値(関節)を決定するための画像解析:
指の爪の医学的関心領域(ROI)において、約20秒〜300秒の範囲で、AUCの値が決定される(93フレーム、約20秒〜300秒の範囲で信号強度が測定される、各々のフレームは、医学的関心領域(ROI)における信号強度の値の90パーセンタイルを有する、任意単位)(例えば、下記の表を参照のこと)
【0103】
【表6】

【0104】
炎症性疾患の活性化の度合いを表すAKDの値は、1回目の検査に関して各々の補正された結果を、2回目の検査に関して各々の補正された対応する結果によりそれぞれ除算することによって計算される。
症候性関節の監視:
DIP−R3:0.71
DIP−R3:0.65
DIP−R4:0.91
【0105】
この患者においては、臨床検査にて相反する結果が生ずるか否かに関係なく、ちょうど4週間後に、現在行われているインフリキシマブ(登録商標)を使用した強化治療(intensified therapy)の有効性が実証されている。
【0106】
本発明を実現可能にするための構成要素が、例えば、下記の幾つかの表に記載されている。
【0107】
【表7】

【0108】
【表8】

【0109】
【表9】

【0110】
【表10】

【0111】
本明細書で論じられている従来の技術の開示内容は、本発明の個々の態様を実施するための装置および方法に含まれている。
【0112】
さらに、図面中の個々の特徴が、他の特徴との関連で示されている場合、および/または、図面中の個々の特徴が、本明細書のこれ以前の部分にも本明細書のこれ以降の部分にも記載されていない場合であっても、本発明は、図面中の個々の特徴を含んでいるとみなされる。
【0113】
さらに、本発明は、様々な実施例の前の部分または後の部分に図示されているか、または、記載されている幾つかの特徴の任意の組み合わせを有する実施例を含んでいる。
【0114】
さらに、本明細書における幾つかの表現、特徴、数値または範囲等が、例えば、「多少(more or less)」、「約(about or approximately)」、「実質的に(essentially)」、「一般的にいって(in general)」、「最低(at the lowest)」、または「少なくとも(at least)」等の表現に関連して本明細書のこれ以前の部分、または、本明細書のこれ以降の部分に記載されている場合、本発明は、正確もしくは厳密な表現、特徴、数値または範囲等を含んでいる(すなわち、「約3」は「3」を意味しており、または、「実質的に放射状」は同様に「放射状」を意味している)。さらに、「または/またはどちらかといえば(or/or rather)」の表現は、「および/または(and/or)」を意味している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の診断、および/または炎症性疾患の治療監視を行うための装置であって、前記装置は、
個人の四肢(11)の少なくとも1つを保持するための少なくとも1つの保持装置または支持装置(1)と、
少なくとも1つの予め定められた励起波長を有する放射線でもって、前記四肢(11)を少なくとも部分的に照明するための少なくとも1つの励起源(2)と、
前記四肢(11)からの少なくとも1つの基準信号、および、前記四肢(11)の医学的関心領域(ROI)からの多くの信号を捕捉するための少なくとも1つの画像センサ(3)と、
前記基準信号と前記医学的関心領域(ROI)からの前記信号とを比較するためのコンパレータ(4)とを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の画像処理に基づく診断、および/または炎症性疾患の治療監視を行うための装置であって、前記装置は、
個人の四肢(11)の少なくとも1つ、好ましくは、個人の四肢(11)の2つ、さらに好ましくは、個人の両手(11)を所定の位置に保持するための少なくとも1つの保持装置または支持装置(1)を有するハウジングを備え、
前記支持装置(1)は、さらに、保持されている前記四肢(11)と共に前記ハウジング外に移動され、且つ、保持されている前記四肢(11)と共に前記ハウジング内に再度移動されることが可能であることを特徴とする装置。
【請求項3】
リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の診断、および/または炎症性疾患の治療監視を行うための装置であって、前記装置は、
個人の四肢(11)の少なくとも1つを保持するための少なくとも1つの保持装置または支持装置(1)と、
少なくとも1つの予め定められた励起波長を有する放射線でもって、前記四肢(11)を少なくとも部分的に照明するための少なくとも1つの励起源(2)と、
前記四肢(11)からの少なくとも1つの基準信号、および、前記四肢(11)の医学的関心領域(ROI)からの多くの信号を捕捉するための少なくとも1つの画像センサ(3)と、
前記基準信号と前記医学的関心領域(ROI)からの前記信号とを比較するためのコンパレータ(4)とを備え、
前記装置は、さらに、
個人の前記四肢(11)の少なくとも1つ、好ましくは、個人の前記四肢(11)の2つ、さらに好ましくは、個人の両手(11)を所定の位置に保持するための前記少なくとも1つの保持装置または支持装置(1)を有するハウジングを備え、
前記支持装置(1)は、さらに、保持されている前記四肢(11)と共に前記ハウジング外に移動され、且つ、保持されている前記四肢(11)と共に前記ハウジング内に再度移動されることが可能であることを特徴とする装置。
【請求項4】
前記支持装置(1)は、個人の四肢(11)の2つ、好ましくは、個人の両手(1)を同時に照明し且つ/または同時に走査するための少なくとも30cm×20cmの好ましい領域を有する配置面を具備し、
好ましくは、少なくとも30cm×20cmの照明の領域を有する前記画像センサ(3)は、前記四肢からの信号を同時に捕捉するのに適している請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記励起波長は、650nm〜900nmの波長の範囲から選択される請求項1、3または4記載の装置。
【請求項6】
前記励起波長は、740nm〜810nmの波長の範囲から選択される請求項1および3〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、励起源(20)の他に、400nm〜700nmの範囲、および/または、800nm〜1000nmの範囲にわたる波長を有する第2励起源(21)を備え、前記第2励起源(21)は、好ましくは、反射画像を捕捉するために活性化され、且つ、蛍光性の信号を受信している間は不活性化されることが可能である請求項1および3〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記画像センサ(3)は、好ましくは、CCDカメラおよび/またはCMOSカメラであり、前記CCDカメラおよび/またはCMOSカメラは、好ましくは、画像信号増幅器を有し、さらに好ましくは、センサチップ上のマイクロチャネルプレートおよび/または電子増倍型増幅器を有する請求項1および3〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記画像センサ(3)は、ドット走査機構を有するフォトダイオードまたはアバランシェ・フォトダイオードを具備する請求項1および3〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記画像センサ(3)は、フィルタ、好ましくは、ロングパス・フィルタを具備し、前記ロングパス・フィルタは、励起波長において前記励起源(20)の反射された光信号が、検出されるべき信号よりも弱くなるように、前記反射された光を抑止し、
前記励起源(2)は、フィルタ、好ましくは、ショートパス・フィルタを具備し、前記ショートパス・フィルタは、検出波長において前記励起源(20)の反射された光信号が、検出されるべき信号よりも弱くなるように、前記反射された光を抑止する請求項1および3〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記励起源(2)は、レーザー、レーザーダイオード、LEDおよびフィルタ付きの多色ランプからなるグループから選択される請求項1および3〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、さらに、少なくとも前記四肢(11)の別の側部においてさらなる画像処理を行うための少なくとも第2画像センサ(3′)および/または経路偏向器(5)を備える請求項1および3〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、コンパレータ(4)を用いて、投与された色素の蛍光性に基づき、検出された信号を比較するのに適している請求項1および3〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記コンパレータ(4)は、少なくとも2つの基準信号を有する請求項1および3〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記コンパレータ(4)は、8個の基準信号を有する請求項1および3〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記コンパレータ(4)は、好ましくは、正常な四肢および/または病気の四肢を表示するための少なくとも1つの拡散係数を用いて一般の基準値を決定するために、前記四肢の1つにおける血液の流れの数学的モデル化によって、測定された基準値を処理するのに適している請求項1および3〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記コンパレータ(4)は、医学的関心領域(ROI)からの少なくとも5個の信号、特に好ましくは、28個の信号を有する請求項1および3〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、5分〜20分の時間周期で、さらに好ましくは、最大10分の時間周期で、且つ、20ミリ秒(msec)〜5秒のサイクル時間で、特に好ましくは、100ミリ秒〜2秒のサイクル時間で、幾つかの信号を定期的に受信するのに適しており、信号の画像処理は、1ミリ秒〜1秒のサイクル時間で、1〜20個の個別の信号の平均化からなる請求項1および3〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、時点1においてnの数の測定値の平均値に関して画像処理を行うことが可能であり、さらに、時点2においてmの数の測定値の平均値に関して画像処理を行うことが可能であり、これによって、前記コンパレータを用いて前記測定値を処理し、またはどちらかといえば、比較することが可能であり、ここで、前記測定値は、10秒〜20分の時間周期内に存在する請求項1および3〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記装置は、少なくとも2つの結合している時間依存性の信号の相関係数によって、少なくとも1つの医学的関心領域を決定するのに適しており、ここで、前記信号は、1人の個人または2人の異なる個人から発生することが可能である請求項1および3〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、前記四肢(11)が配置されているかまたは配置されていない前記支持装置(1)を遮光するための構成要素を備える請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記支持装置(1)は、ミラー(12)、好ましくは、V字形のミラー(12)、光検出器(13)、および/または、経路偏向器(14)、好ましくは、前記四肢(11)用、且つ/または前記四肢(11)の各々の指用のガラスプリズム(14)を少なくとも具備する請求項1〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の定量的診断もしくは半定量的診断準備、および/または炎症性疾患の治療監視を行うための方法であって、
患者に対して蛍光色素を経口または非経口で投与するステップ(a)と、
請求項1〜22のいずれか一項に記載の装置に従って、患者の四肢の少なくとも1つを装置内に配置するステップ(b)と、
前記蛍光色素の蛍光発光を励起するステップ(c)と、
前記四肢の少なくとも1つからの1つまたは2つ以上の基準信号の蛍光性、および、前記四肢の少なくとも1つの医学的関心領域からの1つまたは2つ以上の信号の蛍光性を同時に測定するステップ(d)であって、前記基準信号および前記医学的関心領域からの前記信号の両方が、前記四肢の少なくとも1つから発生するようなステップ(d)と、
コンパレータ内で前記基準信号と前記医学的関心領域からの前記信号とを比較するステップ(e)とを有することを特徴とする方法。
【請求項24】
空間的に2次元の蛍光画像を画像処理し、且つ/または、2次元の蛍光画像の画像処理を準備するための方法であって、
患者に対して蛍光色素を経口または非経口で投与するステップ(a)と、
請求項1〜22のいずれか一項に記載の装置内に、患者の四肢の少なくとも1つを配置するステップ(b)と、
650nm〜900nmの励起波長を有する放射線でもって、投与された前記蛍光色素を励起するステップ(c)と、
前記蛍光色素の蛍光性の信号を含む空間的に2次元の蛍光画像を画像処理するステップ(d)とを有することを特徴とする方法。
【請求項25】
前記蛍光色素は、ポリメチン色素の部類から選択された近赤外色素である請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
ポリメチン色素の部類から選択された前記蛍光色素は、インドトリカルボシアニン色素である請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記蛍光色素は、インドシアニン・グリーン(ICG)である請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の装置、または、請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法に使用されるポリメチン色素またはインドトリカルボシアニン色素および/またはインドシアニン・グリーン(ICG)。
【請求項29】
リュウマチ性関節炎等の炎症性疾患の定量的診断に使用するために、ポリメチン色素、インドトリカルボシアニン色素およびインドシアニン・グリーン(ICG)を含むグループから選択された蛍光色素を含む診断組成物であって、前記定量的診断は、
患者に対して前記診断組成物を経口または非経口で投与するステップ(a)と、
患者の四肢の少なくとも1つを装置内に配置するステップ(b)と、
前記蛍光色素の蛍光発光を励起するステップ(c)と、
前記四肢の少なくとも1つからの1つまたは2つ以上の基準信号の蛍光性、および、前記四肢の少なくとも1つの医学的関心領域からの1つまたは2つ以上の信号の蛍光性を同時に測定するステップ(d)であって、前記基準信号および前記医学的関心領域からの前記信号の両方が、前記四肢の少なくとも1つから発生するようなステップ(d)と、
コンパレータ内で前記基準信号と前記医学的関心領域からの前記信号とを比較するステップ(e)とを有することを特徴とする診断組成物。
【請求項30】
前記装置が、請求項1〜22のいずれか一項に記載の装置である請求項29記載の診断組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−536048(P2010−536048A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520591(P2010−520591)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060726
【国際公開番号】WO2009/022003
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(510040134)ミフェニオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【Fターム(参考)】