説明

リライト帳票

【課題】用途に応じてデザインの変更を可能にすること。
【解決手段】透明リライトシート3の周縁3辺に無色透明の接着剤7を塗布し、これを基材シート2に貼り合わせることによって、残る1辺を差込口5として開口させたポケット状の収納部6を設け、この収納部6にリライトシート4を出し入れ自在に収納するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字や図形等の情報を書き換えることができるリライト帳票に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報を書き換え可能なリライト帳票は周知であり、例えば会員カードやポイントカード等のリライトカードとして使用されている。この種のリライトカードは、カード基材の表面に背景層を印刷し、背景層の上に空気層を介して可逆性の感熱記録層を設けた構成になっている。背景層には店舗名や連絡先、絵柄などが予め印刷によって表示され、感熱記録層には会員番号やポイント数などの情報が書き換え可能に印字されている。
【0003】
ところが、従来のリライトカードによると、ポイント数などの情報は書き換え可能な可変情報であるのに対し、背景層の絵柄などはプリンタによって予め印刷される固定情報であるため、カードのデザインを途中で変更することができないという問題があった。
【0004】
なお、下記の特許文献1には、透明性を有するカード基材を使用した透明リライトカードが開示されている。この透明リライトカードはカード使用者に対して従来にない変わった印象を与えることができるものの、カード使用者が任意にカードのデザインを変更することは不可能である。
【0005】
【特許文献1】特開2002−59653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、文字や図形等の情報を書き換え可能なリライト帳票において、用途に応じてデザインを変更することができるデザイン自由度の高いリライト帳票を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明のリライト帳票は、基材シートの表面に透明リライトシートの縁部を接着することにより差込口を有する収納部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のリライト帳票は、基材シートの表面に透明リライトシートの縁部を接着することにより差込口を有する収納部が設けられ、この収納部に出し入れ自在に収納されるリライトシートを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明のリライト帳票によれば、透明リライトシートに対して情報の書き換えができる上に、収納部に他のリライトシートや用紙などを収納すれば、情報を積層することが可能になる。
【0010】
また、本発明のリライト帳票において、基材シートの裏面に粘着層が設けられていてもよい。このような構成によれば、リライト帳票をラベルとして対象物に貼り付けることが可能になり、リライト帳票をICカードやRFIDタグ等の他の情報記録媒体に貼り付ければ複合媒体として利用することもできる。
【0011】
また、本発明のリライト帳票において、透明リライトシートの両側縁部を基材シートに接着してなる構成を採用することができる。このような構成によると、収納部に収納されるシートの出し入れを作業方向の制約を受けずに行えるので、利便性が向上する。
【0012】
さらに、差込口の縁部に切り欠き部が設けられていると、収納部に収納されたシートを取り出しやすくなる。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成から明らかなように、本発明のリライト帳票によれば、収納部に他のリライトシートや用紙などを収納することで情報を積層化して情報量を多くすることができるとともに、収納部に収納されたシート等を交換するだけの簡単な方法で自由にデザインを変更することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は本発明に係るリライト帳票の一構成例を示す全体図、図2は同リライト帳票の断面図、図3は同リライト帳票の使用方法を示す説明図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、本実施形態のリライト帳票1は主に、基材シート2と、透明リライトシート3と、リライトシート4を備えて構成されている。
【0017】
基材シート2は、紙や合成樹脂等をシート状の台紙として使用したものである。基材シート2には文字や図形等の固定情報が予め印刷されていてもよい。また、基材シート2の表面は透明リライトシート3で覆われているが、本実施形態では、透明リライトシート3の周縁3辺に沿って無色透明の接着剤7を塗布し、これを基材シート2に貼り合わせてある。したがって、透明リライトシート3の上辺が差込口5として開口し、基材シート2と透明リライトシート3の間の空間にポケット状の収納部6が設けられている。この収納部6にはリライトシート4が出し入れ自在に収納される。
【0018】
透明リライトシート3は、透明白濁タイプのリライトシートであり、収納部6の内部の状態を透かして見ることができる。透明リライトシート3は、樹脂バインダ中に有機低分子を粒子状に分散させ、透明フィルム上に塗布した可逆性の感熱記録層を設けてなる。この透明白濁タイプの感熱記録層を約120℃程度に加熱すると有機低分子が白濁し、常温まで冷却すると白濁状態が固定される。一方、この感熱記録層を約95℃程度に加熱すると有機低分子が透明に戻り、常温まで冷却すると透明状態が固定される。この白濁状態と透明状態との可逆的変化を利用することにより、透明リライトシート3への書き込みと消去、つまり書き換えが可能になっている。
【0019】
リライトシート4は、ロイコ染料タイプのリライトシートであり、白色PETからなる基材の表面に無色のロイコ染料(例えばクリスタルバイオレットラクトン等)からなる発色剤とフェノール系化合物(例えばビスフェノールA等)からなる顕色剤を混合した可逆性の感熱記録層を設けてなる。このロイコ染料タイプの感熱記録層を約170℃以上に加熱すると発色剤と顕色剤が溶融して発色し、常温まで急激に冷却すると発色状態が固定される。一方、この感熱記録層を約120〜140℃程度に加熱して発色剤と顕色剤を溶融させ、常温まで徐々に冷却すると消色状態が固定される。この発色状態と消色状態との可逆的変化を利用することにより、リライトシート4への書き込みと消去、つまり書き換えが可能になっている。
【0020】
ここで、透明リライトシート3やリライトシート4への情報の書き換えは、上記のサーマル方式に替えて、以下のような各種レーザー方式のリライトプリンタを用いて行うこともできる。
・CO(炭酸ガス)レーザー:赤外線レーザーの一種で、その波長は10.6μmと長く、水分に反応して熱エネルギーに変換される。レーザー光は目に見えないので、ガイド光としてHe−Neガスレーザーが一緒に内蔵されていることが多い。
・ルビーレーザー:ルビーを用い、可視光線の一部である波長694nmのレーザー光を出力する。
・アレキサンドライトレーザー:アレキサンドライト(クリソベル)を用い、波長755nmのレーザー光を出力する。
・Nd−YAGレーザー:ネオジウム・ヤグ(イットリウム、アルミニウム、ガーネットの3種からなる結晶YAGにNd(ネオジウム)を混ぜたもの)を用い、波長1064nmのレーザー光を出力する。波長を半分に変換するKTP結晶を組み込んで532nmの波長を有するものが主流である。
・Er−YAGレーザー:上記のYAGにEr(エルビウム)を混ぜたもので、波長2936nmのレーザー光を出力する。上記の炭酸ガスレーザーと同様に水分に反応する。
・ダイ(色素)レーザー:アルコールに色素を溶かし込んだものを発振体とし、波長585nm付近のレーザー光を出力する。
・ダイオード(半導体)レーザー:半導体の性質を変えることにより様々な波長のレーザー光を出力することが可能である。
【0021】
基材シート2の裏面には粘着剤を塗布した粘着層8が設けられており、使用時まで粘着面が剥離紙9で被覆保護されている。このため、剥離紙9を剥がせば、リライト帳票1をラベルとして対象物に貼り付けることができる。また、このリライト帳票1をICカードやRFIDタグ等の他の情報記録媒体に貼り付けることにより、多機能を複合させた複合媒体として運用することも可能である。
【0022】
次に、本実施形態のリライト帳票の使用方法について説明する。
【0023】
図3はリライト帳票を使用して工程管理を行う例を示したものである。この例に示したリライト帳票1は、裏面の粘着層8によってコンテナ20に貼付され、表面が「工程管理票」兼「作業指示書」として機能する。リライト帳票付きのコンテナ20はベルトコンベア等によって製造工程の作業ポイントPに搬送されるとともに、各作業ポイントP1,P2,P3,…にはそれぞれコードリーダ30とリライトプリンタ40が設置されている。
【0024】
リライト帳票1の収納部6にはリライトシート4が差し込み収納されている。リライトシート4の表示面は複数の行列に区画され、各列が工程(工程1、2、3)を示し、各行がそれぞれの工程における作業内容(作業内容A、B、C)を表わしている。リライトシート4に表示される作業内容は予めリライトプリンタ40で印字したものであり、例えば部品の品番や型番、納品数、加工方法等の情報が2次元コードで表示され、透明リライトシート3を通して読み取り可能になっている。
【0025】
リライト帳票付きのコンテナ20が工程1の作業ポイントP1に搬送されてくると、コードリーダ30によってリライトシート4に表示された2次元コードが読み取られ、その作業内容が画面に表示される。作業者は表示された作業内容を確認し、指示された作業内容に従って加工作業を行う。
【0026】
次に、作業ポイントP1での加工作業が終了すると、リライトプリンタ40によって透明リライトシート3に書き込みが行われる。すなわち、終了した作業内容に該当する部分のみをプリンタのサーマルヘッドで所定温度に加熱し、透明リライトシート3の当該部分を白濁させて塗り潰すようにする。このとき、サーマルヘッドのエネルギーを低い値に設定しておけば、透明リライトシート3のみに書き込みがなされる。つまり、収納部6に収納された内側のリライトシート4にはエネルギーが伝わらないため、2次元コードで表示された作業内容まで書き換えてしまうことはない。また、ロイコ染料タイプよりも透明白濁タイプの方が比較的低温でも発色しやすく反応性が高いので、透明リライトシート3のみに鮮明に書き込みを行える。
【0027】
そして、作業ポイントP1での透明リライトシート3への書き込みが完了すると、コンテナ20は後続の作業ポイントP2へと搬送される。後続の作業ポイントP2においてもリライトシート4に表示された2次元コードがコードリーダ30で読み取られ、作業内容が画面に表示される。ここで、既に終了した作業ポイントP1での作業内容Aの部分は透明リライトシート3に印字した白濁部3aによって覆われているため、作業済みの2次元コードは読み取られず、その作業内容は表示されない。したがって、後続の作業ポイントP2に前工程の作業が終了したことを通知することができ、かつ後続の作業ポイントP2での作業内容Bを指示することができる。
【0028】
このように、各作業ポイントP1,P2,P3,…では、作業開始時にコードリーダ30で内側のリライトシート4の2次元コードを読み取って作業内容を指示し、作業終了時にリライトプリンタ40で外側の透明リライトシート3に書き込んで作業終了を通知するようにした。これにより、各作業ポイントP1,P2,P3,…で作業の進捗状況を的確に把握でき、工程管理を効率よく実施することができる。
【0029】
また、このリライト帳票1を利用すれば、作業終了時に透明リライトシート3の白濁部3aを適宜選択して印字することにより、後続の作業ポイントPに対して作業内容の指示を変更したり、異なる製造ラインに仕分け搬送したりすることも可能である。さらに、作業内容の異なる工程を管理する場合には、収納部6からリライトシート4を取り出し、リライトプリンタ40で作業内容を書き換えたものに差し替えればよい。また、透明リライトシート3の表示を消去すれば、新たな工程管理においても同じリライト帳票1を再利用することができる。また、リライトプリンタ40は、サーマル方式のリライトプリンタに替えて上述したようなレーザー方式のリライトプリンタを使用してもよい。
【0030】
なお、上述した実施形態は本発明の一例を示したものであり、この他にも様々な構成や使用方法が考えられる。
【0031】
例えば、図4は本発明に係るリライト帳票の他の構成例を示すもので、同図に示すリライト帳票1は、収納部6の形態を変形した点に特徴がある。すなわち、透明リライトシート3の左右両側縁部に沿って接着剤7を塗布し、これを基材シート2に貼り合わせることによって、上下の2箇所に差込口5,5を開口した収納部6が設けられている。このような構成によれば、使用時において、リライトシート4の差し込みや取り出しの作業が上下どちら側からでも可能になる。よって、作業方向の制約を受けないので、リライト帳票1の利便性が向上する。
【0032】
また、図5は本発明に係るリライト帳票のさらに他の構成例を示すもので、同図に示すリライト帳票1は、差込口5の形態を変形したことが特徴である。すなわち、同図(a)の差込口5は透明リライトシート3の上端中央部を半円状に切り欠いた切り欠き部10が設けられており、同図(b)の差込口5は透明リライトシート3の上端部を斜めに切り欠いた切り欠き部10が設けられている。このような構成によれば、収納部6に収納されたリライトシート4を取り出す時に切り欠き部10の箇所でリライトシート4に指が触れるので、取り出し作業を簡単に行うことができ、リライト帳票1の利便性が向上する。
【0033】
さらに、図6は本発明に係るリライト帳票の他の使用方法を示すもので、同図に示すリライト帳票1は、店舗で会員に発行するポイントカードとして適用したものである。この例では、基材シート2の表面に店舗名や連絡先等の固定情報Xが予め印刷されており、基材シート2に接着された外側の透明リライトシート3に会員番号、発行年月日、ポイント数等の可変情報Yが書き換え可能に印字されている。そして、このポイントカードの利用者は、家庭用のプリンタを使用して写真や絵柄などを印刷した用紙11を収納部6に差し込み収納することが可能である。このように、内側に収納した写真や絵柄などが透明リライトシート3を通して見えるので、ポイントカードのデザインを好きなものに変更することができ、他人のポイントカードとはデザインの異なる個性的なポイントカードを所有することができる。
【0034】
以上説明した実施形態では、外側の透明リライトシート3に透明・白濁タイプのリライトシートを使用し、内側のリライトシート4にロイコ染料タイプのリライトシートを使用したが、使用するシートのタイプはこれに限られない。例えば、外側の透明リライトシート3は透明なリライトシートであれば他の発色原理のものでもよく、外側の透明リライトシート3の発色原理と内側のリライトシート4の発色原理が同じものでもよい。また、収納部6に収納するシートは必ずしもリライトシートである必要はなく、RFIDタグのような帳票や、通常の印刷用紙等を収納してもよい。さらに、リライト帳票1をカード形態で使用する場合には粘着層8と剥離紙9は必要でない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るリライト帳票の一構成例を示す全体図。
【図2】図1のリライト帳票のA−A線断面図。
【図3】図1のリライト帳票の使用方法を示す説明図。
【図4】本発明に係るリライト帳票の他の構成例を示す全体図。
【図5】本発明に係るリライト帳票のさらに他の構成例を示す全体図。
【図6】本発明に係るリライト帳票の他の使用方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0036】
1…リライト帳票
2…基材シート
3…透明リライトシート
4…リライトシート
5…差込口
6…収納部
7…接着剤
8…粘着層
9…剥離紙
10…切り欠き部
11…用紙
20…コンテナ
30…コードリーダ
40…リライトプリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの表面に透明リライトシートの縁部を接着することにより差込口を有する収納部が設けられていることを特徴とするリライト帳票。
【請求項2】
基材シートの表面に透明リライトシートの縁部を接着することにより差込口を有する収納部が設けられ、この収納部に出し入れ自在に収納されるリライトシートを備えたことを特徴とするリライト帳票。
【請求項3】
基材シートの裏面に粘着層が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリライト帳票。
【請求項4】
収納部は透明リライトシートの両側縁部を基材シートに接着してなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリライト帳票。
【請求項5】
差込口の縁部に切り欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリライト帳票。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−126009(P2009−126009A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301704(P2007−301704)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000186566)小林クリエイト株式会社 (169)
【Fターム(参考)】