リング状部品の供給装置
【課題】被供給装置に対してリング状部品を所定量毎に供給することができるとともに、当該リング状部品の供給をスムーズ且つ正確に行わせることができるリング状部品の供給装置を提供する。
【解決手段】被供給装置Aに対してリング状部品Wを所定量毎に供給するためのリング状部品の供給装置において、複数のリング状部品Wを懸吊可能とされた梁手段1と、所定量のリング状部品Wを係止可能とされた係止手段2と、リング状部品Wを係止させる係止部位と係止したリング状部品Wを被供給装置Aに供給する供給部位との間で係止手段2を移動させる水平移動手段3と、係止手段2がリング状部品Wを所定量係止した状態で梁手段1を下方に移動させる垂直移動手段4とを具備するとともに、水平移動手段3で移動する係止手段2の移動軌跡に沿って梁手段1が延設されたものである。
【解決手段】被供給装置Aに対してリング状部品Wを所定量毎に供給するためのリング状部品の供給装置において、複数のリング状部品Wを懸吊可能とされた梁手段1と、所定量のリング状部品Wを係止可能とされた係止手段2と、リング状部品Wを係止させる係止部位と係止したリング状部品Wを被供給装置Aに供給する供給部位との間で係止手段2を移動させる水平移動手段3と、係止手段2がリング状部品Wを所定量係止した状態で梁手段1を下方に移動させる垂直移動手段4とを具備するとともに、水平移動手段3で移動する係止手段2の移動軌跡に沿って梁手段1が延設されたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被供給装置に対して軟質のリング状部品を所定量毎に供給するためのリング状部品の供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴムや樹脂で成形されたOリングや無端状平ベルト等、軟質のリング状部品は、一般に機能特性として柔軟性が要求されている故、全体的に柔らかく形状が定まらず、当該リング状部品を組立機等へ搬送する搬送装置(被供給装置)に対して供給するのは困難とされていた。そこで、特許文献1で開示されているように、振動機と接続されるとともに先端に凹溝が形成された振動杆と、分離リンクが設けられたシリンダとを並設させ、当該振動杆に懸吊されたリング状部品(輪ゴム)を振動機による振動にて凹溝まで移動させ、分離リンクにより余分なリング状部品から分離させるリング状部品の供給装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−143682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のリング状部品の供給装置においては、以下の如き問題があった。即ち、Oリング等のリング状部品には油脂が付着したものが多く、その油脂により複数のリング状部品が絡み合ってしまうことから、振動手段による振動では絡み合ったリング状部品を解して分離するのは困難であった。故に、被供給装置に対してリング状部品をスムーズ且つ正確に供給することが難しいという不具合があった。更に、上記従来のものは、リング状部品を1つずつ分離させるものである故、被供給装置に対してリング状部品を所定量毎に供給することができない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、被供給装置に対してリング状部品を所定量毎に供給することができるとともに、当該リング状部品の供給をスムーズ且つ正確に行わせることができるリング状部品の供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、被供給装置に対してリング状部品を所定量毎に供給するためのリング状部品の供給装置において、複数のリング状部品を懸吊可能とされた梁手段と、先端がフック状に形成されて前記梁手段に懸吊されたリング状部品のうち所定量のリング状部品を係止可能とされた係止手段と、リング状部品を係止させる係止部位と係止したリング状部品を前記被供給装置に供給する供給部位との間で前記係止手段を移動させ得る水平移動手段と、前記係止手段がリング状部品を所定量係止した状態で当該係止手段と前記梁手段とを相対的に上下方向に離間させる垂直移動手段とを具備するとともに、前記水平移動手段で移動する前記係止手段の移動軌跡に沿って前記梁手段が延設されたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のリング状部品の供給装置において、前記係止手段が所定量のリング状部品を係止したことを検知する検知手段を具備するとともに、当該検知手段による検知がなされたことを条件として、前記水平移動手段による移動を停止させ、前記垂直移動手段によって前記係止手段と前記梁手段とを相対的に上下方向に離間させることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のリング状部品の供給装置において、前記検知手段は、前記係止手段が前記水平移動手段で係止部位まで移動する過程において前記梁手段に懸吊されたリング状部品から付与される負荷が所定以上となったことを検知し得るものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載のリング状部品の供給装置において、前記係止手段がリング状部品を係止しつつ前記供給部位まで移動した際、当該リング状部品を係止手段から離脱させて前記被供給装置に落下させ得る離脱手段を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載のリング状部品の供給装置において、前記梁手段は、片持ち支持構造とされ、当該片持ち支持側を中心として揺動自在とされてその開放端側から複数のリング状部品を補給可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、先端がフック状に形成されて梁手段に懸吊されたリング状部品のうち所定量のリング状部品を係止可能とされた係止手段を具備したので、被供給装置に対してリング状部品を所定量毎に供給することができるとともに、水平移動手段で移動する係止手段の移動軌跡に沿って梁手段が延設されたので、当該リング状部品の供給をスムーズ且つ正確に行わせることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、係止手段が所定量のリング状部品を係止したことを検知する検知手段を具備するとともに、当該検知手段による検知がなされたことを条件として、水平移動手段による移動を停止させ、垂直移動手段によって係止手段と梁手段とを相対的に上下方向に離間させるので、より正確且つスムーズに所定量のリング状部品を係止手段にて係止させることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、検知手段は、係止手段が水平移動手段で係止部位まで移動する過程において梁手段に懸吊されたリング状部品から付与される負荷が所定以上となったことを検知し得るものであるので、より簡素な構成にて所定量のリング状部品を係止手段が係止したことを検知させることができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、係止手段がリング状部品を係止しつつ供給部位まで移動した際、当該リング状部品を係止手段から離脱させて被供給装置に落下させ得る離脱手段を具備したので、より簡素な構成にて供給部位の係止手段から被供給装置にリング状部品を供給させることができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、梁手段は、片持ち支持構造とされ、当該片持ち支持側を中心として揺動自在とされてその開放端側から複数のリング状部品を補給可能とされたので、リング状部品の梁手段への補給作業をより容易に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るリング状部品の供給装置を示す正面図
【図2】同リング状部品の供給装置を示す平面図
【図3】同リング状部品の供給装置を示す側面図
【図4】図2におけるIV−IV線断面図
【図5】図2におけるV−V線断面図
【図6】図2におけるVI−VI線断面図
【図7】同リング状部品の供給装置における動作(梁手段が揺動した状態)を示す正面図
【図8】同リング状部品の供給装置における動作(梁手段に複数のリング状部品を懸吊させた状態)を示す正面図
【図9】同リング状部品の供給装置における動作(係止手段が移動した状態)を示す正面図
【図10】同リング状部品の供給装置における動作(係止手段により所定量のリング状部品を係止した状態)を示す正面図
【図11】同リング状部品の供給装置における動作(被供給装置にリング状部品を供給した状態)を示す正面図
【図12】同リング状部品の供給装置に適用される被供給装置を示す模式図
【図13】本発明の他の実施形態に係るリング状部品の供給装置における水平方向移動手段及び係止手段を示す平面図、正面図及び側面図
【図14】図13におけるXIV−XIV線断面図
【図15】図13におけるXV−XV線断面図
【図16】同他の実施形態に係るリング状部品の供給装置における係止手段が回転した状態を示す正面図
【図17】同他の実施形態に係るリング状部品の供給装置における断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るリング状部品の供給装置は、被供給装置に対してリング状部品(例えば、ゴムや樹脂から成るOリング等の軟質のリング状部品や形状の安定しているピストンリング或いはCリング等のリング状部品)を所定量毎に供給するためのもので、図1〜4に示すように、水平方向に延設された梁手段1と、係止手段2と、水平移動手段3と、垂直移動手段4と、検知手段5と、離脱手段6とから主に構成されている。尚、図中符号Fは、本装置のフレームを示しており、かかるフレームFは、床面に固設可能な脚部Faと、摺動レール8を支持する支持部Fbとを有している。
【0018】
梁手段1は、複数のリング状部品Wを懸吊可能とされた一対の長尺状板材1a、1bから成り、これら長尺状板材1a、1bに跨ってリング状部品Wを懸吊し得るよう構成されている。而して、長尺状板材1a、1bは、所定寸法離間しているため、その離間部に後述する係止手段2のフック部2aが通過し得るようになっている。かかる梁手段1は、片持ち支持構造とされ、図7で示すように、当該片持ち支持側(図1中左端側)の揺動軸Cを中心として揺動自在とされるとともに、その開放端側(図1中右側端)から複数のリング状部品Wを作業者が補給可能とされている。
【0019】
尚、図中符号7は、梁手段1を揺動させる駆動源としてのシリンダを示しており、かかるシリンダ7が作動してそのロッド7aを伸縮させることにより、梁手段1が揺動軸Cを中心として揺動可能とされている。また、図中符号S7は、ロッド7aが伸長して梁手段1が揺動している状態(図7の状態)であることを検知するセンサ、符号S8は、ロッド7aが収縮して当該梁手段1が水平状態の状態であることを検知するセンサを示している。
【0020】
係止手段2は、先端にフック状のフック部2aが形成されて梁手段1に懸吊されたリング状部品Wのうち所定量のリング状部品Wを係止可能とされたものである。かかる係止手段2は、その上端が水平移動手段3に接続されており、当該水平移動手段3の摺動に伴って図1中左右方向に移動可能とされている。また、係止手段2は、図5、6に示すように、その上端がスライドレール10に沿って図中左右方向に摺動可能なスライドテーブル9に固定されているとともに、当該スライドテーブル9はコイルスプリング13によって図中左側に付勢されている。尚、図中符号11はスライドテーブル9の左端側のストッパを示しており、符号12は、スライドテーブル9の右端側のストッパ兼コイルスプリング13のガイドを示している。
【0021】
水平移動手段3は、図示しない駆動源により摺動レール8に沿って左右に摺動可能とされたもので、リング状部品Wを係止させる係止部位(図9、10で示す部位)と係止したリング状部品Wを被供給装置Aに供給する供給部位(図11で示す部位)との間で係止手段2を移動させ得るものである。より具体的には、供給部位は、離脱手段6の上方の位置にあり、係止部位は、係止手段2がリング状部品Wを所定量係止した位置である故、リング状部品Wの梁手段1に対する懸吊状態によって種々変化する。尚、図中符号S3は、水平移動手段3が摺動レール8の右端に達したことを検知するセンサ、及び符号S4は、水平移動手段3が摺動レール8の左端に達したことを検知するセンサを示している。
【0022】
然るに、係止手段2が水平移動手段3で係止部位まで移動する過程において、フック部2aがリング状部品Wを係止しつつ移動し、その係止したリング状部品Wから付与される負荷が所定以上になると、コイルスプリング13の付勢力に抗してスライドテーブル9がスライドレール10に沿って右側へ移動するよう設定されている。そして、検知手段5は、スライドテーブル9の右側への移動を検知し得るものとされている。
【0023】
即ち、検知手段5は、スライドテーブル9が移動して離間するとスイッチがオフし、当該スライドテーブル9及び係止手段2がコイルスプリング13の付勢力に抗して移動したことを検知することにより、フック部2aに所定量のリング状部品Wが係止されたことを検知し得るよう構成されている。これにより、係止手段2が水平移動手段3で係止部位まで移動する過程において、梁手段1に懸吊されたリング状部品Wから付与される負荷が所定以上となったことを検知し、フック部2aに所定量のリング状部品Wが係止されたことを検知することができる。
【0024】
垂直移動手段4は、係止手段2がリング状部品Wを所定量係止した状態(即ち、検知手段5が検知した状態)で当該係止手段2と梁手段1とを相対的に上下方向に離間させるためのものであり、本実施形態においては、梁手段1を下方に移動させるシリンダにて構成されている。即ち、検知手段5により、係止手段2のフック部2aが所定量のリング状部材Wを係止したことを検知すると、その位置で水平移動手段3を停止させ、続いて垂直移動手段4が作動して梁手段1を下方に移動させるよう構成されている。これにより、所定量のリング状部品Wは、図10に示すように、梁手段1から係止手段2のフック部2aに渡されて係止されることとなる。尚、図中符号S1は、梁手段1が上方向にある状態を検知するセンサを示しており、符号S2は、当該梁手段1が下方向にある状態を検知するセンサを示している。
【0025】
かかる状態で、水平移動手段3を右方向(初期位置へ向かう方向)へ移動させ、係止手段2のフック部2aが離脱手段6の切欠き部6a(図3参照)を通過するようにする。この離脱手段6は、係止手段2がリング状部品Wを係止しつつ供給部位まで移動した際、当該リング状部品Wを係止手段2から離脱(払拭)させて下方の被供給装置Aに落下させ得るものである。即ち、フック部2aが切欠き部6aを通過する際、当該フック部2aに係止されたリング状部品Wは、当該切欠き部6aを通過できず周縁の壁面と干渉してフック部2aによる係止が解かれるので、図11に示すように、下方に脱落して被供給装置Aに供給されるのである。被供給装置Aにて供給されたリング状部品Wの有無は、センサS5、S6(図1、3参照)で検知可能とされている。
【0026】
被供給装置Aは、図12に示すように、リング状部品Wをスクリューシャフト14の螺旋溝に懸吊させつつ当該スクリューシャフト14の長手方向(図中右側)に順次搬送するためのものであり、例えばスクリューシャフト14の一端が離脱手段6の下方に位置するとともに、他端が組立機等に位置するよう設置される。かかるスクリューシャフト14は、本体15に対して磁石16の磁力にて吸引されて支持されるとともに、モータMの駆動に伴って回転するローラR1、R2にて回転可能とされている。
【0027】
更に、スクリューシャフト14は、外周面に螺旋溝が形成されており、当該螺旋溝は、リング状部品Wを嵌合して懸吊し得る溝幅を有している。そして、スクリューシャフト14がその軸周りに回転すると、当該螺旋溝に懸吊されたリング状部材Wをスクリューシャフト14の長手方向に順次搬送し得るようになっている。尚、図中符号17は、磁石16の表裏面(着磁方向の面)に配設されたヨークを示している。即ち、スクリューシャフト14は、その軸周りの回転が許容されつつ磁石16の磁力にて上方から吸引され、かかる吸引力にて支持されつつモータMの駆動力で回転するのである。尚、特に図1、2では、被供給装置Aにおけるスクリューシャフト14の先端部のみが図示されている。
【0028】
ここで、本実施形態におけるリング状部品の供給装置は、水平移動手段3で移動する係止手段2の移動軌跡に沿って梁手段1が延設されている。而して、係止手段2の移動は、梁手段1の上方で行われるので、当該係止手段2が所定量のリング状部品Wを係止しつつ移動(係止部位から供給部位までの移動)する過程で、フック部2aからこぼれ落ちるリング状部品Wを梁手段1にて懸吊させることができる。フック部2aからこぼれ落ちたリング状部品Wは、次回の係止手段2の移動(初期位置から係止部位までの移動)時に当該フック部2aにて係止されることとなるため、当該リング状部品Wの供給をスムーズ且つ正確に行わせることができる。
【0029】
次に、本実施形態に係るリング状部品の供給装置の作用について説明する。
まず、図7に示すように、シリンダ7を作動させてそのロッド7aを突出させることにより、揺動軸Cを中心として梁手段1を揺動させる。これにより、その開放端が上昇することとなるので、当該開放端側から複数のリング状部品Wを作業者が補給する。そして、再びシリンダ7を作動させてそのロッド7aを没入させ、図8に示すように、複数のリング状部品Wを懸吊させつつ梁手段1を略水平状態とする。
【0030】
然るに、被供給装置Aに所定量のリング状部品Wを補給するには、水平移動手段3を摺動レール8に沿って移動させ、図9に示すように、係止手段2を梁手段1の開放端(図中右端)側から基端(図中左端)側へ移動させる。その過程において、フック部2aがリング状部品Wを係止しつつ移動し、その係止したリング状部品Wから付与される負荷が所定以上になると、コイルスプリング13の付勢力に抗してスライドテーブル9がスライドレール10に沿って右側へ移動する。
【0031】
かかるスライドレール10の移動を検知手段5が検知することにより、フック部2aに所定量のリング状部品Wが係止されたと認識されるので、水平移動手段3による移動を停止させる。この停止した位置が「係止部位」とされる。その後、垂直移動手段4を作動させ、図10に示すように、梁手段1を下方へ移動させれば、所定量のリング状部品Wが専らフック部2aにて係止(懸吊)されることとなる。
【0032】
その係止状態を維持しつつ水平移動手段3を供給部位(初期位置に向かう方向)まで移動させると、図11に示すように、フック部2aが離脱手段6の切欠き部6aを通過するものの係止したリング状部品Wが当該フック部2aから離脱して被供給装置Aのスクリューシャフト14に落下する。これにより、所定量のリング状部品Wがスクリューシャフト14に至ることとなり、その後、水平移動手段3及び垂直移動手段4を作動させて係止手段2及び梁手段1を初期位置まで戻す。而して、上記一連動作を繰り返すことにより、被供給装置Aに対してリング状部品Wを所定量毎に供給し得るようになっている。
【0033】
ここで、本実施形態においては、既述のように、水平移動手段3で移動する係止手段2の移動軌跡に沿って梁手段1が延設されているので、係止手段2が係止部位から供給部位まで移動する間に、フック部2aからこぼれ落ちた(脱落した)リング状部品Wは、梁手段1で懸吊されることとなる。従って、前回にこぼれ落ちたリング状部品Wは、次回の係止手段2の移動(初期位置から係止部位までの移動)時に当該フック部2aにて係止されることとなる。
【0034】
上記実施形態によれば、係止手段2が所定量のリング状部品Wを係止したことを検知する検知手段5を具備するとともに、当該検知手段5による検知がなされたことを条件として、水平移動手段3による移動を停止させ、垂直移動手段4によって係止手段2と梁手段1とを相対的に上下方向に離間させるので、より正確且つスムーズに所定量のリング状部品Wを係止手段2にて係止させることができる。
【0035】
また、検知手段5は、係止手段2が水平移動手段3で係止部位まで移動する過程において梁手段1に懸吊されたリング状部品Wから付与される負荷が所定以上となったことを検知し得るものであるので、より簡素な構成にて所定量のリング状部品Wを係止手段2が係止したことを検知させることができる。尚、かかる検知手段5に代えて、係止手段2が水平移動手段3で係止部位まで移動する過程において当該係止手段2が所定量のリング状部品Wを係止したことを検知するものであれば、他の形態のもの(非接触式センサ等)としてもよい。
【0036】
更に、係止手段2がリング状部品Wを係止しつつ供給部位まで移動した際、当該リング状部品Wを係止手段2から離脱させて被供給装置Aに落下させ得る離脱手段6を具備したので、より簡素な構成にて供給部位の係止手段2から被供給装置Aにリング状部品Wを供給させることができる。また更に、梁手段1は、片持ち支持構造とされ、当該片持ち支持側を中心として揺動自在とされてその開放端側から複数のリング状部品Wを補給可能とされたので、リング状部品Wの梁手段1への補給作業をより容易に行わせることができる。
【0037】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば垂直移動手段4に代えて、摺動レール8と共に或いは分離して、水平移動手段3を上方へ移動させ得るものとしてもよい。即ち、係止手段2がリング状部品Wを所定量係止した状態で当該係止手段2と梁手段1とを相対的に上下方向に離間させる垂直移動手段であれば、本実施形態の如く梁手段1を係止手段2に対して下方に下げるものの他、係止手段2を梁手段1に対して上方に上げるものとしてもよいのである。
【0038】
また、検知手段5に代えて、図13〜15に示す如き形態のものとしてもよい。かかる他の実施形態のものは、係止手段2と接続されるとともに、リング状部品Wを係止させる係止部位と係止したリング状部品Wを被供給装置Aに供給する供給部位との間で当該係止手段2を移動させ得る水平移動手段3’を具備して成るものとされ、当該水平移動手段3’には検知手段5’が配設されている。
【0039】
係止手段2は、回転自在な軸部材C1にて支持されるとともに、コイルスプリング13’にて付勢されている。かかる軸部材C1には、貫通孔Caが形成されており、この貫通孔Caを臨ませて一対の透過式センサ5’a、5’bが配設されている。即ち、透過式センサ5’a、5’bのうち何れか一方から発信されたレーザ等の光信号が貫通孔Caを通過して他方にて受信し得るよう構成されているのである。尚、図15中符号18a、18bは、ストッパを示している。また、図13、16、17中符号C2は、係止手段2の回転軸(本実施形態においてはボルトから成る)を示しているとともに、符号Bは、当該係止手段2の回転のためのベアリングを示している。
【0040】
然るに、係止手段2が水平移動手段3で係止部位まで移動する過程において、フック部2aがリング状部品Wを係止しつつ移動し、その係止したリング状部品Wから付与される負荷が所定以上になると、図16に示すように、コイルスプリング13’の付勢力に抗して軸部材C1が回転軸C2を中心に回転するので、透過式センサ5’a、5’bのうち何れか一方から発信されたレーザ等の光信号が貫通孔Caを通過し得なくなって他方にて受信不能となるよう設定されている。
【0041】
即ち、検知手段5’は、係止手段2と共に軸部材C1が回転すると光の透過が遮断されてスイッチがオフし、当該係止手段2がコイルスプリング13’の付勢力に抗して移動したことを検知することにより、フック部2aに所定量のリング状部品Wが係止されたことを検知し得るよう構成されている。これにより、係止手段2が水平移動手段3’で係止部位まで移動する過程において、梁手段1に懸吊されたリング状部品Wから付与される負荷が所定以上となったことを検知し、フック部2aに所定量のリング状部品Wが係止されたことを検知することができる。
【0042】
更に、本実施形態の水平移動手段3及び垂直移動手段4に代えて、他の汎用のアクチュエータ等としてもよい。特に、水平移動手段3においては、シリンダ機構やモータ機構、或いはボールネジ機構等、係止手段2を水平方向に移動させ得る他の移動手段としてもよい。また、被供給手段Aは、本実施形態のものに限定されず、組立機等にリング状部品Wを整列させつつ順次搬送させるものであれば、他の形態のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
複数のリング状部品を懸吊可能とされた梁手段と、先端がフック状に形成されて梁手段に懸吊されたリング状部品のうち所定量のリング状部品を係止可能とされた係止手段と、リング状部品を係止させる係止部位と係止したリング状部品を被供給装置に供給する供給部位との間で係止手段を移動させ得る水平移動手段と、係止手段がリング状部品を所定量係止した状態で当該係止手段と梁手段とを相対的に上下方向に離間させる垂直移動手段とを具備するとともに、水平移動手段で移動する係止手段の移動軌跡に沿って梁手段が延設されたリング状部品の供給装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 梁手段
2 係止手段
3 水平移動手段
4 垂直移動手段
5、5’ 検知手段
6 離脱手段
7 シリンダ
8 摺動レール
9 スライドテーブル
10 スライドレール
11 ストッパ
12 ストッパ兼コイルスプリングのガイド
13、13’ コイルスプリング
14 スクリューシャフト
15 本体
16 磁石
17 ヨーク
18a、18b ストッパ
W リング状部品
A 被供給装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、被供給装置に対して軟質のリング状部品を所定量毎に供給するためのリング状部品の供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴムや樹脂で成形されたOリングや無端状平ベルト等、軟質のリング状部品は、一般に機能特性として柔軟性が要求されている故、全体的に柔らかく形状が定まらず、当該リング状部品を組立機等へ搬送する搬送装置(被供給装置)に対して供給するのは困難とされていた。そこで、特許文献1で開示されているように、振動機と接続されるとともに先端に凹溝が形成された振動杆と、分離リンクが設けられたシリンダとを並設させ、当該振動杆に懸吊されたリング状部品(輪ゴム)を振動機による振動にて凹溝まで移動させ、分離リンクにより余分なリング状部品から分離させるリング状部品の供給装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−143682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のリング状部品の供給装置においては、以下の如き問題があった。即ち、Oリング等のリング状部品には油脂が付着したものが多く、その油脂により複数のリング状部品が絡み合ってしまうことから、振動手段による振動では絡み合ったリング状部品を解して分離するのは困難であった。故に、被供給装置に対してリング状部品をスムーズ且つ正確に供給することが難しいという不具合があった。更に、上記従来のものは、リング状部品を1つずつ分離させるものである故、被供給装置に対してリング状部品を所定量毎に供給することができない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、被供給装置に対してリング状部品を所定量毎に供給することができるとともに、当該リング状部品の供給をスムーズ且つ正確に行わせることができるリング状部品の供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、被供給装置に対してリング状部品を所定量毎に供給するためのリング状部品の供給装置において、複数のリング状部品を懸吊可能とされた梁手段と、先端がフック状に形成されて前記梁手段に懸吊されたリング状部品のうち所定量のリング状部品を係止可能とされた係止手段と、リング状部品を係止させる係止部位と係止したリング状部品を前記被供給装置に供給する供給部位との間で前記係止手段を移動させ得る水平移動手段と、前記係止手段がリング状部品を所定量係止した状態で当該係止手段と前記梁手段とを相対的に上下方向に離間させる垂直移動手段とを具備するとともに、前記水平移動手段で移動する前記係止手段の移動軌跡に沿って前記梁手段が延設されたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のリング状部品の供給装置において、前記係止手段が所定量のリング状部品を係止したことを検知する検知手段を具備するとともに、当該検知手段による検知がなされたことを条件として、前記水平移動手段による移動を停止させ、前記垂直移動手段によって前記係止手段と前記梁手段とを相対的に上下方向に離間させることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のリング状部品の供給装置において、前記検知手段は、前記係止手段が前記水平移動手段で係止部位まで移動する過程において前記梁手段に懸吊されたリング状部品から付与される負荷が所定以上となったことを検知し得るものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載のリング状部品の供給装置において、前記係止手段がリング状部品を係止しつつ前記供給部位まで移動した際、当該リング状部品を係止手段から離脱させて前記被供給装置に落下させ得る離脱手段を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載のリング状部品の供給装置において、前記梁手段は、片持ち支持構造とされ、当該片持ち支持側を中心として揺動自在とされてその開放端側から複数のリング状部品を補給可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、先端がフック状に形成されて梁手段に懸吊されたリング状部品のうち所定量のリング状部品を係止可能とされた係止手段を具備したので、被供給装置に対してリング状部品を所定量毎に供給することができるとともに、水平移動手段で移動する係止手段の移動軌跡に沿って梁手段が延設されたので、当該リング状部品の供給をスムーズ且つ正確に行わせることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、係止手段が所定量のリング状部品を係止したことを検知する検知手段を具備するとともに、当該検知手段による検知がなされたことを条件として、水平移動手段による移動を停止させ、垂直移動手段によって係止手段と梁手段とを相対的に上下方向に離間させるので、より正確且つスムーズに所定量のリング状部品を係止手段にて係止させることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、検知手段は、係止手段が水平移動手段で係止部位まで移動する過程において梁手段に懸吊されたリング状部品から付与される負荷が所定以上となったことを検知し得るものであるので、より簡素な構成にて所定量のリング状部品を係止手段が係止したことを検知させることができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、係止手段がリング状部品を係止しつつ供給部位まで移動した際、当該リング状部品を係止手段から離脱させて被供給装置に落下させ得る離脱手段を具備したので、より簡素な構成にて供給部位の係止手段から被供給装置にリング状部品を供給させることができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、梁手段は、片持ち支持構造とされ、当該片持ち支持側を中心として揺動自在とされてその開放端側から複数のリング状部品を補給可能とされたので、リング状部品の梁手段への補給作業をより容易に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るリング状部品の供給装置を示す正面図
【図2】同リング状部品の供給装置を示す平面図
【図3】同リング状部品の供給装置を示す側面図
【図4】図2におけるIV−IV線断面図
【図5】図2におけるV−V線断面図
【図6】図2におけるVI−VI線断面図
【図7】同リング状部品の供給装置における動作(梁手段が揺動した状態)を示す正面図
【図8】同リング状部品の供給装置における動作(梁手段に複数のリング状部品を懸吊させた状態)を示す正面図
【図9】同リング状部品の供給装置における動作(係止手段が移動した状態)を示す正面図
【図10】同リング状部品の供給装置における動作(係止手段により所定量のリング状部品を係止した状態)を示す正面図
【図11】同リング状部品の供給装置における動作(被供給装置にリング状部品を供給した状態)を示す正面図
【図12】同リング状部品の供給装置に適用される被供給装置を示す模式図
【図13】本発明の他の実施形態に係るリング状部品の供給装置における水平方向移動手段及び係止手段を示す平面図、正面図及び側面図
【図14】図13におけるXIV−XIV線断面図
【図15】図13におけるXV−XV線断面図
【図16】同他の実施形態に係るリング状部品の供給装置における係止手段が回転した状態を示す正面図
【図17】同他の実施形態に係るリング状部品の供給装置における断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るリング状部品の供給装置は、被供給装置に対してリング状部品(例えば、ゴムや樹脂から成るOリング等の軟質のリング状部品や形状の安定しているピストンリング或いはCリング等のリング状部品)を所定量毎に供給するためのもので、図1〜4に示すように、水平方向に延設された梁手段1と、係止手段2と、水平移動手段3と、垂直移動手段4と、検知手段5と、離脱手段6とから主に構成されている。尚、図中符号Fは、本装置のフレームを示しており、かかるフレームFは、床面に固設可能な脚部Faと、摺動レール8を支持する支持部Fbとを有している。
【0018】
梁手段1は、複数のリング状部品Wを懸吊可能とされた一対の長尺状板材1a、1bから成り、これら長尺状板材1a、1bに跨ってリング状部品Wを懸吊し得るよう構成されている。而して、長尺状板材1a、1bは、所定寸法離間しているため、その離間部に後述する係止手段2のフック部2aが通過し得るようになっている。かかる梁手段1は、片持ち支持構造とされ、図7で示すように、当該片持ち支持側(図1中左端側)の揺動軸Cを中心として揺動自在とされるとともに、その開放端側(図1中右側端)から複数のリング状部品Wを作業者が補給可能とされている。
【0019】
尚、図中符号7は、梁手段1を揺動させる駆動源としてのシリンダを示しており、かかるシリンダ7が作動してそのロッド7aを伸縮させることにより、梁手段1が揺動軸Cを中心として揺動可能とされている。また、図中符号S7は、ロッド7aが伸長して梁手段1が揺動している状態(図7の状態)であることを検知するセンサ、符号S8は、ロッド7aが収縮して当該梁手段1が水平状態の状態であることを検知するセンサを示している。
【0020】
係止手段2は、先端にフック状のフック部2aが形成されて梁手段1に懸吊されたリング状部品Wのうち所定量のリング状部品Wを係止可能とされたものである。かかる係止手段2は、その上端が水平移動手段3に接続されており、当該水平移動手段3の摺動に伴って図1中左右方向に移動可能とされている。また、係止手段2は、図5、6に示すように、その上端がスライドレール10に沿って図中左右方向に摺動可能なスライドテーブル9に固定されているとともに、当該スライドテーブル9はコイルスプリング13によって図中左側に付勢されている。尚、図中符号11はスライドテーブル9の左端側のストッパを示しており、符号12は、スライドテーブル9の右端側のストッパ兼コイルスプリング13のガイドを示している。
【0021】
水平移動手段3は、図示しない駆動源により摺動レール8に沿って左右に摺動可能とされたもので、リング状部品Wを係止させる係止部位(図9、10で示す部位)と係止したリング状部品Wを被供給装置Aに供給する供給部位(図11で示す部位)との間で係止手段2を移動させ得るものである。より具体的には、供給部位は、離脱手段6の上方の位置にあり、係止部位は、係止手段2がリング状部品Wを所定量係止した位置である故、リング状部品Wの梁手段1に対する懸吊状態によって種々変化する。尚、図中符号S3は、水平移動手段3が摺動レール8の右端に達したことを検知するセンサ、及び符号S4は、水平移動手段3が摺動レール8の左端に達したことを検知するセンサを示している。
【0022】
然るに、係止手段2が水平移動手段3で係止部位まで移動する過程において、フック部2aがリング状部品Wを係止しつつ移動し、その係止したリング状部品Wから付与される負荷が所定以上になると、コイルスプリング13の付勢力に抗してスライドテーブル9がスライドレール10に沿って右側へ移動するよう設定されている。そして、検知手段5は、スライドテーブル9の右側への移動を検知し得るものとされている。
【0023】
即ち、検知手段5は、スライドテーブル9が移動して離間するとスイッチがオフし、当該スライドテーブル9及び係止手段2がコイルスプリング13の付勢力に抗して移動したことを検知することにより、フック部2aに所定量のリング状部品Wが係止されたことを検知し得るよう構成されている。これにより、係止手段2が水平移動手段3で係止部位まで移動する過程において、梁手段1に懸吊されたリング状部品Wから付与される負荷が所定以上となったことを検知し、フック部2aに所定量のリング状部品Wが係止されたことを検知することができる。
【0024】
垂直移動手段4は、係止手段2がリング状部品Wを所定量係止した状態(即ち、検知手段5が検知した状態)で当該係止手段2と梁手段1とを相対的に上下方向に離間させるためのものであり、本実施形態においては、梁手段1を下方に移動させるシリンダにて構成されている。即ち、検知手段5により、係止手段2のフック部2aが所定量のリング状部材Wを係止したことを検知すると、その位置で水平移動手段3を停止させ、続いて垂直移動手段4が作動して梁手段1を下方に移動させるよう構成されている。これにより、所定量のリング状部品Wは、図10に示すように、梁手段1から係止手段2のフック部2aに渡されて係止されることとなる。尚、図中符号S1は、梁手段1が上方向にある状態を検知するセンサを示しており、符号S2は、当該梁手段1が下方向にある状態を検知するセンサを示している。
【0025】
かかる状態で、水平移動手段3を右方向(初期位置へ向かう方向)へ移動させ、係止手段2のフック部2aが離脱手段6の切欠き部6a(図3参照)を通過するようにする。この離脱手段6は、係止手段2がリング状部品Wを係止しつつ供給部位まで移動した際、当該リング状部品Wを係止手段2から離脱(払拭)させて下方の被供給装置Aに落下させ得るものである。即ち、フック部2aが切欠き部6aを通過する際、当該フック部2aに係止されたリング状部品Wは、当該切欠き部6aを通過できず周縁の壁面と干渉してフック部2aによる係止が解かれるので、図11に示すように、下方に脱落して被供給装置Aに供給されるのである。被供給装置Aにて供給されたリング状部品Wの有無は、センサS5、S6(図1、3参照)で検知可能とされている。
【0026】
被供給装置Aは、図12に示すように、リング状部品Wをスクリューシャフト14の螺旋溝に懸吊させつつ当該スクリューシャフト14の長手方向(図中右側)に順次搬送するためのものであり、例えばスクリューシャフト14の一端が離脱手段6の下方に位置するとともに、他端が組立機等に位置するよう設置される。かかるスクリューシャフト14は、本体15に対して磁石16の磁力にて吸引されて支持されるとともに、モータMの駆動に伴って回転するローラR1、R2にて回転可能とされている。
【0027】
更に、スクリューシャフト14は、外周面に螺旋溝が形成されており、当該螺旋溝は、リング状部品Wを嵌合して懸吊し得る溝幅を有している。そして、スクリューシャフト14がその軸周りに回転すると、当該螺旋溝に懸吊されたリング状部材Wをスクリューシャフト14の長手方向に順次搬送し得るようになっている。尚、図中符号17は、磁石16の表裏面(着磁方向の面)に配設されたヨークを示している。即ち、スクリューシャフト14は、その軸周りの回転が許容されつつ磁石16の磁力にて上方から吸引され、かかる吸引力にて支持されつつモータMの駆動力で回転するのである。尚、特に図1、2では、被供給装置Aにおけるスクリューシャフト14の先端部のみが図示されている。
【0028】
ここで、本実施形態におけるリング状部品の供給装置は、水平移動手段3で移動する係止手段2の移動軌跡に沿って梁手段1が延設されている。而して、係止手段2の移動は、梁手段1の上方で行われるので、当該係止手段2が所定量のリング状部品Wを係止しつつ移動(係止部位から供給部位までの移動)する過程で、フック部2aからこぼれ落ちるリング状部品Wを梁手段1にて懸吊させることができる。フック部2aからこぼれ落ちたリング状部品Wは、次回の係止手段2の移動(初期位置から係止部位までの移動)時に当該フック部2aにて係止されることとなるため、当該リング状部品Wの供給をスムーズ且つ正確に行わせることができる。
【0029】
次に、本実施形態に係るリング状部品の供給装置の作用について説明する。
まず、図7に示すように、シリンダ7を作動させてそのロッド7aを突出させることにより、揺動軸Cを中心として梁手段1を揺動させる。これにより、その開放端が上昇することとなるので、当該開放端側から複数のリング状部品Wを作業者が補給する。そして、再びシリンダ7を作動させてそのロッド7aを没入させ、図8に示すように、複数のリング状部品Wを懸吊させつつ梁手段1を略水平状態とする。
【0030】
然るに、被供給装置Aに所定量のリング状部品Wを補給するには、水平移動手段3を摺動レール8に沿って移動させ、図9に示すように、係止手段2を梁手段1の開放端(図中右端)側から基端(図中左端)側へ移動させる。その過程において、フック部2aがリング状部品Wを係止しつつ移動し、その係止したリング状部品Wから付与される負荷が所定以上になると、コイルスプリング13の付勢力に抗してスライドテーブル9がスライドレール10に沿って右側へ移動する。
【0031】
かかるスライドレール10の移動を検知手段5が検知することにより、フック部2aに所定量のリング状部品Wが係止されたと認識されるので、水平移動手段3による移動を停止させる。この停止した位置が「係止部位」とされる。その後、垂直移動手段4を作動させ、図10に示すように、梁手段1を下方へ移動させれば、所定量のリング状部品Wが専らフック部2aにて係止(懸吊)されることとなる。
【0032】
その係止状態を維持しつつ水平移動手段3を供給部位(初期位置に向かう方向)まで移動させると、図11に示すように、フック部2aが離脱手段6の切欠き部6aを通過するものの係止したリング状部品Wが当該フック部2aから離脱して被供給装置Aのスクリューシャフト14に落下する。これにより、所定量のリング状部品Wがスクリューシャフト14に至ることとなり、その後、水平移動手段3及び垂直移動手段4を作動させて係止手段2及び梁手段1を初期位置まで戻す。而して、上記一連動作を繰り返すことにより、被供給装置Aに対してリング状部品Wを所定量毎に供給し得るようになっている。
【0033】
ここで、本実施形態においては、既述のように、水平移動手段3で移動する係止手段2の移動軌跡に沿って梁手段1が延設されているので、係止手段2が係止部位から供給部位まで移動する間に、フック部2aからこぼれ落ちた(脱落した)リング状部品Wは、梁手段1で懸吊されることとなる。従って、前回にこぼれ落ちたリング状部品Wは、次回の係止手段2の移動(初期位置から係止部位までの移動)時に当該フック部2aにて係止されることとなる。
【0034】
上記実施形態によれば、係止手段2が所定量のリング状部品Wを係止したことを検知する検知手段5を具備するとともに、当該検知手段5による検知がなされたことを条件として、水平移動手段3による移動を停止させ、垂直移動手段4によって係止手段2と梁手段1とを相対的に上下方向に離間させるので、より正確且つスムーズに所定量のリング状部品Wを係止手段2にて係止させることができる。
【0035】
また、検知手段5は、係止手段2が水平移動手段3で係止部位まで移動する過程において梁手段1に懸吊されたリング状部品Wから付与される負荷が所定以上となったことを検知し得るものであるので、より簡素な構成にて所定量のリング状部品Wを係止手段2が係止したことを検知させることができる。尚、かかる検知手段5に代えて、係止手段2が水平移動手段3で係止部位まで移動する過程において当該係止手段2が所定量のリング状部品Wを係止したことを検知するものであれば、他の形態のもの(非接触式センサ等)としてもよい。
【0036】
更に、係止手段2がリング状部品Wを係止しつつ供給部位まで移動した際、当該リング状部品Wを係止手段2から離脱させて被供給装置Aに落下させ得る離脱手段6を具備したので、より簡素な構成にて供給部位の係止手段2から被供給装置Aにリング状部品Wを供給させることができる。また更に、梁手段1は、片持ち支持構造とされ、当該片持ち支持側を中心として揺動自在とされてその開放端側から複数のリング状部品Wを補給可能とされたので、リング状部品Wの梁手段1への補給作業をより容易に行わせることができる。
【0037】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば垂直移動手段4に代えて、摺動レール8と共に或いは分離して、水平移動手段3を上方へ移動させ得るものとしてもよい。即ち、係止手段2がリング状部品Wを所定量係止した状態で当該係止手段2と梁手段1とを相対的に上下方向に離間させる垂直移動手段であれば、本実施形態の如く梁手段1を係止手段2に対して下方に下げるものの他、係止手段2を梁手段1に対して上方に上げるものとしてもよいのである。
【0038】
また、検知手段5に代えて、図13〜15に示す如き形態のものとしてもよい。かかる他の実施形態のものは、係止手段2と接続されるとともに、リング状部品Wを係止させる係止部位と係止したリング状部品Wを被供給装置Aに供給する供給部位との間で当該係止手段2を移動させ得る水平移動手段3’を具備して成るものとされ、当該水平移動手段3’には検知手段5’が配設されている。
【0039】
係止手段2は、回転自在な軸部材C1にて支持されるとともに、コイルスプリング13’にて付勢されている。かかる軸部材C1には、貫通孔Caが形成されており、この貫通孔Caを臨ませて一対の透過式センサ5’a、5’bが配設されている。即ち、透過式センサ5’a、5’bのうち何れか一方から発信されたレーザ等の光信号が貫通孔Caを通過して他方にて受信し得るよう構成されているのである。尚、図15中符号18a、18bは、ストッパを示している。また、図13、16、17中符号C2は、係止手段2の回転軸(本実施形態においてはボルトから成る)を示しているとともに、符号Bは、当該係止手段2の回転のためのベアリングを示している。
【0040】
然るに、係止手段2が水平移動手段3で係止部位まで移動する過程において、フック部2aがリング状部品Wを係止しつつ移動し、その係止したリング状部品Wから付与される負荷が所定以上になると、図16に示すように、コイルスプリング13’の付勢力に抗して軸部材C1が回転軸C2を中心に回転するので、透過式センサ5’a、5’bのうち何れか一方から発信されたレーザ等の光信号が貫通孔Caを通過し得なくなって他方にて受信不能となるよう設定されている。
【0041】
即ち、検知手段5’は、係止手段2と共に軸部材C1が回転すると光の透過が遮断されてスイッチがオフし、当該係止手段2がコイルスプリング13’の付勢力に抗して移動したことを検知することにより、フック部2aに所定量のリング状部品Wが係止されたことを検知し得るよう構成されている。これにより、係止手段2が水平移動手段3’で係止部位まで移動する過程において、梁手段1に懸吊されたリング状部品Wから付与される負荷が所定以上となったことを検知し、フック部2aに所定量のリング状部品Wが係止されたことを検知することができる。
【0042】
更に、本実施形態の水平移動手段3及び垂直移動手段4に代えて、他の汎用のアクチュエータ等としてもよい。特に、水平移動手段3においては、シリンダ機構やモータ機構、或いはボールネジ機構等、係止手段2を水平方向に移動させ得る他の移動手段としてもよい。また、被供給手段Aは、本実施形態のものに限定されず、組立機等にリング状部品Wを整列させつつ順次搬送させるものであれば、他の形態のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
複数のリング状部品を懸吊可能とされた梁手段と、先端がフック状に形成されて梁手段に懸吊されたリング状部品のうち所定量のリング状部品を係止可能とされた係止手段と、リング状部品を係止させる係止部位と係止したリング状部品を被供給装置に供給する供給部位との間で係止手段を移動させ得る水平移動手段と、係止手段がリング状部品を所定量係止した状態で当該係止手段と梁手段とを相対的に上下方向に離間させる垂直移動手段とを具備するとともに、水平移動手段で移動する係止手段の移動軌跡に沿って梁手段が延設されたリング状部品の供給装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 梁手段
2 係止手段
3 水平移動手段
4 垂直移動手段
5、5’ 検知手段
6 離脱手段
7 シリンダ
8 摺動レール
9 スライドテーブル
10 スライドレール
11 ストッパ
12 ストッパ兼コイルスプリングのガイド
13、13’ コイルスプリング
14 スクリューシャフト
15 本体
16 磁石
17 ヨーク
18a、18b ストッパ
W リング状部品
A 被供給装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被供給装置に対してリング状部品を所定量毎に供給するためのリング状部品の供給装置において、
複数のリング状部品を懸吊可能とされた梁手段と、
先端がフック状に形成されて前記梁手段に懸吊されたリング状部品のうち所定量のリング状部品を係止可能とされた係止手段と、
リング状部品を係止させる係止部位と係止したリング状部品を前記被供給装置に供給する供給部位との間で前記係止手段を移動させ得る水平移動手段と、
前記係止手段がリング状部品を所定量係止した状態で当該係止手段と前記梁手段とを相対的に上下方向に離間させる垂直移動手段と、
を具備するとともに、前記水平移動手段で移動する前記係止手段の移動軌跡に沿って前記梁手段が延設されたことを特徴とするリング状部品の供給装置。
【請求項2】
前記係止手段が所定量のリング状部品を係止したことを検知する検知手段を具備するとともに、当該検知手段による検知がなされたことを条件として、前記水平移動手段による移動を停止させ、前記垂直移動手段によって前記係止手段と前記梁手段とを相対的に上下方向に離間させることを特徴とする請求項1記載のリング状部品の供給装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記係止手段が前記水平移動手段で係止部位まで移動する過程において前記梁手段に懸吊されたリング状部品から付与される負荷が所定以上となったことを検知し得るものであることを特徴とする請求項2記載のリング状部品の供給装置。
【請求項4】
前記係止手段がリング状部品を係止しつつ前記供給部位まで移動した際、当該リング状部品を係止手段から離脱させて前記被供給装置に落下させ得る離脱手段を具備したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載のリング状部品の供給装置。
【請求項5】
前記梁手段は、片持ち支持構造とされ、当該片持ち支持側を中心として揺動自在とされてその開放端側から複数のリング状部品を補給可能とされたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載のリング状部品の供給装置。
【請求項1】
被供給装置に対してリング状部品を所定量毎に供給するためのリング状部品の供給装置において、
複数のリング状部品を懸吊可能とされた梁手段と、
先端がフック状に形成されて前記梁手段に懸吊されたリング状部品のうち所定量のリング状部品を係止可能とされた係止手段と、
リング状部品を係止させる係止部位と係止したリング状部品を前記被供給装置に供給する供給部位との間で前記係止手段を移動させ得る水平移動手段と、
前記係止手段がリング状部品を所定量係止した状態で当該係止手段と前記梁手段とを相対的に上下方向に離間させる垂直移動手段と、
を具備するとともに、前記水平移動手段で移動する前記係止手段の移動軌跡に沿って前記梁手段が延設されたことを特徴とするリング状部品の供給装置。
【請求項2】
前記係止手段が所定量のリング状部品を係止したことを検知する検知手段を具備するとともに、当該検知手段による検知がなされたことを条件として、前記水平移動手段による移動を停止させ、前記垂直移動手段によって前記係止手段と前記梁手段とを相対的に上下方向に離間させることを特徴とする請求項1記載のリング状部品の供給装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記係止手段が前記水平移動手段で係止部位まで移動する過程において前記梁手段に懸吊されたリング状部品から付与される負荷が所定以上となったことを検知し得るものであることを特徴とする請求項2記載のリング状部品の供給装置。
【請求項4】
前記係止手段がリング状部品を係止しつつ前記供給部位まで移動した際、当該リング状部品を係止手段から離脱させて前記被供給装置に落下させ得る離脱手段を具備したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載のリング状部品の供給装置。
【請求項5】
前記梁手段は、片持ち支持構造とされ、当該片持ち支持側を中心として揺動自在とされてその開放端側から複数のリング状部品を補給可能とされたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載のリング状部品の供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−253583(P2010−253583A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103634(P2009−103634)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(501393586)ナックフィーディング株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(501393586)ナックフィーディング株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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