説明

リークテスト装置及び方法

【課題】開口部を有する容器状のワークに対するファインリークテストの検査精度を向上させる。
【解決手段】チャンバー10にワーク9を収容し、封止部材13にてワーク9の開口部を塞ぎ、チャンバー10を密閉する。排気系40によってチャンバー10内のガスを排気ポート17から排気しながら、第1給気系30によってヘリウム等の検査ガスを給気ポート16からチャンバー10内に供給する。好ましくは次に排気系40を閉じる。次いで検知系2によってワーク9内のガスを吸引して、検知器2にて検査ガスの有無を検知する。好ましくは、その後、チャンバー10内のガスを排気系2にて排気しながら第2給気系60にてパージガスをチャンバー10内に供給したうえで、チャンバー10を開けてワーク9を搬出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開口部を有する容器状のワークを、ヘリウム等の検査ガスを用いてファインリークテストする装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの洩れ検査は、ワークの比較的大きな欠陥を検知するグロスリークテストと、比較的小さな欠陥を検知するファインリークテストとに大別される。グロスリークテストとしてエア圧を用いたエアリークテストが挙げられる。ファインリークテストとしてヘリウムを検査ガスとするヘリウムリークテストが挙げられる(特許文献1等参照)。
【0003】
開口部を有する容器状のワーク用のヘリウムリークテスト装置として公知のものは、ワークの開口部を下にして台座に設置することで、上記開口部を塞ぎ、ワークの内部を密閉する。次に、ヘリウムをノズルから吹き出してワークの外面に当てながら、ワーク内のガスを吸引して検知器にてヘリウムの検知を行なう。ワークにファインリークレベルの欠陥があれば、その欠陥を通してヘリウムがワーク内に入り、検知器にて検知される。これにより、ワークのファインリークレベルの欠陥の有無を判定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−278914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公知のヘリウム等の検査ガスを用いたファインリークテスト装置は、検査を開放空間で行なっているために検査ガスが周辺の雰囲気中に残留しやすい。そのため、テストを繰り返すにしたがって、バックグランドの検査ガス濃度が上昇してしまう。そうすると、欠陥が無いのに検査ガスが検知されるおそれがあり、検査精度が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、開口部を有する容器状のワークを、検査ガスの有無を検知する検知器にてリークテストする装置であって、
前記ワークの前記開口部を塞ぐ封止手段と、給気ポートと、排気ポートを有し、前記ワークを収容して密閉可能なチャンバーと、
前記封止手段に設けられた検査孔に連なり、前記ワーク内のガスを前記検査孔を通して吸引して前記検知器へ送る検知系と、
前記給気ポートに接続され、前記検査ガスを前記給気ポートから前記チャンバー内に供給する第1給気系と、
前記排気ポートに接続され、前記第1給気系による前記検査ガスの供給操作の少なくとも初期に前記チャンバー内のガスを前記排気ポートを介して排出する排気系と、
を備えたことを特徴とする。
上記特徴によれば、チャンバーを密閉することで検査ガスが周辺の雰囲気に拡散するのを防止でき、バックグランドの検査ガス濃度が上昇するのを防止できる。加えて、第1給気系及び排気系を併行して作動させることによって、チャンバー内のガスを検査ガスに確実に置換したうえで、リークテストを行なうことができる。これによって、開口部を有する容器状のワークに対するファインリークテストの検査精度を向上させることができる。前記検査ガスとしては、ヘリウム、アルゴン等の希ガスのほか、水素ガス等が挙げられる。検査ガスは、好ましくはヘリウムである。
【0007】
前記リークテスト装置が、前記検知器による検知後に、パージガスを前記前記第1給気系と同じ給気ポート又は他の給気ポートから前記チャンバー内に供給する第2給気系を、更に備えていることが好ましい。前記排気系が、前記第2給気系による前記パージガスの供給と併行して前記チャンバー内のガスを排出することが好ましい。
これによって、検査後、第2給気系及び排気系によって、チャンバー内の検査ガスをパージガスにて確実にパージできる。したがって、ワークの入れ替えのためにチャンバーを開放しても、バックグランドの検査ガス濃度が上昇するのを確実に防止できる。これによって、開口部を有する容器状のワークに対するファインリークテストの検査精度を一層向上させることができる。
【0008】
前記給気ポートと前記排気ポートが、互いに前記チャンバーの反対側に配置されていることが好ましい。前記第1給気系と前記第2給気系が互いに別の給気ポートに接続されている場合、これら2つの給気ポートが共に前記排気ポートとは反対側に配置されていることが好ましい。
これによって、検査ガスの供給時には、検査ガスがチャンバー内を給気ポートの側から排気ポートの側へ流れることで、チャンバー内を万遍なく検査ガスに置換することができる。パージガスの供給時には、パージガスがチャンバー内を給気ポートの側から排気ポートの側へ流れることで、チャンバー内を万遍なくパージガスに置換することができる。
【0009】
また、本発明は、前記リークテスト装置を用いて前記ワークをリークテストする方法であって、
前記ワークを設置後の密閉された前記チャンバー内のガスを前記排気系にて排気しながら前記第1給気系にて前記検査ガスを前記チャンバー内に供給した後、前記排気系を閉じて、前記検知を行ない、
これによって、ワークの検査の際は、チャンバー内のガスを検査ガスに確実に置換したうえでリークテストを行なうことができる。検査終了時には、チャンバー内の検査ガスをパージガスにて確実にパージして、チャンバー内をパージガスに確実に置換できる。したがって、ワークの搬出時にチャンバーを開けても、バックグランドの検査ガス濃度が上昇するのを確実に防止できる。これによって、開口部を有する容器状のワークに対するファインリークテストの検査精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開口部を有する容器状のワークに対するファインリークテストの検査精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るリークテスト装置の概略構成を示す解説正面断面図である。
【図2】上記リークテスト装置において、ワーク搬出時の状態を示す解説正面断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るリークテスト装置を示し、図4のIII−III線に沿う平面断面図である。
【図4】上記第2実施形態に係るリークテスト装置を示し、図3のIV−IV線に沿う正面断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るリークテスト装置の解説正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、ワーク9のファインリークテストを行なうリークテスト装置1を示したものである。ワーク9は、開口部9aを有する容器状になっている。ワーク9は、例えば数mmサイズの小型電子部品の筺体であるが、これに限定されるものではなく、機械部品であってもよい。
【0013】
図1に示すように、リークテスト装置1は、チャンバー10と、検知系20と、第1給気系30と、排気系40を備えている。
【0014】
チャンバー10は、台座11と、蓋12を含む。台座11の上面に封止部材13(封止手段)が配置されている。封止部材13は、例えばウレタンゴムからなる平らな板状のシール部材にて構成されている。封止部材13は、ワーク9の開口部9aを気密に塞いでワーク9の内部空間を密封するためのものである。封止部材13には検査孔13aが厚さ方向に貫通するように形成されている。
【0015】
図2に示すように、ワーク9が、開口部9aを下に向けた状態でピックアップ機構8の吸着ノズル8aに吸着される。図1に示すように、このワーク9が、上記検査孔13aにちょうど被さるようにして、封止部材13上に載置される。台座11には吸着溝14が形成されている。吸着溝14内のガスを吸引することで、封止部材13を台座11の上面に吸着して固定できる。吸着を解除することによって、封止部材13を台座11から容易に取り外して交換や洗浄等のメンテナンスを行なうことができる。
【0016】
蓋12(閉塞部材)は、図示しない移動機構付きの支持手段に支持され、台座11上に設置された設置位置(図1)と、台座11から離れた退避位置(図2)との間で、進退可能になっている。図1に示すように、蓋12を設置位置に配置することによって、台座11と蓋12との間に密閉された検査空間10aが形成される。この検査空間10a内にワーク9が収容される。台座11の上面には蓋12と台座11との間をシールするOリング15が設けられている。なお、Oリング15を蓋12の下端面に設けてもよい。図2に示すように、蓋12を退避位置へ移動させることで、チャンバー10内が開放される。
【0017】
図1に示すように、チャンバー10には、共通給気ポート16と、排気ポート17が設けられている。給気ポート16は、蓋12の一側部に配置されている。排気ポート17は、蓋12の給気ポート16とは反対の側部に配置されている。ポート16,17が台座11に配置されていてもよい。
【0018】
検知系20は、検知路21を含む。検知路21の一端が、台座11の上面に達して検知孔13aに連なっている。検知路21の他端が、検知器2に連なっている。検知路21の全体または一部が、台座11内に形成されていてもよく、台座11とは別の配管にて構成されていてもよい。検知路21には、検知孔13a側から順次、圧力計23と、開閉弁24が設けられている。検知器2は、検知路21からのガス成分を分析して検査ガスの有無を検知する。検知器2には、検知路21内のガスを吸い込むための吸引ポンプが内蔵されている。検知器2の排出ポートから検査済み路21eが系外Ex(室外、屋外、ないしは施設外)へ延びている。
【0019】
検知路21には、粗引路22を介して粗引ポンプ26が接続されている。粗引路22は、検知路21における圧力計23と開閉弁24との間の分岐部21aから分岐している。粗引路22に開閉弁25が設けられている。粗引ポンプ26の吐出ポートから排出路22eが系外Exへ延びている。
【0020】
第1給気系30は、第1給気路31を含む。第1給気路31の上流端に検査ガス源3が設けられている。検査ガス源3は、ヘリウム(He)を蓄えたヘリウム供給源にて構成されている。検査ガスとして、ヘリウムが用いられている。検査ガス源3から第1給気路31が延びている。第1給気路31には、検査ガス源3側から順次、第1レギュレータ33(減圧弁)と、第1開閉弁34が設けられている。第1レギュレータ33の設定圧は、例えば大気圧より100kPa程度高圧に設定されている。
【0021】
第1給気路31に第2給気系60が合流している。第2給気系60は、第2給気路61を含む。第2給気路61の上流端にパージガス源6が設けられている。パージガス源6は、窒素ガス(N)を蓄えた窒素供給源にて構成されている。パージガスとして窒素ガスが用いられている。パージガス源6から給気路61が延びている。第2給気路61には、パージガス源6側から順次、レギュレータ63(減圧弁)と、第2開閉弁64が設けられている。レギュレータ63の設定圧は、第1給気系30のレギュレータ33の設定圧より低くてもよく、等しくてもよく、高くてもよい。
【0022】
第1給気路31と第2給気路61の下流端どうしが合流して共通給気路32となっている。共通給気路32が共通給気ポート16に接続されている。ひいては、第1、第2給気路31,61が、それぞれ共通給気路32を介して給気ポート16に接続されている。
【0023】
排気系40は、吸引路41と、開閉弁43と、排気ポンプ44を含む。吸引路41の一端が、排気ポート17に接続されている。吸引路41の中途部に開閉弁43が設けられている。吸引路41の他端が、排気ポンプ44に接続されている。排気ポンプ44の吐出ポートから排出路41eが系外Exへ延びている。
【0024】
上記のように構成されたリークテスト装置1によって、ワーク9のファインリークテストを行なう方法を説明する。
蓋12を台座11から離して退避位置(図2)に配置させたうえで、ピックアップ機構8によってワーク9をピックアップして、封止部材13上にセットする。ワーク9のセットに合わせて、開閉弁25を開ける。開閉弁24は閉じておく。そして、粗引ポンプ26によってワーク9内のガスを検知孔13aから吸い込み、検知孔13aから分岐部21aまでの検知路21及び粗引路22を介して粗引きする。これによって、ワーク9を封止部材13に密着させて固定できる。
【0025】
圧力計23の読みが所定の圧力(例えば10Pa程度)に達した段階で、開閉弁25を閉じて粗引きを終了する。続いて、開閉弁24を開き、検知器2の内蔵真空ポンプによってワーク9内のガスを検知孔13aから吸い込み、検知路21を介して検知器2に導く。なお、粗引き開始から所定の時間が経過しても圧力計23の読みが上記所定の圧力(10Pa程度)に達しない場合、ワーク9に大きな欠陥部が存在することが考えられる。そこで、以降のリークテスト操作を打ち切り、そのワーク9を搬出して不良又は異常有りとして処理する。
【0026】
上記ワーク9のセット後、上記検知系20の操作と併行して、蓋12を台座11上の設置位置(図1)に移動させ、密閉された検査空間10aを形成する。続いて、開閉弁43を開ける。そして、排気ポンプ44によって、検査空間10aのガスを排気ポート17から吸い込み、吸引路41を介して排気する。開閉弁43の開操作から少し(例えば数秒程度)遅れて、第1開閉弁34を開ける。第2開閉弁64は閉じておく。なお、第1開閉弁34を開けるタイミングは、開閉弁43の開操作と同時でもよく、開閉弁43の開操作の前であってもよい。
【0027】
第1開閉弁34の上記開操作によって、検査ガス源3のヘリウムガスが、第1給気路31及び共通給気路32を経て、給気ポート16から検査空間10aに供給される。検査空間10a内には給気ポート16から排気ポート17へ向かうヘリウムガスの流れが形成される。このヘリウムガスの流れによって、検査空間10a内の残留空気を排気ポート17へ押し出すことができ、ひいては排気系40によって確実に強制排気することができる。これによって、検査空間10a内のガスをヘリウムガスに確実に置換できる。第1給気系30によるヘリウム供給工程の少なくとも初期段階で排気系40による強制排気を併行して行なうことで、検査空間10a内のヘリウムガスへの置換を確実に行なうことができる。蓋12によって検査空間10aを密閉することで、ヘリウムが周辺に拡散するのを防ぐことができ、バックグランドのヘリウム濃度が上昇するのを確実に防止できる。
【0028】
次に、開閉弁43を閉じ、排気系40による排気を停止する。第1開閉弁34は開状態を維持する。これによって、検査空間10a内のヘリウムガス圧が第1レギュレータ33の設定圧(大気圧+100kPa程度)まで上昇する。
【0029】
そして、検知器2によって、ワーク9の内部から吸引したガス中のヘリウムの有無を分析する。ワーク9に微細欠陥(ピンホール)があれば、その欠陥を通して検査空間10a内のヘリウムがワーク9の内部空間に洩れる。このヘリウムが検知路21を経て検知器2に送られ、検知器2によって検知される。これによって、ワーク9の良否を判定できる。検査空間10a内のガスがヘリウムガスに確実に置換されているため、検査精度を充分に高くすることができる。
【0030】
上記判定後、開閉弁24を閉じて、検知器2へのガス吸引を停止する。また、第1開閉弁34を閉じて、検査空間10aへのヘリウム供給を停止する。
【0031】
続いて、開閉弁43を開けることで、排気ポンプ44によって検査空間10a内のヘリウムガスを排気ポート17及び吸引路41を介して吸引排気する。開閉弁43の上記開操作と同時又は相前後して、第2開閉弁64を開ける。これにより、パージガス源6の窒素ガス(パージガス)が第2給気路61及び共通給気路32を経て、給気ポート16から検査空間10a内に供給される。検査空間10a内には給気ポート16から排気ポート17へ向かう窒素ガスの流れが形成される。この窒素ガスの流れによって、検査空間10a内のヘリウムガスを排気ポート17へ押し出すことができ、ひいては上記ヘリウムガスを排気系40によって確実に強制排気することができる。これによって、検査空間10a内のガスを窒素ガスに確実に置換できる。上記ヘリウムは、排気ポンプ44から排出路41eを経て系外Exに排出される。したがって、チャンバー10の周辺のバックグランドのヘリウム濃度が上昇するのを防止できる。
【0032】
次に、開閉弁64を閉じて、第2供給系60からチャンバー10への窒素供給を停止する。また、開閉弁43を閉じて、排気系40によるチャンバー10からのガス吸引を停止する。そして、図2に示すように、蓋12を台座11から離して退避させることで、チャンバー10を開放する。この時点ではチャンバー10内のヘリウムをパージ済みであるから、チャンバー10を開放しても、バックグランドのヘリウム濃度が上昇するのを確実に回避できる。
【0033】
次に、ピックアップ機構8を台座11上のワーク9の直上に配置し、吸着ノズル8aによってワーク9を吸着する。このとき、検査孔13aを介してワーク9の内部空間に窒素ガス圧等の正のガス圧を導入することにしてもよい。これによって、ワーク9の吸着を確実に解除できる。そして、ピックアップ機構8によってワーク9を上記検査結果(ワーク9の良否)に応じた指定位置を搬出する。ここで、検査路21及び検査孔13aに窒素ガス等のパージガスを流して、検査路21及び検査孔13aを洗浄することにしてもよい。1つの窒素ガス源を検査路21に合流させ、この1つの窒素ガス源が、上記吸着解除用の窒素ガス源と上記洗浄用の窒素ガス源とを兼ねるようにしてもよい。
【0034】
その後、ピックアップ機構8によって新たなワーク9をチャンバー10にセットする。前回のワーク9の検査に用いたヘリウムは系外Exへ導出されているから、上記新たなワーク9の内部空間に残留ヘリウムが閉じ込められるのを確実に防止できる。したがって、ワーク9の検査を繰り返し行なっても、検査精度を高く維持できる。
【0035】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する部分に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。
複数個のワーク9を1つのチャンバー10内に収容して一度に洩れ検査することにしてもよい。図3及び図4は、そのような複数ワーク対応のリークテスト装置1Aを示したものである。図3及び図4では、ワーク9の収容数は、3個であるが、これに限られるものではなく、2個でもよく、4個以上でもよい。チャンバー10は、一方向に長い容器状になっている。チャンバー10内に複数個のワーク9が収容される。これらワーク9は、チャンバー10の長手方向に一列に並べられて配置される。封止部材13には、上記ワーク9の個数に対応する数の検知孔13aが形成されている。
【0036】
圧力計23よりチャンバー10側の検知路21は、ワーク9の上記収容個数に応じた数の分岐路27に分岐し、マニホールド28になっている。各分岐路27に開閉弁29が設けられている。複数のワーク9を同時にヘリウム検査するときは、すべての開閉弁29を開操作する。この同時検査でNG(不良)と判定された場合は、順次1つの開閉弁29だけを開操作することで、各ワーク9を個別にヘリウム検査して、NGのワークを特定することができる。ワーク9の収容個数が多いときは、これらワーク9を複数のグループに分け、グループごとにヘリウム検査し、NGが出たグループについて個々のワーク9をヘリウム検査することにしてもよい。或いは、上記複数のワーク9の同時検査の際にNGと判定された場合、NGワークを特定することなく、これら複数のワーク9全部を不良として処理することにしてもよい。
【0037】
チャンバー10の長手方向の一端部に給気ポート16が配置されている。チャンバー10の長手方向の他端部に排気ポート17が配置されている。ワーク9の検査に際して、第1給気系30及び排気系40を作動すると、ヘリウムガスが検査空間10a内の長手方向の一端部から他端部へ流れる。これによって、検査空間10aから残留空気を確実に強制排気でき、検査空間10a内のガスをヘリウムに確実に置換できる。検査後、第2給気系60及び排気系40を作動すると、窒素ガスが検査空間10a内の長手方向の一端部から他端部へ流れる。これによって、検査空間10aからヘリウムを確実に強制排気でき、検査空間10a内のガスを窒素に確実に置換できる。
【0038】
図5に示す実施形態では、チャンバー10に給気ポート16とは別の給気ポート18が設けられている。給気ポート18は、給気ポート16と並んで配置され、かつ排気ポート17とは検査空間10aを挟んで反対側に配置されている。第1供給系30の給気路31が、第2給気路61と合流せず、給気ポート16に直接接続されている。第2供給系60の給気路61は、第1給気路31と合流せず、給気ポート18に直接接続されている。
【0039】
本発明は、上記実施形態に限定されず、発明の要旨を変更しない限りにおいて種々の改変をなすことができる。
パージガスとして空気を用いてもよい。
検査ガスとしてヘリウム以外の希ガスや水素を用いてもよい。
検査ガスの検査空間10aへの供給工程の初期だけでなく、中期又は終期においても、排気系40の排気操作を行なってもよい。
排気系40の排気ポンプ44を省略してもよく、給気系30,60からの供給ガス圧だけで検査空間10a内のガスを排気ポート17へ押し出すことにしてもよい。
排出路22e,22e,41eにヘリウム回収装置を接続してもよい。
第2給気系60を省略してもよい。検査後は、排気系40で検査空間10a内のガスを吸引して排気し、これに伴なって、外気等が給気ポート16から検査空間10a内に入り込むようにしてもよい。
封止手段の封止部材13が、ワーク9の開口部9a側の縁に沿う環状のシール部材であってもよい。該環状シール部材が台座11の環状凹部に嵌め込まれていてもよい。台座11における上記環状凹部より内側の部分が、ワーク9の開口部9aに直接面することで上記環状シール部材と共に「封止手段」の要素として提供されていてもよい。台座11における上記環状凹部より内側の部分に検査孔13aが形成されていてもよい。
複数の実施形態を互いに組み合わせてもよい。例えば、図5の個別給気ポート構造は、図1の単一ワーク対応の装置1に適用されているが、図3及び図4の複数ワーク対応の装置1Aに図5の個別給気ポート構造を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、電子部品等の開口部付き容器の良否判定を行なうリークテスタに適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 リークテスト装置
10 チャンバー
10a 検査空間
11 台座
12 蓋
13 封止部材(封止手段)
13a 検知孔
14 吸着溝
15 Oリング
16 給気ポート
17 排気ポート
18 他の給気ポート
20 検知系
2 検知器
21 検知路
21a 分岐部
21e 検査済み路
22 粗引路
22e 排出路
23 圧力計
24 検知路用開閉弁
25 粗引路用開閉弁
26 粗引ポンプ
27 分岐路
28 マニホールド
29 開閉弁
3 検査ガス源
30 第1給気系
31 第1給気路
32 共通給気系
33 第1レギュレータ
34 第1開閉弁
40 排気系
41 吸引路
41e 排出路
43 開閉弁
44 排気ポンプ
6 パージガス源
60 第2供給系
61 給気路
63 レギュレータ
64 開閉弁
8 ピックアップ機構
8a 吸着ノズル
9 ワーク
9a 開口部
Ex 系外

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器状のワークを、検査ガスの有無を検知する検知器にてリークテストする装置であって、
前記ワークの前記開口部を塞ぐ封止手段と、給気ポートと、排気ポートを有し、前記ワークを収容して密閉可能なチャンバーと、
前記封止手段に設けられた検査孔に連なり、前記ワーク内のガスを前記検査孔を通して吸引して前記検知器へ送る検知系と、
前記給気ポートに接続され、前記検査ガスを前記給気ポートから前記チャンバー内に供給する第1給気系と、
前記排気ポートに接続され、前記第1給気系による前記検査ガスの供給操作の少なくとも初期に前記チャンバー内のガスを前記排気ポートを介して排出する排気系と、
を備えたことを特徴とするリークテスト装置。
【請求項2】
前記検知器による検知後に、パージガスを前記前記第1給気系と同じ給気ポート又は他の給気ポートから前記チャンバー内に供給する第2給気系を、更に備え、
前記排気系が、前記第2給気系による前記パージガスの供給と併行して前記チャンバー内のガスを排出することを特徴とする請求項1に記載のリークテスト装置。
【請求項3】
前記給気ポートと前記排気ポートが、互いに前記チャンバーの反対側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリークテスト装置。
【請求項4】
請求項2に記載のリークテスト装置を用いて前記ワークをリークテストする方法であって、
前記ワークを設置後の密閉された前記チャンバー内のガスを前記排気系にて排気しながら前記第1給気系にて前記検査ガスを前記チャンバー内に供給した後、前記排気系を閉じて、前記検知を行ない、
前記検知の後、前記チャンバー内のガスを前記排気系にて排気しながら前記第2給気系にてパージガスを前記チャンバー内に供給したうえで、前記チャンバーを開けて前記ワークを搬出することを特徴とするリークテスト方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−251849(P2012−251849A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124093(P2011−124093)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(390019035)株式会社フクダ (23)
【Fターム(参考)】