説明

リーダライタ装置、データ管理方法、プログラム、及び記憶媒体

【課題】NANDフラッシュメモリが使用できるようになるまでの時間を短縮する。
【解決手段】FAT書き込み部18は、アロケーションテーブルを、NANDフラッシュメモリの使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックに書き込む。探索部11は、リーダライタ装置1の起動時に、NANDフラッシュメモリの最上位のアドレスから順に使用可能なブロックを探索する。FAT読み出し部12は、探索部11が探索したブロックからアロケーションテーブルを読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の容量のデータを記憶できるブロックが複数設定されたデータ領域を複数有する記憶媒体に対して読み出し処理及び書き込み処理を行うリーダライタ装置、データ管理方法、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
リーダライタ装置がNANDフラッシュメモリにアクセスする際、当該NANDフラッシュメモリへのアクセスに供する情報であるアロケーションテーブルを用いて、NANDフラッシュメモリに対する読み出し処理及び書き込み処理を行う。リーダライタ装置は、NANDフラッシュメモリにアクセスする際、一般にNANDフラッシュメモリの各ブロックの先頭に格納されているブロックの詳細情報を、全てのブロックから読み出してアロケーションテーブルを作成する。そのため、リーダライタ装置は、NANDフラッシュメモリへのアクセスを開始する前に、アロケーションテーブルを作成する時間がかかってしまうという問題があった。
【0003】
この問題を解決する方法として、特許文献1〜3には、アロケーションテーブル等のファイル管理情報を予めNANDフラッシュメモリに記憶しておく技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−308241号公報
【特許文献2】特開2004−280752号公報
【特許文献3】特開2008−171257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法を用いたとしても、リーダライタ装置がファイル管理情報を発見するために、ファイル管理情報が何処に記憶されているかを調査する必要があるため、多くのデータ読出しを行なう必要があった。そのため、NANDフラッシュメモリ等の記憶媒体を使用した携帯機器は、機器の電源投入から使用できるようになるまでの準備に時間がかかってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、所定の容量のデータを記憶できるブロックが複数設定されたデータ領域を複数有する記憶媒体に対して読み出し処理及び書き込み処理を行うリーダライタ装置であって、前記記憶媒体の各データ領域へのアクセスに用いるアドレス情報であるファイル管理情報を用いて、前記記憶媒体にデータを書き込むデータ書き込み部と、前記データ書き込み部が前記記憶媒体にデータを書き込んだときに、前記ファイル管理情報を更新する更新部と、前記更新部が更新したファイル管理情報を、前記記憶媒体の使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックに書き込む管理情報書き込み部と、前記リーダライタ装置の起動時に、前記記憶媒体の最上位のアドレスから順に使用可能なブロックを探索する探索部と、前記探索部が探索したブロックから前記ファイル管理情報を読み出す管理情報読み出し部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、所定の容量のデータを記憶できるブロックが複数設定されたデータ領域を複数有する記憶媒体に対して読み出し処理及び書き込み処理を行うリーダライタ装置を用いたデータ管理方法であって、データ書き込み部は、前記記憶媒体の各データ領域へのアクセスに用いるアドレス情報であるファイル管理情報を用いて、前記記憶媒体にデータを書き込み、更新部は、前記データ書き込み部が前記記憶媒体にデータを書き込んだときに、前記ファイル管理情報を更新し、管理情報書き込み部は、前記更新部が更新したファイル管理情報を、前記記憶媒体の使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックに書き込み、探索部は、前記リーダライタ装置の起動時に、前記記憶媒体の最上位のアドレスから順に使用可能なブロックを探索し、管理情報読み出し部は、前記探索部が探索したブロックから前記ファイル管理情報を読み出すことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、所定の容量のデータを記憶できるブロックが複数設定されたデータ領域を複数有する記憶媒体に対して読み出し処理及び書き込み処理を行うリーダライタ装置を、前記記憶媒体の各データ領域へのアクセスに用いるアドレス情報であるファイル管理情報を用いて、前記記憶媒体にデータを書き込むデータ書き込み部、前記データ書き込み部が前記記憶媒体にデータを書き込んだときに、前記ファイル管理情報を更新する更新部、前記更新部が更新したファイル管理情報を、前記記憶媒体の使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックに書き込む管理情報書き込み部、前記リーダライタ装置の起動時に、前記記憶媒体の最上位のアドレスから順に使用可能なブロックを探索する探索部、前記探索部が探索したブロックから前記ファイル管理情報を読み出す管理情報読み出し部として機能させるためのプログラムである。
【0009】
また、本発明は、所定の容量のデータを記憶できるブロックが複数設定されたデータ領域を複数有する記憶媒体であって、前記記憶媒体の各データ領域へのアクセスに用いるアドレス情報であるファイル管理情報を、前記記憶媒体の使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックに記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リーダライタ装置は、記憶媒体にファイル管理情報を書き込む際、記憶媒体の使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックにファイル管理情報を書き込む。他方、リーダライタ装置は、記憶媒体からファイル管理情報を読み出す際、記憶媒体の最上位のアドレスから順に使用可能なブロックを探索し、探索したブロックからファイル管理情報を読み出す。
このように、本発明によれば、リーダライタ装置がファイル管理情報を発見するために、ファイル管理情報が何処に記憶されているかを調査する必要がないため、記憶媒体が使用できるようになるまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態によるリーダライタ装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】NANDフラッシュメモリのブロック分類の例を示す図である。
【図3】NANDフラッシュメモリのアロケーションテーブルの例を示す図である。
【図4】リーダライタ装置の動作を示す第1のフローチャートである。
【図5】リーダライタ装置の動作を示す第2のフローチャートである。
【図6】NANDフラッシュメモリの更新後のアロケーションテーブルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるリーダライタ装置の構成を示す概略ブロック図である。
本実施形態によるリーダライタ装置1は、NANDフラッシュメモリ(記憶媒体)に対する読み出し処理及び書き込み処理を実行する装置であり、NANDフラッシュメモリが記憶するプログラムを携帯機器のCPUが実行することで実現する。
リーダライタ装置1は、探索部11(二次探索部)、FAT読み出し部12(管理情報読み出し部、管理情報二次読み出し部)、FAT生成部13、FAT記憶部14、データ読み出し部15、データ書き込み部16、更新部17、FAT書き込み部18(管理情報書き込み部)を備える。なお、FATとは、アロケーションテーブル(File Allocation Table、ファイル管理情報)の略語である。
【0013】
探索部11は、リーダライタ装置1の起動時に、NANDフラッシュメモリの最上位のアドレスから順に、使用可能なブロックを探索する。
FAT読み出し部12は、探索部11が探索したブロックからアロケーションテーブルを読み出し、当該アロケーションテーブルをFAT記憶部14に記録する。なお、アロケーションテーブルとは、NANDフラッシュメモリの各データ領域へのアクセスに用いるアドレス情報である。
FAT生成部13は、FAT読み出し部12がアロケーションテーブルを読み出せなかった場合にアロケーションテーブルを生成し、当該アロケーションテーブルをFAT記憶部14に記録する。
FAT記憶部14は、FAT読み出し部12が読み出したアロケーションテーブル、またはFAT生成部13が生成したアロケーションテーブルを記憶する。
【0014】
データ読み出し部15は、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを用いてNANDフラッシュメモリからデータを読み出す。
データ書き込み部16は、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを用いてNANDフラッシュメモリにデータを書き込む。
更新部17は、データ書き込み部16がNANDフラッシュメモリにデータを書き込んだときに、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを更新する。
FAT書き込み部18は、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを、NANDフラッシュメモリの使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックに書き込む。
【0015】
リーダライタ装置1は、NANDフラッシュメモリに対してページ単位で書き込み処理及び読み出し処理を行う。なお、ページとは、複数のビットの集合であり、書き込み処理及び読み出し処理の最小単位である。また、リーダライタ装置1は、NANDフラッシュメモリに対してブロック単位でデータの消去を行う。なお、ブロックとは、複数のページの集合であり、データ消去処理の最小単位である。
【0016】
図2は、NANDフラッシュメモリのブロック分類の例を示す図である。
リーダライタ装置1は、NANDフラッシュメモリの各ブロックを用途ごとにエリア(データ領域)として分類し、当該エリアに対して処理を実行する。携帯機器で使用するNANDフラッシュメモリにおいては、携帯機器を動作させるプログラムを格納するプログラムエリアとデータを格納するデータエリアとが必要とされる。また、プログラムやデータは、随時追加されるため、プログラムエリア及びデータエリアには、まだ使用していない予備ブロック(未使用ブロック)も必要となる。
図2では、各エリアのブロック番号が連続(例えばブロック0〜1023、ブロック1024〜4014)するように表記しているが、アロケーションテーブルがしっかり管理されていれば、特に連続することは必須ではない。
【0017】
図3は、NANDフラッシュメモリのアロケーションテーブルの例を示す図である。
FAT記憶部14には、NANDフラッシュメモリのブロックがどのように使われ、配置されているかを示すアロケーションテーブルが記憶されている。
アロケーションテーブルには、各ブロックのアドレスに関連付けて当該ブロックの状態を示す情報が格納される。状態を示す情報としては、VB(Valid Block:有効なブロック)、IB(Invalid Block:無効で使用できない、または、使用できなくなったブロック)、P(Program:プログラムが入ったブロック)、D(Data:データが入ったブロック)、R(Reserve:未使用または再利用可能なブロック)、AT(Allocation Table:アロケーションテーブルを記憶したブロック)がある。
【0018】
具体的には、NANDフラッシュメモリのブロック0は有効なブロックであり、あるプログラムの一部であるプログラムP0を記憶する。NANDフラッシュメモリが記憶するプログラムは、ブロック0からブロック1023までを占有する。なお、ブロック509はInvalid Blockである。このため、本来ブロック509に書き込まれるプログラムP509は、予備ブロックであるブロック4014に置換される。
【0019】
また、NANDフラッシュメモリのブロック1024は有効なブロックであり、あるデータの一部であるデータD0を記憶する。NANDフラッシュメモリが記憶するデータは、ブロック1024からブロック3078までを占有する。なお、ブロック1029、ブロック3074、ブロック3075はInvalid Blockである。このため、本来ブロック1029、ブロック3074、ブロック3075に書き込まれるべきデータD5、D2050、D2051は、それぞれブロック4015、ブロック4016、ブロック4018に置換される。なお、データD2051は、本来ブロック4017に置換されるが、ブロック4017がInvalid Blockなので、ブロック4018に置換される。
【0020】
図3に示すアロケーションテーブルは、NANDフラッシュメモリの使用可能なブロック(IBでないブロック)のうち、最上位のアドレスに関連付けられたブロックであるブロック4095に書き込まれる。また、ブロック4095に書き込まれたアロケーションテーブルと同じ内容のアロケーションテーブルは、ブロック4095の次に上位の使用可能なブロックであるブロック4094に書き込まれる。
【0021】
次に本実施形態によるリーダライタ装置1の動作を説明する。
図4は、リーダライタ装置1の動作を示す第1のフローチャートである。
携帯機器が起動し、携帯機器のCPUがNANDフラッシュメモリのブロック0に格納されたプログラムを実行すると、探索部11は、NANDフラッシュメモリの最上位のアドレスから順に使用可能なブロックを探索する(ステップS1)。次に、FAT読み出し部12は、探索部11によって探索されたブロックに格納されたデータがアロケーションテーブルであるか否かを判定する(ステップS2)。
【0022】
FAT読み出し部12は、探索部11によって探索されたブロックに格納されたデータがアロケーションテーブルであると判定した場合(ステップS2:YES)、当該アロケーションテーブルをFAT記憶部14に記録する(ステップS3)。以降、データ読み出し部15及びデータ書き込み部16は、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを参照して、必要なプログラム、データをNANDフラッシュメモリから読み出して携帯機器の電源投入時の処理を行う(ステップS4)。
【0023】
他方、FAT読み出し部12が、探索部11によって探索されたブロックにアロケーションテーブルが格納されていないと判定した場合(ステップS2:NO)、探索部11は、ステップS1で探索したブロックの次に上位の使用可能なブロックを探索する(ステップS5)。次に、次に、FAT読み出し部12は、探索部11によって探索されたブロックに格納されたデータがアロケーションテーブルであるか否かを判定する(ステップS6)。
【0024】
FAT読み出し部12は、ステップS5で探索部11によって探索されたブロックに格納されたデータがアロケーションテーブルであると判定した場合(ステップS6:YES)、当該アロケーションテーブルをFAT記憶部14に記録する(ステップS7)。以降、データ読み出し部15及びデータ書き込み部16は、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを参照して、必要なプログラム、データをNANDフラッシュメモリから読み出して携帯機器の電源投入時の処理を行う(ステップS4)。
【0025】
他方、FAT読み出し部12が、ステップS5で探索されたブロックにアロケーションテーブルが格納されていないと判定した場合(ステップS6:NO)、FAT生成部13は、NANDフラッシュメモリの全ブロックを検索し、新たなアロケーションテーブルを作成する(ステップS8)。次に、FAT書き込み部18は、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを、NANDフラッシュメモリの使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロック、及び当該ブロックの次に上位のアドレスに対応するブロックに書き込む(ステップS9)。このとき、書き込みの対象となるブロックに既にデータが記録されている場合、当該ブロックに対して消去処理を実行してから書き込みを行う。以降、データ読み出し部15及びデータ書き込み部16は、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを参照して、必要なプログラム、データをNANDフラッシュメモリから読み出して携帯機器の電源投入時の処理を行う(ステップS4)。
【0026】
上記処理により、NANDフラッシュメモリにアロケーションテーブルが格納されている場合、リーダライタ装置1は、アロケーションテーブルがNANDフラッシュメモリの何処に記憶されているかを調査せずに、アロケーションテーブルを読み出すことができる。これにより、記憶媒体が使用できるようになるまでの時間を短縮することができる。
【0027】
次に、データ書き込み部16の処理により、NANDフラッシュメモリのエリア構成が変わったときの動作を説明する。
図5は、リーダライタ装置1の動作を示す第2のフローチャートである。
NANDフラッシュメモリのデータ更新が必要となった場合、更新部17は、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを更新する(ステップS11)。このとき、NANDフラッシュメモリの最上位アドレスを内部メモリに記憶しておく。次に、データ書き込み部16は、NANDフラッシュメモリのデータ更新を行なうブロックにデータを書き込む(ステップS12)。
【0028】
次に、FAT書き込み部18は、NANDフラッシュメモリが記憶するアロケーションテーブルを更新するため、内部メモリが記憶するNANDフラッシュメモリの最上位アドレスに関連付けられたブロックの情報を消去する(ステップS13)。次に、FAT書き込み部18は、消去が正常に行なわれたか否かを確認する(ステップS14)。
【0029】
FAT書き込み部18が、消去が正常に完了しなかったと判定した場合(ステップS14:NO)、更新部17は、当該ブロックをInvalid Blockに設定し、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを更新する(ステップS15)。このとき、内部メモリが記憶する最上位のアドレスを、現在の値から1を減じた値に書き換え、ステップS13に戻る。
【0030】
他方、FAT書き込み部18は、正常に消去が行われたと判定した場合(ステップS14:YES)、内部メモリが記憶するNANDフラッシュメモリの最上位アドレスに関連付けられたブロックに、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを書き込む(ステップS16)。次に、FAT書き込み部18は、書き込みが正常に行なわれたか否かを確認する(ステップS17)。
【0031】
FAT書き込み部18が、書き込みが正常に完了しなかったと判定した場合(ステップS17:NO)、更新部17は、当該ブロックをInvalid Blockに設定し、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを更新する(ステップS15)。このとき、内部メモリが記憶する最上位のアドレスを、現在の値から1を減じた値に書き換え、ステップS13に戻る。
【0032】
他方、FAT書き込み部18は、正常に書き込みが行われたと判定した場合(ステップS17:YES)、次に、FAT書き込み部18は、NANDフラッシュメモリが記憶するアロケーションテーブルを更新するため、内部メモリが記憶するNANDフラッシュメモリの最上位アドレスから1を減じたアドレスに関連付けられたブロックの情報を消去する(ステップS18)。次に、FAT書き込み部18は、消去が正常に行なわれたか否かを確認する(ステップS19)。
【0033】
FAT書き込み部18が、消去が正常に完了しなかったと判定した場合(ステップS19:NO)、更新部17は、当該ブロックをInvalid Blockに設定し、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを更新する(ステップS20)。このとき、内部メモリが記憶する最上位のアドレスを、現在の値から1を減じた値に書き換え、ステップS18に戻る。
【0034】
他方、FAT書き込み部18は、正常に消去が行われたと判定した場合(ステップS19:YES)、内部メモリが記憶するNANDフラッシュメモリの最上位アドレスから1を減じたアドレスに関連付けられたブロックに、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを書き込む(ステップS21)。次に、FAT書き込み部18は、書き込みが正常に行なわれたか否かを確認する(ステップS22)。
【0035】
FAT書き込み部18が、書き込みが正常に完了しなかったと判定した場合(ステップS22:NO)、更新部17は、当該ブロックをInvalid Blockに設定し、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルを更新する(ステップS20)。このとき、内部メモリが記憶する最上位のアドレスを、現在の値から1を減じた値に書き換え、ステップS18に戻る。
他方、FAT書き込み部18は、正常に書き込みが行われたと判定した場合(ステップS22:YES)アロケーションテーブルの書き込み処理を終了する。
【0036】
次に、具体的な例を用いて、アロケーションテーブルの更新処理を説明する。ここでは、図3に示すブロック3078にデータD2054を書き込む際の処理を説明する。
図6は、NANDフラッシュメモリの更新後のアロケーションテーブルの例を示す図である。
新たにデータD2054をNANDフラッシュメモリに追加する場合、更新部17は、図6に示すように、FAT記憶部14が記憶するアロケーションテーブルのブロック3078を、未使用を示すRからデータD2054に書き換える。次に、データ書き込み部16は、アロケーションテーブルのブロック3078にデータD2054を書き込む。
【0037】
次に、FAT書き込み部18は、最上位アドレスに関連付けられたブロックであるブロック4095の情報を消去する。消去中でエラーが発生して消去を失敗した場合、更新部17は、そのブロックをInvalid Blockにして、最上位のアドレスから1を減じたアドレスに関連付けられたブロックであるブロック3077の情報を消去し、当該ブロックにアロケーションテーブルを書き込む。FAT書き込み部18は、同様にブロック3076にもアロケーションテーブルを書き込む。
【0038】
このように、本実施形態によれば、アロケーションテーブルは、NANDフラッシュメモリの使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックに書き込まれる。また、リーダライタ装置1は、NANDフラッシュメモリの使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスを読み出すことで、アロケーションテーブルがNANDフラッシュメモリの何処に記憶されているかを調査せずに、アロケーションテーブルを読み出すことができる。これにより、NANDフラッシュメモリが使用できるようになるまでの時間を短縮することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、FAT書き込み部18は、アロケーションテーブルを、NANDフラッシュメモリの使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロック、及び当該ブロックの次に上位のアドレスに対応するブロックに書き込む。これにより、NANDフラッシュメモリの使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに格納されたアロケーションテーブルが何らかの原因で読み出せなくなった場合にも、FAT読み出し部12が、最上位のアドレスの次に上位のアドレスに対応するブロックを参照することで、アロケーションテーブルを読み出すことができる。
【0040】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、NANDフラッシュメモリに、アロケーションテーブルを2つ記憶させる場合を説明したが、これに限られず、3つ以上記憶させても良い。
【0041】
なお、上述したように、リーダライタ装置1は、NANDフラッシュメモリが記憶するプログラムを携帯機器のCPUが実行することで構成されるものである。なお、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
1…リーダライタ装置 11…探索部 12…FAT読み出し部 13…FAT生成部 14…FAT記憶部 15…データ読み出し部 16…データ書き込み部 17…更新部 18…FAT書き込み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の容量のデータを記憶できるブロックが複数設定されたデータ領域を複数有する記憶媒体に対して読み出し処理及び書き込み処理を行うリーダライタ装置であって、
前記記憶媒体の各データ領域へのアクセスに用いるアドレス情報であるファイル管理情報を用いて、前記記憶媒体にデータを書き込むデータ書き込み部と、
前記データ書き込み部が前記記憶媒体にデータを書き込んだときに、前記ファイル管理情報を更新する更新部と、
前記更新部が更新したファイル管理情報を、前記記憶媒体の使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックに書き込む管理情報書き込み部と、
前記リーダライタ装置の起動時に、前記記憶媒体の最上位のアドレスから順に使用可能なブロックを探索する探索部と、
前記探索部が探索したブロックから前記ファイル管理情報を読み出す管理情報読み出し部と
を備えることを特徴とするリーダライタ装置。
【請求項2】
前記管理情報書き込み部は、前記ファイル管理情報を、前記記憶媒体の使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロック、及び当該ブロックの次に上位のアドレスに対応するブロックに書き込み、
前記管理情報読み出し部が、前記探索部が探索したブロックからの前記ファイル管理情報の読み出しに失敗した場合に、前記探索部が探索したブロックの次に上位の使用可能なブロックを探索する二次探索部と、
前記二次探索部が探索したブロックから前記ファイル管理情報を読み出す管理情報二次読み出し部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のリーダライタ装置。
【請求項3】
所定の容量のデータを記憶できるブロックが複数設定されたデータ領域を複数有する記憶媒体に対して読み出し処理及び書き込み処理を行うリーダライタ装置を用いたデータ管理方法であって、
データ書き込み部は、前記記憶媒体の各データ領域へのアクセスに用いるアドレス情報であるファイル管理情報を用いて、前記記憶媒体にデータを書き込み、
更新部は、前記データ書き込み部が前記記憶媒体にデータを書き込んだときに、前記ファイル管理情報を更新し、
管理情報書き込み部は、前記更新部が更新したファイル管理情報を、前記記憶媒体の使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックに書き込み、
探索部は、前記リーダライタ装置の起動時に、前記記憶媒体の最上位のアドレスから順に使用可能なブロックを探索し、
管理情報読み出し部は、前記探索部が探索したブロックから前記ファイル管理情報を読み出す
ことを特徴とするデータ管理方法。
【請求項4】
所定の容量のデータを記憶できるブロックが複数設定されたデータ領域を複数有する記憶媒体に対して読み出し処理及び書き込み処理を行うリーダライタ装置を、
前記記憶媒体の各データ領域へのアクセスに用いるアドレス情報であるファイル管理情報を用いて、前記記憶媒体にデータを書き込むデータ書き込み部、
前記データ書き込み部が前記記憶媒体にデータを書き込んだときに、前記ファイル管理情報を更新する更新部、
前記更新部が更新したファイル管理情報を、前記記憶媒体の使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックに書き込む管理情報書き込み部、
前記リーダライタ装置の起動時に、前記記憶媒体の最上位のアドレスから順に使用可能なブロックを探索する探索部、
前記探索部が探索したブロックから前記ファイル管理情報を読み出す管理情報読み出し部
として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
所定の容量のデータを記憶できるブロックが複数設定されたデータ領域を複数有する記憶媒体であって、
前記記憶媒体の各データ領域へのアクセスに用いるアドレス情報であるファイル管理情報を、前記記憶媒体の使用可能なブロックのうち、最上位のアドレスに対応するブロックに記憶する
ことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−88884(P2012−88884A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234293(P2010−234293)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】