説明

リードスイッチ制御装置および押しボタンスイッチ

【課題】オンオフ動作の確実性を損なうことなく、磁石の移動ストロークを短くして、リードスイッチ制御装置および押しボタンスイッチを薄型化する。
【解決手段】 磁石は、リードスイッチ2の電極軸(X軸)と直角に交叉する方向(Z軸方向)に移動するようになっていて、その磁石は、磁極軸がX軸およびZ軸に直交する直交軸(Y軸)と平行である第1の磁石4aと、磁極軸が第1の磁石4aと平行でかつ第1の磁石4aとは逆極性の磁極を有し、第1の磁石4aとその移動方向に間隔をおいて配置された第2の磁石4bとからなり、上記2個の磁石4a,4bは、間隔および磁極の向きを保って上記移動方向に移動可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードスイッチ制御装置と、このリードスイッチ制御装置を備えた押しボタンスイッチとに関する。
【背景技術】
【0002】
乗客が少ない路線の電車や気動車には、駅に停車中、不必要に長くドアが開放されたままになって、冬場では暖房による暖気が流出して温度が低下したり、夏場では冷房による車内温度が上昇したりするのを防止するために、乗客自らが開閉操作できる半自動ドアを備えたものがある。
【0003】
上記のような車両では、ドア収容部の車外側と車内側とにそれぞれ、ドア開閉用のスイッチとして押しボタンスイッチが設置されている。
【0004】
この種の押しボタンスイッチには、従来、図12に示すように、ケーシング内に固定的に設けられたリードスイッチ2と、ケーシングに対して出没自在の押しボタン3とを備え、押しボタン3の上記リードスイッチ2側の面部にはリードスイッチ2駆動用の磁石4が取り付けられている押しボタンスイッチがある。
【0005】
なお、図12では、ケーシング全体の図示は省略している。また、上記図12の例では、磁石4の磁極軸の方向は、リードスイッチ2の電極軸の方向(長さ方向でもある)と直交する方向と平行に設定されていて、一方のSもしくはNの磁極がリードスイッチ2の側に向いている。
【0006】
上記構成の押しボタンスイッチでは、接点部分がリードスイッチであることで、比較的高い電圧での使用が可能で、電車等の車両での設置が容易になるほか、リードスイッチが押しボタンの変位経路の脇に位置するので、全体の厚みが、押しボタンの奥行き長さにその変位ストロークを加えた程度の厚みに収まり、薄型化できる等の利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−184973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、リードスイッチと磁石とで押しボタンスイッチ等のリードスイッチ制御装置を構成する場合、リードスイッチに対する磁石の作用を検討してみると、改良の余地があり、オンオフ動作の確実性を損なうことなく、さらに磁石の移動ストロークを短くすることが望まれる。
【0009】
まず、リードスイッチの説明から始めると、リードスイッチは、固定リードと可動リードとがギャップを挟んで対向しており、それぞれのリード片をNとSとに磁化すれば、ギャップに磁束が通じて吸引力を生じ、接点をオンにする。また、固定リードと可動リードとの一方のリード片をNまたはSに磁化した場合も、2つのリード片の間に磁化の差が生じるので、ギャップに磁束が通じ吸引力を生じる。押しボタンスイッチのリードスイッチ制御装置は構造の簡単化、小型化のために,片側のリード片のみを磁化する構造とすることが多い。
【0010】
以下、リードスイッチを、片側のリード片の磁化の強さでオン・オフに駆動制御するリードスイッチ制御装置について述べると、リードスイッチのリード片のギャップに働く吸引力は,リード片に働く磁石の磁化の強さによる。磁化力が大きければ、ギャップの吸引力が大きいので、接点が閉じ、リードスイッチはオンに駆動される。磁化力が小さければ、ギャップの吸引力は小さく、リード片のバネ力によって接点が開かれ、リードスイッチはオフになる。リードスイッチが磁石のN極またはS極に近ければ、強く磁化され、N極およびS極と等距離にあれば、強力な磁極であっても、NにもSにも磁化されず磁化はゼロとなり,ギャップの吸引力もゼロとなる。
【0011】
本発明の発明者が検討したところ、上記図12に示したリードスイッチ制御装置(もしくは押しボタンスイッチ)には、以下のような課題がある。
【0012】
上記リードスイッチ制御装置において、リードスイッチ2の電極軸の方向がX軸方向とすると、図13の配置図では、上記X軸方向は、紙面と直交した方向となり、磁石4の磁極方向は、上記X軸方向と直角に交叉するY軸方向に設定されており、磁石4は、上記Y軸方向と直交するとともに、X軸方向とも直交するZ軸方向に移動するようになっている。
【0013】
そして、上記磁石4のN極がリードスイッチ2の側に向いているとすると、リードスイッチ2に対する磁石4の磁化力は、図14のようになる。なお、図14でのZ軸の数値は、後に示す図5,9,11と同一スケールになっている。
【0014】
磁石4のリードスイッチ2に対する磁化力は、磁石4がリードスイッチに最接近するZ軸方向の位置(z=0とする)では最大となるが、そのZ軸方向の両側では、Zの値が増加もしくは減少するにつれて磁化力は緩やかに減少し、z=0からZ軸方向にかなり離れた位置で、リードスイッチ2がオンする磁化力レベル(特性図ではオン磁化力と称する)以下となり、さらに、それより離れた位置でリードスイッチ2がオフする磁化力レベル(オフ磁化力と称する)以下となる。磁石4がリードスイッチ2に対してZ軸方向に移動し、その磁化力がリードスイッチのオフ磁化力レベルを下回った位置でリードスイッチ2はオフとなる。
【0015】
したがって、リードスイッチ2に対して、磁石4は少なくとも、その磁化力がオン磁化力レベルを上回る位置から、オフ磁化力レベルを下回る位置まで移動することで、リードスイッチ2はオンオフ動作する。
【0016】
しかしながら、磁石4の位置がZ=0の両側では、上にも記したように、磁化力は緩やかに減少しているから、磁化力がオン磁化力レベルを上回る位置からオフ磁化力レベルを下回るまでの距離Stが長く、それだけ磁石4をリードスイッチ2に対して長いストローク移動させる必要があり、リードスイッチ制御装置もしくは押しボタンスイッチの薄型化に限度がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記の課題に対処したもので、本発明に係るリードスイッチ制御装置は、リードスイッチに対して、その電極軸(X軸)と直角に交叉する方向に磁石が移動することで上記リードスイッチがオンオフ動作するようにしたリードスイッチ制御装置であって、上記磁石として、磁極軸が上記リードスイッチの電極軸および磁石の移動方向(Z軸方向)に直交する直交軸(Y軸)上にある第1の磁石と、磁極軸が第1の磁石と平行でかつ第1の磁石とは逆極性の磁極を有し、第1の磁石とその移動方向に間隔をおいて配置された第2の磁石とを備え、上記第1と第2の磁石とは、間隔および磁極の向きを保って上記移動方向に移動可能とされていることを特徴とする。
【0018】
本発明のリードスイッチ制御装置のように、2個の磁石があるとき、これらの磁石のリードスイッチに対する磁化力は、それぞれの磁石の磁化力の合成となるが、2個の磁石がその移動方向に間隔をおいて平行に並んでいて、かつ磁極方向が互いに逆極性であるとき、リードスイッチに加わる磁化力は、磁石の移動に従って、2個の磁石の間でNからSへ、またはSからNへ急激に変化する。さらに2個の磁石の間では磁化力がゼロの点を通過する。
【0019】
このように、2個の逆極性の磁石の間では、リードスイッチに働く磁化力が大きく増減変化して、リードスイッチのオンオフが切り換わる。
【0020】
したがって、例えば、2個の磁石は、その一方がリードスイッチに近接している位置から、2個の磁石の間で磁化力が急激に減少する位置まで移動すれば、リードスイッチはオンオフが切り換わることになり、2個の磁石はごく短い距離を移動するだけでよい。
【0021】
上記発明において、第1の磁石と第2の磁石とは、同じY軸方向位置に配置してよいが、他の実施形態として、第1の磁石と第2の磁石とのY軸方向に沿った位置を異にし、一体的にZ軸方向を移動するようにしてもよい。
【0022】
特に両磁石のY軸方向の位置に違いがないと、各磁石の最接近位置付近には、NもしくはSの磁化力の大きいz領域ができ、両磁石が長いストローク移動した場合は、リードスイッチが相次いで磁化力の大きいz領域に入り、二度にわたってオンするおそれがあるが、上記のように、2つの磁石のY軸方向の位置が異なっていると、リードスイッチから遠い側の磁石は最接近位置付近でもリードスイッチをオンにするような大きな磁化力を与えず、両磁石が長いストロークを移動しても、リードスイッチは再度オンされることがないようにできる。
【0023】
また、さらに他の実施形態として、上記リードスイッチの磁石移動方向の側に隣り合って第2のリードスイッチが配置されているようにすることができる。この実施形態では、両磁石の移動に伴い、一方のリードスイッチはオフからオンに切り換わり、他方のリードスイッチはオンからオフに切り換わるようにでき、一方のリードスイッチをa接点、他方のリードスイッチをb接点とすることができる。
【0024】
上記の実施形態のほか、上記リードスイッチに対して、第1の磁石と第2の磁石とを挟んだ反対側に対向側リードスイッチが配置されている構成とすることができる。
【0025】
このほか、上記リードスイッチの磁石移動方向の側に隣り合って第2のリードスイッチが配置されるとともに、上記2個のリードスイッチに対して、第1の磁石と第2の磁石とを挟んだ反対側に、磁石移動方向に隣り合った2個の対向側リードスイッチが配置されている実施形態とすることができる。
【0026】
次に、本発明に係る押しボタンスイッチは、上記した発明もしくはその実施形態に記載のリードスイッチ制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0027】
押しボタンに関する上記発明の一実施形態として、上記第1の磁石と第2の磁石とを移動させる手段として、ケーシングに対して出没変位自在に設けられた押しボタンを有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、2個の磁石がごく短い距離を移動するだけで、リードスイッチに働く磁界強度すなわち磁化力が大きく増減変化するから、リードスイッチのオンオフ動作の確実性を損なうことなく、磁石の移動距離を短縮でき、これにより、リードスイッチ制御装置や、この制御装置を備えた押しボタンスイッチを薄型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る押しボタンスイッチの正面図。
【図2】図1の(2)− (2) 線における断面図。
【図3】上記第1の実施形態における磁石とリードスイッチの位置関係を示す斜視図。
【図4】上記第1の実施形態における磁石とリードスイッチの配置図。
【図5】図4の位置関係における磁石のリードスイッチに対する磁化力の強さを示す特性図。
【図6】本発明の第2の実施形態の磁石とリードスイッチの配置図。
【図7】本発明の第3の実施形態の磁石とリードスイッチの配置図。
【図8】本発明の第4の実施形態の磁石とリードスイッチの配置図。
【図9】上記第4実施形態における磁石のリードスイッチに対する磁化力の強さを示す特性図。
【図10】本発明の第5の実施形態の磁石とリードスイッチの配置図。
【図11】上記第5実施形態の磁石のリードスイッチに対する磁化力の強さを示す特性図。
【図12】従来の押しボタンスイッチの概略斜視図。
【図13】上記従来の押しボタンスイッチの磁石とリードスイッチの配置図。
【図14】上記従来の押しボタンスイッチの磁石のリードスイッチに対する磁化力の強さを示す特性図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1の実施形態〕
図1ないし図5は、本発明の第1の実施形態を示すものである。この第1の実施形態に係る押しボタンスイッチは、図1および図2に示すように、ケーシング1と、リードスイッチ2と、押しボタン3と、リードスイッチ2の開閉に関与する2個の磁石(永久磁石)4a,4bとを備えている。
【0031】
ケーシング1は合成樹脂製で、内部にリードスイッチ2が固定的に装着されている。リードスイッチ2は、その電極軸(長手方向軸でもある)がケーシング1の左右を向く所定の向きとなっている。
【0032】
押しボタン3は、合成樹脂製の短寸の軸体で、その軸体の軸方向であってリードスイッチ2の電極軸と直交する方向に一定ストローク摺動しうるようケーシング1内に保持され、少なくともその前面部がケーシング1から出没変位するようになっている。この押しボタン3の中途部には、摺動範囲を規制するための鍔3aが一体に形成され、後部には、押しボタン3を突出方向に付勢するバネ5が設けられている。ケーシング1の前面には押しボタン3の鍔3aを受け止める蓋板6が取り付けられている。
【0033】
2個の磁石4a,4bは、押しボタン3のリードスイッチ2に面する側に理め込む形で取り付けられており、このように押しボタン3に取り付けられることで、押しボタン3の軸方向であってリードスイッチ2の電極軸と直交する方向に移動するようになっている。2個の磁石4a,4bのうち、押しボタン3の前方側に位置するのを第1の磁石4aと言い、押しボタン3の後方側に位置するのを第2の磁石4bという。なお、両磁石4a,4bは、リードスイッチ2の一方のリード片に磁力を作用させるよう、リードスイッチ2の左右片側に偏位した部分に臨んでいる。
【0034】
図3および図4に示すように、リードスイッチ2の電極軸をX軸とし(図4では、X軸は図面の紙面と直交している)、リードスイッチ2の電極軸と直交する方向であって2個の磁石4a,4bの移動方向をZ軸方向とし、上記X軸にもZ軸にも直交する直交軸をY軸とすると、第1の磁石4aと第2の磁石4bとは、リードスイッチ2に対してY軸上の位置yにおいて、それぞれの磁極軸(S−N軸)がY軸と平行で、Z軸方向に間隔をおいて配置されており、かつ、互いに逆極性、すなわち、第1の磁石4aの磁極の向きと第2の磁石4bの磁極の向きとが互いに逆で、この実施形態では、第1の磁石4aのN極がリードスイッチ2側に向き、第2の磁石4bのS極がリードスイッチ2の側に向いている。
【0035】
そして、第1、第2の磁石4a,4bとリードスイッチ2との位置関係では、押しボタン3の非操作時、第1の磁石4aと第2の磁石4bとは、図4に実線で示すように、その間の中間領域がリードスイッチ2に近接する位置にあり、押しボタン3を所定ストローク押し込んだ状態では、第1の磁石4aがリードスイッチ2に近接するようになっている。
【0036】
上記の構成において、押しボタン3の押し込み操作の前では、2個の磁石4a,4bはリードスイッチ2の前後に位置し、リードスイッチ2は2個の磁石4a,4bの中間領域に臨んでいることで、オフとなっているが、押しボタン3の押し込み操作に伴い、第1の磁石4aがZ軸上をz増加方向に移動すると、第1の磁石4aがリードスイッチ2に最も近接する手前において、リードスイッチ2に働く磁界強度が急激に変化して、リードスイッチ2がオフからオンに切り換わり、第1の磁石4aがリードスイッチ2に最も近接した位置で、リードスイッチ2をオン状態に維持する。
【0037】
この動作を図4および図5により詳しく説明する。図5は、図4の配置において第1の磁石4aのZ軸方向の位置を第2の磁石4bとともに変化させたとき、リードスイッチ2に働く磁化力の特性を示したものである。磁石の位置は,磁石4aがリードスイッチ2に最接近したときz=0とし,磁石4bがリードスイッチ2に最接近したときz=−10とする。リードスイッチ2に及ぼす磁化力は、第1の磁石4aと第2の磁石4bのそれぞれが単独に有する磁化力の合成となり、図5では、各磁石4a,4b単独の磁化力を点線で示し、合成磁化力は実線で示している。
【0038】
図5に示すように、2個の磁石4a,4bの合成磁化力は、2個の磁石4a,4bの間で、単独の磁石4a(あるいは4b)の磁化力よりも急峻に変化しており、磁石の位置がz=−3でリードスイッチ2がオンとなり,z=−4でリードスイッチ2はオフとなる。したがって、図1および図5に示すように、位置z=−6〜0を押しボタン3のストロークとすることで、リードスイッチ2は確実にオンオフされる。
【0039】
以上の動作から分かるように、この第1の実施形態では、第1の磁石4aがリードスイッチ2を主としてオンさせる磁石となっており、第2の磁石4bが、リードスイッチ2に対する磁化力に急峻な変化を付与する磁石となっている。
【0040】
〔第2の実施形態〕
図6は、第2の実施形態における磁石とリードスイッチとの位置関係を示している。
【0041】
この第2の実施形態では、第1の実施形態で示されているのと同様のリードスイッチを第1のリードスイッチ2aとすると、この第1のリードスイッチ2aの磁石移動方向(Z軸方向)の側に隣り合って第2のリードスイッチ2bが配置されている。第1のリードスイッチ2aと第2のリードスイッチ2bとのZ軸方向の間隔は、2個の磁石4a,4bの間隔の約2分の一であって、2個の磁石4a,4bの移動ストロークに相当する。
【0042】
押しボタンのような移動手段が非操作の状態では、第1のリードスイッチ2aは2個の磁石4a,4bの中間領域に臨んでおり、受ける磁化力は0で、オフである。第2のリードスイッチ2bは第2の磁石4bに最も近接した位置にあり、受ける磁化力はSの最大値で、オンの状態にある。
【0043】
次いで、押しボタンを押し込むと、第1の磁石4aは、第1のリードスイッチ2aに最も近接し、第2のリードスイッチ2bは2個の磁石4a,4bの中間領域に臨むことになる。したがって、第1のリードスイッチ2aに作用する第1の磁石4aのNの磁化力は最大で、第1のリードスイッチ2aはオンとなる。一方、第2のリードスイッチ2bは、これに作用する磁化力は0で、オフとなる。すなわち、押しボタ3の操作で第1のリードスイッチ2aはオフからオンに切り換わり、第2のリードスイッチ2bはオンからオフに切り換わる。第1のリードスイッチ2aはa接点、第2のリードスイッチ2bはb接点となる。
【0044】
この第2の実施形態では、第1の磁石4aが第1のリードスイッチ2aをオンさせる磁石で、第2の磁石4bが第1のリードスイッチ2aに対する磁化力の変化を付与する磁石となっており、第2のリードスイッチ2bに対しては、第2の磁石4bが第2のリードスイッチ2bをオンさせる磁石で、第1の磁石4aが第2のリードスイッチ2bへの磁化力に変化を付与する磁石となっている。
【0045】
図6の配置では非常に短い押しボタンのストロークでa接点およびb接点を構成でき,オフの位置では磁化力が0となるので、動作が確実で,2個のリードスイッチ2a,2bが両磁石4a,4bの片側に配置されるので,小型に構成しうる特徴がある。
【0046】
〔第3の実施形態〕
図7は、第3の実施形態における磁石とリードスイッチとの位置関係を示している。
【0047】
この第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に、磁石移動方向の側に隣り合って第1のリードスイッチ2aと第2のリードスイッチ2bとが配置されるとともに、上記2個のリードスイッチ2a,2bに対して、第1の磁石4aと第2の磁石4bとを挟んだ反対側に、磁石移動方向に隣り合った2個の対向側リードスイッチ(第3のリードスイッチ2cおよび第4のリードスイッチ2d)が配置されている。
【0048】
対向側のリードスイッチである第3のリードスイッチ2cは、第1のリードスイッチ2aと同じZ軸方向位置に設けられており、第4のリードスイッチ2dは、第2のリードスイッチ2bと同じZ軸方向位置に設けられている。
【0049】
第3のリードスイッチ2cおよび第4のリードスイッチ2dに作用する磁化力は、第1のリードスイッチ2aおよび第2のリードスイッチ21に作用する磁化力とNSの極性が異なるのみで、磁化力の大きさは、第1リードスイッチ2aおよび第2のリードスイッチ2bに作用するものと同じで、オンオフ動作も同じである。したがって、押しボタンに対して第3のリードスイッ2cはa接点となり,第4のリードスイッチ2dはb接点となる。
【0050】
4個のリードスイッチ2a,2b,2c,2dは独立に磁化されるので,独立にまたは任意の組み合わせで使用することができ、2個a接点+2個b接点のほかに2個a接点のみ、あるいは2個b接点のみなど、多くの接点の組み合わせを構成することができる。
【0051】
〔第4の実施形態〕
図8は、第4の実施形態における磁石とリードスイッチとの位置関係を示しており、図9は、図8に示す磁石とリードスイッチとの位置関係における磁化力の大きさを示している。
【0052】
前に説明した第1ないし第3の実施形態では、2個の磁石4a,4bのY軸方向位置は同一に設定されているが、この第4の実施形態では、第1の磁石4aと第2の磁石4bのY軸方向の位置を異なるものにしている。具体的には、第1の磁石4aと第2の磁石4bそれぞれのリードスイッチ2に対する最短距離がya<ybとなっており、リードスイッチ2に対する第2の磁石4bの磁化力が弱くなっている。
【0053】
図9に示された特性例を見ると、第2の磁石4bの磁化力が弱くなっているので、Sの磁化力が小さく,リードスイッチ2に働く2個の磁石4a,4bの合成磁化力は、S側では「オン磁化力」や「オフ磁化力」に達していない。したがって、第2の磁石4bがZ軸方向に移動してリードスイッチ2に近接しても、磁化力でリードスイッチ2がオンに駆動されることはない。
【0054】
押しボタンの押し込み操作時、磁石の位置がz=−4でリードスイッチ2がオンとなり、第1の磁石4aが戻り移動するときは、位置z=−5.5でリードスイッチ2はオフとなる。オンとオフの間隔が従来の構成より十分小さいので、押しボタンのストロークを小さくできるのに加えて、押しボタンがZ軸方向に長い距離移動することがあっても、リードスイッチ2が再びオンにならない。
【0055】
〔第5の実施形態〕
図10は、第5の実施形態における磁石とリードスイッチの位置関係を示しており、図11は、図10に示す磁石とリードスイッチの位置関係における磁化力の大きさを示している。
【0056】
この第5の実施形態では、上記第4の実施形態のように、第1の磁石4aと第2の磁石4bとのY軸方向に沿った位置を異にするともに、第4の実施形態で示されているのと同様のリードスイッチを第1のリードスイッチ2aとして、この第1のリードスイッチ2a対して、第1の磁石4aと第2の磁石4bとを挟んだ反対側に対向側リードスイッチ2cが配置されている。対向側のリードスイッチ2cと第2の磁石4bとの最短距離は,第1のリードスイッチ2aと第1の磁石4aとの最短距離に等しいものとする。
【0057】
図11において、第1のリードスイッチ2aに対する磁化力は、第1の磁石4aと第2の磁石4bの合成磁化力であり、第1の磁石4aがリードスイッチ2aに最接近する位置z=0で最高となる。対向側のリードスイッチ2cに対する磁化力は、第1のリードスイッチ2aのものと位置zに対する特性が逆になっており、第2の磁石4bがリードスイッチ2cに最接近する位置z=−10で最高となる。
【0058】
押しボタン等の移動手段により、磁石の位置zが変化するが、その移動ストロークを位置z=−10〜0とすると、押しボタン開放位置の磁石の位置z=−10では、対向側のリードスイッチ2cはオンで、第1のリードスイッチ2aはオフである。押しボタンを押して磁石の位置zの値を増加させていくと、磁石の位置z=−4.5で対向側のリードスイッチ2cがオフ、磁石の位置z=−3.5で第1のリードスイッチ2aはオンに変化し、押しボタン押し込み時の磁石の位置z=0では、第1のリードスイッチ2aはオンで、対向側のリードスイッチ2cはオフである。押しボタンを戻していくと、磁石の位置z=−5.5で第1のリードスイッチ2aはオフ、磁石の位置z=−6.5で対向側のリードスイッチ2cはオンに変化し,押しボタン開放位置に至る。以上のような動作から分かるように、第1のリードスイッチ2aはa接点、対向側のリードスイッチ2cはb接点として動作し、これら両リードスイッチ2a、2cでab接点を実現できる。
【符号の説明】
【0059】
1 ケーシング
2 リードスイッチ
3 押しボタン
4a 第1の磁石
4b 第2の磁石



【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードスイッチに対して、その電極軸(X軸)と直角に交叉する方向に磁石が移動することで上記リードスイッチがオンオフ動作するようにしたリードスイッチ制御装置であって、
上記磁石として、磁極軸が上記リードスイッチの電極軸および磁石の移動方向(Z軸方向)に直交する直交軸(Y軸)と平行である第1の磁石と、磁極軸が第1の磁石と平行でかつ第1の磁石とは逆極性の磁極を有し、第1の磁石とその移動方向に間隔をおいて配置された第2の磁石とを備え、上記第1と第2の磁石とは、間隔および磁極の向きを保って上記移動方向に移動可能とされている、ことを特徴とするリードスイッチ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリードスイッチ制御装置であって、
上記2個の磁石は、その一方が上記リードスイッチに近接している位置と、上記2個の磁石の間で磁化力が減少する領域が上記リードスイッチに近接する位置との間で移動する、ことを特徴とするリードスイッチ制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリードスイッチ制御装置であって、
第1の磁石と第2の磁石とがY軸方向に沿った位置を異にし、一体的にZ軸方向を移動する、ことを特徴とするリードスイッチ制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のリードスイッチ制御装置であって、
上記リードスイッチの磁石移動方向の側に隣り合って第2のリードスイッチが配置されている、ことを特徴とするリードスイッチ制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載のリードスイッチ制御装置であって、
上記リードスイッチに対して、第1の磁石と第2の磁石とを挟んだ反対側に対向側リードスイッチが配置されている、ことを特徴とするリードスイッチ制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれかに記載のリードスイッチ制御装置であって、
上記リードスイッチの磁石移動方向の側に隣り合って第2のリードスイッチが配置されるとともに、上記2個のリードスイッチに対して、第1の磁石と第2の磁石とを挟んだ反対側に、磁石移動方向に隣り合った2個の対向側リードスイッチが配置されている、ことを特徴とするリードスイッチ制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6に記載のリードスイッチ制御装置を備えたことを特徴とする押しボタンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−221618(P2012−221618A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83528(P2011−83528)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(594124281)大光電気株式会社 (4)
【出願人】(593185050)
【Fターム(参考)】