説明

リードスイッチ

【課題】リードに最適な磁気特性を確保すると共に高いばね性を確保して、駆動領域を狭く設定するように調整可能な小型のリードスイッチを提供する。
【解決手段】先端から順に、接点部3、可動部4および支持部が一体に成形されたリードの一対と、接点部3を対向させて前記リードを封入する封入部材とを備え、前記リードに印加する磁界に応じて、接点部3を接触または開放するリードスイッチであり、前記リードは非磁性体10に磁性体めっき6を施してなる。さらに表面に導電体の接点めっき5が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリードスイッチに関し、特に小形、狭駆動領域、自己保持に最適なリードスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリードスイッチでは、その磁性材料に求められる磁気特性とばね性という2つの特性を、単一の磁性体により得ていた。その磁性体としては、Ni−Fe合金(たとえば特許文献1)、Co−Fe合金(たとえば特許文献2)などがある。しかし、最適な磁気特性を得るためには、磁性体の選択範囲が限られてしまい、それ以上の高いばね性を得ることが出来ないという問題があった。
【0003】
また、従来、リードスイッチのリードには、単一の磁性材料を使用していた結果、駆動領域の範囲を変えることが出来ないという問題があった。そのため、狭駆動領域のリードスイッチが作れなかった。
【0004】
その状況を図面に基づいて説明する。図4は、一般的なリードスイッチの構造を示す断面図である。1は支持部(同時に端子)、2はガラス管からなる封入部材、3は接点部、4は可動部である。
【0005】
図5は、従来のリードスイッチの接点付近を示す断面図であり、リードスイッチの磁性材料に単一の磁性体9を使用し、表面に導電体の接点めっき5を施している。磁性材料に単一の磁性体9を使用しているため、最適な磁気特性を得ようとするとばね性が犠牲になる。
【0006】
図6は、従来のリードスイッチの自己保持型の使用例を示す断面図である。リードスイッチの一方に磁石7を配置し、感動値よりも小さく開放値よりも大きい磁力を与えることにより、自己保持型(ラッチング型)の動作を実現している。しかし、この例でも磁性材料に単一の磁性体を使用しているため、最適な磁気特性を得ようとするとばね性が犠牲になる。
【0007】
【特許文献1】特開平5−320842号公報
【特許文献2】特開平5−288764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
すでに、一部説明したように、従来技術では、最適な磁気特性と高いばね性を両立することが出来ず、その結果、駆動領域を狭く設定できないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の課題は、リードに最適な磁気特性を確保すると共に高いばね性を確保して、駆動領域を狭く設定するように調整可能な小型のリードスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、リードスイッチの磁性材料に求められる磁気特性とばね性という2つの特性を、非磁性体に磁性体をめっきすることにより両立させている。たとえば、リードに、従来の鉄ニッケル合金に比べて約1.5倍の高いばね性を有するリン青銅に、磁性体をめっきしたものを使用することにより、最適な磁気特性を得つつ、高いばね性を確保することが出来る。そのため、リードが小さくばね性を確保することが難しい小型のリードスイッチに最適である。
【0011】
また、非磁性体に磁性体をめっきする長さを変えれば、駆動領域を自由に変えることが出来るため、極めて狭い駆動領域で動作をするリードスイツチを作ることが可能である。
【0012】
すなわち、本発明のリードスイッチは、先端から順に、接点部、可動部および支持部が一体に成形されたリードの一対と、前記接点部を対向させて前記リードを封入する封入部材とを備え、前記リードに印加する磁界に応じて、前記接点部を接触または開放するリードスイッチにおいて、前記リードの少なくとも一方は非磁性体に磁性体をめっきしてなることを特徴とする。
【0013】
前記リードは非磁性体に磁性体をめっきしてなり、さらに表面に導電体がめっきされるとよい。
【0014】
前記リードの一方は非磁性体に磁性体をめっきしてなり、他方は単一の磁性材料からなるとよい。
【0015】
前記磁性体のめっきは、必要とする駆動領域の大きさに応じてめっき部分の長さが定められるとよい。
【0016】
前記非磁性体はリン青銅であるとよい。
【0017】
前記磁性体は鉄ニッケル合金であるとよい。
【0018】
前記リードの一方または双方に施された磁性体のめっきは半硬質磁性体からなり、自己保持型のリードスイッチとしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、リードスイッチの磁性材料に求められる磁気特性とばね性という2つの特性の両立を、非磁性体に磁性体をめっきすることにより解決した。また、非磁性体に磁性体をめっきする長さを変えることにより駆動領域を変えることを可能にした。すなわち、本発明によれば、最適な磁気特性と高いばね性を両立させ、駆動領域を狭く設定できるリードスイッチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1の(a)〜(c)は、本発明の実施の形態でのリードスイッチ接点の例を示し、リードスイッチの磁性材料に、ばね性の強い非磁性体(リン青銅)に磁性体(鉄ニッケル合金)をめっきしたものを使用している。
【0022】
図1(a)はリン青銅の非磁性体10に鉄ニッケル合金の磁性体めっき6を施した例を示す断面図、図1(b)はリン青銅の非磁性体10に鉄ニッケル合金の磁性体めっき6を施し、さらに導電体の接点めっき5を施した例を示す断面図、図1(c)は一方のリードにはリン青銅の非磁性体10に鉄ニッケル合金の磁性体めっき6および接点めっき5を施したものを用い、他方のリードには磁性体9に接点めっき5を施した例を示す断面図である。このように、磁気特性は磁性体のめっきにより確保し、ばね性は中心の非磁性体により確保している。そのため、最適な磁気特性を得つつ高いばね性を確保することが出来る。
【0023】
図2の(a)〜(b)は本発明の実施の形態でのリードスイッチ接点の他の例を示す。接点付近に磁性体をめっきする長さを変えることにより駆動領域を変えることを可能にした例である。図2(a)は広駆動領域のリードスイッチの一例を示す模式図であり、芯となる非磁性体の全体に磁性体をめっきすれば、点線の円または楕円で示したように、駆動領域は広くなる。図2(b)は狭駆動領域のリードスイッチの一例を示す模式図であり、接点部付近のみにめっきすれば、点線の楕円で示したように、駆動領域は狭くなる。
【0024】
図3は、本発明の実施の形態での自己保持型リードスイッチの接点の例を示す。リードスイッチの磁性材料に、ばね性の強い非磁性体に半硬質磁性体をめっきしたものを使用し、予め着磁を行い、感動値よりも小さく開放値よりも大きい磁力を与えておくことにより、外部の磁石を使用せずに、自己保持型のリードスイッチを実現している。図3(a)は一方のリードで非磁性体10に半硬質磁性体めっき8および接点めっき5を施し、他方のリードでは非磁性体10に軟質の磁性体めっき6および接点めっき5を施した例の断面図であり、図3(b)は一方のリードでは非磁性体10に半硬質磁性体めっき8および接点めっき5を施し、他方のリードでは磁性体9に接点めっき5を施した例を示す断面図である。この半硬質磁性体(永久磁石と高透磁率材料の中間の保持力を持った角型ヒシテリシス材料)としては、Fe−Co系合金、Fe−Mn系合金などを用いることができる。
【0025】
半硬質磁性体めっき8の磁極と引き合う方向の外部磁界を加えると、接点間に吸引力が発生して接点が閉成する。その後、外部磁界が消えても半硬質磁性体めっき8の磁力により接点は閉成したまま自己保持する。半硬質磁性体めっき8の磁極と反発し合う方向の外部磁界を与えると、接点間に反発力が発生して接点は開離する。本実施の形態においても、ばね性に着目した非磁性体の芯に半硬質磁性体めっきを施すことで、磁気特性とばね性の選択範囲が広がり、感動値と開放値の設定が容易になった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態でのリードスイッチ接点の例を示し、図1(a)は非磁性体に磁性体めっきを施した例を示す断面図、図1(b)は非磁性体に磁性体めっきを施し、さらに導電体の接点めっきを施した例を示す断面図、図1(c)は一方のリードでは非磁性体に磁性体めっきおよび接点めっきを施したものを用い、他方のリードでは磁性体に接点めっきを施した例を示す断面図。
【図2】本発明の実施の形態でのリードスイッチ接点の他の例を示し、図2(a)は広駆動領域のリードスイッチの一例を示す模式図、図2(b)は狭駆動領域のリードスイッチの一例を示す模式図。
【図3】本発明の実施の形態での自己保持型リードスイッチの接点の例を示し、図3(a)は一方のリードで非磁性体に半硬質磁性体めっきおよび接点めっきを施し、他方のリードでは非磁性体に軟質の磁性体めっきおよび接点めっきを施した例の断面図、図3(b)は一方のリードでは非磁性体に半硬質磁性体めっきおよび接点めっきを施し、他方のリードでは磁性体に接点めっきを施した例を示す断面図。
【図4】一般的なリードスイッチの構造を示す断面図。
【図5】従来のリードスイッチの接点付近を示す断面図。
【図6】従来のリードスイッチの自己保持型の使用例を示す断面図。
【符号の説明】
【0027】
1 支持部
2 封入部材
3 接点部
4 可動部
5 接点めっき
6 磁性体めっき
7 磁石
8 半硬質磁性体めっき
9 磁性体
10 非磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端から順に、接点部、可動部および支持部が一体に成形されたリードの一対と、前記接点部を対向させて前記リードを封入する封入部材とを備え、前記リードに印加する磁界に応じて、前記接点部を接触または開放するリードスイッチにおいて、前記リードの少なくとも一方は非磁性体に磁性体をめっきしてなることを特徴とするリードスイッチ。
【請求項2】
前記リードは非磁性体に磁性体をめっきしてなり、さらに表面に導電体がめっきされたことを特徴とする請求項1記載のリードスイッチ。
【請求項3】
前記リードの一方は非磁性体に磁性体をめっきしてなり、他方は単一の磁性材料からなることを特徴とする請求項1または2記載のリードスイッチ。
【請求項4】
前記磁性体のめっきは、必要とする駆動領域の大きさに応じてめっき部分の長さが定められたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリードスイッチ。
【請求項5】
前記非磁性体はリン青銅であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のリードスイッチ。
【請求項6】
前記磁性体は鉄ニッケル合金であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のリードスイッチ。
【請求項7】
前記リードの一方または双方に施された磁性体のめっきは半硬質磁性体からなり、自己保持型となったことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のリードスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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