説明

リールシートのフード用の化粧カバー及び釣り竿

【課題】 フードに対する損傷の回避、及び、汚損等を回避できるリールシートの構造、及び、釣り竿を提供する。
【解決手段】 リールシート5の固定フード6の外面からリール脚載置面に掛けての部位に、外嵌装着される弾性変形可能な化粧カバー10を設ける。化粧カバー10に固定フード6に挿入されるリール脚の挿通を可能にする挿通孔10Cを形成する。挿通孔10Cの竿尻側部分に切込み部10dを設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールを取り付けるリールシートを有している釣り竿に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り竿のリールシートは、リール脚を挿入して固定するためのフードを竿先側と竿尻側とに形成するが、一方を固定フードとしてリールシートと一体に形成する(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−168377号公報(公報段落番号〔0021〕、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、固定フードはリールシートと一体に形成されるものである。したがって、固定フードの表面に対する装飾はリールシートと同様のものに設定されることが多く、変化に乏しいものとなる。一方、固定フードに対しては、リール脚を指し込み装着する際に、固定フードの縁部に対してリール脚が接触することによって損傷したり、汚れの付着により汚損されることがある。
【0005】
本発明の目的は、フードに対する損傷の回避、及び、汚損等を回避できるリールシートの構造、及び、釣り竿を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、リールシートのフードの外面に、外嵌装着される弾性変形可能なカバー本体と、前記カバー本体に前記フードに挿入されるリール脚の挿通を可能にする挿通孔とを形成し、前記挿通孔の竿先側または竿尻側部分の少なくともいずれか一方に、前記カバー本体の竿先側または竿尻側に入り込む切込み部を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
フードを被覆する化粧カバーの存在によって、化粧カバーにリールシートとは異なる装飾を施すことによって、装飾効果を高めることができる。フードに装着するリール脚がフードに接触しようとしても、化粧カバーが先行して接触するので、化粧カバーを傷めても化粧カバーを取り替えることで対処できる。また、化粧カバーの材質をフードの材質とは異なる材質にできるので、強度的に強いものにでき、接触傷や汚損等に対して強いものにできる。
このような良さを有している化粧カバーであるが、前記したようにリール脚挿通用の挿通孔を形成している。そして、化粧カバー自体が有している弾性変形力を利用して、フードに化粧カバーを装着する方法を採っている。この化粧カバーを装着する際に、化粧カバーのフードに被さる部分をやや広げた状態でフードに被せてその拡げる操作力を解除して化粧カバーがフードの外面に弾性的に装着することにしてある。
上記のような装着操作において、化粧カバーを弾性変形させて拡げる際に、挿通孔の縁部に亀裂等が発生する問題があった。
本願発明ではこのような点にも意を配することによって、前記カバー本体の竿先側または竿尻側に入り込む切込み部を設けたのである。この切込み部を形成することによって、化粧カバーを拡げる操作力に対してこの切込み部で広がり方向への変形を許容することになり、挿通孔の縁部に生ずる内部応力の発生を抑えて、亀裂等の発生を抑制できる。
【0008】
〔効果〕
したがって、化粧カバーの採用によってフード部の保護及び装飾性を高めることができるとともに、化粧カバー自体の装着時の不都合を無くすことができた。
【0009】
請求項2に係る発明の特徴構成は、リールシートの竿先側フードの外面からリール脚載置面に掛けての部位に、取付用の台座を形成するとともに、前記取付用の台座に外嵌装着される弾性変形可能なカバー本体と、前記カバー本体に前記竿先側フードに挿入されるリール脚の挿通を可能にする挿通孔とを形成し、前記挿通孔を前記リール脚の挿通を許容するフード側の半円弧状部と前記取付用の台座部分を開放する台座側の半円弧状部とをそれらの半円弧状部の両側部分で接続して構成し、前記両側部分以外の竿先側または竿尻側部分に、前記カバー本体内に入り込む切込み部を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用効果〕
つまり、竿先側フード部位に化粧カバーの取付用の台座を形成しているので、化粧カバーをリールシートの表面と段差のない状態で装着することができ、化粧カバー自体が釣り人の手指と接触して外れるといったことを未然に回避できる。
仕掛けをキャストする際には、リールシート部位を握り込むがその時に手指がフード部に作用するが、その場合に、段差のない状態に化粧カバーを装着できるので、指が圧迫されることが少ない。
しかも、化粧カバーを変形させて拡げる際には、台座側の半円弧状部及び前記フード側の半円弧状部を接続する両側面部に応力集中が起こってその部分に亀裂等が生ずることになるが、本願発明では、前記両側部分以外の竿先側または竿尻側部分に、前記カバー本体内に入り込む切込み部を設けてあるので、この切込み部が広がり前記両側部分に集中する応力を緩和して、挿通孔の縁部に生ずる亀裂等を未然に回避できる。
【0011】
請求項3に係る発明の特徴構成は、請求項1又は2記載の発明において、前記切込み部は、前記挿通孔の竿尻側端部に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
つまり、切込み部は所定位置に装着された後においては、フード側ではなく、リール脚載置部側に位置するので、比較的目立ちにくく、リールを装着した状態ではリール脚によって隠されるので、他物を引っ掛けると言う点を考慮する必要はない。
【0013】
請求項4に係る発明の特徴構成は、請求項1〜3の内のいずれか一つに係る発明において、化粧カバーを、竿先側フードのフード前面に被着される前壁と、その前壁の両側端より竿尻側に向けて延出された縦向きの側壁と、両側壁の竿尻側端部の上端に亘って設けてある上壁とで構成し、前壁と側壁と上壁とに亘って、リール脚挿入用の挿通孔を貫通形成し、前記挿通孔の竿尻側端縁部で前記上壁に、竿尻側に向けて凹入する切込み部を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】
〔作用効果〕
化粧カバーを広げる際には、縦向き側壁部を広げることになるので、挿通孔の側壁近傍の縁部に応力が集中しやすい。そこで、上記したように、両側壁の上端に連設される上壁に切込み部を設けることによって、側壁の変形を許容でき、亀裂の発生を阻止できる。
【0015】
請求項5に係る発明の特徴構成は、竿先側に固定フードと竿尻側に可動フードとを配置したリールシートを備えるとともに、請求項1〜4のうちのいずれかひとつに係る化粧カバーによって、前記固定フードからその竿尻側のリール脚取付座を覆うように構成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0016】
〔作用効果〕
リールシートの保護と装飾の多様化を図ることができ、釣り竿全体の品質向上に役立つものになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
海釣り、磯釣り等に使用される釣り竿1について説明する。
釣り竿1は、元竿2、複数の中竿、穂先竿とを夫々糸ガイドを備えて振出式の竿に構成してあり、図1に示すように、元竿2の中間部にリール3を取り付けるリールシート5を外嵌装着してある。
【0018】
釣り竿1は、基本的には、ガラス繊維かカーボン繊維等の強化繊維にエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて形成したプリプレグをマンドレルに巻回して筒状に形成した竿素材を焼成して形成されている。
【0019】
リールシート5の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、リールシート5は、ポリエチレン・テレフタレート(PET)やABS樹脂等のエンジニアリング樹脂をインジェクションによって成形されている。リール脚を取り付ける表側には、固定フード(竿先側フード)6がリールシート本体と一体形成されており、固定フード6の竿尻側には金属製の可動フード(竿尻側フード)7が竿芯方向にスライド移動自在に装着されている。
【0020】
図8に示すように、リールシート5における前記表側より180°反対側の背面側には、内部空間に連通する開口9が形成されており、この開口9に後記するゴム製のカバー体8が接着固定されることになる。
開口9は、図8に示すように、略先拡がり状の長孔として形成されており、前端が固定フード6に対応する位置まで設けられており、後端は可動フード7が移動する範囲におけるその移動範囲後端近くにまで延出されている。
【0021】
開口9は、前端よりやや竿尻側の部分の横幅が最も広くなっており、この最も広い横幅部分でも円周方向の180°よりは小さな円周方向長さに抑えられている。つまり、図2及び図9に示すように、リールシート5を横側方から見た場合に開口9の縁部は、リールシート5の上下幅方向の中心となる竿軸芯Xを越えて下方までは入り込まない状態に形成されている。この開口9の形成によって、元竿2にリールシート5を嵌着するものであっても、開口分だけは軽量化を図ることができるとともに、開口9から直接元竿2に接触することができ元竿2を通して魚の当たりを捉える場合の感度向上を図ることができる。
【0022】
ゴム製のカバー体8について説明する。図8及び9に示すように、このゴム製カバー体8は、ネオプレン等を材料としてインジェクション成型したエラストマーであり、弾性に富んだものとなっており、その外形形状は開口9の開口縁9aに沿った形状に形成されている。このゴム製カバー体8の外周面には、「シボ」や「梨地」処理を行って、美観と滑り止め機能を持たせるようにしてある。ゴム製のカバー体8の側面視では、図9に示すように、左右幅方向の中心が高くなっている中高い形状をしているとともに、図10に示すように、竿軸芯Xに沿った方向視では縦断面が略円弧状を呈しており、前記横幅方向での横幅長さが最も広い部分が最も大きな半径による円弧状突出部aを呈している。この円弧状突出部aの位置は、両フード6,7に装着されたリール3におけるリール脚の中心位置bよりも固定フード6側に寄った位置に設定されている。
【0023】
ゴム製カバー体8の取付手順は、まず、リールシート5を元竿2の玉口側から外嵌する状態で嵌め込み、リールシート5を元竿2の所定位置において接着剤で固定する。このリールシート5を固定する為に、リールシート5と元竿2の外周面との間に接着剤を塗布しているが、リールシート5に前記した開口9が形成されているので、開口9がない場合に比べて接着剤が偏りなく広がりリールシート5の内周面に遍く塗布されやすい。
【0024】
リールシート5を接着固定した後、又は、同時にゴム製カバー体8を開口縁9aに嵌め込み接着固定すると、ゴム製カバー体8の周縁部もその開口縁9に接着されるとともにカバー体8の周縁部より内側に位置する内周面の一部もその元竿2の外周面に接着固定されることになる。
なお、ゴム製カバー体8を球殻状ではなく、円弧状突出部aを肉の厚いものに形成していれば、ゴム製カバー体8の内周面が元竿2の外周面に沿ったものにでき、元竿2の外周面に密着接着することになり、剥がれにくくなる。
【0025】
以上のように、リールシート5の背面側に開口9を形成してゴム製カバー体8をその開口縁9aに嵌め込む状態で接着固定しているので、開口9を形成しないでリールシート5の外周面に直接接着固定するよりも、ゴム製カバー体8の元竿2から半径方向外側への突出量を抑えることができるとともに、重量軽減にも効果がある。また、リールシート5に開口9を設けないでそのリールシート5の外周面に直接ゴム製カバー体8を被着した場合には、竿軸芯Xからゴム製カバー体8の突出部分までの半径方向長さが大径になり握りにくくなる。これに対して、本願発明においては、前記したように、リールシート5に開口9を形成して、この開口9内に落とし込む状態でゴム製カバー体8を嵌着しているので、竿軸芯Xからゴム製カバー体8の突出部分までの半径方向長さを短くすることができ、握りやすくなっている。
【0026】
上記した釣り竿1で深せ釣り等を行う場合には、図1及び図2に示すように、釣り竿1を立てて魚を引き込む場合に、リールシート5を握った人指し指と親指との基端部分がその円弧状突出部aに引っ掛かる状態で位置することになるので、釣り竿1が摺り落ちにくく引き込み操作が行い易い。しかも、円弧状突出部aは、最も横幅の広い部分でもあるので、握り込む手指に当接するゴム製カバー体8の部分を広くできるので、手指を圧迫することが少なく、長時間握って釣り操作をおこなっても、疲れが少ない。また、手指のゴム製カバー体8に接触する面積が、人指し指側程広くなっているので、滑りにくい。針掛かりした魚を引き込む際に握りが安定しているので、手返し操作等が行い易く、魚の取り込みも容易である。
【0027】
可動フード7の構成について説明する。リールシート5の可動フード7の取り付け台座5Aにおける両横側面にガイド溝5a,5aが設けてあり、ガイド溝5a,5aに可動フード7の両脚部7A,7Aを挿入して、可動フード7をスライド移動可能に構成してある。前記取り付け台座5Aの上面には可動フード7を係止固定するラック溝が形成してあり、可動フード7に設けられているロック片がラック溝に係合して、可動フード7の位置決めを行えるようになっている。
【0028】
固定フード6に対する化粧カバー10について説明する。図3〜5に示すように、化粧カバー10は、固定フード6のフード状外周面から竿尻側に位置するリール脚の取り付け台座5Aに亘って被着されるドーム部10Aと、そのドーム部10Aの竿尻側に延出されて取り付け台座5Aに嵌め込み装着される長方形状の後延部10Bとで構成されている。ドーム部10Aは、半円錐台状の前壁10aと、その前壁10aの両側端より後方に向けて延出された縦向きの側壁10bと、両側壁10bの後端部上方に連設してある上壁10cとで構成してある。側壁10bと上壁10cとは後方に向けて延出されており、前記した後延部10Bを構成してある。前壁10aと側壁10bと上壁10cとの中程に、リール脚挿入用の挿通孔10Cを貫通形成している。ここに、ドーム部10Aと後延部10Bとをカバー本体と称する。
【0029】
化粧カバー10は、薄板金属に型成形を施したものに樹脂メッキを施して形成されており、弾性変形させた状態で所定位置に装着するようになっている。装着固定状態は、接着剤も併用して行う。つまり、図4に示すように、固定フード6から取り付け台座5Aに掛けて弾性的に挟み込み載置する為の嵌め込み段差部6A、5Bを形成してあり、その段差部6A、5Bに化粧カバー10を取り付けるようにしてある。この段差部6Aは、前壁10aと側壁10bとに凹入して形成してあり、段差部5Bは取り付け台座5Aに凹入させて形成してある。従って、この段差部6Aに化粧カバー10を取り付けた状態で、化粧カバー10と固定フード6の境界面とが段差のない面一状態となるように構成してある。
【0030】
図4に示すように、化粧カバー10に設けた挿通孔10Cにおける後延部10B側の縁部には、その後延部10Bに向けて入り込む切り欠き部10dを形成してある。この切り欠き部10dを設けてない場合には、化粧カバー10を段差部6A,5Bに装着するために、その化粧カバー10自体に左右方向等への弾性変形力を加えると、挿通孔10Cの両側部分としての左右の縁部10e、10eに亀裂が発生する等の不都合があった。そこで、上記したように、切り欠き部10dを形成すると、化粧カバー10を左右に引き伸ばすように弾性変形させても、その切り欠き部10dが左右幅方向に広がることになり、弾性変形力が挿通孔10Cの左右の縁部10e、10eに集中するのを緩和することになる。
【0031】
化粧カバー10については、ステンレスやアルミニユウム等の金属材料のみで型成型する点を言及したが、樹脂のインジェクション成型で形成することでもよい。また、その樹脂成型品に金属コーティングを施したものであってもよい。さらには、樹脂成型品の挿通孔10Cの縁部だけに金属を嵌め込んで、装飾効果と強度向上を図ることにしてもよい。
【0032】
次に、可動フード7の抜け止め機能を有する後受止部材11について説明する。図3〜図7に示すように、後受止部材11は、樹脂のインジェクション成型品であり、後下がり傾斜面を有する上壁11Aと左右の縦向き側壁11Bとからなる。図5に示すように、内面には、左右方向に長い二つの嵌合用凹入部11a,11aが前後に平行する状態で形成されている。
一方、リールシート5における取り付け台座5Aの後端位置には、後受止部材11を嵌合固定する装着台座5Cが凹入形成してあり、この装着台座5Cには、前後平行に横長突起5b、5bが設けてある。
【0033】
このような構成によって、装着台座5Cに後受止部材11を載置し、後受止部材11の上壁11Aを押し込むと、装着台座5Cに形成した横長突起5b、5bが後受止部材11の嵌合用凹入部11a、11a内に嵌入して、後受止部材11の弾性変形力によって後受止部材11が装着台座5Cに装着固定される。固定は、カシメ処理を施して行う。後受止部材11の周縁には内向きの傾斜面となっており、その内向き傾斜面が装着台座5Cの周面に形成された傾斜面5cに接触する構成となっている。
【0034】
図7に示すように、後受止部材11の上壁11Aの後端縁部で裏面側に、前向きに凹入する取外具用の挿入凹入溝11bが設けてある。この挿入凹入溝11bは後端縁部の裏面側に上向きに凹入する状態で形成してあるので、上壁11Aの表面には現れてはいない。これに対して、後受止部材11を装着する装着台座5Cには、前記挿入凹入溝11bに対応した下向きに凹入する凹入溝5cが形成してある。この挿入凹入溝11bと装着台座側の凹入溝5cとで挿入孔を形成することによって、リールシート5の装着台座5Cに嵌着されている後受止部材11に対して、挿入孔に取外具としてのマイナスドライバ等を差し込み軽く持ち上げ操作を行うだけで、後受止部材11を取り外すことができる。
【0035】
次に、元竿2のリールシート5の装着部より竿尻側の肘当て部12とリールシート5についての構成について説明する。図1及び図2に示すように、ゴム製カバー体8と肘当て部12との竿軸芯Xから半径方向への突出長さを異なる長さに設定してある。つまり、図2に示すように、竿軸芯Xからゴム製カバー体8の円弧状突出部aまでの突出長Pよりも、竿軸芯Xから肘当て部12に最大径部までの突出長Qを長くしてある。
【0036】
このような構成を採っているので、図1に示すように、釣り竿1を立てて操作する場合や、水平に寝かせた状態で当たりを待つ間は、肘当て部12を肘に当接させて竿を操作することになる。このような操作を行う場合に、前記したような突出長の関係になっているので、肘当て部12に肘を当てた状態でリールシート5部分を握った手首が安定し、竿の操作が容易になる。前記した手返し操作もより容易になる。
【0037】
図1及び図2に示すように、肘当て部12は、全周に亘って特殊な塗装が施されている。つまり、この特殊塗装は、2液型特殊ウレタン樹脂塗料を施したもので、この特殊塗装を施した肘当て部12は、通常の塗料が有する「素材保護」「美粧」という基本的性能を発揮するとともに、その肘当て部12に触れた場合の感触が落ち着いた「柔らか味」「温かさ」に溢れたものになる。つまり、このような塗料を塗布することによって、肘当て部12に僅かな弾性変形力を付与することができ、その肘当て部12にあてた肘に対する滑り止め効果を持たせることができる。しかも、リールシート5の背面部にはゴム製カバー体8を設けてあるところから、握りの感触を向上させており、両者の協働によって、竿を寝かせて当たりを待つ場合だけでなく、竿を立てて魚を引き抜く操作を行う場合等においても、操作を容易に行うことのできる釣り竿1とできたのである。
【0038】
リールシート5の横幅Dとの関係について説明する。図9、図10、及び図11に示すように、化粧カバー10を固定フード6に装着した状態で、化粧カバー10の横幅がリールシート5の横幅Dより突出しない寸法に形成してある。しかも、段差なく、化粧カバー10の横側面とリールシート5の横側面とが繋がる状態に形成してある。これによって、図1に示すように、リール脚部を握った場合に、化粧カバー10に巻回される人指し指等が圧迫を受けることが少ない。
【0039】
図9及び図12に示すように、可動フード7をリールシート5の取り付け台座5Aに装着した状態で、可動フード7の横幅Lがリールシート5の横幅Dより小さな寸法に形成してある。これによって、図1に示すように、リール脚部を握った場合に、可動フード7に巻回される薬指や小指等が圧迫を受けることが少ない。
【0040】
〔別実施の形態〕
(1) 化粧カバー10のカバー本体の竿先側に入り込む切込み部10dを設けてもよい。
(2) 切込み部10dとしては、溝状のものに形成したが、例えば、小半径で半円状の凹部を形成したものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】竿を立てて、魚を取り込む動作状態を示す側面図
【図2】元竿のリールシートと肘当て部を示す側面図
【図3】リールシートのリール脚取付部を示す斜視図
【図4】化粧カバーと可動フードと後受止部材とを取り外した状態を示す斜視図
【図5】化粧カバーと可動フードと後受止部材との取付前の状態を示す斜視図
【図6】後受止部材の装着前状態を示す平面図
【図7】後受止部材を取り外す状態を示す縦断側面図
【図8】リールシートの開口と、その開口を覆うカバー体を示す斜視図
【図9】元竿にリールシートを取り付けた状態を示す縦断側面図
【図10】図9におけるA―A線断面図
【図11】図9におけるB―B線断面図
【図12】図9におけるC―C線断面図
【図13】図9におけるD―D線断面図
【符号の説明】
【0042】
2 元竿
5 リールシート
5A 取り付け台座
6 フード
10 化粧カバー
10C 挿通孔
10a 前壁
10b 側壁
10c 上壁
10d 切込み部
10e 挿通孔の両側部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールシートのフードの外面に、外嵌装着される弾性変形可能なカバー本体と、前記カバー本体に前記フードに挿入されるリール脚の挿通を可能にする挿通孔とを形成し、前記挿通孔の竿先側または竿尻側部分の少なくともいずれか一方に、前記カバー本体の竿先側または竿尻側に入り込む切込み部を設けてあるリールシートのフード用の化粧カバー
【請求項2】
リールシートの竿先側フードの外面からリール脚載置面に掛けての部位に、取付用の台座を形成するとともに、前記取付用の台座に外嵌装着される弾性変形可能なカバー本体と、前記カバー本体に前記竿先側フードに挿入されるリール脚の挿通を可能にする挿通孔とを形成し、前記挿通孔を前記リール脚の挿通を許容するフード側の半円弧状部と前記台座側の半円弧状部とをそれらの半円弧状部の両側部分で接続して構成し、前記挿通孔における前記両側部分以外の部分に、前記カバー本体内に入り込む切込み部を設けてあるリールシートのフード用の化粧カバー。
【請求項3】
前記切込み部は、前記挿通孔の竿尻側端部に形成してある請求項1又は2記載のリールシートのフード用の化粧カバー。
【請求項4】
竿先側フードのフード前面に被着される前壁と、その前壁の両側端より竿尻側に向けて延出された縦向きの側壁と、両側壁の竿尻側端部の上端に亘って設けてある上壁とで構成し、前壁と側壁と上壁とに亘って、リール脚挿入用の挿通孔を貫通形成し、前記挿通孔の竿尻側端縁部で前記上壁に、竿尻側に向けて凹入する切込み部を設けてある請求項1から3のうちのいずれか一つに記載のリールシートのフード用の化粧カバー。
【請求項5】
竿先側に固定フードと竿尻側に可動フードとを配置したリールシートを備えるとともに、請求項1〜4のうちのいずれかひとつに係る化粧カバーによって、前記固定フードからその竿尻側のリール脚取付座を覆うように構成している釣り竿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−25687(P2006−25687A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208728(P2004−208728)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】