説明

ルックアップテーブルを介して達成されるイベントの位置決め

診断画像化システム(10)は、イベントを見るように配置されたセンサ(22)のマトリクスを有している。各センサ(22)は、関連するセンサ(22)の出力アナログ値をデジタル数に変換するためのアナログ/デジタル変換器(24)に接続されている。上記マトリクスにおける、イベントに応答して他のセンサ(22)に対し最も高い出力値を有するようなセンサ(50)が識別される。該高センサ(50)に対して最も近い近隣者であるような外側センサ(52)も識別される。外側センサ(52)の出力は、対応する出力のビット数を低減するために種々の非線形平方根関数の使用により圧縮される。最も多い情報を伝達するセンサの出力は最も少なく圧縮される一方、最も少ない情報を伝達するものは最も多く圧縮される。各イベントのアドレスが発生され、ルックアップテーブル(44)に記憶される。該ルックアップテーブル(44)は、リアルタイムな位置決め反復アルゴリズムをオフラインで実行するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断画像化システム及び方法に関する。本発明は、ポジトロン放出トモグラフィ(PET)及び単光子放出トモグラフィ(SPECT)に関連して特別な用途を有し、特に、これらを参照して説明されるであろう。本発明が他の同様の用途及び診断画像化モードにも適用可能であることが分かるであろう。
【背景技術】
【0002】
核画像化は、患者の解剖学的構造を画像化するために、放射能源を使用する。典型的には、放射性医薬品が患者に注入される。放射性医薬化合物は、予測可能なレートのガンマ線崩壊及び特性エネルギを持つ放射性アイソトープを含んでいる。放出された放射を監視及び記録するために、患者に隣接して放射検出器が配置される。しばしば、該検出器は、複数の方向からの放出放射を監視するために患者の周りで回転され又は割り出し回転(index)される。検出された位置及びエネルギ等の情報に基づいて、人体内の放射性医薬品の分布が決定され、循環系、及び選択された器官又は組織における放射性医薬の取り込み等を調べるために該分布の画像が再構築される。
【0003】
伝統的なシンチレーション検出器においては、検出器は大きなシンチレーション結晶又は小さなシンチレーション結晶のマトリクスからなるシンチレータを有している。何れの場合においても、上記シンチレータはセンサのマトリクスにより見られる。普通に使用されるセンサは、光電子増倍チューブ(PMT)である。放射吸収材料の格子状又はハニカム状アレイを含むコリメータを、上記シンチレータと被検体との間に配置して、当該シンチレータに衝突する放射の受入角を制限する。上記シンチレータに衝突する各放射イベントは、前記PMTにより見られるような対応する閃光(シンチレーション)を発生する。PMTの稠密六方アレイにおいては、斯かるイベントは主に最も近いPMT及び該最も近いPMTを囲む6つのPMTにより見られる。当該閃光元に対する個々のPMTの近さは、当該PMTにより光りが見られる程度に影響を与える。イベントを見る各PMTは、対応する電気パルスを発生する。これら電気パルスの各振幅は、当該閃光からの各PMTの距離に概ね比例する。斯かるPMTからの出力に基づいて、ガンマカメラが放射イベントをマッピングする。即ち、該ガンマカメラは上記シンチレータに衝突する放射線のエネルギ及び位置を決定する。
【0004】
典型的には、イベント位置はイベント位置決めのための従来のアンガ(Anger)法を使用して決定され、該方法はイベントの発生後にPMTにより出力される信号を加算及び加重する。イベント位置決めのためのアンガ法は、簡単な初期時点計算(first moment calculation)に基づくものである。エネルギは典型的には全てのPMT信号の和として測定され、位置は典型的には全てのPMT信号の“質量の中心”即ち重心として測定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在のリアルタイム位置決めアルゴリズムは、既知の反復方法のようには正確ではない。それでも、斯かる反復方法はリアルタイムな画像発生及び処理をサポートするには計算的に厳しい。かくして、イベントの一層正確な位置を決定するために反復方法を使用するのを可能にするような方法及び装置に対する需要がある。本発明は、上述した課題及びその他を克服するような新たな改善された画像化装置及び方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、診断画像化システムが開示される。イベントを見るためにセンサのマトリクスが配置され、これらセンサは当該イベントに応答するような出力を各々有する。これらセンサの各々は、対応するセンサの出力アナログ値をデジタル数に変換する個々のアナログ/デジタル変換器に接続される。或る手段が、上記マトリクスにおける、当該イベントに応答して他のセンサに対し最高の出力値を持つような高いセンサを識別する。或る手段が、当該マトリクスにおける、上記高いセンサの最も近い隣接者であるような複数の外側センサを識別する。或る手段が、上記外側センサの出力を圧縮して、各出力のビット数を低減する。斯かる圧縮された出力によりルックアップテーブルがアドレス指定され、対応するイベント位置を取り出す。
【0007】
本発明の他の態様によれば、診断画像化のための方法が開示される。放射はガンマカメラのセンサのマトリクスにより検出され、これらセンサはイベントを見るように配置されると共に、斯かるイベントに応答するような対応する出力を有する。関連するセンサの出力アナログ値はアナログ/デジタル変換器によりデジタル数に変換され、これらセンサの各々は個々のアナログ/デジタル変換器に接続される。上記マトリクスにおける、当該イベントに応答して他のセンサに対し最高の出力を有するような高いセンサが識別される。当該マトリクスにおける、該高いセンサに最も近い隣接者であるような複数の外側センサが識別される。これら外側センサの出力は、対応する出力のビット数を低減するために圧縮される。斯かる圧縮された出力によりルックアップテーブルがアドレス指定され、対応するイベント位置を取り出す。
【0008】
本発明の一つの利点は、反復アルゴリズムの使用による一層正確なイベント位置の推定にある。
【0009】
他の利点は、適切に位置決めすることができないようなイベントのためにイベントの区別/推定を実行することにある。
【0010】
本発明の更に他の利点及び利益は、当業者にとり、好ましい実施例の下記の詳細な説明を精読及び理解することにより明らかとなるであろう。
【0011】
本発明は、種々の構成要素及び構成要素の配置、並びに種々のステップ及びステップの配列の形態をとり得る。また、図面は好ましい実施例を図示する目的のためのみのものであって、本発明を限定するものと見なしてはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を参照すると、PETスキャナ10は複数の検出器ヘッド、即ちガンマカメラ又は検出器12を含み、これら検出器は検査領域16内に配置された対象14(好ましくは、放射性核種分布を含む)に対面すると共に、好ましくは該対象の周りで移動するように取り付けられる。検出器12の各々はシンチレータ20を含み、該シンチレータは放射イベント(例えば、シンチレータ20に衝突する上記放射性核種の分布からの放射線)を閃光即ちシンチレーションに変換する。光電子増倍チューブ(PMT)22等のセンサのマトリクスが、シンチレータ20からの上記閃光を見る又は受信するように配置されている。好ましい実施例においては、上記センサ22のマトリクスはPMTの稠密六方配列である。しかしながら、他のセンサ及び詰め込み配列も考えられる。一般的に、放射は、放射性アイソトープの崩壊において生じるようなガンマ量子を生成する。斯かる崩壊量子は、好ましくはドーピングされたヨウ化ナトリウム(NaI)を含むシンチレータ20を打撃し、シンチレーションを生じる。該シンチレーションからの光は複数のセンサ22上に分散される。所与のセンサ22が見る又は受信する特定のシンチレーションからの光の量は、当該イベントからのセンサの距離に伴って累進的に減少する傾向にある。センサ22の各々は、受信された閃光に応答して対応する出力信号(例えば、アナログ電気パルス)を発生するが、該出力信号は受信された閃光のものと比例する。好ましくは、センサ22の各々はアナログ/デジタル(A/D)変換器24に電気的に接続され、該変換器は各アナログ出力をデジタル信号に変換する。当該情報はプロセッサ28に伝達され、該プロセッサは各検出器ヘッドに対して発生する各シンチレーションイベントの位置(x,y)及び/又はエネルギ(z)を測定又は決定する。所与のイベントに関して、該イベントに応答したセンサの出力信号の積分(即ち、センサ22の出力パルスに関し時間に対して振幅又は強度をプロットする曲線の下の面積又はその幾らかの部分を見つける処理)、該イベントに応答するセンサ出力信号のピーク振幅、又は観測される光の量、従って該イベントのエネルギに比例する若しくは適切に関係する何らかの他の尺度により、各センサ22の出力値がオプションとして決定される。イベントのシンチレータ20上の位置は、二次元(2D)デカルト座標系において公称のx及びy座標により分解及び/又は決定される。しかしながら、他の座標系も考えられる。
【0013】
図1を続けて参照すると、スキャナ10は所望に応じてSPECTモード又はPETモードの何れかにおいて選択的に動作することができる。SPECTモードでは、カメラ12にコリメータが取り付けられ(図示略)、該コリメータは放射の受入を特定の方向に、即ち既知の光線に沿って制限する。このように、放射が検出される当該シンチレータ20上の決定された位置及びカメラ12の角度位置が、それに沿って各放射イベントが発生したような光線を定める。これらの光線の軌道及びカメラ角度位置(例えば、角度位置レゾルバ30により得られる)は、再生プロセッサ32に伝達され、該プロセッサは上記光線を体積的画像表現に逆投影又は再生し、該表現が画像メモリ34に記憶される。
【0014】
PETモードでは、前記コリメータは除去される。このように、単一のシンチレーションイベントの位置は光線を規定しない。しかしながら、PET走査に使用される放射性核種は消滅イベントの対象となり、該イベントにおいて放射の2つの光子は直径方向的に反対方向に、即ち180度離れて同時に放出される。一致検出器36は、2つのカメラ12上のシンチレーションが同時に発生する場合を検出する。2つの同時的シンチレーションの位置は、消滅イベントによる光線の端点を定める。光線又は軌道計算器38は、同時に受信されたシンチレーションイベントの各対から、対象14を経る対応する光線を計算する。光線計算器38からの上記光線軌道は、体積的画像表現に再生するために再生プロセッサ32に伝達される。結果としての画像表現は体積画像メモリ34に記憶される。
【0015】
SPECTモード及びPETモードの両モードにおいて、ビデオプロセッサ40はモニタ42上での表示のために、上記画像表現データを処理及び/又はフォーマットする。
【0016】
図1を続けて参照すると共に、図2を更に参照すると、プロセッサ28は、反復的アルゴリズムを使用してリアルタイムなイベント位置決めを実行するために発生されたルックアップテーブル44を含んでいる。典型的には、画像化に先行して、PMT22は既知のアイソトープの1つにより校正される。全てのPMTと同様に、高いチューブ50の中心の位置は、先験的情報(例えば、物理的測定)から正確に分かる。各チューブ22に対する校正情報はルックアップテーブル44に記憶される。ルックアップテーブル44は、高いチューブの中心に対する或るイベントの位置を識別するために使用される。更に詳細には、プロセッサ28はPMT値決定手段46を含み、該手段はPMT22の初期値を決定する。最高出力決定手段又はアルゴリズム48は、全ての他のPMT22に対して最高の出力値を持つような高いチューブ50と、該高いチューブ50に隣接する複数の最も近い近隣チューブ又は外側チューブ52とを(例えば、図5に見られるようなPMT部分集合又はPMT群54)識別する。好ましくは、最も近い近隣チューブ52の最大数は6とし、中心のセンサが最高の出力値を持つものとなるような7PMTの稠密六方群(hexagonal close-packed cluster)を画定する。しかしながら、上記群54は、例えば3又は5等の異なる数のチューブを含んでも良い。分数決定手段56は、群54のチューブ50、52の出力を高いチューブ50の値により除算し、従って斯かる変数の1つ、例えば高いチューブ50の値を除去する。該演算の結果、群54内の外側チューブ52の数に依存して、3〜6個の10ビット分数F1〜F6が得られる。分数順序決定手段58は、チューブ52の分数F1〜F6の降順(例えば最高の分数F1、2番目に高い分数、低い分数F3〜F6)を識別する。分数F1〜F6はPMT値メモリ60に記憶される。分数F1〜F6は、上記高いチューブに対して当該イベントの位置を識別すると共に、ルックアップテーブル44をアドレス指定するために使用することができる。
【0017】
典型的には、各アナログ/デジタル変換器24は10ビットの強度値を出力する。結果として、圧縮なしでは、ルックアップテーブル44は1021のメモリアドレスを有するであろう。圧縮手段70は圧縮アルゴリズムを動的に適用して、ルックアップテーブル44をアドレス指定するためのビット数を低減する。例えば、10ビット分数F1〜F6は、以下に詳述する種々の規準に基づいて、ルックアップテーブル44内の利用可能な空間に圧縮される。即ち、好ましくは、低い分数を高い分数よりも一層大きな程度に圧縮するような動的圧縮が適用される。更に、最高のチューブ50に対して次に高いチューブ(又は複数のチューブ)のイベント空間位置を符号化する必要性を除去するために対称性が使用される。勿論、一層大きな(例えば1021の)ルックアップテーブルの作成が可能になった場合は、当該圧縮ステップを削除することができるようになることが考えられる。
【0018】
図2を続けて参照すると、符号化選択手段72は、各イベントに対して、ルックアップテーブル44に関して利用可能なアドレスビット数、群54におけるチューブ50、52の数、最高の分数F1の大きさ及び他の評価規準に基づいて符号化方法を動的に選択する。最も多い情報を伝達するチューブ52は最も少なく圧縮される一方、最も少ない情報を伝達するものは最も多く圧縮される。好ましくは、各分数を符号化するのに要するビット数を低減するために、チューブ分数F1〜F6の非線形圧縮(例えば、加重平方根関数)が用いられる。量子化エラーを最小化するために、チューブ分数範囲に基づいて、異なる非線形圧縮アルゴリズムが使用される。好ましくは、量子化エラーを最小化するために値が圧縮されねばならないダイナミックレンジを減少させるために、信号のバイアス処理が実行された場合(例えば、一定数を最高の分数から減算することができる)を示すためにアドレスビットが使用される。
【0019】
図2を続けて参照すると、アドレス発生手段74はイベントのアドレスを発生する。結果としてのイベントアドレスは、ルックアップテーブル44にアクセスして、前記最高のチューブ中心に対するイベント位置を取り出す。位置決定手段80は当該イベントのx,y位置を含む16ビットアドレスを取り出し、これを別個の8ビットのx及びy値に分解する。該高いチューブ位置の中心のx,y位置は上記ルックアップテーブルの出力を用いて位置調整手段82により調整され、当該イベントの最終位置を導出する。
【0020】
図5の実施例において、高いチューブ50は4チューブ群内に位置する。即ち、該高いチューブ50は3つの近隣チューブ、即ち外側チューブ52を有している。水平軸に沿う水平対称性が、事例(ケース)の数を2なる係数により減少させるために使用される。4チューブ群54は、外側チューブ52が当該検出器の上に配置されたかのように解釈される。好ましくは、最高の分数F1が常に上の象限に存在することを示すためにフラグが設定される。
【0021】
再び図2を参照して、反転手段84は、最高の分数F1が位置する象限に従って、上記ルックアップテーブルからのイベント位置を対称軸に対して反転する。例えば、x位置の調整の符号はy軸に対する最高分数F1の位置に基づいて選択される一方、y補正の符号はx軸に対する位置に基づいて調整される。図示した4群の例では、位置決定手段80は、符号化されたアドレスにおいてルックアップを実行し、高いチューブ50の中心に対するx,y位置を取り出す。反転が実行されない場合、位置調整手段82は最終x,y位置を、高いチューブ50の中心位置に相対x,y位置を加えたものに等しいとして計算する。反転が実行される場合、位置調整手段82は最終x,y位置を、高いチューブ50の中心位置から相対x,y位置を引いたものに等しいとして計算する。勿論、垂直対称性が適宜使用されることも考えられる。
【0022】
図2及び3を参照すると共に、更に図4を参照すると、ステップ90において、符号化方法選択手段72は符号化方法6を選択してルックアップテーブル44を動的に選択する。好ましくは、例えばビット25〜27等の3つのアドレスビットが、チューブ分数F1〜F3がどの様に符号化及び圧縮されているかを示すために使用される。符号化方法6において、各分数F1、F2、F3は、
【数1】

なる平方根関数(A)を用いて8ビット(256コード)に変換される、ここで、Fcompは対応するチューブ分数F1〜F6に適用された加重平方根圧縮であり、kはチューブ関数を圧縮するために使用される一定スカラ、k=(Codemax)2/Fmaxであり、Codemaxは2bits−1=255に等しい、各分数F1〜F6に対する最大コードであり、Fmaxは各分数F1〜F6に対する最大値=1023であり、k=(Codemax)/Fmax=255/1023=63.56304985である。
【0023】
符号化方法6により符号化された各分数F1〜F6の復号即ち伸張は、
【数2】

なる関数を用いることにより達成される。
【0024】
図7の実施例において、高いチューブ50は7つのチューブの群54内に配置されている。即ち、高いチューブ50は6つの隣接する、即ち外側のチューブ52を有している。図5の実施例と同様に、水平対称が、3つの最高分数位置のみが必要とされるように使用される。反転手段84は、最高分数F1が下側チューブのうちの1つであるなら、チューブ信号を反転する。
【0025】
図3を再び参照すると、ステップ92において、郡54が7つのチューブを有し、最高の分数F1が255より大きい場合、例えば当該イベントが高いチューブ50の中心から離れて発生し、隣接するチューブ52の1以上に近づき、PMTの二重点d又は三重点tを示す場合、符号化方法選択手段72は符号化方法0、1又は2を選択する。ステップ94において、最高の分数F1及び2番目に大きい分数F2が互いに隣接していないと判定された場合、符号化方法選択手段72は当該イベントを破棄する。ステップ96において、低い分数F3〜F6のうちの1つが255より大きいと判定された場合(これは、当該イベントが汚染されていることを示す)、符号化方法選択手段72は該イベントを破棄する。
【0026】
図6を参照すると、ビット25〜27は、どの様にチューブ分数が符号化及び圧縮されているかを示すために使用される。該符号化IDは、最高の分数F1を有するチューブの位置を示すような図7のチューブ図を用いて設定される。殆どの情報は最高の及び2番目に高い分数F1、F2に含まれているが、好ましくは、他のアドレスビット(例えばビット24)も最高の分数F1に対する2番目に高い分数F2の方向的関係(時計方向又は反時計方向)を示すために使用される。これは、最高の及び2番目に高い分数F1、F2に対して一層低い分数F3〜F6に対してよりも多くのアドレスビットが割り当てられるのを可能にする。好ましくは、ビット24は、通常、CCW(例えば、2番目に高い分数F2は最高の分数F1に対して反時計方向である)に設定される。ビット24は、2番目に高い分数F2が最高の分数F1に対して時計方向である場合にはクリアされる。
【0027】
続けて図6を参照すると、ビット17〜22は最高の分数F1に対して指定される。圧縮は、最高の分数F1から255(0xFF)を減算すると共に該結果を下記平方根関数(B)(入力範囲は0〜768[0x300])を用いて6ビットに変換することにより実行される。
【数3】

ここで、F1compは対応するチューブ分数F1に適用される加重平方根圧縮であり、kは当該チューブ分数を圧縮するために使用される一定スカラ、k=(Codemax)/F1max、であり、Codemaxは2bits−1=63に等しいような分数F1に対する最大コードであり、F1maxは768に等しいような分数F1に対する最大値であり、k=63/768=5.16796875である。
【0028】
符号化関数(B)により符号化された分数F1の復号即ち伸張は、
【数4】

なる関数を用いることにより達成される。
【0029】
図6を続けて参照すると、ビット12〜16は2番目に高い分数F2に対して指定されている。符号化方法選択手段72は、上記2番目に高い分数F2の値に基づいて符号化方法を選択する。上記2番目に高い分数F2が200(0xC8)より大きい場合、圧縮は、該2番目に高い分数F2の値から201(0xC9)を減算すると共に、結果の値を下記平方根関数(C)(入力範囲は、0〜822[0x336])を用いて5ビット(32コード)に圧縮することにより実行される。ビット23は、減算が実行されたことを示すために1に設定される。
【数5】

ここで、F2compは上記2番目に高い分数F2に適用される加重平方根圧縮であり、kは当該チューブ分数を圧縮するために使用される一定スカラ、k=(Codemax)/F2max、であり、Codemaxは2bits−1=31に等しいような分数F2に対する最大コードであり、F2maxは822に等しいような分数F2に対する最大値であり、k=31/822=1.169099757である。
【0030】
符号化関数(C)により符号化された分数F2の復号即ち伸張は、
【数6】

なる関数を用いることにより達成される。
【0031】
上記2番目に高い分数F2が200(0xC8)以下である場合、当該圧縮は、該2番目に高い分数の値を下記平方根関数(D)(入力範囲は、0〜200[0xC8])を用いて5ビット(32コード)に圧縮すると共にビット23をクリアすることにより実行される。
【数7】

ここで、F2compはチューブ分数F2に適用される加重平方根圧縮であり、kは当該チューブ分数を圧縮するために使用される一定スカラ、k=(Codemax)/F2max、であり、Codemaxは2bits−1=31に等しいような分数F2に対する最大コードであり、F2maxは200に等しいような分数F2に対する最大値であり、k=31/200=4.805である。
【0032】
符号化関数(D)により符号化された分数F2の復号即ち伸張は、
【数8】

なる関数を用いることにより達成される。
【0033】
図6を続いて参照すると、ビット0〜11は低い分数F3〜F6、例えば3番目ないし6番目の分数に対して指定されている。低い分数F3〜F6は、各々、平方根関数Eを用いて3ビット(8つのコード)に変換される。分数F3〜F6の最大値は255(0xFF)に等しいと仮定される。即ち、
【数9】

ここで、Fcompは対応するチューブ分数F3〜F6に適用される加重平方根圧縮であり、kは当該チューブ分数を圧縮するために使用される一定スカラ、k=(Codemax)/Fmax、であり、Codemaxは2bits−1=7に等しいような低い分数F3〜F6に対する最大コードであり、Fmaxは255に等しいような低い分数F3〜F6に対する最大値であり、k=7/255=0.192156863である。
【0034】
符号化関数(E)により符号化された分数F3〜F6の復号即ち伸張は、
【数10】

なる関数を用いることにより達成される。
【0035】
再び図3を参照すると共に、図8〜9を更に参照すると、ステップ98において、符号化方法選択手段72は、群54が7つのチューブ50、52を有し、最高の分数F1が200より大きく255以下である場合、符号化方法3を選択する。分数F1〜F6は、各々、下記平方根関数Gを用いて4ビット(16コード)に変換される。尚、最大分数F1は255(0xFF)に等しいと仮定する。
【数11】

ここで、Fcompは対応するチューブ分数F1〜F6に適用される加重平方根圧縮であり、kは当該チューブ分数を圧縮するために使用される一定スカラ、k=(Codemax)/Fmax、であり、Codemaxは2bits−1=15に等しいような分数F1〜F6の各々に対する最大コードであり、Fmaxは255に等しいような各分数F1〜F6に対する最大値であり、k=15/255=0.882352941である。
【0036】
符号化関数(G)により符号化された分数F1〜F6の復号即ち伸張は、
【数12】

なる関数を用いることにより達成される。
【0037】
図3及び図8〜9を続いて参照すると、ステップ100において、符号化方法選択手段72は、群54が7つのチューブ50、52を有し、最高の分数F1が160より大きく200以下である(例えば、イベントが高いチューブ50の中心近傍で発生した)場合、符号化方法4を選択する。分数F1〜F6は、下記平方根関数Hを用いて4ビット(16コード)に変換される。最大の分数F1は200(0xC8)に等しいと仮定する。
【数13】

ここで、Fcompは対応するチューブ分数F1〜F6に適用される加重平方根圧縮であり、kは当該チューブ分数を圧縮するために使用される一定スカラ、k=(Codemax)/Fmax、であり、Codemaxは2bits−1=15に等しいような各分数F1〜F6に対する最大コードであり、Fmaxは200に等しいような各分数F1〜F6に対する最大値であり、k=15/200=1.125である。
【0038】
符号化関数(H)により符号化された分数F1〜F6の復号即ち伸張は、
【数14】

なる関数を用いることにより達成される。
【0039】
図3及び図8〜9を続いて参照すると、ステップ102において、符号化方法選択手段72は、群54が7つのチューブ50、52を有し、最高の分数F1が160以下である場合、符号化方法5を選択する。分数F1〜F6は、各々、下記平方根関数Jを用いて4ビット(16コード)に変換される。分数F1〜F6の最大値は160(0xA0)に等しいと仮定する。
【数15】

ここで、Fcompは対応するチューブ分数F1〜F6に適用される加重平方根圧縮であり、kは当該チューブ分数を圧縮するために使用される一定スカラ、k=(Codemax)/Fmax、であり、Codemaxは2bits−1=15に等しいような各分数F1〜F6に対する最大コードであり、Fmaxは160に等しいような各分数F1〜F6に対する最大値であり、k=15/160=1.40625である。
【0040】
符号化関数(J)により符号化された分数F1〜F6の復号即ち伸張は、
【数16】

なる関数を用いることにより達成される。
【0041】
以上、本発明を好ましい実施例を参照して説明した。明らかなことに、上述した詳細な説明を精読及び理解すれば、当業者は変更例及び変形例を思いつくであろう。本発明は、添付請求項又はそれらの均等物の範囲内に入る限りにおいて、全ての斯かる変形例及び変更例をも含むと見なされることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、診断画像化システムの概念図である。
【図2】図2は、診断画像化システムの一部の概略図である。
【図3】図3は、本発明によるソフトウェアプログラムの一部である。
【図4】図4は、本発明による一符号化方法の概念図である。
【図5】図5は、水平対称性を使用する4チューブ群の概念図である。
【図6】図6は、本発明による他の符号化方法の概念図である。
【図7】図7は、イベントが外側チューブの近くで発生した場合の7チューブ群の概念図である。
【図8】図8は、本発明による他の符号化方法の概念図である。
【図9】図9は、イベントが高いチューブの中心の近くで発生した場合の7チューブ群の概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントを見るように配置されたセンサのマトリクスであって、これらセンサが前記イベントに応答する各出力を有するようなセンサのマトリクスと、
複数のアナログ/デジタル変換器であって、個々のアナログ/デジタル変換器に前記センサの各々が接続されて、関連するセンサの出力アナログ値をデジタル数に変換するようなアナログ/デジタル変換器と、
前記マトリクスにおける、前記イベントに応答して他のセンサに対し最も高い出力値を有するような高センサを識別する手段と、
前記マトリクスにおける、前記高センサに最も近い隣接者であるような複数の外側センサを識別する手段と、
前記外側センサの出力を、これら各出力のビット数を低減するように圧縮する手段と、
前記圧縮された出力によりアドレス指定されて、対応するイベント位置を取り出すルックアップテーブルと、
を有する診断画像化システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記取り出されたイベント位置が前記高センサの中心に対するものであるようなシステムにおいて、
前記イベント位置を前記高センサの中心の位置と組み合わせる位置調整手段、
を更に有することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記センサが光電子増倍チューブ(PMT)であることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記圧縮する手段が、
前記センサの各出力に対して複数のビットを出力の可能な範囲に基づいて動的に割り当てる符号化方法選択手段、
を含んでいることを特徴するシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記外側センサの分数を、関連する出力を前記最も高い出力値によって除算することにより決定する分数決定手段と、
前記センサの分数の降順を最も高い分数から最も低い分数まで降順に決定する分数順序決定手段と、
を更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにであって、水平軸及び垂直軸の一方に沿う対称性が用いられるようなシステムにおいて、
前記最も高い分数が位置する象限に従って前記イベントの位置を対称軸に対して反転する反転手段、
を更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項5に記載のシステムにおいて、前記圧縮する手段が、
符号化方法を、
前記ルックアップテーブルで利用可能なビット数、
前記センサの数、及び
前記最も高い分数の値、
のうちの少なくとも1つに基づいて動的に選択する符号化方法選択手段、
を含んでいることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、前記符号化方法選択手段がどの圧縮方法が使用されるかを示す少なくとも1つのビットを設定することを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムにおいて、前記高センサ及び前記外側センサが7PMT群を規定することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記符号化方法選択手段は、
前記最も高い分数及び2番目に高い分数が互いに隣接していない、又は
低い分数のうちの1つの値が第1の所定の値より大きい、
の一方の場合に前記イベントを破棄することを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記最も高い分数(F1)の値が第1の所定の値(V1)より大きく、且つ、平方根関数(B)を用いて6ビット分数(F1comp)に圧縮され、
F1comp=(int)(sqrt(k*(F1-V1))+0.5)
ここで、F1compは前記最も高い分数(F1)に適用された加重平方根圧縮であり、
k=(Codemax)2/F1maxであり、
Codemaxは前記最も高い分数(F1)に対する最大の選択されたコードであり、
F1maxは前記最も高い分数(F1)に対する最大の選択された値である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記2番目に高い分数(F2)の値が第2の所定の値(V2)より大きく、且つ、平方根関数(C)を用いて5ビット分数(F2comp)に圧縮され、
F2comp=(int)(sqrt(k*(F2-V2+1))+0.5)
ここで、F2compは前記2番目に高い分数(F2)に適用された加重平方根圧縮であり、
k=(Codemax)2/F2maxであり、
Codemaxは前記2番目に高い分数(F2)に対する最大の選択されたコードであり、
F2maxは前記2番目に高い分数(F2)に対する最大の選択された値である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記2番目に高い分数(F2)の値が第2の所定の値(V2)以下であり、且つ、平方根関数(D)を用いて5ビット分数(F2comp)に圧縮され、
F2comp=(int)(sqrt(k*F2)+0.5)
ここで、F2compは前記2番目に高い分数(F2)に適用された加重平方根圧縮であり、
k=(Codemax)2/F2maxであり、
Codemaxは前記2番目に高い分数(F2)に対する最大の選択されたコードであり、
F2maxは前記2番目に高い分数(F2)に対する最大の選択された値である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記低い分数(F3〜F6)の値が、各々、平方根関数(E)を用いて3ビット分数(Fcomp)に圧縮され、
Fcomp=(int)(sqrt(k*F)+0.5)
ここで、Fcompは対応する低い分数(F3〜F6)に適用された加重平方根圧縮であり、
k=(Codemax)2/F2maxであり、
Codemaxは対応する低い分数(F3〜F6)に対する最大の選択されたコードであり、
Fmaxは対応する低い分数(F3〜F6)に対する最大の選択された値である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記圧縮する手段が、前記2番目に高い分数(F2)の前記最も高い分数(F1)に対する方向的関係を示すために少なくとも1つのビットを設定することを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記最も高い分数(F1)の値が第1の所定値(V1)以下であると共に第2の所定値(V2)より大きく、前記分数(F1〜F6)の値が、各々、平方根関数(G)を使用することにより4ビットの分数(Fcomp)に圧縮され、
Fcomp=(int)(sqrt(k*F)+0.5)
ここで、Fcompは対応する分数(F1〜F6)に適用された加重平方根圧縮であり、
k=(Codemax)2/Fmaxであり、
Codemaxは対応する分数(F1〜F6)に対する最大の選択されたコードであり、
Fmaxは対応する分数(F1〜F6)に対する最大の選択された値である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記最も高い分数(F1)の値が第2の所定値(V2)以下であると共に第3の所定値(V3)より大きく、前記分数(F1〜F6)の値が、各々、平方根関数(H)を使用することにより4ビットの分数(Fcomp)に圧縮され、
Fcomp=(int)(sqrt(k*F)+0.5)
ここで、Fcompは対応するチューブ分数(F1〜F6)に適用された加重平方根圧縮であり、
k=(Codemax)2/Fmaxであり、
Codemaxは対応する分数(F1〜F6)に対する最大の選択されたコードであり、
Fmaxは対応する分数(F1〜F6)に対する最大の選択された値である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記最も高い分数(F1)の値が第3の所定値(V3)以下であり、前記分数(F1〜F6)の値が、各々、平方根関数(J)を使用することにより4ビットの分数(Fcomp)に圧縮され、
Fcomp=(int)(sqrt(k*F)+0.5)
ここで、Fcompは対応する分数(F1〜F6)に適用された加重平方根圧縮であり、
k=(Codemax)2/Fmaxであり、
Codemaxは対応する分数(F1〜F6)に対する最大の選択されたコードであり、
Fmaxは対応する分数(F1〜F6)に対する最大の選択された値である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項8に記載のシステムにおいて、前記高センサ及び前記外側センサが、4−PMT群を規定することを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムにおいて、前記分数(F1〜F3)の値が、各々、平方根関数(A)を使用することにより8ビットの分数(Fcomp)に圧縮され、
Fcomp=(int)(sqrt(k*F)+0.5)
ここで、Fcompは対応するチューブ分数(F1〜F3)に適用された加重平方根圧縮であり、
k=(Codemax)2/Fmaxであり、
Codemaxは対応する分数(F1〜F3)に対する最大の選択されたコードであり、
Fmaxは対応する分数(F1〜F3)に対する最大の選択された値である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項21】
ガンマカメラのセンサのマトリクスを用いて放射を検出するステップであって、前記センサが、イベントを見るように配置されると共に前記イベントに応答する各出力を有するようステップと、
関連するセンサの出力アナログ値をアナログ/デジタル変換器によりデジタル数に変換するステップであって、前記センサの各々が個々のアナログ/デジタル変換器に接続されているようなステップと、
前記マトリクスにおける、前記イベントに応答して他のセンサに対し最も高い出力値を有するような高センサを識別するステップと、
前記マトリクスにおける、前記高センサに最も近い隣接者であるような複数の外側センサを識別するステップと、
前記外側センサの出力を、これら各出力のビット数を低減するように圧縮するステップと、
前記圧縮された出力によりルックアップテーブルをアドレス指定して、対応するイベント位置を取り出すステップと、
を有する診断画像化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−518096(P2007−518096A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548515(P2006−548515)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050059
【国際公開番号】WO2005/071438
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】