説明

ルーバー装置

【課題】隣り合う羽根の動きが互いに逆方向となるように連動させ得るようにし、しかもほぼ平行四辺形の軌跡上で往復運動を行なわせるための空間を必要とせず、駆動部を狭い空間内に収納できるようにしたルーバー装置を提供する。
【解決手段】等間隔おきに多数枚並設された状態の羽根1が正面形状が矩形の枠体8で囲まれる空間内に組み込まれ、各羽根1の両端が枠体8に回転可能に支持され各羽根1の一端側は前記枠体8の内部空間に収納された歯車6と結合され、隣り合う歯車6同士は互いに噛み合い、何れか1枚の羽根1を回転させることにより全ての羽根1が連動して隣り合うもの同士が逆方向に回転して開閉するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば室内に入る日差しなどの調整を行なうのに好適なルーバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種ルーバー装置としては、例えば特許文献1に開示されているような、略平行に配置された複数のルーバー羽根の長さ方向の両端部に回転軸部材を取付け、ルーバー羽根の両端部の回転軸部材をルーバー羽根の両端部において一連となった回転支持体に回動自在に支持し、回転軸部材に回転中心より偏心した位置に連結軸を延出し、各連結軸を駆動用の移動体に連係し、移動体を移動させてルーバー羽根を回動させる駆動手段を設けて成ることを特徴とするルーバー装置が知られている。
【0003】
そして、この特許文献1に開示されているルーバー装置によれば、駆動手段によって移動体を移動させることで偏心している連結軸を介して回転支持体を回転させてルーバー羽根を回転させることができるものである。
【特許文献1】特開2002−147143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載のルーバー装置の構成では、駆動手段によって移動される移動体の動きは一直線上での動きではなく、ほぼ平行四辺形の軌跡上での往復運動の動きとなり、この移動体の動きを可能とする空間が必要となり、ルーバー装置の取り付け空間に限りがある箇所では取り付けができないという問題がある。
【0005】
また、この特許文献1に記載のルーバー装置の構成では、全ての羽根が同一方向に連動するという動きしか得られないという問題がある。
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、全ての羽根が同一方向に連動させ得ることは勿論のこと、隣り合う羽根の動きが互いに逆方向となるように連動させ得るようにし、しかもほぼ平行四辺形の軌跡上で往復運動を行なわせるための空間を必要とせず、駆動部を狭い空間内に収納できるようにしたルーバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載のルーバー装置は、等間隔おきに多数枚並設された状態の羽根が正面形状が矩形の枠体で囲まれる空間内に組み込まれ、各羽根の両端が枠体に回転可能に支持され各羽根の一端側は前記枠体の内部空間に収納された歯車と結合され、隣り合う歯車同士は互いに噛み合い、何れか1枚の羽根を回転させることにより全ての羽根が連動して隣り合うもの同士が逆方向に回転して開閉するように構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のルーバー装置は、等間隔おきに多数枚並設された状態の羽根が正面形状が矩形の枠体で囲まれる空間内に組み込まれ、各羽根の両端が枠体に回転可能に支持され各羽根の一端側は前記枠体の内部空間に収納された歯車と結合され、隣り合う歯車間に別の歯車を介在させ、何れか1枚の羽根を回転させることにより全ての羽根が連動して同方向に回転して開閉するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明のルーバー装置は、全ての羽根が同一方向に連動させ得ることは勿論のこと、隣り合う羽根の動きが互いに逆方向となるように連動させ得るものであり、しかもほぼ平行四辺形の軌跡上で往復運動を行なわせるための空間を必要とせず、駆動部となる歯車を狭い空間内に収納できるようにしたルーバー装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。
先ず、図1〜図5に示す第1の実施の形態について説明すると、1は上下方向に向く羽根で、内部が空洞で軽量に作られていて、等間隔おきに多数枚並設されている。2は各羽根1の上下両端に被さり羽根1の上下両端を閉じるキャップで、羽根1の上端におけるキャップ2の下面には羽根1の上端に嵌入して外面が羽根1の上端内面に当接する補強部材3が一体に設けられ、またこのキャップ2の上面には平面形状が円形の軸体4を介して平面形状が正方形の軸体5が一体に設けられている。また、羽根1の下端におけるキャップ2の上面にも羽根1の下端に嵌入して外面が羽根1の下端内面に当接する補強部材3が一体に設けられ、またこのキャップ2の下面にも底面形状が円形の軸体4を介して底面形状が正方形の軸体5が一体に設けられている。そして、各羽根1の上部における軸体5は歯車6の中央の角孔6aと嵌合して羽根1の上部に歯車6が取り付けられる。隣り合う羽根1の上部の歯車6同士は互いに噛み合い、何れか1枚の羽根1を鉛直軸心の周りで回転させることにより全ての羽根1が連動して回転するようになっている。図面に示す実施の形態では中央に位置する羽根1の下部の軸体5にハンドル7を取り付け、このハンドル7により中央に位置する羽根1を鉛直軸心の周りで回転させることにより全ての羽根1が連動して回転するようになっている。
【0010】
ところで、ルーバー装置は正面形状が矩形の枠体8で囲まれる空間内に組み込まれ、各羽根1の下端の底面形状が円形の軸体4は下枠9の上板部10に形成されている孔部11に回転可能に嵌り込み、底面形状が正方形の軸体5の下端に浮き上がり防止金具12をねじ13により取り付けている。浮き上がり防止金具12は下枠9の内部空間を上下に仕切るために下枠9内において水平に形成された突出片14の下面に両側が当接するようになる。各羽根1の上端の軸体5に取り付けられる歯車6は上枠15内において水平に形成された突出片16の下側の内部空間に収納され、上枠15の下板部17に形成されている孔部18に回転可能に羽根1の上部の平面形状が円形の軸体4が差し込まれた状態で羽根1の上部の平面形状が正方形の軸体5が歯車6の中央の角孔6aに嵌合する。なお、前記中央に位置する羽根1の下部の軸体5に対しハンドル7は前記浮き上がり防止金具12の下側から取り付けられ、このハンドル7は下枠9の正面の板部19に形成されている細幅の開口部20より前方に突出して下枠9の外側でハンドル7の操作が行なえるようになっている。
【0011】
かかる構成により、各羽根1が開かれた状態からハンドル7を時計方向に90度回転操作することにより、ハンドル7に直結されている中央に位置する羽根1とこの羽根1の上端の歯車6も同方向に90度回転するが、隣り合う歯車6は互いに逆方向に回転することから、各歯車5に直結されている羽根1も隣り合うもの同士が逆方向にそれぞれ90度回転して全ての羽根1が同時に閉じられることになる。閉じられた羽根1を開くときは前記ハンドル7を反時計方向に90度回転操作すれば良い。
【0012】
次に、図6〜図7に示す第2の実施の形態について説明すると、前記第1の実施の形態では各羽根1の上端に直結されている歯車6同士が互いに順番に噛み合うように構成されているが、第2の実施の形態では隣り合う歯車6,6間に隙間が形成されるように歯車6を前記第1の実施の形態の歯車6よりも小さくして隣り合う歯車6,6間に小さな別の歯車21を介在させており、これにより中央に位置する羽根1の下端のハンドル7操作により全ての羽根1が同方向にそれぞれ90度回転して全ての羽根1が同時に閉じられることになる。
【0013】
なお、以上述べた2つの実施の形態では、中央に位置する羽根1の下端にハンドル7を取り付けてハンドル7操作により全ての羽根1を回転操作するようになっているが、モーター駆動により羽根1を回転させるようにしても良い。
【0014】
以上述べた2つの実施の形態のルーバー装置では各羽根1は鉛直軸心の周りで回転するように上下方向に向いているが、各羽根1が水平軸心の周りで回転するように水平方向に配設することも可能である。そして、このルーバー装置は例えば室内に入る日差しなどの調整を行なうルーバー装置、あるいは各羽根1の表裏両面に絵や模様などを画し、宣伝広告媒体用のルーバー装置などに利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態のルーバー装置の主要部の分解斜視図である。
【図2】同ルーバー装置を枠体の下枠と上枠との間に組み込んだ状態を示す断面斜視図である。
【図3】同ルーバー装置を枠体に組み込んだ状態を示す正面図である。
【図4】図3のX−X断面図である。
【図5】同ルーバー装置の動作説明平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態のルーバー装置の主要部の平面図である。
【図7】同ルーバー装置の動作説明平面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 羽根
2 キャップ
3 補強部材
4,5 軸体
6 歯車
6a 角孔
7 ハンドル
8 枠体
9 下枠
10 上板部
11 孔部
15 上枠
16 突出片
17 下板部
18 孔部
19 板部
20 細幅の開口部
21 歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
等間隔おきに多数枚並設された状態の羽根が正面形状が矩形の枠体で囲まれる空間内に組み込まれ、各羽根の両端が枠体に回転可能に支持され各羽根の一端側は前記枠体の内部空間に収納された歯車と結合され、隣り合う歯車同士は互いに噛み合い、何れか1枚の羽根を回転させることにより全ての羽根が連動して隣り合うもの同士が逆方向に回転して開閉するように構成したことを特徴とするルーバー装置。
【請求項2】
等間隔おきに多数枚並設された状態の羽根が正面形状が矩形の枠体で囲まれる空間内に組み込まれ、各羽根の両端が枠体に回転可能に支持され各羽根の一端側は前記枠体の内部空間に収納された歯車と結合され、隣り合う歯車間に別の歯車を介在させ、何れか1枚の羽根を回転させることにより全ての羽根が連動して同方向に回転して開閉するように構成したことを特徴とするルーバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−25095(P2008−25095A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195012(P2006−195012)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000107985)セイコー産業株式会社 (14)