ルーバ及びこれを具備したルーバ装置
【課題】端部材の羽根部材に対する取り付け作業及び取り外し作業、特に複数の羽根部材が並設されている場合における取り付け作業及び取り外し作業を簡単に行い得、ボルト等の緩みによる端部材の羽根部材に対する取り付けの意図しない解除が生じる虞をなくし得、加えて、羽根部材を撓めたりしないで端部材を羽根部材に取り付けることができるルーバ及びこれを具備したルーバ装置を提供すること。
【解決手段】ルーバ装置1は、横方向Xで互いに対向している一対の縦枠2及び3間において互いに上下方向Vで並置された複数のルーバ7と、複数のルーバ7を相互に連結している折り畳み自在なリンク機構5と、複数のルーバ7を上下方向Vにおいて上昇及び下降させる昇降機構6と、リンク機構5の一対の前縁リンク部材34及び35と一対の後縁リンク部材44及び45とに相対的な位置変化を生じさせて、複数のルーバ7を傾動させるチルト機構8とを具備している。
【解決手段】ルーバ装置1は、横方向Xで互いに対向している一対の縦枠2及び3間において互いに上下方向Vで並置された複数のルーバ7と、複数のルーバ7を相互に連結している折り畳み自在なリンク機構5と、複数のルーバ7を上下方向Vにおいて上昇及び下降させる昇降機構6と、リンク機構5の一対の前縁リンク部材34及び35と一対の後縁リンク部材44及び45とに相対的な位置変化を生じさせて、複数のルーバ7を傾動させるチルト機構8とを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓等の開口部に配されて、当該開口部を開閉するためのルーバ及びこれを具備したルーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、断面円弧状の羽根部材と、この羽根部材の長手方向における両端部に装着される一対の端部材とを具備しているルーバが提案されている。斯かるルーバにおいて、端部材はボルト等を介して羽根部材に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−83624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、斯かるルーバでは、羽根部材の端部がボルト等を介して端部材に取り付けられるために、端部材と羽根部材とのボルト締め付け等の取り付け作業及び取り外し作業が煩雑であり、また、端部材と羽根部材とをボルト等による締め付けによって取り付けた場合には、斯かるボルト等の緩みにより端部材の羽根部材に対する取り付けが意図せずに解除される虞がある。加えて、羽根部材を撓めたりしないで端部材に取り付けられるようになっていれば、より剛性の高い羽根部材を用い得る。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、端部材の羽根部材に対する取り付け作業及び取り外し作業、特に複数の羽根部材が並設されている場合における取り付け作業及び取り外し作業を簡単に行い得、ボルト等の緩みによる端部材の羽根部材に対する取り付けの意図しない解除が生じる虞をなくし得、加えて、羽根部材を撓めたりしないで端部材を羽根部材に取り付けることができるルーバ及びこれを具備したルーバ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のルーバは、羽根部材と、羽根部材の長手方向における端部に連結される端部材と、この端部材を羽根部材に連結させる連結手段とを具備しており、連結手段は、端部材に設けられていると共に、羽根部材の端部に形成された被嵌着部に嵌着する嵌着部材と、羽根部材に形成されたレール部に当該羽根部材の長手方向に沿って移動自在に嵌合されるスライダ部、スライダ部のレール部に対する長手方向の移動を禁止すべく嵌着部材に形成された被係合部に解除自在に係合する係合部及び嵌着部材と被嵌着部との嵌着を保持すべく嵌着部材を支える支え面を有していると共に、スライダ部がレール部に嵌合されている状態において、係合部が被係合部に係合した状態となるように且つ支え面が嵌着部材を支えた状態となるように端部材と羽根部材との間に介在される介在部材とを具備しており、係合部は、スライダ部のレール部に対する移動によって被係合部との係合が解除されるようになっている。
【0007】
本発明のルーバによれば、特に、羽根部材と、羽根部材の長手方向における端部に連結される端部材と、この端部材を羽根部材に連結させる連結手段とを具備しており、連結手段は、端部材に設けられていると共に、羽根部材の端部に形成された被嵌着部に嵌着する嵌着部材と、羽根部材に形成されたレール部に当該羽根部材の長手方向に沿って移動自在に嵌合されるスライダ部、スライダ部のレール部に対する長手方向の移動を禁止すべく嵌着部材に形成された被係合部に解除自在に係合する係合部及び嵌着部材と被嵌着部との嵌着を保持すべく嵌着部材を支える支え面を有していると共に、スライダ部がレール部に嵌合されている状態において、係合部が被係合部に係合した状態となるように且つ支え面が嵌着部材を支えた状態となるように端部材と羽根部材との間に介在される介在部材とを具備しており、係合部は、スライダ部のレール部に対する移動によって被係合部との係合が解除されるようになっているために、嵌着部材を羽根部材に嵌着させた状態のまま、介在部材を羽根部材の長手方向に移動させるだけで介在部材を嵌着部材に係合させ、これにより、介在部材による嵌着部材と被嵌着部との嵌着を保持することができて、連結手段による羽根部材と端部材との連結を簡単に行い得る一方、介在部材を羽根部材の長手方向に移動(前記長手方向の移動とは逆方向の移動)させるだけで介在部材と嵌着部材との係合を解除することができ、これにより、介在部材による嵌着部材と被嵌着部との嵌着の保持をも解除することができて、連結手段による羽根部材と端部材との連結の解除を簡単に行い得、而して、端部材の羽根部材に対する取り付け作業及び取り外し作業、特に複数の羽根部材が並設されている場合における取り付け作業及び取り外し作業を簡単に行い得、ボルト等の緩みによる端部材の羽根部材に対する取り付けの意図しない解除が生じる虞をなくし得、加えて、羽根部材を撓めたりしないで端部材を羽根部材に取り付けることができる。
【0008】
本発明のルーバの好ましい例では、嵌着部材は、端部材の羽根部材の端部側の面に固着された板状本体と、この板状本体に形成された嵌着部とを具備しており、被係合部は、板状本体に形成されている。
【0009】
本発明のルーバ装置の好ましい例では、嵌着部は、上方向に突出した凸部からなり、被嵌着部は、凸部が嵌着される凹部又は孔部からなる。
【0010】
本発明のルーバ装置の好ましい例では、スライダ部は、介在部材の横方向に伸びた両縁に形成された一対のスライダを有しており、レール部は、一対のスライダが横方向に移動自在に夫々嵌合される一対のレールを有している。
【0011】
本発明のルーバ装置の好ましい例では、支え面は、嵌着部材の下面に接して嵌着部材を下方から支えるようになっている。
【0012】
本発明のルーバ装置の好ましい例では、係合部は、支え面から上方向に突出した爪部を有しており、被係合部は、爪部が係合される凹部又は孔部を有している。
【0013】
本発明のルーバ装置では、上述のルーバであって開口部に上下方向に並置された複数のルーバと、複数のルーバを相互に連結している折り畳み自在なリンク機構と、複数のルーバを上昇及び下降させる昇降機構とを具備しており、リンク機構は、互いに隣接するルーバの前縁側の部位に夫々の一端で回転自在に連結されていると共に他端で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の前縁リンク部材と、前後方向で一対の前縁リンク部材に並んで配されており、互いに隣接するルーバの後縁側の部位に夫々の一端で回転自在に連結されていると共に他端で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の後縁リンク部材と、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材が折り畳まれた際に、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材の夫々の他端が夫々の一端よりも後方に位置するように、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材の夫々の折り畳み方向を特定する特定手段とを具備している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、端部材の羽根部材に対する取り付け作業及び取り外し作業、特に複数の羽根部材が並設されている場合における取り付け作業及び取り外し作業を簡単に行い得、ボルト等の緩みによる端部材の羽根部材に対する取り付けの意図しない解除が生じる虞をなくし得、加えて、羽根部材を撓めたりしないで端部材を羽根部材に取り付けることができるルーバ及びこれを具備したルーバ装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の態様の好ましい例の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す例のルーバの一部展開斜視説明図である。
【図3】図3は、図1に示す例のルーバの一部展開斜視説明図である。
【図4】図4は、図1に示す例のルーバの一部斜視説明図である。
【図5】図5は、図1に示す例のルーバの主に羽根部材の端部の説明図である。
【図6】図6は、図1に示す例のルーバの主に介在部材の説明図である。
【図7】図7は、(a)及び(b)は、図1に示す例のルーバの主に介在部材の説明図である。
【図8】図8は、図1に示す例のルーバの主に介在部材の説明図である。
【図9】図9は、(a)及び(b)は、図1に示す例のルーバの主に端部材の説明図である。
【図10】図10は、図1に示す例のルーバの主に端部材の説明図である。
【図11】図11は、図1に示す例の側断面説明図である。
【図12】図12は、図1に示す例の一部拡大正面説明図である。
【図13】図13は、図1に示す例の一部拡大平断面説明図である。
【図14】図14は、図1に示す例の主にクラッチ機構の説明図である。
【図15】図15は、図1に示す例の主にクラッチ機構の説明図である。
【図16】図16は、図1に示す例の主にクラッチ機構の説明図である。
【図17】図17は、図1に示す例の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を、その実施の形態を示す図に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらに何等限定されないのである。
【0017】
図1から図17において、本例のルーバ装置1は、横方向Xで互いに対向している一対の縦枠2及び3間において互いに上下方向Vで並置された複数のルーバ7と、複数のルーバ7を相互に連結している折り畳み自在なリンク機構5と、複数のルーバ7を上下方向Vにおいて上昇及び下降させる昇降機構6と、リンク機構5の一対の前縁リンク部材34及び35と一対の後縁リンク部材44及び45とに相対的な位置変化を生じさせて、複数のルーバ7を傾動させるチルト機構8とを具備している。
【0018】
縦枠2と縦枠3とは、横方向Xに伸びた上枠10により橋絡されている。縦枠2及び3並びに上枠10は、複数のルーバ7によって開放及び閉鎖される開口部4を画している。縦枠2のルーバ7側の側壁40には、上下方向Vに伸びるスリット9が形成されている。縦枠2及び3並びに上枠10は、窓枠であってもよく、これに代えて、窓枠とは別体であって窓枠等に取付けられるルーバ装置1自体の枠であってよく、更には、間仕切り枠若しくは間仕切り窓枠であってよい。縦枠2側と縦枠3側とは、ほぼ同一に形成されている。
【0019】
複数のルーバ7のうちの最上位のルーバはルーバ7aと称し、複数のルーバ7のうちの最下位のルーバはルーバ7bと称し、複数のルーバ7のうちのルーバ7a及び7b間のルーバはルーバ7cと称する。複数のルーバ7の夫々は、例えば図2から図10に示すように、横方向Xに伸びた羽根部材11と、羽根部材11の長手方向、本例では横方向Xにおける両端部12及び13に夫々連結される一対の端部材14及び15と、端部材14及び15を羽根部材11に連結させる連結手段16とを具備している。端部材14及び15は、夫々互いに同様に形成されているので、以下、端部材14について詳細に説明し、端部材15については、図に同符号を適宜付してその詳細な説明を省略する。上下方向Vに直交する横方向X並びに上下方向V及び横方向Xに直交する前後方向Yの夫々は、本例では水平面内において伸びる方向である。本例の連結手段16は、端部材14の羽根部材11に対する連結と同様に端部材15の羽根部材11に対する連結をするようになっている。
【0020】
端部材14は、例えば図2から図4、図9の(a)及び(b)並びに図10に示すように、横方向Xからみて円弧状に形成された枠部材本体21と、枠部材本体21に形成されていると共にルーバ7の前縁22側から後縁24側に向かって伸びたスリット18と、枠部材本体21に形成されていると共にルーバ7の後縁24側から前縁22側に向かって伸びたスリット19と、枠部材本体21に一体的に固着された軸部28と、軸部28に回転自在に装着されていると共にスリット9に上下方向Vに滑り移動自在に配される円筒駒29とを具備しており、軸部28は、円筒駒29を介してスリット9に上下方向Vに移動自在に配されている。
【0021】
羽根部材11は、例えば図2から図5に示すように、横方向Xに伸びていると共に横方向Xからみて円弧状である板状本体31と、前後方向Yに関して前縁22と後縁24との間における板状本体31の部位、本例では前後方向Yにおける板状本体31の中央の部位36に配されていると共に当該部位36において後述の嵌着部材55に嵌着される被嵌着部37と、後述のスライダ部56が横方向Xに移動自在に嵌合されるレール部38とを具備している。板状本体31は、本例においてはアルミ製である。
【0022】
被嵌着部37は、例えば図2及び図3に示すように、端部12において前縁22及び後縁24間の中央の部位に形成された平面視長円形状の凹部又は孔部、本例では孔部80からなり、この孔部80には凸部63が嵌合されるようになっている。
【0023】
レール部38は、一対のスライダ151及び152が横方向Xに移動自在に夫々嵌合される一対のレール52及び53を有している。横方向Xに伸びたレール52は前縁22側に、横方向Xに伸びたレール53は後縁24側に夫々配されて、板状本体31の裏面51に夫々形成されている。レール52及び53は、本例ではレール溝からなり、端部12から端部13まで夫々伸びている。
【0024】
端部材15が連結される板状本体31の端部13は、端部12と同様に形成されている。
【0025】
連結手段16は、端部材14に設けられていると共に、羽根部材11の端部12に形成された被嵌着部37に夫々嵌着する嵌着部材55と、羽根部材11に形成されたレール部38に当該羽根部材11の長手方向に沿って移動自在に嵌合されるスライダ部56、スライダ部56のレール部38に対する長手方向の移動を禁止すべく嵌着部材55に形成された被係合部54に解除自在に係合する係合部58及び嵌着部材55と被嵌着部37との嵌着を保持すべく嵌着部材55を支える支え面59を有していると共に、スライダ部56がレール部38に嵌合されている状態において、係合部58が被係合部54に係合した状態となるように且つ支え面59が嵌着部材55を支えた状態となるように端部材14と羽根部材11との間に介在される介在部材60とを具備しており、係合部58は、スライダ部56のレール部38に対する横方向Xの移動によって被係合部54との係合が解除されるようになっている。
【0026】
嵌着部材55は、枠部材本体21の羽根部材11の端部12側の面62に一体的に固着された板状本体65と、板状本体65に上方向に突出して形成された嵌着部としての凸部63と、板状本体65に形成された被係合部54としての凹部又は孔部、本例では孔部64とを具備している。
【0027】
凸部63は、前後方向Yに関して前縁22と後縁24との間における板状本体65の部位、本例では前後方向Yにおける板状本体65の中央の部位66に配されている。凸部63は、平面視して長円形状の頂面67と、長円形状の周面68とを有している。頂面67は羽根部材11の表面50に対して面一となるように形成されている。斯かる凸部63は、孔部80との嵌着により端部材14の羽根部材11に対する揺動、特に横方向X及び前後方向Yに関する揺動を禁止するようになっている。
【0028】
孔部64は、前後方向Yに関して前縁22と後縁24との間における板状本体65の部位、本例では前後方向Yにおける板状本体65の中央の部位66に配されており、凸部63よりも下方側に且つ羽根部材11側に配されている。
【0029】
介在部材60は、板状本体70を有しており、この板状本体70に支え面59、スライダ部56、係合部58が形成されている。
【0030】
スライダ部56は、板状本体70の横方向Xに伸びた両縁71及び72に形成された一対のスライダ151及び152を有している。前縁22側のスライダ151は、レール52に横方向Xに移動自在に嵌合され、後縁24側のスライダ152は、レール53に横方向Xに移動自在に嵌合されるようになっている。
【0031】
支え面59は、板状本体70の上面からなる。支え面59は嵌着部材55の下面61に接して嵌着部材55を下方から支えるようになっている。支え面59は、端部材14の羽根部材11に対する上下方向Vの移動を禁止するようになっている。
【0032】
係合部58は、前後方向Yに関して板状本体70の中央の部位156に形成されている。係合部58は、支え面59から上方向に突出した爪部155を有している。爪部155の周囲は中央の部位156に復元可能な撓みが生じるようにコ字状に切り抜かれている。斯かる係合部58は、介在部材60を嵌着部材55に対して横方向Xに移動させ、爪部155を嵌着部材55の下面61に押し当てながら板状の本体70の中央の部位156に一旦撓ませて、孔部64に爪部155を係合させる一方、中央の部位156に撓みを生じさせて爪部155を孔部64から抜き出し、介在部材60を嵌着部材55に対して横方向Xに逆移動させて、爪部155の孔部64に対する係合を解除するようになっている。係合部58は、被係合部54への係合により端部材14の羽根部材11に対する横方向Xの移動を禁止するようになっている。尚、係合部58が被係合部54に係合した際、面62は羽根部材11の端部12における面160に当接し、この当接により端部材14の羽根部材11に対する揺動を防止する。
【0033】
リンク機構5は、上下方向Vで互いに隣接するルーバ7の前縁22側の部位に夫々の一端32で回転自在に連結されていると共に他端33で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の前縁リンク部材34及び35と、前後方向Yで一対の前縁リンク部材34及び35に並んで配されており、上下方向Vで互いに隣接するルーバ7の後縁24側の部位に夫々の一端42で回転自在に連結されていると共に他端43で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の後縁リンク部材44及び45と、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45が折り畳まれた際に、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の夫々の他端33及び43が夫々の一端32及び42よりも後方に位置するように、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の夫々の折り畳み方向を特定する特定手段46とを具備している。
【0034】
一対の前縁リンク部材34及び35のうちの上位の前縁リンク部材34の一端32は、スリット18において上位のルーバ7の前縁22側の部位にピン49を介して回転自在に連結されており、一対の前縁リンク部材34及び35のうちの下位の前縁リンク部材35の一端32は、スリット18において下位のルーバ7の前縁22側の部位にピン49を介して回転自在に連結されている。一対の前縁リンク部材34及び35は、本例では上下方向Vで互いに隣接するルーバ7の枚数に応じて夫々の一端32で互いに回転自在に連結されて複数個連なっており、斯かる複数個の一対の前縁リンク部材34及び35は、前縁リンク列を構成している。前縁リンク部材34及び35の夫々はリンクアーム等からなる。
【0035】
一対の前縁リンク部材34及び35は、阻止片74により所定量以上の相互の回転が阻止されることにより、一対の前縁リンク部材34及び35が伸長された場合においても180度未満の折れ角度θが維持される。阻止片74は、一対の前縁リンク部材34及び35の折り畳み方向を特定するようになっている。
【0036】
一対の後縁リンク部材44及び45のうちの上位の後縁リンク部材44の一端42は、上位のルーバ7の後縁24側の部位にピン49を介して回転自在に連結されており、一対の後縁リンク部材44及び45のうちの下位の後縁リンク部材45の一端42は、下位のルーバ7の後縁24側の部位にピン49を介して回転自在に連結されている。一対の後縁リンク部材44及び45は、本例では上下方向Vで互いに隣接するルーバ7の枚数に応じて夫々の一端42で互いに回転自在に連結されて複数個連なっており、斯かる複数個の一対の後縁リンク部材44及び45は、後縁リンク列を構成している。後縁リンク部材44及び45の夫々はリンクアーム等からなる。
【0037】
一対の後縁リンク部材44及び45は、阻止片88により所定量以上の相互の回転が阻止されることにより、一対の後縁リンク部材44及び45が伸長された場合においても一対の前縁リンク部材34及び35の折れ角度と同等の180度未満の折れ角度θが維持される。阻止片88は、一対の後縁リンク部材44及び45の折り畳み方向を特定するようになっている。
【0038】
特定手段46は、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の夫々の折り畳み方向を特定すべく、前縁リンク部材35の他端33及び後縁リンク部材45の他端43に一体的に設けられていると共に、前縁リンク部材34の他端33及び後縁リンク部材44の他端43に接して一対の前縁リンク部材34及び35の相互の所定量以上の回転及び一対の後縁リンク部材44及び45の相互の所定量以上の回転を阻止する阻止片74及び88を具備している。
【0039】
昇降機構6は、可撓性の長尺体としての有端のチェーン124と、前縁22側で垂れ下がっているチェーン124の一端を複数のルーバ7のうちの最下位のルーバ7bの軸部28に連結している連結部材75と、チェーン124をA及びB方向に走行させる走行手段122とを具備している。
【0040】
走行手段122は、チェーン124が掛けられていると共に、縦枠2にR1及びR2方向に回転自在に支持された回転体としてのスプロケットホイール131と、スプロケットホイール131が固着されていると共に横方向Xに伸びてR1及びR2方向に回転自在な断面六角形状の回転軸119と、回転軸119を出力回転軸とすると共に、縦枠2に支持された減速機117と、減速機117の入力回転軸を出力回転軸とすると共に、減速機117に取り付けられた電動モータ130とを具備しており、電動モータ130の作動により減速機117及び回転軸119を介してスプロケットホイール131をR1及びR2方向に回転させ、この回転によりチェーン124をA及びB方向に走行させるようになっている。
【0041】
チェーン124は、当該チェーン124の走行が上下方向Vに案内されるように、縦枠2内において縦枠2に一体的に上下方向Vに伸びて形成された各一対の案内突条145及び146間に夫々挟まれて不要な撓みが阻止されている。チェーン124は、案内突条145及び146の上方においてスプロケットホイール131の周りに配されていると共に縦枠2に支持されたチェーン押え148に押さえられて不要な撓みが阻止されている。
【0042】
回転軸119は、縦枠2内から縦枠3内まで横方向Xに伸びており、スプロケットホイール131と同様に構成された縦枠3内のスプロケットホイールにも固着されている。
【0043】
以上の昇降機構6は、走行手段122によるチェーン124の走行により連結部材75を介して最下位のルーバ7bを上昇及び下降させ、而して、複数のルーバ7を最下位のルーバ7bから先行して上昇及び下降させるようになっている。
【0044】
縦枠3側の昇降機構は、そのスプロケットホイールが回転軸119の縦枠3内における端部に固着されることにより、縦枠2側の走行手段122を縦枠2側の昇降機構6と共有している。
【0045】
チルト機構8は、R1及びR2方向の揺動により複数のルーバ7をR5及びR6方向に傾動させることができるように、最上位のルーバ7aの前縁22側の部位又は最上位の前縁リンク部材34の一端32に前縁部71aで連結されていると共にルーバ7aの後縁24側の部位又は最上位の後縁リンク部材44の一端42に後縁部72aで連結されているR1及びR2方向に揺動自在な揺動自在部材76と、昇降機構6による一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の伸長に際して揺動自在部材76を揺動させるべく昇降機構6の作動を揺動自在部材76に伝達するクラッチ機構77とを具備している。
【0046】
揺動自在部材76は、回転軸119に軸受81を介して当該回転軸119に対してR1及びR2方向に回転自在に設けられた円板部82と、円板部82に一体的に設けられていると共に当該円板部82から前方に突出している突出部83と、円板部82に一体的に設けられていると共に当該円板部82から後方に突出している突出部84と、突出部83の前縁部71aは、ワイヤ等からなる紐状体86を介してルーバ7aの端部材14の前縁22側の部位に連結されており、突出部84の後縁部72aは、紐状体86を介してルーバ7aの端部材14の後縁24側の部位に連結されている。
【0047】
クラッチ機構77は、チェーン124に取り付けられた突起96と、チェーン124の走行において突起96が嵌合される凹所97が形成されていると共に揺動自在部材76に固着された円板部材95と、図16に示す回転禁止状態に設定された際には、円板部材95に係合して揺動自在部材76の揺動を禁止する一方、突起96の凹所97への嵌合に際し、突起96により図15に示す回転許容状態に設定されて、揺動自在部材76の揺動を許容するように円板部材95に対する係合を解除する掛け金部材98と、掛け金部材98を回転禁止状態に設定するように弾性的に付勢する弾性手段99とを具備している。
【0048】
掛け金部材98は、一端100で軸101を介してチェーン押え148にR3及びR4方向に回転自在に取り付けられており、こうして掛け金部材98は、チェーン押え148を介して縦枠2に回転自在に取り付けられている。掛け金部材98は、他端に爪部102を有しており、掛け金部材98が回転禁止状態に設定される際には、爪部102は、円板部材95の凹所97に配されて、凹所97と爪部102との間に、案内楔空間103が形成されるようになっている。弾性手段99は、ねじりコイルばねからなり、その一端はチェーン押え148に係止され、その他端は掛け金部材98に係止され、中央部が軸101に巻き付けられて配されており、掛け金部材98を、軸101を中心としてR4方向に回転させるように、弾性付勢している。クラッチ機構77は、円板部材95に形成された突起104を具備しており、掛け金部材98は、一端100と爪部102との間に凹所105を有しており、掛け金部材98が回転禁止状態に設定される際には、突起104は、凹所105に配されて、突起104と凹所105とが係合されるようになっており、突起104と凹所105との係合により、円板部材95は、回転軸119を中心とするR1及びR2方向の回転が禁止され、而して、円板部材95が固着された揺動自在部材76は、回転軸119を中心とするそのR1及びR2方向の揺動が禁止されるようになっている。
【0049】
以下、本例のルーバ装置1の動作について、図を参照して詳細に説明する。図11に示すようにリンク機構5が伸長された状態においては、複数のルーバ7は、建物の開口部を閉鎖するように、前後方向Yに対して60度程度の傾斜角をもって傾動された状態となっており、揺動自在部材76も一定量揺動された状態となっており、チェーン124に設けられた突起96は、図14に示すように凹所97に配されて突起104と凹所105との係合が解除された状態となっており、掛け金部材98は、円板部材95の外縁部107に当接して円板部材95の回転許容状態を保っている。斯かる状態において電動モータ130が作動されると、減速機117及び回転軸119を介してスプロケットホイール131がR1方向に回転し、この回転によりチェーン124がA方向に走行する。チェーン124のA方向の走行と共に突起96も回転軸119を中心としてR1方向に移動し、当該突起96の移動により円板部材95もR1方向に回転して揺動自在部材76をR1方向に揺動させ、当該揺動自在部材76の揺動により、上方に引っ張られる前縁部71a側の紐状体86を介して最上位の一対の前縁リンク部材34及び35と当該一対の前縁リンク部材34及び35の下方に連なる下位の一対の前縁リンク部材34及び35とを上昇させると共に、下方に下げられる後縁部72a側の紐状体86を介して最上位の一対の後縁リンク部材44及び45と当該一対の後縁リンク部材44及び45の下方に連なる下位の一対の後縁リンク部材44及び45とを下降させて、複数のルーバ7を同期的にR5方向に傾動させて図1に示すような略水平状態にする。
【0050】
更にチェーン124がA方向に走行されると、突起96が凹所97から抜け始め、突起96が凹所97から抜けることにより、掛け金部材98が軸101を中心としてR4方向に回転され、突起104と凹所105とが係合される。図16に示すように、突起104と凹所105とが係合することにより、揺動自在部材76の回転は阻止される。チェーン124のA方向の走行が続行されることにより、連結部材75によりチェーン124に下部で連結されたリンク機構5が折り畳まれ始め、この折り畳みにより、リンク機構5に連結されている複数のルーバ7が下方から順次重ね合わされる。複数のルーバ7が全て重ね合わされると、電動モータ130の作動が停止され、図17に示すような開口部4の開放状態が維持される。
【0051】
図17に示すような開放状態において電動モータ130が逆作動されると、チェーン124がB方向に走行し、この走行により最上位の一対の前縁リンク部材34及び35並びに最上位の一対の後縁リンク部材44及び45から順次伸長し始め、これにより複数のルーバ7の重ね合わせが最上位のルーバ7a及び上位のルーバ7cから順次解除される。リンク機構5が全て伸長されて複数のルーバ7もまたその重ね合わせが全て解除されると、図15に示すように、突起96が案内楔空間103を通って凹所97に嵌入され、この嵌入により突起96が掛け金部材98を弾性手段99の弾性力に抗してR3方向に回転させて突起104の凹所105への係合を解除し、この解除により突起96の移動と共に揺動自在部材76がR1方向とは逆のR2方向に揺動され、この揺動により、上方に引っ張られる後縁部72a側の紐状体86を介して一対の後縁リンク部材44及び45を上昇させると共に、下方に下げられる前縁部71a側の紐状体86を介して一対の前縁リンク部材34及び35を下降させて、複数のルーバ7を同期的にR6方向に回転させて図11に示すような開口部4の閉鎖状態にする。その後、電動モータ130の作動が停止され、開口部4の閉鎖状態が維持される。
【0052】
本例のルーバ装置1によれば、ルーバ7は、羽根部材11と、羽根部材11の横方向Xにおける端部12及び13に夫々連結される端部材14及び15と、端部材14及び15を羽根部材11に連結させる連結手段16とを具備しており、連結手段16は、端部材14及び15に設けられていると共に、羽根部材11の端部12及び13に形成された被嵌着部37に嵌着する嵌着部材55と、羽根部材11に形成されたレール部38に当該羽根部材11の横方向Xに沿って移動自在に嵌合されるスライダ部56、スライダ部56のレール部38に対する横方向Xの移動を禁止すべく嵌着部材55に形成された被係合部54に解除自在に係合する係合部58及び嵌着部材55と被嵌着部37との嵌着を保持すべく嵌着部材55を支える支え面59を有していると共に、スライダ部56がレール部38に嵌合されている状態において、係合部58が被係合部54に係合した状態となるように且つ支え面59が嵌着部材55を支えた状態となるように端部材14及び15と羽根部材11との間に介在される介在部材60とを具備しており、係合部58は、スライダ部56のレール部38に対する移動によって被係合部54との係合が解除されるようになっているために、嵌着部材55を羽根部材11に嵌着させた状態のまま、介在部材60を羽根部材11の横方向Xに移動させるだけで介在部材60を嵌着部材55に係合させ、これにより、介在部材60による嵌着部材55と被嵌着部37との嵌着を保持することができて、連結手段16による羽根部材11と端部材14及び15との連結を簡単に行い得る一方、介在部材60を羽根部材11の横方向Xに移動(前記横方向Xの移動とは逆方向の移動)させるだけで介在部材60と嵌着部材55との係合を解除することができ、これにより、介在部材60による嵌着部材55と被嵌着部37との嵌着の保持をも解除することができて、連結手段16による羽根部材11と端部材14及び15との連結の解除を簡単に行い得、而して、端部材14及び15の羽根部材11に対する取り付け作業及び取り外し作業、特に複数の羽根部材11が並設されている場合における取り付け作業及び取り外し作業を簡単に行い得、ボルト等の緩みによる端部材14及び15の羽根部材11に対する取り付けの意図しない解除が生じる虞をなくし得、加えて、羽根部材11を撓めたりしないで端部材14及び15を羽根部材11に取り付けることができる。
【0053】
ルーバ装置1によれば、開口部4に上下方向Vに並置された複数のルーバ7と、複数のルーバ7を相互に連結している折り畳み自在なリンク機構5と、複数のルーバ7を上昇及び下降させる昇降機構6とを具備しており、リンク機構5は、互いに隣接するルーバ7の前縁22側の部位に夫々の一端32で回転自在に連結されていると共に他端33で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の前縁リンク部材34及び35と、前後方向Yで一対の前縁リンク部材34及び35に並んで配されており、互いに隣接するルーバ7の後縁24側の部位に夫々の一端42で回転自在に連結されていると共に他端43で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の後縁リンク部材44及び45と、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45が折り畳まれた際に、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の夫々の他端33及び43が夫々の一端32及び42よりも後方に位置するように、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の夫々の折り畳み方向を特定する特定手段46とを具備しているために、一対の前縁リンク部材34及び35と一対の後縁リンク部材44及び45とを、これらが折り畳み時に互いに干渉しないように、前後方向Yにおいて並べて配することができ、而して、リンク機構5のルーバ7の長手方向における設置幅を狭めることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ルーバ装置
2、3 縦枠
4 開口部
5 リンク機構
6 昇降機構
7、7a、7b、7c ルーバ
8 チルト機構
10 上枠
11 羽根部材
12、13 端部
14、15 端部材
16 連結手段
37 被嵌着部
38 レール部
54 被係合部
55 嵌着部材
56 スライダ部
58 係合部
59 支え面
60 介在部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓等の開口部に配されて、当該開口部を開閉するためのルーバ及びこれを具備したルーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、断面円弧状の羽根部材と、この羽根部材の長手方向における両端部に装着される一対の端部材とを具備しているルーバが提案されている。斯かるルーバにおいて、端部材はボルト等を介して羽根部材に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−83624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、斯かるルーバでは、羽根部材の端部がボルト等を介して端部材に取り付けられるために、端部材と羽根部材とのボルト締め付け等の取り付け作業及び取り外し作業が煩雑であり、また、端部材と羽根部材とをボルト等による締め付けによって取り付けた場合には、斯かるボルト等の緩みにより端部材の羽根部材に対する取り付けが意図せずに解除される虞がある。加えて、羽根部材を撓めたりしないで端部材に取り付けられるようになっていれば、より剛性の高い羽根部材を用い得る。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、端部材の羽根部材に対する取り付け作業及び取り外し作業、特に複数の羽根部材が並設されている場合における取り付け作業及び取り外し作業を簡単に行い得、ボルト等の緩みによる端部材の羽根部材に対する取り付けの意図しない解除が生じる虞をなくし得、加えて、羽根部材を撓めたりしないで端部材を羽根部材に取り付けることができるルーバ及びこれを具備したルーバ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のルーバは、羽根部材と、羽根部材の長手方向における端部に連結される端部材と、この端部材を羽根部材に連結させる連結手段とを具備しており、連結手段は、端部材に設けられていると共に、羽根部材の端部に形成された被嵌着部に嵌着する嵌着部材と、羽根部材に形成されたレール部に当該羽根部材の長手方向に沿って移動自在に嵌合されるスライダ部、スライダ部のレール部に対する長手方向の移動を禁止すべく嵌着部材に形成された被係合部に解除自在に係合する係合部及び嵌着部材と被嵌着部との嵌着を保持すべく嵌着部材を支える支え面を有していると共に、スライダ部がレール部に嵌合されている状態において、係合部が被係合部に係合した状態となるように且つ支え面が嵌着部材を支えた状態となるように端部材と羽根部材との間に介在される介在部材とを具備しており、係合部は、スライダ部のレール部に対する移動によって被係合部との係合が解除されるようになっている。
【0007】
本発明のルーバによれば、特に、羽根部材と、羽根部材の長手方向における端部に連結される端部材と、この端部材を羽根部材に連結させる連結手段とを具備しており、連結手段は、端部材に設けられていると共に、羽根部材の端部に形成された被嵌着部に嵌着する嵌着部材と、羽根部材に形成されたレール部に当該羽根部材の長手方向に沿って移動自在に嵌合されるスライダ部、スライダ部のレール部に対する長手方向の移動を禁止すべく嵌着部材に形成された被係合部に解除自在に係合する係合部及び嵌着部材と被嵌着部との嵌着を保持すべく嵌着部材を支える支え面を有していると共に、スライダ部がレール部に嵌合されている状態において、係合部が被係合部に係合した状態となるように且つ支え面が嵌着部材を支えた状態となるように端部材と羽根部材との間に介在される介在部材とを具備しており、係合部は、スライダ部のレール部に対する移動によって被係合部との係合が解除されるようになっているために、嵌着部材を羽根部材に嵌着させた状態のまま、介在部材を羽根部材の長手方向に移動させるだけで介在部材を嵌着部材に係合させ、これにより、介在部材による嵌着部材と被嵌着部との嵌着を保持することができて、連結手段による羽根部材と端部材との連結を簡単に行い得る一方、介在部材を羽根部材の長手方向に移動(前記長手方向の移動とは逆方向の移動)させるだけで介在部材と嵌着部材との係合を解除することができ、これにより、介在部材による嵌着部材と被嵌着部との嵌着の保持をも解除することができて、連結手段による羽根部材と端部材との連結の解除を簡単に行い得、而して、端部材の羽根部材に対する取り付け作業及び取り外し作業、特に複数の羽根部材が並設されている場合における取り付け作業及び取り外し作業を簡単に行い得、ボルト等の緩みによる端部材の羽根部材に対する取り付けの意図しない解除が生じる虞をなくし得、加えて、羽根部材を撓めたりしないで端部材を羽根部材に取り付けることができる。
【0008】
本発明のルーバの好ましい例では、嵌着部材は、端部材の羽根部材の端部側の面に固着された板状本体と、この板状本体に形成された嵌着部とを具備しており、被係合部は、板状本体に形成されている。
【0009】
本発明のルーバ装置の好ましい例では、嵌着部は、上方向に突出した凸部からなり、被嵌着部は、凸部が嵌着される凹部又は孔部からなる。
【0010】
本発明のルーバ装置の好ましい例では、スライダ部は、介在部材の横方向に伸びた両縁に形成された一対のスライダを有しており、レール部は、一対のスライダが横方向に移動自在に夫々嵌合される一対のレールを有している。
【0011】
本発明のルーバ装置の好ましい例では、支え面は、嵌着部材の下面に接して嵌着部材を下方から支えるようになっている。
【0012】
本発明のルーバ装置の好ましい例では、係合部は、支え面から上方向に突出した爪部を有しており、被係合部は、爪部が係合される凹部又は孔部を有している。
【0013】
本発明のルーバ装置では、上述のルーバであって開口部に上下方向に並置された複数のルーバと、複数のルーバを相互に連結している折り畳み自在なリンク機構と、複数のルーバを上昇及び下降させる昇降機構とを具備しており、リンク機構は、互いに隣接するルーバの前縁側の部位に夫々の一端で回転自在に連結されていると共に他端で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の前縁リンク部材と、前後方向で一対の前縁リンク部材に並んで配されており、互いに隣接するルーバの後縁側の部位に夫々の一端で回転自在に連結されていると共に他端で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の後縁リンク部材と、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材が折り畳まれた際に、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材の夫々の他端が夫々の一端よりも後方に位置するように、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材の夫々の折り畳み方向を特定する特定手段とを具備している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、端部材の羽根部材に対する取り付け作業及び取り外し作業、特に複数の羽根部材が並設されている場合における取り付け作業及び取り外し作業を簡単に行い得、ボルト等の緩みによる端部材の羽根部材に対する取り付けの意図しない解除が生じる虞をなくし得、加えて、羽根部材を撓めたりしないで端部材を羽根部材に取り付けることができるルーバ及びこれを具備したルーバ装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の態様の好ましい例の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す例のルーバの一部展開斜視説明図である。
【図3】図3は、図1に示す例のルーバの一部展開斜視説明図である。
【図4】図4は、図1に示す例のルーバの一部斜視説明図である。
【図5】図5は、図1に示す例のルーバの主に羽根部材の端部の説明図である。
【図6】図6は、図1に示す例のルーバの主に介在部材の説明図である。
【図7】図7は、(a)及び(b)は、図1に示す例のルーバの主に介在部材の説明図である。
【図8】図8は、図1に示す例のルーバの主に介在部材の説明図である。
【図9】図9は、(a)及び(b)は、図1に示す例のルーバの主に端部材の説明図である。
【図10】図10は、図1に示す例のルーバの主に端部材の説明図である。
【図11】図11は、図1に示す例の側断面説明図である。
【図12】図12は、図1に示す例の一部拡大正面説明図である。
【図13】図13は、図1に示す例の一部拡大平断面説明図である。
【図14】図14は、図1に示す例の主にクラッチ機構の説明図である。
【図15】図15は、図1に示す例の主にクラッチ機構の説明図である。
【図16】図16は、図1に示す例の主にクラッチ機構の説明図である。
【図17】図17は、図1に示す例の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を、その実施の形態を示す図に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらに何等限定されないのである。
【0017】
図1から図17において、本例のルーバ装置1は、横方向Xで互いに対向している一対の縦枠2及び3間において互いに上下方向Vで並置された複数のルーバ7と、複数のルーバ7を相互に連結している折り畳み自在なリンク機構5と、複数のルーバ7を上下方向Vにおいて上昇及び下降させる昇降機構6と、リンク機構5の一対の前縁リンク部材34及び35と一対の後縁リンク部材44及び45とに相対的な位置変化を生じさせて、複数のルーバ7を傾動させるチルト機構8とを具備している。
【0018】
縦枠2と縦枠3とは、横方向Xに伸びた上枠10により橋絡されている。縦枠2及び3並びに上枠10は、複数のルーバ7によって開放及び閉鎖される開口部4を画している。縦枠2のルーバ7側の側壁40には、上下方向Vに伸びるスリット9が形成されている。縦枠2及び3並びに上枠10は、窓枠であってもよく、これに代えて、窓枠とは別体であって窓枠等に取付けられるルーバ装置1自体の枠であってよく、更には、間仕切り枠若しくは間仕切り窓枠であってよい。縦枠2側と縦枠3側とは、ほぼ同一に形成されている。
【0019】
複数のルーバ7のうちの最上位のルーバはルーバ7aと称し、複数のルーバ7のうちの最下位のルーバはルーバ7bと称し、複数のルーバ7のうちのルーバ7a及び7b間のルーバはルーバ7cと称する。複数のルーバ7の夫々は、例えば図2から図10に示すように、横方向Xに伸びた羽根部材11と、羽根部材11の長手方向、本例では横方向Xにおける両端部12及び13に夫々連結される一対の端部材14及び15と、端部材14及び15を羽根部材11に連結させる連結手段16とを具備している。端部材14及び15は、夫々互いに同様に形成されているので、以下、端部材14について詳細に説明し、端部材15については、図に同符号を適宜付してその詳細な説明を省略する。上下方向Vに直交する横方向X並びに上下方向V及び横方向Xに直交する前後方向Yの夫々は、本例では水平面内において伸びる方向である。本例の連結手段16は、端部材14の羽根部材11に対する連結と同様に端部材15の羽根部材11に対する連結をするようになっている。
【0020】
端部材14は、例えば図2から図4、図9の(a)及び(b)並びに図10に示すように、横方向Xからみて円弧状に形成された枠部材本体21と、枠部材本体21に形成されていると共にルーバ7の前縁22側から後縁24側に向かって伸びたスリット18と、枠部材本体21に形成されていると共にルーバ7の後縁24側から前縁22側に向かって伸びたスリット19と、枠部材本体21に一体的に固着された軸部28と、軸部28に回転自在に装着されていると共にスリット9に上下方向Vに滑り移動自在に配される円筒駒29とを具備しており、軸部28は、円筒駒29を介してスリット9に上下方向Vに移動自在に配されている。
【0021】
羽根部材11は、例えば図2から図5に示すように、横方向Xに伸びていると共に横方向Xからみて円弧状である板状本体31と、前後方向Yに関して前縁22と後縁24との間における板状本体31の部位、本例では前後方向Yにおける板状本体31の中央の部位36に配されていると共に当該部位36において後述の嵌着部材55に嵌着される被嵌着部37と、後述のスライダ部56が横方向Xに移動自在に嵌合されるレール部38とを具備している。板状本体31は、本例においてはアルミ製である。
【0022】
被嵌着部37は、例えば図2及び図3に示すように、端部12において前縁22及び後縁24間の中央の部位に形成された平面視長円形状の凹部又は孔部、本例では孔部80からなり、この孔部80には凸部63が嵌合されるようになっている。
【0023】
レール部38は、一対のスライダ151及び152が横方向Xに移動自在に夫々嵌合される一対のレール52及び53を有している。横方向Xに伸びたレール52は前縁22側に、横方向Xに伸びたレール53は後縁24側に夫々配されて、板状本体31の裏面51に夫々形成されている。レール52及び53は、本例ではレール溝からなり、端部12から端部13まで夫々伸びている。
【0024】
端部材15が連結される板状本体31の端部13は、端部12と同様に形成されている。
【0025】
連結手段16は、端部材14に設けられていると共に、羽根部材11の端部12に形成された被嵌着部37に夫々嵌着する嵌着部材55と、羽根部材11に形成されたレール部38に当該羽根部材11の長手方向に沿って移動自在に嵌合されるスライダ部56、スライダ部56のレール部38に対する長手方向の移動を禁止すべく嵌着部材55に形成された被係合部54に解除自在に係合する係合部58及び嵌着部材55と被嵌着部37との嵌着を保持すべく嵌着部材55を支える支え面59を有していると共に、スライダ部56がレール部38に嵌合されている状態において、係合部58が被係合部54に係合した状態となるように且つ支え面59が嵌着部材55を支えた状態となるように端部材14と羽根部材11との間に介在される介在部材60とを具備しており、係合部58は、スライダ部56のレール部38に対する横方向Xの移動によって被係合部54との係合が解除されるようになっている。
【0026】
嵌着部材55は、枠部材本体21の羽根部材11の端部12側の面62に一体的に固着された板状本体65と、板状本体65に上方向に突出して形成された嵌着部としての凸部63と、板状本体65に形成された被係合部54としての凹部又は孔部、本例では孔部64とを具備している。
【0027】
凸部63は、前後方向Yに関して前縁22と後縁24との間における板状本体65の部位、本例では前後方向Yにおける板状本体65の中央の部位66に配されている。凸部63は、平面視して長円形状の頂面67と、長円形状の周面68とを有している。頂面67は羽根部材11の表面50に対して面一となるように形成されている。斯かる凸部63は、孔部80との嵌着により端部材14の羽根部材11に対する揺動、特に横方向X及び前後方向Yに関する揺動を禁止するようになっている。
【0028】
孔部64は、前後方向Yに関して前縁22と後縁24との間における板状本体65の部位、本例では前後方向Yにおける板状本体65の中央の部位66に配されており、凸部63よりも下方側に且つ羽根部材11側に配されている。
【0029】
介在部材60は、板状本体70を有しており、この板状本体70に支え面59、スライダ部56、係合部58が形成されている。
【0030】
スライダ部56は、板状本体70の横方向Xに伸びた両縁71及び72に形成された一対のスライダ151及び152を有している。前縁22側のスライダ151は、レール52に横方向Xに移動自在に嵌合され、後縁24側のスライダ152は、レール53に横方向Xに移動自在に嵌合されるようになっている。
【0031】
支え面59は、板状本体70の上面からなる。支え面59は嵌着部材55の下面61に接して嵌着部材55を下方から支えるようになっている。支え面59は、端部材14の羽根部材11に対する上下方向Vの移動を禁止するようになっている。
【0032】
係合部58は、前後方向Yに関して板状本体70の中央の部位156に形成されている。係合部58は、支え面59から上方向に突出した爪部155を有している。爪部155の周囲は中央の部位156に復元可能な撓みが生じるようにコ字状に切り抜かれている。斯かる係合部58は、介在部材60を嵌着部材55に対して横方向Xに移動させ、爪部155を嵌着部材55の下面61に押し当てながら板状の本体70の中央の部位156に一旦撓ませて、孔部64に爪部155を係合させる一方、中央の部位156に撓みを生じさせて爪部155を孔部64から抜き出し、介在部材60を嵌着部材55に対して横方向Xに逆移動させて、爪部155の孔部64に対する係合を解除するようになっている。係合部58は、被係合部54への係合により端部材14の羽根部材11に対する横方向Xの移動を禁止するようになっている。尚、係合部58が被係合部54に係合した際、面62は羽根部材11の端部12における面160に当接し、この当接により端部材14の羽根部材11に対する揺動を防止する。
【0033】
リンク機構5は、上下方向Vで互いに隣接するルーバ7の前縁22側の部位に夫々の一端32で回転自在に連結されていると共に他端33で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の前縁リンク部材34及び35と、前後方向Yで一対の前縁リンク部材34及び35に並んで配されており、上下方向Vで互いに隣接するルーバ7の後縁24側の部位に夫々の一端42で回転自在に連結されていると共に他端43で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の後縁リンク部材44及び45と、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45が折り畳まれた際に、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の夫々の他端33及び43が夫々の一端32及び42よりも後方に位置するように、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の夫々の折り畳み方向を特定する特定手段46とを具備している。
【0034】
一対の前縁リンク部材34及び35のうちの上位の前縁リンク部材34の一端32は、スリット18において上位のルーバ7の前縁22側の部位にピン49を介して回転自在に連結されており、一対の前縁リンク部材34及び35のうちの下位の前縁リンク部材35の一端32は、スリット18において下位のルーバ7の前縁22側の部位にピン49を介して回転自在に連結されている。一対の前縁リンク部材34及び35は、本例では上下方向Vで互いに隣接するルーバ7の枚数に応じて夫々の一端32で互いに回転自在に連結されて複数個連なっており、斯かる複数個の一対の前縁リンク部材34及び35は、前縁リンク列を構成している。前縁リンク部材34及び35の夫々はリンクアーム等からなる。
【0035】
一対の前縁リンク部材34及び35は、阻止片74により所定量以上の相互の回転が阻止されることにより、一対の前縁リンク部材34及び35が伸長された場合においても180度未満の折れ角度θが維持される。阻止片74は、一対の前縁リンク部材34及び35の折り畳み方向を特定するようになっている。
【0036】
一対の後縁リンク部材44及び45のうちの上位の後縁リンク部材44の一端42は、上位のルーバ7の後縁24側の部位にピン49を介して回転自在に連結されており、一対の後縁リンク部材44及び45のうちの下位の後縁リンク部材45の一端42は、下位のルーバ7の後縁24側の部位にピン49を介して回転自在に連結されている。一対の後縁リンク部材44及び45は、本例では上下方向Vで互いに隣接するルーバ7の枚数に応じて夫々の一端42で互いに回転自在に連結されて複数個連なっており、斯かる複数個の一対の後縁リンク部材44及び45は、後縁リンク列を構成している。後縁リンク部材44及び45の夫々はリンクアーム等からなる。
【0037】
一対の後縁リンク部材44及び45は、阻止片88により所定量以上の相互の回転が阻止されることにより、一対の後縁リンク部材44及び45が伸長された場合においても一対の前縁リンク部材34及び35の折れ角度と同等の180度未満の折れ角度θが維持される。阻止片88は、一対の後縁リンク部材44及び45の折り畳み方向を特定するようになっている。
【0038】
特定手段46は、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の夫々の折り畳み方向を特定すべく、前縁リンク部材35の他端33及び後縁リンク部材45の他端43に一体的に設けられていると共に、前縁リンク部材34の他端33及び後縁リンク部材44の他端43に接して一対の前縁リンク部材34及び35の相互の所定量以上の回転及び一対の後縁リンク部材44及び45の相互の所定量以上の回転を阻止する阻止片74及び88を具備している。
【0039】
昇降機構6は、可撓性の長尺体としての有端のチェーン124と、前縁22側で垂れ下がっているチェーン124の一端を複数のルーバ7のうちの最下位のルーバ7bの軸部28に連結している連結部材75と、チェーン124をA及びB方向に走行させる走行手段122とを具備している。
【0040】
走行手段122は、チェーン124が掛けられていると共に、縦枠2にR1及びR2方向に回転自在に支持された回転体としてのスプロケットホイール131と、スプロケットホイール131が固着されていると共に横方向Xに伸びてR1及びR2方向に回転自在な断面六角形状の回転軸119と、回転軸119を出力回転軸とすると共に、縦枠2に支持された減速機117と、減速機117の入力回転軸を出力回転軸とすると共に、減速機117に取り付けられた電動モータ130とを具備しており、電動モータ130の作動により減速機117及び回転軸119を介してスプロケットホイール131をR1及びR2方向に回転させ、この回転によりチェーン124をA及びB方向に走行させるようになっている。
【0041】
チェーン124は、当該チェーン124の走行が上下方向Vに案内されるように、縦枠2内において縦枠2に一体的に上下方向Vに伸びて形成された各一対の案内突条145及び146間に夫々挟まれて不要な撓みが阻止されている。チェーン124は、案内突条145及び146の上方においてスプロケットホイール131の周りに配されていると共に縦枠2に支持されたチェーン押え148に押さえられて不要な撓みが阻止されている。
【0042】
回転軸119は、縦枠2内から縦枠3内まで横方向Xに伸びており、スプロケットホイール131と同様に構成された縦枠3内のスプロケットホイールにも固着されている。
【0043】
以上の昇降機構6は、走行手段122によるチェーン124の走行により連結部材75を介して最下位のルーバ7bを上昇及び下降させ、而して、複数のルーバ7を最下位のルーバ7bから先行して上昇及び下降させるようになっている。
【0044】
縦枠3側の昇降機構は、そのスプロケットホイールが回転軸119の縦枠3内における端部に固着されることにより、縦枠2側の走行手段122を縦枠2側の昇降機構6と共有している。
【0045】
チルト機構8は、R1及びR2方向の揺動により複数のルーバ7をR5及びR6方向に傾動させることができるように、最上位のルーバ7aの前縁22側の部位又は最上位の前縁リンク部材34の一端32に前縁部71aで連結されていると共にルーバ7aの後縁24側の部位又は最上位の後縁リンク部材44の一端42に後縁部72aで連結されているR1及びR2方向に揺動自在な揺動自在部材76と、昇降機構6による一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の伸長に際して揺動自在部材76を揺動させるべく昇降機構6の作動を揺動自在部材76に伝達するクラッチ機構77とを具備している。
【0046】
揺動自在部材76は、回転軸119に軸受81を介して当該回転軸119に対してR1及びR2方向に回転自在に設けられた円板部82と、円板部82に一体的に設けられていると共に当該円板部82から前方に突出している突出部83と、円板部82に一体的に設けられていると共に当該円板部82から後方に突出している突出部84と、突出部83の前縁部71aは、ワイヤ等からなる紐状体86を介してルーバ7aの端部材14の前縁22側の部位に連結されており、突出部84の後縁部72aは、紐状体86を介してルーバ7aの端部材14の後縁24側の部位に連結されている。
【0047】
クラッチ機構77は、チェーン124に取り付けられた突起96と、チェーン124の走行において突起96が嵌合される凹所97が形成されていると共に揺動自在部材76に固着された円板部材95と、図16に示す回転禁止状態に設定された際には、円板部材95に係合して揺動自在部材76の揺動を禁止する一方、突起96の凹所97への嵌合に際し、突起96により図15に示す回転許容状態に設定されて、揺動自在部材76の揺動を許容するように円板部材95に対する係合を解除する掛け金部材98と、掛け金部材98を回転禁止状態に設定するように弾性的に付勢する弾性手段99とを具備している。
【0048】
掛け金部材98は、一端100で軸101を介してチェーン押え148にR3及びR4方向に回転自在に取り付けられており、こうして掛け金部材98は、チェーン押え148を介して縦枠2に回転自在に取り付けられている。掛け金部材98は、他端に爪部102を有しており、掛け金部材98が回転禁止状態に設定される際には、爪部102は、円板部材95の凹所97に配されて、凹所97と爪部102との間に、案内楔空間103が形成されるようになっている。弾性手段99は、ねじりコイルばねからなり、その一端はチェーン押え148に係止され、その他端は掛け金部材98に係止され、中央部が軸101に巻き付けられて配されており、掛け金部材98を、軸101を中心としてR4方向に回転させるように、弾性付勢している。クラッチ機構77は、円板部材95に形成された突起104を具備しており、掛け金部材98は、一端100と爪部102との間に凹所105を有しており、掛け金部材98が回転禁止状態に設定される際には、突起104は、凹所105に配されて、突起104と凹所105とが係合されるようになっており、突起104と凹所105との係合により、円板部材95は、回転軸119を中心とするR1及びR2方向の回転が禁止され、而して、円板部材95が固着された揺動自在部材76は、回転軸119を中心とするそのR1及びR2方向の揺動が禁止されるようになっている。
【0049】
以下、本例のルーバ装置1の動作について、図を参照して詳細に説明する。図11に示すようにリンク機構5が伸長された状態においては、複数のルーバ7は、建物の開口部を閉鎖するように、前後方向Yに対して60度程度の傾斜角をもって傾動された状態となっており、揺動自在部材76も一定量揺動された状態となっており、チェーン124に設けられた突起96は、図14に示すように凹所97に配されて突起104と凹所105との係合が解除された状態となっており、掛け金部材98は、円板部材95の外縁部107に当接して円板部材95の回転許容状態を保っている。斯かる状態において電動モータ130が作動されると、減速機117及び回転軸119を介してスプロケットホイール131がR1方向に回転し、この回転によりチェーン124がA方向に走行する。チェーン124のA方向の走行と共に突起96も回転軸119を中心としてR1方向に移動し、当該突起96の移動により円板部材95もR1方向に回転して揺動自在部材76をR1方向に揺動させ、当該揺動自在部材76の揺動により、上方に引っ張られる前縁部71a側の紐状体86を介して最上位の一対の前縁リンク部材34及び35と当該一対の前縁リンク部材34及び35の下方に連なる下位の一対の前縁リンク部材34及び35とを上昇させると共に、下方に下げられる後縁部72a側の紐状体86を介して最上位の一対の後縁リンク部材44及び45と当該一対の後縁リンク部材44及び45の下方に連なる下位の一対の後縁リンク部材44及び45とを下降させて、複数のルーバ7を同期的にR5方向に傾動させて図1に示すような略水平状態にする。
【0050】
更にチェーン124がA方向に走行されると、突起96が凹所97から抜け始め、突起96が凹所97から抜けることにより、掛け金部材98が軸101を中心としてR4方向に回転され、突起104と凹所105とが係合される。図16に示すように、突起104と凹所105とが係合することにより、揺動自在部材76の回転は阻止される。チェーン124のA方向の走行が続行されることにより、連結部材75によりチェーン124に下部で連結されたリンク機構5が折り畳まれ始め、この折り畳みにより、リンク機構5に連結されている複数のルーバ7が下方から順次重ね合わされる。複数のルーバ7が全て重ね合わされると、電動モータ130の作動が停止され、図17に示すような開口部4の開放状態が維持される。
【0051】
図17に示すような開放状態において電動モータ130が逆作動されると、チェーン124がB方向に走行し、この走行により最上位の一対の前縁リンク部材34及び35並びに最上位の一対の後縁リンク部材44及び45から順次伸長し始め、これにより複数のルーバ7の重ね合わせが最上位のルーバ7a及び上位のルーバ7cから順次解除される。リンク機構5が全て伸長されて複数のルーバ7もまたその重ね合わせが全て解除されると、図15に示すように、突起96が案内楔空間103を通って凹所97に嵌入され、この嵌入により突起96が掛け金部材98を弾性手段99の弾性力に抗してR3方向に回転させて突起104の凹所105への係合を解除し、この解除により突起96の移動と共に揺動自在部材76がR1方向とは逆のR2方向に揺動され、この揺動により、上方に引っ張られる後縁部72a側の紐状体86を介して一対の後縁リンク部材44及び45を上昇させると共に、下方に下げられる前縁部71a側の紐状体86を介して一対の前縁リンク部材34及び35を下降させて、複数のルーバ7を同期的にR6方向に回転させて図11に示すような開口部4の閉鎖状態にする。その後、電動モータ130の作動が停止され、開口部4の閉鎖状態が維持される。
【0052】
本例のルーバ装置1によれば、ルーバ7は、羽根部材11と、羽根部材11の横方向Xにおける端部12及び13に夫々連結される端部材14及び15と、端部材14及び15を羽根部材11に連結させる連結手段16とを具備しており、連結手段16は、端部材14及び15に設けられていると共に、羽根部材11の端部12及び13に形成された被嵌着部37に嵌着する嵌着部材55と、羽根部材11に形成されたレール部38に当該羽根部材11の横方向Xに沿って移動自在に嵌合されるスライダ部56、スライダ部56のレール部38に対する横方向Xの移動を禁止すべく嵌着部材55に形成された被係合部54に解除自在に係合する係合部58及び嵌着部材55と被嵌着部37との嵌着を保持すべく嵌着部材55を支える支え面59を有していると共に、スライダ部56がレール部38に嵌合されている状態において、係合部58が被係合部54に係合した状態となるように且つ支え面59が嵌着部材55を支えた状態となるように端部材14及び15と羽根部材11との間に介在される介在部材60とを具備しており、係合部58は、スライダ部56のレール部38に対する移動によって被係合部54との係合が解除されるようになっているために、嵌着部材55を羽根部材11に嵌着させた状態のまま、介在部材60を羽根部材11の横方向Xに移動させるだけで介在部材60を嵌着部材55に係合させ、これにより、介在部材60による嵌着部材55と被嵌着部37との嵌着を保持することができて、連結手段16による羽根部材11と端部材14及び15との連結を簡単に行い得る一方、介在部材60を羽根部材11の横方向Xに移動(前記横方向Xの移動とは逆方向の移動)させるだけで介在部材60と嵌着部材55との係合を解除することができ、これにより、介在部材60による嵌着部材55と被嵌着部37との嵌着の保持をも解除することができて、連結手段16による羽根部材11と端部材14及び15との連結の解除を簡単に行い得、而して、端部材14及び15の羽根部材11に対する取り付け作業及び取り外し作業、特に複数の羽根部材11が並設されている場合における取り付け作業及び取り外し作業を簡単に行い得、ボルト等の緩みによる端部材14及び15の羽根部材11に対する取り付けの意図しない解除が生じる虞をなくし得、加えて、羽根部材11を撓めたりしないで端部材14及び15を羽根部材11に取り付けることができる。
【0053】
ルーバ装置1によれば、開口部4に上下方向Vに並置された複数のルーバ7と、複数のルーバ7を相互に連結している折り畳み自在なリンク機構5と、複数のルーバ7を上昇及び下降させる昇降機構6とを具備しており、リンク機構5は、互いに隣接するルーバ7の前縁22側の部位に夫々の一端32で回転自在に連結されていると共に他端33で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の前縁リンク部材34及び35と、前後方向Yで一対の前縁リンク部材34及び35に並んで配されており、互いに隣接するルーバ7の後縁24側の部位に夫々の一端42で回転自在に連結されていると共に他端43で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の後縁リンク部材44及び45と、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45が折り畳まれた際に、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の夫々の他端33及び43が夫々の一端32及び42よりも後方に位置するように、一対の前縁リンク部材34及び35並びに一対の後縁リンク部材44及び45の夫々の折り畳み方向を特定する特定手段46とを具備しているために、一対の前縁リンク部材34及び35と一対の後縁リンク部材44及び45とを、これらが折り畳み時に互いに干渉しないように、前後方向Yにおいて並べて配することができ、而して、リンク機構5のルーバ7の長手方向における設置幅を狭めることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ルーバ装置
2、3 縦枠
4 開口部
5 リンク機構
6 昇降機構
7、7a、7b、7c ルーバ
8 チルト機構
10 上枠
11 羽根部材
12、13 端部
14、15 端部材
16 連結手段
37 被嵌着部
38 レール部
54 被係合部
55 嵌着部材
56 スライダ部
58 係合部
59 支え面
60 介在部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根部材と、羽根部材の長手方向における端部に連結される端部材と、この端部材を羽根部材に連結させる連結手段とを具備しており、連結手段は、端部材に設けられていると共に、羽根部材の端部に形成された被嵌着部に嵌着する嵌着部材と、羽根部材に形成されたレール部に当該羽根部材の長手方向に沿って移動自在に嵌合されるスライダ部、スライダ部のレール部に対する長手方向の移動を禁止すべく嵌着部材に形成された被係合部に解除自在に係合する係合部及び嵌着部材と被嵌着部との嵌着を保持すべく嵌着部材を支える支え面を有していると共に、スライダ部がレール部に嵌合されている状態において、係合部が被係合部に係合した状態となるように且つ支え面が嵌着部材を支えた状態となるように端部材と羽根部材との間に介在される介在部材とを具備しており、係合部は、スライダ部のレール部に対する移動によって被係合部との係合が解除されるようになっているルーバ。
【請求項2】
嵌着部材は、端部材の羽根部材の端部側の面に固着された板状本体と、この板状本体に形成された嵌着部とを具備しており、被係合部は、板状本体に形成されている請求項1に記載のルーバ。
【請求項3】
嵌着部は、上方向に突出した凸部からなり、被嵌着部は、凸部が嵌着される凹部又は孔部からなる請求項1又は2に記載のルーバ。
【請求項4】
スライダ部は、介在部材の横方向に伸びた両縁に形成された一対のスライダを有しており、レール部は、一対のスライダが横方向に移動自在に夫々嵌合される一対のレールを有している請求項1から3のいずれか一項に記載のルーバ。
【請求項5】
支え面は、嵌着部材の下面に接して嵌着部材を下方から支えるようになっている請求項1から4のいずれか一項に記載のルーバ。
【請求項6】
係合部は、支え面から上方向に突出した爪部を有しており、被係合部は、爪部が係合される凹部又は孔部を有している請求項1から5のいずれか一項に記載のルーバ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のルーバであって開口部に上下方向に並置された複数のルーバと、複数のルーバを相互に連結している折り畳み自在なリンク機構と、複数のルーバを上昇及び下降させる昇降機構とを具備しており、リンク機構は、互いに隣接するルーバの前縁側の部位に夫々の一端で回転自在に連結されていると共に他端で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の前縁リンク部材と、前後方向で一対の前縁リンク部材に並んで配されており、互いに隣接するルーバの後縁側の部位に夫々の一端で回転自在に連結されていると共に他端で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の後縁リンク部材と、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材が折り畳まれた際に、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材の夫々の他端が夫々の一端よりも後方に位置するように、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材の夫々の折り畳み方向を特定する特定手段とを具備しているルーバ装置。
【請求項1】
羽根部材と、羽根部材の長手方向における端部に連結される端部材と、この端部材を羽根部材に連結させる連結手段とを具備しており、連結手段は、端部材に設けられていると共に、羽根部材の端部に形成された被嵌着部に嵌着する嵌着部材と、羽根部材に形成されたレール部に当該羽根部材の長手方向に沿って移動自在に嵌合されるスライダ部、スライダ部のレール部に対する長手方向の移動を禁止すべく嵌着部材に形成された被係合部に解除自在に係合する係合部及び嵌着部材と被嵌着部との嵌着を保持すべく嵌着部材を支える支え面を有していると共に、スライダ部がレール部に嵌合されている状態において、係合部が被係合部に係合した状態となるように且つ支え面が嵌着部材を支えた状態となるように端部材と羽根部材との間に介在される介在部材とを具備しており、係合部は、スライダ部のレール部に対する移動によって被係合部との係合が解除されるようになっているルーバ。
【請求項2】
嵌着部材は、端部材の羽根部材の端部側の面に固着された板状本体と、この板状本体に形成された嵌着部とを具備しており、被係合部は、板状本体に形成されている請求項1に記載のルーバ。
【請求項3】
嵌着部は、上方向に突出した凸部からなり、被嵌着部は、凸部が嵌着される凹部又は孔部からなる請求項1又は2に記載のルーバ。
【請求項4】
スライダ部は、介在部材の横方向に伸びた両縁に形成された一対のスライダを有しており、レール部は、一対のスライダが横方向に移動自在に夫々嵌合される一対のレールを有している請求項1から3のいずれか一項に記載のルーバ。
【請求項5】
支え面は、嵌着部材の下面に接して嵌着部材を下方から支えるようになっている請求項1から4のいずれか一項に記載のルーバ。
【請求項6】
係合部は、支え面から上方向に突出した爪部を有しており、被係合部は、爪部が係合される凹部又は孔部を有している請求項1から5のいずれか一項に記載のルーバ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のルーバであって開口部に上下方向に並置された複数のルーバと、複数のルーバを相互に連結している折り畳み自在なリンク機構と、複数のルーバを上昇及び下降させる昇降機構とを具備しており、リンク機構は、互いに隣接するルーバの前縁側の部位に夫々の一端で回転自在に連結されていると共に他端で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の前縁リンク部材と、前後方向で一対の前縁リンク部材に並んで配されており、互いに隣接するルーバの後縁側の部位に夫々の一端で回転自在に連結されていると共に他端で互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている一対の後縁リンク部材と、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材が折り畳まれた際に、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材の夫々の他端が夫々の一端よりも後方に位置するように、一対の前縁リンク部材及び一対の後縁リンク部材の夫々の折り畳み方向を特定する特定手段とを具備しているルーバ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−82687(P2012−82687A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−17402(P2012−17402)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【分割の表示】特願2007−116189(P2007−116189)の分割
【原出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(503428703)オイレスECO株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【分割の表示】特願2007−116189(P2007−116189)の分割
【原出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(503428703)オイレスECO株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
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