説明

ルーフトップガスヒートポンプコージェネレーション装置

【課題】空調と、発電と、給湯・暖房のための排熱の利用とを一台のルーフトップ装置によって行えるようにする。
【解決手段】ガスエンジン11と、ガスエンジン11にて駆動されるヒートポンプ用圧縮機12と、このヒートポンプ用圧縮機12にて駆動される空調システムに含まれる室内機15と、ガスエンジン11にて駆動される発電機13と、この発電機13からの電力供給システム28、29と、ガスエンジン11の排ガスに含まれる熱により生成される湯を貯湯する貯湯槽16とを一台の装置内に一体に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はルーフトップガスヒートポンプコージェネレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空調装置として、ガスエンジンにより圧縮機を駆動したガスヒートポンプ方式のものが知られている。また、従来の給湯・発電装置として、コージェネレーションシステムによって発電を行うとともに、発電時の排熱を回収して給湯・暖房に利用したものが知られている(特許文献1、2)。さらに、ヒートポンプシステムによって、空調を行うとともに同時に発電を行うようにしたものが知られている(特許文献3〜6)。
【特許文献1】特許第3719444号明細書(図4)
【特許文献2】特開2007−40593号公報
【特許文献3】特開2006−64299号公報
【特許文献4】特開2006−317052号公報
【特許文献5】特開2007−17026号公報
【特許文献6】特開2006−296039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の装置において、空調と、発電と、給湯・暖房などのための排熱の利用とを全て行おうとする場合には、それぞれの機能を備えた異種の装置を複数台設置しなければならない。このため、コスト高になるとともに、各装置の設置スペースも必要になる。また全体の効率が低く、省エネルギの観点への貢献度も低い。
【0004】
そこで本発明は、空調と、発電と、給湯・暖房のための排熱の利用とを一台のルーフトップ装置によって行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため本発明は、ガスエンジンと、前記ガスエンジンにて駆動されるヒートポンプ用圧縮機と、このヒートポンプ用圧縮機にて駆動される空調システムに含まれる室内機と、前記ガスエンジンにて駆動される発電機と、この発電機からの電力供給システムと、前記ガスエンジンの排ガスに含まれる熱により生成される湯を貯湯する貯湯槽とを一台の装置内に一体に備えているようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、空調と、発電と、給湯のための排熱の利用とを、一台のルーフトップ装置だけで行うことができる。これによって、コストの低減と、設置スペースの縮小と、排熱の有効利用とを図ることができ、高効率で、省エネルギを達成可能な装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明の実施の形態のルーフトップガスヒートポンプコージェネレーション装置の構成を示す。この装置は建物の屋上などの屋外に設置されるものであり、1はその機台、2は装置のカバーである。
【0008】
本装置には、ガスエンジン11が設けられるとともに、このガスエンジン11によってそれぞれ駆動される圧縮機12と発電機13とが設けられている。14は、ガスエンジン11へのガス供給管である。また本装置におけるカバー2の内部には、空調のための室内機15と、貯湯槽16とが設けられている。
【0009】
圧縮機12はヒートポンプを構成するために用いられるものであり、この圧縮機12からの媒体吐出管17は、四方弁18を介して熱交換器19に導かれ、次いで室内機15に接続されている。室内機15は、媒体が通されるコイル20と、室内に空気を送出するための送風機21と、室内の空気の吸込口22と、吸込口22とコイル20との間に設けられたフィルタ23とを有する。27は、送風機21の吹出口である。
【0010】
室内機15のコイル20からの戻り管24は、排熱交換器25および四方弁18を介して圧縮機12に戻されている。26は冷房運転時に熱交換器19を冷却するためのファンである。以上によって空調システムが構成されている。
【0011】
発電機13からの出力ライン28は、インバータ29に接続されている。30は系統連系盤で、商用電力線31と系統連系を行い、インバータ29に接続されている。34は、機外の分電盤への接続ラインである。インバータ29は、ファン26と後述の冷却水ポンプ36とを駆動可能である。32はインバータ29のための制御部である。33はリモートコントローラで、制御部32をコントロールするために用いられる。
【0012】
35は排ガス熱交換器で、ガスエンジン11からの排ガス路36に設けられている。排ガス熱交換器35はガスエンジン11からの排ガスと水とを熱交換させるもので、37はその水のための循環路である。循環路37は、水−水熱交換器38を経てラジエター39に導かれ、このラジエター39から冷却水ポンプ40を経て排ガス熱交換器35に戻されている。41は第1のバイパス路で、排ガス熱交換器35からの循環路37を流れる冷却水を、水−水熱交換器38やラジエター39に送らずに冷却水ポンプ40にバイパスさせるためのものである。42は第2のバイパス路で、水−水熱交換器38からの冷却水をラジエター39に送らずに冷却水ポンプ40にバイパスさせるためのものである。
【0013】
水−水熱交換器38からの熱交換水循環路43は、排熱利用を目的として貯湯槽16に接続されている。貯湯槽16には、熱源補助部44が併設されている。
貯湯槽16には槽内の湯の温度を検出するための温度センサ46が設けられており、この温度センサ46からの信号ライン47が制御部32に接続されている。循環路37に設けられた冷却水ポンプ40には、インバータ29からの電力供給ライン48が接続されている。そして、温度センサ46にて検出される湯温が所定の値となるように、制御部32によってインバータ29が制御され冷却水ポンプ40が運転されるように構成されている。
【0014】
ガスエンジン11からの排ガスの一部は、供給路49によって排熱交換器25に送られる。
【0015】
このような構成において、ガスエンジン11を運転すると、それによって圧縮機12が運転され、図示の冷房運転時の配管の状態では加圧状態のガス状の冷媒が熱交換器19に送られてファン26の空気流により冷却されて液化され、液状の冷媒は減圧により温度が低下された状態で室内機15のコイル20に送られる。室内機15で熱交換することで気化した後の冷媒は、排熱交換器25で熱を受けたうえで圧縮機12に戻される。室内機15では、コイル20を通過して熱交換されることで冷却された空気が、送風機21から冷風として吹き出される。
【0016】
四方弁18を暖房側に切り替えると、圧縮機12からのガス状の高温の熱媒は、排熱交換器25によってさらに加熱されたうえで室内機15に送られ、熱を放出して液化する。その液状の熱媒は、熱交換器19においてファン26の空気流により熱を奪われて気化し、圧縮機12に戻される。室内機15では、コイル20を通過して熱交換されることで加熱された空気が、送風機21から温風として吹き出される。
【0017】
またガスエンジン11を運転すると、発電機13で直流電力が生成され、インバータ29によって交流電力に変換される。これによって生じた交流電力は、ファン26と冷却水ポンプ40との駆動に供される。さらに系統連系盤30へ電力が供給され、商用電力線からの電力と系統連系が行われ、接続ライン34で機外の分電盤へ送られ、図示のガスヒートポンプコージェネレーション装置が設置されている建物で使用する電気として利用される。
【0018】
ガスエンジン11からの排ガスが保有する熱は、排ガス熱交換器35によって循環路37の水に伝達される。そして、循環路37の水が保有する熱は水−水熱交換器38によって熱交換水循環路43の水に伝達され、それにより生成された湯は、貯湯槽16に貯湯されたうえで、給湯や暖房に供される。水−水熱交換器38を出た後の水が保有する熱は、ラジエター39によって外部に放出される。必要に応じてバイパス路41、42を活用することで、ガスエンジン11からの排ガスが保有する熱を有効に利用することができる。
【0019】
このように、図1に示した装置によれば、空調と、発電と、給湯・暖房のための排熱の利用とを一台のルーフトップ装置によって行うことができ、しかもこのルーフトップ装置が空調のための室内機15と給湯のための貯湯槽16をも備えているため、装置のコストの低減と、設置スペースの縮小と、排熱の有効利用とを図ることができる。したがって、高効率で、省エネルギを達成可能な装置を得ることができる。
【0020】
図2は、図1に示した装置の外観を示す。図2(a)はその平面図、図2(b)はその正面図、図2(c)はその側面図、図2(d)はその背面図である。同図(a)の平面図には、室内機の収容部51と、室内機の吹出口27と、ファン26のためのシュラウド52と、貯湯槽および熱源補助部の収容部53とが示されている。同図(b)の正面図には、空調システムの熱交換器に通される空気をファン26の作用によって機内へ吸込むための第1の吸引口54と、同熱交換器に通された後にファン26によって機外に排出される空気を案内する上述のシュラウド52とが示されている。同図(c)の側面図には、室内機15の収容部51と、室内機15の吸込口22および吹出口27と、室内機15の送風機21およびコイル20と、空調システムの熱交換器に通される空気をファン26の作用によって機内へ吸込むための第2の吸引口55と、シュラウド52とが示されている。同図(d)の背面図には、室内機の収容部51と、室内機の吸込口22および吹出口27と、貯湯槽および熱源補助部の収容部53と、ファン26のためのシュラウド52とが示されている。
【0021】
このように本発明の装置では、図1に示されるすべての要素をカバー2の内部に収容して、装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態のルーフトップガスヒートポンプコージェネレーション装置を示す図である。
【図2】図1の装置の外観を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 機台
2 カバー
11 ガスエンジン
12 圧縮機
13 発電機
15 室内機
16 貯湯槽
28 出力ライン
29 インバータ
35 排ガス熱交換器
38 水−水熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスエンジンと、前記ガスエンジンにて駆動されるヒートポンプ用圧縮機と、このヒートポンプ用圧縮機にて駆動される空調システムに含まれる室内機と、前記ガスエンジンにて駆動される発電機と、この発電機からの電力供給システムと、前記ガスエンジンの排ガスに含まれる熱により生成される湯を貯湯する貯湯槽とを一台の装置内に一体に備えていることを特徴とするルーフトップガスヒートポンプコージェネレーション装置。

【図1】
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【図2】
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