ルーフモールの取付構造
【課題】ルーフモールの浮き上りや外れが発生するのを抑制できるルーフモールの取付構造を得る。
【解決手段】ペイントシールPsが存在する側とは反対側となる第1の縦壁5W1の側面を、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かうインバース面Fiとする一方、ルーフモール10のインバース面Fiに当接する第1のリップ部13より当該第1のリップ部13とは反対側の第2のリップ部14の剛性を低くして、当該第2のリップ部14が第2の縦壁5W2からうける反力によって第1のリップ部13をインバース面Fiに押し付け、当該インバース面Fiによって第1のリップ部13を係止するとともに、ルーフモール10の本体部に、第1のリップ部13より凹溝5の開放側で第1の縦壁5W1に当接する支持突起16を設けた。
【解決手段】ペイントシールPsが存在する側とは反対側となる第1の縦壁5W1の側面を、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かうインバース面Fiとする一方、ルーフモール10のインバース面Fiに当接する第1のリップ部13より当該第1のリップ部13とは反対側の第2のリップ部14の剛性を低くして、当該第2のリップ部14が第2の縦壁5W2からうける反力によって第1のリップ部13をインバース面Fiに押し付け、当該インバース面Fiによって第1のリップ部13を係止するとともに、ルーフモール10の本体部に、第1のリップ部13より凹溝5の開放側で第1の縦壁5W1に当接する支持突起16を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフパネルとサイドアウタパネルの接合部分を覆うルーフモールの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルーフパネルの車幅方向両側の端部とサイドアウタパネルの上端部とを重ね合わせて接合し、その重合部分が底部となるように凹設して凹溝を形成し、当該重合部分で上側となる端部にペイントシールを塗布するとともに、当該凹溝にルーフモールを嵌着したルーフモールの取付構造が知られている。
【0003】
かかる構成では、上記凹溝を蟻溝状に、すなわち、奥側で溝幅を広く、開口側で溝幅を狭く形成するとともに、ルーフモールの下部に凹溝の両縦壁(側壁)に弾接する一対の固定用リップを設け、当該固定用リップを両縦壁に圧接させて係止することで、ルーフモールを抜止めするようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−249762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のルーフモールの取付構造にあっては、上述したように、一対の固定用リップを係止するために、凹溝の両側面が、インバース面、すなわち、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かう面となっている。
【0005】
しかしながら、塗布したペイントシールが縦壁の下部に付着すると、凹溝の底部側で当該凹溝の幅が狭くなってしまい、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かうインバース面となっている状態が解消され、縦壁によるルーフモールの係止効果が十分に得られなくなってしまう虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、ルーフモールの浮き上りや外れが発生するのを抑制できるルーフモールの取付構造を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ペイントシールが存在する側とは反対側となる第1の縦壁の溝側の側面を、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かうインバース面とする一方、ルーフモールのインバース面に当接する第1のリップ部より当該第1のリップ部とは反対側の第2のリップ部の剛性を低くして、当該第2のリップ部が第2の縦壁からうける反力によって第1のリップ部をインバース面に押し付け、当該インバース面によって第1のリップ部を係止するとともに、ルーフモールの本体部に、第1のリップ部より凹溝の開放側で第1の縦壁に当接する支持突起を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1のリップ部をインバース面に押し付けることができるため、縦壁のインバース面によるルーフモールの係止効果をより確実に得ることができる。また支持突起を設けたことで、ルーフモールが凹溝内で第1の縦壁側に倒れ込むのを抑制して、第1のリップ部とインバース面との係止状態を維持しやすくするとともに、第2のリップ部が凹溝開放側に移動するように回動しながらルーフモールが凹溝から抜け出すのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態および実施例において、同様の構成要素については共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)図1〜図4は本発明の第1実施形態を示している。このうち、図1は、ルーフモールを取り外した状態を示す車体ルーフ片側の斜視図、図2は、ルーフモールを取り付けた状態を示す車体ルーフ片側の斜視図、図3は、図2のA−A断面図、図4は、凹溝にルーフモールを取り付ける途中の断面図である。
【0011】
図1,図2に示すように、本実施形態では、ルーフパネル2の前後長さに略等しい帯状のルーフモール10が、該ルーフパネル2の車幅方向両側端部2aとサイドアウタパネル3の上端部3aとの接合部分4を覆い隠すように取り付けられている。
【0012】
接合部分4では、図3に示すように、ルーフパネル2の車幅方向側端部2aとサイドアウタパネル3の上端部3aとが互いに重ね合わせられており、その重合部分をスポット溶接することで接合してある。そして、図1に示すように、重合部分(接合部分4)が底部5Bとなるように凹設されて、ルーフパネル2の車幅方向両側に沿って前後方向に延在する凹溝5が形成され、その凹溝5内にルーフモール10を挿入して嵌着するようになっている。
【0013】
ルーフモール10の長手方向両端部には、図1に示すように、エンドキャップ6が取り付けられている。これらエンドキャップ6は、それぞれ凹溝5の前後終端部に設けられたクリップ7に装着される。なお、ルーフモール10の前方には、フロントピラー9に沿って、フロントサイドモール8が延在している。
【0014】
また、接合部分4(重合部分)では、相互に重ね合わせたルーフパネル2の側端部2aおよびサイドアウタパネル3の上端部3aのうち、ルーフパネル2の側端部2aを上側に配置してある。そして、その上側に配置した側端部2aの重ね合わせ端部4EにペイントシールPsを塗布して、接合部分4を液密に密閉してある。
【0015】
ここで、本実施形態では、凹溝5内側の対向した両縦壁5W1,5W2のうち、ペイントシールPsが存在する側(図3中右側)とは反対側となる第1の縦壁5W1の内側面(溝側の側面)をインバース面Fiとしてある。インバース面Fiとは、凹溝5の奥側(図3で下方)から開放側(図3で上方)に向かって溝幅方向内側に向かわせた傾斜面である。また、両縦壁5W1,5W2のうち、ペイントシールPsが存在する側(ペイントシールPsに近い側)が第2の縦壁5W2となっている。本実施形態では、第1の縦壁5W1はルーフパネル2の側端部2aによって形成し、第2の縦壁5W2はサイドアウタパネル3の上端部3aによって形成してある。
【0016】
この凹溝5に嵌着するルーフモール10は、図3に示すように、内部に棒状の芯材11を埋設した本体部12を備えている。そして、その本体部12の下部に、インバース面Fiとなる第1の縦壁5W1に弾接する第1のリップ部13と、インバース面Fiに対向する第2の縦壁5W2に弾接する第2のリップ部14と、を設けてある。
【0017】
ここで、本実施形態では、ルーフモール10を凹溝5内に挿入していない状態(嵌着されていない状態,すなわち自由状態)で、これらリップ部13,14の先端部間の幅を、凹溝5の幅wより広くしてある。さらに、第2のリップ部14の剛性を第1のリップ部13の剛性より低くして、ルーフモール10を凹溝5内に挿入したときに、第2のリップ部14を大きく撓ませる(曲げる)一方、第1のリップ部13の撓み量(曲げ量)を第2のリップ部14より小さくしてある。
【0018】
すなわち、本実施形態では、第2のリップ部14を大きく撓ませる(曲げる)ことで、凹溝5の幅寸法のばらつきを吸収するとともに、当該第2のリップ部14が第2の縦壁5W2から受ける反力によって第1のリップ部13をインバース面Fiに押し付けるようになっている。このとき、リップ部13,14の先端部間の幅は、凹溝5の幅wのばらつき上限値より所定量だけ大きくして、第1のリップ部13をインバース面Fiに押し付ける反力をより確実に得られるようにするのが好適である。
【0019】
そして、第1のリップ部13の剛性を第2のリップ部14の剛性より高くして、第1のリップ部13を大きく撓ませることなくインバース面Fiとの係止状態が維持されやすい姿勢に保持することができるため、ルーフモール10を凹溝5により確実に嵌着することができる。
【0020】
リップ部13,14の剛性は、各リップ部13,14の厚み、長さ、材質等によって適宜に調整することができる。本実施形態では、第1のリップ部13を第2のリップ部14に比べて厚くかつ短く形成してある。また、本実施形態では、2色成形等することで各リップ部13,14の根元部と先端部とで違う材料を用いている。かかる構成により、各リップ部13,14の弾発力ならびに剛性を適宜に調整することができる。
【0021】
また、本実施形態では、本体部12に、第1のリップ部13より凹溝5の開放側で第1の縦壁5W1に当接する支持突起16を設けてある。この支持突起16によって、ルーフモール10が第1の縦壁5W1(インバース面Fi)側に倒れ込むのが抑制され、以て、インバース面Fiと第1のリップ部13との係止状態をより確実に維持することができる。また、かかる倒れ込みを抑制することで、第2のリップ部14が凹溝5の開放側(図3では上方)に移動するように(図3の反時計回り方向,X2方向に)ルーフモール10が回動しながら凹溝5から抜け出すのを抑制することができる。なお、支持突起16は、ルーフモール10が倒れ込むのを支えるのに十分な剛性を持つように設定される。また、倒れ込みをより確実に抑制するため、支持突起16は、凹溝5内に設け、倒れ込もうとした際に、支持突起16の先端が第1の縦壁5W1の側面に当接するように設けるのが好適である。
【0022】
また、本実施形態では、本体部12の上端部から第2の縦壁5W2の段部5S2に至る天井リップ部17を突設してある。
【0023】
上記構成のルーフモール10を凹溝5に嵌着するに際しては、図4に示すように、まずは、支持突起16の先端部を第1の縦壁5W1の段部5S1に当接する。そして、その支持突起16を支点として、ルーフモール10を矢印X1方向に回転させつつ押し込んで、容易に取り付けることができる。このとき、図4に示すように、第1のリップ部13を、第1の縦壁5W1に当接しない程度に短く設定しておくのが好適である。これにより、押し込み力を低減することができる。
【0024】
ところで、ペイントシールPsは、重ね合わせ端部4Eに局部的に塗布すれば良いのであるが、図3に示すように、場所によってはペイントシールPsの塗布量が多くなって第2の縦壁5W2の下部まで塗布されてしまう場合もあり得る。このような場合には、第2の縦壁5W2による係止効果が低くなってしまう虞がある。
【0025】
しかし、本実施形態にかかるルーフモール10の取付構造によれば、付勢機構としての第2のリップ部14によって、第1のリップ部13を第1の縦壁5W1のインバース面Fiに押し付けるため、当該インバース面Fiによって第1のリップ部13ひいてはルーフモール10がより確実に係止されて、凹溝5から抜け出るのが抑制される。
【0026】
特に、本実施形態では、凹溝5に嵌着されていない状態での第1のリップ部13の先端から第2のリップ部14の先端までの幅を凹溝5の底部の幅wより広くし、かつ第2のリップ部14の剛性を第1のリップ部13の剛性より低くしてある。このため、第2のリップ部14が第2の縦壁5W2からの反力を受け、当該反力によって第1のリップ部13がインバース面Fiに押し付けられる状態をより確実に得ることができる。また、第2のリップ部14の撓み(曲げ)により、凹溝5の幅のばらつきを吸収できるとともに、第1のリップ部13については撓みを比較的小さくして、インバース面Fiとの係止状態を維持しやすい姿勢に保持することができ、以て、第1のリップ部13とインバース面Fiとの係止状態をより確実に維持することができる。
【0027】
さらに、本実施形態では、ルーフモール10の本体部12に、第1のリップ部13より凹溝5の開放側で第1の縦壁5W1に当接する支持突起16を設けた。このため、ルーフモール10が凹溝5内で第1の縦壁5W1側に倒れ込むのを抑制して、第1のリップ部13とインバース面Fiとの係止状態を維持しやすくするとともに、第2のリップ部14が凹溝開放側に移動するように回動しながらルーフモール10が凹溝5から抜け出すのを抑制することができる。
【0028】
したがって、本実施形態によれば、図3に示すように、第2の縦壁5W2の下部にペイントシールPsが誤って塗布されてしまった場合にも、ルーフモール10の保持力が低下するのを抑制できる。
【0029】
また、本実施形態では、ルーフパネル2によって、インバース面Fiを有する第1の縦壁5W1を形成した。サイドアウタパネル3にインバース面を形成しようとすると、短い幅の領域で大きく屈曲変形させる必要が生じるため、インバース面として機能する傾斜角度を精度良く設定しにくい場合があるが、本実施形態では、ルーフパネル2にインバース面Fiを設定したため、より確実にルーフモール10が凹溝5から抜け出すのを抑制することができる。
【0030】
そして、本実施形態によれば、ルーフモール10の浮上りや外れを抑制でき、ルーフモール10をその全長に亘って波打ちを抑えつつ綺麗に凹溝5に嵌着できるため、取り付けたルーフモール10の外観性を向上できる。
【0031】
(第2実施形態)図5は、本発明の第2実施形態にかかるルーフモールの取付構造について、凹溝にルーフモールを取り付けた状態の断面図である。
【0032】
本実施形態にかかるルーフモール10Aでは、本体部12の上端に凹溝5の開口部を覆う天井リップ部15を設け、該天井リップ部15の溝幅w方向両側部15a,15bを段部5S1,5S2に当接させてある。そして、この天井リップ部15の車幅方向内側の側部15aを支持突起として用いている。リップ部13,14の幅や剛性の設定等は上記第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0033】
(第3実施形態)図6〜図9は本発明の第3実施形態を示している。このうち、図6は、凹溝にルーフモールを取り付けた状態の断面図、図7は、ルーフモールの取付端部の分解斜視図、図8は、ルーフモールのエンドキャップの取付状態を示す断面図、図9は、フロントサイドモールの副クリップの取付状態を示す断面図である。
【0034】
本実施形態では、図6に示すように、相互に重ね合わせたルーフパネル2およびサイドアウタパネル3の両端部2a,3aのうち、第1の縦壁5W1が形成されかつ上側に配置されたルーフパネル2の側端部2aを屈曲形成してその端縁を起立させることで、凹溝5の底部から立設された凸部としてのリブ20を形成してある。一方、ルーフモール10Bの本体部12には、このリブ20に嵌着する凹部21を形成してある。
【0035】
そして、凹溝5にルーフモール10Bを嵌着する際に、本体部12の凹部21を凹溝5の底部5Bから立設されたリブ20に差し込むようになっている。本実施形態では、このように凹部21を凸部としてのリブ20に差し込むことで、第1の縦壁5W1のインバース面Fiに対する第1のリップ部13の位置が規定され、これにより第1のリップ部13がインバース面Fiに押し付けられるようになっている。すなわち、本実施形態では、リブ20と凹部21が形成されたルーフモール10Bとによって付勢機構が構築されている。
【0036】
なお、接合部分4では、上側となる重ね合わせ端部4E′、つまりリブ20の根本部に、ペイントシールPsが塗布される。本実施形態では、重ね合わせ端部4E′が底部5Bの幅方向中央部に位置する関係上、ペイントシールPsが第2の縦壁5W2に誤って塗布される確率は低いが、仮に塗布されたとしても、第2の縦壁5W2に当接する第2のリップ部が設けられていないため、影響は小さい。
【0037】
また、本実施形態では、図7に示すように、ルーフモール10Bの前端部に装着するエンドキャップ6に、フロントサイドモール8の後端部を装着する副クリップ30を一体に形成してある。そして、エンドキャップ6を、図8に示すように、凹溝5の底部5Bから立設したクリップ7に係着し、副クリップ30を、図9に示すように、凹溝5の底部5Bに装着してある。
【0038】
したがって、本実施形態によれば、付勢機構として、ルーフパネル2またはサイドアウタパネル3の端部2a,3a(本実施形態ではルーフパネル2の側端部2a)を屈曲形成することで凹溝5の底部から立設された凸部としてのリブ20と、ルーフモール10Bの本体部12に設けられてリブ20に嵌着する凹部21と、が形成されている。このため、リブ20と凹部21との嵌着によって、凹溝5におけるルーフモール10Bの位置をより確実に規定し、これにより、第1のリップ部13を第1の縦壁5W1のインバース面Fiにより確実に押し付けることができる。すなわち、本実施形態によれば、インバース面Fiによる第1のリップ部13の係止効果をより確実に得ることができ、ルーフモール10Bが凹溝5から抜け出すのをより確実に抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、付勢機構を成す凸部を、第1の縦壁5W1が形成されるルーフパネル2の端縁を屈曲して起立させたリブ20とした。こうすることで、インバース面Fiおよびリブ20ともにルーフパネル2に形成されることになるため、インバース面Fiとリブ20との間隔をより精度良く規定することができ、インバース面Fiによる第1のリップ部13の係止効果をより確実に得ることができる。また、ルーフパネル2の端縁を屈曲形成して起立させるのみで済む分、凸部を得るのに伴う製造コストの上昇や手間の増大を抑制できる。
【0040】
また、図10〜図14は、第3実施形態の第1〜第5変形例をそれぞれ示す断面図である。本発明は、これら種々の変形例としても実施可能である。
【0041】
図10は、第3実施形態の第1変形例を示している。この変形例では、第2実施形態と同様に本体部12の上端に天井リップ部15を設け、その溝幅w方向両側部15a,15bを第1・第2の縦壁5W1,5W2の段部5S1,5S2に当接してある。
【0042】
図11は第2変形例を示している。この変形例では、天井リップ部15を凹溝5の開口部内に配置してある。また、凹溝5の開口幅が広くなっているため、天井リップ部15の両側部15a,15bを第1・第2の縦壁5W1,5W2に当接させていない。
【0043】
図12は第3変形例を示している。この変形例では、ルーフパネル2がサイドアウタパネル3よりも低くなっている。そして、天井リップ部15の他側部15bのみを段部5S2に当接させてある。
【0044】
図13は第4変形例を示している。この変形例では、第2変形例と同様に天井リップ部15を凹溝5の開口部内に配置してある。また、凹溝5の開口幅が狭くなっており、天井リップ部15の両側部15a,15bを第1・第2の縦壁5W1,5W2に当接させてある。なお、この場合は、一側部15aを支持突起16として兼用することができる。
【0045】
図14は第5変形例を示している。この変形例は、基本的に第1変形例と同様であるが、凹溝5の開口幅を広く形成してある。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、第1の縦壁5W1をサイドアウタパネル3側に、第2の縦壁5W2をルーフパネル2側にそれぞれ形成してもよい。この場合、接合部分4の上側にはサイドアウタパネル3の上端部3aが配置されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるルーフモールの取付構造を適用した車体ルーフ片側の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるルーフモールの取付構造を適用した車体ルーフ片側の斜視図であってルーフモールを取り外した状態を示す図である。
【図3】図1中A−A線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるルーフモールの取付構造の断面図であって、凹溝にルーフモールを取り付ける途中の状態を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかるルーフモールの取付構造の断面図であって、凹溝にルーフモールを取り付けた状態を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかるルーフモールの取付構造の断面図であって、凹溝にルーフモールを取り付けた状態を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかるルーフモールの取付構造のルーフモールの取付端部の分解斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかるルーフモールの取付構造のルーフモールのエンドキャップの取付状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態にかかるルーフモールの取付構造のフロントサイドモールの副クリップの取付状態を示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態の第1変形例にかかるルーフモールの取付構造の断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態の第2変形例にかかるルーフモールの取付構造の断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の第3変形例にかかるルーフモールの取付構造の断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態の第4変形例にかかるルーフモールの取付構造の断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態の第5変形例にかかるルーフモールの取付構造の断面図である。
【符号の説明】
【0048】
2 ルーフパネル
2a (ルーフパネルの)端部
3 サイドアウタパネル
3a (サイドアウタパネルの)端部
4 接合部分
5 凹溝
5B 底部
5W1 第1の縦壁
5W2 第2の縦壁
10,10A,10B ルーフモール
12 本体部
13 第1のリップ部
14 第2のリップ部
16 支持突起
20 リブ(凸部)
21 凹部
Fi インバース面
w 溝幅
Ps ペイントシール
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフパネルとサイドアウタパネルの接合部分を覆うルーフモールの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルーフパネルの車幅方向両側の端部とサイドアウタパネルの上端部とを重ね合わせて接合し、その重合部分が底部となるように凹設して凹溝を形成し、当該重合部分で上側となる端部にペイントシールを塗布するとともに、当該凹溝にルーフモールを嵌着したルーフモールの取付構造が知られている。
【0003】
かかる構成では、上記凹溝を蟻溝状に、すなわち、奥側で溝幅を広く、開口側で溝幅を狭く形成するとともに、ルーフモールの下部に凹溝の両縦壁(側壁)に弾接する一対の固定用リップを設け、当該固定用リップを両縦壁に圧接させて係止することで、ルーフモールを抜止めするようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−249762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のルーフモールの取付構造にあっては、上述したように、一対の固定用リップを係止するために、凹溝の両側面が、インバース面、すなわち、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かう面となっている。
【0005】
しかしながら、塗布したペイントシールが縦壁の下部に付着すると、凹溝の底部側で当該凹溝の幅が狭くなってしまい、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かうインバース面となっている状態が解消され、縦壁によるルーフモールの係止効果が十分に得られなくなってしまう虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、ルーフモールの浮き上りや外れが発生するのを抑制できるルーフモールの取付構造を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ペイントシールが存在する側とは反対側となる第1の縦壁の溝側の側面を、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かうインバース面とする一方、ルーフモールのインバース面に当接する第1のリップ部より当該第1のリップ部とは反対側の第2のリップ部の剛性を低くして、当該第2のリップ部が第2の縦壁からうける反力によって第1のリップ部をインバース面に押し付け、当該インバース面によって第1のリップ部を係止するとともに、ルーフモールの本体部に、第1のリップ部より凹溝の開放側で第1の縦壁に当接する支持突起を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1のリップ部をインバース面に押し付けることができるため、縦壁のインバース面によるルーフモールの係止効果をより確実に得ることができる。また支持突起を設けたことで、ルーフモールが凹溝内で第1の縦壁側に倒れ込むのを抑制して、第1のリップ部とインバース面との係止状態を維持しやすくするとともに、第2のリップ部が凹溝開放側に移動するように回動しながらルーフモールが凹溝から抜け出すのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態および実施例において、同様の構成要素については共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)図1〜図4は本発明の第1実施形態を示している。このうち、図1は、ルーフモールを取り外した状態を示す車体ルーフ片側の斜視図、図2は、ルーフモールを取り付けた状態を示す車体ルーフ片側の斜視図、図3は、図2のA−A断面図、図4は、凹溝にルーフモールを取り付ける途中の断面図である。
【0011】
図1,図2に示すように、本実施形態では、ルーフパネル2の前後長さに略等しい帯状のルーフモール10が、該ルーフパネル2の車幅方向両側端部2aとサイドアウタパネル3の上端部3aとの接合部分4を覆い隠すように取り付けられている。
【0012】
接合部分4では、図3に示すように、ルーフパネル2の車幅方向側端部2aとサイドアウタパネル3の上端部3aとが互いに重ね合わせられており、その重合部分をスポット溶接することで接合してある。そして、図1に示すように、重合部分(接合部分4)が底部5Bとなるように凹設されて、ルーフパネル2の車幅方向両側に沿って前後方向に延在する凹溝5が形成され、その凹溝5内にルーフモール10を挿入して嵌着するようになっている。
【0013】
ルーフモール10の長手方向両端部には、図1に示すように、エンドキャップ6が取り付けられている。これらエンドキャップ6は、それぞれ凹溝5の前後終端部に設けられたクリップ7に装着される。なお、ルーフモール10の前方には、フロントピラー9に沿って、フロントサイドモール8が延在している。
【0014】
また、接合部分4(重合部分)では、相互に重ね合わせたルーフパネル2の側端部2aおよびサイドアウタパネル3の上端部3aのうち、ルーフパネル2の側端部2aを上側に配置してある。そして、その上側に配置した側端部2aの重ね合わせ端部4EにペイントシールPsを塗布して、接合部分4を液密に密閉してある。
【0015】
ここで、本実施形態では、凹溝5内側の対向した両縦壁5W1,5W2のうち、ペイントシールPsが存在する側(図3中右側)とは反対側となる第1の縦壁5W1の内側面(溝側の側面)をインバース面Fiとしてある。インバース面Fiとは、凹溝5の奥側(図3で下方)から開放側(図3で上方)に向かって溝幅方向内側に向かわせた傾斜面である。また、両縦壁5W1,5W2のうち、ペイントシールPsが存在する側(ペイントシールPsに近い側)が第2の縦壁5W2となっている。本実施形態では、第1の縦壁5W1はルーフパネル2の側端部2aによって形成し、第2の縦壁5W2はサイドアウタパネル3の上端部3aによって形成してある。
【0016】
この凹溝5に嵌着するルーフモール10は、図3に示すように、内部に棒状の芯材11を埋設した本体部12を備えている。そして、その本体部12の下部に、インバース面Fiとなる第1の縦壁5W1に弾接する第1のリップ部13と、インバース面Fiに対向する第2の縦壁5W2に弾接する第2のリップ部14と、を設けてある。
【0017】
ここで、本実施形態では、ルーフモール10を凹溝5内に挿入していない状態(嵌着されていない状態,すなわち自由状態)で、これらリップ部13,14の先端部間の幅を、凹溝5の幅wより広くしてある。さらに、第2のリップ部14の剛性を第1のリップ部13の剛性より低くして、ルーフモール10を凹溝5内に挿入したときに、第2のリップ部14を大きく撓ませる(曲げる)一方、第1のリップ部13の撓み量(曲げ量)を第2のリップ部14より小さくしてある。
【0018】
すなわち、本実施形態では、第2のリップ部14を大きく撓ませる(曲げる)ことで、凹溝5の幅寸法のばらつきを吸収するとともに、当該第2のリップ部14が第2の縦壁5W2から受ける反力によって第1のリップ部13をインバース面Fiに押し付けるようになっている。このとき、リップ部13,14の先端部間の幅は、凹溝5の幅wのばらつき上限値より所定量だけ大きくして、第1のリップ部13をインバース面Fiに押し付ける反力をより確実に得られるようにするのが好適である。
【0019】
そして、第1のリップ部13の剛性を第2のリップ部14の剛性より高くして、第1のリップ部13を大きく撓ませることなくインバース面Fiとの係止状態が維持されやすい姿勢に保持することができるため、ルーフモール10を凹溝5により確実に嵌着することができる。
【0020】
リップ部13,14の剛性は、各リップ部13,14の厚み、長さ、材質等によって適宜に調整することができる。本実施形態では、第1のリップ部13を第2のリップ部14に比べて厚くかつ短く形成してある。また、本実施形態では、2色成形等することで各リップ部13,14の根元部と先端部とで違う材料を用いている。かかる構成により、各リップ部13,14の弾発力ならびに剛性を適宜に調整することができる。
【0021】
また、本実施形態では、本体部12に、第1のリップ部13より凹溝5の開放側で第1の縦壁5W1に当接する支持突起16を設けてある。この支持突起16によって、ルーフモール10が第1の縦壁5W1(インバース面Fi)側に倒れ込むのが抑制され、以て、インバース面Fiと第1のリップ部13との係止状態をより確実に維持することができる。また、かかる倒れ込みを抑制することで、第2のリップ部14が凹溝5の開放側(図3では上方)に移動するように(図3の反時計回り方向,X2方向に)ルーフモール10が回動しながら凹溝5から抜け出すのを抑制することができる。なお、支持突起16は、ルーフモール10が倒れ込むのを支えるのに十分な剛性を持つように設定される。また、倒れ込みをより確実に抑制するため、支持突起16は、凹溝5内に設け、倒れ込もうとした際に、支持突起16の先端が第1の縦壁5W1の側面に当接するように設けるのが好適である。
【0022】
また、本実施形態では、本体部12の上端部から第2の縦壁5W2の段部5S2に至る天井リップ部17を突設してある。
【0023】
上記構成のルーフモール10を凹溝5に嵌着するに際しては、図4に示すように、まずは、支持突起16の先端部を第1の縦壁5W1の段部5S1に当接する。そして、その支持突起16を支点として、ルーフモール10を矢印X1方向に回転させつつ押し込んで、容易に取り付けることができる。このとき、図4に示すように、第1のリップ部13を、第1の縦壁5W1に当接しない程度に短く設定しておくのが好適である。これにより、押し込み力を低減することができる。
【0024】
ところで、ペイントシールPsは、重ね合わせ端部4Eに局部的に塗布すれば良いのであるが、図3に示すように、場所によってはペイントシールPsの塗布量が多くなって第2の縦壁5W2の下部まで塗布されてしまう場合もあり得る。このような場合には、第2の縦壁5W2による係止効果が低くなってしまう虞がある。
【0025】
しかし、本実施形態にかかるルーフモール10の取付構造によれば、付勢機構としての第2のリップ部14によって、第1のリップ部13を第1の縦壁5W1のインバース面Fiに押し付けるため、当該インバース面Fiによって第1のリップ部13ひいてはルーフモール10がより確実に係止されて、凹溝5から抜け出るのが抑制される。
【0026】
特に、本実施形態では、凹溝5に嵌着されていない状態での第1のリップ部13の先端から第2のリップ部14の先端までの幅を凹溝5の底部の幅wより広くし、かつ第2のリップ部14の剛性を第1のリップ部13の剛性より低くしてある。このため、第2のリップ部14が第2の縦壁5W2からの反力を受け、当該反力によって第1のリップ部13がインバース面Fiに押し付けられる状態をより確実に得ることができる。また、第2のリップ部14の撓み(曲げ)により、凹溝5の幅のばらつきを吸収できるとともに、第1のリップ部13については撓みを比較的小さくして、インバース面Fiとの係止状態を維持しやすい姿勢に保持することができ、以て、第1のリップ部13とインバース面Fiとの係止状態をより確実に維持することができる。
【0027】
さらに、本実施形態では、ルーフモール10の本体部12に、第1のリップ部13より凹溝5の開放側で第1の縦壁5W1に当接する支持突起16を設けた。このため、ルーフモール10が凹溝5内で第1の縦壁5W1側に倒れ込むのを抑制して、第1のリップ部13とインバース面Fiとの係止状態を維持しやすくするとともに、第2のリップ部14が凹溝開放側に移動するように回動しながらルーフモール10が凹溝5から抜け出すのを抑制することができる。
【0028】
したがって、本実施形態によれば、図3に示すように、第2の縦壁5W2の下部にペイントシールPsが誤って塗布されてしまった場合にも、ルーフモール10の保持力が低下するのを抑制できる。
【0029】
また、本実施形態では、ルーフパネル2によって、インバース面Fiを有する第1の縦壁5W1を形成した。サイドアウタパネル3にインバース面を形成しようとすると、短い幅の領域で大きく屈曲変形させる必要が生じるため、インバース面として機能する傾斜角度を精度良く設定しにくい場合があるが、本実施形態では、ルーフパネル2にインバース面Fiを設定したため、より確実にルーフモール10が凹溝5から抜け出すのを抑制することができる。
【0030】
そして、本実施形態によれば、ルーフモール10の浮上りや外れを抑制でき、ルーフモール10をその全長に亘って波打ちを抑えつつ綺麗に凹溝5に嵌着できるため、取り付けたルーフモール10の外観性を向上できる。
【0031】
(第2実施形態)図5は、本発明の第2実施形態にかかるルーフモールの取付構造について、凹溝にルーフモールを取り付けた状態の断面図である。
【0032】
本実施形態にかかるルーフモール10Aでは、本体部12の上端に凹溝5の開口部を覆う天井リップ部15を設け、該天井リップ部15の溝幅w方向両側部15a,15bを段部5S1,5S2に当接させてある。そして、この天井リップ部15の車幅方向内側の側部15aを支持突起として用いている。リップ部13,14の幅や剛性の設定等は上記第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0033】
(第3実施形態)図6〜図9は本発明の第3実施形態を示している。このうち、図6は、凹溝にルーフモールを取り付けた状態の断面図、図7は、ルーフモールの取付端部の分解斜視図、図8は、ルーフモールのエンドキャップの取付状態を示す断面図、図9は、フロントサイドモールの副クリップの取付状態を示す断面図である。
【0034】
本実施形態では、図6に示すように、相互に重ね合わせたルーフパネル2およびサイドアウタパネル3の両端部2a,3aのうち、第1の縦壁5W1が形成されかつ上側に配置されたルーフパネル2の側端部2aを屈曲形成してその端縁を起立させることで、凹溝5の底部から立設された凸部としてのリブ20を形成してある。一方、ルーフモール10Bの本体部12には、このリブ20に嵌着する凹部21を形成してある。
【0035】
そして、凹溝5にルーフモール10Bを嵌着する際に、本体部12の凹部21を凹溝5の底部5Bから立設されたリブ20に差し込むようになっている。本実施形態では、このように凹部21を凸部としてのリブ20に差し込むことで、第1の縦壁5W1のインバース面Fiに対する第1のリップ部13の位置が規定され、これにより第1のリップ部13がインバース面Fiに押し付けられるようになっている。すなわち、本実施形態では、リブ20と凹部21が形成されたルーフモール10Bとによって付勢機構が構築されている。
【0036】
なお、接合部分4では、上側となる重ね合わせ端部4E′、つまりリブ20の根本部に、ペイントシールPsが塗布される。本実施形態では、重ね合わせ端部4E′が底部5Bの幅方向中央部に位置する関係上、ペイントシールPsが第2の縦壁5W2に誤って塗布される確率は低いが、仮に塗布されたとしても、第2の縦壁5W2に当接する第2のリップ部が設けられていないため、影響は小さい。
【0037】
また、本実施形態では、図7に示すように、ルーフモール10Bの前端部に装着するエンドキャップ6に、フロントサイドモール8の後端部を装着する副クリップ30を一体に形成してある。そして、エンドキャップ6を、図8に示すように、凹溝5の底部5Bから立設したクリップ7に係着し、副クリップ30を、図9に示すように、凹溝5の底部5Bに装着してある。
【0038】
したがって、本実施形態によれば、付勢機構として、ルーフパネル2またはサイドアウタパネル3の端部2a,3a(本実施形態ではルーフパネル2の側端部2a)を屈曲形成することで凹溝5の底部から立設された凸部としてのリブ20と、ルーフモール10Bの本体部12に設けられてリブ20に嵌着する凹部21と、が形成されている。このため、リブ20と凹部21との嵌着によって、凹溝5におけるルーフモール10Bの位置をより確実に規定し、これにより、第1のリップ部13を第1の縦壁5W1のインバース面Fiにより確実に押し付けることができる。すなわち、本実施形態によれば、インバース面Fiによる第1のリップ部13の係止効果をより確実に得ることができ、ルーフモール10Bが凹溝5から抜け出すのをより確実に抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、付勢機構を成す凸部を、第1の縦壁5W1が形成されるルーフパネル2の端縁を屈曲して起立させたリブ20とした。こうすることで、インバース面Fiおよびリブ20ともにルーフパネル2に形成されることになるため、インバース面Fiとリブ20との間隔をより精度良く規定することができ、インバース面Fiによる第1のリップ部13の係止効果をより確実に得ることができる。また、ルーフパネル2の端縁を屈曲形成して起立させるのみで済む分、凸部を得るのに伴う製造コストの上昇や手間の増大を抑制できる。
【0040】
また、図10〜図14は、第3実施形態の第1〜第5変形例をそれぞれ示す断面図である。本発明は、これら種々の変形例としても実施可能である。
【0041】
図10は、第3実施形態の第1変形例を示している。この変形例では、第2実施形態と同様に本体部12の上端に天井リップ部15を設け、その溝幅w方向両側部15a,15bを第1・第2の縦壁5W1,5W2の段部5S1,5S2に当接してある。
【0042】
図11は第2変形例を示している。この変形例では、天井リップ部15を凹溝5の開口部内に配置してある。また、凹溝5の開口幅が広くなっているため、天井リップ部15の両側部15a,15bを第1・第2の縦壁5W1,5W2に当接させていない。
【0043】
図12は第3変形例を示している。この変形例では、ルーフパネル2がサイドアウタパネル3よりも低くなっている。そして、天井リップ部15の他側部15bのみを段部5S2に当接させてある。
【0044】
図13は第4変形例を示している。この変形例では、第2変形例と同様に天井リップ部15を凹溝5の開口部内に配置してある。また、凹溝5の開口幅が狭くなっており、天井リップ部15の両側部15a,15bを第1・第2の縦壁5W1,5W2に当接させてある。なお、この場合は、一側部15aを支持突起16として兼用することができる。
【0045】
図14は第5変形例を示している。この変形例は、基本的に第1変形例と同様であるが、凹溝5の開口幅を広く形成してある。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、第1の縦壁5W1をサイドアウタパネル3側に、第2の縦壁5W2をルーフパネル2側にそれぞれ形成してもよい。この場合、接合部分4の上側にはサイドアウタパネル3の上端部3aが配置されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるルーフモールの取付構造を適用した車体ルーフ片側の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるルーフモールの取付構造を適用した車体ルーフ片側の斜視図であってルーフモールを取り外した状態を示す図である。
【図3】図1中A−A線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるルーフモールの取付構造の断面図であって、凹溝にルーフモールを取り付ける途中の状態を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかるルーフモールの取付構造の断面図であって、凹溝にルーフモールを取り付けた状態を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかるルーフモールの取付構造の断面図であって、凹溝にルーフモールを取り付けた状態を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかるルーフモールの取付構造のルーフモールの取付端部の分解斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかるルーフモールの取付構造のルーフモールのエンドキャップの取付状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態にかかるルーフモールの取付構造のフロントサイドモールの副クリップの取付状態を示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態の第1変形例にかかるルーフモールの取付構造の断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態の第2変形例にかかるルーフモールの取付構造の断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の第3変形例にかかるルーフモールの取付構造の断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態の第4変形例にかかるルーフモールの取付構造の断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態の第5変形例にかかるルーフモールの取付構造の断面図である。
【符号の説明】
【0048】
2 ルーフパネル
2a (ルーフパネルの)端部
3 サイドアウタパネル
3a (サイドアウタパネルの)端部
4 接合部分
5 凹溝
5B 底部
5W1 第1の縦壁
5W2 第2の縦壁
10,10A,10B ルーフモール
12 本体部
13 第1のリップ部
14 第2のリップ部
16 支持突起
20 リブ(凸部)
21 凹部
Fi インバース面
w 溝幅
Ps ペイントシール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフパネルの車幅方向両側の端部とサイドアウタパネルの上端部とを重ね合わせて接合し、その重合部分が底部となるように凹設して凹溝を形成し、当該重合部分で上側となる端部にペイントシールを塗布するとともに、当該凹溝にルーフモールを嵌着したルーフモールの取付構造であって、
前記凹溝で相互に対向する両縦壁のうち前記ペイントシールが存在する側とは反対側となる第1の縦壁の溝側の側面を、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かうインバース面とし、
前記ルーフモールの本体部に、前記第1の縦壁に弾接する第1のリップ部と、前記凹溝で前記第1の縦壁に対向する第2の縦壁に弾接する第2のリップ部と、を設け、
前記凹溝に嵌着されていない自由状態での前記第1のリップ部の先端から第2のリップ部の先端までの幅を前記凹溝の底部の幅より広くし、かつ第2のリップ部の剛性を第1のリップ部の剛性より低くするとともに、
前記第2のリップ部が前記第2の縦壁から受ける反力によって第1のリップ部を前記インバース面に押し付けて、当該インバース面によって第1のリップ部を係止し、
前記ルーフモールの本体部に、前記第1のリップ部より前記凹溝の開放側で前記第1の縦壁に当接する支持突起を設けたことを特徴とするルーフモールの取付構造。
【請求項2】
ルーフパネルの車幅方向両側の端部とサイドアウタパネルの上端部とを重ね合わせて接合し、その重合部分が底部となるように凹設して凹溝を形成し、当該重合部分で上側となる端部にペイントシールを塗布するとともに、当該凹溝にルーフモールを嵌着したルーフモールの取付構造であって、
前記凹溝で相互に対向する両縦壁のうち前記ペイントシールが存在する側とは反対側となる第1の縦壁の溝側の側面を、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かうインバース面とし、
前記ルーフモールの本体部に、前記第1の縦壁に弾接する第1のリップ部を設け、
前記ルーフパネルまたは前記サイドアウタパネルの端部を屈曲形成することで前記凹溝の底部に凸部を立設し、
前記ルーフモールの本体部に前記凸部に嵌着する凹部を形成したことを特徴とするルーフモールの取付構造。
【請求項3】
前記凸部は、前記ルーフパネルおよびサイドアウタパネルのうち前記第1の縦壁が形成されるパネルの端縁を屈曲して起立させたリブであることを特徴とする請求項2に記載のルーフモールの取付構造。
【請求項4】
前記第1の縦壁を前記ルーフパネルに形成したことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載のルーフモールの取付構造。
【請求項1】
ルーフパネルの車幅方向両側の端部とサイドアウタパネルの上端部とを重ね合わせて接合し、その重合部分が底部となるように凹設して凹溝を形成し、当該重合部分で上側となる端部にペイントシールを塗布するとともに、当該凹溝にルーフモールを嵌着したルーフモールの取付構造であって、
前記凹溝で相互に対向する両縦壁のうち前記ペイントシールが存在する側とは反対側となる第1の縦壁の溝側の側面を、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かうインバース面とし、
前記ルーフモールの本体部に、前記第1の縦壁に弾接する第1のリップ部と、前記凹溝で前記第1の縦壁に対向する第2の縦壁に弾接する第2のリップ部と、を設け、
前記凹溝に嵌着されていない自由状態での前記第1のリップ部の先端から第2のリップ部の先端までの幅を前記凹溝の底部の幅より広くし、かつ第2のリップ部の剛性を第1のリップ部の剛性より低くするとともに、
前記第2のリップ部が前記第2の縦壁から受ける反力によって第1のリップ部を前記インバース面に押し付けて、当該インバース面によって第1のリップ部を係止し、
前記ルーフモールの本体部に、前記第1のリップ部より前記凹溝の開放側で前記第1の縦壁に当接する支持突起を設けたことを特徴とするルーフモールの取付構造。
【請求項2】
ルーフパネルの車幅方向両側の端部とサイドアウタパネルの上端部とを重ね合わせて接合し、その重合部分が底部となるように凹設して凹溝を形成し、当該重合部分で上側となる端部にペイントシールを塗布するとともに、当該凹溝にルーフモールを嵌着したルーフモールの取付構造であって、
前記凹溝で相互に対向する両縦壁のうち前記ペイントシールが存在する側とは反対側となる第1の縦壁の溝側の側面を、凹溝開放側に向かうにつれて溝幅方向内側に向かうインバース面とし、
前記ルーフモールの本体部に、前記第1の縦壁に弾接する第1のリップ部を設け、
前記ルーフパネルまたは前記サイドアウタパネルの端部を屈曲形成することで前記凹溝の底部に凸部を立設し、
前記ルーフモールの本体部に前記凸部に嵌着する凹部を形成したことを特徴とするルーフモールの取付構造。
【請求項3】
前記凸部は、前記ルーフパネルおよびサイドアウタパネルのうち前記第1の縦壁が形成されるパネルの端縁を屈曲して起立させたリブであることを特徴とする請求項2に記載のルーフモールの取付構造。
【請求項4】
前記第1の縦壁を前記ルーフパネルに形成したことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載のルーフモールの取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−113751(P2009−113751A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291939(P2007−291939)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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