説明

ループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋

【目的】 圧縮状態の包装袋から物品の取り出しが容易な開封開口となり、しかもその開封後の運搬用のループ状ハンドルの強度を十分に維持できる圧縮物品用包装袋を提供すること。
【構成】 圧縮物品を収容し、該圧縮面に配した一対の側面パネル部、前面パネル部及び背面パネル部で該物品の四方を囲い、且つ上面パネル部と底面パネル部とで上下面を閉鎖して形成し、また上記上面パネル部の周囲に形成された帯状のまち部にループ状ハンドルを有する略直方体の圧縮物品用包装袋において、上記前面パネル部から上記上面パネル部を通って上記背面パネル部に至り、且つ該上面パネル部で、上記ループ状ハンドルのループ内域を避けて上記まち部を横断するミシン目又は切れ目が連続的に形成してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋に関するものであり、より詳しくは、紙オムツ、生理用品等を圧縮状態で包装するプラスチック製バックであって、物品の取り出しが容易な開口となる易開封部を有したループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】一般に、紙オムツ、生理用品等は複数個のものを整列させた状態で圧縮し、圧縮状態で包装袋に収納されて搬送、販売される。そして、このような圧縮物品用包装袋では開封用ミシン目やループ状ハンドルを有するものが従来から提案されている。
【0003】例えば、図5に示す如く従来のループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋70は、紙オムツ等を整列させて圧縮した複数の物品を収納しており、一対の側面パネル部4、4、前面パネル部2及び背面パネル部3でその整列物品の四方を囲い、側面パネル部4、4の間でその整列方向から物品を圧縮している。また包装袋70は上面パネル部5と底面パネル部とで上下面が閉鎖され、上面パネル部5の周囲には帯状のまち部7が形成されている。そして、前面パネル部2及び背面パネル部3に対応する位置には、それぞれループ状ハンドル6、6が取付られている。また、前面パネル部2及び背面パネル部3に略沿ったミシン目8が、開封開口として上面パネル部5の略中央に形成してある。
【0004】このようなループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋70において、圧縮物品を取り出す際にはミシン目8に沿って開封する。そして、物品の取り出しは、開封開口から圧縮物品の上部を摘んで一枚毎に引き出す方式である。しかし、この場合、側面パネル部4、4の間での挟圧が高く維持されるため、物品が非常に引き出ししにくくなっている。かかる問題を解決するために、圧縮物品を容易に取り出すことのできる開封開口とするための開封部付プラスチックバックとして、側面パネル部に馬蹄型の開封用ミシン目を形成したものが提案されている(特開平2−109858号公報)。しかし、この場合、開封した開口が側面に限定されるため、開口面積が狭くなるおそれがあり、物品の取り出し時の引っかりや袋内に残る物品の取り出しが容易でない。
【0005】また、従来の圧縮物品用包装袋の開封部として、側面パネル部及び上面パネル部に及ぶ開封用ミシン目が形成されたものが提案されている(特開平3−98848号公報)。かかる包装袋の開封部の開口では、その開口面積が広くなり物品の掴み易さの改善が見られるものの、物品の側部の大部分は未だ前面パネル及び背面パネルに接触しており、物品の取り出し時に摩擦抵抗があり、物品の取り出し難さが残る。更に、圧縮物品用包装袋としては、前面パネル部及び背面パネル部の一部を含めた開封部を形成したものが提案されている(特開平5−503059号公報)。かかる開封開口面積は広くなり、物品の取り出し易さが改善されるものの、開封後の吊手強度を十分に維持できなくなるおそれがある。従って、本発明の目的は、圧縮状態の包装袋から物品の取り出しが容易な開封開口となり、しかもその開封後の運搬用のループ状ハンドルの強度を十分に維持できる圧縮物品用包装袋を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、圧縮物品を収容し、該圧縮面に配した一対の側面パネル部、前面パネル部及び背面パネル部で該物品の四方を囲い、且つ上面パネル部と底面パネル部とで上下面を閉鎖して形成し、また上記上面パネル部の周囲に接続形成された帯状のまち部にループ状ハンドルを有する略直方体の包装袋において、上記前面パネル部から上記上面パネル部を通って上記背面パネル部に至り、且つ該上面パネル部で、上記ループ状ハンドルのループ内域を避けて上記まち部を横断するミシン目又は切れ目が連続的に形成してなることを特徴とするループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
【作用】上記ループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋に使用する圧縮物品は、複数個を整列させてその包装袋内に収納してあり、各物品の列は一列に限らず、複数列を上下或いは左右に並列してある場合もある。また圧縮物品はその整列方向から側面パネル部の間で挟圧された状態になる。かかる圧縮物品が収納された状態において、上記包装袋から圧縮物品を取り出す際には、例えば、包装袋のまち部のミシン目を境にしてまち部を把持し上面パネル部から前面パネル部及び背面パネル部を切り裂いて開封開口すること等ができる。これにより、圧縮された物品の上部が圧力開放されて開封開口より飛び出す状態となり物品の取り出しが容易となる。
【0008】また開封後もループ状ハンドルのループは切断されることなく、そのままの状態が十分に維持されているため、持ち運び性が損なわれることがない。更に包装袋内に残った物品の取り出しには、開封開口面積が広く容易に袋部内に手が入って取り出されるが、前面パネル部及び背面パネル部にも沿ったミシン目がある場合には、その切り開きにより包装袋内の奥に残った物品も容易に取り出すことができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋を添付図面に従って詳説する。図1は本実施例に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋の斜視図である。図2は本実施例に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋の開封時の斜視図である。
【0010】図1及び図2に示す如く、本実施例に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋1は、紙オムツ等の圧縮物品10を整列させて収容し、その圧縮物品10の圧縮面に配した一対の側面パネル部4、4、前面パネル部2及び背面パネル部3で整列した圧縮物品10、10・・の四方を囲い、上面パネル部5と底面パネル部とで上下面を閉鎖して形成し、また上面パネル部5の周囲に接続形成された帯状のまち部7にループ状ハンドル6を有する略直方体の包装袋である。しかして、ループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋1は、前面パネル部2から上面パネル部5を通って上記背面パネル部3に至り、且つ上面パネル部5で、上記ループ状ハンドル6のループ内域を避けてまち部7を横断するミシン目8(又は切れ目)が連続的に形成してなるものである。
【0011】本実施例に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋1を更に説明すると、図1及び図2に示す如くループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋1には圧縮可能な物品である紙オムツ10、10が整列して収納される。紙オムツ10は整列方向から圧縮、即ち包装袋1の側面パネル部4、4間で挟圧され、その圧縮率は圧縮物品の種類にもよるが本実施例の紙オムツ10においては50%程度である。
【0012】側面パネル部4の両端縁でそれぞれ前面パネル部2及び背面パネル部3が接続或いは一体に形成され、紙オムツ10、10・・はこれらのパネル部2、3、4、4で四方が囲まれている。また紙オムツ10、10・・は図示しない底面パネル部及び上面パネル部5に上下が覆われ、上面パネル部5にはその周縁に帯状のまち部7が形成されている。前面パネル部及び背面パネル部に対応するまち部7にはそれぞれループ状ハンドル6、6が取付られている。
【0013】上記包装袋1には、開封部用のミシン目8(又は切れ目)が側面パネル部4に略平行にしてその前面パネル部2から上面パネル部5を通って背面パネル部3に連続的に形成してある。そして、上面パネル部5においては、ミシン目8はループ状ハンドル6の設置部分を避けてまち部7を横断して形成してある。この場合、前面パネル部2及び背面パネル部3でのミシン目8の長さは、圧縮物品の圧縮率及び形状に左右されるが、好ましくは上面から30〜80%の範囲がよく、この範囲では物品を容易に取り出すことができるようになる。尚、本実施例のように紙オムツ10を50%程度の高圧縮率としたときにはミシン目8は上面から50〜60%の範囲であることが好ましい。
【0014】次に、ループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋1の開封について示すと、例えば、ミシン目8を境にしてまち部7を把持してその反対側のまち部7を引き、ミシン目8から切り裂き、上面パネル部5、前面パネル部2及び背面パネル部3を切り開く。これにより、図2に示す如く開封部が容易に開口し、ミシン目8のない部分である包装袋1の下部では、紙オムツ10、10・・の下部を拘束する圧縮力が残る一方、拘束されない上部では圧縮力が開放されて紙オムツ10、10・・が扇状に広がる。このため、開封後の包装袋1内からの紙オムツ10の落下が下部で防止される一方、上部で紙オムツ10、10・・の間に隙間が生じ、紙オムツ10を容易に取り出すことができる。
【0015】またこの場合、紙オムツ10の側部と前面パネル部2及び背面パネル部3との接触面積が少なく、その紙オムツ10の引出し時の摩擦が少ない。また開口部9が大きいため、紙オムツ10を引き出す際の包装袋1の内壁との接触が少なく容易に紙オムツ10を引き出すことができる。更に、ループ状ハンドル6はミシン目8に影響されないため、開封後もその強度低下は少なく持ち運び性が損なわれない。
【0016】次に、本発明の別の実施例を図3及び図4にしたがって説明する。図3及び図4は、別の実施例に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋の斜視図である。本実施例に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋11は、図1及び図2に示す実施例とほぼ同様に構成されており、図1及び図2に示す実施例における部材と同様な部材については図3及び図4において同一符号を付してその詳しい説明を省略するが、図1及び図2の実施例と相違するところは、前面パネル部2及び背面パネル部3に略沿ったミシン目8A(又は切れ目)が形成されていることである。即ち、ミシン目8Aは上面パネル部5の略中央に形成され、上面パネル部5を横断するミシン目8と直交している。
【0017】このような構成においても、図1及び図2の実施例と同様な作用効果を奏する他に、前面パネル部2及び背面パネル部3がミシン目8Aの切開により更に広がり、物品10の横方向の拘束がなくなり、且つ上面パネル部5から物品10が更に掴み易くなり、包装袋1内の奥に残った物品10も容易に取り出すことができる。尚、上記実施例では、圧縮物品に紙オムツ10を用いたが、これに限るものではなく、収縮性のある物品であれば本実施例に適用することができ、例えば、生理用ナプキン等でも良い。また上記実施例ではミシン目8、8Aを開封部に設けたが、易切裂き可能な切れ目である限り、ミシン目8、8Aに限ることはない。
【0018】
【発明の効果】本発明に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋では、圧縮状態の包装袋から物品の取り出しが容易な開封開口となり、しかもその開封後の運搬用のループ状ハンドルの強度を十分に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋の斜視図である。
【図2】本実施例に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋の開封時の斜視図である。
【図3】別の実施例に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋の斜視図である。
【図4】別の実施例に係るループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋の開封時の斜視図である。
【図5】従来のループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋の斜視図である。
【符号の説明】
1、11 ループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋
2 前面パネル部
3 背面パネル部
4 側面ガセットパネル部
5 上面パネル部
6 ループ状ハンドル
7 まち部
8、8A ミシン目
9 開封開口
10 紙オムツ(圧縮物品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮物品を収容し、該圧縮面に配した一対の側面パネル部、前面パネル部及び背面パネル部で該物品の四方を囲い、且つ上面パネル部と底面パネル部とで上下面を閉鎖して形成し、また上記上面パネル部の周囲に形成された帯状のまち部にループ状ハンドルを有する略直方体の圧縮物品用包装袋において、上記前面パネル部から上記上面パネル部を通って上記背面パネル部に至り、且つ該上面パネル部で、上記ループ状ハンドルのループ内域を避けて上記まち部を横断するミシン目又は切れ目が連続的に形成してなることを特徴とするループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋。
【請求項2】 上記前面パネル部及び上記背面パネル部に略沿ったミシン目又は切れ目が、上記上面パネル部の略中央に形成され、且つ上記上面パネル部を横断するミシン目又は切れ目と接続してなることを特徴とする請求項1記載のループ状ハンドルを有する圧縮物品用包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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