説明

レチノイドを製造する方法およびその使用

本明細書はレチノイドを製造する方法を記載する。明細書にはレチノイドおよびその使用方法も記載する。本発明は、一実施形態において、式IIIを有する化合物を製造する方法を提供し、この方法は、式Iを有する化合物を、ゼロ価の金属原子、金属塩、またはこれらの混合物を含み、亜鉛金属だけではないカップリング剤の存在下で、式IIを有する化合物と反応させる工程を包含する。上記式中の置換基は、本明細書中に定義されるとおりである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2004年8月24日に出願された米国仮特許出願第60/604,089号に対する優先権を主張する。米国仮特許出願第60/604,089号は、本明細書中にその全体が参考として援用される。
【0002】
(謝辞)
本発明に導く研究が一部国立衛生研究所、承認番号No.5P50CA89019、の援助で行われた。アメリカ合衆国政府は本発明の不特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
レチノイド受容体およびステロイド、サイロイドおよびビタミンDホルモン受容体、およびリガンドが不明の他の「オーファン」受容体を含む、核受容体のこのスーパーファミリーの他のメンバーは、医薬品開発の新しい標的である(非特許文献1)。レチオニン酸(RA)および合成レチノイド類は、複数の核レチノイド受容体の異なるメンバーとともにリガンド−依存性転写因子として作用し、細胞の増殖、分化、成長、および細胞死に関与する遺伝子転写を制御すると考えられている(2)。今までのところ、核レチノイド受容体の2つのクラス(RARおよびRXR)が識別されており、それぞれ、数種の異なるサブタイプ(α、β、γ)がある。(all−E)−RAも(9Z)−RAもRARに結合し、RAR/RXRヘテロ二量体が仲介する転写を活性化するが、ホモ二量体またはヘテロ二量体を形成することによって転写を仲介するRXRに関しては、(9Z)−RAが、最も効力のあるレチオニン酸異性体である。
【0004】
化学療法および化学的予防法における最近の進歩では、数種のタイプの癌の予防または治療のためにレチノイドを使用することに関心が高まってきており、主な治療的成功例として、ある白血病におけるレチノイドの使用が実証されてきている(非特許文献2)。急性前骨髄球性白血病(APL)を患う患者の(all−E)−RA治療は、骨髄芽球の好中球への正常成熟とアポトーシスとを誘発することによって、これらの患者において、90%の完全寛解率の結果となるが、この分化療法は、一過性であり、たぶんレチオニン酸に対する耐性ができるため、普通、3〜15ヶ月以内に再発する(非特許文献3)。(13Z)−RAは、若年性骨髄単核球性白血病(JMML)を患う子供の50%まで、過剰な骨髄増殖を効果的に制御する(5)。しかし、この処置は治癒的ではなく、よくても疾患の安定化期間を延ばすことができるだけで、最終的には、患者は、同種骨髄移植を受ける必要がある(4、6)。
【0005】
全トランスレチオニン酸(ATRA)は、APLを患う患者の(標準的な細胞毒性癌の化学療法よりむしろ)分化療法に使用する、FDAが許可した薬剤の最初の例である。該薬剤は、APL治療において高い効果を示したものの、治療量のATRAによって、臨床耐性がたびたび起こり、APL患者はしばしば再発する(4)。低い投与薬剤量で、ATRAと同じくらい速く耐性を誘導しないことが期待され、より効果的な療養を提供するために、新しい、高活性のレチノイドが認知されることが必要である。
【0006】
癌予防において最も見込みのあるレチノイドのある種のものは、9cRAであり、RXRに結合する関連類縁体である。9cRAをラットの食餌に加えると、N−メチル−N−ニトロソウレア(MNU)−誘発乳癌の数が、92%減少した(30)。しかし、毒性が大きいため、ヒトにおける癌の化学的予防法のための9cRAの有用性は限定される(31〜33)。治療指数を増やすため、9cRAのRXR−選択的類縁体の合成に向けて、多大な努力がなされてきた(34,35)。我々の研究所では、そのようなレチノイド類のいくつかの合成を記述し、これらの化合物が、皮膚腫瘍の予防に効果的であり、天然のレチノイド類より毒性が低いことを示した(36)。次に、我々は、RXRに関する選択的アゴニストである9cUAB30の合成を報告した(37)。近年、我々は、このレチノイドは、乳癌の化学予防的効能において、9cRAと匹敵するが、毒性はほとんどないことを示した(Atigaddaら,J.Med.Chem.,2003)。
【0007】
エストロゲン拮抗剤であるタモキシフェンは、乳癌予防に関し、米国医薬品管理局が許可した最初の薬剤であった。この薬剤および他の選択的エストロゲン受容体調整剤(SERM)は、乳癌の種々な段階で重要な治療法として評価されてきた(38)。しかし、抗−エストロゲン療法には、危険性および限界がないわけではなく、したがって、効果的で毒のない、新しい癌化学予防剤が必要である。
【0008】
レチノイドを高収率および立体選択性で製造することが望まれる。たとえば、レチノイドは、一般的に、シスまたはトランス立体化学のある、複数の炭素−炭素二重結合を有する。したがって、1つのレチノイドは、炭素−炭素二重結合の数に依って数種の立体異性体を持つ可能性がある。レチノイドへの合成経路は開発されているが、それらでは、高収率および立体選択性でレチノイドを製造しない。本明細書に記載される方法は、この必要性に対処している。
【非特許文献1】Rosenら、J.Med.Chem.(1995)38:4855−4874
【非特許文献2】Nadzan,A.M.,Annu Rev.Med.Chem.(1995)30:119−128
【非特許文献3】Degos,L.ら、Blood 85(1995)2643−2653
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書は、レチノイドを製造する方法を記載する。また、本発明は、レチノイドおよびその使用方法を記載する。
【0010】
本発明の利点は、一部、以下の説明に記載され、一部は、該記載から明らかになり、あるいは以下に記載された態様の実施によってわかる。以下に記載の利点は、添付の請求の範囲で特に指摘された構成および組合せによって、理解され達成されるであろう。先述の一般的記載および以下の詳細な説明は、例示的なものであり、例示としてのみ扱われ、限定するものではないことは理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の化合物、組成物および/または方法を開示し、記載する前に、当然のことながら、以下に記載する態様は、具体的な化合物、合成方法または用途に限定されるものではなく、言うまでもなく変化してよい。また、本明細書で使用する専門用語は、特定の態様を記載する目的のためだけであり、限定する意図がないことも当然である。
【0012】
本明細書およびそれに続く請求の範囲において、以下の意味を持つように定義された数多くの用語について述べる。
【0013】
明細書および添付の請求の範囲で使用される単数形「1つの」および「その」は、内容が明らかに他のことを示していない限り、複数のものも含むということに注意する必要がある。したがって、たとえば、「1種の薬学的に受容可能なキャリア」は、そのような担体などの2種以上の混合物を含む。
【0014】
「随意の」または「必要に応じて」は、後に記載する事象または状況が起こる可能性または起こらない可能性があることを意味し、該事象または状況が起こる場合と起こらない場合を含むことを意味する。たとえば、語句「必要に応じて、置換された低級アルキル」は、低級アルキル基が置換される可能性または置換されない可能性があることを意味し、該記載は、非置換低級アルキルと置換のある低級アルキルとの両方を含むことを意味する。
【0015】
1つの式において2つ以上の特定のR基が存在することを言う場合の用語「独立して」は、その特定のR基に関し挙げられた、可変部の任意の組合せを言う。式−NRR’において、RおよびR’は、独立して、水素、メチルまたはエチルであり、RおよびR’の任意の組合せであることを意図する。したがって、たとえば、Rが水素の時、R’は、水素でも、メチルでも、またはエチルでも可能である
範囲は、本明細書では、1つの特定の「おおよそ(約)」の値からおよび/または他の特定の「おおよそ(約)」の値までとして表現してもよい。このような範囲を表す場合、他の態様として、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までということも含む。値を近似として表現する場合も、前出の「おおよそ(約)」を使用する場合と同様に、特定の値が、その別の態様を形成すると理解される。さらに、複数の範囲のそれぞれの終点は、他の終点に関して重要であり、他の終点とは無関係でも重要であると理解される。
【0016】
本明細書および結びの請求の範囲における、組成物または物品中の特定の要素または成分の重量部の言及は、重量部で表されている該組成物または物品中の該要素または成分と任意のほかの要素または成分との重量関係を示す。つまり、2重量部の成分Xと5重量部の成分Yを含む化合物では、XおよびYは2:5の重量比で存在し、該化合物中に追加の成分が含まれるか否かに関係なく、そのような比で存在する。
【0017】
成分の重量%は、特に反対の記載がない限り、該成分が含まれている製剤または組成物の合計重量に基づく。
【0018】
本願で使用されるR〜R11、Xおよびnのような可変部は、反対の記載がない限り、以前に定義した可変部と同じである。
【0019】
炭素−炭素二重結合に対するE,Z−立体化学に関する用語「実質的に」は、1つの立体異性体(EまたはZ)が、他方より、95%を超える、97%を超える、98%を超える、99%を超える、99.5%を超える、または100%であることを言う。エナンチオマー純度に関する用語「実質的に」は、1エナンチオマーが、他のエナンチオマーに対し、95%を超える、97%を超える、98%を超える、99%を超える、99.5%を超える、または100%であることを言う。
【0020】
「被験体」は、個々の単位を意味する。被験体には、霊長類やヒトのような哺乳動物が可能である。用語「被験体」は、ネコ、イヌを含む(これらに限定されない)飼われている動物、家畜(たとえば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤキなど)、および実験動物(たとえば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、など)を含みうる。
【0021】
「治療」または「治療すること」は、組成物を、望ましくない状態(たとえば癌)やそのような状態になる危険性のある被験体または体系に投与することを意味する。状態は、疾患または疾患への疾病素質も含む。組成物の被験体への投与の効果は、状態の症状の軽減または予防の効果、状態の重症度の軽減、または状態の完全な消滅を含みうるが、これらに限定されない。
【0022】
「有効量」は、所望の結果(複数を含む)、たとえば腫瘍性状態の発生の減少または予防、を達成するために必要な治療量を意味する。
【0023】
本明細書で使用される用語「アルキル基」は、1〜15個の炭素原子の、分岐状または非分岐状の飽和炭化水素を言い、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、またはテトラデシルなどが挙げられる。「低級アルキル」基は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0024】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル基」は、少なくとも3個の炭素原子で構成される非芳香族炭素環である。シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。用語「シクロアルキル基」は、環中の少なくとも1個の炭素原子が、窒素、酸素、イオウまたはリン(これらに限定されない)のようなヘテロ原子で置換されているヘテロシクロアルキル基も含む。
【0025】
本明細書で使用される用語「アリール基」は、任意の炭素芳香族基であり、ベンゼン、ナフタレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。用語「アリール基」は、芳香族基の環内に導入された少なくとも1個のヘテロ原子を有するアリール基として定義される、「ヘテロアリール基」も含む。ヘテロ原子の例として、窒素、酸素、イオウ、リンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換または非置換でもよい。アリール基は、1個以上の基、たとえば、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ハライド、ニトロ、アミノ、エステル、ケトン、アルデヒド、ヒドロキシ、カルボン酸、またはアルコキシ(これらに限定されない)で置換可能である。
【0026】
本明細書で使用される用語「アラルキル」は、アリール基に結合する、先に定義したアルキル基を有するアリール基である。アラルキル基の例として、ベンジル基が挙げられる。
【0027】
開示される方法および組成物に使用することができる、これらと組合せて使用することができる、これらの製造に使用することができる、またはこれらの生成物である化合物、組成物および成分を開示する。本明細書では、これらおよび他の物質を開示し、これらの物質の組合せ、サブセット、相互作用、基などが、これらの化合物の様々な単位体、集合的組合せおよび順列のそれぞれの具体的な言及が明示的に開示されていないとしても、それぞれは、本明細書に具体的に意図され、記載されていると理解される。したがって、分子A、BおよびCのクラスが、分子D、EおよびFのクラスとともに開示され、A−Dの組合せ分子の例が開示される場合、それぞれが個別に列挙されていなくても、それぞれは独立しておよび組合せとして想定される。したがって、この場合、組合せA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−EおよびC−Fのそれぞれは具体的に想定され、A、BおよびC;D、EおよびFの開示、および組合せA−Dの例から開示されていると考えるべきである。同様に、これらのサブセットおよび組合せのいかなるものも、具体的に想定され、開示されている。したがって、たとえば、A−E、B−FおよびC−Eのサブグループは、具体的に想定され、A、BおよびC;D、EおよびFの開示、および組合せA−Dの例から開示されていると考えるべきである。この概念は、開示される組成物を製造および使用する方法の工程(これらに限定されない)を含むこの開示の全ての態様に当てはまる。したがって、実施することができる種々の追加的な工程がある場合、当然、これらの追加的な工程のそれぞれを、開示された方法の任意の具体的な実施態様または実施態様の組合せとともに実施することができ、そのような組合せのそれぞれは、本明細書で、具体的に想定され、開示されていると考えるべきである。
【0028】
さらに、一般式が数種の可変部を有する場合、該式中の可変部全ての組合せを想定している。たとえば、アリール環が1個以上のC−C15アルキル基で置換される場合、アリール環の可能性のある全ての置換に関し、異なるアルキル基を想定する。
【0029】
I.レチノイド化合物を製造する方法
本明細書では、レチノイド類を製造する方法を記載する。一態様では、レチノイド化合物を合成するために、図1に図示する反応スキームを使用することができる。図1の各化合物における各二重結合に関する立体化学が例示である。各二重結合に関する立体化学は、出発物質、試薬および反応条件の選択に応じて変化しうることが想定される。図1を参照すると、一態様では、合成は、カップリング剤の存在下で、環状ケトンIと化合物IIとを反応させ、スピロラクトン化合物IIIを製造することから始める。
【0030】
一態様では、式I中のRおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、あるいはRおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
nは0〜3であって、
式(I)の環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある。Rが水素でない場合、環状ケトンは、ラセミ形または実質的に、鏡像異性体的に純粋である可能性がある。環状ケトンが1個以上のR基を有することも想定される。複数のR基が存在する場合、該基は、同じまたは異なる可能性がある。さらに、2個の異なるR基が環上に存在する場合、それらは、該環の同じ炭素原子上にある、または異なる炭素原子にある可能性がある。別の態様では、式Iの環中の任意の炭素原子は、ヘテロ原子(たとえば、酸素、イオウまたは窒素)で置き換えうる。
【0031】
一態様では、式Iにおいて、nは1であり、RおよびRはC−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基である。他の態様では、式Iにおいて、nは1であり、RはCまたはそれ以上の分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、Rは、C−C15分岐状または直鎖アルキル基である。種々の態様で、式Iにおいて、nは1であり;Rはイソペンチル基であり;Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはベンジルであり;Rは水素である。
【0032】
他の態様では、環状ケトンIは、式XIを有する。
【0033】
【化31】

式中、Rは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
nは0〜3であり、
式XIのシクロアルキル環および/またはアリール環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある。
【0034】
一態様では、式XIにおいて、nは1であり、(1)RおよびRは水素であり;(2)Rは水素であり、かつRは1個以上のメチル基であり;(3)Rは水素であり、かつRは1個以上のメチル基であり、;あるいは(4)RおよびRは1個以上のメチル基である。他の態様では、式XIを有する環状ケトンは、4−メチル−1−テトラロン、5−メチル−1−テトラロン、6−メチル−1−テトラロン、7−メチル−1−テトラロン、8−メチル−1−テトラロン、または7−イソプロピル−1−テトラロンである。
【0035】
化合物II(図1)において、R〜Rは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、Xはハロゲンであり、式II中の炭素−炭素二重結合に関する立体化学は、実質的に、EまたはZである。一態様では、式IIにおいて、Rはメチル基であり、Xはブロマイドまたはクロライドである。他の態様では、式IIにおいて、Rはメチル基であり、Rはエチルまたはメチル基であり、Xはブロマイドまたはクロライドであり、RおよびRは水素である。
【0036】
IとIIとの反応は、2つの化合物の間の反応を容易にすることができる任意の化合物である、カップリング剤の存在下で行われる。一態様では、カップリング剤は、ゼロ価の金属原子、金属塩、またはこれらの混合物を含む。ただし、該カップリング剤は亜鉛金属単独ではない。一態様では、カップリング剤は、(1)亜鉛化合物および(2)ロジウム化合物または鉄化合物の混合物を含む。他の態様では、カップリング剤は、亜鉛化合物および銅化合物の混合物を含む。更なる態様では、カップリング剤は、亜鉛金属および銅塩の混合物を含む。銅塩の例として、塩化銅、酢酸銅などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
カップリング剤の存在下での化合物IとIIとの間の反応は、一般的に、溶剤の存在下で行われる。一態様では、たとえばTHFのような低沸点溶剤を使用することができる。低沸点溶剤を使用することによって、高温で反応を行う場合に比べて、化合物IIIの分解を減少させることができる。化合物I、IIおよびカップリング剤は、どのような順番でも添加することができる。反応時間および反応温度は、化合物I、II、およびカップリング剤の選択に応じて変化する。化合物IIIは、業界で公知の技術を用いて精製し、特性を特定することができる。
【0038】
図1を参照すると、化合物IIIを塩基と反応させることによる、化合物IIIの脱離開環によって、化合物IX(ここで、R〜R、R、R、およびnは、先に記載したとおりである)が製造される。米国特許第6,172,112号で明細書(参照によってその全体を本明細書に組み入れる)は、ここで使用することのできるスピロラクトンの脱離開環方法を開示する。塩基の例として、NaOH、KOH、Ca(OH)、KCO、またはNaCOが挙げられるが、これらに限定されない。化合物IIIの化合物IXへの変換によって、E−異性体、Z−異性体、またはこれらの混合物が製造されうる。一態様では、化合物IIIを単離することなく、化合物Iから化合物IXに直接進むことができる。この態様では、化合物IIIは、そのままで製造される。他の態様では、化合物Iから化合物IXへ化合物IIIを製造することなく直接進むことも想定する。たとえば、化合物Iを直接、化合物IXまたはIXのエステル誘導体に変換するため、ウィッティヒ、ホーナー・ワズワース・エモンズまたはピーターソンオレフィン化のようなオレフィン化反応も想定する。
【0039】
図1を参照すると、アルキルエーテル中で化合物IXを還元剤で反応させることによって、化合物IXが一級アルコールV(ここで、R〜R、R、Rおよびnは先に記載したとおり)に変換されている。数多くの還元剤が業界では公知であり、化合物IXの選択に応じて選択することができる。還元剤の例として、LiAlH、DIBAHまたはジボランが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、アルキルエーテルは、たとえば、ジエチルエーテルのような低級アルキルエーテルである。溶剤および反応温度を変更することによって、E−立体異性体のZ−立体異性体に対する比を変更することが可能である。一態様では、化合物IXを、たとえば予め形成されたLiAlHのエーテル溶液のような還元剤と反応させ、実質的にZ−立体異性体である、化合物Vを製造する。
【0040】
図1を参照すると、化合物Vが酸化され、アルデヒドVI(ここで、R〜R、R、Rおよびnは先に記載したとおりである)となる。
【0041】
一態様では、式Vにおいて、nは1であり、RおよびRは、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基である。他の態様では、式Vにおいて、nは1であり、Rは、Cまたはそれ以上の分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、Rは、C−C15分岐状または直鎖アルキル基である。種々の態様で、式Vにおいて、nは1であり;Rはイソペンチル基であり;Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはベンジルであり;Rは水素である。前述の態様の任意のものにおいて、RおよびRが水素である可能性がある。
【0042】
一態様では、化合物Vは、式XIIを有する。
【0043】
【化32】

(式中、R、R、R、R、Rおよびnは、先に記載したとおりである。)一態様では、式XIIにおいて、nは1であり、(1)RおよびRは水素であり;(2)Rは水素であり、かつRは1個以上のメチル基であり、;(3)Rは水素であり、かつRは1個以上のメチル基であり;または(4)RおよびRは、1個以上のメチル基である。先に記載の態様の任意のものにおいて、Rはメチルである可能性がある。先に記載の態様の任意のものにおいて、RおよびRは水素である可能性がある。他の態様では、化合物Vは、(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−4’−メチル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オール、(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−5’−メチル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オール、(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−6’−メチル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オール、(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−7’−メチル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オール、(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−8’−メチル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オール、または(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−7’−イソプロピル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オールである。
【0044】
酸化剤として、一級アルコールを酸化して対応するアルデヒドにできる任意の化合物が使用しうる。一態様では、酸化剤は、HCrO、CrO−ピリジン、ピリジニウムクロロクロメート、ピリジニウムジクロメート、Fe(VI)、スワーン酸化用試薬、ジメチルスルフィドおよびN−クロロスクシンイミド、テトラメチルピペリジンニトロオキシド、DMSO中の無水酢酸、DMSO中のP、トシルクロライド/トリエチルアミン、またはデス−マーチン試薬を含む。他の態様では、酸化剤は2−ヨードキシ安息香酸である。
【0045】
更なる態様では、酸化剤はMnOではない。アルデヒドVIを製造するために、大量のMnOと、粉末状モレキュラー・シーブが必要である。したがって、アルデヒドの単離および精製は非常に時間がかかる。アルデヒドの単離は、相当量の溶剤でMnOを洗浄する必要があり、その洗浄の時、多量のアルデヒドが分解し、低収率となる。これとは対照的に、ここで使用される酸化剤は、アルデヒド生成物の簡単なろ過およびろ液の濃縮しか必要でなく、生成物の分解および異性体化が最小になる。
【0046】
反応時間および温度は、化合物Vおよび酸化剤の選択に応じて変化する。化合物VIは、業界で公知の技術を用いて精製し、特性を特定することができる。
【0047】
図1を参照すると、式VIII:
【0048】
【化33】

(式中、R〜R、R、Rおよびnは前記のとおりである)を有する化合物は、
式VIを有する化合物と、式VII:
【0049】
【化34】

(式中、R、R10およびR11は、独立して、水素、あるいはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であって、式VIIの炭素−炭素二重結合に関する立体化学は、実質的に、E、Z、またはE,Z−混合物である)を有する化合物とを、テトラヒドロフランおよびヘキサメチルリン酸アミド(テトラヒドロフランのヘキサメチルリン酸アミドに対する体積比が1:1〜40:1である)を含む溶剤系で反応させることにより生成され得る。
【0050】
一態様では、式VIにおいて、nが1であり、RおよびRは、C−C15分岐状または直鎖アルキル基である。他の態様では、式VIに関し、nは1であり、Rは、Cまたはそれ以上の分岐状または直鎖アルキル基であり、Rは、C−C15分岐状または直鎖アルキル基である。他の態様では、式VIに関し、nは1であり;Rはイソペンチル基であり;Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはベンジルであり;Rは水素であり;Rはメチルである。先に記載の態様の任意のものにおいて、RおよびRは水素であり、R10はメチルであり、R11は水素、あるいはC−C15分岐状または直鎖アルキル基である。
【0051】
他の態様では、式VIaを有する化合物は、式XV:
【0052】
【化35】

(式中、R、R、R、R、R、およびnは先に記載したとおりである)を含む。
【0053】
一態様では、式XVにおいて、nは1であり、(1)RおよびRは水素であり;(2)Rは水素、かつRは1個以上のメチル基であり;(3)Rは水素であり、かつRは1個以上のメチル基であり;または(4)RおよびRは1個以上のメチル基である。先に記載の態様の任意のものにおいて、Rはメチルである可能性がある。先に記載の態様の任意のものにおいて、RおよびRは水素であり得る。先に記載の態様の任意のものにおいて、RおよびR10はメチルであり、RおよびRは水素であり、R11は水素、あるいは、C−C15分岐状または直鎖アルキル基である。
【0054】
1つの立体異性体として、または1つの立体異性体に豊富な化合物VIIIを製造することが望まれる。テトラヒドロフランとヘキサメチルリン酸アミドとの比を変えることによって、1つの立体異性体として化合物VIIIを優先的に製造することができる。さらに、化合物の精製も、化合物VIIIの1つの立体異性体が優先的に存在する場合、促進される。一態様では、テトラヒドロフランとヘキサメチルリン酸アミドとの体積比は、1:1〜40:1、1:1〜30:1、1:1〜20:1、1:1〜10:1、1:1〜8:1、1:1〜6:1、または1:1〜4:1である。
【0055】
式VIIIを有する化合物を製造する前に、たとえば、化合物VIaまたはVIbをヨウ素で反応するなど、業界で公知の技術を使用して、出発物質VIaおよびVIbを、他の立体異性体(すなわち、RC=CR結合に関しZをEへ、またはEをZへ)に異性化することができる。
【0056】
化合物VIII中のR11が水素でない場合、該エステルを、業界で公知の技術を使用して、対応する酸に変換することができる。たとえば、塩基、たとえば、KOH、NaOH、Ca(OH)、KCOまたはNaCOとの化合物VIIIのエステルの形の処理は、該エステルを酸の形に変換するために使用することができる。
【0057】
一態様では、化合物VIIIの精製は、
(a)化合物を溶剤に溶解し、均質溶液を生成することと;
(b)均質溶液を冷却し、化合物の結晶と、第二溶液とを生成することと;
(c)第二溶液を除去することとを含む。
【0058】
該方法は、一般的に、化合物VIIIの再結晶を含む。存在する立体異性体および選択される溶剤の性質および量によって、化合物VIIIの1種の立体異性体が、複数の化合物の混合物から結晶化される。化合物VIIIを溶解するために、一般的に有機溶剤を使用することができる。一態様では、溶剤は、1種以上の分岐状または直鎖脂肪族化合物、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはノナンから誘導されるものを含む。冷却工程(b)の温度および時間は、化合物VIIIおよび選択される溶剤に依って変化する。一態様では、冷却工程(b)は、0℃〜−78℃で行われる。他の態様では、冷却工程(b)は、10分〜48時間行われる。
【0059】
一態様では、本明細書において、式XX:
【0060】
【化36】

を有する化合物を製造する方法であって、
(a)式XXI:
【0061】
【化37】

を有する化合物を、式XXII:
【0062】
【化38】

(式中Rは水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、Xはハロゲンであり、式XXIIの炭素−炭素二重結合に関する立体化学は、実質的に、EまたはZ、あるいはE,Z−混合物である)を有する化合物と、カップリング剤(該カップリング剤は、ゼロ価の金属原子、金属塩、またはこれらの混合物であり、亜鉛金属単独ではない)の存在下で反応させ、式XXIII:
【0063】
【化39】

を有する第一化合物を生成する工程と、
(b)第一化合物を塩基と反応させ、式XXIV:
【0064】
【化40】

を有する第二化合物を生成する工程と、
(c)第二化合物を還元剤と反応させ、式XXV:
【0065】
【化41】

を有する第三化合物を生成する工程と、
(d)第三化合物を酸化剤(該酸化剤は、一級アルコールを酸化して対応するアルデヒドにすることのできる化合物を含み、MnOではない)と反応させ、式XXVI
【0066】
【化42】

を有する第四化合物を生成する工程と、
(e)第四化合物を、式XXVII:
【0067】
【化43】

(式中、RおよびR11は、独立して、C−C15分岐状または直鎖アルキル基であり、式XXVII中の炭素−炭素二重結合に関する立体化学は、実質的に、EまたはZ、またはE,Z−混合物である)を有する化合物と、テトラヒドロフランおよびヘキサメチルリン酸アミドとを含む溶剤系であって、テトラヒドロフランのヘキサメチルリン酸アミドに対する体積比が1:1〜40:1である溶剤系中で反応させ、式XXVIII:
【0068】
【化44】

を有する第五化合物を生成する工程と、
(f)第五化合物を加水分解し、エステルを式XXで表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩に変換する工程と、
(g)式XXを有する化合物を精製する工程であって、
(i)第五化合物を溶剤に溶解して均質溶液とすることと;
(ii)均質溶液を冷却して該化合物の結晶および第二溶液を生成することと;
(iii)第二溶液を除去することとを含む工程と
を含む方法を記載する。
II.化合物および組成物
a.化合物
本明細書には、一態様において、式XXX
【0069】
【化45】

(式中、Rは、Cまたはそれ以上の分岐状または直鎖アルキル基であり;
は、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、またはRおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
およびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
11は、水素、あるいはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり;
nは、0〜3であり、
式XXXの環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を有する化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩またはエステルを記載し、
該化合物は、(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステル;(2E,4E,6E,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステル;(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−4’メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステル;および(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−5’,7’−ジメチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステルではない。
【0070】
一態様では、式XXX中、nは1であり、RはC−C15分岐状または直鎖アルキル基である。他の態様では、nは1であり、Rは、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルである。さらなる態様では、nは1であり;Rは、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルであり;Rは、C−C15分岐状または直鎖アルキル基を含む。種々の態様において、Rはイソペンチル基であり;Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはベンジルであり;R、RおよびR11は水素である。
【0071】
一態様では、式XXXを有する化合物は、式XXXI:
【0072】
【化46】

を含む。
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
およびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
11は、水素、あるいはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり;
nは、0〜3であり、
該化合物は、(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステル;(2E,4E,6E,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステル;(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−4’メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステル;および(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−5’,7’−ジメチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステルではない。
【0073】
一態様では、化合物XXXIにおいて、nは1であり、(1)Rは水素であり、かつRは1個以上のメチル基であり、あるいは(2)Rは水素であり、かつRは、1個以上のメチル基である。先に記載の任意の態様において、R、RおよびR11は水素である可能性がある。他の態様では、化合物XXXIは、(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−5’−メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸(A);(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−6’−メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸(B);(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−7’−メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸(C);(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−7’−イソプロピル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸(D);または(2E,4E,6EZ8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−8’−メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸(E)であり、これらを、以下の表1に示す。
表1
【0074】
【表1−A】

【0075】
【表1−B】

他の態様において、式XXXを有する非縮合レチノイド化合物を以下に示す。式中、Rは、エチル、イソプロピル、シクロプロピルまたはフェニルである。
【0076】
【化47】

他の態様として、本明細書では、式XXXII:
【0077】
【化48】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、またはRおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
10およびR11は、独立して、水素、あるいはC−C15分岐状または直鎖アルキル基を含み;
nは0〜3であり、
式XXXIIの環内の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性もあり、ただし、RおよびR10が同時にメチル基であることはない)を有する化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩またはエステルを記載する。
【0078】
本明細書に記載の方法によって合成される任意の化合物が存在することができ、あるいはその薬学的に受容可能な塩またはエステルに変換することができる。薬学的に受容可能な塩は、遊離の酸を適正な量の薬学的に受容可能な塩基で処理することによって生成する。代表的な薬学的に受容可能な塩基として、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化第一鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、リシン、アルギニン、ヒスチジンなどが挙げられる。一態様では、反応は、水単独またはこれと不活性、水混和性有機溶剤との混合物中、室温のような約0℃〜約100℃の温度で行われる。化合物と使用される塩基とのモル比は、任意の特定の塩に求められる比を提供するように選択される。たとえば、遊離の酸のアンモニウム塩を出発物質として、製造するには、出発物質を約1当量の薬学的に受容可能な塩基と処理し、中性の塩を得ることができる。
【0079】
エステル誘導体は、通常、以下の実施例に記載するように、化合物の酸の形の前駆体として生成し、したがって、プロドラグとして作用する。一般的に、これらの誘導体は、メチル、エチルなどの低級アルキルエステル類である。アミド誘導体、−(CO)NH、−(CO)NHRおよび−(CO)NR(式中、Rは、先に記載したアルキル基である)は、カルボン酸含有化合物とアンモニアまたは置換アミンとの反応によって生成することができる。
b.薬学的組成物
本明細書で記載の方法によって合成される任意の化合物は、薬学的組成物に製剤することができる。一態様では、式VIII、XXXまたはXXXIIを有する化合物と、少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアとを組合せて、薬学的組成物を製造する。薬学的組成物は、業界で公知の方法を使用して製造することができる。一態様では、組成物は、化合物を薬学的に受容可能なキャリアと調合することによって製造する。用語「調合する」は、2つの成分を互いに混合することを言う。調合すべき成分に依り、成分を他の成分と化学的または物理的に相互作用させてもよいし、させなくてもよい。
【0080】
薬学的に受容可能なキャリアは、当業者に公知である。これらのうち、最も代表的なものは、ヒトへの投与用の標準的担体であり、滅菌水、食塩水、生理的pH緩衝液が挙げられる。
【0081】
薬学的組成物中には医薬の運搬を意図する分子が配合されてもよい。薬学的組成物は、選ばれる分子に加えて、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、防腐剤、界面活性剤などを含んでもよい。薬学的組成物は、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔剤などの活性成分を1種以上含んでもよい。
【0082】
薬学的組成物は、局所処置または全身処置を望むのか、または処置すべき場所によって数多くの方法で投与してよい。投与は、局所的であってもよい(眼科的、経膣的、直腸から、鼻腔内的、皮膚に塗布など)。
【0083】
投与のための調剤には、滅菌水溶液または非水溶液、懸濁液、あるいは乳液が含まれる。非水性担体の例として、食塩水および緩衝化媒体を始めとする、水、アルコール性溶液/水溶液、乳液または懸濁液が挙げられる。開示された組成物および方法の側副用途のために必要な場合、非経口用賦形剤として、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、または不揮発性油が挙げられる。開示された組成物および方法の側副用途のために必要な場合、静脈注射用賦形剤として、流体および栄養補充液、電解補充液(たとえば、リンゲルデキストロースに基づくもの)などが挙げられる。防腐剤および他の添加剤も含んでもよく、たとえば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどが挙げられる。
【0084】
局所投与のための製剤として、軟膏剤、ローション、クリーム、ゲル、点滴、座剤、スプレー、液剤、および粉末剤が挙げられる。慣用の薬学的に受容可能なキャリアである、水性、粉末または油性基材、増粘剤なども必要であり、または望ましいかもしれない。
【0085】
具体的なケースにおける活性化合物の実際に好ましい量は、利用される特定の化合物、調剤される具体的な組成、アプリケーション・モード、特定の場所、および処置すべき哺乳動物に従って変化することは理解されるであろう。ホストに与えられる用量は、対象化合物と公知の薬剤との異なる活性の在来の比較検討のような慣用の考察事項を使用して、適正な慣用の薬学的プロトコルによって決定することができる。医師、配合者、医薬化合物の用量を決定する当業者は、標準の水洗基準(Physicians Desk Reference,Barnhart Publishing(1999)に従って、用量を決定するのに、何の問題ないであろう。
III.使用方法
本明細書では、一態様において、腫瘍性状態にある、腫瘍性または腫瘍性様状態にあると疑われる被験体を治療する方法であって、該被験体に、本明細書にて製造され、開示される化合物または組成物の有効量を投与することよる方法を開示する。本明細書にて製造され、開示される化合物または組成物は、被験体にある腫瘍性状態の発生を減少させ、または予防することもできる。一態様では、被験体に投与される化合物は、式XXXまたはXXXIIを有する。他の態様では、該化合物は、治療において、さらに4−ヒドロキシペンチルレチナミドと組合わされる。別の態様では、本明細書にて製造されまたは開示される複数の化合物を被験体に投与することができる。一態様では、腫瘍性状態は、乳癌、肺癌、大腸癌または白血病を含む。
【0086】
本明細書では、他の態様において、基底細胞癌または扁平上皮癌を患う被験体を治療する方法であって、式VIIIを有する化合物またはその組成物の有効量を被験体に投与することを含む方法を記載する。
【0087】
【化49】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、RおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
10およびR11は、独立して、水素あるいはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり;
nは0〜3であり、
式VIIIの環内の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある。)
一態様では、化合物は式XXXVを有する。
【0088】
【化50】

(式中、Rは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
10およびR11は、独立して、水素あるいはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり;
nは0〜3であり、
式XXXVの環内の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある。)
一態様では、式XXXV中、nは1であり、RおよびR10はメチルである。他の態様では、化合物は、
【0089】
【化51】

である。
【0090】
本明細書では、一態様において、被験体中の血清トリグリセリドを減少させる方法であって、本明細書にて製造され記載される化合物または組成物の有効量を被験体に投与することによる方法が開示される。本明細書に記載の化合物は、抗高脂血症薬として使用することができる。一態様では、本明細書の化合物は、被験体中の血清トリグリセリドを、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%減少させることができる。一態様では、式VIIIを有する化合物をこれらの方法において使用することができる。他の態様では、化合物は、(2E,4E,6E,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−8’−メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸および(2E,4E,6Z)−8−(3’−シクロプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸である。
【0091】
被験体に投与する化合物の量は、被験体、治療すべき疾患、および選択される化合物によって、変化する。一態様では、用量範囲は、約1mg/kg体重〜約300mg/kg体重、10mg/kg体重〜約300mg/kg体重、1mg/kg体重〜約250mg/kg体重、1mg/kg体重〜約200mg/kg体重、1mg/kg体重〜約150mg/kg体重、または1mg/kg体重〜約100mg/kg体重である。
【0092】
本明細書で製造され開示される化合物および組成物の任意のものを、業界で公知の種々の投与または送達技術によって被験体に投与することができる。種々の態様において、投与モードは、経口的または非経口的モードが可能である。本明細書で使用する用語「経口的」は、消化管を通して化合物を投与することを含む。本明細書で使用する用語「非経口的」は、化合物が体循環系に導入される、経口的投与以外のいかなる投与経路を含み、静脈内、筋肉内、皮下注射、腹腔内、真皮内、眼部、吸入的、直腸内、膣内、経皮的、局所的、経頬粘膜、舌下的、または経粘膜投与が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される用語「経粘膜」は、頬粘膜、鼻腔、歯肉、膣、舌下腺、肺または直腸組織(これらに限定されない)などの人体の粘膜(粘液性膜)を使用して化合物を投与する方法を包含する。本明細書で使用する用語「経皮的」は、経皮的製剤、頬粘膜パッチ、皮膚パッチ、または経皮的パッチ(これらに限定されない)のような、製剤を使用して、皮膚内に入るまたは皮膚を通して入る化合物の投与を包含する。本明細書で使用される用語「局所的」は、眼、皮膚、直腸および膣(これらに限定されない)のような領域に、局所的経皮送達用の慣用の局所調剤、たとえば、クリーム、ゲルまたは溶液を塗布する及び/または全身および/または局所送達用の溶液による投与を包含する。
【実施例】
【0093】
以下の実施例は、本明細書に記載され、特許請求の範囲に記載されている化合物、組成物および方法をどのようにして製造し評価するかを完全な開示および記載で、当業者に提供するためにあげるものであり、かつ単に例示的なものであり、発明者が発明と捕らえるものの範囲を限定するものではない。数値(たとえば、量、温度など)に関し、正確さを保障するための努力がなされたが、いくらかの誤差および偏差は含められる。他に示さなければ、部は重量部であり、温度は、℃または周囲温度であり、圧力は、大気圧またはその付近である。多数の反応条件の変動および組合せ、たとえば、成分の濃度、所望の溶剤、溶剤混合物、温度、圧力および記載した方法から得られる生成物の純度および収率を最適化するために使用することのできる他の反応の範囲および条件がある。合理的かつ日常の実験だけが、そのような方法条件を最適化するために必要であろう。
【0094】
融点は、電熱融点測定装置で測定し、未補正である。Hおよび13CNMRスペクトルは、ブルカーARX300スペクトロメーターで記録した。マス・スペクトルは、マイクロマス・プラットホームLCZスペクトロメーターで記録した。アトランタ・アトランチック・マイクロラボ(ジョージア州)が燃焼分析を提供した。溶剤および液体の出発物質は使用の前に蒸留した。反応および精製は、不活性ガス(N)の下、抑えた光の下で、脱酸素化された溶剤で行った。フラッシュクロマトグラフィーはセレクトロ・サイエンティフィックシリカゲル(40μm)を使用して行った。エチル4−ブロモ−3−メチルブタン−2−エノエートは、エチル3,3−ジメチルアクリレートとN−ブロモスクシンイミドとの反応により製造した。トリエチルフォスフォノセネシオネートは、アルブーゾフ反応により製造した。テトラヒドロフランは、ナトリウム金属/ベンゾフェニルケチルから蒸留した。ジエチルエーテル、ベンゼン、およびジクロロメタンは、無水溶剤をフィッシャーから購入した。HMPAは、水素化カルシウムから蒸留した。
I.縮合環レチノイド化合物の製造(図2)
7,8−ベンゾ−4−メチル−1−オキサスピロ[5.5]ウンデカ−3−エン−2−オン(3)。500mLの氷酢酸中の亜鉛末(150g)(<10ミクロン、アルドリッチ社、触媒番号20,998−8)および酢酸銅(II)1水和物(15g,アクロス社)の混合物を、1000mL1口丸底フラスコ中で、窒素下、1時間、素早く撹拌した。混合物を無水エーテル(500mL)で希釈し、吸引ろ過し、Zn−Cu複合体を、引続き、無水エーテル(3×300mL)および乾燥ベンゼン(3×300mL)で洗浄した。次いで混合物を、窒素入り口、冷却器および添加漏斗付の火炎乾燥した2000mL3つ口フラスコに移した。新たに蒸留したTHF(Na/ベンゾフェノンから蒸留)(200mL)をフラスコに加え、これを油浴中で素早く撹拌しながら約90℃に加熱した。次いで、反応混合物に、テトラロン2(100.0g,684.9mmol、新たに蒸留)およびブロモエステル(220.0g,1063mmol、新たに蒸留)の400mLのTHF(乾燥)溶液を滴下処理した。添加中、激しい気泡が起こった。混合物をさらに3.5時間還流撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水(200mL)およびHCl(2N,500mL)を加えた。混合物を1000mLのエーテルで希釈し、ろ過して、酸層を分離した。有機層を水(2×200mL)、NaOH(1N,2×250mL)および食塩水(2×250mL)で洗浄した。次いで、これを乾燥(NaSO)し、蒸発させ油状物を得た。この油状物を60℃で高真空ポンプ(0.1mm)を用い蒸留した。留出液を廃棄し、残った濃厚な油状残留物をヘキサンの添加により固化した。この混合物を冷却し、ろ過し、ヘキサンで洗浄して、108g(69.2%)の3(Rf0.3,50:50エーテル/ヘキサン)を白色固体として得た。
【0095】
【化52】

(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン酸(4)。ラクトン3(70g,307mmol)の無水メタノール(500mL)溶液を、ナトリウム金属の小片(8.5g,369.5mmol)で処理した。得られた混合物を1時間、還流撹拌した。メタノールを真空下除去し、得られた油状物を1000mLの水に溶解し、氷浴で冷却し、2NのHClでゆっくりと約pH2の酸性とした。得られた白色析出物をろ過し、氷冷水で洗浄し、空気乾燥して、68g(97%)の純粋な酸4を得た。
【0096】
【化53】

(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オール(5)。酸4(60.0g,263mmol)の無水エーテル(1000mL)溶液を氷浴中で0℃に冷却した。この混合物を、リチウムアルミニウムハイドライドのエーテル(368mL,368mmol)の1M溶液で、1時間かけて滴下処理した。得られた反応混合物を、0℃でさらに1時間撹拌した。反応混合物を−78℃(ドライアイス/アセトン浴)中で冷却し、メタノール(100mL)、次いで10%HSO(250mL)でゆっくりとクエンチした。有機層を分離し、水層をエーテル(4×250mL)で抽出した。有機層を合わせ、食塩水(2×250ml)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、回転蒸発器を使用して30℃未満で濃縮し、5を半固体として得、これを高真空ポンプで完全に固化した。粗収量は、約56〜58g(100%)であり、生成物は、NMRおよびTLCにより純粋であった。これらはさらに精製することなく、次の反応に使用した。
【0097】
【化54】

(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテナール(6)。アルコール5(56.0g,262mmol)のアセトン(2,400mL)溶液を2−ヨードキシ安息香酸(IBX)(240g,857mmol)1回添加で処理した。得られた混合物を、撹拌しながら、抑えた光の下で、55〜58℃に素早く加熱した。その温度で、混合物をさらに1時間撹拌した。混合物を氷浴中で約1時間冷却し、ろ過し、エーテル(1,000mL)で洗浄し、濃縮(回転式蒸発器、水浴温度:<35℃)した。得られた油状物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、40×7cm、1:6エーテル/ヘキサン、全カラム溶剤は窒素でパージ)で精製し、39gの(9Z)−6(Rf0.3)(71%)を得た。該(9Z)−6をヘキサン/エーテルから結晶化した。
【0098】
【化55】

(2E,4E,6Z,8E)−エチル8−(3’,4’−ジヒドロ−1’(2’H)−ネフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエノエート(7)。水素化ナトリウム(鉱油中の60%懸濁物、2.95g、73.8mmol)を、窒素入り口、添加漏斗およびゴム隔壁付の火炎乾燥された3つ口丸底フラスコに充填し、新たに蒸留したTHF(Na/ベンゾフェノンから、400mL)、次いで新たに蒸留したリン酸エステル(19.45g,73.67mmol)を加えた。得られた褐色の混合物を15分撹拌し、新たに蒸留したHMPA(50mL)をシリンジで導入した。フラスコをアルミニウムフォイルで覆い、撹拌を15分続けた。100mLの乾燥THF中のアルデヒド6(14.20g,66.98mmol)を、(アルミニウムフォイルで覆われた)添加漏斗から滴下した。反応混合物をさらに2.5時間撹拌し、50mLの水でクエンチし、次いで、500mLのエーテルで希釈した。水層を分離し、100mLのエーテルで洗浄した。有機層を合わせ、食塩水(2×150mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、蒸発させ、粗油状物(35g)を得、これをメタノール(75mL、窒素で脱ガス)に懸濁した。混合物が均一になるまでエーテルを加え(約20mL)、溶液を一晩、0℃で冷却し、結晶性固体を得た。この固体をろ過し、メタノールで洗浄し、乾燥して、14g(65%)の純粋な生成物(9Z)−7を1異性体として得た。
【0099】
【化56】

(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’4’−ジヒドロ−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸(UAB30,1)。エステル7(12.00g,37.26mmol)をメタノール(640mL,窒素で脱ガス)中に懸濁し、約60℃に暖めた。この混合物をKOH溶液(20.90g,372.7mmol、220mLの蒸留および脱ガス水中)で処理した。得られた混合物を1時間還流撹拌し、氷浴中で0℃に冷却し、300mLの氷冷水で希釈した。混合物を2Nの氷冷HClでゆっくりと約pH2の酸性とした。得られた析出物をろ過し、固体を500mLのエーテルに再溶解した。有機溶液を食塩水(3×150mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、回転蒸発器を使用して、約75mLの体積に濃縮した。残った溶液を100mLの脱ガスヘキサンで希釈し、0℃で約12時間冷却した。得られた黄色結晶をろ過し、乾燥し、8.5g(78%)の純粋な(9Z)−1(9Z−UAB30)を得た。
【0100】
【化57】

II.非縮合環レチノイド化合物の調剤(図3)
2,4−ジメトキシ−3−(3−メチルブチル)−1,4−シクロヘキサジエン(6):ジエン5(60.1g,429mmol)の無水THF(650mL)溶液を−78℃に冷却した。この溶液をtert−BuLi(1.7M、ペンタン中、278mL,472mmol)でゆっくりと処理した。得られた黄金色の溶液を15分撹拌すると、その間に細かい析出物が析出した。これにゆっくりと新たに蒸留した1−ブロモ−3−メチルブタン(110g,728mmol)を加え、混合物を−78℃で15分間撹拌した。冷却浴を取り除き、混合物を2時間撹拌した。これに、ゆっくりと250mLの水を加えた。混合物をジエチルエーテル(200mL)で希釈し、有機層を分離した。水層をエーテル(200mL)で抽出し、有機層を合わせ、これを食塩水(250mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、濃縮して84g(93%)の純粋な6を油状物として得た。これを、さらに精製することなく、次の工程に用いた。
【0101】
【化58】

2−(3−メチルブチル)−1,3−シクロヘキサンジオン(7):エーテル6(84.0g,400mmol)および1NのHCl(25mL)の懸濁物を、激しく撹拌しながら、90℃に加熱した。15分後、混合物は発熱し始め、透明の均質液体を得た。反応混合物を、この温度でさらに15分間撹拌し、室温に冷却した。この過程の間に生成物は固化し、混合物を水(500mL)で希釈し、ろ過した。固体をヘキサン(250mL)に懸濁し、撹拌し、ろ過し、乾燥して、68.0g(93.4%)の7を得た。
【0102】
【化59】

2−(3−メチルブチル)−3−(2−メチルプロピルオキシ)−2−シクロヘキセノン(8):ケトエノール7(68.0g,374mmol)、イソブタノール(83.0g,1120mmol)、およびp−トルエンスルホン酸(1.0g,1.2mmol)の無水ベンゼン(730mL)溶液を、水の共沸混合除去によって、一晩還流(ディーン・スターク・トラップ)した。反応混合物を室温まで冷却し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液(3×250mL)および食塩水(2×250mL)で洗浄し、濃縮して、88.0g(98.9%)の8を濃厚油状物として得た。これを冷却して固化した。
【0103】
【化60】

【0104】
【化61】

アルキルリチウムの製造手順:以下の一般的な手順を使用して、シクロプロピルリチウムおよびエチルリチウムを製造した。
シクロプロピルリチウム:無水エーテル(150mL)を含む3つ口丸底フラスコを、小片に切断したリチウムリボン(10.0g,1440mmol)で処理した。混合物を−10℃(メタノール/氷)に冷却し、エーテル(200mL)中の新たに蒸留したシクロプロピルブロマイド(60.0g,496mmol)で滴下処理した。反応混合物を0〜5℃でさらに3時間撹拌した。この混合物をさらに精製することなく、次の反応に直接使用した。
置換シクロヘキセノン9〜12を製造する手順(図3):以下の一般的な手順を使用して、中間体ケトンの全てを製造した。
【0105】
3−エチル−2−(3−メチルブチル)−2−シクロヘキセノン(9)。イソブチルエーテル8(88.0g,370mmol)の無水エーテル(250mL)溶液を氷浴で0℃に冷却し、エチルリチウム(650mL)で滴下処理した。得られた混合物を0℃で2時間撹拌し、次いで室温で48時間撹拌した。反応混合物を水(200mL)でゆっくりとクエンチし、エーテル(2×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥(NaSO)し、真空下濃縮して、75gの粗油状物を得た。これをクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/エーテル4:1)で精製し、58.0g(80.1%)の9を油状物として得た。
【0106】
【化62】

3−イソプロピル−2−(3−メチルブチル)−2−シクロヘキセノン(10)
【0107】
【化63】

3−シクロプロピル−2−(3−メチルブチル)−2−シクロヘキセノン(11)
【0108】
【化64】

【0109】
【化65】

2−(3−メチルブチル)−3−フェニル−2−シクロヘキセノン(12)
【0110】
【化66】

中間体酸13〜16を製造するリフォマトスキー反応(図3):以下の一般的な手順を使用し、中間体酸の全てを製造した。
【0111】
(2Z)−4−(3’−エチル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン酸(13)。3つ口丸底フラスコ中で、窒素雰囲気下、亜鉛末(42g)を10%HCl(150mL)とともに、10時間撹拌した。水層をデカントし、亜鉛を、蒸留水(3×150mL)、無水アセトン(3×150mL)および無水エーテル(3×150mL)で引続いて洗浄した。残留するエーテルを除去した後、亜鉛末を真空下、ブンゼンバーナーの炎で約1分強く加熱した。次いで、亜鉛の塊を撹拌棒で注意深く破壊した。冷却した亜鉛を無水ジオキサン(200mL)に懸濁し、油浴中で撹拌しながら懸濁液を125℃まで加熱した。ケトン9(47.0g,242mmol)、エチルブロモセネシオネート(120g,579mmol)および無水ジオキサン(200mL)の溶液を、反応混合物に1時間かけて滴下した。この添加により発熱反応が起こった。最終的な反応混合物をこの温度でさらに2.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水(100mL)を加えた。混合物を15分間撹拌し、エーテル(500mL)および2NのHCl(250mL)を加えた。混合物をろ過し、有機層を水(2×100mL)で、続いて1NのNaOH(3×150mL)で洗浄した。塩基性洗浄物を氷浴で冷却し、2NのHClでpHを2〜3に調整し、混合物をエーテル(2×200mL)で抽出した。有機層を乾燥(NaSO)し、真空下濃縮し、半固体を得た。これをヘキサン/エーテルから結晶化し、ろ過し、乾燥して、41g(61.5%)の純粋な13を得た。
【0112】
【化67】

【0113】
【化68】

(2Z)−4−(3’−イソプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン酸(14)
【0114】
【化69】

(2Z)−4−(3’−シクロプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン酸(15)
【0115】
【化70】

(2Z)−4−(2’−(3−メチルブチル)−3’−フェニル−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン酸(16)
【0116】
【化71】

中間体酸13〜16を還元し、アルコール17〜20を得る一般的手順(図3):以下の一般的手順を使用して、中間体アルコールの全てを製造した。
【0117】
(2Z)−4−(3’−エチル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテノール(17)。酸13(40.0g,145mmol)の無水エーテル(800mL)溶液を氷浴で0℃に冷却し、1MのLiAlH/エーテル(200mL,200mmol)を撹拌しながら滴下した。反応混合物を0℃でさらに1時間撹拌した。反応混合物を−78℃に冷却し、メタノール(100mL)、続いて10%HSO(200mL)を滴下した。混合物を室温まで暖め、有機層を分離した。水層をエーテル(3×200mL)で抽出した。エーテル層を合わせ、食塩水(2×100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、真空下濃縮して、38g(100%)の17を無色油状物として得た。これを、さらに精製することなく、次の反応に使用した。
【0118】
【化72】

(2Z)−4−(3’−イソプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテノール(18)
【0119】
【化73】

(2Z)−4−(3’−シクロプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテノール(19)
【0120】
【化74】

(2Z)−4−(2’−(3−メチルブチル)−3’−フェニル−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテノール(20)
【0121】
【化75】

アルコール17〜20を酸化し、アルデヒド21〜24を得る一般的手順(図3):以下の一般的手順を使用して、中間体アルデヒドの全てを製造した。
【0122】
(2Z)−4−(3’−エチル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテナール(21)。粗アルコール17(38.0g,145mmol)のアセトン(1600mL)溶液を2−ヨードキシ安息香酸(IBX)(125g,446mmol)1回添加で処理した。得られた混合物を、抑えた光の下で撹拌しながら素早く55〜58℃に加熱した。混合物をその温度でさらに1時間撹拌した。混合物を氷浴中、約1時間で冷却し、ろ過し、エーテル(1000mL)で洗浄し、濃縮(回転蒸発器、水浴温度<35℃)した。得られた油状物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,1:6エーテル/ヘキサン、全てのカラム溶剤を窒素でパージ)で精製し、27.2g(73.0%)の(9Z)21および0.5gの(全てE)21を得た。
【0123】
【化76】

(2Z)−4−(3’−イソプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテナール(22)
【0124】
【化77】

(2Z)−4−(3’−シクロプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテナール(23)
【0125】
【化78】

(2Z)−4−(2’−(3−メチルブチル)−3’−フェニル−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテナール(24)
【0126】
【化79】

エステル25〜28を得るためのホーナー・エモンズ反応(図3):以下の一般的な手順を使用して、全てのエステルを製造した。
【0127】
(2E,4E,6Z)−および(2Z,4E,6Z)−エチル8−(3’−エチル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエノエート(25)。乾燥3つ口丸底フラスコ中で、鉱油(4.96g,124mmol)中の60%NaHを無水THF(600mL)に懸濁した。新たに蒸留したトリエチルフォスフォノセネシオネート(32.75g,124.0mmol)を加えた。撹拌15分後、HMPA(87mL)を加えた。さらに15分間撹拌した後、THF(250mL)中のアルデヒド21(21.5g,82.7mmol)を滴下した。反応混合物をさらに1.5時間撹拌し、水(200mL)でクエンチし、エーテル(600mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をエーテル(2×300mL)で抽出した。有機層を合わせ、食塩水(2×250mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、真空下濃縮し、粗油状物を得た。これをクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/エーテル8:1)で精製し、30.0g(98.0%)の25を油状物として得た(比が85:15の9Zおよび9Z,13Z異性体の混合物)。
【0128】
【化80】

(2E,4E,6Z)−および(2Z,4E,6Z)−エチル8−(3’−イソプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエノエート(26)
【0129】
【化81】

(2E,4E,6Z)−および(2Z,4E,6Z)−エチル8−(3’−シクロプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエノエート(27)
【0130】
【化82】

【0131】
【化83】

(2E,4E,6Z)−および(2Z,4E,6Z)−エチル8−(2’−(3−メチルブチル)−3’−フェニル−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエノエート(28)
【0132】
【化84】

エステル25〜28を加水分解して最終生成物1〜4を得る一般的手順(図3):以下の一般的手順を使用して、最終酸の全てを製造した。
【0133】
(2E,4E,6Z)−8−(3’−エチル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸(1)。エステル25(30.0g,81.1mmol)のメタノール(1300mL)懸濁液をKOH(2.5N,325mL)溶液で処理した。得られた溶液を1時間還流撹拌し、0℃に冷却し、氷冷水(500mL)で希釈した。混合物を氷冷1NHClでゆっくりpH2.5の酸性にした。得られた黄色析出物をろ過し、氷冷水で洗浄した。湿った析出物をエーテル(1000mL)に溶解し、食塩水(2×200mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、真空下、約100mLの体積に濃縮した。混合物をヘキサン(200mL)で希釈し、冷凍庫で18時間冷却した。得られた黄色結晶性固体をろ過し、氷冷ヘキサンで洗浄し、乾燥して、16.5g(59.5%)の純粋な1を単一9Z異性体として得た。
【0134】
【化85】

【0135】
【化86】

(2E,4E,6Z)−8−(3’−イソプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸(2)
【0136】
【化87】

(2E,4E,6Z)−8−(3’−シクロプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸(3)
【0137】
【化88】

(2E,4E,6Z)−8−(2’−(3−メチルブチル)−3’−フェニル−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸(4)
【0138】
【化89】

III.血清トリグリセリドの減少
(2E,4E,6E,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−8’−メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸および(2E,4E,6Z)−8−(3’−シクロプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸は、コーン油賦形剤(256mg/dL)に関して、3時間後、メスラットの血清内で、血清トリグリセリドを、それぞれ、70%(79mg/dL)および33%(171mg/dL)まで減少させた。
【0139】
本願を通して、種々の刊行物が参考にされた。これらの刊行物の開示の全ては、本明細書で開示した化合物、組成物および方法をより完全に説明するために、参照により、本願に組み入れられる。
【0140】
種々の修正および変更が、本明細書に記載の化合物、組成物および方法に対してなされうる。本明細書に記載の化合物、組成物および方法の別の態様が、明細書および本明細書で開示した化合物、組成物および方法の実施を考慮して明らかになるであろう。明細書および実施例は、例示として考えられるものである。
【0141】
【数1】

【0142】
【数2】

【0143】
【数3】

【図面の簡単な説明】
【0144】
明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、以下に説明するいくつかの態様を図解する。全図面を通して、同じ構成は同じ番号で示す。
【図1】レチノイド化合物を製造する一般的反応スキームを示す。
【図2】縮合レチノイド化合物を製造する反応スキームを示す。
【図3】非縮合レチノイド化合物を製造する反応スキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式III:
【化1】

を有する化合物を製造する方法であって、式I:
【化2】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、または
とRとが、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;および
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
nは0〜3であり、
式Iの環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を有する化合物を、ゼロ価の金属原子、金属塩、またはこれらの混合物を含み、亜鉛金属だけではないカップリング剤の存在下で、式II:
【化3】

(式中、R−Rは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、およびXは、ハロゲンを含み、式II中の炭素−炭素二重結合に関する立体化学は、実質的に、EまたはZ、あるいはE、Z−混合物である)を有する化合物と反応させる工程を包含する、方法。
【請求項2】
式Iを有する化合物が、式XI:
【化4】

(式中、Rは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり、
nは、0〜3であり、
式XIのシクロアルキル環および/またはアリール環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置換される可能性もある)を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
nが1である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
およびRが水素である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
が水素であり、Rが1個以上のメチル基である、請求項3記載の方法。
【請求項6】
が水素であり、Rが1個以上のメチル基である、請求項3記載の方法。
【請求項7】
およびRが、1個以上のメチル基である、請求項3記載の方法。
【請求項8】
式IIを有する化合物が、4−メチル−1−テトラロン、5−メチル−1−テトラロン、6−メチル−1−テトラロン、7−メチル−1−テトラロン、8−メチル−1−テトラロンまたは7−イソプロピル−1−テトラロンである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
nが1であり、RおよびRが、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
nが1であり、Rが、Cまたはそれ以上の分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、Rが、C−C15分岐状または直鎖アルキル基である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
nが1であり;Rがイソペンチル基であり、Rが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはベンジルであり;Rは水素である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
がメチル基であり、Xがブロマイドまたはクロライドである、請求項1〜11記載の方法。
【請求項13】
、RおよびRが水素である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
カップリング剤が、(1)亜鉛化合物と、(2)ロジウム化合物または鉄化合物との混合物を含む、請求項1〜13記載の方法。
【請求項15】
カップリング剤が、亜鉛化合物と銅化合物との混合物を含む、請求項1〜13記載の方法。
【請求項16】
カップリング剤が、亜鉛金属と銅塩との混合物を含む、請求項1〜13記載の方法。
【請求項17】
式VI:
【化5】

を有する化合物を製造する方法であって、
式V:
【化6】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、またはRおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
nは、0〜3であり、
式Vの環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を有する化合物を、一級アルコールを酸化して対応するアルデヒドとすることができる化合物であって、MnOではない酸化剤の存在下で反応させる工程を包含する、方法。
【請求項18】
式Vを有する化合物が、式XII:
【化7】

(式中、Rは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
nは0〜3であり、
式XIIのアリール環またはシクロアルキル環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
nが1である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
およびRが水素である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
が水素であり、Rが1個以上のメチル基である、請求項19記載の方法。
【請求項22】
が水素であり、Rが1個以上のメチル基である、請求項19記載の方法。
【請求項23】
およびRが1個以上のメチル基である、請求項19記載の方法。
【請求項24】
がメチルである、請求項18〜23記載の方法。
【請求項25】
およびRが水素である、請求項18〜24記載の方法。
【請求項26】
式Vを有する化合物が、(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−4’−メチル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オール、(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−5’−メチル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オール、(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−6’−メチル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オール、(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−7’−メチル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オール、(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−8’−メチル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オール、または(2Z,4E)−4−(3’,4’−ジヒドロ−7’−イソプロピル−1’(2’H)−ナフタレン−1’−イリデン))−3−メチル−2−ブテン−1−オールである、請求項17記載の方法。
【請求項27】
nが1であり、RおよびRがC−C15分岐状または直鎖アルキル基である、請求項17記載の方法。
【請求項28】
nが1であり、RがCまたはそれ以上の分岐状または直鎖アルキル基であり、RがC−C15分岐状または直鎖アルキル基である、請求項17記載の方法。
【請求項29】
nが1であり;Rがイソペンチル基であり;Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはベンジルであり;Rが水素であり;Rがメチルである、請求項17記載の方法。
【請求項30】
およびRが、水素である、請求項27〜29記載の方法。
【請求項31】
酸化剤が、HCrO、CrO−ピリジン、ピリジニウムクロロクロメート、ピリジニウムジクロメート、Fe(VI)、スワーン酸化用試薬、ジメチルスルフィドおよびN−クロロスクシンイミド、テトラメチルピペリジンニトロオキシド、DMSO中の無水酢酸、DMSO中のP、トシルクロライド/トリエチルアミンまたはデス−マーチン試薬を含む、請求項17〜30記載の方法。
【請求項32】
酸化剤が、2−ヨードキシ安息香酸である、請求項17〜30記載の方法。
【請求項33】
式VIII:
【化8】

を有する化合物を製造する方法であって、式VI:
【化9】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、またはRおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
nは0〜3であり、
式VIaまたはVIbの環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を有する化合物を、式VII:
【化10】

(式中、R、R10およびR11は、独立して、水素あるいはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり、式VII中の炭素−炭素二重結合に関する立体化学は、実質的に、EまたはZ、あるいはE,Z−混合物である)を有する化合物と、テトラヒドロフランおよびヘキサメチルリン酸アミドを含む溶剤系であって、テトラヒドロフランのヘキサメチルリン酸アミドに対する体積比が1:1〜40:1である溶剤系中で反応させる工程を包含する、方法。
【請求項34】
式VIaを有する化合物が、式:
【化11】

(式中、Rは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
nは0〜3であり、
式XVのアリール環またはシクロアルキル環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
nが1である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
およびRが水素である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
が水素であり、Rが1個以上のメチル基である請求項35記載の方法。
【請求項38】
が水素であり、Rが1個以上のメチル基である、請求項35記載の方法。
【請求項39】
およびRが1個以上のメチル基である、請求項35記載の方法。
【請求項40】
およびR10がメチルであり、RおよびRが水素であり、R11が水素あるいはC−C15分岐状または直鎖アルキル基である、請求項34〜39記載の方法。
【請求項41】
nが1であり、RおよびRがC−C15分岐状または直鎖アルキル基である、請求項33記載の方法。
【請求項42】
nが1であり、がCまたはそれ以上の分岐状または直鎖アルキル基であり、RがC−C15分岐状または直鎖アルキル基である、請求項33記載の方法。
【請求項43】
nが1であり;Rがイソペンチル基であり;Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはベンジルであり;Rが水素であり;Rがメチルである、請求項33記載の方法。
【請求項44】
およびRが水素であり、R10がメチルであり、R11が水素またはC−C15分岐状または直鎖アルキル基である、請求項41〜43記載の方法。
【請求項45】
テトラヒドロフランのヘキサメチルリン酸アミドに対する体積比が、5:1〜15:1である、請求項33〜44記載の方法。
【請求項46】
請求項33〜45において製造された化合物を精製する方法であって、
(a)該化合物を溶剤に溶解し、均質溶液とする工程と;
(b)均質溶液を冷却し、化合物の結晶と第二溶液とを生成する工程と;
(c)第二溶液を除去する工程と、
を包含する、方法。
【請求項47】
溶剤が有機溶剤を含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
溶剤が、1個以上の分岐状または直鎖脂肪族化合物を含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
溶剤が、ペンタン、ヘプタン、オクタンまたはノナンを含む、請求項46記載の方法。
【請求項50】
溶剤がヘキサン類である、請求項46記載の方法。
【請求項51】
冷却工程(b)を0℃〜−78℃で行う、請求項46記載の方法。
【請求項52】
冷却工程(b)を10分〜48時間行う、請求項46記載の方法。
【請求項53】
式XX:
【化12】

を有する化合物を製造する方法であって、
(a)式XXI:
【化13】

を有する化合物を、式XXII:
【化14】

(式中Rは水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、Xはハロゲンであり、式XXIIの炭素−炭素二重結合に関する立体化学は、実質的に、EまたはZ、あるいはE,Z−混合物である)を有する化合物と、ゼロ価の金属原子、金属塩、またはこれらの混合物であり、亜鉛金属単独でなないカップリング剤の存在下で反応させ、式XXIII:
【化15】

を有する第一化合物を生成する工程と、
(b)第一化合物XXIIIを塩基と反応させ、式XXIV:
【化16】

を有する第二化合物を生成する工程と、
(c)第二化合物XXIVを還元剤と反応させ、式XXV:
【化17】

を有する第三化合物を生成する工程と、
(d)第三化合物XXVを、一級アルコールを酸化して対応するアルデヒドにすることのできる化合物を含み、MnOではない酸化剤と反応させ、式XXVI
【化18】

を有する第四化合物を生成する工程と、
(e)第四化合物XXVIを式XXVII:
【化19】

(式中、RおよびR11は、独立して、C−C15分岐状または直鎖アルキル基であり、式XXVII中の炭素−炭素二重結合に関する立体化学は、実質的に、EまたはZ、またはE,Z−混合物である)を有する化合物と、テトラヒドロフランおよびヘキサメチルリン酸アミドとを含む溶剤系であって、テトラヒドロフランのヘキサメチルリン酸アミドに対する体積比が1:1〜40:1である溶剤系中で反応させ、式XXVIII:
【化20】

を有する第五化合物を生成する工程と、
(f)第五化合物XXVIIIを加水分解し、エステルを、式XXを有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩に変換する工程と、
(g)式XXを有する化合物を精製する工程であって、
(i)化合物を溶剤に溶解して均質溶液とすることと;
(ii)均質溶液を冷却して該化合物の結晶および第二溶液を生成することと;
(iii)第二溶液を除去することとを含む工程と
を包含する、方法。
【請求項54】
式V:
【化21】

を有する化合物を製造する方法であって、式IX:
【化22】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、またはRおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
nは0〜3であり、
式Vの環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を有する化合物を、アルキルエーテル中で、還元剤と反応させる工程を包含する、方法。
【請求項55】
還元剤が、LiAlH、DIBAH、またはジボランである、請求項54記載の方法。
【請求項56】
アルキルエーテルが、ジエチルエーテルである、請求項54記載の方法。
【請求項57】
式XXX:
【化23】

(式中、RはCまたはそれ以上の分岐状または直鎖アルキル基であり;
は、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、またはRおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
およびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
11は、水素またはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり;
nは0〜3であり、
式XXXの環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を有する化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩またはエステルであって、ただし、(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステル;(2E,4E,6E,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステル;(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−4’メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステル;および(2E,4E,6Z,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−5’,7’−ジメチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸またはそのエステルではない、化合物。
【請求項58】
式XXXを有する化合物が、式XXXI:
【化24】

(式中、Rは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
およびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
11は、水素またはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり;
nは0〜3である)を含む、請求項57記載の化合物。
【請求項59】
nが1である、請求項58記載の化合物。
【請求項60】
が水素であり、Rが1個以上のメチル基である、請求項58記載の化合物。
【請求項61】
が水素であり、Rが1個以上のメチル基である、請求項58記載の化合物。
【請求項62】
、RおよびR11が水素である、請求項57〜61記載の化合物。
【請求項63】
前記化合物が、(2E,4E,6E,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−5’−メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸;(2E,4E,6E,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−6’−メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸;(2E,4E,6E,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−7’−メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸;(2E,4E,6E,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−7’−イソプロピル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸;または(2E,4E,6E,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−8’−メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸である、請求項57記載の化合物。
【請求項64】
nが1であり、RがC−C15分岐状または直鎖アルキル基である、請求項57記載の化合物。
【請求項65】
nが1であり、Rが、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルである、請求項57記載の化合物。
【請求項66】
がイソペンチル基であり;Rが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはベンジルであり;R、RおよびR11が水素である、請求項57記載の化合物。
【請求項67】
式XXXII:
【化25】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、またはRおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
10およびR11は、独立して、水素あるいはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり;
nは0〜3であり、
式XXXIIの環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を有する化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩またはエステルであって、RおよびR10が同時にメチル基であることはない、化合物。
【請求項68】
請求項57〜67の化合物と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む、薬学的組成物。
【請求項69】
腫瘍性状態にある被験体を治療する方法であって、請求項57〜68の化合物または組成物の有効量を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項70】
被験体において腫瘍性状態の発生を軽減するまたは予防する方法であって、請求項57〜68の化合物または組成物の有効量を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項71】
前記腫瘍性状態が、乳癌、肺癌、大腸癌または白血病である、請求項69または70記載の方法。
【請求項72】
前記化合物は、1mg/kg体重〜300mg/kg体重の用量で投与される、請求項71記載の方法。
【請求項73】
扁平上皮癌に罹患している被験体を治療する方法であって、式VIII
【化26】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、またはRおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
10およびR11は、独立して、水素またはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり;
nは、0〜3であり、
式VIIIの環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を有する化合物またはその組成物の有効量を被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項74】
基底細胞癌を患う被験体を治療する方法であって、式VIII
【化27】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、またはRおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
10およびR11は、独立して、水素あるいはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり;
nは0〜3であり、
式VIIIの環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を有する化合物またはその組成物の有効量を被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項75】
前記化合物は経口投与される、請求項72または74記載の方法。
【請求項76】
前記化合物は局所投与される、請求項72または74記載の方法。
【請求項77】
前記化合物が、式XXXV:
【化28】

(式中、Rは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
が、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
10およびR11は、独立して、水素またはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり;
nは0〜3であり、
式XXXVの環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を有する、請求項72〜76のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
nは1であり、RおよびR10はメチルである、請求項77記載の方法。
【請求項79】
前記化合物が、
【化29】

である、請求項72〜76のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
被験体中の血清トリグリセリドを減少させる方法であって、式VIII
【化30】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり、またはRおよびRは、一緒になって、置換または非置換縮合アリール基を形成し;
は、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基を含む1個以上の基であり;
、RおよびRは、独立して、水素、C−C15分岐状または直鎖アルキル基、あるいは置換または非置換シクロアルキル基であり;
10およびR11は、独立して、水素またはC−C15分岐状または直鎖アルキル基であり;
nは、0〜3であり、
式VIIIの環中の1個以上の炭素原子は、必要に応じて、ヘテロ原子で置き換えられる可能性がある)を有する化合物またはその組成物の有効量を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項81】
前記化合物が、(2E,4E,6E,8E)−8−(3’,4’−ジヒドロ−8’−メチル−1’(2’H−ナフタレン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸、または(2E,4E,6Z)−8−(3’−シクロプロピル−2’−(3−メチルブチル)−2’−シクロヘキセン−1’−イリデン))−3,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン酸である請求項80記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−510822(P2008−510822A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530044(P2007−530044)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/029922
【国際公開番号】WO2006/036394
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(506385335)ザ ユーエービー リサーチ ファウンデーション (10)
【Fターム(参考)】