説明

レットオフ装置

【課題】生産性に優れ、かつ省スペースに寄与するレットオフ装置52の提供。
【解決手段】レットオフ装置52は、ターンテーブル54、第一作動部56及び第二作動部58を備えている。第一作動部56は、第一送り出し芯62及び第一巻き取り芯64を備えている。第二作動部58は、第二送り出し芯66及び第二巻き取り芯68を備えている。第一作動部56及び第二作動部58は、ターンテーブル54の旋回によって稼働ステーションと待機ステーションとの間を移動可能である。第二作動部58が稼働ステーションにおいて稼働中、待機ステーションにおいて第一作動部56の準備作業が行われる。第一作動部56が稼働ステーションにおいて稼働中、待機ステーションにおいて第二作動部58の準備作業が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムシート等のためのレットオフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤには、カーカスプライ、ベルトプライ、サイドウォール、インナーライナー、トレッド等の部材が用いられている。これら部材は、ゴム組成物からなる。基材ゴム、加硫剤、充填剤、添加剤等が混練されて、ゴム組成物が得られる。
【0003】
タイヤ工場では、カレンダー、押出等によってゴム組成物がシート状とされる。このゴムシートは、芯に巻き取られる。ゴムシート同士の貼着防止の目的で、ゴムシートとライナーとが積層された状態で、巻き取りがなされる。巻き取りのための装置が、特開平6−183618号公報、特開平9−226017号公報、特開平10−151687号公報及び特開2001−302035公報に開示されている。
【0004】
ゴムシートは、巻き取られた状態で一時的に保管される。そして、必要時に、予備成形装置へと供給される。供給には、レットオフ装置が用いられる。特開平4−371440号公報に、レットオフ装置の一例が開示されている。
【0005】
図4に、従来の一般的なレットオフ装置2が示されている。このレットオフ装置2は、送り出し芯4及び巻き取り芯6を備えている。送り出し芯4には、ゴムシート8とライナー10とからなる積層体12が巻かれている。送り出し芯4及び巻き取り芯6が矢印R2の方向に回転することにより、矢印A1で示されるように、積層体12が送り出し芯4から送り出される。積層体12は巻き取り芯6の上を通過し、スクレーパー14に至る。スクレーパー14において、ゴムシート8からライナー10が分離される。ゴムシート8はガイドロール16を通過し、矢印A2で示される方向に移動する。さらにゴムシート8は、ガイドロール18によって方向を変えられ、切断設備(例えばバイアスカッター)へと向かう。矢印A3で示されるように、ライナー10はスクレーパー14から巻き取り芯6へと向かい、この巻き取り芯6に巻き取られる。
【0006】
送り出し芯4に巻かれている積層体12がすべて送り出されると、送り出し芯4及び巻き取り芯6の回転が停止される。この段階では、送り出し芯4には何も巻かれておらず、巻き取り芯6にはライナー10が巻かれている。巻き取り芯6が装置からはずされ、送り出し側にある空の芯が巻き取り側に移される。そして、送り出し側には新たな積層体12が巻かれた芯が装着される。新たな積層体12のゴムシート8の前端が、既に送り出されたゴムシート8の後端と接合された後、新たなゴムシート8の送り出しが再開される。芯の移動は、ホイストによってなされる。芯の移動には、時間を要する。芯が移動されている間、次の工程へのゴムシート8の供給が中断される。芯の移動は、タイヤの生産性に悪影響を与える。
【0007】
図5は従来の他のレットオフ装置20が示された正面図であり、図6はその平面図である。このレットオフ装置20は、第一作動部22及び第二作動部24を備えている。第一作動部22は、送り出し芯26及び巻き取り芯28を有している。第二作動部24は、カセット台車30、送り出し芯32及び巻き取り芯34を有している。送り出し芯32及び巻き取り芯34は、カセット台車30に載置されている。カセット台車30は、図6において両矢印で示されるように、移動可能である。
【0008】
図5では、第二作動部24の送り出し芯32から、ゴムシート36とライナー38との積層体40が送り出されている。積層体40は巻き取り芯34の上を通過し、スクレーパー42に至っている。スクレーパー42において、ゴムシート36からライナー38が分離される。ゴムシート36はガイドロール44及び他のガイドロール46を通過し、次の工程へと向かう。ライナー38はスクレーパー42から巻き取り芯34へと向かい、この巻き取り芯34に巻き取られる。
【0009】
第二作動部24が稼働中、第一作動部22では、準備作業が行われる。具体的には、空の芯が巻き取り側に装着され、他の積層体48が巻かれた芯が送り出し側に装着される。これらの作業は、ホイストによってなされる。第二作動部24からのゴムシート36の供給が完了すると、第二作動部24のゴムシート36の後端に、第一作動部22のゴムシート50の前端が接合される。そして、図5において二点鎖線で示されるように、第一作動部22から、ゴムシート50が供給される。
【0010】
第一作動部22が稼働中は、第二作動部24において準備作業が行われる。具体的には、カセット台車30が図6中上方へと移動させられる。移動により、ガイドロール46を通過したゴムシート50の直下から、カセット台車30が待避しうる。待避により、ホイスト作業が可能となる。このホイストにより、空の芯が巻き取り側に装着され、他の積層体40が巻かれた芯が送り出し側に装着される。そして、カセット台車30が、図6中の下方へと移動させられる。第一作動部22からのゴムシート50の供給が完了すると、引き続いて第二作動部24からゴムシート36が供給される。
【0011】
このように、第一作動部22での準備作業は第二作動部24の稼働中になされ、第二作動部24での準備作業は第一作動部22の稼働中になされるので、ゴムシート36、50の供給の中断時間は短い。図5及び図6に示されたレットオフ装置20は、生産性に優れる。
【特許文献1】特開平6−183618号公報
【特許文献2】特開平9−226017号公報
【特許文献3】特開平10−151687号公報
【特許文献4】特開2001−302035公報
【特許文献5】特開平4−371440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図5及び図6に示されたレットオフ装置20では、ガイドロール46で導かれたゴムシート36、50の下にカセット台車が入り込む必要がある。従って、装置20の高さH1(図5参照)が高く設定される必要がある。このレットオフ装置20は、天井が高い工場でしか、使用され得ない。さらに、このレットオフ装置20では、図6において二点鎖線Lで囲まれた領域においてホイストが稼働する必要がある。このレットオフ装置20は、スペースが広い工場でしか使用され得ない。本発明の目的は、生産性に優れ、かつ省スペースに寄与するレットオフ装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るレットオフ装置は、ターンテーブルと、このターンテーブルに載置された第一作動部及び第二作動部とを備える。この第一作動部及び第二作動部は、それぞれ送り出し芯及び巻き取り芯を備える。この第一作動部及び第二作動部は、ターンテーブルの旋回によって、稼働ステーションと待機ステーションとの間を移動可能である。この第一作動部及び第二作動部の一方が稼働ステーションに位置するとき、他方は待機ステーションに位置する。
【発明の効果】
【0014】
このレットオフ装置では、第一作動部及び第二作動部のいずれか一方が稼働中、他方の準備作業が可能である。このレットオフ装置は、生産性に優れる。このレットオフ装置では、カセット台車は不要なので、装置高さが低く設定されうる。このレットオフ装置では、待機ステーションの近傍においてのみホイスト作業がなされるので、ホイストのためのスペースが狭くても足りる。このレットオフ装置は、省スペースに寄与しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るレットオフ装置52が示された平面図であり、図2はその正面図である。このレットオフ装置52は、ターンテーブル54、第一作動部56、第二作動部58及びギア60を備えている。第一作動部56は、第一送り出し芯62及び第一巻き取り芯64を備えている。第二作動部58は、第二送り出し芯66及び第二巻き取り芯68を備えている。第一送り出し芯62、第一巻き取り芯64、第二送り出し芯66及び第二巻き取り芯68は、ターンテーブル54に載置されている。図示されない駆動手段(例えばモーター)によってギア60が回転することにより、図1において矢印R1で示されるように、ターンテーブル54が旋回しうる。旋回は間欠的であり、180°刻みである。旋回により、第一作動部56及び第二作動部58が移動する。
【0017】
図3は、図1のレットオフ装置52の一部が示された正面図である。この図3において、符号Aで示されているのは待機ステーションであり、符号Bで示されているのは稼働ステーションである。前述のように、ターンテーブル54の旋回によって第一作動部56及び第二作動部58は移動する。第一作動部56が待機ステーションAに位置するときは、第二作動部58は稼働ステーションBに位置する。第二作動部58が待機ステーションAに位置するときは、第一作動部56は待機ステーションAに位置する。
【0018】
図3の例では、第一作動部56が待機ステーションAに位置しており、第二作動部58が稼働ステーションBに位置している。第二送り出し芯66には、ゴムシート70とライナー72とからなる積層体74が巻かれている。第二送り出し芯66及び第二巻き取り芯68が矢印R2の方向に回転することにより、矢印A1で示されるように、積層体74が第二送り出し芯66から送り出される。積層体は第二巻き取り芯68の上を通過し、スクレーパー76に至る。スクレーパー76において、ゴムシート70からライナー72が分離される。ゴムシート70はガイドロール78を通過し、矢印A2で示される方向に移動する。さらにゴムシート70は、ガイドロール80によって方向を変えられ、次の工程へと向かう。矢印A3で示されるように、ライナー72はスクレーパー76から第二巻き取り芯68へと向かい、この第二巻き取り芯68に巻き取られる。
【0019】
第二作動部58が稼働中、第一作動部56では、準備作業が行われる。具体的には、空の第一巻き取り芯64が巻き取り側に装着され、積層体82が巻かれた第一送り出し芯62が送り出し側に装着される。これらの作業は、ホイストによってなされる。これらの作業は、待機ステーションAにおいてなされる。
【0020】
第二作動部58からのゴムシート70の供給が完了すると、ターンテーブル54が180°旋回する。旋回により、第二作動部58が待機ステーションAに移動し、第一作動部56が稼働ステーションBに移動する。稼働ステーションBでは、第二作動部58のゴムシート70の後端に、第一作動部56のゴムシートの前端が接合される。そして、第一作動部56からゴムシートが供給される。供給の中断時間は、極めて短い。
【0021】
第一作動部56が稼働中、第二作動部58では、準備作業が行われる。具体的には、ライナー72が巻かれた第二巻き取り芯68が取り外され、空の第二巻き取り芯68が巻き取り側に装着され、積層体が巻かれた第二送り出し芯66が送り出し側に装着される。これらの作業は、ホイストによってなされる。これらの作業は、待機ステーションAにおいてなされる。
【0022】
第一作動部56からのゴムシートの供給が完了すると、ターンテーブル54が180°旋回する。旋回により、第一作動部56が再度待機ステーションAに移動し、第二作動部58が再度稼働ステーションBに移動する。稼働ステーションBでは、第一作動部56のゴムシートの後端に、第二作動部58のゴムシート70の前端が接合される。そして、第二作動部58からゴムシート70が供給される。供給の中断時間は、極めて短い。
【0023】
このように、第一作動部56からのゴムシートの供給と、第二作動部58からのゴムシートの供給とは、連続的に繰り返される。このレットオフ装置52では、準備作業による供給中断時間が短い。このレットオフ装置52は、生産性に優れる。
【0024】
このレットオフ装置52では、ホイスト作業は、常に待機ステーションAにおいてなされる。ホイストの可動範囲は、極めて狭い。さらにこのレットオフ装置52では、稼働ステーションBにおいて準備作業がなされる必要がないので、カセット台車は不要である。従って、装置高さH2(図3参照)は、低くても良い。このレットオフ装置52は、面積が狭い工場及び天井が低い工場にも設置されうる。このレットオフ装置52は、省スペースに寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係るレットオフ装置は、ゴムシートの供給のみならず、ゴムシートの巻き取り、ゴムシートの巻き直し等にも用いられうる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るレットオフ装置が示された平面図である。
【図2】図2は、図1のレットオフ装置が示された正面図である。
【図3】図3は、図1のレットオフ装置の一部が示された正面図である。
【図4】図4は、従来のレットオフ装置が示された正面図である。
【図5】図5は、従来の他のレットオフ装置が示された正面図である。
【図6】図6は、図5のレットオフ装置が示された平面図である。
【符号の説明】
【0027】
52・・・レットオフ装置
54・・・ターンテーブル
56・・・第一作動部
58・・・第二作動部
62・・・第一送り出し芯
64・・・第一巻き取り芯
66・・・第二送り出し芯
68・・・第二巻き取り芯
70・・・ゴムシート
72・・・ライナー
74、82・・・積層体
76・・・スクレーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンテーブルと、このターンテーブルに載置された第一作動部及び第二作動部とを備えており、
この第一作動部及び第二作動部が、それぞれ送り出し芯及び巻き取り芯を備えており、
この第一作動部及び第二作動部が、ターンテーブルの旋回によって稼働ステーションと待機ステーションとの間を移動可能であり、
この第一作動部及び第二作動部の一方が稼働ステーションに位置するとき他方が待機ステーションに位置するように構成されたレットオフ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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