説明

レドックスフロー電池、

【課題】タンク内の電解液の漏出量を低減できるレドックスフロー電池(RF電池)を提供する。
【解決手段】RF電池1は、正極電極・負極電極・隔膜101を具える電池要素100cに上流配管11,21によりタンク106,107の電解液を供給して充放電を行う。タンク106,107の上方側に電解液の取出口(上流配管11,21の開口部11t,21t)を具える。上流配管11,21は、取出口よりも低い位置に配置される低位置部11L,21Lを具える。タンク106,107には、漏出防止孔10h,20hを有する収納配管10B,20Bが収納される。RF電池1は、タンク106,107の上方側に配置される小さい漏出防止孔10hを具えることで、上流配管11の事故時、収納配管10Aと正極上流配管11の一部とで形成された逆U字状の配管を介してサイフォンの原理により正極タンク106内の電解液が漏出することを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レドックスフロー電池(以下、RF電池と呼ぶ)に関するものである。特に、事故時などにタンク内の電解液の漏出量を低減できるRF電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、地球温暖化への対策として、太陽光発電、風力発電といった新エネルギーの導入が世界的に推進されている。これらの発電出力は、天候に影響されるため、大量に導入が進むと、周波数や電圧の維持が困難になるといった電力系統の運用に際しての問題が予測されている。この問題の対策の一つとして、大容量の蓄電池を設置して、出力変動の平滑化、余剰電力の貯蓄、負荷平準化などを図ることが期待される。
【0003】
大容量の蓄電池の一つにRF電池がある。RF電池100は、図6に示す形態のものが知られている(特許文献1など)。具体的には、RF電池100は、正極電極104を内蔵する正極セル102と負極電極105を内蔵する負極セル103との間に隔膜101を介在させた電池要素100cと循環機構(タンク106,107、上流配管108,109、下流配管110,111、ポンプ112,113)とを具え、循環機構を利用して、電池要素100cに正極電解液及び負極電解液を循環供給して充放電を行う。電解液には、代表的には、酸化還元により価数が変化するバナジウムイオンといった金属イオンを含有する水溶液が利用される。なお、図6においてタンク106,107内のイオンは例示である。また、図6において実線矢印は、充電、破線矢印は放電を意味する。
【0004】
従来のRF電池100では、電池要素100cに正負の各極の電解液を供給する上流配管108,109の一端が、各極のタンク106,107の底部側(下方側)に取り付けられ、他端が電池要素100cの底部側(下方側)に取り付けられる(特許文献1の図1,図5など)。また、従来のRF電池100では、電池要素100cからの電解液を各極のタンク106,107に戻す下流配管110,111がタンク106,107の上方側に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-043884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のRF電池では、上流配管やポンプを破損するなどの事故が生じた場合、正負の各極のタンク内の電解液がほとんど漏出する、という問題がある。
【0007】
RF電池に利用される電解液は、硫酸溶液などの劇物であることから、大量に漏出すると、作業者の安全性を損なったり、環境への影響があったり、周辺設備を汚損したりする恐れがある。また、上記電解液は、導電性を有することから、地絡したり、正極セルと負極セル間やRF電池と周辺設備との間で短絡したりする恐れがある。下流配管の一端をタンクの下方に取り付けた場合にも同様の問題が生じ得る。従って、配管やポンプの破損といった事故が生じた場合であっても、タンクから漏出する電解液量をできる限り低減することが望まれる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、事故時などにタンク内の電解液の漏出量を低減できるレドックスフロー電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
タンク内の電解液を電池要素に供給するにあたり、タンクにおける電解液の取出口を、例えば、タンク内の電解液の液面側、即ち、タンクの上方側に設けることが考えられる。この形態では、上述の事故が生じても、タンクの外部に漏出する電解液を、タンク内の電解液のうち、上記取出口よりも上方に位置する電解液のみにすることができる。つまり、タンク内の電解液の漏出量は、タンクにおける取出口の配置位置によって規制可能であり、当該取出口の配置位置がタンクの底部から高いほど、換言すれば、タンク内の電解液の液面近くであるほど、タンクからの電解液の漏出量を低減できる。
【0010】
しかし、上記取出口をタンクの上方側に設け、更に、下流配管もタンクの上方側に取り付けた場合、下流配管を経てタンクに戻された電解液、つまり、タンクの上方側に戻された電解液を直ちに取出口から電池要素に供給することになる。そのため、タンク内で電解液が十分に対流せず、タンク内の電解液の一部(タンク内の電解液の液面近くの液(タンクの上方側の液))を主として利用し、充放電に実質的に利用されない電解液が生じ得る。電解液の利用率の低下によって、ひいては電池特性の低下を招く。
【0011】
そこで、本発明者は、タンク内の電解液の液面側に取出口を設けると共に、取出口近傍の電解液ではなくタンクの底部側の電解液を取り出せるように、タンク内にも配管を配置することを検討した。ここで、図6に示す従来のレドックスフロー電池100のように、上流配管108,109の一部やポンプ112,113を床面などで支持する形態とすると、架台などの支持部材を不要にできる上に、上流配管108,109やポンプ112,113のメンテナンスを行い易い。そこで、タンク内に配管を収納すると共に、上流配管の一部やポンプをタンク内の電解液の底部側に配置した形態を検討した。この形態では、代表的には、収納した配管の一端がタンクの底部側に開口し、上流配管の一部が上記収納した配管の開口部よりも高い位置に配置され、更に他部がタンク内の電解液の液面よりも低い位置に配置される。つまり、上記タンク内に収納した配管と上流配管の一部とが逆U字状に配置される。そのため、この形態では、上述した事故などが生じた場合、上記逆U字状部分を介して、サイフォンの原理により、タンクの外部に電解液が漏出する恐れがある。
【0012】
また、タンク内に配置する配管を下流配管に連結し、電池要素からの電解液をタンクの底部側に戻す形態を検討した。具体的には、タンクの上方側に電解液の戻り口(下流配管の開口部)を設け、この戻り口に、タンクに収納した配管を連結し、更に、この収納した配管をタンクの底部側に開口させる。この形態において、上述の取出口をタンクの上方側に設けると、電解液の利用率を高められる。しかし、この形態も、例えば、上述のようにポンプなどを床面などで支持する場合、上流配管の一部がタンク内の電解液の液面よりも低い位置に配置され得る。すると、上記タンク内に収納した配管と上流配管の一部とが電池要素を介して逆U字状に配置される。そのため、この形態も、上述した事故などが生じた場合、上記逆U字状部分を介して、サイフォンの原理により、タンクの外部に電解液が漏出する恐れがある。
【0013】
これらの点を検討した結果、本発明は、(1)上流配管又は下流配管をタンク内の電解液の液面側に開口すること、(2)タンク内に配管を配置すること、(3)このタンク内の配管をタンクの底部側で開口すると共に、上記上流配管又は上記下流配管に連結すること、そして、(4)上記タンク内の配管の特定の位置に貫通孔を設けることを提案する。
【0014】
本発明のレドックスフロー電池:RF電池は、タンク内の電解液を電池要素に供給して充放電を行うものであり、上記タンク内の電解液を上記電池要素に供給する上流配管と、上記電池要素からの電解液を上記タンクに戻す下流配管と、上記上流配管、上記電池要素、及び上記下流配管で構成される電解液流路の一部に設けられ、上記タンク内の電解液の液面よりも低い位置に配置された低位置部とを具える。また、本発明RF電池は、上記タンク内に配置され、上記上流配管又は上記下流配管に連結された収納配管を具える。上記収納配管の一端に連結された上記上流配管又は上記下流配管の一端が上記タンク内の電解液の液面寄りの位置又は上記液面の上方空間に開口している。上記収納配管の他端が上記タンクの底部寄りの位置に開口している。上記収納配管において当該タンク内の電解液の液面寄りの位置に漏出防止孔が設けられている。そして、上記漏出防止孔が上記収納配管の他端側の開口部よりも小さい。
【0015】
本発明において「液面寄りの位置」とは、上述した事故などが生じていない状態において、タンクの底部から同タンク内の電解液の液面までの距離をLとするとき、タンクの底部から(L/2)超L未満の位置とする。また、本発明において「底部寄りの位置」とは、タンクの底部から(L/2)以下の位置とする。
【0016】
収納配管が上流配管に連結されている場合、本発明RF電池は、タンク内の電解液の液面寄りの位置や液面の上方側、つまり、タンクの上方側に当該タンク内の電解液の取出口(上流配管の一端側の開口部)が設けられ、当該取出口からの電解液を電池要素に供給する構成である。収納配管が下流配管に連結されている場合、本発明RF電池は、上記タンクの上方側に電解液の戻り口(下流配管の一端側の開口部)が設けられ、電池要素からの電解液を当該戻り口からタンク内に戻す構成である。また、本発明RF電池は、タンク内に、当該タンクの底部寄りに開口した収納配管を具えると共に、当該タンク内の電解液の液面よりも低い位置に配置された低位置部を有する構成である。上記構成により、本発明RF電池は、収納配管と、タンク外に配置された電解液流路の一部(低位置部を含む部分)とを繋いだ形状が、上に凸な形状(逆U字状、又は逆V字状、或いはΠ字状)となる。つまり、本発明RF電池は、電解液が流通される経路に、逆U字状部分を含む。
【0017】
そのため、本発明RF電池は、収納配管と電池要素とを繋ぐ上流配管や下流配管、上流配管に配置されたポンプなどを損傷するなどの事故が生じた場合に、上述の逆U字状部分を利用したサイフォンの原理によって、タンク内の電解液が収納配管を介してタンクの外部に移動し得る。しかし、本発明RF電池は、収納配管におけるタンク内の電解液の液面寄りの位置、つまり、当該タンクの上方側に漏出防止孔に具えることから、当該タンクから外部に漏出する電解液を、当該タンク内の電解液において漏出防止孔よりも上方に存在する量に規制できる。従って、本発明RF電池は、タンクの底部側の電解液を取り出したり、タンクの底部側に電解液を戻したりすることができる上に、上述の事故時、タンク内の電解液の漏出量を低減することができる。
【0018】
また、漏出防止孔の大きさが収納配管においてタンクの底部側に配置される開口部に比較して十分に小さいことで、本発明RF電池は、電池要素に電解液を循環供給する際にポンプの損失を低減できる。
【0019】
かつ、本発明RF電池は、タンク内の電解液の取出口や戻り口が上述のように当該タンクの上方側に開口し、かつ、タンク内の電解液を実際に吸い出す収納配管の他端又はタンク内に実際に電解液を吐き出す収納配管の他端が当該タンクの底部寄りの位置、つまり、タンクの下方側に開口している。この構成により、本発明RF電池は、タンク内の電解液において取出口や戻り口から遠い位置にある電解液を利用可能であり、電解液の利用率を高められる。
【0020】
本発明の一形態として、上記収納配管の一端が上記上流配管に連結され、この上流配管の一部に上記低位置部が設けられた形態が挙げられる。或いは、本発明の一形態として、上記収納配管の一端が上記下流配管に連結され、上記上流配管の一部に上記低位置部を具える形態が挙げられる。
【0021】
上記形態はいずれも、収納配管と上流配管に具える低位置部とを繋いで形成される逆U字状部分を具える。しかし、いずれの形態も、上述のように漏出防止孔によってタンク内の電解液の漏出量を規制することができる。
【0022】
上述の収納配管が上流配管に連結された形態として、上記下流配管の一端が上記タンク内の電解液の液面寄りの位置、又は上記液面の上方空間に開口した形態が挙げられる。上述の収納配管が下流配管に連結された形態として、上記上流配管の一端が上記タンク内の電解液の液面寄りの位置に開口した形態、又は上記上流配管の一端が液面の上方空間に開口しており、この上流配管に、上記タンク内の電解液中に開口した別の収納配管が連結された形態が挙げられる。
【0023】
前者の形態は、電池要素からタンクの上方側に戻された電解液を、上流配管に連結される収納配管によってタンクの底部側(下方側)から電池要素に供給でき、後者の形態は、下流配管に連結される収納配管によってタンクの底部側(下方側)に戻された電解液を、タンクの上方側から電池要素に供給できる。そのため、上記形態はいずれも、電解液がタンク内で十分に対流できることから、タンク内の電解液全体を十分に活用可能であり、電解液の利用率を高められる。
【0024】
本発明の一形態として、上記漏出防止孔の直径をφh、上記収納配管の他端側の開口部の直径をφiとするとき、上記漏出防止孔の直径φhが1mm以上(φi/2)未満である形態が挙げられる。
【0025】
上記形態は、漏出防止孔が特定の大きさであることで、上述の事故時、タンク内の電解液の漏出量を規制して漏出量を低減でき、充放電時、タンク内の電解液を電池要素に供給する際のポンプの損失を低減できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明レドックスフロー電池は、事故時などにタンク内の電解液の漏出量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施形態1のレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図2】図2は、実施形態2のレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図3】図3は、実施形態3のレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図4】図4は、実施形態4のレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図5】図5は、実施形態5のレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図6】図6は、レドックスフロー電池の動作原理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図中、同一符号は同一名称物を示す。本発明レドックスフロー電池:RF電池の基本的な構成は、上述した図6に示す従来のRF電池100と同様であり、主たる特徴は、電池要素に正負の各極の電解液を循環供給する経路(主として配管構造)にある。以下、RF電池の基本的な構成については概要のみを説明し、特徴点を中心に説明する。
【0029】
[全体構造]
本発明RF電池は、従来のRF電池100と同様に、電池要素100cを主要構成部材とし、この電池要素100cに正極電解液及び負極電解液を循環供給する循環機構(タンク106,107、配管(詳細は後述する)、ポンプ112,113)を更に具える。そして、本発明RF電池は、交流/直流変換器を介して、発電部(例えば、太陽光発電機、風力発電機、その他、一般の発電所など)と電力系統や需要家などの負荷とに接続され、発電部を電力供給源として充電を行い、負荷を電力提供対象として放電を行う。
【0030】
[電池要素]
電池要素100cは、代表的には、正極セル102及び負極セル103と隔膜101とを複数積層させたセルスタックと呼ばれる形態が利用される。正極セル102,負極セル103は、一面に正極電極104(図6)、他面に負極電極105(図6)が配置される双極板(図示せず)と、電解液を供給する給液孔及び電解液を排出する排液孔を有し、かつ上記双極板の外周に形成される枠体(図示せず)とを具えるセルフレームを用いた構成が代表的である。複数のセルフレームを積層することで、上記給液孔及び排液孔は電解液の流路を構成する。セルスタックは、セルフレーム、正極電極104、隔膜101、負極電極105、セルフレーム、…と順に繰り返し積層されて構成される。
【0031】
代表的には、正極電極104・負極電極105は、カーボンフェルトからなるもの、隔膜101は、陽イオン交換膜や陰イオン交換膜といったイオン交換膜、双極板は、プラスチックカーボンからなるもの、セルフレームの枠体は、塩化ビニルなどの樹脂からなるものが挙げられる。
【0032】
[電解液]
正負の各極の電解液は、活物質となる金属イオンを含む溶液が代表的である。正負の各極の活物質に利用される金属イオンの対としては、正極:鉄イオン、負極:クロムイオン、正極及び負極:バナジウムイオン、その他、正極:マンガンイオン、負極:チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、亜鉛イオン、及びスズイオンからなる群から選択される少なくとも一種の金属イオンが挙げられる。正極活物質をマンガンイオンとする場合、負極活物質によっては全バナジウム系RF電池よりも起電力が高いRF電池とすることができる。また、正極にマンガンイオンと共にチタンイオンを含有すると、Mn3+の不均化反応に伴うMnO2の析出を抑制することができる。正極及び負極の双方にマンガンイオン及びチタンイオンを含有する形態とすることができる。
【0033】
正負の各極の電解液は、硫酸、リン酸、硝酸、硫酸塩、リン酸塩、及び硝酸塩の少なくとも一種を含む水溶液が好ましい。特に、硫酸アニオン(SO42-)を含むものが利用し易い。
【0034】
[循環機構]
正極電解液は、正極タンク106に貯留され、負極電解液は、負極タンク107に貯留される。各タンク106,107と、上述のセルスタックに形成される電解液の流路との間はそれぞれ正極上流配管11及び正極下流配管12、負極上流配管21及び負極下流配管22によって接続される。上流配管11,21にはポンプ112,113が取り付けられ、上流配管11,21を介して電池要素100c(セルスタック)に各タンク106,107内の電解液を供給し、下流配管12,22を経て各タンク106,107に電池要素100cからの電解液を戻す。
【0035】
本発明RF電池は、上述の循環機構を利用して、電池要素100cに電解液を圧送し、正負の各極の電解液中の活物質となる金属イオンの価数変化反応に伴って充放電を行う。
【0036】
<実施形態1>
図1を参照して、実施形態1のRF電池1に具える配管構造を説明する。RF電池1では、正極側の配管構造と負極側の配管構造とが同じであるため、正極側の配管構造を例に挙げて、詳細に説明する。
【0037】
正極タンク106と電池要素100cとに取り付けられ、タンク106内の電解液を電池要素100cに供給する正極上流配管11の一端、即ち、正極タンク106側の開口部11tは、タンク106内の電解液の液面寄りの位置:(L/2)超の位置に開口している(ここではタンク106の底部からL未満の位置)。開口部11tにおいて正極タンク106の底部からの位置は、高いほどタンク106から漏出する電解液量を低減し易くなることから、タンク106の底部から(2/3)×L以上の位置、(3/4)×L以上の位置がより好ましい。なお、図1〜図5において、正極タンク106,負極タンク107内の実線は液面、タンク106,107内の一点鎖線は、(L/2)の位置を示す。
【0038】
RF電池1では、図示しない架台などによって、正極タンク106,負極タンク107内の電解液の液面よりも高い位置に電池要素100cが支持されている。この構成により、RF電池1は、充放電運転の停止期間などで、電池要素100c内の電解液を完全に抜き取ることができる。そのため、RF電池1は、電池要素100c内の電解液の残存による自己放電を低減して、放電容量の低下を抑制できる。
【0039】
図1に示す例では、RF電池1は、正極上流配管11の中間部に、正極タンク106内の電解液の液面よりも低い位置に配置される低位置部11Lを具える。詳しくは、正極上流配管11は、その一端の開口位置(正極タンク106側の開口部11t)が上述のようにタンク106内の電解液の液面側(タンク106の上方側)に配置され、かつ、その他端の開口位置(電池要素100c側の開口部11c)も、タンク106の上方寄りに配置される電池要素100cに向かって、タンク106の上方側に配置されている。そして、正極上流配管11の中間部が両端(両開口部11t,11c)よりも低くなるように当該配管11がU字状に屈曲され、このU字状部分が低位置部11Lである。
【0040】
図1に示す例では、低位置部11Lにおいて直線状に配置された最下位置にポンプ112が取り付けられ、この直線状部分とポンプ112とが、正極タンク106と同様に床面(設置面)に支持されている。なお、正極上流配管11の長手方向におけるポンプ112の位置は適宜選択することができ、上述の位置以外の箇所でもよい。
【0041】
そして、RF電池1は、正極タンク106内に収納配管10Aが配置されている点を特徴の一つとする。
【0042】
収納配管10Aは、少なくとも一部が正極タンク106内の電解液に浸漬される(図1に示す例では全てが浸漬されている)。従って、収納配管10Aの構成材料は、電解液と反応しない材料が好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル:PVC、ポリエチレン:PE、ポリプロピレン:PP、ポリテトラフルオロエチレン:PTFEなどが挙げられる。この材料は、上流配管11,21、下流配管12,22にも適用できる。
【0043】
収納配管10Aは、その一端が正極上流配管11の正極タンク106側の開口部11tに連結される。つまり、収納配管10Aの一端は、正極タンク106内の電解液の液面寄りの位置:(L/2)超に開口しており、上述のようにこの開口位置が高いほど好ましい。なお、収納配管10Aと正極上流配管11とはそれぞれ独立した配管とし、接続部を介して接合してもよいし、両配管10A,11を連続した一つの配管で構成してもよい。この点は、後述する実施例についても同様である。
【0044】
収納配管10Aの他端は、正極タンク106の底部寄りの位置:(L/2)未満の位置に開口している。収納配管10Aの他端の開口位置(開口部10oの配置位置)は、正極タンク106の底部に近いほど、タンク106内の電解液の液面との距離が大きくなり、当該液面から遠い位置の電解液を電池要素100cに供給できる。特に、図1に示すRF電池1のように正極タンク106の上方側(ここではタンク106の液面の上方空間)に正極下流配管12が開口している場合、電池要素100cからタンク106内に戻された電解液は、タンク106の底部から取り出されるまでの間に十分に対流することができる。その結果、RF電池1では、常時、タンク106内の電解液が均一的な状態になり易く、この均一的な電解液を電池要素100cに供給できる。従って、収納配管10Aの他端の開口位置(開口部10oの配置位置)は、正極タンク106の底部からの距離が短いほど(底部に近いほど)好ましく、タンク106の底部から(1/3)×L以下の位置、更に(1/4)×L以上の位置、特に底部近傍がより好ましい。
【0045】
上述のように収納配管10Aは、その両端の位置が上下に離れており、ここでは、L字を上下反転させた形状になっている。そして、RF電池1では、この逆L字状の収納配管10Aと、上述した正極上流配管11の一部(正極上流配管11の正極タンク106側の開口部11tから低位置部11Lの直線状部分までの部分)とが、図1に示すように、逆U字状の配管を形成している点を特徴の一つとする。
【0046】
更に、RF電池1では、収納配管10Aにおいて正極タンク106内の電解液の液面寄りの位置:(L/2)超L未満の位置に漏出防止孔10hを具える点を特徴の一つとする。漏出防止孔10hの配置位置は、正極タンク106の底部からの距離が長いほど(底部から遠いほど)、タンク106内の電解液の漏出量を規制できるため、タンク106内の電解液中においてタンク106の底部から最も高い位置であることが好ましい。ここでは、漏出防止孔10hは、逆L字状の収納配管10Aにおける角部(最も高い位置)に設けられている。
【0047】
収納配管10Aの大きさ(断面積)・断面形状は、適宜選択できる。代表的には、収納配管10Aは、全長に亘って断面形状が一様な形態が挙げられる。その他、長手方向の一部に断面形状や断面積が異なる部分を有する形態とすることができる。収納配管10Aの断面形状は、代表的には、円形状、矩形状などが挙げられる。断面円形状であると、電解液の流通抵抗が小さくなり易い。ここでは、収納配管10Aは、全長に亘って一様な断面形状を有し、その断面形状が円形状としている。
【0048】
漏出防止孔10hの大きさ(断面積)・断面形状も、適宜選択できる。例えば、断面形状は、円形状、矩形状の他、矩形以外の多角形状や楕円などの異形状でもよい。漏出防止孔10hの大きさ(断面積)は、収納配管10Aの他端側(正極タンク106の底部側)の開口部10oの大きさ(断面積)よりも小さいものとする。例えば、収納配管10A及び漏出防止孔10hの断面形状が円形状である場合、漏出防止孔10hの直径φhは、収納配管10Aの直径φiよりも小さい(φh<φi)。特に、漏出防止孔10hの直径φhは、1mm以上、収納配管10Aの直径φiの1/2未満であることが好ましく、2mm〜10mm程度が利用し易い。ここでは、漏出防止孔10hの断面形状を円形状とし、直径φhを1mm以上(φi/2)未満としている。
【0049】
正極下流配管12は、その一端が正極タンク106内の電解液の上方空間に開口し、他端が電池要素100cに取り付けられている。下流配管12(22)の開口部の位置は適宜変更することができ、例えば、タンク106内の電解液の液面寄りの位置、タンク106の底部寄りの位置とすることができる。
【0050】
負極側の配管構造も、上述した正極側の配管構造と同様である。具体的には、負極上流配管21は、その一端が負極タンク107内の電解液の液面寄りの位置:(L/2)超の位置に開口し、その他端が電池要素100cと同位置に開口している。また、負極上流配管21は、負極タンク107側の開口部21tと電池要素100c側の開口部21cとの間(中間部)に負極タンク107内の電解液の液面よりも低い位置(ここでは開口部21tよりも低い位置)に配置される低位置部21Lを具える。この低位置部21Lの直線状部にポンプ113が取り付けられている。負極タンク107内には、逆L字状の収納配管20Aが配置されている。収納配管20Aの一端は負極上流配管21の開口部21tに連結され、他端(開口部20o)は、タンク107の底部寄りの位置:(L/2)以下に開口している。収納配管20Aには、上記一端の近くに漏出防止孔20hが設けられている。そして、逆L字状の収納配管20Aと負極上流配管21の一部とが逆U字状の配管を形成している。負極下流配管22は、負極タンク107の上方側に開口している。
【0051】
なお、図1〜図5において、上流配管11,21、下流配管12,22の開口位置(タンク106,107に対する配管11,12,12,22の取り付け位置)は例示である。また、図1〜図5に示す各配管は、直線的に屈曲した形状であるが、湾曲形状でもよいし、屈曲させずに一部を傾斜させて配置してもよい。更に、図1〜図5では、正負の両極のタンク106,107の大きさ及び底部の位置を同じとしているが、異ならせることもできる。
【0052】
(効果)
RF電池1は、正極タンク106,負極タンク107内の電解液を取り出す取出口(上流配管11,21の開口部11t,21t)が、当該電解液の液面近くに設けられ、かつ、タンク106,107内にそれぞれ収納配管10A,20Aが配置され、その一端(開口部10o,20o)がタンク106,107の底部近くにそれぞれ開口している。この構成により、RF電池1は、タンク106,107の底部側の電解液を電池要素100cに供給可能である。
【0053】
かつ、RF電池1は、収納配管10Aと正極タンク106外の電解液流路(ここでは正極上流配管11)や、収納配管20Aと負極タンク107外の電解液流路(ここでは負極上流配管21)が逆U字状に配置されているものの、収納配管10A,20Aにはそれぞれ、タンク106,107内の電解液の液面近くに漏出防止孔10h,20hをそれぞれ具える。この構成により、RF電池1は、正極上流配管11,負極上流配管21やポンプ112,113が破損したり、電池要素100cと上流配管11,21とが外れるなどの事故が生じた場合でも、タンク106,107内の電解液の漏出をタンク106,107内の電解液の一部のみに制限できる。具体的には、タンク106,107内の電解液のうち、漏出防止孔10h,20hよりも上方に位置する電解液は、収納配管10A(20A)と上流配管11(21)の一部とがつくる逆U字状部分を利用して、ポンプの駆動・停止に係わらず、サイフォンの原理により、タンク106,107外に漏出し得る。しかし、上記電解液が漏出して、漏出防止孔10h,20hが露出されると、上記逆U字状部分は、タンク106,107内の気相を取り込み、電解液が満たされた状態ではなくなることによって、電解液の移動を自動的に停止できる。従って、RF電池1は、上記事故が生じた場合に、タンク106,107内の電解液の漏出量を低減できる。
【0054】
また、RF電池1は、電池要素100cに電解液を供給する収納配管10A(20A)の開口部10o(20o)と、下流配管12(22)の開口部とがほぼ対角位置に配置されている。従って、正極タンク106(負極タンク107)内における電解液の移動量を十分に確保できるため、RF電池1は、当該タンク106(107)内で十分に対流した電解液を電池要素100cに供給することができ、電解液の利用率を高められる。
【0055】
[実施形態2]
図2を参照して、実施形態2のRF電池2を説明する。実施形態2のRF電池2は、実施形態1のRF電池1と基本的な構成は同様である。具体的には、RF電池2は、正負の両極の配管構造が対称的な構造であり、正極タンク106,負極タンク107からの電解液の取出口(上流配管11,21の開口部11t,21t)がタンク106,107内の電解液の液面寄りの位置に設けられている。タンク106,107にはそれぞれ、漏出防止孔10h,20hが設けられた収納配管10B,20Bを具える。また、RF電池2は、上流配管11,21の一部に低位置部11L,21Lを具え、収納配管10Bと正極上流配管11(低位置部11L)の一部とで逆U字状の配管、収納配管20Bと負極上流配管21(低位置部21L)の一部とで逆U字状の配管を形成している。RF電池2では、収納配管10B,20Bの形状が実施形態1のRF電池1と異なる。以下、この相違点を中心に説明し、実施形態1のRF電池1と重複する構成及び効果は、詳細な説明を省略する。また、実施形態2についても、正極側の配管構造を例に挙げて詳細に説明する。
【0056】
RF電池2に具える正極タンク106には、収納配管10Bが収納され、収納配管10Bの一端がタンク106内の電解液の液面寄りの位置:(L/2)超の位置に開口し、他端がタンク106の底部寄りの位置:(L/2)以下の位置に開口している。また、収納配管10Bには、正極タンク106内の電解液の液面寄りの位置:(L/2)超の位置に小さな漏出防止孔10hが設けられている。
【0057】
そして、実施形態2のRF電池2では、収納配管10Bが上に凸な形状となっており、正極タンク106の底部から最も高い位置(凸部分の頂点)に漏出防止孔10hを具える。つまり、RF電池2では、漏出防止孔10hの配置位置が正極電解液の取出口である正極上流配管11の正極タンク106側の開口部11tよりも高い。
【0058】
負極側も同様であり、収納配管20Bが上に凸な形状となっており、この凸部分の頂点に漏出防止孔20hを具え、漏出防止孔20hの配置位置が負極上流配管21の負極タンク107側の開口部21tよりも高い。
【0059】
実施形態2のRF電池2では、上述の事故時、正極タンク106,負極タンク107内の電解液の液面から漏出防止孔10h,20hが露出するまでに漏出する電解液量が実施形態1に比較して、少ない。従って、RF電池2は、タンク106,107内の電解液の漏出量をより低減できる。
【0060】
なお、図2に示す例も、収納配管10B(20B)の開口部10o(20o)と、下流配管12(22)における正極タンク106(負極タンク107)側の開口部との位置が遠くなるように、両開口部をほぼ対角位置に配置しており、電解液の利用率が高い。
【0061】
[実施形態3]
図3を参照して、実施形態3のRF電池3を説明する。実施形態3のRF電池3も、実施形態1のRF電池1と基本的な構成は同様であり、電解液の取出口である上流配管11,21の開口部11t,21tの位置及び収納配管10C,20Cの形状が異なる。以下、この相違点を中心に説明し、実施形態1のRF電池1と重複する構成及び効果は、詳細な説明を省略する。また、実施形態3についても、正極側の配管構造を例に挙げて詳細に説明する。
【0062】
RF電池3では、正極タンク106に収納される収納配管10Cが直線状であり、その一端がタンク106内の電解液の液面寄りの位置:(L/2)超の位置(ここでは、液面よりも上方に位置するタンク106の上方空間)に開口し、他端がタンク106の底部寄りの位置:(L/2)以下の位置に開口している。また、収納配管10Cにおいて正極タンク106内の電解液の液面寄りの位置:(L/2)超の位置に小さな漏出防止孔10hが設けられている。
【0063】
そして、実施形態3のRF電池3では、正極上流配管11において正極タンク106に接続される箇所の近傍が上に凸な形状となっており、この凸部分の一端側が低位置部11Lに連なっている。つまり、RF電池3では、漏出防止孔10hの配置位置が正極電解液の取出口である正極上流配管11の正極タンク106側の開口部11tよりも低い。
【0064】
負極側も同様であり、直線状の収納配管20Cの一端が負極タンク107の上面に開口し、タンク107内の電解液の液面近くに漏出防止孔20hが配置され、負極上流配管21の一部が上に凸な形状となっている。そして、漏出防止孔20hの配置位置が負極上流配管21の負極タンク107側の開口部21tよりも低い。
【0065】
実施形態3のRF電池3では、正極タンク106,負極タンク107内の電解液の取出口(開口部11t,21t)をタンク106,107のより上方側(ここでは、タンク106,107内の電解液の液面よりも上方側)に設けることができながら、タンク106,107の底部側の電解液を電池要素100cに供給することができる。このように収納配管10A〜10C,20A〜20Cを利用することで、タンク106,107周辺の空きスペースに応じて、電解液の取出口を適宜な位置に設けられながら、タンク106,107内の電解液を満遍なく利用できる。また、RF電池3は、収納配管10C,20Cと上流配管11,21とによりつくられる逆U字状部分を有するものの、漏出防止孔10h,20hを有することで、上述の事故時、タンク106,107内の電解液の漏出量を低減できる。
【0066】
[実施形態4]
図4を参照して、実施形態4のRF電池4を説明する。実施形態4のRF電池4も、実施形態1〜3のRF電池1〜3と同様に、正極タンク106,負極タンク107の底部寄りの位置に開口する収納配管30A,40Aを具える。但し、実施形態4のRF電池4は、収納配管30A,40Aがそれぞれ、正極下流配管12,負極下流配管22に連結されている点が実施形態1〜3と異なる。この相違点以外の構成は、実施形態3と類似するため、RF電池4の説明は、この相違点を中心に行い、実施形態3のRF電池3と重複する構成及び効果は、詳細な説明を省略する。また、実施形態4についても、正極側の配管構造を例に挙げて詳細に説明する。
【0067】
正極下流配管12は、実施形態1〜3と同様に、その一端が正極タンク106内の電解液の上方空間に開口し、他端が電池要素100cに取り付けられている。収納配管30Aは、実施形態3の収納配管10Cと同様に直線状であり、その一端がタンク106内の電解液の液面寄りの位置:(L/2)超の位置(ここでは、液面よりも上方に位置するタンク106の上方空間)に配置された正極下流配管12の開口部12tに連結されている。収納配管30Aの他端は、タンク106の底部寄りの位置:(L/2)以下の位置に開口している。また、収納配管30Aにおいて正極タンク106内の電解液の液面寄りの位置:(L/2)超の位置に、収納配管30Aの他端側の開口部30oよりも小さい漏出防止孔30hが設けられている。
【0068】
正極上流配管11は、実施形態3と同様に、その一端が、正極タンク106の上方空間に開口し、その他端が電池要素100cに取り付けられており、その中間部に低位置部11Lを具える。また、正極上流配管11の一端側の開口部11tには、別の収納配管10Dが連結されている。収納配管10Dは、その一端がタンク106内の電解液中に開口している。ここでは、収納配管10Dは、上述の正極下流配管12に連結される収納配管30Aよりもその長さが短く、その一端側の開口部10oがタンク106内の電解液の液面寄りの位置に配置されている。従って、正極下流配管12に連結される収納配管30Aの開口部30oと、正極上流配管11に連結される短い収納配管10Dの開口部10oとは、電解液で形成される矩形のほぼ対角位置に配置される。
【0069】
そして、収納配管30Aと、正極下流配管12と電池要素100cと正極上流配管11の一部(低位置部11Lを含む部分)とが逆U字状に配置される。
【0070】
負極側の配管構造も、上述した正極側の配管構造と同様であり、負極下流配管22における負極タンク107側の開口部22tに、直線状の収納配管40Aの一端が連結されている。収納配管40Aは、その他端の開口部40oが負極タンク107の底部寄りの位置に配置され、タンク107内の電解液の液面寄りの位置に小さい漏出防止孔40hを具える。負極上流配管21は、そのタンク107側の開口部21tに短い収納配管20Dが連結され、この収納配管20Dの他端側の開口部20oは、タンク107内の電解液の液面寄りの位置に配置されている。また、負極上流配管21は、低位置部21Lを具える。そして、収納配管40Aと負極下流配管22と電池要素100cと負極上流配管21の一部(低位置部21Lを含む部分)とが逆U字状に配置される。
【0071】
実施形態4のRF電池4では、正極タンク106,負極タンク107内の電解液の取出口(開口部11t,21t)、及び電池要素100cからの電解液の戻り口(開口部12t,22t)の双方がタンク106,107の上方側(ここでは、タンク106,107内の電解液の液面よりも上方側)に設けられている。しかし、このRF電池4は、収納配管10D,20D,30A,40Aを具えることで、タンク106,107内の液面側の電解液を電池要素100cに供給でき、かつ、電池要素100cからの電解液をタンク106,107の底部側に戻すことができる。また、RF電池4は、収納配管30A,40Aと、タンク106,107外に配置される電解液流路(下流配管12,22、電池要素100c、上流配管11,21)の一部とでつくられる逆U字状部分を有するものの、漏出防止孔30h,40hを有することで、上述の事故時、タンク106,107内の電解液の漏出量を低減できる。
【0072】
[実施形態5]
その他、図5に示す実施形態5のRF電池5のように、上流配管11(21)を正極タンク106(負極タンク107)内の電解液の液面寄りの位置((2/L)超L未満)に開口し、この上流配管11(21)の開口部11t(21t)に収納配管が連結されない形態とすることができる。この形態は、収納配管が少なく、部品点数や組立工程を低減することができる。なお、実施形態5のRF電池5における基本的な構成は、実施形態4のRF電池4と同様であり(但し、上流配管11(21)の形状は実施形態1のRF電池1と同様)、詳細な説明を省略する。
【0073】
<変形例1>
上述した実施形態1〜5はいずれも、正負の両極の配管構造が対称的な構造である形態を説明したが、各極の配管構造を異ならせることができる。例えば、正負のいずれか一方の極では収納配管を有していない形態としたり、正負のいずれか一方の極では、実施形態1の配管構造とし、他方の極では、実施形態2の配管構造を具える形態としたりすることができる。
【0074】
<変形例2>
上述した実施形態1〜5はいずれも、電池要素100cが正極タンク106,負極タンク107内の電解液の液面と同等以上の位置に配置された形態を説明したが、電池要素100cの配置位置を変更することができる。例えば、両極のタンク106,107の底部と同様の位置(床面など)に配置した形態とすることができる。より具体的には、図1〜図5に示す例において、正極上流配管11,負極上流配管12のうち、ポンプ112,113が取り付けられた直線状の部分の端部に電池要素100cを接続した形態などとすることができる。この形態は、電池要素100cを支持する架台が不要である。
【0075】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。例えば、上流配管などに設けられる低位置部は、当該上流配管などが接続されるタンク内の液面よりも低い位置に配置されればよく、必ずしも床面上に配置される部分を有する必要はない。床面上に設置した適宜な架台面上に低位置部を配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明レドックスフロー電池は、太陽光発電、風力発電などの新エネルギーの発電に対して、発電出力の変動の安定化、発電電力の余剰時の蓄電、負荷平準化などを目的とした大容量の蓄電池に好適に利用することができる。その他、本発明レドックスフロー電池は、一般的な発電所や工場などに併設されて、瞬低・停電対策や負荷平準化を目的とした大容量の蓄電池としても好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1,2,3,4,5,100 レドックスフロー電池
10A,10B,10C,10D,30A 収納配管 10h,30h 漏出防止孔 10o,30o 開口部
11 正極上流配管 11t,12t 正極タンク側の開口部
11c 電池要素側の開口部 11L 低位置部 12 正極下流配管
20A,20B,20C,20D,40A 収納配管 20h,40h 漏出防止孔 20o,40o 開口部
21 負極上流配管 21t,22t 負極タンク側の開口部
21c 電池要素側の開口部 21L 低位置部 22 負極下流配管
100c 電池要素 101 隔膜 102 正極セル 103 負極セル 104 正極電極
105 負極電極 106 正極タンク 107 負極タンク 108,109 上流配管
110,111 下流配管 112,113 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内の電解液を電池要素に供給して充放電を行うレドックスフロー電池であって、
前記タンク内の電解液を前記電池要素に供給する上流配管と、
前記電池要素からの電解液を前記タンクに戻す下流配管と、
前記タンク内に配置され、前記上流配管又は前記下流配管に連結された収納配管と、
前記上流配管、前記電池要素、及び前記下流配管で構成される電解液流路の一部に設けられ、前記タンク内の電解液の液面よりも低い位置に配置された低位置部とを具え、
前記収納配管の一端に連結された前記上流配管又は前記下流配管の一端は、前記タンク内の電解液の液面寄りの位置又は前記液面の上方空間に開口し、
前記収納配管の他端は、前記タンクの底部寄りの位置に開口し、
前記収納配管において前記タンク内の電解液の液面寄りの位置に漏出防止孔が設けられており、
前記漏出防止孔は、前記収納配管の他端側の開口部よりも小さいことを特徴とするレドックスフロー電池。
【請求項2】
前記収納配管の一端は、前記上流配管に連結され、
前記上流配管の一部に前記低位置部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池。
【請求項3】
前記下流配管の一端は、前記タンク内の電解液の液面寄りの位置、又は前記液面の上方空間に開口していることを特徴とする請求項2に記載のレドックスフロー電池。
【請求項4】
前記収納配管の一端は、前記下流配管に連結され、
前記上流配管の一部に前記低位置部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池。
【請求項5】
前記上流配管の一端は、前記液面の上方空間に開口しており、前記タンク内の電解液中に開口した別の収納配管が連結されている、又は前記タンク内の電解液の液面寄りの位置に開口していることを特徴とする請求項4に記載のレドックスフロー電池。
【請求項6】
前記漏出防止孔の直径をφh、前記収納配管の他端側の開口部の直径をφiとするとき、前記漏出防止孔の直径φhは、1mm以上(φi/2)未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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