説明

レンジフード付高周波加熱装置

【課題】レンジフード付高周波加熱装置において、照明装置の寿命を長くし、交換する作業をほとんど不要にすること。
【解決手段】下方調理物15を調理するガスコンロ11(下方加熱調理装置)の上方に設けられるレンジフード付高周波加熱装置において、装置本体内に設けられ高周波加熱調理物16を収納する加熱室1と、加熱室1内に高周波電力を供給するマグネトロン3(高周波発生手段)と、加熱室1の壁面の外側に隣接して設けられたLED照明4(庫内照明装置)と、装置本体の下部に設けガスコンロ11を照明するLED照明5(下方照明装置)と、マグネトロン3とLED照明4、5とを制御する制御する制御手段12とを備え、制御手段12が制御するスイッチング電源13から電源供給することにより、LED照明5の寿命が長くなり、半永久的に使用できるので、交換作業が不要になり、使い勝手が向上するとともに、高周波加熱装置の消費電力を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波加熱装置であり、この機器本体の下方に設置された他の加熱調理装置から発生する生成ガスを、室内循環もしくは戸外に排出するフードファン機能を備え、かつ下方に設置した調理器の調理物を照明する照明装置を有するレンジフード付高周波加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レンジフード付高周波加熱装置の照明装置は、本体下部に設けられた下方照明用ランプと、本体内に設けられた加熱室内照明用ランプ(庫内灯)とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
下方照明用ランプは、高周波加熱装置本体下方に設置されたコンロ等調理機器、及びこの調理機器で調理されている調理物を照明する機能と共に、間接照明として台所内照明灯の機能とが、顧客(使用者)から求められている。そして、その使用頻度は、加熱室内照明用の庫内灯と比べて、格段に下方照明用ランプの方が、高い頻度でしかも長い時間使われている。
【0004】
そのため、下方照明用ランプが破損することが多く、その場合、顧客自身で交換することが一般的となっており、多くの製造メーカーでは、サービス部品として取扱われていない。
【0005】
また、レンジフード付高周波加熱装置では、消費電力の上限値が設定されているため、照明装置に電力を供給するため、その供給電力分だけ、電力を高周波加熱調理機能や循環ファン機能へ電力を抑制している。
【0006】
さらに、照明装置へ供給している家庭用商用電源の電圧値に対応した、絶縁構成を設けることにより、安全性を確保するようしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−28431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、一方では、近年、高周波加熱装置本体下方に設置されたガスや電気を用いた調理機器は、従来主流であった4口コンロのものから5口へと機能が向上しており、それに伴って、高周波加熱装置本体下方で調理中の調理物を照明する機能の向上も求められている。そして、その手段として、下方照明用ランプが、白熱球のものからハロゲン電球のものへと、また、消費電力が20Wから40Wのものへと、性能向上と共に多様化している。
【0009】
また、他方では、製造メーカーでは、部品共用化(共通化)の利点から、レンジフード付高周波加熱装置の下方照明用ランプは、交換頻度が低い高周波加熱装置の庫内照明灯と同じものが用いられる場合が多く、製造メーカー各社によって、白熱球やハロゲンなどの種類や取付形状、ワット数などの仕様がまちまちであった。
【0010】
このため、下方照明用ランプが、破損した場合、顧客が、取り付けピンのピッチが同じランプや、取り付けピンの形状が同じランプ、適切な交換品を市場で探し出すことが、容易ではないという課題を有していた。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、照明装置の寿命を長くし、交換する作業をほとんど不要としたレンジフード付高周波加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明のレンジフード付高周波加熱装置は、被加熱物を調理する加熱調理装置の上方に設けられるレンジフード付高周波加熱装置において、装置本体内に設けられ被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室内に高周波電力を供給する高周波発生手段と、前記加熱室の壁面の外側に隣接して設けられた庫内照明装置と、前記装置本体の下部に設け前記加熱調理装置を照明する下方照明装置と、前記高周波発生手段と前記庫内照明装置と前記下方照明装置とを制御する制御する制御手段とを備え、前記下方照明装置は発光ダイオードを用いたLED照明であり、前記制御手段が制御するスイッチング電源から電源供給したものである。
【0013】
これによって、下方照明装置としてLED照明を用いることにより、下方照明装置の寿命が長くなり半永久的に使用できるので、交換作業が不要になり、使い勝手が向上する。
【0014】
また、下方照明装置をLED照明にすることにより、高周波加熱装置の消費電力を低減できるので、その低減電力相当を高周波加熱調理機能や循環ファン機能へ、配分し調理性能を向上できる。
【0015】
また、下方照明装置への供給電圧を低くでき、絶縁構成を簡単にしながら、安全性を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のレンジフード付高周波加熱装置は、下方照明装置としてLED照明を用いることにより、下方照明装置の寿命が長くなり半永久的に使用できるので、交換作業が不要になり、使い勝手が向上するとともに、高周波加熱装置の消費電力を低減できるので、その低減電力相当を高周波加熱調理機能や循環ファン機能へ、配分し調理性能を向上でき、しかも、下方照明装置への供給電圧を低くできるので、絶縁構成を簡単にしながら、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1におけるレンジフード付高周波加熱装置の構造を示す図
【図2】本発明の実施の形態1におけるレンジフード付高周波加熱装置のLED照明の電力抑制効果を示す図
【図3】本発明の実施の形態1におけるレンジフード付高周波加熱装置のスイッチング電源の制御回路の概略図
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の発明は、被加熱物を調理する加熱調理装置の上方に設けられるレンジフード付高周波加熱装置において、装置本体内に設けられ被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室内に高周波電力を供給する高周波発生手段と、前記加熱室の側壁の外側に隣接して設けられた庫内照明装置と、前記装置本体の下部に設け前記加熱調理装置を照明する下方照明装置と、前記高周波発生手段と前記庫内照明装置と前記下方照明装置とを制御する制御手段とを備え、前記下方照明装置は発光ダイオードを用いたLED照明であり、前記制御手段が制御するスイッチング電源から電源供給することにより、下方照明装置としてLED照明を用いることにより、下方照明装置の寿命が長くなり半永久的に使用できるので、交換作業が不要になり、使い勝手が向上するとともに、高周波加熱装置の消費電力を低減できるので、その低減電力相当を高周波加熱調理機能や循環ファン機能へ、配分し調理性能を向上でき、しかも、下方照明装置への供給電圧を低くできるので、絶縁構成を簡単にしながら、安全性を向上することができる。
【0019】
第2の発明は、特に、第1の発明の庫内照明装置は、発光ダイオードを用いたLED照明であり、制御手段が制御するスイッチング電源から電源供給することにより、高周波加熱装置全体としても、ランプ(照明装置)の交換作業が不要になり、使い勝手が向上するとともに、高周波加熱装置の消費電力を低減できる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるレンジフード付高周波加熱装置の構造斜視図を示すものである。図2は、同実施の形態におけるレンジフード付高周波加熱装置のLED照明の電力抑制効果を示す図を示すものである。図3は、同実施の形態におけるレンジフード付高周波加熱装置のスイッチング電源の制御回路の概略図を示すものである。
【0022】
図1において、レンジフード付電子レンジ8(レンジフード付高周波加熱装置)は、下方加熱調理装置としてのガスコンロ11の上方に取り付けられている。レンジフード付電子レンジ8の上部には、循環ファン10を設けており、レンジフード付電子レンジ8の下部に開口した生成ガス吸気口7から取り入れた、ガスコンロ11から発生する生成ガスを、レンジフード付電子レンジ8の背面側に設けた排気通路9を通し、戸外に排気している。
【0023】
レンジフード付電子レンジ8の本体の中には、食品などの高周波加熱調理物16を収納し、加熱調理する加熱室1が設けられている。レンジフード付電子レンジ8の本体の中には、加熱室1と並んで、機械室17が設けられ、マグネトロン3(高周波発生手段)が配置されている。マグネトロン3で発生した2.45GHz帯の高周波電波は、導波管14を伝搬して、加熱室1内へ供給される。
【0024】
加熱室1は、略直方体形状で、前面の開口には、開閉可能にドア(図示せず)が設けられている。また、加熱室1の壁面には、高周波電波が漏洩しないように形成された複数の孔が設けられている。これらの孔に隣接して、壁面の外側にLED照明4(庫内照明装置)が設けられている。このLED照明4は、孔を通して加熱室1内を照明し、使用者が、調理の進行状況を確認することができるようにしている。
【0025】
レンジフード付電子レンジ8の下部には、ガスコンロ11を照明する下方照明装置としてのLED照明5が、設けられている。このLED照明5は、発光ダイオードを用いたものである。LED照明5の下部で、かつレンジフード付電子レンジ8の底部壁面には、下方照明光透過用窓18が取りつられ、ガスコンロ11から発生する生成ガスが、LED照明5の近傍に侵入するのを防止している。LED照明5は、スイッチング電源13から、12VDC電源を供給されている。
【0026】
なお、本実施の形態では、LED照明4、5への供給電圧を12Vとしたが、これに限定されるものではなく、40V程度より電圧値が低い低電圧電源であればよい。
【0027】
制御手段12は、機械室17の中に設けられ、マグネトロン3、各LED照明4、5のON/OFF制御、及びスイッチング電源13のON/OFF制御を行う。
【0028】
以上のように構成されたレンジフード付高周波加熱装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0029】
まず、レンジフード付電子レンジ8を使用して調理する場合、レンジフード付電子レンジ8の加熱室1に高周波加熱調理物16を収納し、マグネトロン3を運転して、加熱室1へ、高周波電波を供給する。これにより、加熱室1内の高周波加熱調理物16を加熱する。この時、調理中は、庫内照明装置としてのLED照明4をONし、制御手段12がスイッチング電源13をONして、商用電圧を12Vの低電圧化し、電源をLED照明4へ供給する。このLED照明4が加熱室1内を照明することにより、使用者が、調理の進行状況を確認することができる。そして、調理が終了すると、制御手段12がスイッチング電源13をOFFし、LED照明4がOFFする。
【0030】
図3において、レンジフード付高周波加熱装置のスイッチング電源13の制御回路の概略図を示す。
【0031】
また、レンジフード付電子レンジ8の下方に設けた、ガスコンロ11を使用して調理する時、調理されている下方調理物15を照明するために、LED照明5をON操作する。また、間接照明する台所内照明灯として利用する目的でも、LED照明5をON操作する。LED照明5をON操作すると、制御手段12がスイッチング電源13をONして、低電圧電源(例えば12VDC)をLED照明5へ供給するよう制御する。
【0032】
LED照明5は、12V電源を供給され、レンジフード付電子レンジ8の下方を照明する。LED照明5を消灯する時は、LED照明5をOFF操作すると、制御手段12がスイッチング電源13をOFFする。
【0033】
なお、庫内照明装置としてのLED照明4の方が、下方照明装置としてのLED照明5より、暗くてもよい。これは、庫内照明装置としてのLED照明4は、加熱室1内の調理中の高周波加熱調理物16を調理の進行が分かる程度でよいのに対し、下方照明装置としてのLED照明5は、ガスコンロ11を照明したり、台所内を照明したりする必要があるからである。例えば、下方照明装置としてのLED照明5が4W程度であれば、庫内照明装置としてのLED照明4は2W程度でよい。
【0034】
以上のように、本実施の形態においては、下方照明装置としてLED照明5を用いることにより、下方照明装置の寿命が長くなり半永久的に使用できるので、交換作業が不要になり、使い勝手が向上する。
【0035】
また、下方照明装置をLED照明5にすることにより、高周波加熱装置の消費電力を低減できるので、その低減電力相当を高周波加熱調理機能や循環ファン機能へ、配分し調理性能を向上できる。図2において、レンジフード付高周波加熱装置のLED照明の電力抑制効果を示す図を示すものである。
【0036】
さらに、下方照明装置への供給電圧を低くでき、絶縁構成を簡単にしながら、安全性を向上できる。
【0037】
そして、下方照明装置だけではなく庫内照明装置もLED照明4にすることにより、スイッチング電源13を共用化しながら、下方照明装置をLED照明5にすることによる効果と同様の効果を、下方照明装置をLED照明5にすることによって得られる効果以上に、得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明にかかるレンジフード付高周波加熱装置は、下方照明装置の寿命が長くなり半永久的に使用できるので、家庭用だけではなく、業務用の高周波加熱装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 加熱室
3 マグネトロン(高周波発生手段)
4 LED照明(庫内照明装置)
5 LED照明(下方照明装置)
7 生成ガス吸気口
8 レンジフード付電子レンジ(レンジフード付高周波加熱装置)
9 排気通路
10 循環ファン
11 ガスコンロ(下方加熱調理装置)
12 制御手段
13 スイッチング電源
14 導波管
15 下方調理物
16 高周波加熱調理物
17 機械室
18 下方照明光透過用窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を調理する加熱調理装置の上方に設けられるレンジフード付高周波加熱装置において、装置本体内に設けられ被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室内に高周波電力を供給する高周波発生手段と、前記加熱室の側壁の外側に隣接して設けられた庫内照明装置と、前記装置本体の下部に設け前記加熱調理装置を照明する下方照明装置と、前記高周波発生手段と前記庫内照明装置と前記下方照明装置とを制御する制御手段とを備え、
前記下方照明装置は発光ダイオードを用いたLED照明であり、前記制御手段が制御するスイッチング電源から電源供給されるレンジフード付高周波加熱装置。
【請求項2】
庫内照明装置は発光ダイオードを用いたLED照明であり、制御手段が制御するスイッチング電源から電源供給される請求項1に記載のレンジフード付高周波加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−113569(P2013−113569A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263295(P2011−263295)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】