説明

レンジフード

【課題】使用環境温度によらず、調理物の温度によって適切な換気風量を設定し、過大な換気をしたり、換気量の不足をしたりしないレンジフードを提供することを目的とする。
【解決手段】熱起電力型温度センサ6が検知した検知エリア内の温度と検知エリアの平面積とから算出される検知エリアから放射される放射エネルギーErは、検知エリア内の非加熱エリアの平面積とサーミスタ10が検知した周囲温度とから算出される放射エネルギーと検知エリア内の加熱エリアに配置した調理物の平面積と調理物の温度とから算出される放射エネルギーの和Erに等しいということから、マイクロコンピュータ8は調理物の温度を算出し、算出した調理物の温度によって適切な換気風量を設定し、自動運転することによって、周囲温度によらず常に効率的な換気を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭の厨房に使用され、調理時に発生する油煙等をフィルタを介して除去し、きれいになった空気を排気ダクトを通じて屋外へ排出するレンジフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレンジフードは、加熱調理器の周辺に設置され、調理時に発生する油煙や臭いを室外へ排気する排気ファンモーターと、前記加熱調理器周辺の遠赤外線を検知する単眼の素子を内蔵した熱起電力型温度センサと、前記熱起電力型温度センサが検出した結果を温度に変換する制御部を備え、前記制御部が変換した温度を基に前記加熱調理器の使用状態を判断して前記排気ファンモーターを駆動もしくは停止するものであった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−121751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来のレンジフードでは、加熱調理器のトッププレートの検知温度が周囲温度に大きく依存し、低温度環境下と高温度環境下で同じ内容の調理をしたところで同じ温度検知ができず、風量が一定に決まらず必要な換気量が確保できなくなるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するのもで、加熱調理器の周囲温度によらず調理物の温度によって制御部が排気ファンを駆動し、風量を変化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のレンジフードは、加熱調理器の上方に設置され、屋外に連通した吐出口と、空気を吸込む吸込口と、前記吐出口と前記吸込口とを結ぶ通風路内に空気を吸込み排気する排気ファンと、前記排気ファンの運転または停止を制御する制御手段と、加熱調理器の表面を含む検知エリア内の温度の検知するための温度検知手段と、前記検知エリア内の非加熱エリアの温度を推定するための温度推定手段と、調理物の温度を算出して前記排気ファンの換気風量を調整する調整手段を備え、前記調整手段は、前記温度検知手段が検知した前記検知エリア内の温度と前記検知エリアの平面積とから算出される前記検知エリアから放射される放射エネルギーは、前記検知エリア内の非加熱エリアの平面積とその周囲温度とから算出される放射エネルギーと前記検知エリア内の加熱エリアに配置した調理物の平面積と調理物の温度とから算出される放射エネルギーの和に等しいということから、あらかじめ設定した前記検知エリアの平面積と、調理物の平面積と、調理中に前記温度推定手段で推定した温度と、調理中に前記温度検知手段で検出した検知エリア内の温度とから調理物の温度を算出して前記排気ファンの換気風量を可変させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のレンジフードによれば、熱調理器の上方に設置され、屋外に連通した吐出口と、空気を吸込む吸込口と、前記吐出口と前記吸込口とを結ぶ通風路内に空気を吸込み排気する排気ファンと、前記排気ファンの運転または停止を制御する制御手段と、加熱調理器の表面を含む検知エリア内の温度の検知するための温度検知手段と、前記検知エリア内の非加熱エリアの温度を推定するための温度推定手段と、調理物の温度を算出して前記排気ファンの換気風量を調整する調整手段を備え、前記調整手段は、前記温度検知手段が検知した前記検知エリア内の温度と前記検知エリアの平面積とから算出される前記検知エリアから放射される放射エネルギーは、前記検知エリア内の非加熱エリアの平面積とその周囲温度とから算出される放射エネルギーと前記検知エリア内の加熱エリアに配置した調理物の平面積と調理物の温度とから算出される放射エネルギーの和に等しいということから、あらかじめ設定した前記検知エリアの平面積と、調理物の平面積と、調理中に前記温度推定手段で推定した温度と、調理中に前記温度検知手段で検出した検知エリア内の温度とから調理物の温度を算出して前記排気ファンの換気風量を可変させることを特徴とするものであり、検知エリア内の非加熱エリアの温度と、検知エリア内の温度とから調理物の温度を算出し、調理物の温度をもとに調整手段は排気ファンの換気風量を可変させることで、必要な換気量を調理の状態に合わせて設定することができ、換気に要する電力量の削減ができるという効果のあるレンジフードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1のレンジフードの概観図
【図2】同レンジフードの構成を示すブロック図
【図3】同熱起電力型温度センサと周囲温度検知手段の構成を示す図
【図4】同熱起電力型センサ検知エリアを示す概略図
【図5】同熱起電力型センサ検知エリア内の感度分布を示す図
【図6】同換気風量の設定を示す図
【図7】同レンジフードの操作スイッチの構成を示す図
【図8】同レンジフードの設置高さの設定を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
請求項1記載の発明は、加熱調理器の上方に設置され、屋外に連通した吐出口と、空気を吸込む吸込口と、前記吐出口と前記吸込口とを結ぶ通風路内に空気を吸込み排気する排気ファンと、前記排気ファンの運転または停止を制御する制御手段と、加熱調理器の表面を含む検知エリア内の温度の検知するための温度検知手段と、前記検知エリア内の非加熱エリアの温度を推定するための温度推定手段と、調理物の温度を算出して前記排気ファンの換気風量を調整する調整手段を備え、前記調整手段は、前記温度検知手段が検知した前記検知エリア内の温度と前記検知エリアの平面積とから算出される前記検知エリアから放射される放射エネルギーは、前記検知エリア内の非加熱エリアの平面積とその周囲温度とから算出される放射エネルギーと前記検知エリア内の加熱エリアに配置した調理物の平面積と調理物の温度とから算出される放射エネルギーの和に等しいということから、あらかじめ設定した前記検知エリアの平面積と、調理物の平面積と、調理中に前記温度推定手段で推定した温度と、調理中に前記温度検知手段で検出した検知エリア内の温度とから調理物の温度を算出して前記排気ファンの換気風量を可変させるレンジフードであって、加熱調理器の周囲温度によらずに調理物の温度を算出し、算出した調理物の温度をもとに調整手段は排気ファンの換気風量を可変させるという作用を有する。
【0010】
このことにより、算出した調理物の温度をもとに必要な換気量を調理の状態に合わせて設定することができ、換気に要する電力量の削減ができ、省エネルギーになるという効果が得られる。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、温度推定手段は、加熱調理器の周囲温度を検知する周囲温度検知手段を備え、検知した温度を非加熱エリアの温度とするものであって、加熱調理器の周囲温度を非加熱エリアの温度として調理物の温度を算出するという作用を有する。
【0012】
このことより、非加熱エリアの温度を精度良く推定して調理物の温度を算出できるので、調理状態に合わせてより効率的な換気を行うことができるという効果が得られる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、調整手段は、温度検知手段の中心からの距離により異なる検知感度に対して、あらかじめ定義した検知エリア内の感度分布と検知感度から、前記感度分布毎に前記検知感度を乗じて前記感度分布毎に算出した放射エネルギーの総和を検知エリアからの放射エネルギーとして算出するものであって、検知感度の違いによる検知する放射エネルギー値を補正して検知エリアの放射エネルギーを算出するという作用を有する。
【0014】
このことにより、検知エリアの放射エネルギーを精度良く算出して調理物の温度を算出できるので、必要な換気量を調理の状態に合わせてより精度よく設定することができるという効果が得られる。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、レンジフード本体の加熱調理器からの設置高さを設定する垂直位置設定手段を設け、前記垂直位置設定手段で設定された設置高さに基づき検知エリアの面積を算出するものであって、レンジフード本体の加熱調理器からの設置高さによって異なる検知エリアの面積を補正して算出し、調理物の温度を算出するという作用を有する。
【0016】
このことにより、設置高さによらずに調理物の温度を精度良く算出することができるという効果が得られる。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、周囲温度検知手段を、レンジフードの手前側に搭載するものであって、加熱調理器の周囲温度を調理中の廃熱の影響を少なくして検知するという作用を有する。
【0018】
このことにより、調理中の加熱調理器の非加熱エリアの温度をより精度良く推定できるという効果が得られる。
【0019】
また、請求項6記載の発明は、温度検知手段に周囲温度によって検知温度を補正するための補正手段を備え、前記補正手段を前記周囲温度検知手段として使用するものであって、温度検知手段の検知温度の補正と周囲温度の検知を兼ね備えるという作用を有する。
【0020】
このことにより、温度検知手段の検知温度の補正手段と、周囲温度検知手段を設けるスペースを共用でき、省スペースのレンジフードを実現できるという効果が得られる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、加熱調理器1の上方に設置され、屋外に連通した吐出口2と、空気を吸込む吸込口3と、吐出口2と吸込口3とを結ぶ通風路内に空気を吸込み排気する排気ファン4と、排気ファン4の運転または停止を制御する制御手段5と、加熱調理器1の表面を含む検知エリア内の温度の検知するための温度検知手段としての単眼の素子を内蔵した熱起電力型温度センサ6と、検知エリア内の非加熱エリアの温度を推定するための温度推定手段7と、調理物の温度を算出して前記排気ファン4の換気風量を調整する調整手段としてのマイクロコンピュータ8を備えている。
【0023】
温度推定手段7は、加熱調理器1の周囲温度を検知する周囲温度検知手段9を備えており、周囲温度検知手段9が検知した温度を非加熱エリアの温度とする。
【0024】
図3に示すように、熱起電力型温度センサ6内部には、検知温度を補正する補正手段としてのサーミスタ10を備えている。
【0025】
サーミスタ10は通常熱起電力型温度センサ6が周囲温度に対して生じる誤差を補正するために使用するが、加熱調理器1や調理物から発する熱による影響をうけにくいレンジフード本体11のフード部分12の手前側に搭載することで、サーミスタ10はレンジフード本体11の周囲温度を検知できることとなる。
【0026】
通常レンジフード本体11の下面と加熱調理器1は約800mmから1000mmの距離で近接距離に備え付けられるため、レンジフードの周囲温度は加熱調理器1の周囲温度とほぼ同じであり、加熱調理器1の周囲温度としての代用も可能である。そこで、サーミスタ10を周囲温度検知手段9として使用する。
【0027】
調理が長時間に渡ることでレンジフードの周囲温度と加熱調理器1の周囲温度に差が出ることがある。これは、調理物の発する熱が上昇してレンジフードの周囲温度を高くするためであり、これにより調理物の温度算出に誤差を生じしてしまう。調理物の発する熱は、レンジフードの排気ファン4で吸われるため、風路になるレンジフードの中央から奥側に渡って周囲温度が上昇することになる。
【0028】
そのため、レンジフードの風路から外れたレンジフード本体11のフード部分12の中央から手前側にサーミスタ10を備えることで、調理物が発する熱の影響を抑えてサーミスタ10は温度を検知し、調理中における加熱調理器1の周囲温度とレンジフード本体11の周囲温度の差を極力少なくする。
【0029】
図4(a)、(b)に示すように、熱起電力型温度センサ6は加熱調理器1のトッププレートの温度を非接触で検知できる。調理中には、トッププレートに調理物が置かれて調理物が加熱されるため、熱起電力型温度センサ6の検知温度は徐々に上昇していく。また、レンジフードの換気風量調節はユーザーにより感覚は異なるが、調理物の温度の上昇に従って換気風量を上げる傾向にあることが解かっており、熱起電力型温度センサ6の検知温度をもとに換気風量を変化することでレンジフードの自動運転が可能になる。
【0030】
ただし、熱起電力型温度センサ6の検知対象物は調理物だけではなく、トッププレートを含む検知エリア内の非加熱エリアの温度も検知するため、熱起電力型温度センサ6の検知温度は非加熱エリアの温度の温度に依存する。非加熱エリアの温度は、加熱調理器の周囲温度とほぼ同じであるため、結果的に熱起電力型温度センサ6の検知温度は加熱調理器1の周囲温度に依存する。
【0031】
したがって温度推定手段7は、周囲温度検知手段9すなわちサーミスタ10が検知した温度を非加熱エリアの温度であると推定する。
【0032】
マイクロコンピュータ8が調理物温度を算出する方法について説明する。
【0033】
熱起電力型温度センサ6が検知した検知エリア内の温度と検知エリアの平面積とから算出される検知エリア内から放射される放射エネルギーをErとする。また、検知エリア内の非加熱エリアの平面積とサーミスタ10が検知した周囲温度とから算出される放射エネルギーと検知エリア内の加熱エリアに配置した調理物の平面積と調理物の温度とから算出される放射エネルギーの和をElとすると、ErとElは等しいということから、マイクロコンピュータ8は調理物の温度を算出する。
【0034】
図4(c)に示すように、検知エリアの平面積をS、調理物の平面積をSo、熱起電力型温度センサ6の検知温度をTp、サーミスタ10の検知温度をTh、調理物の温度をTとすると、放射エネルギーErおよびElは(1)式、(2)式に示すような式となる。
【0035】
Er=σTp4×S・・・・・(1)式
El=σ(T4×So+Th4×(S−So))・・・・・(2)式
ただし、σはステファン=ボルツマン定数である。
【0036】
ここで、図5に示すように、熱起電力型温度センサ6の中心からの距離により検知感度は異なる。
【0037】
例えば、感度分布を3つの感度に定義し、感度が80%以上のエリア(A80)の平面積をS(80)、感度が50%以上、80%未満のエリア(A50)の平面積をS(50)、感度が50%未満のエリア(A10)の平面積をS(10)とすると、検知エリアの平面積Sは(3)式となる。
【0038】
S=S(80)+S(50)+S(10)・・・・・(3)式
また、エリア(A80)の平均感度を90%、エリア(A50)の平均感度を60%、エリア(A10)の平均感度を30%とすると、放射エネルギーErおよびElは(1)式、(2)式、(3)式より、(5)式、(6)式に示すような式となる。
【0039】
Er=σTp4×(0.9×S(80)+0.6×S(50)+0.3×S(10))・・・・・(5)式
El=σ(T4×So+Th4×(0.9×(S(80)−So)+0.60.6×S(50)+0.3×S(10)))・・・・・(6)式
Er=Elであるから、(5)式、(6)式より調理物の温度Tは(7)式のように展開できる。
【0040】
4=((Tp4−Th4)×(0.9×S(80)+0.6×S(50)+0.3×S(10))+Th4×0.9×So)÷(0.9×So)・・・・・(7)式
このようにして、熱起電力型温度センサ6が検知した検知エリア内の温度と検知エリアの平面積とから算出される検知エリア内から放射される放射エネルギーと、検知エリア内の非加熱エリアの平面積とサーミスタ10が検知した周囲温度とから算出される放射エネルギーと検知エリア内の加熱エリアに配置した調理物の平面積と調理物の温度とから算出される放射エネルギーの和は等しいということから、調理物の温度を算出することができる。
【0041】
マイクロコンピュータ8がサーミスタ10および熱起電力型温度センサ6の検知温度をもとに調理物の温度を算出することで、加熱調理器1の周囲温度に依存せずにマイクロコンピュータ8が適切な換気風量を決定して、制御手段5に換気風量を指示して排気ファン4の換気風量を自動で調整する。
【0042】
例えば、加熱調理器1の周囲温度が20℃のときに調理を行ったとする。ここで、標準的な大きさの調理器具として半径11.5cmの調理器具を使用して調理すると定義すると、調理物の面積はSo=415.5cm2、熱起電力型温度センサ6の検知エリアの感度分布ごとの面積をS(80)=4878.3cm2、S(50)=2561.1cm2、S(10)=2132.0cm2を初期値としてマイクロコンピュータ8はあらかじめメモリーされているとする。また、調理物の温度を算出後にマイクロコンピュータ8が制御手段5に指示する換気風量テーブルを図6に示す。
【0043】
加熱調理器1が調理物を加熱し始めると、熱起電力型温度センサ6の温度は徐々に上昇していく。仮に熱起電力型温度センサ6の温度が25℃になったとき、マイクロコンピュータ8が算出する調理物の温度は(7)式より、
4=(((25+273)4−(20+273)4)×(0.9×4878.3+0.60.6×2561.1+0.3×2132.0)+(20+273)4×0.9×415.5)÷(0.9×415.5)=16,433,540,610K
となり、
T=358K−273K=85.0℃となる。
【0044】
このようにして、熱起電力型温度センサ6の検知温度とサーミスタ10の検知温度からの調理物の温度が算出され、図6にあるように調理物の温度がT1℃以上になると、マイクロコンピュータ8は制御手段5に換気風量を弱風量よりも換気量の多い中風量にするように指示をする。更に熱起電力型温度センサ6が上昇して調理物の温度がT2℃以上になると、マイクロコンピュータ8は制御手段5に換気風量を換気量の最も多い強風量にするように指示をする。このようにして、調理物の温度によってレンジフードの換気風量を自動で可変することができる。
【0045】
ここで、調理物の面積をSo=415.5cm2、熱起電力型温度センサ6の検知エリアの感度分布ごとの面積をS(80)=4878.3cm2、S(50)=2561.1cm2、S(10)=2132.0cm2とし、マイクロコンピュータ8が制御手段5に指示する換気風量テーブルを図6のように表記したが、同様の効能が得られるものであればこの限りではない。
【0046】
また、調理物の温度の算出式を(7)式のように示したが、熱起電力型温度センサ6が検知した検知エリア内の温度と検知エリアの平面積とから算出される検知エリア内から放射される放射エネルギーと、検知エリア内の非加熱エリアの平面積とサーミスタ10が検知した周囲温度とから算出される放射エネルギーと検知エリア内の加熱エリアに配置した調理物の平面積と調理物の温度とから算出される放射エネルギーの和は等しいということから、調理物の温度を算出するものであって、同様の効能が得られるものであればこの限りではない。
【0047】
検知エリアの面積をあらかじめ決定して調理物の温度を算出したが、レンジフード本体11の加熱調理器1からの設置高さによって、検知エリアの面積は異なる。そのため、レンジフード本体11の加熱調理器1からの設置高さを設定する垂直位置設定手段13を設け、検知エリアの面積を垂直位置設定手段13で設定された設置高さHの関数として面積を算出するように構成する。
【0048】
図7に示すように垂直位置設定手段13としては、例えば、レンジフード本体11のフード部分12前面に設けられ、マイクロコンピュータ8によって自動で換気風量を調整する自動運転モードに設定する自動スイッチ14aと、手動操作で換気風量を設定する風量スイッチ14bと、運転を停止させる切スイッチ14cと、レンジフード本体11の下方を照らすための照明の点灯、消灯を設定する照明スイッチ14dからなる操作スイッチ14の組合せ操作で設定する。
【0049】
レンジフード本体11の加熱調理器1からの設置高さの設定方法について説明する。
【0050】
レンジフード本体11が停止しているとき、切スイッチ14cを所定時間、例えば通常のスイッチ操作と区別可能な3秒程度、押し続けると設定モードとなる。次に、照明スイッチ14dを押した後、照明スイッチ14dを押したまま、風量スイッチ14bを押し、所定時間、例えば3秒程度、照明スイッチ14dと風量スイッチ14bを押し続けることで設置高さの設定が可能となる。この状態で、風量スイッチ14bを操作することにより、図8に示すように設置高さに応じて垂直位置設定手段13は設置高さを設定し、設置高さの設定状態は換気風量を表示する表示手段15に表示される。
【0051】
なお、操作スイッチ14の組合せ操作で垂直位置設定手段13は設置高さを設定したが、同様の効能が得られるものであればこの限りではない。
【0052】
上記構成において、加熱調理器1の周囲温度によらずに調理物の温度を算出し、算出した調理物の温度をもとに調整手段は排気ファン4の換気風量を可変させるので、算出した調理物の温度をもとに必要な換気量を調理の状態に合わせて設定することができ、換気に要する電力量の削減ができ、省エネルギーになる。
【0053】
また、加熱調理器1の周囲温度を非加熱エリアの温度として調理物の温度を算出するので、非加熱エリアの温度を精度良く推定して調理物の温度を算出できるので、調理状態に合わせてより効率的な換気を行うことができる。
【0054】
また、加熱調理器1の周囲温度を調理中の廃熱の影響を少なくして検知するので、調理中の加熱調理器1の非加熱エリアの温度をより精度良く推定できる。
【0055】
また、サーミスタ10は、熱起電力型温度センサ6の検知温度の補正と周囲温度の検知を兼ね備えるので、熱起電力型温度センサ6の検知温度を補正するサーミスタ10と、周囲温度検知手段9を設けるスペースを共用でき、省スペースのレンジフードを実現できる。
【0056】
また、検知感度の違いによる検知する放射エネルギー値を補正して検知エリアの放射エネルギーを算出するので、検知エリアの放射エネルギーを精度良く算出して調理物の温度を算出できるので、必要な換気量を調理の状態に合わせてより精度よく設定することができる。
【0057】
また、レンジフード本体11の加熱調理器1からの設置高さによって異なる検知エリアの面積を補正して算出し、調理物の温度を算出するので、設置高さによらずに調理物の温度を精度良く算出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のレンジフードは、故障が少なく耐久性に優れ、調理物の温度に応じて適正な換気量を自動的に設定することで無駄な換気を抑え、例えば空調された室内の空気を無駄に室外へ排出することがないので、家庭用以外の例えば食堂やホテルなどの業務用のレンジフードについても有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 加熱調理器
2 吐出口
3 吸込口
4 排気ファン
5 制御手段
6 熱起電力型温度センサ
7 温度推定手段
8 マイクロコンピュータ
9 周囲温度検知手段
10 サーミスタ
13 垂直位置設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器の上方に設置され、屋外に連通した吐出口と、空気を吸込む吸込口と、前記吐出口と前記吸込口とを結ぶ通風路内に空気を吸込み排気する排気ファンと、前記排気ファンの運転または停止を制御する制御手段と、加熱調理器の表面を含む検知エリア内の温度の検知するための温度検知手段と、前記検知エリア内の非加熱エリアの温度を推定するための温度推定手段と、調理物の温度を算出して前記排気ファンの換気風量を調整する調整手段を備え、前記調整手段は、前記温度検知手段が検知した前記検知エリア内の温度と前記検知エリアの平面積とから算出される前記検知エリアから放射される放射エネルギーは、前記検知エリア内の非加熱エリアの平面積とその周囲温度とから算出される放射エネルギーと前記検知エリア内の加熱エリアに配置した調理物の平面積と調理物の温度とから算出される放射エネルギーの和に等しいということから、あらかじめ設定した前記検知エリアの平面積と、調理物の平面積と、調理中に前記温度推定手段で推定した温度と、調理中に前記温度検知手段で検出した検知エリア内の温度とから調理物の温度を算出して前記排気ファンの換気風量を可変させることを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
温度推定手段は、加熱調理器の周囲温度を検知する周囲温度検知手段を備え、検知した温度を非加熱エリアの温度とすることを特徴とする請求項1記載レンジフード。
【請求項3】
調整手段は、温度検知手段の中心からの距離により異なる検知感度に対して、あらかじめ定義した検知エリア内の感度分布と検知感度から、前記感度分布毎に前記検知感度を乗じて前記感度分布毎に算出した放射エネルギーの総和を検知エリアからの放射エネルギーとして算出することを特徴とした請求項1記載のレンジフード。
【請求項4】
レンジフード本体の加熱調理器からの設置高さを設定する垂直位置設定手段を設け、前記
垂直位置設定手段で設定された設置高さに基づき検知エリアの面積を算出することを特徴とした請求項1記載のレンジフード。
【請求項5】
周囲温度検知手段を、レンジフードの手前側に搭載することを特徴とする請求項2記載のレンジフード。
【請求項6】
温度検知手段に周囲温度によって検知温度を補正するための補正手段を備え、前記補正手段を前記周囲温度検知手段として使用することを特徴とする請求項2記載のレンジフード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−24446(P2013−24446A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157455(P2011−157455)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】